(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165650
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電力変換装置および電動車両
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241121BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20241121BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20241121BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G2/02 101D
H01G2/10 A
H01G4/228 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082014
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 徹
(72)【発明者】
【氏名】安部 直也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 誠司
(72)【発明者】
【氏名】鳥取 功
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770AA24
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770QA06
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】コスト増を招くことなく、小型の電動車両を実現できる電力変換装置を得ることを目的とする。
【解決手段】隣接する2つの辺における入力端子が突き出た辺と出力端子が突き出た辺の位置関係が互いに同じで、第2インバータモジュール2の入力端子が突き出た辺が第1インバータモジュール1の入力端子が突き出た辺の反対側の辺に対向するように設置され、コンデンサモジュール3の本体からそれぞれの入力端子が露出し、かつ第1インバータモジュール1の一部が隠れるように、本体を設置面4fmに平行にして配置され、接続端子が2つのインバータモジュールそれぞれの入力端子に接合されているように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形をなす本体部分と、前記本体部分の4辺のうち隣接する2辺に分かれて前記本体部分から突き出た入力端子と出力端子を有する2つのインバータモジュール、および
本体から接続端子が突き出たコンデンサモジュールを備え、
前記2つのインバータモジュールは、前記本体部分に対する前記入力端子が突き出た辺と前記出力端子が突き出た辺の位置関係が互いに同じで、一方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺が他方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺の反対側の辺に対向するように設置面に並べて設置され、
前記コンデンサモジュールは、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記本体から前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子が露出し、かつ前記他方のインバータモジュールの前記本体部分の少なくとも一部が隠れるように、前記本体を前記設置面に平行にして配置され、前記接続端子が前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子に接合されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記設置面に平行で前記2つのインバータモジュールの配列方向に垂直な方向において、前記コンデンサモジュールの前記本体の寸法は、前記他方のインバータモジュールの前記本体部分の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
底面に前記設置面が形成され、天面側が開口する筐体、および
前記筐体の前記天面側の縁と密着し、前記筐体との間で前記2つのインバータモジュールと前記コンデンサモジュールを収容する閉空間を形成する蓋材を備え、
前記コンデンサモジュールの前記本体の前記設置面から離れた側の面は、前記筐体と前記蓋材との密着面よりも前記設置面から離れた側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コンデンサモジュールは、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記一方のインバータモジュールの前記本体部分の少なくとも一部を隠すまで、前記本体が、前記2つのインバータモジュールの配列方向において、前記他方のインバータモジュールを隠す領域から張り出していることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンデンサモジュールは、前記張り出している領域にもコンデンサ素子が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記本体がコ字状をなすことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記本体は、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記一方のインバータモジュールの前記入力端子を露出させる部分が開口したロ字状をなすことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の電力変換装置、
前記2つのインバータモジュールのうちの一に接続される駆動用モーター、および
前記2つのインバータモジュールのうちの他に接続される発電用モーター、
を備えたことを特徴とする電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置および電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車といった電動車両には、バッテリー等の電源から供給された直流電力を負荷であるモーター駆動のための交流電力に変換するインバータ等の電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、電源から供給される電流を平滑化するためのコンデンサモジュール、および電流の経路をスイッチング制御するインバータモジュールを備えている。
【0003】
例えば、コンデンサモジュールは電気を蓄えたり放出したりする機能を有するもので、一般的にコンデンサなどの容量素子で構成する。インバータモジュールはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体のスイッチング素子を内蔵し、スイッチング素子の制御によって電源から供給される電流の供給経路を切り替え、モーターを制御する電流を制御するように構成する。
【0004】
ここで、電動車両には、異なる2つのモーターを駆動するタイプがあり、各モーターを駆動するためにそれぞれにインバータモジュールが必要になり、電力変換装置が大型化するという課題があった。一方、電動車両には、燃費の観点から小型で軽量の電力変換装置が求められる。
【0005】
それに対し、入力端子と出力端子がそれぞれ隣接する辺に配置された2つの矩形のインバータモジュールを、端子が配置されていない辺同士を対向させて配置し、1つのコンデンサモジュールとで1つの電力変換装置を構成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2022/044228号(段落0012~0018、
図1~
図3、段落0053~0056、
図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この場合、2つの形態が考えられ、第一の形態として、2つのインバータモジュールそれぞれの入力端子をモジュールの配列方向の両端に配置し、出力端子は点対称に配置する場合がある。その場合、2つのインバータモジュールそれぞれから電力の供給を受けるモーターも点対称の配置となるため、モーターも含めたモーター駆動装置システム全体として大型化してしまうという問題がある。
【0008】
あるいは、第二の形態として、片方のインバータモジュールの出力端子を端部に配置する場合があり、第一形態よりは、モーターと合わせたシステム全体の小型化は可能になる。しかし、その場合、2つのインバータモジュール間では、出力端子の向きが互いに垂直になり、2種類の工法でモーターを生産しなくてはいけなくなる。つまり、モーターの生産性を悪化させモーターコスト増加による、モーターも含めたモーター駆動装置システムのコストが上がってしまうという別の問題が生じることになる。
【0009】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、コスト増を招くことなく、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現できる電力変換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示される電力変換装置は、矩形をなす本体部分と、前記本体部分の4辺のうち隣接する2辺に分かれて前記本体部分から突き出た入力端子と出力端子を有する2つのインバータモジュール、および本体から接続端子が突き出たコンデンサモジュールを備え、前記2つのインバータモジュールは、前記本体部分に対する前記入力端子が突き出た辺と前記出力端子が突き出た辺の位置関係が互いに同じで、一方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺が他方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺の反対側の辺に対向するように設置面に並べて設置され、前記コンデンサモジュールは、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記本体から前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子が露出し、かつ前記他方のインバータモジュールの前記本体部分の少なくとも一部が隠れるように、前記本体を前記設置面に平行にして配置され、前記接続端子が前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願に開示される電力変換装置によれば、2つのモーターに対する出力端子の水平位置が同一で、同じ向きを向くようにできるので、コスト増を招くことなく、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aと
図1Bそれぞれは実施の形態1にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図と側面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる電力変換装置を構成するインバータモジュールの回路図である。
【
図3】
図3Aと
図3Bと
図3Cそれぞれは実施の形態1にかかる電力変換装置を構成するコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図と側面図と正面図である。
【
図4】
図4Aと
図4Bと
図4Cそれぞれは実施の形態1にかかる電力変換装置を構成するコンデンサモジュールの別の内部構成を説明するための上面図と側面図と正面図である。
【
図5】
図5Aと
図5Bそれぞれは実施の形態1の第一変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図とコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図である。
【
図6】実施の形態1の第一変形例にかかる電力変換装置を構成するコンデンサモジュールの別の内部構成を説明するための上面図である。
【
図7】実施の形態1の第二変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための側面図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bと
図8Cそれぞれは実施の形態1の第三変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図およびコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図と側面図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bと
図9Cそれぞれは実施の形態1の第四変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための側面図およびコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図と側面図である。
【
図10】
図10Aと
図10Bおよび
図10Cそれぞれは実施の形態1の第四変形例にかかる電力変換装置を構成するコンデンサモジュールの別の内部構成を説明するための上面図と側面図および回路図である。
【
図11】
図11Aと
図11Bそれぞれは実施の形態1の第五変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図とコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図である。
【
図12】
図12Aと
図12Bそれぞれは実施の形態1の第五変形例の別例にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図とコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図である。
【
図13】
図13Aと
図13Bそれぞれは実施の形態1の第六変形例にかかる電力変換装置の構成を説明するための上面図とコンデンサモジュールの内部構成を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1A~
図3Cは、実施の形態1にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図1Aは電力変換装置の構成を説明するための上面図、
図1Bは側面図、
図2はインバータモジュールの回路図である。そして
図3Aはコンデンサモジュールの内部構成を示す上面図、
図3Bは側面図、
図3Cは正面図である。なお、
図1Aにおいては、筐体の内面部分を破線で示すとともに、インバータモジュールのコンデンサモジュールで隠れた部分を破線で示し、
図3A~
図3Cでは、コンデンサモジュールの点線で示す本体の外装部分を取り除いた状態を描画している。
【0014】
【0015】
なお、本願では、インバータモジュールの配列方向でもある出力端子が並ぶ方向をx方向、入力端子が並ぶ方向をy方向、部品の積層方向をz方向と定義している。そして、z方向においてカバー側から見た場合、つまり設置面の法線に沿って離れた位置から見た図、例えば
図1Aを上面図(天面図)と呼ぶ。また、y方向で出力端子側から見た図、例えば
図1Bを側面図と呼び、x方向で入力端子側から見た図、例えば
図3Cを正面図と呼ぶ。以下、実施の形態1にかかる電力変換装置の詳細について説明する。
【0016】
ここで、本願の電力変換装置でも、入力端子と出力端子がそれぞれ隣接する辺に配置された本体部分が矩形をなす2つのインバータモジュールと、本体から接続端子が突き出た1つのコンデンサモジュールとで電力変換装置を構成している。そして、
図1Aと
図1Bに示すように、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2とを筐体4の例えば底面を設置面4fmとし、同一平面(xy平面)内で隣接するように配列し、載置している。
【0017】
そして、第1インバータモジュール1は、入力端子として第1入力端子1N、1Pが配置されている辺を配列方向(x方向)に垂直なy方向に平行にしている。このとき、入力端子が配置された辺に対して反時計回りに隣接し、出力端子として第1出力端子1U、1V、1Wが配置されている辺は、配列方向(x方向)に対して平行になっている。ここまでは、特許文献1に開示されたひとつの形態と同様である。
【0018】
しかし、実施の形態1にかかる電力変換装置100では、第2インバータモジュール2も、入力端子として第2入力端子2N、2Pが配置されている辺を配列方向(x方向)に垂直なy方向に平行で、第1インバータモジュール1と対向している。そのため、入力端子が配置された辺に対して反時計回りに隣接し、出力端子として第2出力端子2U、2V、2Wが配置されている辺は、配列方向(x方向)に対して平行になる。その結果、第1インバータモジュール1の第1出力端子1U、1V、1Wと、第2インバータモジュール2の第2出力端子2U、2V、2Wは同じ方向を向いて並ぶことになる。
【0019】
一方、図示しない電源から供給される電流を平滑するコンデンサモジュール3は、機械的には、本体が設置面4fmと平行になるように配置されている。そして、xy面内で第1インバータモジュール1と重なり、第1インバータモジュール1の上方(z方向における正方向側)に位置するように配置されている。このとき、第1インバータモジュール1の第1入力端子1N、1P、および第2インバータモジュール2の第2入力端子2N、2Pは、xy面内でコンデンサモジュール3の本体と重ならない関係にある。つまり、設置面4fmの法線に沿って離れた側から見たときにコンデンサモジュール3の本体から第1入力端子1N、1P、および第2入力端子2N、2Pが露出する状態にある。
【0020】
そして、本体から並んで突き出た第1入力端子31N、31Pがそれぞれ第1入力端子1N、1Pに、本体の別の場所から並んで突き出た第2入力端子32N、32Pがそれぞれ第2入力端子2N、2Pに電気接続されている。
【0021】
なお、第1インバータモジュール1の第1出力端子1U、1V、1W、および第2インバータモジュール2の第2出力端子2U、2V、2Wも底面から離れた側から見たときにコンデンサモジュール3の本体から露出する状態にある。
【0022】
第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2、およびコンデンサモジュール3は、上述したように筐体4内に配置され、電気接続がなされた状態で、筐体4に被せたカバー5によって密閉される。
【0023】
なお、上述した第1インバータモジュール1の内部は、
図2に示すように、U相は上側スイッチ素子1UHと下側スイッチ素子1ULが直列に接続された直列体の正極が第1入力端子1Pに接続され、負極が第1入力端子1Nに接続されている。また、上側スイッチ素子1UHと下側スイッチ素子1ULの接続点は、第1出力端子1Uに接続されている。
【0024】
同様にV相は、上側スイッチ素子1VHと下側スイッチ素子1VLの直列体の正極が第1入力端子1Pに接続され、負極が第1入力端子1Nに接続され、上側スイッチ素子1UHと下側スイッチ素子1ULの接続点が、第1出力端子1Vに接続されている。W相も、上側スイッチ素子1WHと下側スイッチ素子1WLの直列体の正極が第1入力端子1Pに接続され、負極が第1入力端子1Nに接続され、上側スイッチ素子1WHと下側スイッチ素子1WLの接続点が、第1出力端子1Wに接続されている。
【0025】
第2インバータモジュール2も第1インバータモジュール1と同様の構成である。上述したスイッチ素子は例えばIGBT、MOS-FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの半導体素子である。
【0026】
コンデンサモジュール3は内部に1つまたは複数のコンデンサ素子を有している。コンデンサ素子が1つの場合、コンデンサモジュール3は、例えば、
図3A~
図3Cのようにコンデンサ素子33とコンデンサ素子33を挟む負極部材3Nと正極部材3P(負極と正極を区別しない場合、電極部材と称する)とで構成する。負極部材3Nは、例えばコ字状の板材をxy面内でコ字状になるように曲げ、z方向の負側に向かう両端を曲げてx方向に突き出るようにして第1入力端子31Nと第2入力端子32Nを形成している。そして、xy面内でのコ字状の中間部分がコンデンサ素子33の負極側と電気接続されている。
【0027】
なお、上記例では第1入力端子31Nから第2入力端子32Nにかけて一体物の負極部材3Nを形成した例を示したが、これに限ることはなく、別部材で形成した第1入力端子31Nと第2入力端子32Nとを電気的に接続して負極部材3Nを構成するようにしてもよい。
【0028】
正極部材3Pも、負極部材3Nと同様であり、コ字状部分の中間部分がコンデンサ素子33の負極側と電気接続され、両端に第1入力端子31Pと第2入力端子32Pが形成されている。
【0029】
また、コンデンサモジュール3は例えばフィルムコンデンサなどが用いられる。フィルムコンデンサなどは、コンデンサ素子、入力端子、出力端子、入力端子と出力端子をつなぐバスバーで構成され、コンデンサ素子、入力端子、出力端子、バスバーは樹脂材などで封止される。また入力端子、出力端子はそれらをつなぐバスバーの一部となっている場合もある。前述したように、コンデンサ素子は複数のコンデンサ素子がある場合もあり、コンデンサ素子は電気的に並列接続される。
【0030】
なお、コンデンサモジュール3のケース(外装)には固定部がある場合もあり、その場合、ケースは複数箇所で筐体4に固定される。固定の方法は例えば、図示しないがネジ締めなどがある。また、第1インバータモジュール1、および第2インバータモジュール2の端子に対するコンデンサモジュール3の端子の接続では、ネジ締め、各種溶接等の接続方法が適用できる。
【0031】
なお、
図3A~
図3Cでは、コンデンサ素子33に対してy方向に正極、負極が配置される例について説明したが、これに限ることはない。
図4A~
図4Cに示すように、負極部材3Nと、正極部材3Pがコンデンサ素子33をz方向で挟む形で電気的に接続される場合もある。この場合、電極部材は、例えば矩形部分の対向する辺で、負極部材3N、正極部材3P間で干渉しない位置から長尺状に延びた部分を折り曲げることで、第1入力端子、第2入力端子を形成することができる。
【0032】
いずれの場合であっても、第1入力端子1N、1Pと第2入力端子2N、2Pが露出するように、コンデンサモジュール3の本体を第1インバータモジュール1上に配置した。これにより、同一仕様の第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2を使用し、かつ端子の配置位置が同一方向になるように隣接配置することができる。その結果、2つのモーターそれぞれに接続するための第1出力端子1U、1V、1Wと第2出力端子2U、2V、2Wを同じ向きで同一直線上に並べることができるので、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現できる。
【0033】
さらに第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2を同一方向で配置しているため、負極側の入力端子と正極側の入力端子の配列方向に垂直な方向(y方向)での位置関係が第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2で同じになる。また、コンデンサモジュール3としては、
図3A、
図4Aに示すように、負極部材3Nと正極部材3Pを内部で交差しないシンプルな構成のものを採用することができる。その結果、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2に対するコンデンサモジュール3の正極側の入力端子同士、負極側の入力端子同士の接続をするために、バスバーなどを用いる必要がなく、特許文献1に比べ材料費を少なくできる効果がある。
【0034】
つまり、本願の電力変換装置100はコスト抑制と小型化を両立させることができる。さらに、2つのモーターそれぞれに対する出力端子(第1出力端子1U、1V、1Wと第2出力端子2U、2V、2W)が同じ向きで同一直線上に並ぶので、モーター駆動装置システムとしても小型化とコスト抑制を両立できる。
【0035】
また実施の形態1では、カバー5を用いて筐体4をシールしていたが、これに限ることはない。例えば、電力変換装置100がモーターハウジングにマウントされ、さらに天地が逆の配置となり、コンデンサモジュール3の天面がモーターに近接するような下側配置とされる場合もある。この場合、モーター側の筐体(モーターハウジング)がカバー5の代わりとなる。カバー5は電力変換装置100に影響を与える異物の混入を防ぐことが目的である。以上のことから、カバー5は必ずしも電力変換装置100に必要とはならず、省略することも可能である。
【0036】
変形例.
なお、実施の形態1の電力変換装置に適用可能なコンデンサモジュールは上述したようなインバータモジュールとほぼ同じ外形のものには限らない。以降の各変形例では、上述した例とは外形の異なるコンデンサモジュールを適用した例について説明する。
【0037】
第一変形例.
図5Aと
図5Bは第一変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図5Aは電力変換装置の構成を説明するための
図1Aに対応する上面図、
図5Bはコンデンサモジュールの
図3Aに対応する上面図である。また、
図6はコンデンサモジュールの別の内部構成を説明するためのもので、
図5Bに対応する上面図であり、コンデンサ素子のうち、電極部材に隠れた部分を破線で示している。
【0038】
コンデンサモジュールに要求される容量(キャパシタンス)は、入力端子に接続される電源電圧、および出力端子に接続されるモーターの電流値といった諸条件により変化する。そのため、これら条件によっては、コンデンサモジュールの容量を増やしておく必要がある。
【0039】
第一変形例では、コンデンサモジュール3の容量を増やすため、
図5Aと
図5Bに示すように、コンデンサモジュール3内のコンデンサ素子33の寸法を配列方向に垂直なy方向に拡大して素子容積を増大し、容量を増加させている。また、コンデンサ素子33がフィルムコンデンサの場合であれば、1ターンの巻きの長さを長くすることで、容量を増やすことができる。
【0040】
この場合、コンデンサモジュール3の外形は、
図3Aに対して、x方向寸法を変化させていないので、第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2それぞれの入力端子のコンデンサモジュール3からの露出状況は
図1Aと同様である。また、コンデンサモジュール3は、
図1Aに対してyの正方向にのみ拡大しており、第1出力端子1U、1V、1W、および第2出力端子2U、2V、2Wの露出状況にも変化はない。
【0041】
そのため、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2に対するコンデンサモジュール3の正極側の入力端子同士、負極側の入力端子同士の接続をするために、バスバーなどを用いる必要がない。また、2つのモーターそれぞれに対する出力端子(第1出力端子1U、1V、1Wと第2出力端子2U、2V、2W)が同じ向きで同一直線上に並ぶので、モーター駆動装置システムとしても小型化とコスト抑制を両立できる。
【0042】
また、コンデンサモジュール3を、
図6に示すように、第1コンデンサ素子331と第2コンデンサ素子332を並列接続してコンデンサ素子33を構成するようにしても、容量を増大させることができる。そして、外形を
図5Bと同様にy方向のみに拡大すれば、同様の効果が得られる。
【0043】
このようにコンデンサモジュール3の容量の増加が必要なときでも、第一変形例のコンデンサモジュール3を用いれば、同一仕様の第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2を同一方向に隣接した状態で配置した効果を得ることができる。
【0044】
第二変形例.
第一変形例では、コンデンサモジュールの寸法を配列方向に垂直なy方向に拡大して容積を増やし、容量を増大させたが、これに限ることはない。y方向に余剰スペースが少ない場合、配列方向に垂直な方向のうち、設置面の法線に沿ったz方向に寸法を拡大させて容積を増やし、容量を増大させることもできる。
図7は第二変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図1Bに対応する側面図である。
【0045】
コンデンサモジュール3のコンデンサ素子33がフィルムコンデンサの場合であれば、コンデンサ素子33の積層数を増すことで容量が増える。結果として
図7に示すようにコンデンサモジュール3の寸法がz方向に拡大する。z方向への寸法拡大で容積を増やすようにしたことで、電力変換装置100としての延床面積は、
図1Aで示したのと同様になる。z方向に寸法拡大し、とくにコンデンサモジュール3の天面3ftが筐体4のシール面(密着面4fs)よりも高くなる場合は、カバー5も合わせて変形させればよい。
【0046】
このように、第二変形例にかかる電力変換装置100によれば、延床面積を増やすことなく、第一変形例と同様に、コンデンサモジュール3の容量を増やす効果を得ることができる。
【0047】
第三変形例.
第一変形例ではコンデンサモジュールの寸法をy方向に拡大し、第二変形例ではz方向に拡大した例について説明したが、y方向、z方向ともに余剰スペースが少ない場合、配列方向に沿ったx方向での寸法拡大も可能である。
図8A~
図8Cは第三変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図8Aは電力変換装置の構成を説明するための
図1Aに対応する上面図、
図8Bはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す上面図、
図8Cはコンデンサ素子の配置を示す側面図である。なお、
図8B、
図8Cでは、コンデンサモジュールの本体の外形を点線で示すとともに電極部材の描画を省略している。
【0048】
第三変形例にかかる電力変換装置100では、
図8Aに示すように、コンデンサモジュール3の矩形をなす本体の一辺のうち、y方向において第2入力端子2N、2Pに重ならない部分を配列方向(x方向)に沿って拡大した。拡大した部分の一部は、第2インバータモジュール2の一部に重なるように配置する。
【0049】
この場合、
図8B、
図8Cに示すように、厚み(z方向)寸法が同じで、xy面における外形の異なる2つのコンデンサ素子33(第1コンデンサ素子331、第2コンデンサ素子332)を配置すればよい。具体的には、第2入力端子2N、2Pの左側(x方向の負側)に実施の形態1と同様の外形の第1コンデンサ素子331を配置し、第2入力端子2N、2Pの奥側(y方向の正側)に右側に延びる長尺状の第2コンデンサ素子332を配置する。このとき、
図6の説明と同様に複数のコンデンサ素子を電気的に並列接続させることで、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができる。
【0050】
このように、y方向において第2入力端子2N、2Pと重ならない部分の寸法を配列方向(x方向)に沿って拡大することで、延床面積、高さのいずれも増大させることなく、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができる。
【0051】
第四変形例.
第三変形例では、コンデンサモジュールを厚み一定のまま配列方向に沿って寸法拡大させる例について説明したが、これに限ることはない。異なる容量のコンデンサ素子を並列接続する場合、寸法拡大した部分の厚みを拡大元の厚みと変えてもよい。
図9A~
図9Cは第三変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図9Aは電力変換装置の構成を説明するための
図1Bに対応する側面図、
図9Bはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す
図8Bに対応する上面図、
図9Cはコンデンサ素子の配置を示す
図8Cに対応する側面図である。
【0052】
第四変形例にかかる電力変換装置100は、
図9A~
図9Cに示すように、コンデンサモジュール3のうち、第1コンデンサ素子331が配置された部分と第2コンデンサ素子332が配置された部分の厚み(z方向寸法)が異なるようにした。この場合も、延床面積を増やすことなく、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができ、さらに電力変換装置100を小型化することができる。
【0053】
さらに、コンデンサ素子の容量が異なる例として、電流を平滑するコンデンサ素子以外に、Yコンデンサと称されるノイズフィルタ用のコンデンサ素子を用いる場合がある。
図10A~
図10Cは第四変形例の別例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図10Aはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す
図9Bに対応する上面図、
図10Bはコンデンサ素子の配置を示す
図9Cに対応する側面図、
図10Cはコンデンサモジュールの回路図である。
【0054】
図10Aと
図10Bに示すように、本別例では、第四変形例の
図9B、
図9Cにおける第2コンデンサ素子332を2つのYコンデンサ素子332y、333yに置き換えたものである。第1コンデンサ素子331は平滑用であり、拡大部分に配置されるのは第1コンデンサ素子331よりも容量が小さく、ノイズフィルタ用のYコンデンサ素子332y、333yである。
【0055】
図10Cに示すようにYコンデンサ素子332yとYコンデンサ素子333yは直列に接続されて直列体を形成する。直列体は第1コンデンサ素子331と並列に接続され、正極は第1入力端子31Pと、第2入力端子32Pに接続され、負極は第1入力端子31Nと、第2入力端子32Nに接続されている。また、Yコンデンサ素子332yとYコンデンサ素子333yの接続点は、筐体4などのGNDへ接続(接地)される。なお、GNDへはコンデンサモジュール3の筐体4への前述した固定部分を介して接続する構成をとることもできる。
【0056】
いずれの形態においても、第四変形例にかかる電力変換装置100では、延床面積を増やすことなく、ノイズフィルタ用のコンデンサ素子を適用できるという効果を得ることができる。また、Yコンデンサ素子分の容量のため、微増ではあるが、第一変形例と同様にコンデンサモジュール3の容量を増やすことができる。
【0057】
第五変形例.
第一変形例で説明したように、電源電圧、および各モーターの電流値により、コンデンサモジュールの容量を変更する場合があり、場合によっては、第三変形例よりもさらにコンデンサモジュールの容量増加が求められることがある。第五変形例では第三変形例よりもさらにコンデンサモジュールの容量を増やす構成について説明する。
図11Aと
図11Bは第五変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図11Aは電力変換装置の構成を説明するための
図8Aに対応する上面図、
図11Bはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す
図8Bに対応する上面図である。また、
図12Aと
図12Bは第五変形例の別例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図12Aはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す
図11Aに対応する上面図、
図12Bはコンデンサ素子の配置を示す
図11Bに対応する上面図である。
【0058】
第五変形例にかかる電力変換装置100は、
図11Aに示すように、コンデンサモジュール3のxy面内での外形を第2入力端子2N、2P部分を回り込むようにコ字状にし、第2入力端子2N、2Pが露出するように配置する。このように配置すれば、第三変形例よりもコンデンサモジュール3のxy面内における面積を増加させることができ、コンデンサモジュール3の容量をさらに増加させることができる。
【0059】
コンデンサモジュール3の外形を
図11Aに示す形状にする場合、例えば、
図11Bに示すように、xy面内で矩形ではあるが、それぞれ形状が異なる第1コンデンサ素子331と第2コンデンサ素子332と第3コンデンサ素子333を配置する。具体的には、第1コンデンサ素子331と第2コンデンサ素子332は第三変形例と同様に配置する。そして、左右方向(x方向)での第2コンデンサ素子332の配置範囲における、第2入力端子2N、2Pよりも右側(x方向の正側)の範囲で、第2コンデンサ素子332の手前側(y方向負側)に第3コンデンサ素子333を配置する。そして、第一変形例の
図6と同様に、複数のコンデンサ素子を電気的に並列接続させることで、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができる。
【0060】
ここで、第2入力端子2N、2Pは図示しない電源と接続されるが、電源との接続のため第2入力端子2N、2Pから右側(x方向の正側)へ配線を伸ばす場合がある。この場合、
図10A、
図10Bに示す外形では、コンデンサモジュール3が配線を遮ることになる。そこで、本別例では、
図12Aに示すように、第2入力端子2N、2Pの右側が開放されるように、コンデンサモジュール3の外形を形成した。
【0061】
コンデンサモジュール3の外形を
図12Aに示す形状にする場合、例えば、
図12Bに示すように、xy面内で矩形ではあるが、それぞれ形状が異なる第1コンデンサ素子331と第2コンデンサ素子332と第3コンデンサ素子333を配置する。具体的には、第2入力端子2N、2Pの左側(x方向の負側)に実施の形態1と同様の外形の第1コンデンサ素子331を配置する。そして、第2入力端子2N、2Pの奥側(y方向の正側)には右側に延びる長尺状の第2コンデンサ素子332を、手前側には右側に延びる長尺状の第3コンデンサ素子333を配置する。そして、第一変形例の
図6と同様に、複数のコンデンサ素子を電気的に並列接続させることで、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができる。
【0062】
第六変形例.
第一変形例で説明したように、電源電圧、および各モーターの電流値により、コンデンサモジュールの容量を変更する場合があり、場合によっては、第五変形例よりもさらにコンデンサモジュールの容量増加が求められることがある。第六変形例では第五変形例よりもさらにコンデンサモジュールの容量を増やす構成について説明する。
図13Aと
図13Bは第六変形例にかかる電力変換装置の構成について説明するためのものであり、
図13Aは電力変換装置の構成を説明するための
図11Aに対応する上面図、
図13Bはコンデンサモジュール内のコンデンサ素子の配置を示す
図11Bに対応する上面図である。
【0063】
第六変形例にかかる電力変換装置100は、
図13Aに示すように、コンデンサモジュール3のxy面内での外形を、第2入力端子2N、2P部分を取り囲む開口3aを設けたロ字状にし、第2入力端子2N、2Pが露出するように配置する。このようにすれば、コンデンサモジュール3のxy面における面積を第五変形例よりも拡大でき、コンデンサモジュール3の容量をさらに増加させることができる。
【0064】
コンデンサモジュール3の外形を
図13Aに示す形状にする場合、例えば、
図13Bに示すように、第五変形例の別例のように第1コンデンサ素子331~第3コンデンサ素子333を配置し、さらに第4コンデンサ素子334を配置する。具体的には、第2入力端子2N、2P(および開口3a)よりも右側(x方向の正側)に形成された、第2コンデンサ素子332と第3コンデンサ素子333のy方向における隙間に第4コンデンサ素子334を配置する。そして、第一変形例の
図6と同様に、複数のコンデンサ素子を電気的に並列接続させることで、コンデンサモジュール3の容量を増加させることができる。
【0065】
このように配置すれば、第五変形例よりもコンデンサモジュール3のxy面内における面積を増加させることができ、コンデンサモジュール3の容量をさらに増加させることができる。
【0066】
上述した電力変換装置100を、内燃機関と発電用モーター、および駆動用モーターを搭載したハイブリッド自動車に適用する場合を考える。その場合、例えば、第1インバータモジュール1の出力を駆動用モーターに接続し、第2インバータモジュール2の出力を発電用モーターに接続する。すると、内燃機関の駆動力が不足するときに、第1インバータモジュール1の出力によって駆動用モーターを駆動して、駆動力をアシストする。一方、減速時には回生エネルギーを発電用モーターで回収し、第2インバータモジュール2に返して図示しないバッテリーを充填し、高効率な運転が可能となる。このような電動車両を、コスト増を招くことなく、小型で実現できる。
【0067】
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載されたよう様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態で開示した内容の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組合せで実施の形態に適用可能である。したがって、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態で開示した構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0068】
例えば、本願では、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2を同仕様のものとしたがこれに限ることはない。本体部分に対する入力端子と出力端子の位置関係が互いに同じであり、物理的に隣接配置でき、少なくともコンデンサモジュール3に接続される側(本例では入力側)が共有できるものであれば、本体部分が全く同形状でなくてもよく、出力側の仕様が異なっていてもよい。
【0069】
以上のように、本願の電力変換装置100によれば、矩形をなす本体部分と、本体部分の4辺のうち隣接する2辺に分かれて本体部分から突き出た入力端子(第1入力端子1N,1P、第2入力端子2N,2P)と出力端子(第1出力端子1U,1V,1W、第2出力端子2U,2V,2W)を有する2つのインバータモジュール(第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2)、および本体から接続端子(第1入力端子31N,31P、第2入力端子32N,32P)が突き出たコンデンサモジュール3を備え、2つのインバータモジュールは、本体部分に対する入力端子(第1出力端子1U,1V,1W、第2出力端子2U,2V,2W)が突き出た辺と出力端子(第1出力端子1U,1V,1W、第2出力端子2U,2V,2W)が突き出た辺の位置関係が互いに同じで、一方のインバータモジュール(例えば、第2インバータモジュール2)の入力端子(第2入力端子2N,2P)が突き出た辺が他方のインバータモジュール(例えば、第1インバータモジュール1)の入力端子(第1入力端子1N,1P)が突き出た辺の反対側の辺に対向するように設置面4fmに並べて設置され、コンデンサモジュール3は、設置面4fmの法線に沿って離れた位置から見たときに、本体から2つのインバータモジュールそれぞれの入力端子(第1入力端子1N,1P、第2入力端子2N,2P)が露出し、かつ他方のインバータモジュール(例えば、第1インバータモジュール1)の本体部分の少なくとも一部が隠れるように、本体を設置面4fmに平行にして配置され、接続端子(第1入力端子31N,31P、第2入力端子32N,32P)が2つのインバータモジュール(第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2)それぞれの入力端子(第1入力端子1N,1P、第2入力端子2N,2P)に接合されているように構成した。
【0070】
これにより、2つのモーターそれぞれに接続するための第1出力端子1U、1V、1Wと第2出力端子2U、2V、2Wを同じ向きで同一直線上に並べることができるので、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現できる。さらに、コンデンサモジュール3としては、負極部材3Nと正極部材3Pを内部で交差しないシンプルな構成のものを採用しても、正極側の入力端子同士、負極側の入力端子同士の接続をするために、バスバーなどを用いる必要がなく、コスト低減が可能となる。つまり、コスト増を招くことなく、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現できる。
【0071】
とくに、設置面4fm(xy面)に平行(xy面)で2つのインバータモジュールの配列方向(x方向)に垂直な方向(y方向)において、コンデンサモジュール3の本体の寸法は、他方のインバータモジュール(例えば、第1インバータモジュール1)の本体部分の寸法よりも大きい場合に、上述した構成はさらに効果が顕著になる。
【0072】
底面に設置面4fmが形成され、天面側が開口する筐体4、および筐体4の天面側の縁と密着し、筐体4との間で2つのインバータモジュール(第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2)とコンデンサモジュール3を収容する閉空間を形成する蓋材(カバー5)を備え、コンデンサモジュール3の本体の設置面4fmから離れた側の面(天面3ft)は、筐体4と蓋材(カバー5)との密着面4fs(シール面)よりも設置面4fmから離れた側に位置するように構成すれば、設置面4fm内での延床面積を増大させることなく、容量をアップできる。
【0073】
コンデンサモジュール3は、設置面4fmの法線に沿って離れた位置から見たときに、一方のインバータモジュール(例えば、第2インバータモジュール2)の本体部分の少なくとも一部を隠すまで、本体が、2つのインバータモジュールの配列方向(x方向)において、他方のインバータモジュール(例えば、第1インバータモジュール1)を隠す領域から張り出しているように構成すれば、設置面4fmからの高さ、および設置面4fm内での延床面積を増大させることなく、容量をアップできる。
【0074】
その際、コンデンサモジュール3は、張り出している領域にもコンデンサ素子(第2コンデンサ素子332、第3コンデンサ素子333、第4コンデンサ素子334、Yコンデンサ素子332y,333y)が配置されているように構成すれば、確実に容量をアップできる。
【0075】
また、その際、設置面4fmの法線に沿って離れた位置から見たときに、本体がコ字状をなすのであれば、電源からの取り合いが楽になる。
【0076】
あるいは、本体は、設置面4fmの法線に沿って離れた位置から見たときに、一方のインバータモジュールの入力端子(第2入力端子2N,2P)を露出させる部分が開口した(開口3aを有する)ロ字状をなすならば、高さを増大させずに容量を最大限に増大できる。
【0077】
また、本願の電動車両によれば、上述した電力変換装置100、2つのインバータモジュールのうちの一(例えば、第1インバータモジュール1)に接続される図示しない駆動用モーター、および2つのインバータモジュールのうちの他(例えば、第2インバータモジュール2)に接続される図示しない発電用モーター、を備えることで、コスト増を招くことなく、小型のモーター駆動装置システムおよび電動車両を実現できる。
【0078】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0079】
(付記1)
矩形をなす本体部分と、前記本体部分の4辺のうち隣接する2辺に分かれて前記本体部分から突き出た入力端子と出力端子を有する2つのインバータモジュール、および
本体から接続端子が突き出たコンデンサモジュールを備え、
前記2つのインバータモジュールは、前記本体部分に対する前記入力端子が突き出た辺と前記出力端子が突き出た辺の位置関係が互いに同じで、一方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺が他方のインバータモジュールの前記入力端子が突き出た辺の反対側の辺に対向するように設置面に並べて設置され、
前記コンデンサモジュールは、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記本体から前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子が露出し、かつ前記他方のインバータモジュールの前記本体部分の少なくとも一部が隠れるように、前記本体を前記設置面に平行にして配置され、前記接続端子が前記2つのインバータモジュールそれぞれの前記入力端子に接合されていることを特徴とする電力変換装置。
【0080】
(付記2)
前記設置面に平行で前記2つのインバータモジュールの配列方向に垂直な方向において、前記コンデンサモジュールの前記本体の寸法は、前記他方のインバータモジュールの前記本体部分の寸法よりも大きいことを特徴とする付記1に記載の電力変換装置。
【0081】
(付記3)
底面に前記設置面が形成され、天面側が開口する筐体、および
前記筐体の前記天面側の縁と密着し、前記筐体との間で前記2つのインバータモジュールと前記コンデンサモジュールを収容する閉空間を形成する蓋材を備え、
前記コンデンサモジュールの前記本体の前記設置面から離れた側の面は、前記筐体と前記蓋材との密着面よりも前記設置面から離れた側に位置することを特徴とする付記1または2に記載の電力変換装置。
【0082】
(付記4)
前記コンデンサモジュールは、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記一方のインバータモジュールの前記本体部分の少なくとも一部を隠すまで、前記本体が、前記2つのインバータモジュールの配列方向において、前記他方のインバータモジュールを隠す領域から張り出していることを特徴とする付記1から3のいずれか1に記載の電力変換装置。
【0083】
(付記5)
前記コンデンサモジュールは、前記張り出している領域にもコンデンサ素子が配置されていることを特徴とする付記4に記載の電力変換装置。
【0084】
(付記6)
前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記本体がコ字状をなすことを特徴とする付記4または5に記載の電力変換装置。
【0085】
(付記7)
前記本体は、前記設置面の法線に沿って離れた位置から見たときに、前記一方のインバータモジュールの前記入力端子を露出させる部分が開口したロ字状をなすことを特徴とする付記4または5に記載の電力変換装置。
【0086】
(付記8)
付記1から7のいずれか1に記載の電力変換装置、
前記2つのインバータモジュールのうちの一に接続される駆動用モーター、および
前記2つのインバータモジュールのうちの他に接続される発電用モーター、
を備えたことを特徴とする電動車両。
【符号の説明】
【0087】
1:第1インバータモジュール、 1N:第1入力端子(負極)、 1P:第1入力端子(正極)、 1U:第1出力端子(U相)、 1V:第1出力端子(V相)、 1W:第1出力端子(W相)、 2:第2インバータモジュール、 2N:第2入力端子(負極)、 2P:第2入力端子(正極)、 2U:第2出力端子(U相)、 2V:第2出力端子(V相)、 2W:第2出力端子(W相)、 3:コンデンサモジュール、 31N:第1入力端子(負極)、 31P:第1入力端子(正極)、 32N:第2入力端子(負極)、 32P:第2入力端子(正極)、 33:コンデンサ素子、 331:第1コンデンサ素子、 332:第2コンデンサ素子、 332y:Yコンデンサ素子、 333:第3コンデンサ素子、 333y:Yコンデンサ素子、 334:第4コンデンサ素子、 3a:開口、 3N:負極部材、 3P:正極部材、 4:筐体、 5:カバー、 100:電力変換装置。