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▶ 特種東海製紙株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165659
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】耐油紙及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D21H 21/14 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
D21H21/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082025
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】507369811
【氏名又は名称】特種東海製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山岸 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】太田 澄恵
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA02
4L055AA03
4L055AB08
4L055AC00
4L055AC06
4L055AG27
4L055AG47
4L055AG84
4L055AG87
4L055AG89
4L055AH09
4L055AH24
4L055CF36
4L055EA12
4L055EA15
4L055EA40
4L055FA11
4L055FA12
4L055FA14
4L055GA48
(57)【要約】
【課題】良好な通気性及び高い耐油性能を備える耐油紙を提供すること。
【解決手段】パルプを含む基材が非フッ素系耐油層を備えており、地合指数が4.0~8.0であり、好ましくは、王研式透気度が1400秒以下である耐油紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプを含む基材が非フッ素系耐油層を備えており、地合指数が4.0~8.0である、耐油紙。
【請求項2】
王研式透気度が1400秒以下である、請求項1記載の耐油紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐油性能に優れる紙に関する。特に通気性が要求される耐油紙に関するものである。例えば、本発明の耐油紙は、ファーストフードなどの油を含む食品の包装材、あるいは、内部に酸素剤を充填し、食品や薬品の酸化を防ぐ包装材の材料として用いられる紙として使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、このような包装材として、プラスチック製フィルムが用いることが知られており、例えば、ポリエステル製やナイロン製の有孔性フィルムの積層体が知られている。しかし、環境配慮の面で脱プラスチックという社会的な要請もあり、紙製の包装材への期待が高まっている。
【0003】
紙製の包装材で耐油性能を兼ね備えたものとして、フッ素系耐油剤を含む耐油紙が知られている。しかしながら、フッ素系耐油剤には、環境問題や健康問題につながるおそれが指摘されている。例えばフッ素を含む化合物は、環境中では難分解性であり、長期間にわたって生態系に蓄積されることが考えられる。また、一部のフッ素を含む化合物は、人体に対して健康上のリスクを引き起こすことが知られている。このため、非フッ素系の耐油剤への移行が進められている。
【0004】
例えば、非フッ素系耐油剤として、ポリビニルアルコールを含有する中間層及びスチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂及びサイズ剤を含有する表面層を紙基材に設けた特許文献1のような発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-85465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、非フッ素系耐油剤は、フッ素系の耐油剤と比べて耐油性能が劣る。そのため、非フッ素系耐油剤を用いて耐油性能を一定以上得るためには、非フッ素系耐油剤を多量に適用する必要があり、その結果、耐油層が厚くなる。耐油層が厚くなれば、耐油紙としての通気性が下がることになり、所望の通気性を得ることが困難となる。
【0007】
また、耐油紙として必要な耐油性能が求められる。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決することをその課題とする。具体的には、良好な通気性及び高い耐油性を兼ね備える非フッ素系の耐油紙を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、鋭意検討の結果、本発明者らは、耐油紙の地合指数を一定範囲になるように工夫することによって、良好な通気性及び高い耐油性を備える非フッ素系の耐油紙を提供可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、パルプを含む基材が非フッ素系耐油層を備えており、地合指数が4.0~8.0である、耐油紙である。
【0011】
前記王研式透気度が1400秒以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の耐油紙は、良好な通気性及び高い耐油性を備えることができる。したがって、本発明の耐油紙は、通気性が要求される耐油紙として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、パルプを含む基材が非フッ素系耐油層を備えており、地合指数が4.0~8.0の耐油紙であることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明を説明する。
【0015】
(基材)
本発明の耐油紙は、パルプを含む基材を有する。基材は紙層であることが好ましい。基材は単層でもよく、複数でもよい。
【0016】
パルプとしては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;他、麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;レーヨン等に由来するセルロース繊維乃至再生セルロース繊維、古紙から得られる古紙パルプが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
パルプの種類は、得られる耐油紙の地合にも影響があるため、本発明で規定する地合指数の範囲となるように適宜選択するとよい。例えば、NPKPとLBKPを質量比で90:10~50:50となるように混合することが好ましく、80:20~60:40と混合することがさらに好ましい。
【0018】
基材にはパルプ以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる合成繊維;澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤又は定着剤;サイズ剤、填料、歩留向上剤、染料、着色顔料、定着剤、消泡剤、スライムコントロール剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、円網抄紙機等の公知の抄紙機を使用して、公知の製造(抄紙)方法により製造することができる。前記のパルプ以外の成分をパルプスラリーへ内添することが好ましい。
【0020】
基材の坪量は特には限定されるものではないが、坪量20g/m~200g/mが好ましく、25g/m~120g/mがより好ましく、30g/m~80g/mがさらにより好ましく、30g/m~60g/mがより好ましい。また、基材の厚さも特には限定されるものではないが、30μm~180μmが好ましく、35μm~120μmがより好ましく、40μm~80μmがさらにより好ましい。
【0021】
パルプの叩解度は特には限定されるものではないが、パルプの叩解を進めると、セルロース繊維同士の絡み合いが増大して均一になりやすく、地合を向上させる効果が期待できる。従って、本発明の地合指数の範囲となるように叩解度を適宜調整するとよい。叩解度は、100超~400mLcsfが好ましく、150~300mLcsfがより好ましい。
【0022】
(非フッ素系耐油層)
本発明の耐油紙は少なくとも1つの非フッ素系耐油層を有する。非フッ素系耐油層は単層でも複数の層から構成されてもよい。また、本発明の耐油層は、基材の一方の表面上に非フッ素系耐油層が備えられてもよく、基材の両面に備えられてもよい。特に、基材の両面に非フッ素系耐油層が備えられることが好ましい。基材の一方の表面上に非フッ素系耐油層を備える場合は、耐油の効果を必要とする側に備えられることが好ましい。なお、非フッ素系耐油層は完全な「層」を形成している必要はなく、基材の表面との接触面の少なくとも一部が基材と混和していてもよい。例えば、非フッ素系耐油層の一部が基材の内部に含まれてよく、非フッ素系耐油層の一部と基材との界面が明確になっていなくてもよい。ただし、非フッ素系耐油層の一部が基材の内部に含まれる量は少ない方が好ましく、換言すれば非フッ素系耐油層の一部が基材の表面に存在する量が多い方が好ましい。なお、前記非フッ素系耐油層と基材とは接触していなくてもよく、その間に別の層を設けてもよい。
【0023】
非フッ素系耐油層とは、少なくとも耐油性能を有する薬剤を含む層であって、層全体におけるフッ素系耐油剤の含有が5質量%以下ものをいう。この含有は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらにより好ましくは0質量%である。フッ素系耐油剤は、公知のものを含め特に制限はなく、例えば、パーフルオロアルキル基(ポリフルオロアルキル基)を有する各種化合物、その他フッ素を含有する樹脂等が挙げられる。
【0024】
非フッ素系耐油層を構成する成分としては公知のものが使用できる。例えば、デンプン、スチレン-アクリル共重合樹脂、パラフィンワックス、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂エマルションが挙げられ、これら1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。デンプンとしては、例えば、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、タピオカデンプン、酸化デンプン、リン酸デンプン、エーテル化デンプン、ジアルデヒド化デンプン、エステル化デンプン等の変性デンプン等を用いることができる。変性デンプンがより好ましい。デンプンには、脂肪酸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、芒硝、アクリル樹脂などを適宜混合させることで耐油性能が向上するため好ましい。
【0025】
非フッ素系耐油層には、耐油剤の他に各種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、濡れ剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、蛍光染料、着色染料、着色顔料、界面活性剤、pH調整剤、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂、紫外線吸収剤、金属塩等が挙げられる。
【0026】
非フッ素系耐油層(及び、必要であれば中間層や追加層)を基材へ形成する方法は特に限定されるものではなく、例えば、公知の塗工装置及び塗工系を用いて、塗工により、基材上に形成することができる。非フッ素系耐油層は塗工層であることが好ましい。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工等が挙げられる。非フッ素系耐油層(及び、必要であれば中間層や追加層)形成用組成物、例えば塗工液、の粘度、固形分濃度等は使用する塗工装置、塗工系等に応じて、適宜調整することができる。塗工後には加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
【0027】
非フッ素系耐油層の量は、得られる耐油性能と通気性とのバランスを考慮して設計すればよい。特に、層が厚くなればなるほど通気性が悪化する傾向にあり、例えば、0.5~5.0g/mが好ましく、1.0~4.5g/mがより好ましく、1.2~4.2g/mがさらにより好ましい。
【0028】
(2)地合指数
本発明の耐油紙の地合指数は4.0~8.0である。地合指数の下限値は、4.1が好ましく、4.2がさらに好ましい。また、地合指数の上限値は7.8が好ましく、7.6がさらに好ましく、7.0がより好ましく、5.0がさらにより好ましい。
【0029】
耐油紙の地合指数を前記の所定範囲にすることで、非フッ素系耐油層を設けて耐油性能を一定以上に確保しながらも、所望の通気性が得ることができる。地合指数が高くなると、通気性は得られる傾向にあるが耐油性能が劣る。この場合、耐油性能を向上させるためには非フッ素系耐油層の量を増やすことが考えられるが、それだけ通気性が劣ることとなる。一方で、地合指数が低くなりすぎると、耐油紙全体として品質(透気度、耐油性能を含む紙の物性)のばらつきが大きくなり、また、紙の強度が低下したり、印刷時の品質低下などのおそれが高くなる。
【0030】
地合指数の測定は、点光源ドラムスキャン式による光透過型光学式地合計を用いて、透過光量の光量変動を数値化することで評価される。測定にはM/Kシステム社製「3Dシートアナライザー」を用いる。この測定では、紙の厚さに応じて光源強度の自動校正が行われ、坪量等の違いに左右されず評価ができることが知られている。地合指数は、数値が高いほど地合がよいことを示す。測定にあたり、耐油紙をA4サイズとして、紙が浮かないよう装置に紙を巻き付ける。そして、測定レンジ1(標準感度)、光源の絞りは0.5mmで透過光地合指数を測定する。具体的な地合指数の算出は以下であり、ピーク階級Pを32とする。測定面積は10cm×10cmとする。

A = P/(N・100)

A:地合指数
P:ピーク階級(透過光の強度階級の数)のカウント数
N:0.1%以上の画素が分布している階級の数+0.1%未満のカウント数が最大の階級のカウント数の十の位を少数第一位にした数
【0031】
耐油紙の地合指数を前記の範囲に設計するためには、公知の方法が採用できる。すなわち、パルプの選定や抄紙条件などを適宜調整することが考えられる。具体的には、針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合比率や樹種の選定、叩解度、抄紙時の抄速、サクションの条件、ワイヤーパートのジェットワイヤー比、ワイヤーシェーキ装置の調整、テンション、ダンディーロールの使用、プレス圧、乾燥条件、非フッ素系耐油層の塗工条件などを適宜調整すればよい。
【0032】
本発明の耐油紙は通気性を兼ね備える。通気性の指標として、JIS P8117:2009に準拠して測定される王研式透気度が1400秒以下であることが好ましく、1000秒以下であることがさらに好ましく、800秒以下であることがさらに好ましく、600秒以下であることがさらに好ましく、400秒以下であることがさらにより好ましく、200秒以下であることがより好ましい。王研式透気度は数値が低い程、通気性がよいことを示す。
【0033】
本発明の耐油紙は、その耐油性能としてTAPPI UM-557に準じて測定されるキット法の耐油度が2以上であることが好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、3以上であることがさらにより好ましく、4以上であることがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の耐油紙は、耐油性能が要求される用途に好適に使用可能である。特に通気性を必要とする耐油紙として好適に使用され、一例としてはファーストフードなどの油を含む食品の包装材、あるいは、内部に酸素剤を充填し、食品や薬品の酸化を防ぐ包装材の材料として使用できる。
【0035】
本発明により得られる耐油紙は非フッ素系の耐油層を備えているため、フッ素に起因する諸問題を引き起こさずに使用可能である。
【0036】
本発明の耐油紙はカーボンニュートラルな材質であるパルプから構成されるので、環境負荷が小さく、焼却しても大気中の二酸化炭素量の増大を全体として抑制することができる。
【実施例0037】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0038】
(非フッ素系耐油液)
疎水化デンプン(Ingredion社製、Filmkote370)と芒硝をそれぞれ7.2質量%、0.2質量%となるように水に混合して非フッ素系耐油液を調製した。
【0039】
〔実施例1〕
パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ67質量部、広葉樹晒クラフトパルプ33質量部を混合したものを離解して、叩解度270mlc.s.f.のパルプスラリーを調製した。前記パルプスラリーに、パルプの固形分100質量部に対して、カオリン(白石カルシウム社製、製品名「カオブライト」)1.3質量部、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、製品名「WS4024」)0.3質量部、硫酸バンド4.0質量部を加え、抄紙原料を作成した。この抄紙原料を用いて、長網抄紙機で抄紙する際、サイズプレスコーターを用いて、前記の非フッ素系耐油液を固形分で3.6g/mとなるように塗工・乾燥した。これにより非フッ素系耐油層を備える、坪量40g/mの耐油紙を得た。
【0040】
〔実施例2〕
非フッ素系耐油液を固形分で3.0g/mと変更した以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0041】
〔実施例3〕
パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ67質量部、広葉樹晒クラフトパルプ33質量部を混合したものを離解して、叩解度200mlc.s.f.のパルプスラリーを調製した。前記パルプスラリーに、パルプの固形分100質量部に対して、カオリン(白石カルシウム社製、製品名「カオブライト」)1.3質量部、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、製品名「WS4024」)0.3質量部、硫酸バンド4.0質量部を加え、抄紙原料を作成した。この抄紙原料を用いて、長網抄紙機で抄紙する際、ウェットエンドにダンディーロールを設けて湿紙が通過するようにし、さらにサイズプレスコーターを用いて、前記の非フッ素系耐油液を固形分で1.5g/mとなるように塗工・乾燥した。これにより非フッ素系耐油層を備える、坪量40g/mの耐油紙を得た。
【0042】
〔実施例4〕
非フッ素系耐油液を固形分で3.6g/mとなるように設けた以外は、実施例3と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0043】
〔比較例1〕
非フッ素系耐油液を塗工・乾燥しないようにした以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備えない紙を得た。
【0044】
〔比較例2〕
パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ81質量部を混合したものを用い、叩解度を430mlc.s.f.、非フッ素系耐油液を固形分で6.0g/mとなるように塗工・乾燥した以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0045】
〔比較例3〕
パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ19質量部、広葉樹晒クラフトパルプ81質量部を混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0046】
〔比較例4〕
パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ100質量部を用い、叩解度を200mlc.s.f.とした以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0047】
〔比較例5〕
叩解度を100mlc.s.f.とし、ダンディーロールを設けて湿紙を処理し、非フッ素系耐油液を固形分で0.7g/mとなるように塗工・乾燥した以外は、実施例1と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0048】
〔比較例6〕
非フッ素系耐油液を固形分で3.6g/mとなるように塗工・乾燥した以外は、比較例5と同様にして非フッ素系耐油層を備える耐油紙を得た。
【0049】
実施例および比較例の各耐油紙について、地合指数、透気度、耐油性能を測定した。各特性の測定方法は以下のとおり。
【0050】
地合指数:M/Kシステム社製「3Dシートアナライザー」を用いて測定した。
透気度:JIS P8117:2009に準拠して測定される王研式透気度により評価した。
耐油性能:TAPPI UM-557に準じて測定されるキット法の耐油度にて評価した。
【0051】
結果を下記表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1~実施例4、比較例1~6で得た耐油紙の透気度と耐油性能を確認した。比較例1は非フッ素系耐油層を備えていない為、通気性は良いが耐油性能は無かった。比較例2及び比較例3の耐油紙は、地合指数が高く、通気性は良いが、耐油性能が全く得られなかった。また、地合指数が低い比較例4の耐油紙は耐油性能が良いが、通気性が悪い結果となった。比較例5の耐油紙は、地合い指数が高く通気性は良いが、耐油性能が得られなかった。比較例5よりも耐油層の量を増加させた比較例6では、耐油性能は得られたが通気性が悪化した。一方、実施例1~4の耐油紙は通気性と耐油性能を兼ね備えていた。