(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165661
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理システム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20241121BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082029
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】石塚 阿左子
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】仕訳上の仮払消費税の額を、より適切に確認することが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム10は、受付部330と、仕訳部332と、取引判定部331と、表示制御部333とを備える。表示制御部333は、支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する。確認画面には、受付部330により受け付けられた申請時の支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、仕訳部332の仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示される。表示制御部333は、申請情報表示領域において、支払の消費税額に関する情報として、支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、仕訳情報表示領域において、支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
支払の申請を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、
前記支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、
前記支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、として機能させ、
前記確認画面には、前記受付部により受け付けられた申請時の前記支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、前記仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示され、
前記表示制御部は、
前記取引判定部により前記適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する前記確認画面を表示する際に、
前記申請情報表示領域において、前記支払の消費税額に関する情報として、前記支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、
前記仕訳情報表示領域において、前記支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、前記支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する
プログラム。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記支払の申請を受け付けるための申請画面を更に表示し、
前記申請画面において、前記第1消費税額で申請が行われた場合には、前記第2消費税額を表示することなく、前記第1消費税額を表示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記仕訳情報表示領域に、前記仕入税額相当額に適用された前記経過措置の割合を更に表示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記確認画面の前記仕訳情報表示領域に前記取引判定部による判定結果を示す情報を更に表示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記確認画面において所定の操作が行われることに基づいて、前記支払の取引に関するインボイスの区分を編集することが可能な編集画面を更に表示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記支払は、経費又は債務の支払である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記申請情報表示領域と前記仕訳情報表示領域とを同一画面内に表示する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
支払の申請を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、
前記支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、
前記支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、を備え、
前記確認画面には、前記受付部により受け付けられた申請時の前記支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、前記仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示され、
前記表示制御部は、
前記取引判定部により前記適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する前記確認画面を表示する際に、
前記申請情報表示領域において、前記支払の消費税額に関する情報として、前記支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、
前記仕訳情報表示領域において、前記支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、前記支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する
情報処理システム。
【請求項9】
支払の申請を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、
前記支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、
前記支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、を備え、
前記確認画面には、前記受付部により受け付けられた申請時の前記支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、前記仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示され、
前記表示制御部は、
前記取引判定部により前記適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する前記確認画面を表示する際に、
前記申請情報表示領域において、前記支払の消費税額に関する情報として、前記支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、
前記仕訳情報表示領域において、前記支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、前記支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の情報処理システムがある。特許文献1に記載の情報処理システムは、経費の申請に対応した申請データを受け付けた際に、受け付けた申請データを、申請データに対応した承認結果及び申請者に関連付けて記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本国では令和5年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される予定である。インボイス制度では、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに関しては仕入税額控除を行うことができない。一方、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れに関しては、インボイス制度の実施後6年間は、仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置が適用される予定である。
【0005】
特許文献1に記載されるような情報処理システムにおいて、申請データを受け付けた後に、その仕訳処理をシステム上で行うことが考えられる。インボイス制度の導入後に仕訳処理を行う場合、申請データに含まれる支払の取引が適格請求書発行事業者以外の者からの取引である場合には、仕訳上は、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額を仮払消費税額として表示する必要がある。しかしながら、仕訳後のデータを確認する際に、そのような仮払消費税額を仕訳のデータとして表示すると、申請時の消費税額と異なることから確認者が混乱する可能性がある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、仕訳上の仮払消費税の額を、より適切に確認することが可能なプログラム、情報処理システム、情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によるプログラムは、コンピュータを、支払の申請を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、として機能させる。確認画面には、受付部により受け付けられた申請時の支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示される。表示制御部は、取引判定部により適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する確認画面を表示する際に、申請情報表示領域において、支払の消費税額に関する情報として、支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、仕訳情報表示領域において、支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する。
【0008】
本発明の一態様による情報処理システムは、支払の申請を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、を備える。確認画面には、受付部により受け付けられた申請時の支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示される。表示制御部は、取引判定部により適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する確認画面を表示する際に、申請情報表示領域において、支払の消費税額に関する情報として、支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、仕訳情報表示領域において、支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する。
【0009】
本発明の一態様による情報処理装置は、支払の申請を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた支払の仕訳処理を実行する仕訳部と、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引に該当するか否かを判定する取引判定部と、支払に関する情報を確認することが可能な確認画面を表示する表示制御部と、を備える。確認画面には、受付部により受け付けられた申請時の支払に関する情報が表示される申請情報表示領域と、仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域とが表示される。表示制御部は、取引判定部により適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払に対応する確認画面を表示する際に、申請情報表示領域において、支払の消費税額に関する情報として、支払の申請時の消費税額である第1消費税額を表示し、仕訳情報表示領域において、支払の仕訳上の消費税額に関する情報として、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額を表示する。
【0010】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプログラム、情報処理システム、情報処理装置によれば、仕訳上の仮払消費税の額を、より適切に確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(A),(B)は、消費税に関する納税の概要を模式的に示す図。
【
図2】インボイスの経過措置の概要を模式的に示す図。
【
図3】実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図。
【
図4】実施形態の端末装置の概略構成を示すブロック図。
【
図5】実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図。
【
図6】実施形態の仕訳部により実行される処理の手順を示すフローチャート。
【
図7】実施形態の端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図8】実施形態の端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図9】実施形態の情報処理システムの動作例を示すフローチャート。
【
図10】実施形態の端末装置及びサーバ装置のハードウェア的な構成を示すブロック図。
【
図11】他の実施形態の端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図12】他の実施形態の端末装置に表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、情報処理システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<実施形態>
(情報処理システムの概要)
本実施形態の情報処理システムは、日本国のインボイス制度に対応したシステムである。そのため、はじめに、インボイス制度の概要、及びそれに対する本実施形態の情報処理システムの概要について簡単に説明する。
【0014】
日本国では2023年10月からインボイス制度が導入され予定である。インボイス制度は、複数税率に対応するものとして開始される仕入税額控除の方式である。インボイス制度の導入後は、適格請求書(インボイス)を売り手が買い手に対して発行するとともに、双方が適格請求書を保存することで消費税の仕入税額控除が適用されることになる。
【0015】
例えば
図1(A)に示されるように、課税事業者Bが仕入先Aから材料等を購入するために、材料等の代金として100,000円を、またその消費税として10,000円を仕入先Aに支払ったとする。また、その課税事業者Bが材料等から商品を製造した後、その商品を消費者Cに販売したとする。このとき、課税事業者Bは、商品の代金として300,000円を、またその消費税として30,000円を消費者Cから受け取ったとする。この場合、インボイス制度の導入後は仕入先Aが適格請求書発行事業者であるか否かに応じて課税事業者Bに認められる仕入税額控除の額が異なる。適格請求書発行事業者は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者であり、適格請求書(インボイス)を発行できる事業者である。
【0016】
具体的には、仕入先Aが適格請求書発行事業者である場合、課税事業者Bは、
図1(A)に示されるように、消費者Cから預かった消費税である30,000円から、仕入先Aに支払った消費税である10,000円を減算した額である20,000円を税務署に納税すればよい。すなわち、この場合、課税事業者Bは、仕入先Aに支払った消費税である10,000円をそのまま仕入税額控除することが可能である。
【0017】
これに対して、仕入先Aが適格請求書発行事業者以外の者である場合、課税事業者Bは、
図1(B)に示されるように、仕入先Aに支払った消費税である10,000円を仕入税額控除することができなくなる。したがって、課税事業者Bは、消費者Cから預かった消費税である30,000円をそのまま税務署に納税する必要がある。換言すれば、課税事業者Bは、仕入先Aに支払った消費税である10,000円を仕入税額控除することができない。なお、適格請求書発行事業者以外の者は、例えば消費者、免税事業者、又はインボイス登録を受けていない課税事業者等である。
【0018】
このように、インボイス制度の導入後は仕入先Aが適格請求書発行事業者以外の者である場合には、課税事業者Bが税務署に納税すべき消費税が増加する可能性がある。このような激変を緩和するために、インボイス制度の導入後から6年間は、仕入先Aが適格請求書発行事業者以外の者である場合、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除可能な経過措置が適用される予定である。具体的には、
図2に示されるように、インボイス制度が導入される2023年10月から2026年9月までの期間は、仕入先Aが適格請求書発行事業者以外の者である場合であっても、課税事業者Bは、仕入税額相当額の80%を控除することが可能である。また、2026年10月から2029年9月までの期間は、課税事業者Bは仕入税額相当額の50%を控除することが可能である。
【0019】
一方、例えば経過措置が適用される2023年10月から2026年9月までの期間に課税事業者Bが仕入先Aに対して支払を行った場合、その支払の申請を課税事業者Bの従業員が行う場合を考える。この場合、従業員は、仕入先Aに対する支払の内容をそのまま申請、すなわち材料等の代金として100,000円を、またその消費税額として10,000円を仕入先Aに支払ったという内容で申請する。このとき、その支払を仕訳する際には、例えば110,000円を税込み金額として、また8,000円を仮払消費税の額として計上する必要がある。このような支払の仕訳処理をシステム上で行った場合、仕訳データ上では仮払消費税の額として8,000円が表示されることになるが、この額は、申請時の消費税額である10,000円と異なる。そのため、例えば申請を承認する承認者が仕訳データを確認した際に混乱する可能性がある。本実施形態の情報処理システムは、このようなユーザの混乱を解消するためのものである。
【0020】
以下、本実施形態の情報処理システムの具体的な内容について説明する。なお、以下では、仕入先Aが適格請求書発行事業者以外の者である場合に、経過措置として、仕入税額相当額の80%を仕入税額とみなして控除可能な場合を例に挙げて説明する。
(情報処理システムの構成)
図3に示されるように、本実施形態の情報処理システム10は、端末装置20a,20bと、サーバ装置30と、外部サーバ装置40とを備えている。端末装置20a,20b、サーバ装置30、及び外部サーバ装置40はネットワーク回線Nを介して互いに通信可能に接続されている。本実施形態では、端末装置20a,20b及びサーバ装置30が情報処理装置に相当する。
【0021】
端末装置20a,20bは、ユーザにより所持されるパーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等である。端末装置20aを操作するユーザは、例えば支払の申請を行う事業者の従業員である。端末装置20bを操作するユーザは、例えば支払の申請を承認する事業者の従業員である。以下では、便宜上、端末装置20aを所持しているユーザを「申請者」と称し、端末装置20bを所持しているユーザを「承認者」と称し、申請者及び承認者をまとめて「ユーザ」と称する。また、支払の申請には経費の申請や債務の申請等が存在するが、以下では支払の申請が経費の申請である場合を例に挙げて説明する。
【0022】
サーバ装置30は、事業者の会計情報や取引先の情報等を管理している。また、サーバ装置30は、ユーザによる取引先の入力や、各取引先との取引情報の入力を受け付けるとともに、税務申告に必要な各種書類のデータの出力をユーザの要求に基づいて行う。サーバ装置30は、API(Application Programming Interface)等を利用することにより金融機関等のサーバ装置から各取引先との取引情報を自動的に入手可能であってもよい。本実施形態では、サーバ装置30が、このような各種会計処理に関するサービスをクラウド上で提供する場合を例に挙げて説明する。
【0023】
外部サーバ装置40は、インボイスの適格請求書発行事業者の登録情報を管理している。外部サーバ装置40は例えば国税庁に設けられている。
(外部サーバ装置の構成)
図3に示されるように、外部サーバ装置40はインボイスDB(データベース)41を有している。インボイスDB41には、国税庁に正規に登録されている適格請求書発行事業者毎にインボイスの登録情報が記憶されている。インボイスの登録情報には、適格請求書発行事業者の登録番号、氏名又は名称、登録年月日、及び本店又は主たる事務所の所在地等が含まれている。外部サーバ装置40は、サーバ装置30からの要求に基づいて、インボイスDB41に記憶されているインボイスの登録情報をサーバ装置30に送信する。
【0024】
本開示において、インボイスDB41を有する外部サーバ装置40は、登録情報記憶装置の一例である。他の例として、インボイスDB41を有する外部サーバ装置40が保有する登録情報をサーバ装置30がダウンロードし、当該ダウンロードされた登録情報を記憶した記憶装置が登録情報記憶装置であってもよい。
【0025】
(端末装置の構成)
図4に示されるように、端末装置20a,20bは、その機能的な構成として、入力部21と、通信部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とをそれぞれ備えている。
【0026】
入力部21はユーザの入力操作を受け付ける。ユーザは、入力部21に対して各種操作を行うことにより端末装置20a,20bを操作することができる。
通信部22はネットワーク回線Nを介してサーバ装置30と各種通信を行う。例えば通信部22は、ユーザにより入力部21に入力された操作情報をサーバ装置30に送信する。また、通信部22は、サーバ装置30から送信される各種情報を受信する。
【0027】
表示部23は、ユーザにより視認可能な各種画面を表示する。例えばサーバ装置30が、会計処理サービスの各種画面に関する情報を端末装置20a,20bに送信して、その情報が通信部22により受信されたとすると、表示部23は、受信した会計処理サービスの各種画面をウェブブラウザ上で表示する。
【0028】
記憶部24には、端末装置20a,20bを動作させるための各種プログラムが記憶されている。このプログラムには、例えばウェブページを表示するためのブラウザのプログラム等が含まれている。
制御部25は端末装置20a,20bを制御する。制御部25は、例えば記憶部24に記憶されるブラウザのプログラムを実行することにより会計処理サービスの各種画面を表示部23に表示させる。
【0029】
(サーバ装置の構成)
図5に示されるように、サーバ装置30は、その機能的な構成として、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備えている。
通信部31は、ネットワーク回線Nを介して端末装置20a,20b及び外部サーバ装置40等と各種通信を行う。
【0030】
記憶部32には、サーバ装置30において実行される各種処理に用いられる情報が記憶されている。例えば記憶部32には、サーバ装置30において実行される各種処理に対応する操作をウェブブラウザ上で可能とするためのプログラムや、端末装置20a,20bの操作に基づいて実行される各種プログラム等が記憶されている。また、記憶部32には、例えばユーザDB320及び会計情報DB321等が記憶されている。
【0031】
ユーザDB320には、例えば各ユーザに割り振られているアカウント情報が記憶されている。なお、本実施形態では、申請者及び承認者が同一のアカウント情報を使用している場合を例に挙げて説明する。アカウント情報はユーザ名、ユーザの識別番号、及びパスワードを含む。アカウント情報は、ウェブブラウザを介してサーバ装置30のシステムにログインする際に端末装置20a,20bからサーバ装置30に送信されて、サーバ装置30においてユーザの認証に利用される。
【0032】
会計情報DB321には、事業者毎に、事業者の取引情報や、取引情報に基づいて作成された帳簿等のデータ、税務申告に必要な各種書類のデータ等が記憶されている。
制御部33はサーバ装置30を統括的に制御する。制御部33は、記憶部32に記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能的な構成として、受付部330と、取引判定部331と、仕訳部332と、表示制御部333とを備えている。
【0033】
(受付部)
受付部330は、申請者が端末装置20aを操作して経費の支払の申請を行った際に、その申請を受け付ける。申請者により行われる支払の申請には、例えば支払内容、支払日付、経費科目、支払の税込金額、税区分、消費税額、適格請求書発行事業者の登録番号、及び画像データ等の情報が含まれている。支払内容は、経費の支払先の名称や、経費により購入した物品やサービスの名称等の情報である。画像データは、経費の支払いに関するレシートや領収書等の画像データである。受付部330は、申請者により支払の申請が行われる度に、支払の申請内容と管理番号とを関連付けて会計情報DB321に記憶させる。管理番号は、支払の各申請に対して個別に割り振られる番号であって、例えば支払の申請が行われる度に異なる値に設定される。
【0034】
(取引判定部)
取引判定部331は、受付部330により支払の申請が受け付けられた際に、その支払の取引が適格請求書発行事業者との取引であるか否かを判定する。具体的には、取引判定部331は、受付部330により支払の申請が受け付けられると、その支払の申請内容から、支払先の名称や適格請求書発行事業者の番号等の情報を取得する。そして、取引判定部331は、通信部31を介して外部サーバ装置40と通信を行うことにより、取得した支払先の名称や適格請求書発行事業者の番号等がインボイスDB41に登録されているか否かを判断する。取引判定部331は、支払先の名称及び適格請求書発行事業者の番号等がインボイスDB41に登録されている場合には、その支払の取引は適格請求書発行事業者との取引であると判定する。一方、取引判定部331は、支払先の名称及び適格請求書発行事業者の番号等がインボイスDB41に登録されていない場合には、その支払の取引は適格請求書発行事業者との取引でないと判定する。
【0035】
(仕訳部)
仕訳部332は、申請者により申請された支払の申請内容に対して仕訳処理を実行する。例えば、仕訳部332は、経費の支払の申請が受付部330により受け付けられると、申請された支払の内容に対して所定の仕訳ルールに基づいて自動的に仕訳を行う。また、承認者が支払の申請内容を確認した上で、承認者が手動で仕訳内容を設定または修正してもよく、この場合は、仕訳部332は承認者からの設定または修正を受け付けることで仕訳処理を実行する。仕訳に用いられる支払の内容には、支払った税込金額や経費科目等が含まれている。所定の仕訳ルールには、例えば今までに登録されている仕訳の内容から学習した仕訳ルールや、承認者により設定された仕訳ルール等が含まれている。
【0036】
仕訳部332は、仕訳処理に含まれる処理の一つとして、申請された支払の取引が適格請求書発行事業者との取引ではない場合、換言すれば、申請が行われた支払の取引が適格請求書発行事業者以外の者との取引に該当する場合には、インボイス制度の経過措置に対応した仮払消費税額を演算する処理を実行する。
【0037】
次に、
図6を参照して、仕訳部332により行われる仮払消費税額の演算手順について具体的に説明する。なお、
図6に示される処理は、支払の申請が受付部330により受け付けられて、その支払に対して仕訳処理が開始された際に実行される。
図6に示されるように、仕訳部332は、まず、申請された支払の取引が適格請求書発行事業者との取引であるか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10の処理は取引判定部331の判定結果に基づいて行われる。取引判定部331による判定処理は上記した通りである。仕訳部332は、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引であると判断した場合(ステップS10:YES)、その支払の申請内容に含まれる消費税額をそのまま第1消費税額Tc1として設定する(ステップS11)。
【0038】
一方、仕訳部332は、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引でないと判断した場合(ステップS10:NO)、その支払の申請内容から、仕入税額相当額の80%に相当する額を第2消費税額Tc2として演算する(ステップS12)。例えば支払の税込金額が「110,000円」である場合、仕入税額相当額が「10,000円」となるため、仕訳部332は、その額の80%に相当する額である「8,000円」を第2消費税額Tc2として演算する。
【0039】
仕訳部332は、ステップS11又はS12の処理を実行した後、
図6に示される処理を終了する。
(表示制御部)
表示制御部333は、端末装置20a,20bに各種画面を表示する表示制御を実行する。次に、表示制御部333により端末装置20a,20bの表示部23に表示される画面例について説明する。
【0040】
経費の支払を申請する操作を申請者が端末装置20aに対して行った場合、表示制御部333は、
図7に示されるような申請画面50を端末装置20aに表示する。
図7に示されるように、申請画面50には、添付ボタン51と、表示領域52と、入力領域53と、申請ボタン54とが設けられている。
【0041】
添付ボタン51は、領収書やレシート等の画像データを添付する際に操作するボタンである。ユーザが添付ボタン51を操作した後、添付する領収書等の画像データを選択すると、
図7に示されるように、その画像データが表示領域52に表示される。
入力領域53は、申請内容に関する各種情報の詳細を入力する部分である。入力領域53には、支払先等入力領域530と、日付入力領域531と、経費科目入力領域532と、金額入力領域533と、税区分選択領域534と、税額表示領域535と、登録番号入力領域536と、メモ領域537とが設けられている。
【0042】
支払先等入力領域530は、経費の支払先の氏名又は名称、並びに支払の内容等を入力する領域である。支払の内容としては、例えば支払の対象物が材料である場合には、その材料の名称等が用いられる。
日付入力領域531は、仕入先に対して支払が行われた日付を入力する領域である。
【0043】
経費科目入力領域532は、経費の科目を入力する領域である。経費科目入力領域532では、予め用意されている複数の科目の中から任意の科目を選択することが可能である。
金額入力領域533は、経費の金額を入力する領域である。金額入力領域533には、例えば領収書に記載の税込金額が入力される。
【0044】
税区分選択領域534は、支払先の事業者の消費税に関する税区分を選択する領域である。税区分選択領域534では、予め用意された複数の税区分のうちのいずれか一つを選択することが可能である。予め用意されている複数の税区分には、例えば「課税仕入10%」や「非課税」」等がある。
【0045】
税額表示領域535は、経費の金額に含まれる消費税額を入力する領域である。申請者は、例えば表示領域52に表示される領収書に記載の消費税額をそのまま税額表示領域535に入力する。このとき、申請者は、仕入先が適格請求書発行事業者であるか否かを考慮する必要はなく、領収書に記載の税込金額に対応する消費税額を税額表示領域535に入力すればよい。例えば
図7に示されるように領収書に記載の税込金額が「110,000円」である場合、申請者は、その額の10/110に相当する「10,000円」を税額表示領域535に入力すればよい。なお、
図7に記載の領収書には、110,000円としか記載されていないが、他の領収書には、内訳として消費税額が記載されている場合もある。
【0046】
登録番号入力領域536は、仕入先の適格請求書発行事業者の登録番号を入力する領域である。なお、登録番号入力領域536には、
図7に示されるように登録番号の先頭の「T」を除いた残りの番号を入力可能であってもよいし、「T」を含む登録番号の全てを入力可能であってもよい。また、領収書がアップロードされた際に、領収書から税込み金額、税額、登録番号などをOCRによって自動的に読み取って、読み取った値を入力領域53に反映してもよい。
図7は、支払先が適格請求書発行事業者でない場合を例示しているため、登録番号入力領域536が空欄になっている。支払先が適格請求書発行事業者である場合には、その登録番号が申請者により登録番号入力領域536に入力される。
【0047】
メモ領域537は、今回の経費に関する任意の情報を記入することができる領域である。
申請者は、添付ボタン51を操作して領収書等の画像データを添付するとともに、入力領域53の各項目を入力した後、申請ボタン54を操作することで経費を申請することができる。このようにして経費の申請が行われると、承認者は、端末装置20bを操作することで経費の申請内容の確認及び承認を行うことができる。表示制御部333は、経費の申請内容を確認することが可能な画面として、
図8に示されるような確認画面60を端末装置20bに表示する。
図8に示されるように、確認画面60には、基本情報表示領域61と、仕訳情報表示領域62と、申請情報表示領域63とが設けられている。
【0048】
基本情報表示領域61には、申請された経費等の基本的な情報が表示される。基本情報表示領域61には、例えば申請番号、作成日時、タイトル、申請者、申請種別、申請ステータス、申請日時、承認日時、及び明細合計金額等の項目が設けられている。承認日時の項目は、承認者による承認が未だ行われていない場合、
図8に示されるように空欄になっている。明細合計金額の項目には、申請された経費に含まれる明細の数、各明細の税込金額の合計額、並びにその合計金額に含まれる消費税額等が表示される。なお、この項目に表示される消費税額は、申請者が申請画面50で入力した消費税額である。
【0049】
仕訳情報表示領域62には、申請された経費の仕訳上の情報が表示される。仕訳情報表示領域62に表示される情報には、仕訳部332が仕訳処理を行うことにより生成される情報が含まれている。仕訳情報表示領域62には、借方情報表示領域62aと、貸方情報表示領域62bとが設けられている。
【0050】
借方情報表示領域62aには、申請された経費の借方に関する情報、具体的には借方勘定科目、借方補助科目、借方部門、借方税区分、借方インボイス区分、借方税込金額、及び借方消費税額が表示される。
借方税込金額の項目621には、申請された経費に含まれる単数又は複数の明細の合計金額の税込金額が表示される。
【0051】
借方インボイス区分の項目620には、取引判定部331により判定された支払先のインボイス区分が表示される。例えば支払の取引が適格請求書発行事業者との取引でないと取引判定部331により判定されている場合であって、且つその取引日が経過措置の2023年10月から2026年9月までの期間に該当する場合、借方インボイス区分の項目620には、
図8に示されるように「非適格(80%控除)」という文字が表示される。この場合、税額の項目622には、仕訳部332により演算された第2消費税額Tc2が表示される。例えば、
図8に示されるように借方税込金額が「110,000円」である場合、仕入税額相当額が「10,000円」であるため、その額の80%に相当する額である「8,000円」が第2消費税額Tc2として仕訳部332により演算される。そのため、税額の項目622には「8,000円」が表示される。この税額の項目622に表示される金額は仮払消費税の額である。
【0052】
支払の取引が適格請求書発行事業者との取引でないと取引判定部331により判定されている場合であって、且つその取引日が経過措置の2026年10月から2029年9月までの期間に該当する場合、借方インボイス区分の項目620には「非適格(50%控除)」という文字が表示される。この場合、税額の項目622には、仕訳部332により演算された第2消費税額Tc2が表示される。例えば、
図8に示されるように借方税込金額が「110,000円」である場合、仕入税額相当額が「10,000円」となるため、その額の50%に相当する額である「5,000円」が第2消費税額Tc2として仕訳部332により演算される。そのため、税額の項目622には「5,000円」が表示される。
【0053】
支払の取引が適格請求書発行事業者との取引でないと取引判定部331により判定されている場合であって、且つその取引日が2029年10月以降である場合、借方インボイス区分の項目620には「非適格」という文字が表示される。この場合、税額の項目622には「0円」が表示される。
【0054】
支払の取引が適格請求書発行事業者との取引であると取引判定部331により判定されている場合、借方インボイス区分の項目620には「適格」という文字が表示される。この場合、税額の項目622には、仕訳部332により設定された第1消費税額Tc1が表示される。例えば、
図8に示されるように借方税込金額が「110,000円」である場合、申請者により「10,000円」が消費税額として申請されるため、その額が第1消費税額Tc1として仕訳部332により設定される。そのため、税額の項目622には「10,000円」が表示される。
【0055】
貸方情報表示領域62bには、申請された経費の貸方に関する情報、具体的には貸方勘定科目、貸方保持科目、貸方部門、貸方税区分、貸方インボイス区分、貸方税込金額、及び貸方消費税額が表示される。
申請情報表示領域63には、経費の申請時の情報等が表示される。なお、
図8の申請情報表示領域63には1件の明細のみが表示されているが、申請者により複数の明細がまとめて申請されている場合、申請情報表示領域63には複数の明細のそれぞれに関する情報が個別に表示される。申請情報表示領域63には、申請番号、明細番号、申請日付、申請ステータス、支払先・内容、支払金額、支払金額に含まれる消費税額、経費科目、税区分、インボイス区分、及びメモ等の項目が設けられている。インボイス区分の項目630には、取引判定部331により判定された支払先のインボイス区分が表示される。インボイス区分以外の項目には、申請画面50において申請者が入力した情報が表示される。例えば、税額の項目631には、第1消費税額Tc1、すなわち申請画面50において申請者が入力した消費税額が表示される。
【0056】
(情報処理システムの動作例)
次に、本実施形態の情報処理システム10の動作例について説明する。
図9に示されるように、本実施形態の情報処理システム10では、例えば表示制御部333が、
図8に示される確認画面60を表示する操作が端末装置20bにおいて行われたか否かを判断する(ステップS20)。表示制御部333は、確認画面60を表示する操作が行われていない場合には(ステップS20:NO)、
図9に示される処理を終了する。
【0057】
承認者が端末装置20bにおいて確認画面60を表示する操作を行ったとすると、表示制御部333はステップS20の処理において肯定的な判断を行う(ステップS20:YES)。このとき、表示制御部333は、取引判定部331により適格請求書発行事業者との取引であると判定された支払の確認画面60を表示するか否かを判断する(ステップS21)。そして、表示制御部333は、適格請求書発行事業者との取引であると判定された確認画面60を表示する場合には(ステップS21:YES)、申請情報表示領域63の税額の項目631に、申請時の消費税額である第1消費税額Tc1を表示する(ステップS22)。また、表示制御部333は、仕訳情報表示領域62の税額の項目622にも、申請時の消費税額である第1消費税額Tc1を表示する(ステップS23)。
【0058】
一方、表示制御部333は、適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払の確認画面60を表示する場合には(ステップS21:NO)、申請情報表示領域63の税額の項目631に、申請時の消費税額である第1消費税額Tc1を表示する(ステップS24)。また、表示制御部333は、仕訳情報表示領域62の税額の項目622に、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額Tc2を表示する(ステップS25)。
【0059】
(端末装置及びサーバ装置のハードウェア的な構成)
次に、
図10を参照して、端末装置20a,20b及びサーバ装置30をコンピュータ100により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。
【0060】
図10に示されるように、コンピュータ100は、例えばプロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、入力I/F部104、データI/F部105、通信I/F部106、及び表示装置107を備えている。
コンピュータ100は、例えば、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、メディアコンピュータプラットフォーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ等)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアント等)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットフォームであってもよい。
【0061】
プロセッサ101は、メモリ102に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ100における各種の処理を制御する制御部である。
メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ102は、プロセッサ101によって実行されるプログラムのコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0062】
記憶装置103は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置103は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
入力I/F部104は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部104は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部104は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介してコンピュータ100に接続されてもよい。
【0063】
データI/F部105は、コンピュータ100の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部105は、例えば各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等である。データI/F部105は、コンピュータ100の外部に設けられてもよい。データI/F部105がコンピュータ100の外部に設けられる場合、データI/F部105は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ100に接続される。
【0064】
通信I/F部106は、コンピュータ100の外部の装置と有線又は無線により、インターネット等のネットワークを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部106は、コンピュータ100の外部に設けられてもよい。通信I/F部106がコンピュータ100の外部に設けられる場合、通信I/F部106は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ100に接続される。
【0065】
表示装置107は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置107は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等である。表示装置107は、コンピュータ100の外部に設けられてもよい。表示装置107がコンピュータ100の外部に設けられる場合、表示装置107は、例えば、ディスプレイケーブル等を介してコンピュータ100に接続される。また、入力I/F部104としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置107は、入力I/F部104と一体化して構成されてもよい。
【0066】
(情報処理システムの作用及び効果)
以上説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、支払の確認画面60に、申請時の支払に関する情報が表示される申請情報表示領域63と、仕訳処理により作成される仕訳情報が表示される仕訳情報表示領域62とが表示される。適格請求書発行事業者との取引ではないと判定された支払の確認画面60を表示する場合には、申請情報表示領域63に、申請時の消費税額である第1消費税額Tc1が表示される一方、仕訳情報表示領域62に、支払の仕入税額相当額に経過措置を適用した消費税額である第2消費税額Tc2が表示される。第2消費税額Tc2は仮払消費税の額である。これにより、承認者は確認画面60において申請時の消費税額だけでなく仕訳上の仮払消費税の額を確認することができるため、仕訳処理が適切に行われているか否かを混乱することなく判断することができる。よって、仕訳上の仮払消費税の額を、より適切に確認することが可能となる。
【0067】
表示制御部333は、支払の申請を受け付けるための申請画面50を更に表示する。表示制御部333は、支払時の消費税額で申請が行われている場合には、申請画面50において、仕訳上の第2消費税額Tc2を表示することなく、申請時の消費税額である第1消費税額Tc1を表示する。
この構成によれば、申請画面50には申請時の消費税額がそのまま表示されるため、申請者が混乱し難くなる。すなわち、申請者が経過措置の制度を正確に把握していない場合に申請画面50に経過措置を適用した消費税額を表示すると、申請者が混乱してしまう恐れがあるが、本実施形態ではこれを防ぐために、申請画面50には申請者によって申請された消費税額がそのまま表示される。そして、確認画面60では、申請者によって申請された消費税額と、経過措置が適用された仕訳上適切な消費税額と、の両方を表示する。なお、経過措置制度を正確に把握した申請者が、経過措置を適用した消費税額を申請画面50に入力していた場合には、情報処理システム10はその申請を受け入れることも出来る。
【0068】
表示制御部333は、仕訳情報表示領域62の借方インボイス区分の項目620に、仕入税額相当額に適用された経過措置の割合、具体的には「80%」又は「50%」を表示する。
この構成によれば、仕入税額相当額に対して控除の対象となる額の割合を承認者が容易に確認することが可能であるため、利便性を向上させることができる。
【0069】
表示制御部333は、仕訳情報表示領域62の借方インボイス区分の項目620に、取引判定部331により判定された支払先のインボイス区分に関する情報を更に表示する。
この構成によれば、支払の取引が適格請求書発行事業者との取引であるか否かを承認者が容易に確認することが可能であるため、利便性を更に向上させることができる。
【0070】
表示制御部333は、
図8に示されるように、申請情報表示領域63と、仕訳情報表示領域62とを同一画面内に表示する。
この構成によれば、承認者が申請時の情報と仕訳上の情報とを容易に確認することが可能であるため、利便性を更に向上させることができる。
【0071】
(変形例)
次に、第1実施形態の情報処理システム10の変形例について説明する。
本変形例の情報処理システム10では、
図11に示されるように、確認画面60に編集ボタン64が更に設けられている。編集ボタン64は、仕訳情報表示領域62に表示されている各種情報を編集する際に操作するボタンである。承認者が編集ボタン64を操作した場合、表示制御部333は、例えば
図12に示されるような編集画面70を表示する。編集画面70には、借方情報表示領域71と、貸方情報表示領域72とが設けられている。借方情報表示領域71には、取引日、借方勘定科目、借方補助科目、借方部門、借方税込金額、及び登録番号等の項目が設けられている。貸方情報表示領域72には、貸方勘定科目、貸方補助科目、貸方部門、貸方税込金額等の項目が設けられている。各項目には、申請時の情報、又は仕訳処理後の情報が表示されている。例えば、登録番号の項目710には、申請画面50において申請者により入力された適格請求書発行事業者の登録番号が表示されている。
【0072】
申請者は、編集画面70において各項目をクリック操作することにより、各項目に入力されている情報を任意に編集することができる。例えば、申請者は、登録番号の項目710をクリック操作することにより、申請者が入力した登録番号を編集することができる。これにより、申請者が入力した登録番号が誤っているような場合には、支払先が適格請求書発行事業者の登録を受けている場合であっても、取引判定部331が、その支払先の取引に関するインボイスの区分を「非適格」であると判定する可能性がある。このような場合、承認者は、編集画面70において登録番号を適切な番号に修正することにより、支払先の取引に関するインボイスの区分を「適格」に修正することが可能である。
【0073】
このように、本実施形態の表示制御部333は、確認画面60において所定の操作、具体的には編集ボタン64に対する操作が行われることに基づいて、支払の取引に関するインボイスの区分を編集することが可能な編集画面70を更に表示する。この構成によれば、仮に申請時の支払のインボイスの区分が誤っていた場合であっても、その区分を適切な区分に修正することが可能となる。
【0074】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
上記実施形態では、経費の支払に関する申請が行われた場合を例に挙げて説明したが、経費に限らず、例えば債務の支払いに関する申請が行われる場合に関しても、上記実施形態と同一又は類似の構成を採用することが可能である。
【0075】
上記実施形態では、申請情報表示領域63及び仕訳情報表示領域62を同一画面内に表示する場合を例示したが、申請情報表示領域63及び仕訳情報表示領域62を別々の画面に表示してもよい。
端末装置20a,20b及びサーバ装置30がそれぞれ有する機能的な構成は、端末装置20aのみ、端末装置20bのみ、サーバ装置30のみ、あるいは端末装置20a,20b及びサーバ装置30のそれぞれに設けられていてもよい。例えばサーバ装置30の表示制御部333は端末装置20a,20bに設けられていてもよい。また、上記実施形態の情報処理システム10は、外部サーバ装置40を含む構成に限らず、端末装置20a,20b及びサーバ装置30により構成されていてもよい。例えば、サーバ装置30が、インボイスDB41に保有されている登録情報を外部サーバ装置40からダウンロードして記憶部32に記憶させれば、上記実施形態の情報処理システム10は端末装置20a,20b及びサーバ装置30により実現可能である。
【0076】
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0077】
10:情報処理システム、20a,20b:端末装置(情報処理装置)、30:サーバ装置(情報処理装置)、100:コンピュータ、330:受付部、331:取引判定部、332:仕訳部、333:表示制御部。