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  • 特開-トナー容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165656
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】トナー容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G03G15/08 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082020
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】レ コン・タイン
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA05
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】再利用可能なトナー容器を提供する。
【解決手段】トナー容器1は、容器本体10と、キャップ30とを備える。前記容器本体10は、充填口11の一部を覆う閉止板17と、前記閉止板17に設けられた挿入孔19と、を有する。前記キャップ30は、蓋体41と、前記挿入孔19に挿入可能な筒部47と、前記筒部47に挿入可能な固定ピン60と、を有する。前記筒部47の内周面には内凸部が形成され、前記固定ピン60の外周面には外凸部が形成される。前記固定ピン60を、前記外凸部が前記内凸部に達するまで前記筒部47に挿入すると、前記外凸部によって前記筒部47が押し広げられて前記挿入孔19に密着することで前記キャップ30が前記閉止板17に固定され、前記固定ピン60を、前記外凸部が前記内凸部から離間するまで前記筒部47にさらに挿入すると、前記筒部47が元の形状に復帰して前記挿入孔17との密着が解除される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーの充填口を有する容器本体と、前記充填口を閉止するキャップとを備えるトナー容器であって、
前記容器本体は、
前記充填口の一部を覆う閉止板と、
前記閉止板に設けられた挿入孔と、を有し、
前記キャップは、
貫通孔を有し、前記充填口を閉止する蓋体と、
前記貫通孔と連通するように前記蓋体に設けられて、前記挿入孔に挿入可能であると共に径方向に弾性変形可能な筒部と、
前記貫通孔を通して前記筒部に挿入可能な固定ピンと、を有し、
前記筒部の内周面には、内側に突出する内凸部が形成され、
前記固定ピンの外周面には、外側に突出する外凸部が形成され、
前記挿入孔に前記筒部を挿入して前記蓋体で前記充填口を閉止した後、前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部に達するまで前記貫通孔を通して前記筒部に挿入すると、前記外凸部によって前記筒部が径方向の外側に押し広げられるように弾性変形して前記挿入孔に密着することで前記キャップが前記閉止板に固定され、
前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部から離間するまで前記筒部にさらに挿入すると、前記筒部が元の形状に復帰して該筒部と前記挿入孔との密着が解除され、前記キャップの前記閉止板からの取り外しが可能となることを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
前記筒部には、前記固定ピンの挿入方向に沿ったスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部に達するまで前記筒部に挿入した際、前記固定ピンは前記筒部から挿入方向の上流側に突出していないことを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー充填口を閉止するキャップを備えるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やプリンター等、トナーを用いる電子写真式の画像形成装置では、トナー容器から現像装置にトナーが供給される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のトナーコンテナ(トナー容器に相当)は、コンテナ本体に設けられた筒状の充填口の先端面に接着される鍔部を有するキャップを備えている。キャップを取り外す際には、鍔部を含むキャップを充填口とともに切除する。コンテナ本体を再利用する際には、別のキャップの鍔部を充填口の先端面に接着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-96828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のトナーコンテナでは、キャップは充填口に接着されるので、キャップを取り外す際には、キャップの一部と充填口の一部とを切除する必要がある。このため、コンテナ本体を再利用することは不可能である。近年では、環境問題を考慮して、このような樹脂製品の廃棄物の量を削減する傾向が高まっており、再利用可能なトナーコンテナが要求されている。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、再利用可能なトナー容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のトナー容器は、トナーの充填口を有する容器本体と、前記充填口を閉止するキャップとを備えるトナー容器であって、前記容器本体は、前記充填口の一部を覆う閉止板と、前記閉止板に設けられた挿入孔と、を有し、前記キャップは、貫通孔を有し、前記充填口を閉止する蓋体と、前記貫通孔と連通するように前記蓋体に設けられて、前記挿入孔に挿入可能であると共に径方向に弾性変形可能な筒部と、前記貫通孔を通して前記筒部に挿入可能な固定ピンと、を有し、前記筒部の内周面には、内側に突出する内凸部が形成され、前記固定ピンの外周面には、外側に突出する外凸部が形成され、前記挿入孔に前記筒部を挿入して前記蓋体で前記充填口を閉止した後、前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部に達するまで前記貫通孔を通して前記筒部に挿入すると、前記外凸部によって前記筒部が径方向の外側に押し広げられるように弾性変形して前記挿入孔に密着することで前記キャップが前記閉止板に固定され、前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部から離間するまで前記筒部にさらに挿入すると、前記筒部が元の形状に復帰して該筒部と前記挿入孔との密着が解除され、前記キャップの前記閉止板からの取り外しが可能となることを特徴とする。
【0008】
本発明のトナー容器において、前記筒部には、前記固定ピンの挿入方向に沿ったスリットが形成されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明のトナー容器において、前記固定ピンを、前記外凸部が前記内凸部に達するまで前記筒部に挿入した際、前記固定ピンは前記筒部から挿入方向の上流側に突出していないことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な作業でキャップを容器本体に固定することができると共にキャップを容器本体から取り外すことができるので、容器本体の再利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るトナー容器を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るトナー容器のキャップの蓋体を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るトナー容器のキャップの筒部と固定ピンとを示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るトナー容器において、充填口に挿入された蓋体を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るトナー容器において、キャップを容器本体に固定する際及びキャップを容器本体から取り外す際の、キャップの筒部と固定ピンとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るトナー容器について説明する。
【0013】
図1を参照して、トナー容器1について説明する。図1はトナー容器1を示す分解斜視図である。トナー容器1は、トナーの充填口11を有する容器本体10と、充填口11を閉止するキャップ30と、を備える。
【0014】
まず、容器本体10について説明する。容器本体10は、上面が開口した本体部13と、下面が開口した蓋部15と、を有している。本体部13は、略半筒状の底板13aと、略半円状の一対の側板13bと、を有している。本体部13には、上面開口に沿って外側に張り出すフランジ13cが形成されている。蓋部15には、下面開口に沿って外側に張り出すフランジ15aが形成されている。両フランジ13c、15aが溶着されることで、本体部13と蓋部15とによって、トナーが収容される内空間を有する容器本体10が構成される。容器本体10は、例えば、樹脂で作成される。
【0015】
容器本体10の内空間には、撹拌パドル及び搬送スクリュー(いずれも図示省略)が回転可能に収容されている。さらに、本体部13の底板13aには、トナーの排出口(図示省略)が形成されている。排出口は、現像装置(図示省略)のトナー供給口と連通可能である。排出口は、シャッター(図示省略)によって開閉可能である。
【0016】
一方の側板13bには、円形のトナー充填口11が形成されている。充填口11の一部は、略半円形の閉止板17で閉止されている。閉止板17には、挿入孔19が開けられている。また、側板13bには、充填口11の周囲に沿って円筒状の周壁21が形成されている。
【0017】
次に、キャップ30について、図1図2及び図3も参照して説明する。図2はキャップ30の蓋体40を示す斜視図、図3は蓋体40の筒部47と固定ピン60とを示す断面図である。図1に示されるように、キャップ30は、蓋体40と、固定ピン60とを備え、例えば、樹脂で作成される。
【0018】
まず、蓋体40について、図2を参照して説明する。蓋体40は、同軸上に設けられた大径部41と小径部43とを有している。大径部41は、容器本体10(図1参照)の周壁21の外径と等しい外径と、所定の厚さとを有している。小径部43は、周壁21の内径と等しい外径と、周壁21の高さと等しい厚さとを有している。大径部41と小径部43とには、軸方向に貫通する貫通孔45が開けられている。充填口11(図1参照)をキャップ30で閉止する際、小径部43が周壁21に嵌め込まれ、大径部41が周壁21の端面に当接するようになっている。貫通孔45は、小径部43が周壁21に嵌め込まれた際に、閉止板17に開けられた挿入孔19に対応する位置に設けられている。
【0019】
小径部43の内面には、貫通孔45と連通するように筒部47が設けられている。筒部47の外径は、閉止板17に開けられた挿入孔19の内径と等しい。筒部47には、軸方向に沿って少なくとも一つのスリット51が形成されている。このようにスリット51を形成することで、筒部47は径方向に変形しやすくなっている。
【0020】
筒部47の内周面には、図3に示されるように、蓋体40の側から順に、入口部53、第1凹部55a、第1凸部57a、第2凹部55b、第2凸部57b、第3凹部55c、出口部59が形成されている。第1凹部55a、第1凸部57a、第2凹部55b、第2凸部57b、第3凹部55cは、周方向に沿って環状に形成されている。入口部53は、所定の長さに沿って一定の内径を有するように形成されている。第1凹部55aは、入口部53の内径よりも大きい内径を有している。第1凸部57aは、入口部53よりも小さい内径を有している。第1凸部57aは、本発明の、内側に突出する内凸部の一例である。第2凹部55bは、第1凹部55aと等しい内径を有している。第2凸部57bは、第1凸部57aと等しい内径を有している。第3凹部55cは、第2凹部55bよりも小さい内径を有している。出口部59は、所定の長さに沿って入口部53よりも小さい内径を有するように形成されている。
【0021】
次に、固定ピン60について説明する。図1に示されるように、固定ピン60は、蓋体40の貫通孔45を通して筒部47に挿入される。図3に示されるように、固定ピン60は、同軸上に設けられたヘッド部61と軸部63とを有している。ヘッド部61の端面は平坦に形成されている。軸部63には、ヘッド部61の側から、軸方向に所定の間隔を開けて、環状の第1、第2、第3凸部65a、65b、65cが、周方向に沿って形成されている。第1凸部65aの外径は、ヘッド部61の外径と等しく、第2、第3凸部65b、65cの外径よりも大きい。また、第1凸部65aの外径は、筒部47の入口部53及び第1凸部57aの内径よりも大きく、第1凹部55aと第2凹部55bの内径と同じ、あるいは、それよりも小さい。第1凸部65aは、本発明の、外側に突出する外凸部の一例である。
【0022】
上記説明したトナー容器1において、充填口11をキャップ30で閉止する作業及び充填口11からキャップ30を取り外す作業について、図1図3図4及び図5も参照して説明する。図4は充填口11に挿入された蓋体40を示す断面図、図5は筒部47と固定ピン60とを示す断面図である。
【0023】
まず、図1に示されるように、容器本体10の充填口11に設けられた閉止板17の挿入孔19にキャップ30の蓋体40の筒部47を挿入していく。そして、図4に示されるように、蓋体40の小径部43を周壁21に嵌め込み、大径部41を周壁21の端面に当接させる。これにより、充填口11が蓋体40で閉止される。
【0024】
その後、固定ピン60を、例えば、工具を使用して、蓋体40の貫通孔45を通して筒部47に挿入する。図5の左側の図に示されるように、ヘッド部61が筒部47の入口部53に達し、第1凸部65aが筒部47の第1凸部57aに達するまで固定ピン60が挿入されると、ヘッド部61と第1凸部65aの外径はそれぞれ入口部53と第1凸部57aの内径よりも大きいので、ヘッド部61及び第1凸部65aの外周面と閉止板17の挿入孔19の内周面との間で、筒部47が弾性変形して径方向に圧縮される。この際、筒部47が、スリット51(図2参照)に沿って開こうとする力も発生する(図3の二点鎖線参照)。このような力によって、筒部47の外周面が挿入孔19の内周面に押し付けられて、両面が密着する。これにより、キャップ30が容器本体10に固定される。また、固定ピン60の第1凸部65aが筒部47の第1凸部57aに達すると、工具に加わる負荷が大きくなるので、使用者は、第1凸部65aが第1凸部57aに達したこと、すなわち、キャップ30が容器本体10に固定されたことを把握することができる。
【0025】
トナーが消費された後で容器本体10を再利用する場合は、固定ピン60をさらに押し込んで筒部47に挿入する。図5の中央の図に示されるように、固定ピン60を、ヘッド部61が筒部47の第1凹部55aに入り込み、第1凸部65aが筒部47の第2凹部55bに入り込むまで挿入すると、筒部47が径方向に圧縮される力やスリット51に沿って開こうとする力が解消される。つまり、筒部47の外周面を挿入孔19の内周面に押し付ける力が解消される。つまり、キャップ30が容器本体10に固定する力が解消する。この際、工具に加わる負荷が小さくなるので、使用者は、第1凸部65aが第2凹部55bに入り込んだことを把握できる。その後、蓋体40を周壁21から引き抜くことで、筒部47が挿入孔19から引き出され、キャップ30が容器本体10から取り外される。
【0026】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、蓋体40の筒部47を閉止板17の挿入孔19に挿入して蓋体40で充填口11を閉止した後、固定ピン60を貫通孔45から筒部47に挿入するだけの簡単な作業で、キャップ30を容器本体10に固定することができる。さらには、固定ピン60をさらに挿入することで、キャップ30を容器本体10から取り外すことができる。キャップ30を取り外すことで、容器本体10の再利用が可能となる。
【0027】
また、筒部47には、固定ピン60の挿入方向に沿ったスリット51が形成されているので、筒部47の外周面を挿入孔19の内周面に押し付ける力を高めることができる。
【0028】
さらに、固定ピン60を筒部47に挿入した際、固定ピン60のヘッド部61は、蓋体40の貫通孔45から挿入方向の上流側に突出していない(図5の左側の図参照)。したがって、トナー容器1を交換する際に上記した取り外し方法を知らないユーザーが、キャップ30を容器本体10から外そうとして固定ピン60を引き抜こうとしても、固定ピン60は貫通孔45の奥まで挿入されているので、引き抜くことができない。
【0029】
なお、一旦キャップ30を取り外した後、再度、上記と同様に蓋体40を筒部47に挿入し、その後、図5の右側の図に示されるように、固定ピン60を、ヘッド部61が筒部47の第2凹部55bに達し、第1凸部65aが第3凹部55cに達するまでさらに挿入すると、固定ピン60の第1凸部65aの外周面と閉止板17の挿入孔19の内周面との間で筒部47が弾性変形して径方向に圧縮される。これにより、前述のように、筒部47の外周面が挿入孔19の内周面に押し付けられて、両面が密着し、キャップ30が容器本体10に固定される。このように、キャップ30も再利用可能である。また、図5の下側の図に示されるように、固定ピン60は、さらに押し込むことで筒部47から抜き出されるので、固定ピン60を再利用することも可能である。
【0030】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 トナー容器
10 容器本体
11 充填口
17 閉止板
19 挿入孔
30 キャップ
40 蓋体
47 筒部
51 スリット
55a 第1凸部(内凸部)
60 固定ピン
65a 第1凸部(外凸部)
図1
図2
図3
図4
図5