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特開2024-165674位置情報処理装置およびサービス提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165674
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】位置情報処理装置およびサービス提供システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/069 20210101AFI20241121BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20241121BHJP
   H04W 12/08 20210101ALI20241121BHJP
   H04W 12/63 20210101ALI20241121BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H04W12/069
H04W4/029
H04W12/08
H04W12/63
H04L9/32 200B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082058
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】加嶋 啓章
(72)【発明者】
【氏名】野田 敏達
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】端末の位置情報の不正な利用を防止または抑制する。
【解決手段】位置情報処理装置は、IPアドレス取得部、位置情報取得部、証明書発行部、および通信部を備える。IPアドレス取得部は、端末の位置を表す位置情報を要求する位置情報リクエストを受信したときに、位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得する。位置情報取得部は、位置情報リクエストに応じて端末を収容する基地局から端末の位置を表す位置情報を取得する。証明書発行部は、IPアドレス取得部が取得したIPアドレスおよび位置情報取得部が取得した位置情報を含む証明書を発行する。通信部は、IPアドレス取得部が取得したIPアドレスに証明書を送信する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の位置を表す位置情報を要求する位置情報リクエストを受信したときに、前記位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部と、
前記位置情報リクエストに応じて前記端末を収容する基地局から前記端末の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスおよび前記位置情報取得部が取得した位置情報を含む証明書を発行する証明書発行部と、
前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスに前記証明書を送信する通信部と、
を備える位置情報処理装置。
【請求項2】
前記位置情報は、前記端末を収容するRU(Radio Unit)の位置を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項3】
前記証明書は、前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレス、前記位置情報取得部が取得した位置情報、および当該位置情報処理装置を表す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項4】
前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスに確認メッセージを送信し、前記確認メッセージに対応する応答メッセージを受信し、前記位置情報リクエストの通信経路を表すリクエスト経路と前記応答メッセージの通信経路を表す応答経路とを比較する通信経路確認部をさらに備え、
前記リクエスト経路および前記応答経路が一致するときに、前記証明書発行部は前記証明書を発行する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置情報処理装置。
【請求項5】
端末の位置を表す位置情報を要求する位置情報リクエストを受信したときに、前記位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得し、
前記位置情報リクエストに応じて前記端末を収容する基地局から前記端末の位置を表す位置情報を取得し、
取得した前記IPアドレスおよび取得した前記位置情報を含む証明書を発行し、
取得した前記IPアドレスに前記証明書を送信する
処理をコンピュータに実行させる位置情報処理プログラム。
【請求項6】
サービス提供装置および位置情報処理装置を備えるサービス提供システムであって、
前記位置情報処理装置は、
端末の位置を表す位置情報を要求する位置情報リクエストを受信したときに、前記位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部と、
前記位置情報リクエストに応じて前記端末を収容する基地局から前記端末の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスおよび前記位置情報取得部が取得した位置情報を含む証明書を発行する証明書発行部と、
前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスに前記証明書を送信する通信部と、を備え、
前記サービス提供装置は、
前記証明書が添付されたサービスリクエストを受信したときに、前記サービスリクエストの送信元のIPアドレスと前記証明書に含まれるIPアドレスとを比較する証明書検証部と、
前記サービスリクエストの送信元のIPアドレスと前記証明書に含まれるIPアドレスとが一致するときに、前記証明書に含まれる位置情報が所定の地域内の位置を表しているかを判定するエリア判定部と、
前記証明書に含まれる位置情報が前記所定の地域内の位置を表しているときに、前記サービスリクエストの送信元に対してサービスを提供するサービス提供部と、を備える
ことを特徴とするサービス提供システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を処理する装置および位置情報に基づいてサービスを提供するシステムに係わる。
【背景技術】
【0002】
端末の位置を表す位置情報に基づいてその端末にサービスを提供する事業形態が普及してきている。例えば、特定の国または地域内に位置するユーザに対して情報を提供するサービスが知られている。また、データローカライゼーションの対象となっているデータにアクセスする際には、越境アクセスでないことを確認する処理が要求される。なお、移動通信ネットワークの負荷を増大させることなく、正当な位置情報を提供できる位置情報提供装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-166257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、位置情報を利用するサービスが普及してきている。ところが、従来の技術においては、位置情報を保証または証明する機能が十分ではないので、不正なアクセスが発生し得る。例えば、第1の端末が自分の位置情報を位置情報サーバから取得し、その位置情報を第2の端末に転送する。この場合、第2の端末は、第1の端末の位置に対応するサービスを受けることができる。
【0005】
本発明の1つの側面に係わる目的は、端末の位置情報の不正な利用を防止または抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様に係わる位置情報処理装置は、端末の位置を表す位置情報を要求する位置情報リクエストを受信したときに、前記位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得するIPアドレス取得部と、前記位置情報リクエストに応じて前記端末を収容する基地局から前記端末の位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスおよび前記位置情報取得部が取得した位置情報を含む証明書を発行する証明書発行部と、前記IPアドレス取得部が取得したIPアドレスに前記証明書を送信する通信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様によれば、端末の位置情報の不正な利用を防止または抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】端末の位置情報に基づいてサービスを提供する手順の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係わるサービス提供システムの一例を示す図である。
図3】位置情報の不正使用が検知されるケースの一例を示す図である。
図4】位置情報証明書を利用してサービスを提供する手順の一例を示すシーケンス図である。
図5】位置情報サーバの機能構成の一例を示す図である。
図6】サービス提供装置の機能構成の一例を示す図である。
図7】サービス提供装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】位置情報サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図9】IPアドレスの詐称に基づく不正アクセスの一例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係わるサービス提供システムの一例を示す図である。
図11】第2の実施形態において不正が検知されるケースの一例を示す図である。
図12】第2の実施形態においてサービスを提供する手順の一例を示すシーケンス図である。
図13】第2の実施形態に係わる位置情報サーバの機能構成の一例を示す図である。
図14】第2の実施形態に係わる位置情報サーバの処理の一例を示すフローチャートである。
図15】位置情報サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、端末の位置情報に基づいてサービスを提供する手順の一例を示す。この実施例では、サービス提供装置1は、地域X内に位置する端末からのアクセスに対してサービスを提供する。よって、端末301は、サービス提供装置1が提供するサービスを受けるときには、位置情報サーバ2にアクセスする。すなわち、端末301は、位置情報サーバ2に位置情報リクエストを送信する。なお、端末301は、地域X内に位置しているものとする。
【0010】
位置情報サーバ2は、位置情報リクエストの送信元(ここでは、端末301)の位置を検出する。すなわち、端末301の位置が検出される。そして、位置情報サーバ2は、端末301の位置を表す位置情報を端末301に送信する。
【0011】
端末301は、サービスリクエストおよび位置情報サーバ2から取得した位置情報をサービス提供装置1に送信する。そうすると、サービス提供装置1は、その位置情報が地域X内の位置を表しているか否かを判定する。そして、位置情報が地域X内の位置を表していれば、サービス提供装置1は、要求されたサービスを端末301に提供する。例えば、サービス提供装置1は、要求された動画像データを端末301に送信する。このように、サービス提供装置1は、位置情報を参照することにより、地域X内に位置する端末にサービスを提供することができる。
【0012】
ただし、位置情報が他の端末に転送されると、サービス提供装置1は、地域Xの外に位置する端末にサービスを提供してしまうことがある。例えば、端末301は、位置情報サーバ2から取得した位置情報を端末302に転送する。ここで、端末302は、地域Xとは異なる地域Y内に位置している。そして、端末302がサービスリクエストおよび端末301から得した位置情報をサービス提供装置1に送信する。この場合、サービス提供装置1は、地域Xの外に位置する端末302に対してサービスを提供してしまう。
【0013】
<実施形態>
図2は、本発明の実施形態に係わるサービス提供システムの一例を示す。ここで、サービス提供システムは、サービス提供装置10および位置情報サーバ(位置情報処理装置)20を備える。サービス提供装置10は、地域X内に位置する端末からのアクセスに対してサービスを提供する。したがって、端末301は、サービス提供装置10が提供するサービスを受けるときには、図1に示すケースと同様に、位置情報サーバ20にアクセスする。すなわち、端末301は、位置情報サーバ20に位置情報リクエストを送信する。なお、端末301は、地域X内に位置しているものとする。
【0014】
サービス提供装置10および位置情報サーバ20は、それぞれIP網(或いは、インターネット)に接続されている。すなわち、サービス提供装置10および位置情報サーバ20は、それぞれ、IPパケットを受信し、また、IPパケットを送信する。よって、位置情報リクエストは、IPパケットに格納されて端末301から位置情報サーバ20に転送される。このとき、このIPパケットの宛先IPアドレスおよび送信元IPアドレスは、それぞれ、位置情報サーバ20および端末301を表す。なお、端末301のIPアドレスは「aaaa」である。
【0015】
位置情報サーバ20は、位置情報リクエストの送信元(ここでは、端末301)の位置を検出する。この実施例では、端末301は、スマートフォン等の無線機器である。そして、端末301は、端末301が在圏するセルを提供する基地局に接続する。基地局は、この実施例では、1または複数のRU(Radio Unit)を備える。RUは、基地局を構成する機器の1つであり、無線回路およびアンテナを備える。この場合、端末301は、いずれか1つのRUを介して基地局に接続する。
【0016】
位置情報サーバ20は、基地局に対して、端末301を収容しているRUを問い合わせる。これに対して、基地局は、端末301を収容しているRUが設置されている位置を表す位置情報を位置情報サーバ20に通知する。この位置情報は、例えば、RUが設置されている位置の緯度および経度を表す情報を含む。或いは、位置情報サーバ20にとって各RUの位置が既知であるケースでは、基地局は、端末301を収容しているRUを識別する情報を位置情報サーバ20に通知する。これにより、位置情報サーバ20は、端末301の位置を検出できる。なお、この実施例では、端末301の位置は「経度:xxx1、緯度:xxx2」で表される。また、位置情報サーバ20が通信キャリアにより運用される場合には、位置情報サーバ20は、基地局システムの一部として実現される。
【0017】
続いて、位置情報サーバ20は、位置情報証明書を発行する。位置情報証明書は、位置情報リクエストの送信元(すなわち、端末301)を識別する識別情報およびその送信元の位置を表す位置情報を含む。識別情報は、この実施例では、IPアドレスである。したがって、位置情報証明書は、端末301のIPアドレスと端末301の位置情報とを紐づけている。具体的には、位置情報証明書は「IPアドレス:aaaa、緯度:xxx1、経度:xxx2」を表す。また、位置情報証明書は、その位置情報証明書の発行者を表す情報を含む。この実施例では、位置情報証明書の発行者は、位置情報サーバ20である。そして、位置情報サーバ20は、この位置情報証明書を端末301に送信する。
【0018】
端末301は、サービスリクエストおよび位置情報証明書をサービス提供装置10に送信する。サービスリクエストは、端末301のユーザが指定するサービスを表す。位置情報証明書は、端末301のIPアドレスおよび位置情報を含み、この実施例では「IPアドレス:aaaa、緯度:xxx1、経度:xxx2」を表す。そして、サービスリクエストおよび位置情報証明書は、IPパケットに格納されて端末301からサービス提供装置10に転送される。よって、このIPパケットのヘッダには、送信元アドレスとして、端末301のIPアドレス「aaaa」が設定されている。
【0019】
サービス提供装置10は、位置情報証明書の信頼性を確認する。即ち、サービス提供装置10は、位置情報証明書の発行者を確認する。ここで、位置情報証明書の発行者は、位置情報証明書の中に記載されている。この実施例では、位置情報証明書の発行者は、位置情報サーバ20である。よって、サービス提供装置10は、位置情報サーバ20を信頼できるか否かを判定する。例えば、サービス提供装置10は、信頼できる位置情報サーバが登録されたテーブルを保持しているものとする。この場合、サービス提供装置10は、位置情報サーバ20がそのテーブルに登録されているか否かを確認する。
【0020】
位置情報証明書の発行者を信頼できるときには、サービス提供装置10は、位置情報証明書の内容を確認する。具体的には、サービス提供装置10は、サービスリクエストの送信元のIPアドレスと位置情報証明書に記載されているIPアドレスとを比較する。そして、これらのIPアドレスが互いに一致するときは、サービス提供装置10は、位置情報証明書に記載された位置情報が、サービスリクエストの送信元の位置を表していると判定する。図2に示す例では、サービスリクエストは端末301から送信されているので、サービスリクエストの送信元のIPアドレスは「aaaa」である。また、位置情報証明書の記載されたIPアドレスも「aaaa」である。よって、サービス提供装置10は、位置情報証明書に記載された位置情報が、端末301の位置を表していると判定する。
【0021】
続いて、サービス提供装置10は、位置情報証明書に記載された位置情報が地域X内の位置を表しているか否かを判定する。この実施例では、位置情報「緯度:xxx1、経度:xxx2」が地域X内の位置を表しているか否かが判定される。そして、位置情報が地域X内の位置を表していれば、サービス提供装置10は、要求されたサービスを端末301に提供する。例えば、サービス提供装置10は、要求された動画像データを端末301に送信する。このように、サービス提供装置10は、位置情報証明書の検証に成功し、且つ、サービスリクエストの送信元が地域X内に位置しているときに、端末にサービスを提供する。
【0022】
図3は、位置情報の不正使用が検知されるケースの一例を示す。この実施例でも、サービス提供装置10は、地域X内に位置する端末からのアクセスに対してサービスを提供する。ここで、端末301は地域X内に位置しているが、端末302は、地域Xとは異なる地域Y内に位置している。そして、端末302は、端末301の位置情報を使用して、サービス提供装置10にアクセスするものとする。なお、端末302のIPアドレスは「bbbb」である。
【0023】
端末301が位置情報サーバ20から位置情報証明書を取得する手順は、図2および図3において実質的に同じである。すなわち、端末301は、位置情報サーバ20に位置情報リクエストを送信する。位置情報サーバ20は、位置情報リクエストに応じて位置情報証明書を発行する。このとき、位置情報リクエストの送信元は端末301なので、位置情報証明書には端末301のIPアドレスおよび位置情報が記載される。そして、位置情報サーバ20は、この位置情報証明書を端末301に送信する。したがって、端末301が取得する位置情報証明書は、図2および図3において実質的に同じである。すなわち、端末301は、位置情報証明書「IPアドレス:aaaa、緯度:xxx1、経度:xxx2」を取得する。
【0024】
この後、端末301は、端末301の位置情報証明書を端末302に送信する。あるいは、端末302は、端末301の位置情報証明書を端末301から搾取する。いずれにしても、端末302は、端末301の位置情報証明書を取得するものとする。そして、端末302は、端末301の位置情報証明書を使用してサービス提供装置10にアクセスする。すなわち、端末302は、サービスリクエストおよび位置情報証明書をサービス提供装置10に送信する。
【0025】
サービス提供装置10は、端末302からサービスリクエストを受信すると、そのサービスリクエストに添付されている位置情報証明書を検証する。ところが、図3に示すケースでは、サービスリクエストは端末302から送信されているので、サービスリクエストの送信元のIPアドレスは「bbbb」である。他方、位置情報証明書に記載されているIPアドレスは「aaaa」である。すなわち、サービスリクエストの送信元のIPアドレスは、位置情報証明書に記載されているIPアドレスとは異なる。したがって、サービス提供装置10は、受信した位置情報が、サービスリクエストの送信元の位置を表していないと判定する。この場合、サービス提供装置10は、端末302に対してサービスを提供しない。
【0026】
このように、本発明の実施形態においては、位置情報サーバ20により位置情報証明書が発行される。位置情報証明書には、位置が検出された端末のIPアドレスが記載されている。したがって、位置が検出された端末(すなわち、正規の端末)とは異なる他の端末(すなわち、不正端末)からサービスリクエストを受信したときに、サービス提供装置10は、そのような不正アクセスを検知できる。
【0027】
なお、位置情報証明書には、位置が検出された端末のIPアドレスが記載されるが、本発明の実施形態はこの方法に限定されるものではない。すなわち、位置情報証明書には、IPアドレス以外の識別情報(例えば、MACアドレス)が記載されてもよい。ただし、多くのケースにおいて、インターネットに接続されるサービス提供装置は、IPアドレスに基づいてサービスを提供するように構成されている。また、他の識別情報と比較して、IPアドレスは、詐称されにくいと考えられる。したがって、この実施例では、位置情報証明書には、位置が検出された端末の識別情報として、その端末のIPアドレスが記載されることが好ましい。
【0028】
サービス提供装置10は、位置情報証明書の信頼性を確認する際に、既存の技術を利用することができる。例えば、PKI(Public-Key Infrastructure)/X.509を利用して位置情報証明書の信頼性を確認してもよい。この場合、サービス提供装置10は、PKIのルート認証局の自己署名証明書を有していることが好ましい。また、位置情報サーバ20は、自分の秘密鍵を用いて、位置情報証明書に署名する。そして、サービス提供装置10は、位置情報サーバ20の公開鍵を用いて署名を検証することで、位置情報証明書が位置情報サーバ20により発行されたか否かを確認できる。また、位置情報証明書の内容が改ざんされてないことを確認できる。加えて、サービス提供装置10は、必要に応じて、ルート認証局の自己署名証明書を参照する。すなわち、サービス提供装置10は、位置情報証明書が信頼できる認証局により認証されていることを確認してもよい。なお、サービス提供装置10は、JWT(JSON Web Token)認証などの他の認証方法を利用して、位置情報証明書の信頼性を確認してもよい。
【0029】
図4は、位置情報証明書を利用してサービスを提供する手順の一例を示すシーケンス図である。このシーケンス図は、図2図3に示す構成を前提とする。すなわち、サービス提供装置10は、地域X内の端末からのアクセスに対してサービスを提供する。また、位置情報サーバ20は、位置情報リクエストに応じて位置情報証明書を発行する。
【0030】
端末301は、サービス提供装置10にサービスリクエストを送信する。ここで、このサービスリクエストには位置情報が添付されてないものとする。この場合、サービス提供装置10は、端末301に位置情報を要求する。具体的には、サービス提供装置10は、端末301が位置情報サーバ20にアクセスするように、端末301にリダイレクト指示を与える。
【0031】
端末301は、サービス提供装置10からのリダイレクト指示に応じて、位置情報サーバ20に位置情報リクエストを送信する。位置情報リクエストは、端末301を識別する情報を含む。端末301を識別する情報は、特に限定されるものではないが、例えば、IICID(Integrated Circuit Card ID)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、またはIMEI(International Mobile Equipment Identity)であってもよい。そして、この位置情報リクエストは、IPパケットに格納されて端末301から位置情報サーバ20に転送される。
【0032】
位置情報サーバ20は、位置情報リクエストを受信すると、その位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得する。すなわち、位置情報サーバ20は、端末301のIPアドレスを取得する。そして、位置情報サーバ20は、端末301の位置を基地局に問い合わせる。そうすると、基地局は、端末301の位置を表す情報を位置情報サーバ20に提供する。
【0033】
位置情報サーバ20は、位置情報証明書を作成する。位置情報証明書は、位置情報リクエストの送信元のIPアドレス(即ち、端末301のIPアドレス)、端末301の位置情報、および位置情報証明書の発行者を表す情報(即ち、位置情報サーバ20)を含む。そして、位置情報サーバ20は、位置情報証明書を端末301に送信する。このとき、位置情報サーバ20は、端末301がサービス提供装置10にアクセスするように、端末301にリダイレクト指示を与える。
【0034】
端末301は、位置情報サーバ20からのリダイレクト指示に応じて、サービスリクエストおよび位置情報証明書をサービス提供装置10に送信する。そうすると、サービス提供装置10は、位置情報証明書を検証する。具体的には、位置情報証明書の発行者を信頼できるか否かを確認する。或いは、位置情報証明書が信頼できる認証局により認証されているか否かを確認する。加えて、サービス提供装置10は、サービスリクエストの送信元のIPアドレスと位置情報証明書に記載されているIPアドレスとが一致するかを判定する。そして、上述の検証が成功したときに、サービス提供装置10は、端末301にサービスを提供する。
【0035】
図5は、位置情報サーバ20の機能構成の一例を示す。この実施例では、位置情報サーバ20は、基地局システム100内に実装されている。ただし、位置情報サーバ20は、基地局システム100から独立して構成されてもよい。
【0036】
位置情報サーバ20は、IPアドレス取得部21、位置情報取得部22、証明書発行部23、およびリダイレクト制御部24を備える。なお、位置情報サーバ20は、図5に示していない他の機能、回路、および/またはデバイスを備えてもよい。例えば、位置情報サーバ20は、送信回路および受信回路を含む通信部を備える。通信部は、端末から位置情報リクエストを受信する。また、通信部は、位置情報証明書を端末に送信する。
【0037】
IPアドレス取得部21は、位置情報サーバ20が位置情報リクエストを含むIPパケットを受信したときに、そのIPパケットの送信元IPアドレスを取得する。すなわち、IPアドレス取得部21は、位置情報リクエストの送信元のIPアドレスを取得する。
【0038】
位置情報取得部22は、位置情報リクエストを送信した端末の位置を基地局30に問い合わせる。位置情報リクエストは、位置情報リクエストを送信した端末(この例では、端末301)を識別する識別情報を含む。端末の識別情報は、例えば、端末301のIICID、IMSI、またはIMEIである。そして、位置情報取得部22は、端末の位置を基地局30に問い合わせる際に、その端末の識別情報を基地局30に通知する。なお、以下の記載では、位置情報リクエストを送信した端末を「対象端末」と呼ぶことがある。
【0039】
基地局30は、図5に示すように、位置情報処理部31および1以上のRU32を備える。位置情報処理部31は、位置情報リクエストに含まれる識別情報に基づいて、対象端末を収容するRU32を特定する。そして、位置情報処理部31は、対象端末の位置情報として、特定したRU32の位置を表す情報を位置情報取得部22に通知する。この手順により、位置情報取得部22は、対象端末の位置情報を取得する。
【0040】
証明書発行部23は、位置情報リクエストに対応する位置情報証明書を発行する。この位置情報証明書は、対象端末のIPアドレス、対象端末の位置情報、および位置情報証明書の発行者を表す情報を含む。対象端末のIPアドレスは、IPアドレス取得部21により取得される。対象端末の位置情報は、位置情報取得部22により取得される。位置情報証明書の発行者は、位置情報サーバ20を表す。
【0041】
リダイレクト制御部24は、位置情報サーバ20が位置情報証明書を対象端末に送信するときに、対象端末がサービス提供装置10にアクセスするように、対象端末にリダイレクト指示を与える。
【0042】
図6は、サービス提供装置10の機能構成の一例を示す。サービス提供装置10は、リダイレクト制御部11、証明書検証部12、エリア判定部13、およびサービス提供部14を備える。なお、サービス提供装置10は、図6に示していない他の機能、回路、および/またはデバイスを備えてもよい。
【0043】
リダイレクト制御部11は、端末から受信するサービスリクエストに位置情報が添付されてないときに、その端末に対して位置情報を要求する。このとき、リダイレクト制御部11は、位置情報サーバ20へのアクセスを指示するリダイレクト指示をその端末に与える。
【0044】
証明書検証部12は、端末から受信する位置情報証明書を検証する。このとき、位置情報証明書の信頼性および内容が検証される。すなわち、証明書検証部12は、位置情報証明書が予め決められた証明書発行者により発行されたか否かを確認する。位置情報証明書の発行者は、位置情報証明書中に記載されている。或いは、証明書検証部12は、位置情報証明書が予め決められた認証局またはルート認証局により認証されているか否かを確認する。また、証明書検証部12は、位置情報証明書の送信元のIPアドレスと位置情報証明書に記載されているIPアドレスとが一致するか否かを確認する。
【0045】
エリア判定部13は、証明書検証部12による検証が成功したときに、位置情報証明書に記載されている位置情報に基づいて、端末が所定の地域内に位置しているか否かを判定する。サービス提供部14は、端末が所定の地域内に位置しているときに、その端末にサービスを提供する。
【0046】
図7は、サービス提供装置10の処理の一例を示すフローチャートである。なお、サービス提供装置10は、S1において、端末から送信されるサービスリクエストを待ち受けるものとする。そして、サービスリクエストを受信すると、サービス提供装置10の処理はS2に移行する。
【0047】
S2において、サービス提供装置10は、受信したサービスリクエストに位置情報証明書が添付されているか否かを判定する。そして、サービスリクエストに位置情報証明書が添付されていないときは、サービス提供装置10は、S3において、端末の位置を基地局に問い合わせる。ここで、基地局は、この問合せに応じて、端末の位置を表す位置情報をサービス提供装置10に通知するものとする。よって、サービス提供装置10は、S4において、端末の位置情報を取得する。なお、サービスリクエストに位置情報証明書が添付されているときは、S3~S4はスキップされる。
【0048】
S5において、サービス提供装置10は、位置情報証明書を検証する。具体的には、位置情報証明書の信頼性および内容の検証が行われる。この実施例では下記の要件(1)または(2)が満たされるときに、位置情報証明書の信頼性が高いと判定される。
(1)予め指定されている発行者により位置情報証明書が発行されている。
(2)予め指定されている認証局またはルート認証局により位置情報証明書が認証されている。
また、位置情報証明書の送信元のIPアドレスと位置情報証明書に記載されているIPアドレスとが一致するときは、位置情報証明書の内容が正しいと判定される。そして、位置情報証明書の信頼性が高く、かつ、位置情報証明書の内容が正しいときに、認証が成功したと判定される。
【0049】
位置情報証明書の検証が成功すると、サービス提供装置10は、S6において、端末が所定のエリア内に位置しているか否かを判定する。端末の位置は、位置情報証明書に記載されている。そして、端末が所定のエリア内に位置しているときは、サービス提供装置10は、S7において、その端末にサービスを提供する。他方、位置情報証明書の検証が失敗したとき、または、端末が所定のエリア内に位置していないときは、サービス提供装置10は、その端末にサービスを提供しない。
【0050】
図8は、位置情報サーバ20の処理の一例を示すフローチャートである。なお、位置情報サーバ20は、S11において、端末から送信される位置情報リクエストを待ち受けるものとする。そして、位置情報リクエストを受信すると、位置情報サーバ20の処理はS12に移行する。
【0051】
S12において、位置情報サーバ20は、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元IPアドレスを取得する。これにより、位置情報リクエストの送信元(即ち、対象端末)のIPアドレスが得られる。S13において、位置情報サーバ20は、対象端末の位置を基地局に問い合わせる。そして、S14において、位置情報サーバ20は、対象端末の位置を表す位置情報を取得する。
【0052】
S15において、位置情報サーバ20は、対象端末の位置情報証明書を発行する。位置情報証明書は、上述したように、対象端末のIPアドレス、対象端末の位置情報、および位置情報証明書の発行者を表す情報を含む。すなわち、位置情報証明書は、対象端末のIPアドレスと位置情報とを紐づけている。そして、S16において、位置情報サーバ20は、位置情報証明書を対象端末に送信する。このとき、位置情報サーバ20は、対象端末がサービス提供装置10にアクセスするように、対象端末にリダイレクト指示を与える。
【0053】
<第2の実施形態>
図2図8を参照して説明した実施形態においては、不正な端末が正規の端末の位置情報を使用してサービス提供装置にアクセスしたときに、サービス提供装置は、その不正なアクセスを検知できる。ただし、位置情報リクエストを送信する際に対象端末の識別情報が詐称されると、サービス提供装置は、不正なアクセスを検知できないことがある。
【0054】
例えば、図2図3に示す手順において、位置情報リクエストが格納されたIPパケットが端末301から位置情報サーバ20に転送されるときに、不正な方法により、そのIPパケットの送信元IPアドレスが「aaaa」から「bbbb」に書き換えられるものとする。ここで、「bbbb」は、図3に示す不正な端末302のIPアドレスを表す。この場合、位置情報サーバ20は、図9に示すように、端末301の位置情報および端末302のIPアドレスを含む位置情報証明書を発行し、端末302に送信してしまう。そして、端末302がこの位置情報証明書を利用してサービス提供装置10にアクセスすると、サービス提供装置10は、不正なアクセスを検知できず、端末302に対してサービスを提供してしまう。すなわち、サービス提供装置10は、地域Xの外に位置する端末302にサービスを提供してしまう。そこで、第2の実施形態に係わるサービス提供システムは、このような不正アクセスを検知するための機能を備える。
【0055】
図10は、第2の実施形態に係わるサービス提供システムの一例を示す。第2の実施形態に係わるサービス提供システムは、サービス提供装置10および位置情報サーバ20Bを備える。サービス提供装置10は、図2および図10において実質的に同じである。
【0056】
サービス提供装置10は、この実施例においても、地域X内に位置する端末からのアクセスに対してサービスを提供する。よって、端末301は、図2図3に示すケースと同様に、位置情報サーバ20Bにアクセスする。すなわち、端末301は、位置情報サーバ20Bに位置情報リクエストを送信する。なお、端末301は、地域Xにおいて、RU32aに収容されているものとする。RU32aは、基地局30が備える1または複数のRUのうちの1つである。
【0057】
位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストを受信すると、その位置情報リクエストの送信元と位置情報サーバ20Bとの間の通信経路を検出する。この実施例では、端末301がRU32aに収容されているので、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストがRU32aを通過したことを検出する。続いて、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行する前に、位置情報リクエストの送信元に確認メッセージを送信する。このとき、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元アドレスを取得し、そのIPアドレスに確認メッセージを送信する。よって、位置情報サーバ20Bは、端末301に対して確認メッセージを送信する。そして、位置情報サーバ20Bは、確認メッセージに対応する応答メッセージを受信すると、その応答メッセージの送信元と位置情報サーバ20Bとの間の通信経路を検出する。この実施例では、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージがRU32aを通過したことが検出する。そして、位置情報リクエストが通過する通信経路と、応答メッセージが通過する通信経路が互いに一致するときは、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行して端末301に送信する。以降の手順は、図2および図10において実質的に同じである。
【0058】
図11は、第2の実施形態において不正が検知されるケースの一例を示す。この実施例では、図9に示すケースと同様に、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元アドレスが、不正な処理により「aaaa」から「bbbb」に書き換えられている。
【0059】
位置情報サーバ20Bは、図10に示すケースと同様に、位置情報リクエストの送信元に確認メッセージを送信する。ただし、図11に示すケースでは、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元アドレスは「bbbb」である。よって、確認メッセージは、端末301ではなく、端末302に送信される。そして、位置情報サーバ20Bは、端末302から応答メッセージを受信する。
【0060】
ところが、端末302は、地域Xの外に位置している。すなわち、端末302は、RU32aに接続していない。したがって、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージがRU32aを通過していないことを検出する。この場合、位置情報リクエストが通過する通信経路と、応答メッセージが通過する通信経路が互いに一致しないので、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストの送信において何らかの不正が行われていると判定する。そして、不正が検知されたときには、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行しない。
【0061】
このように、第2の実施形態においては、位置情報リクエストを受信した位置情報サーバ20Bは、その位置情報リクエストの送信元アドレスに確認メッセージを送信し、対応する応答メッセージを受信する。そして、位置情報リクエストの通信経路と、応答メッセージの通信経路とが異なっているときは、位置情報サーバ20Bは位置情報証明書を発行しない。よって、位置情報リクエストの送信時に端末のアドレスを詐称する不正が行われても、不正な端末に位置情報が提供されることはない。したがって、許可されている地域の外に位置している端末にサービスが提供されることを防止できる。
【0062】
図12は、第2の実施形態においてサービスを提供する手順の一例を示すシーケンス図である。第2の実施形態においては、図4に示す手順に加えて、端末の位置を確認する手順を含む。
【0063】
位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストを受信すると、位置情報証明書を発行する前に、位置情報リクエストの送信元に確認メッセージを送信する。このとき、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元IPアドレスに確認メッセージを送信する。確認メッセージは、応答メッセージの返送を指示する。したがって、確認メッセージを受信した端末は、確認メッセージに対応する応答メッセージを位置情報サーバ20Bに送信する。
【0064】
位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストの送信元と位置情報サーバ20Bとの間の通信経路(以下、リクエスト経路)と、応答メッセージの送信元と位置情報サーバ20Bとの間の通信経路(以下、応答経路)とを比較する。そして、リクエスト経路および応答経路が互いに同じであれば、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージを送信した端末が位置情報リクエストを送信した端末と同じであると判定する。この場合、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行する。以降の手順は、図4および図12において実質的に同じである。
【0065】
ここで、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元IPアドレスが詐称されるものとする。一例として、図11に示すように、端末301が位置情報リクエストを送信するときに、その位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元IPアドレスが「bbbb(端末302のIPアドレス)」に書き換えられる。そうすると、位置情報サーバ20Bは、端末302に確認メッセージを送信し、端末302から応答メッセージを受信する。このとき、位置情報リクエストは、図11に示すように、RU32aを通過する。これに対して、端末302が地域Xの外に位置していれば、応答メッセージはRU32aを通過しない。即ち、リクエスト経路および応答経路が互いに異なることになる。そして、リクエスト経路および応答経路が互いに異なるときは、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストの送信において何らかの不正が行われていると判定する。この場合、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行しない。
【0066】
図13は、第2の実施形態に係わる位置情報サーバ20Bの機能構成の一例を示す。この実施例では、位置情報サーバ20Bは、基地局システム100B内に実装されている。ただし、位置情報サーバ20Bは、基地局システム100Bから独立して構成されてもよい。
【0067】
位置情報サーバ20Bは、IPアドレス取得部21、位置情報取得部22、証明書発行部23、リダイレクト制御部24、および通信経路確認部25を備える。なお、IPアドレス取得部21、位置情報取得部22、証明書発行部23、およびリダイレクト制御部24は、図5および図13において実質的に同じなので、説明を省略する。また、位置情報サーバ20Bは、図13に示していない他の機能、回路、および/またはデバイスを備えてもよい。
【0068】
通信経路確認部25は、位置情報サーバ20Bが位置情報リクエストを受信したときに、その位置情報リクエストの送信元に確認メッセージを送信する。このとき、通信経路確認部25は、位置情報リクエストを格納するIPパケットの送信元IPアドレスに確認メッセージを送信する。また、通信経路確認部25は、確認メッセージに対応する応答メッセージを受信する。そして、通信経路確認部25は、リクエスト経路と応答経路とを比較する。
【0069】
この実施例では、位置情報サーバ20Bは、基地局システム100B内に実装されている。すなわち、位置情報サーバ20Bおよび基地局30は、互いに連携して動作する。この場合、位置情報サーバ20Bは、IPパケットを受信したときに、そのIPパケットがどの基地局を通過したかを認識できる。或いは、位置情報サーバ20Bは、IPパケットを受信したときに、そのIPパケットがどのRU(32a~32n)を通過したかを認識できる。よって、通信経路確認部25は、リクエスト経路および応答経路をそれぞれ検出できる。また、位置情報サーバ20Bおよび基地局30が互いに連携して動作しない場合であっても、受信パケットがどの基地局(または、RU)を通過したのかを検出することは可能である。
【0070】
図14は、第2の実施形態に係わる位置情報サーバ20Bの処理の一例を示すフローチャートである。なお、図14に示すフローチャートは、図8に示す手順にS21およびS22~S24を追加することで実現される。
【0071】
S21において、位置情報サーバ20Bは、受信した位置情報リクエストが通過した通信経路を検出する。このとき、位置情報サーバ20Bは、例えば、位置情報リクエストが通過したRUを検出する。S22において、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストの送信元に確認メッセージを送信する。S23において、位置情報サーバ20Bは、確認メッセージに対応する応答メッセージを受信する。S24において、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージが通過した通信経路を検出する。そして、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージが通過した通信経路(即ち、応答経路)が、位置情報リクエストが通過した通信経路(即ち、リクエスト経路)と一致するか否かを判定する。なお、S21において位置情報リクエストが通過したRUが検出されているときは、位置情報サーバ20Bは、応答メッセージがそのRUを通過しているか否かを判定する。
【0072】
応答経路がリクエスト経路と異なる場合は、位置情報サーバ20Bは、位置情報リクエストの送信において何らかの不正が行われていると判定する。この場合、S15~S16の処理はスキップされる。すなわち、位置情報サーバ20Bは、位置情報証明書を発行しない。
【0073】
なお、図14に示す実施例では、位置情報を取得した後に確認メッセージが端末に送信されるが、第2の実施形態はこの手順に限定されるものではない。すなわち、位置情報を取得する前に確認メッセージが端末に送信されるようにしてもよい。
【0074】
<ハードウェア構成>
図15は、位置情報サーバ(20、20B)のハードウェア構成の一例を示す。位置情報サーバ(20、20B)は、プロセッサ201、メモリ202、記憶装置203、入出力デバイス204、記録媒体読取り装置205、および通信インタフェース206を備えるコンピュータ200により実現される。
【0075】
プロセッサ201は、記憶装置203に保存されている位置情報処理プログラムを実行することにより、位置情報サーバ(20、20B)の動作を制御する。ここで、位置情報処理プログラムは、図8または図14に示すフローチャートの手順を記述したプログラムコードを含む。よって、プロセッサ201がこのプログラムを実行することで、図5または図13に示すIPアドレス取得部21、位置情報取得部22、証明書発行部23、リダイレクト制御部24、および通信経路確認部25の機能が提供される。メモリ202は、プロセッサ201の作業領域として使用される。記憶装置203は、上述した位置情報処理プログラムおよび他のプログラムを保存する。
【0076】
入出力デバイス204は、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどの入力デバイスを含む。また、入出力デバイス204は、表示装置、スピーカーなどの出力デバイスを含む。記録媒体読取り装置205は、記録媒体210に記録されているデータおよび情報を取得できる。記録媒体210は、コンピュータ200に着脱可能なリムーバブル記録媒体である。また、記録媒体210は、例えば、半導体メモリ、光学的作用で信号を記録する媒体、または磁気的作用で信号を記録する媒体により実現される。位置情報処理プログラムは、記録媒体210からコンピュータ200に与えられてもよい。通信インタフェース206は、ネットワークに接続する機能を提供する。なお、位置情報処理プログラムがプログラムサーバ220に保存されているときは、コンピュータ200は、プログラムサーバ220から位置情報処理プログラムを取得してもよい。
【0077】
<バリエーション>
図4または図12に示すシーケンスにおいては、サービスリクエストを受信したサービス提供装置10は、基地局/位置情報サーバにアクセスするためのリダイレクト指示を端末に送信する。ところが、通信ネットワークは、多数の基地局により構成される。このため、どの基地局/位置情報サーバにリダイレクトすることが好ましいかの判定が難しいことがある。
【0078】
この問題は、通信ネットワーク内の複数または全ての位置情報サーバに共通のIPアドレス(例えば、IP anycast アドレス)を付与することで解決され得る。この場合、サービスリクエストを受信したサービス提供装置は、その共通IPアドレスにアクセスするように、端末にリダイレクト指示を与える。そうすると、リダイレクト指示を受けた端末は、その端末に最も近い基地局/位置情報サーバに位置情報を要求することになる。また、最も近い基地局/位置情報サーバが停止しているときは、端末は、次に近い基地局/位置情報サーバにアクセスする。これにより、端末は、位置情報を効率的に取得することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 サービス提供装置
11 リダイレクト制御部
12 証明書検証部
13 エリア判定部
14 サービス提供部
20 位置情報サーバ
21 IPアドレス取得部
22 位置情報取得部
23 証明書発行部
24 リダイレクト制御部
25 通信経路確認部
30 基地局
32 RU
201 プロセッサ
301、302 端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15