(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165678
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】人物探索システム
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20241121BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241121BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241121BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20241121BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241121BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241121BHJP
G05D 1/43 20240101ALN20241121BHJP
【FI】
G08B21/02
H04N7/18 K
G06T7/00 510F
G08B25/10 A
G08B25/00 510M
H04M11/00 302
G05D1/02 K
G05D1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082062
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】唐木 太一
【テーマコード(参考)】
5B043
5C054
5C086
5C087
5H301
5K201
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043GA02
5B043GA18
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA19
5C086AA21
5C086CA06
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA07
5C086DA33
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB76
5C087DD03
5C087EE02
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF03
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG70
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG09
5K201BA19
5K201CC01
5K201CC06
5K201CC10
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED09
5K201EE08
(57)【要約】
【課題】費用を抑えつつ迷子などを適正に探索できるようにする。
【解決手段】施設Mに入場する入場者Pに配布され、当該入場者Pの識別情報が記憶されたICタグ2と、所定の役務のために施設M内の所定のルートを所定の速度で移動するロボット3と、ロボット3に搭載されたICタグリーダ32と、迷子P1の識別情報をロボット3に送信する探索管理コンピュータ5と、を備え、ロボット3は、所定のルートを移動しながらICタグリーダ32でICタグ2から識別情報を読み取り、読み取った識別情報が迷子P1の識別情報と一致した場合に、迷子P1を発見した旨を探索管理コンピュータ5に送信し、探索管理コンピュータ5は、迷子P1が発見された時刻と所定のルートと所定の速度とに基づいて、迷子P1の位置を割り出す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に入場する入場者に配布され、当該入場者の識別情報が記憶された電子タグと、
所定の役務のために前記施設内の所定のルートを所定の速度で移動する移動体と、
前記移動体に搭載され、前記電子タグから前記識別情報を読み取る読取手段と、
前記移動体と通信可能で、探索対象の入場者の識別情報を前記移動体に送信する探索管理装置と、
を備え、前記移動体は、前記所定のルートを移動しながら前記読取手段で前記電子タグから前記識別情報を読み取り、読み取った識別情報が前記探索対象の入場者の識別情報と一致した場合に、前記探索対象の入場者を発見した旨を前記探索管理装置に送信し、前記探索管理装置は、前記探索対象の入場者が発見された時刻と前記所定のルートと前記所定の速度とに基づいて、前記探索対象の入場者の位置を割り出す、
ことを特徴とする人物探索システム。
【請求項2】
所定の役務のために施設内の所定のルートを所定の速度で移動する移動体と、
前記移動体に搭載され、前記施設内の入場者の顔を撮影する撮影手段と、
前記移動体と通信可能で、探索対象の入場者の顔画像を前記移動体に送信する探索管理装置と、
を備え、前記移動体は、前記所定のルートを移動しながら前記撮影手段で前記入場者の顔を撮影し、撮影した顔が前記探索対象の入場者の顔画像と一致した場合に、前記探索対象の入場者を発見した旨を前記探索管理装置に送信し、前記探索管理装置は、前記探索対象の入場者が発見された時刻と前記所定のルートと前記所定の速度とに基づいて、前記探索対象の入場者の位置を割り出す、
ことを特徴とする人物探索システム。
【請求項3】
前記移動体と前記探索管理装置との通信を中継する中継装置を備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の人物探索システム。
【請求項4】
複数の前記移動体が相互通信可能に接続され、前記探索管理装置からの情報および前記探索管理装置への情報を相互に伝達可能となっている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の人物探索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショッピングモールなどの施設において、迷子や同伴者などを探すための人物探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アウトレットモールやショッピングモールなどの商業施設が巨大化している。一方で、従来から商業施設などで子供が親とはぐれてしまう事態が後を絶たず、巨大化した商業施設などで迷子を探すのは容易ではない。このため、監視カメラで撮像された画像を用いて、迷子を検出・探索する技術が知られている。例えば、遊園地等に設置された監視カメラの画像から人物を検出し、登録された迷子情報と比較することにより迷子判定を行う、という装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、迷子が監視カメラによる撮像エリアにいない場合には、迷子を検出・探索することができないおそれがある。また、広大な施設内を隈なく監視カメラで監視しようとすると、膨大な数の監視カメラを設置しなければならず、迷子の探索のために多大な費用を要してしまう。
【0005】
そこで本発明は、費用を抑えつつ迷子などを適正に探索することが可能な、人物探索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、施設に入場する入場者に配布され、当該入場者の識別情報が記憶された電子タグと、所定の役務のために前記施設内の所定のルートを所定の速度で移動する移動体と、前記移動体に搭載され、前記電子タグから前記識別情報を読み取る読取手段と、前記移動体と通信可能で、探索対象の入場者の識別情報を前記移動体に送信する探索管理装置と、を備え、前記移動体は、前記所定のルートを移動しながら前記読取手段で前記電子タグから前記識別情報を読み取り、読み取った識別情報が前記探索対象の入場者の識別情報と一致した場合に、前記探索対象の入場者を発見した旨を前記探索管理装置に送信し、前記探索管理装置は、前記探索対象の入場者が発見された時刻と前記所定のルートと前記所定の速度とに基づいて、前記探索対象の入場者の位置を割り出す、ことを特徴とする人物探索システムである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、所定の役務のために施設内の所定のルートを所定の速度で移動する移動体と、前記移動体に搭載され、前記施設内の入場者の顔を撮影する撮影手段と、前記移動体と通信可能で、探索対象の入場者の顔画像を前記移動体に送信する探索管理装置と、を備え、前記移動体は、前記所定のルートを移動しながら前記撮影手段で前記入場者の顔を撮影し、撮影した顔が前記探索対象の入場者の顔画像と一致した場合に、前記探索対象の入場者を発見した旨を前記探索管理装置に送信し、前記探索管理装置は、前記探索対象の入場者が発見された時刻と前記所定のルートと前記所定の速度とに基づいて、前記探索対象の入場者の位置を割り出す、ことを特徴とする人物探索システムである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の人物探索システムにおいて、前記移動体と前記探索管理装置との通信を中継する中継装置を備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の人物探索システムにおいて、複数の前記移動体が相互通信可能に接続され、前記探索管理装置からの情報および前記探索管理装置への情報を相互に伝達可能となっている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、清掃や警備などの所定の役務のために、移動体が施設内の所定のルートを所定の速度で移動し、施設内で迷子などが発生すると、迷子などの識別情報が探索管理装置から移動体に送信される。そして、移動体が所定のルートを移動しながら読取手段で電子タグから識別情報を読み取り、読み取った識別情報が迷子などの識別情報と一致した場合、迷子などを発見した旨が探索管理装置に送信される。これを受けて、探索管理装置において、迷子などが発見された時刻と所定のルートと所定の速度とに基づいて、迷子などの位置が割り出される。すなわち、移動体は、施設内の所定のルートを所定の速度で移動するため、時刻がわかることで移動体の位置、つまり、迷子などの位置を割り出すことが可能となる。
【0011】
同様に、請求項2に記載の発明によれば、清掃や警備などの所定の役務のために、移動体が施設内の所定のルートを所定の速度で移動し、施設内で迷子などが発生すると、迷子などの顔画像が探索管理装置から移動体に送信される。そして、移動体が所定のルートを移動しながら撮影手段で入場者の顔を撮影し、撮影した顔が迷子などの顔画像と一致した場合、迷子などを発見した旨が探索管理装置に送信される。これを受けて、探索管理装置において、迷子などが発見された時刻と所定のルートと所定の速度とに基づいて、迷子などの位置が割り出される。
【0012】
このように、請求項1および請求項2に記載の発明によれば、所定の役務のために移動している移動体を用いて迷子などの位置を割り出すため、迷子などの探索のために新たな移動体・設備を備える必要がない。また、迷子などの位置を割り出すのにGPS(Global Positioning System)などを使用しないため、コストを削減できるだけではなく、GPSなどを使用できない屋内などにおいても、迷子などを探索することが可能となる。このように、費用を抑えつつ迷子などを適正に探索することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、移動体と探索管理装置との通信を中継する中継装置を備えるため、移動体と探索管理装置とが直接通信できないエリアにおいても、中継装置を介して通信することができ、広いエリア・範囲での緻密な探索が可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、探索管理装置からの情報を移動体間で相互に伝達し、移動体からの情報を移動体間で相互に伝達して探索管理装置に送信することが可能となっている。このため、探索管理装置と移動体とが個々に直接通信できない場合であっても、すべての移動体と探索管理装置とが適正に情報を授受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る人物探索システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の人物探索システムのロボットを示す概略構成ブロック図である。
【
図3】
図1の人物探索システムの探索管理コンピュータを示す概略構成ブロック図である。
【
図4】
図3の探索管理コンピュータのロボットデータベースのデータ構成図である。
【
図5】
図1の人物探索システムの動作フローを示すタイミングチャートである。
【
図6】この発明の実施の形態2に係る人物探索システムのロボットを示す概略構成ブロック図である。
【
図7】この発明の実施の形態3に係る人物探索システムのロボットを示す概略構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係る人物探索システム1を示す概略構成図である。この人物探索システム1は、多数の人が入場する施設において、特定の入場者の居場所を探すためのシステムである。ここで、この実施の形態では、施設がショッピングモールMで、探索対象の入場者Pが子供の迷子P1の場合について主として説明するが、その他の施設(例えば、博物館)や、その他の探索対象の入場者(例えば、高齢者)Pであってもよい。
【0018】
人物探索システム1は、主として、ICタグ(電子タグ)2と、ロボット(移動体)3と、中継装置(TRX)4と、探索管理コンピュータ(探索管理装置)5と、を備える。
【0019】
ICタグ2は、ショッピングモールMに入場する入場者Pに配布され、当該入場者Pの識別情報が記憶されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグであり、後述するICタグリーダ(読取手段)32などで識別情報を読み取れるようになっている。この実施の形態では、入場者Pの首や鞄などに掛けられる入場券21にICタグ2が貼り付けられ、各ICタグ2には固有の識別情報が記憶されている。そして、ショッピングモールMの入場口で係員に入場者Pの人数を伝えると、係員が人数分の入場券21のICタグ2から識別情報を読み取ってグループ登録し、入場券21を入場者Pに配布する。この際、入場口の端末でグループ登録することで、どの識別情報と識別情報とが同じグループかが、後述する探索管理コンピュータ5の入場者データベース54に記憶される。
【0020】
これにより、ショッピングモールMの迷子案内所(事務所)MCで人を探したい入場者PのICタグ2を読み取ることで、探索対象の入場者PのICタグ2の識別情報を特定できるようになっている。例えば、父親と母親と子供の3人で入場し、父親には、「A1」の識別情報が記憶されたICタグ2の入場券21が渡され、母親には、「A2」の識別情報が記憶されたICタグ2の入場券21が渡され、子供には、「A3」の識別情報が記憶されたICタグ2の入場券21が渡されたとする。そして、両親が子供を探す場合、父親と母親のICタグ2から識別情報を読み取ることで、子供が持っているICタグ2の識別情報が「A3」であると特定できるものである。
【0021】
ロボット3は、所定の役務・作業のために、ショッピングモールM内の所定のルートを所定の速度で移動する無人搬送車(Automatic Guided Vehicle)である。すなわち、所定の経路・移動ルートを所定の速度で自走しながら、清掃や警備などの役務・作業を行うロボットであり、既知・既存の清掃ロボットや警備ロボットなどと基本的構成が同等であり、異なる構成について主として以下に説明する。
【0022】
ロボット3は、
図2に示すように、主として、通信部31と、ICタグリーダ32と、スピーカ33と、メモリ34と、判定部35と、これらを制御などする中央処理部36と、を備える。
【0023】
通信部31は、外部と無線通信するためのインターフェイスであり、中継装置4を介して探索管理コンピュータ5と通信したり、後述するように、他のロボット3と通信したりできるようになっている。ICタグリーダ32は、アンテナを備え、ICタグ2からの電波をアンテナで受信して、ICタグ2に記憶された識別情報を読み取るものである。スピーカ33は、所定の音声を出力する拡声器であり、音源に記憶されている音楽・メロディを出力することで、入場者Pに注意を喚起してロボット3との接触を防止するものである。
【0024】
メモリ34は、各種情報を記憶する記憶装置であり、具体的には、設定・入力された所定のルートや所定の速度を含む役務情報が記憶されている。さらに、後述するようして探索管理コンピュータ5から受信した「迷子情報」に含まれる、探索対象の入場者Pの識別情報などが記憶される。
【0025】
判定部35は、ICタグリーダ32でICタグ2から読み取った識別情報が、探索対象の入場者Pの識別情報と一致するか否かを判定するプログラム・タスクである。すなわち、探索管理コンピュータ5から「迷子情報」を受信するとICタグリーダ32を起動開始し、所定のルートを移動しながらICタグリーダ32で周囲のICタグ2から識別情報を読み取る。そして、読み取った識別情報が「迷子情報」に含まれる探索対象の入場者Pの識別情報と一致するか否かを判定する。
【0026】
その結果、一致する場合に、ロボット3の識別情報と、読み取ったICタグ2の識別情報と、ICタグ2を読み取った時刻と、を含む「発見情報」(探索対象の入場者Pを発見した旨)を探索管理コンピュータ5に通信部31を介して送信する。ここで、ロボット3と探索管理コンピュータ5の時計・時刻が一致しており、探索管理コンピュータ5で「発見情報」を受信した時刻が、ロボット3で探索対象の入場者Pの識別情報を読み取った時刻と一致すると同視できる場合には、「発見情報」にICタグ2を読み取った時刻を含めなくてもよい。また、ICタグリーダ32を常時起動してもよい。
【0027】
この実施の形態では、このようなロボット3がショッピングモールMの各フロアMFに複数台配置され、複数のロボット3が相互通信可能に接続されている。これにより、探索管理コンピュータ5(中継装置4)からの情報および探索管理コンピュータ5への情報を相互に伝達(共有)可能となっている。
【0028】
すなわち、ロボット3は、周囲の他のロボット3と通信可能で、探索管理コンピュータ5から受信した「迷子情報」などを周囲の他のロボット3に送信し、これにより、探索管理コンピュータ5から離れたロボット3にも「迷子情報」などを送信・伝達可能となる。同様に、周囲の他のロボット3から受信した「発見情報」などを探索管理コンピュータ5に送信し、これにより、探索管理コンピュータ5から離れたロボット3からの「発見情報」などを索管理コンピュータ5に送信・伝達可能となる。このようにして、ロボット3自体が中継機能を備えることで、隈なくすべてのロボット3と索管理コンピュータ5との情報の授受が可能となる。
【0029】
中継装置4は、ロボット3と探索管理コンピュータ5との通信を中継する装置である。すなわち、ロボット3が探索管理コンピュータ5と直接通信できない場所に配置されている場合に、その通信を中継する装置であり、探索管理コンピュータ5からの「迷子情報」などをロボット3に送信し、ロボット3からの「発見情報」などを探索管理コンピュータ5に送信する。この実施の形態では、ショッピングモールMの各フロアMFに中継装置4が1台配置されているが、フロアMFの広さやロボット3の移動ルートなどに応じて複数台配置してもよい。
【0030】
探索管理コンピュータ5は、ショッピングモールMの迷子案内所MCに配置され、各ロボット3と通信可能で、ロボット3に「迷子情報」を送信したり、ロボット3からの「発見情報」に基づいて探索対象の入場者Pの位置・居場所を割り出したりするコンピュータである。この探索管理コンピュータ5は、
図3に示すように、主として、入力部51と、表示部52と、通信部53と、入場者データベース(入場者記憶手段)54と、ロボットデータベース(移動体記憶手段)55と、位置割出部56と、これらを制御などする中央処理部57と、を備える。
【0031】
入力部51は、各種情報や指令などを入力・作成するためのインターフェイスであり、具体的には、「迷子情報」や「作業開始情報」を入力・作成したりする。ここで、「迷子情報」には、探索対象の入場者Pの識別情報が含まれ、この識別情報は、探索管理コンピュータ5に接続されたICリーダ(図示せず)で特定できるようになっている。すなわち、上記のように、人を探したい入場者PのICタグ2の識別情報をICリーダで読み取り、この入場者Pと同じグループの入場者Pであって読み取られていない識別情報を、後述する入場者データベース54から取得・特定する。
【0032】
また、「作業開始情報」は、ロボット3に清掃や警備などの役務を開始させるための指令であり、開始時刻や対象ロボットなどを含む。ここで、すべてのロボット3に役務を開始させる場合には、対象ロボットにはその旨が入力され、特定のロボット3のみに役務を開始させる場合には、対象ロボットには特定のロボット3の識別情報が入力される。なお、すべてのロボット3が毎日同じ時刻に役務を開始する場合には、「作業開始情報」を作成、送信しなくてもよい。。
【0033】
表示部52は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、例えば、位置割出部56で割り出された迷子P1の居場所を地図上で表示する。通信部53は、外部と通信するためのインターフェイスであり、この実施の形態では、中継装置4を介して各ロボット3と通信する。例えば、入力部31で上記のような「迷子情報」や「作業開始情報」が入力されて、送信指令が入力されると、「迷子情報」や「作業開始情報」を各ロボット3に送信する。
【0034】
入場者データベース54は、各入場者Pに配布されたICタグ2の識別情報などを記憶するデータベースである。すなわち、上記のようにして、入場時にグループ登録された情報が記憶され、グループごとに、このグループに属するすべての識別情報、入場した時刻などが記憶される。ここで、一人で入力した場合には、記憶される識別情報が1つとなる。
【0035】
また、この識別情報は、入場者PがショッピングモールMから退場する際に、ICタグ2の識別情報が読み取られることで消去される。ここで、入場時に複数の入場者Pがグループ登録された場合、すべての入場者Pがほぼ同時に退場してICタグ2が読み取られた際に、すべての識別情報を消去する。これに対して、グループの一部の入場者Pだけが退場してそのICタグ2が読み取られた場合には、その入場者Pだけが単独で外へ出た可能性があると認識・記憶する。そして、この入場者Pが探索対象となった場合には、外へ出た可能性があると判断される。
【0036】
ロボットデータベース55は、ロボット3に関する情報を記憶するデータベースである。すなわち、
図4に示すように、ロボット3ごとに、つまり、ロボットID551ごとに、ルート552、速度553、役務554およびその他555が記憶されている。
【0037】
ロボットID551には、ロボット3の識別情報が記憶され、ルート552には、このロボット3が移動する経路・移動ルート、つまり、どのフロアMFをどのような道順で移動するかが記憶されている。速度553には、このロボット3が移動する際の速度が記憶され、この速度は、出発時刻からの経過時間に基づいて現在位置がわかれば一定でなくてもよい。例えば、移動ルートにおける第1の部分・距離では第1の速度で、第2の部分・距離では第2の速度であってもよい。
【0038】
このようなルート552と速度553は、入力部51から入力、変更可能で、入力、変更された移動ルートや速度をロボット3に設定することで、ロボット3がその移動ルートをその速度で移動するようになっている。役務554には、このロボット3が行う役務内容や、現在役務中(移動中)であるか否か、役務中の場合の役務開始時刻、つまり、「作業開始情報」を送信した際の開始時刻が記憶される。なお、所定の時刻から所定の時刻まで役務・移動することが予め定まっている場合には、現在役務中であるか否かや、役務開始時刻は、記憶する必要がない。
【0039】
位置割出部56は、中継装置4つまりロボット3から「発見情報」を受信した場合に、探索対象の入場者Pの位置・居場所を割り出すプログラム・タスクである。すなわち、探索対象の入場者Pが発見された時刻(「発見情報」に含まれる読み取った時刻、または、探索管理コンピュータ5が「発見情報」を受信した時刻)と、ロボットデータベース55に記憶されているこのロボット3の移動ルート(ルート552)と、このロボット3の移動速度(速度553)とに基づいて、探索対象の入場者Pの位置を割り出す。
【0040】
具体的には、ロボット3の役務(移動)開始時刻から探索対象の入場者Pが発見された時刻までの時間で、このロボット3がその移動速度でどのくらいの距離を移動し、移動ルート上のどこに位置するかを割り出す。そして、ショッピングモールMの各フロアMFの地図と移動ルートとを照らし合わせ、どこのフロアMFのどこに探索対象の入場者Pがいるかを、そのフロアMFの地図上に示し、表示部52に表示する。
【0041】
次に、このような構成の人物探索システム1の動作について、
図5のタイミングチャートに従って説明する。
【0042】
まず、平常時において、探索管理コンピュータ5から中継装置4を介して各ロボット3に「作業開始情報」が送信されると(ステップS1)、受信したロボット3がそれぞれ、ショッピングモールM内の所定のルートを所定の速度で移動しながら、清掃や警備などの所定の役務・作業を開始する(ステップS2)。この際、上記のように、ロボット3間で相互通信しながら「作業開始情報」がすべてのロボット3に送信・伝達される。このことは、後述する「迷子情報」や「発見情報」についても同様である。
【0043】
次に、ショッピングモールM内で迷子P1が発生した場合(ステップS3)、その親などが迷子案内所MCに来て、上記のようにして、迷子P1のICタグ2の識別情報を含む「迷子情報」が作成され、各ロボット3に「迷子情報」が送信される(ステップS4)。これを受けて、各ロボット3は、ICタグリーダ32および判定部35を起動して探索を開始する(ステップS5)。すなわち、各ロボット3がそれぞれの移動ルートを移動しながら、ICタグリーダ32で周囲の入場者PのICタグ2から識別情報を読み取る。
【0044】
そして、判定部35において、読み取った識別情報が迷子P1の識別情報と一致するか否かを逐次判定する(ステップS6)。その結果、一致した場合、読み取ったICタグ2の識別情報やICタグ2を読み取った時刻などを含む「発見情報」が、ロボット3から探索管理コンピュータ5に送信される(ステップS7)。ここで、「発見情報」に読み取ったICタグ2の識別情報を含めることで、同時に複数の迷子P1を探している場合でも、どの迷子P1が見つかったかがわかるようになっている。
【0045】
続いて、「発見情報」を受信した探索管理コンピュータ5において位置割出部56が起動され、迷子P1が発見された時刻と、「発見情報」を送信したロボット3の移動ルートおよび移動速度とに基づいて、迷子P1の位置(発見場所)が割り出される(ステップS8)。そして、どのフロアMFのどこに迷子P1がいるかが表示部52に表示され(ステップS9)、これを見て親や近くの係員などが迷子P1に会いに行けるものである。
【0046】
このように、この人物探索システム1によれば、所定の役務のために移動しているロボット3を用いて迷子P1などの位置を割り出すため、迷子P1などの探索のために新たなロボット3・設備を備える必要がない。また、迷子P1などの位置を割り出すのにGPSなどを使用しないため、コストを削減できるだけではなく、GPSなどを使用できない屋内などにおいても、迷子P1などを探索することが可能となる。このように、費用を抑えつつ迷子P1などを適正に探索することが可能となる。
【0047】
また、ロボット3と探索管理コンピュータ5との通信を中継する中継装置4を備えるため、ロボット3と探索管理コンピュータ5とが直接通信できないエリアにおいても、中継装置4を介して通信することができ、広いエリア・範囲での緻密な探索が可能となる。
【0048】
さらに、探索管理コンピュータ5からの情報をロボット3間で相互に伝達し、ロボット3からの情報をロボット3間で相互に伝達して探索管理コンピュータ5に送信することが可能となっている。このため、探索管理コンピュータ5とロボット3とが個々に直接通信できない場合であっても、すべてのロボット3と探索管理コンピュータ5とが適正に情報を授受することが可能となる。また、中継装置4の配置数を少なくしても、広いエリア・範囲での緻密な探索が可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、この実施の形態に係るロボット3を示す概略構成ブロック図である。この実施の形態では、ICタグ2の識別情報に代って、入場者Pの顔で入場者Pを識別・認識する点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0050】
すなわち、この実施の形態では、ICタグリーダ32に代って、入場者Pの顔を撮影するカメラ(撮影手段)37がロボット3に搭載されている。また、ショッピングモールMの入場口に入場用カメラが設置され、入場時に入場用カメラで入場者Pの顔を撮影して(顔画像を生成し)、実施の形態1と同様にしてグループ登録すると、探索管理コンピュータ5の入場者データベース54にどの顔画像と顔画像とが同じグループかが記憶される。
【0051】
そして、迷子案内所MCで迷子P1を探したい入場者Pの顔を撮影すると、実施の形態1と同様にして迷子P1の顔画像が特定され、迷子P1の顔画像を含む「迷子情報」が各ロボット3に送信される。これを受けて、各ロボット3が所定のルートを移動しながらカメラ37で入場者Pの顔を撮影し、撮影した顔の画像が迷子P1の顔画像と一致した場合に、「発見情報」が探索管理コンピュータ5に送信される。これにより、実施の形態1と同様に、探索管理コンピュータ5において、迷子P1が発見された時刻と、ロボット3の移動ルートおよび移動速度とに基づいて、迷子P1の位置・居場所が割り出されるものである。
【0052】
このように、この実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、所定の役務のために移動しているロボット3を用いて、費用を抑えつつ迷子P1などを適正に探索することが可能となる。また、入場者PにICタグ2を配布する必要がないため、費用を抑えることが可能になるとともに、入場者Pの負担を軽減することが可能となる。
【0053】
(実施の形態3)
図7は、この実施の形態に係るロボット3を示す概略構成ブロック図である。この実施の形態では、ICタグ2の識別情報と入場者Pの顔とで入場者Pを識別・認識する点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0054】
すなわち、この実施の形態では、実施の形態1と同様のICタグリーダ32とともに、実施の形態2と同様のカメラ37がロボット3に搭載されている。また、ショッピングモールMの入場口において、実施の形態1と同様にしてICタグ2が入場者Pに配布され、実施の形態2と同様にして入場用カメラで入場者Pの顔が撮影される。そして、実施の形態1、2と同様にしてグループ登録すると、グループごとにICタグ2の識別情報と顔画像とが対となって探索管理コンピュータ5の入場者データベース54に記憶される。
【0055】
迷子P1を探す際には、迷子案内所MCで迷子P1を探したい入場者PのICタグ2の識別情報を読み取るとともに顔を撮影すると、迷子P1の識別情報と顔画像が特定され、迷子P1の識別情報と顔画像を含む「迷子情報」が各ロボット3に送信される。これを受けて、各ロボット3が所定のルートを移動しながら、ICタグリーダ32で入場者PのICタグ2から識別情報を読み取るとともに、カメラ37で入場者Pの顔を撮影する。そして、読み取った識別情報と撮影した顔の画像が迷子P1の識別情報と顔画像と一致した場合に、「発見情報」が探索管理コンピュータ5に送信される。これにより、探索管理コンピュータ5において、迷子P1が発見された時刻と、ロボット3の移動ルートおよび移動速度とに基づいて、迷子P1の位置・居場所が割り出されるものである。
【0056】
このように、この実施の形態によれば、実施の形態1、2と同様に、所定の役務のために移動しているロボット3を用いて、費用を抑えつつ迷子P1などを適正に探索することが可能となる。また、ICタグ2の識別情報と入場者Pの顔との2つの情報に基づいて探索するため、迷子P1などを正確・適正に探索することが可能となる。
【0057】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、入場者PがショッピングモールMや博物館などの主に屋内にいる場合だけではなく、動物園や遊園地などの主に屋外にいる場合でも適用可能である。
【0058】
1 人物探索システム
2 ICタグ(電子タグ)
21 入場券
3 ロボット(移動体)
32 ICタグリーダ(読取手段)
37 カメラ(撮影手段)
4 中継装置
5 探索管理コンピュータ(探索管理装置)
M ショッピングモール(施設)
P 入場者
P1 迷子(探索対象の入場者)