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特開2024-165687ユーザ状態推定装置およびユーザ状態共有システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165687
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ユーザ状態推定装置およびユーザ状態共有システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241121BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082082
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 泰羽
(72)【発明者】
【氏名】小栗 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】森 有紀
(72)【発明者】
【氏名】五十君 克己
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和彦
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L010AA06
5L049AA04
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】ユーザの状態をより正確に推定する。
【解決手段】検出部111は、ユーザU-1の行動を検出する。決定部112は、現在時刻におけるユーザU-1の現在行動が、ユーザU-1の状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、現在行動に対する第1評価値を決定する。補正部113は、過去の所定期間におけるユーザU-1の過去行動に基づいて、第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する。推定部114は、第2評価値に基づいて、現在時刻におけるユーザU-1の状態を推定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動を検出する検出部と、
現在時刻における前記ユーザの現在行動が、前記ユーザの状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、前記現在行動に対する第1評価値を決定する決定部と、
過去の所定期間における前記ユーザの過去行動に基づいて、前記第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する補正部と、
前記第2評価値に基づいて、前記現在時刻における前記ユーザの状態を推定する推定部と、
を備える、
ユーザ状態推定装置。
【請求項2】
前記複数のグループは、第1グループと第2グループとを含み、
前記補正部は、前記過去行動が前記第2グループに属し、前記現在行動が前記第1グループに属する場合、前記第1評価値を前記第2グループの評価値に近づけることによって前記第2評価値を決定する、
請求項1記載のユーザ状態推定装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記所定期間に異なるグループに属する複数の行動が行われた場合、複数の行動各々の継続時間に基づいて、前記過去行動の内容を補正する、
請求項1記載のユーザ状態推定装置。
【請求項4】
前記複数のグループは、それぞれ複数の種類の行動を含み、
前記補正部は、前記現在行動の種類と、前記過去行動の種類との関係に基づいて、前記第1評価値を補正する、
請求項1記載のユーザ状態推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記ユーザの状態として、前記ユーザとの会話の可否を推定する、
請求項1記載のユーザ状態推定装置。
【請求項6】
前記評価値は、前記ユーザとの会話の許容度であり、
前記複数のグループは、前記評価値が低い順に、グループA、グループBおよびグループCに階層化されており、
前記グループAは、情報を発信する行動を含み、
前記グループBは、情報を取得する行動を含み、
前記グループCは、前記情報を発信する行動および前記情報を取得する行動以外の行動を含む、
請求項5記載のユーザ状態推定装置。
【請求項7】
サーバと、第1ユーザ端末と、第2ユーザ端末とを備えるユーザ状態共有システムであって、
前記第1ユーザ端末は、
第1ユーザの行動を検出する検出部と、
現在時刻における前記第1ユーザの現在行動が、前記第1ユーザの状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、前記現在行動に対する第1評価値を決定する決定部と、
過去の所定期間における前記第1ユーザの過去行動に基づいて、前記第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する補正部と、
前記第2評価値に基づいて、前記現在時刻における前記第1ユーザの状態を推定する推定部と、
前記第1ユーザの状態を示す状態情報を前記サーバに送信する状態情報送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記状態情報を前記第2ユーザ端末に対して提供する提供部を備える、
ユーザ状態共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ状態推定装置およびユーザ状態共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症対策等の理由から、リモートワークの導入が進んでいる。リモートワークは、勤務時間の自由度が増す、または、通勤ラッシュを回避できる等の利便性がある。一方で、従来は職場において自然に行われていた雑談の機会が減り、同僚同士のコミュニケーションの機会が減少している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、オンライン会議のためにユーザが使用する装置から取得した情報を基に、ユーザの状況等をリアルタイムに判断し、ユーザに対応するアバターの表示態様を変化させる技術が開示されている。この技術では、端末が稼働中かつユーザが作業中でないと判定された場合、ユーザが忙しくない状態であることを表す表示態様でアバターが表示される。他のユーザは、ユーザのアバターを見て、ユーザに話しかけてよいか否か、または、作業を依頼してよいか否かといったことを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-095256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術では、その時々のユーザの行動がアバターの表示態様に反映されている。しかしながら、ユーザに話しかけてよい状態か否かは、その時点におけるユーザの行動と一致するとは限らない。例えば、直前まで休憩していたユーザが作業を再開した場合、作業の再開直後における作業への集中度は比較的低いため、ユーザは話しかけられても問題とはならないと予測される。上述した従来技術では、作業再開直後も「作業中=話しかけ不可」と判断され、他のユーザが話しかける機会を逃してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、ユーザの状態をより正確に推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るユーザ状態推定装置は、ユーザの行動を検出する検出部と、現在時刻における前記ユーザの現在行動が、前記ユーザの状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、前記現在行動に対する第1評価値を決定する決定部と、過去の所定期間における前記ユーザの過去行動に基づいて、前記第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する補正部と、前記第2評価値に基づいて、前記現在時刻における前記ユーザの状態を推定する推定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るユーザ状態共有システムは、サーバと、第1ユーザ端末と、第2ユーザ端末とを備えるユーザ状態共有システムであって、前記第1ユーザ端末は、第1ユーザの行動を検出する検出部と、現在時刻における前記第1ユーザの現在行動が、前記第1ユーザの状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、前記現在行動に対する第1評価値を決定する決定部と、過去の所定期間における前記第1ユーザの過去行動に基づいて、前記第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する補正部と、前記第2評価値に基づいて、前記現在時刻における前記第1ユーザの状態を推定する推定部と、前記第1ユーザの状態を示す状態情報を前記サーバに送信する状態情報送信部と、を備え、前記サーバは、前記状態情報を前記第2ユーザ端末に対して提供する提供部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザの状態をより正確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るシステム1の構成を示すブロック図である。
図2】ユーザ端末10-1の構成を示すブロック図である。
図3】サーバ20の構成を示すブロック図である。
図4】グループA~Cの行動の内容と評価値とを示す表である。
図5】補正方法1を模式的に示す図である。
図6】補正方法2を模式的に示す図である。
図7】補正方法3を模式的に示す図である。
図8】他ユーザ情報の表示例を示す図である。
図9】ユーザ端末10-1の処理装置108の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施形態
A-1.システム構成
図1は、実施形態に係るシステム1の構成を示すブロック図である。システム1は、ユーザ状態共有システムの一例である。システム1は、複数のユーザ端末10(10-1~10-k(kは2以上の整数))と、サーバ20とを含む。ユーザ端末10は、ユーザ状態推定装置の一例である。ユーザ端末10-1~10-kと、サーバ20とは、ネットワークNを介して接続されている。
【0012】
ユーザ端末10-1~10-kは、それぞれユーザU(U-1~U-k)によって保持される。本実施形態において、ユーザ端末10-1は第1ユーザ端末の一例であり、ユーザU-1は第1ユーザの一例である。また、ユーザ端末10-2は第2ユーザ端末の一例であり、ユーザU-2は第2ユーザの一例である。ユーザ端末10-1~10-kは、それぞれ、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット端末等の情報処理端末である。
【0013】
本実施形態において、複数のユーザU-1~U-kは、同じ職場に勤務する同僚同士であるものとする。各ユーザU-1~U-kは、それぞれの自宅で職務を行っており、直接顔を合わせていない。しかしながら、ユーザU-1~U-k同士は、例えばメッセンジャーアプリケーション等を用いて会話(チャット等の文字によるコミュニケーションを含む)が可能である。
【0014】
サーバ20は、例えばユーザU-1~U-kの職場に設置されたネットワークサーバである。本実施形態において、サーバ20は、ユーザ端末10-1~10-kの各々から、当該ユーザ端末10を使用するユーザUの状態を示す状態情報を取得する。ユーザUの状態とは、例えばユーザUとの会話の可否である。サーバ20は、取得した状態情報を他のユーザ端末10-1~10-kに提供する。例えば、ユーザU-1は、ユーザ端末10-1を用いてサーバ20にアクセスし、状態情報を参照することにより、他のユーザU-2~U-kと会話可能かを確認できる。
【0015】
A-2.ユーザ端末10-1
図2は、ユーザ端末10-1の構成を示すブロック図である。ユーザ端末10-1~10-kの主な構成は同一のため、ユーザU-1が保持するユーザ端末10-1を例にして説明する。ユーザ端末10-1は、表示装置101と、入力装置102と、通信装置103と、撮像装置104と、マイク105と、スピーカ106と、記憶装置107と、処理装置108と、これらの装置を相互に接続するバス109とを備える。
【0016】
表示装置101は、外部に対して情報を表示する表示デバイス(例えば、液晶表示パネルまたは有機EL表示パネル等の各種の表示パネル)である。入力装置102は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタンまたはセンサなど)である。入力装置102は、後述するマイク105であってもよい。表示装置101および入力装置102は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0017】
通信装置103は、無線通信または有線通信を用いてサーバ20と通信する。本実施形態において、通信装置103は、ネットワークNに接続可能なインターフェースを備え、ネットワークNを介してサーバ20の通信装置201(図3参照)と通信する。
【0018】
マイク105は、ユーザU-1の発した音およびユーザU-1の周囲で発生する音を収音し、音声データを生成する。スピーカ106は、他の情報処理装置(例えば他のユーザ端末10-2~10-k)から取得した音声データに基づいて音を発生させる。ユーザU-1は、マイク105およびスピーカ106を用いて、同僚であるユーザU-2~Uーkと会話する。
【0019】
撮像装置104は、被写体を撮像した撮像画像を示す撮像データを生成する。本実施形態において、被写体とは、ユーザ端末10-1を使用するユーザU-1である。撮像装置104は、例えばインカメラであり、表示装置101の外枠にレンズが配置される。撮像装置104は、例えば、撮像光学系および撮像素子を有する。撮像光学系は、少なくとも1つの撮像レンズを含む光学系である。例えば、撮像光学系は、プリズム等の各種の光学素子を有してもよいし、ズームレンズまたはフォーカスレンズ等を有してもよい。撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーまたはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサー等である。
【0020】
記憶装置107は、処理装置108が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置107は、例えば、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。記憶装置107は、プログラムPG1を記憶する。プログラムPG1は、ユーザ端末10-1を動作させるためのプログラムである。
【0021】
処理装置108は、1または複数のCPU(Central Processing Unit)を含む。1または複数のCPUは、1または複数のプロセッサの一例である。プロセッサおよびCPUの各々は、コンピュータの一例である。
【0022】
処理装置108は、プログラムPG1を実行することによって、検出部111、決定部112、補正部113、推定部114、状態情報送信部115および他ユーザ情報取得部116として機能する。検出部111、決定部112、補正部113、推定部114、状態情報送信部115および他ユーザ情報取得部116の少なくとも一部の機能は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路によって構成されてもよい。
【0023】
検出部111は、ユーザU-1の行動を検出する。検出部111は、例えば撮像装置104が撮像したユーザU-1の画像、入力装置102の一例であるキーボードおよびマウスの使用状態、入力装置102の一例であるセンサの検出値、通信装置103の通信状態、および、処理装置108のログの解析等を行うことによって、ユーザU-1の行動を検出する。また、ユーザ端末10-1がスマートウォッチ等のウエラブルデバイスと同期可能な場合、検出部111は、ウエラブルデバイスが取得したユーザU-1のバイタルデータ(心拍数、呼吸数および体温等)に基づいて、ユーザU-1の行動を検出してもよい。検出部111は、例えばAI(Artificial Intelligence)を用いた行動解析によって、ユーザU-1の行動を検出する。検出部111は、所定の検出間隔でユーザU-1の行動を検出する。検出間隔は任意であるが、本実施形態では、例えば1分毎にユーザU-1の行動を検出する。
【0024】
決定部112は、現在時刻におけるユーザU-1の現在行動が、ユーザU-1の状態を示す評価値によって階層化された複数のグループのいずれに属するかを判定することにより、現在行動に対する第1評価値を決定する。現在行動とは、現在時刻におけるユーザU-1の行動である。本実施形態では、ユーザU-1の行動は、グループA、グループBおよびグループCの3つに分類される。複数のグループA~Cは、ユーザU-1の状態を示す評価値によって階層化されている。ユーザU-1の状態とは、ユーザU-1との会話の許容度である。すなわち、グループA~Cの評価値は、ユーザU-1との会話の許容度を示す。評価値は、ユーザU-1との会話の許容度が大きいほど値が大きくなる。
【0025】
図4は、グループA~Cの行動の内容と評価値とを示す表である。グループAは、ユーザU-1から情報を発信する行動である。グループAは、ユーザU-1が自身の考えた事柄をアウトプットする行動と言い換えることもできる。グループAに分類される行動は、例えば、会議または会話への参加、電話、キーボードを用いた入力、または、筆記具での筆記等である。
【0026】
グループBは、ユーザU-1が情報を収集する行動である。グループBは、ユーザU-1が考えるために必要な情報をインプットする行動と言い換えることもできる。グループBに分類される行動は、例えば、マウスまたはタッチパネルの操作、ユーザ端末10-1とは異なるスマートフォンもしくはタブレット端末の操作、または、本もしくは書類を読む等である。
【0027】
グループCは、グループAおよびグループB以外の行動である。すなわち、グループCは、情報の発信または収集以外の行動である。グループCに分類される行動は、例えば、食べ物を食べる、飲み物を飲む、伸びまたはストレッチ、または何もしていない等である。
【0028】
グループA~Cを比較すると、グループAの行動は、他者との会話を伴う、または、集中力を要する作業であるため、会話の許容度は相対的に低い。本実施形態では、グループAの行動に対する評価値を「1」とする。グループBの行動は、グループAほどの集中力は要しないものの、途中で中断されるのは好ましくない作業であり、会話の許容度は中程度である。本実施形態では、グループBの行動に対する評価値を「2」とする。グループCの行動は、業務の合間のリフレッシュ期間であると考えられ、会話の許容度は相対的に高い。本実施形態では、グループCの行動に対する評価値を「3」とする。すなわち、複数のグループは、評価値が低い順に、グループA、グループBおよびグループCに階層化されている。決定部112は、現在行動がグループA、グループBおよびグループCのいずれに該当するかを判定し、現在行動が該当するグループの評価値を第1評価値として決定する。
【0029】
補正部113は、過去の所定期間におけるユーザU-1の過去行動に基づいて、第1評価値を補正することにより、第2評価値を決定する。過去行動とは、過去の所定期間におけるユーザU-1の行動である。所定期間は、ユーザU-1の行動の連続性が認められる程度の期間であり、例えば数秒から数分程度(2秒から10分程度)、または数十分程度(10分から30分程度)とすることができる。
【0030】
補正部113は、過去から現在に至るユーザU-1の行動の傾向を踏まえて、第1評価値を補正する。以下、補正部113による補正の具体例を、補正方法1~3として説明する。
【0031】
[補正方法1]
図5は、補正方法1を模式的に示す図である。nおよびn-i(iは正の整数)は時間の経過を示し、値が大きいほど後の時刻であることを示す。nは現在時刻を示し、nの欄に示すA,BまたはCは、現在行動が属するグループを示す。n-iは過去時刻を示し、n-iの欄に示すA,BまたはCは、過去行動が属するグループを示す。n-2とn-1との間隔、および、n-1とnとの間隔は、検出部111による検出間隔に対応する。
【0032】
1番目の行動履歴では、n-2およびn-1でグループAの行動が行われている。よって、少なくともn-2とn-1との間、グループAの行動が継続されていると推定される。一方、現在時刻であるnでは、グループBの行動が行われている。上述のように、グループBの行動に対する評価値は「2」である。よって、第1評価値は「2」である。一方で、少なくともn-2とn-1との間、グループAの行動が継続されていることから、補正部113は、第1評価値をグループAに近づけることにより、第2評価値を決定する。具体的には、第2評価値を、グループAの評価値である「1」に決定する。
【0033】
なお、補正部113は、第2評価値をグループAの評価値そのものである「1」とする他、第2評価値を、例えば「1.5」等の、2未満かつ1を超える値にすることにより、グループAの評価値に近づけるようにしてもよい。
【0034】
また、例えばn-2とn-1とで異なるグループの行動が行われている場合、すなわち、特定のグループに属する行動の期間が所定期間に満たない場合、補正部113は補正を行わない。「補正を行わない」、とは、第1評価値の補正量を「0」とすることであってもよい。例えば、n-2でグループA、n-1でグループBの行動が行われ、現在時刻nでグループAの行動が行われた場合、第1評価値および第2評価値は共に、グループAの評価値である「1」となる。
【0035】
また、現在時刻より後の時刻、例えばn+1における補正において、nにおける行動(n+1においては過去行動となっている)は、実際の行動、すなわちグループBの行動であるものとして取り扱われる。
【0036】
2番目の行動履歴では、n-2およびn-1でグループAの行動が行われている一方で、現在時刻であるnでは、グループCの行動が行われている。よって、第1評価値は、グループCの評価値の「1」である。一方で、少なくともn-2とn-1との間、グループAの行動が継続されていることから、補正部113は、第1評価値を、グループCに対して一段階グループAに近いグループBの評価値に補正して、第2評価値を「2」に決定する。
【0037】
3番目の行動履歴では、n-2およびn-1でグループCの行動が行われている一方で、現在時刻であるnでは、グループBの行動が行われている。よって、第1評価値は、グループBの評価値の「2」である。しかし、少なくともn-2とn-1との間、グループCの行動が継続されていることから、補正部113は、第1評価値を補正して、第2評価値をグループCの評価値である「3」に決定する。
【0038】
4番目の行動履歴では、n-2およびn-1でグループCの行動が行われている一方で、現在時刻であるnでは、グループAの行動が行われている。よって、第1評価値は、グループAの評価値の「1」である。しかし、少なくともn-2とn-1との間、グループCの行動が継続されていることから、補正部113は、第1評価値を補正して、第2評価値をグループAに対して一段階グループCに近いグループBの評価値である「2」に決定する。
【0039】
このように、補正方法1では、複数のグループが第1グループと第2グループとを含む場合、補正部113は、過去行動が第2グループに属し、現在行動が第1グループに属する場合、第1評価値を第2グループの評価値に近づけることによって第2評価値を決定する。例えば1番目の行動履歴を例にすると、グループBが第1グループ、グループAが第2グループに対応する。
【0040】
ここで、上述した1~4番目の行動履歴では、n-2およびn-1で、グループAまたはグループCの行動が行われている。グループAは、グループA~Cの中でユーザU-1との会話の許容度が最も低い行動であり、グループCは、グループA~Cの中でユーザU-1との会話の許容度が最も高い行動である。よって、補正部113による補正が有効と考えられる。一方、グループBは中間的な行動であり、必ずしも補正が有効ではない場合がある。よって、n-2およびn-1でグループBの行動が行われている場合には、5-1または5-2の行動履歴に示す2種類の方法のいずれかが選択され得る。
【0041】
5-1番目の行動履歴は、1~4番目の行動履歴と同様に補正を行う方法である。すなわち、n-2およびn-1でグループBの行動が行われている一方で、現在時刻であるnでは、グループCの行動が行われている。よって、第1評価値は、グループCの評価値の「3」である。この場合、補正部113は、第1評価値を補正して、第2評価値をグループBの評価値である「2」に決定する。
【0042】
5-2番目の行動履歴は、補正を行わない方法である。すなわち、現在時刻であるnではグループCの行動が行われている。よって、第1評価値は、グループCの評価値の「3」である。補正部113による補正を行わない場合(または補正量が「0」の場合)、第2評価値は第1評価値と同じ「3」となる。
【0043】
[補正方法2]
図6は、補正方法2を模式的に示す図である。補正方法2では、補正方法1より更に過去の行動(n-3)を考慮して現在時刻nの行動に対する評価値を補正する。
【0044】
6番目の行動履歴では、n-3でグループC、n-2でグループB、n-1でグループC、nでグループBの行動が行われている。よって、第1評価値は「2」である。補正方法1のみを適用する場合、6番目の行動履歴では、特定のグループの行動が過去の所定期間継続していないため、補正が行われない。よって、第2評価値は、第1評価値と同じ「2」となる。
【0045】
これに対して、補正方法2では、n-3~n-1のうち、最も長い期間行われた行動がn-3~n-1の期間行われたものと補正される。すなわち、6a番目の行動履歴に示すように、n-3~n-1で最も長い期間行われたのはグループCの行動であるため、n-2においてもグループCの行動が行われたと補正される。補正後の行動履歴に対して、補正方法1を適用すると、第1評価値が補正され、第2評価値がグループCの評価値(図示を省略するが「3」)に決定される。
【0046】
同様に、7番目の行動履歴では、n-3でグループA、n-2でグループC、n-1でグループA、nでグループCの行動が行われている。よって、第1評価値は「3」である。補正方法1のみを適用する場合、7番目の行動履歴では、特定のグループの行動が過去の所定期間継続していないため、補正が行われない。よって、第2評価値は、第1評価値と同じ「3」である。
【0047】
これに対して、補正方法2では、7a番目の行動履歴に示すように、n-3~n-1で最も長い期間行われたグループAの行動が、n-2においても行われたと補正される。補正後の行動履歴に対して、補正方法1を適用すると、第1評価値が補正され、第2評価値がグループBの評価値(図示を省略するが「2」)に決定される。
【0048】
このように、補正方法2では、補正部113は、所定期間に異なるグループに属する複数の行動が行われた場合、複数の行動各々の継続時間に基づいて、過去行動の内容を補正する。より具体的には、補正部113は、複数の行動のうち継続時間(所定期間以前を含む)が最も長い行動が、所定期間に渡って継続したものとして過去行動の内容を補正する。
【0049】
[補正方法3]
図7は、補正方法3を模式的に示す図である。補正方法3では、グループA~Cの行動のうち、更に詳細な内容を考慮して現在時刻nの行動に対する評価値を補正する。補正方法3における補正ルールは、例えばそれぞれのユーザU-1~U-kが、自身の業務内容等に応じて設定する。設定された補正ルールは、各ユーザ端末10-1~10-kに保存され、当該ユーザ端末10-1~10-kでの補正処理に用いられる。図7に示す例は、ユーザU-1が設定した補正ルールであり、例えばユーザU-2が用いるユーザ端末10-2では異なる補正ルールが設定される。ユーザ端末10-1は、補正方法3の補正ルールを受け付ける受付部を備えてもよい。
【0050】
また、設定された補正ルールは、サーバ20にも送信され、各ユーザ端末10-1~10-kにおける補正処理の状況の把握に用いられる。多くのユーザU(例えばユーザU-1~U-kのうち6割以上など)が設定している補正ルールは、システム1全体に適用されてもよい。また、補正方法3の補正ルールを各ユーザU-1~U-kが設定するのではなく、職場の管理者等が定めてもよい。
【0051】
8番目の行動履歴では、n-1でグループAの行動であるキーボード操作、nでグループBの行動であるマウス操作が行われている。よって、第1評価値は、グループBのる評価値の「2」である。一方、補正部113は、第1評価値を補正して、第2評価値をグループAの評価値である「1」に決定する。これは、キーボード操作直後のマウス操作は、キーボード操作を含む一連の作業の一部であることが多いことから、ユーザU-1が設定した補正ルールである。
【0052】
9番目の行動履歴では、n-1でグループCの行動であるストレッチ、nでグループAの行動であるキーボード操作が行われている。よって、第1評価値は、グループAの評価値の「1」である。一方、補正部113は、第1評価値を補正して、第2評価値をグループCの評価値である「3」に決定する。これは、ストレッチを行うことによって気分を切り替えた後には、作業に再度集中するまで一定の期間を要する。よって、キーボード操作を開始した後に話しかけられても支障がないとの考えから、ユーザU-1が設定した補正ルールである。
【0053】
10番目の行動履歴では、n-1でグループCの行動である飲み物の摂取、nでグループAの行動であるキーボード操作が行われている。よって、第1評価値は、グループAの評価値の「1」である。この場合、補正部113は補正を行わず、第2評価値は第1評価値と同じ「1」に決定する。これは、ストレッチと異なり、飲み物の摂取は作業中のごく短時間に行われるため、作業への集中力には影響がないとの考えから、ユーザU-1が設定した補正ルールである。
【0054】
このように、複数のグループA~Cは、それぞれ複数の種類の行動を含む。補正方法3では、補正部113は、現在行動の種類と、過去行動の種類との関係に基づいて、第1評価値を補正する。
【0055】
推定部114は、第2評価値に基づいて、現在時刻におけるユーザU-1の状態を推定する。推定部114は、ユーザU-1の状態として、ユーザU-1との会話の可否を推定する。上述のように、本実施形態では、評価値は、ユーザU-1との会話の許容度が大きいほど値が大きい。よって、推定部114は、第2評価値が所定の閾値以上の場合はユーザU-1との会話が可能と推定し、第2評価値が閾値未満の場合はユーザU-1との会話が不可と推定する。
【0056】
推定部114は、例えば第2評価値が3の場合にユーザU-1との会話が可能と推定し、第2評価値が3未満(2または1)の場合はユーザU-1との会話が不可と推定する。
【0057】
また、推定部114は、ユーザU-1との会話の可否を更に段階的に推定してもよい。例えば上記の基準では、第2評価値が3未満(2または1)の場合はユーザU-1との会話が不可と推定されるが、第2評価値が2の場合の方が、第2評価値が1の場合よりも会話の許容度は大きい。よって、推定部114は、例えば第2評価値が2の場合は「急ぎの用件以外は会話不可(急ぎの用件は会話可)」、第2評価値が1の場合は「急ぎの用件も会話不可」と推定してもよい。
【0058】
また、例えば第2評価値が「1.5」等の小数を伴う場合、閾値が小数を伴う数とされてもよい。例えば、推定部114は、第2評価値が2.5以上の場合にユーザU-1との会話が可能と推定し、第2評価値が2.5未満の場合はユーザU-1との会話が不可と推定してもよい。
【0059】
状態情報送信部115は、ユーザU-1の状態を示す状態情報をサーバ20に送信する。状態情報送信部115は、例えば推定部114によってユーザU-1の状態が推定される都度、状態情報をサーバ20に送信する。
【0060】
他ユーザ情報取得部116は、ユーザU-1以外の他のユーザU-2~U-kの状態情報(以下「他ユーザ情報」という)を取得する。他ユーザ情報取得部116は、サーバ20に対して他ユーザ情報の取得要求を送信し、これに対応してサーバ20が送信する他ユーザ情報を取得する。他ユーザ情報の詳細については後述する。
【0061】
A-3.サーバ20
図3は、サーバ20の構成を示すブロック図である。サーバ20は、通信装置201と、記憶装置202と、処理装置203と、これらの装置を相互に接続するバス209とを備える。
【0062】
通信装置201は、無線通信または有線通信を用いてユーザ端末10-1~10-kと通信する。本実施形態において、通信装置201は、ネットワークNに接続可能なインターフェースを備え、ネットワークNを介してユーザ端末10-1~10-kと通信する。
【0063】
記憶装置202は、処理装置203が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置202は、例えば、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROMおよびEEPROMである。揮発性メモリは、例えば、RAMである。記憶装置202は、プログラムPG2を記憶する。プログラムPG2は、サーバ20を動作させるためのプログラムである。
【0064】
処理装置203は、1または複数のCPUを含む。1または複数のCPUは、1または複数のプロセッサの一例である。プロセッサおよびCPUの各々は、コンピュータの一例である。
【0065】
処理装置203は、プログラムPG2を実行することによって、状態情報取得部211および提供部212として機能する。状態情報取得部211および提供部212の少なくとも一部の機能は、DSP、ASIC、PLDおよびFPGA等の回路によって構成されてもよい。
【0066】
状態情報取得部211は、ユーザU-1~U-k各々の状態情報を、ユーザ端末10-1~10-kから取得する。状態情報取得部211は、各ユーザ端末10-1~10-kの状態情報送信部115から送信される状態情報を受信する。
【0067】
提供部212は、ユーザU-1~U-k各々の状態情報を、ユーザ端末10-1~10-kに対して提供する。言い換えると、提供部212は、ユーザU-1の状態情報を、ユーザU-1以外のユーザUが所持するユーザ端末10(例えばユーザ端末10-2)に対して提供する。ユーザ端末10-2は、第2ユーザ端末の一例である。
【0068】
提供部212は、例えばユーザ端末10-1の他ユーザ情報取得部116から送信される他ユーザ情報の取得要求に対応して、ユーザU-1以外のユーザU-2~10-kの状態情報(またはユーザU-1を含む全てのユーザU-1~10-kの状態情報)を、ユーザ端末10-1に送信する。ユーザ端末10-1の他ユーザ情報取得部116は、提供部212から状態情報(他ユーザ情報)を取得すると、表示装置101に他ユーザ情報を表示する。
【0069】
図8は、他ユーザ情報の表示例を示す図である。図8では、職場における座席の配置を模してユーザUの状態が表示される例を示す。図8の他ユーザ情報Sは、デスク画像D(D-1)とユーザ画像C(C-1~C-6)を含む。デスク画像D-1はユーザU-1の座席を示し、ユーザ画像C-1はユーザU-1の状態情報を示す。デスク画像D-2はユーザU-2(Aさん)の座席を示し、ユーザ画像C-2はユーザU-2の状態情報を示す。以下同様に、デスク画像D-j(j=1~6の整数)はユーザU-jの座席を示し、ユーザ画像C-jはユーザU-jの状態情報を示す。
【0070】
ユーザ画像C-jは、人の顔を模したアイコンである。ユーザU-jが会話可能な場合(評価値が3の場合)、ユーザ画像C-jは笑顔で表示される。図8において、ユーザU-1に対応するユーザ画像C-1およびユーザU-3に対応するユーザ画像C-3は、会話可能であることを示す。また、ユーザU-jが会話不可な場合(評価値が2または1の場合)、ユーザ画像C-jは笑顔以外の表情で表示される。例えば急ぎの用件以外は会話不可(評価値が2の場合)の場合、ユーザ画像C-jは中間的な表情で表示される。図8において、ユーザU-4に対応するユーザ画像C-4およびユーザU-5に対応するユーザ画像C-5は、急ぎの用件以外は会話不可であることを示す。例えば急ぎの要件も会話不可(評価値が1の場合)の場合、ユーザ画像C-jは不機嫌な表情で表示される。図8において、ユーザU-2に対応するユーザ画像C-2およびユーザU-6に対応するユーザ画像C-6は、急ぎの用件も会話不可であることを示す。
【0071】
また、ユーザ画像C-jは、ユーザU-jの状態に基づいて表示色が異なっていてもよい。例えばユーザU-jが会話可能な場合は青、急ぎの用件以外は会話不可の場合は黄色、急ぎの要件も会話不可は赤、と信号機の表示のように色分けされてもよい。
【0072】
このように、アイコンの表情または表示色を用いて状態情報を表示することによって、各ユーザU-jの会話の可否が直感的に把握される。例えば図8の他ユーザ情報Sを見たユーザU-1は、ユーザU-3が会話可能であることを把握し、ユーザU-3に話しかけることができる。また、例えばユーザU-1がユーザU-6に用件がある場合、ユーザU-6は現在会話不可であるため、時間を置いて話しかける、またはメール等で連絡する、等が検討できる。
【0073】
また、現在は会話不可のユーザU-6の状態が変化して会話可になった場合に、他のユーザUが通知を受けられるようにしてもよい。具体的には、例えば提供部212は、会話不可のユーザ画像C-6の近傍に、通知予約アイコンを表示する。例えばユーザU-1が、ユーザU-6と会話したい場合、通知予約アイコンをタップする。ユーザU-6の状態が変化し、会話可能となった場合、提供部212は、ユーザU-1のユーザ端末10-1に、ユーザU-6が会話可能になった旨を通知する。このような通知を行うことによって、ユーザU-1は、他ユーザ情報を気にする必要がなくなり、業務の効率を向上させることができる。
【0074】
また、ユーザ画像C-jのデザインは、図8に示すものに限られない。例えば、ユーザ画像C-jがブラーアイコンであってもよい。より具体的には、提供部212は、例えばユーザU-jが会話可能な場合は、ユーザU-jの様子を撮影した画像をブラー加工したブラーアイコンをユーザ画像C-jとして表示する。画像は、数分に1回撮影され、その都度ブラーアイコンが更新される。また、提供部212は、ユーザU-jが会話不可の場合、ブラーアイコンは表示せず、会話不可が視覚的に分かるような表示をユーザ画像C-jとして表示する。ブラーアイコンをユーザ画像C-jとして用いることによって、ユーザU-jの様子がより具体的に把握され、ユーザU-jに話し掛ける際の心理的負荷が軽減される。
【0075】
A-4.処理装置203の動作
図9は、ユーザ端末10-1の処理装置108の動作を示すフローチャートである。処理装置108は検出部111として機能し、ユーザU-1の現在行動を検出する(ステップS101)。処理装置108は決定部112として機能し、現在行動が属するグループを判定するとともに、第1評価値を決定する(ステップS102)。ステップS101で検出された現在行動およびステップS102で判定された現在行動の属するグループは、現在時刻と対応付けて記憶装置107に記憶される。記憶された現在行動および現在行動の属するグループは、以降過去行動および過去行動の属するグループとして取り扱われる。
【0076】
処理装置108は、補正部113として機能し、過去行動に基づいて第1評価値を補正して第2評価値を決定する(ステップS103)。処理装置108は、記憶装置107から過去行動および過去行動が属するグループを読み出して、ステップS103の処理に利用する。なお、補正の必要がない場合、補正部113は第1評価値をそのまま第2評価値とする。
【0077】
処理装置108は、推定部114として機能し、第2評価値が閾値以上か否かを判断する(ステップS104)。第2評価値が閾値以上の場合(ステップS104:YES)、処理装置108は、ユーザU-1は会話可能と推定する(ステップS105)。第2評価値が閾値未満の場合(ステップS104:NO)、処理装置108は、ユーザU-1は会話不可と推定する(ステップS106)。処理装置108は、第2評価値に基づいてユーザU-1の更に詳細な状態(急ぎの用件以外会話不可、または、急ぎの用件も会話不可)を推定してもよい。
【0078】
処理装置108は、状態情報送信部115として機能し、状態情報をサーバ20に送信して(ステップS107)、本フローチャートの処理を終了する。
【0079】
A-5.実施形態のまとめ
以上説明したように、実施形態にかかるユーザ端末10-1は、ユーザU-1の現在行動に対する第1評価値を、ユーザU-1の過去行動に基づいて補正した第2評価値に基づいて、現在時刻におけるユーザU-1の状態を推定する。言い換えると、ユーザ端末10-1は、ユーザU-1の現在行動のみならず、過去からの行動の流れに基づいてユーザU-1の状態を推定する。よって、ユーザU-1の状態がより精度よく推定される。
【0080】
また、ユーザU-1の状態の推定には、ユーザU-1を撮像した画像等を用いて行動を検出する必要があるが、これらのデータをサーバ20に送信するのに抵抗を感じるユーザUもいる。例えばサーバ20に対するサイバー攻撃があった場合、個人が特定できるような情報(動画または画像など)が流出してしまう等、プライバシーリスクが生じる可能性がある。システム1では、ユーザ端末10-1がユーザU-1の状態を推定し、その結果のみが状態情報としてサーバ20に送信される。よって、ユーザU-1の行動を特定できる情報をサーバ20に送信する必要がなく、ユーザU-1のプライバシーが保護される。
【0081】
また、ユーザ端末10-1は、所定期間に異なるグループに属する複数の行動が行われた場合、複数の行動各々の継続時間に基づいて過去行動の内容を補正する。よって、より長い期間におけるユーザU-1の行動の傾向を評価値に反映させることができる。
【0082】
また、ユーザ端末10-1は、現在行動の種類と、過去行動の種類との関係に基づいて、第1評価値を補正し、第2評価値を決定する。よって、現在行動と過去行動の組み合わせに基づいて第2評価値を変更することができる。
【0083】
また、ユーザ端末10-1は、ユーザU-1の状態として、ユーザU-1との会話の可否を推定する。例えば、他のユーザU-2は、ユーザU-1から離れた場所にいる場合でも、推定結果を参照することにより、ユーザU-1に話しかけて良いかを把握することができる。よって、離れた場所にいるユーザU同士の会話に対する心理的な負担を軽減することができる。
【0084】
また、ユーザ端末10-1は、情報を発信する行動、情報を取得する行動、これら以外の行動によって行動をグループ化する。よって、情報処理装置を用いた業務を行うユーザUの状態が精度よく推定される。
【0085】
B:変形例
上述の実施形態における変形の態様を以下に示す。以下の変形の態様から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲において適宜に併合してもよい。
【0086】
B1:第1変形例
上述した実施形態では、ユーザU-1の状態としてユーザU-1との会話の可否が推定された。ユーザU-1の状態はこれに限らず、例えば業務効率または学習効率であってもよい。
【0087】
具体的には、実施形態における「会話不可」の状態は、ユーザU-1の集中度が高い状態であると言い換えることができる。また、「会話可能」の状態は、ユーザU-1がリラックスしている状態と言い換えることができる。よって、「会話不可」の状態および「会話可能」の状態が業務時間または学習時間に占める割合を算出することによって、ユーザU-1の業務効率または学習効率を推定することができる。第1変形例によれば、ユーザU-1の業務効率または学習効率を精度よく推定することができる。
【0088】
B2:第2変形例
上述した実施形態では、ユーザ端末10-1でユーザU-1の状態を推定した。これに限らず、例えばサーバ20でユーザU-1の状態を推定してもよい。この場合、ユーザ端末10-1は、撮像装置104が撮像したユーザU-1の画像、入力装置102の一例であるキーボードおよびマウスの使用状態、入力装置102の一例であるセンサの検出値、通信装置103の通信状態、および、ユーザ端末10-1(処理装置108)のログ等をサーバ20に送信する。サーバ20は、検出部111、決定部112、補正部113および推定部114に対応する構成を備え、ユーザ端末10-1から受信した情報に基づいて、ユーザU-1の状態を推定する。第2変形例によれば、ユーザ端末10-1の処理負荷を軽減することができる。
【0089】
B3:第3変形例
上述した実施形態では、ユーザU-1~U-kは職場の同僚であるものとした。ユーザU-1~U-kの関係性はこれに限らず、相互の状態情報を共有することに同意している人同士のグループであれば、どのようなグループであってもよい。例えば、友人同士、共通の趣味を持つ人同士、または複数の会社を跨ぐプロジェクトの参加者同士が、ユーザU-1~U-kであってもよい。
【0090】
B4:第4変形例
図8に示すような他ユーザ情報(状態情報)に基づいて、例えばユーザU-1がユーザU-3にメッセンジャーアプリケーション等で話しかけた場合に、ユーザU-3側で突発的な出来事(例えば客先からの電話など)が生じ、会話ができない状況になる可能性がある。このような場合に、ユーザU-3からユーザU-1に、相手をフォローするようなメッセージを送信できるようにしてもよい。
【0091】
具体的には、例えばユーザU-3がメッセンジャーアプリケーションを切断した後、ユーザ端末10-3には、通話を拒否したユーザU-1に対するメッセージを入力するメッセージダイアログが表示される。メッセージダイアログは、ユーザU-3が自由に文章を入力する形式であってもよいし、定型文を選択する形式であってもよい。ユーザU-3は、例えば「ごめんなさい、外線がかかってきちゃいました」等、ユーザU-1と会話できない理由を簡単に入力する。メッセージの入力後、ユーザU-3がメッセージの送信を指示すると(例えば送信ボタンを押下すると)、ユーザ端末10-1にメッセージが送信される。ユーザ端末10-1は、通知バナー等でユーザU-3からのメッセージの内容を表示する。
【0092】
第4変形例によれば、他ユーザ情報(状態情報)と実際の状況とが異なり、会話ができない場合に、相手をフォローするメッセージを簡単に送信することができる。よって、離れた場所にいるユーザU同士の会話に対する心理的な負担を軽減することができる。
【0093】
C:その他
(1)上述した実施形態では、記憶装置107および202としてROM及びRAM等が例示されたが、記憶装置107および202は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ、データベース、サーバその他の適切な記憶媒体であってもよい。
【0094】
(2)上述した実施形態において、説明した情報、信号等は、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップ等は、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0095】
(3)上述した実施形態において、入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0096】
(4)上述した実施形態において、判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0097】
(5)上述した実施形態において例示した処理手順、シーケンス、フローチャート等は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素が提示されており、提示された特定の順序に限定されない。
【0098】
(6)図2および図3に例示された各機能は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線等を用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0099】
(7)上述した実施形態で例示したプログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
【0100】
また、ソフトウェア、命令、情報等は、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)等)及び無線技術(赤外線、マイクロ波等)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0101】
(8)前述の各形態において、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0102】
(9)本開示において説明した情報、パラメータ等は、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0103】
(10)上述した実施形態において、携帯機器には、移動局(MS:Mobile Station)である場合が含まれる。移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。また、本開示においては、「移動局」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」等の用語は、互換的に使用され得る。
【0104】
(11)上述した実施形態において、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は、「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギー等を用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0105】
(12)上述した実施形態において、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0106】
(13)本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事等を含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事等を含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)等した事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」等で読み替えられてもよい。
【0107】
(14)上述した実施形態において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。更に、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0108】
(15)本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0109】
(16)本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBが夫々Cと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」等の用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0110】
(17)本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
から選択された複数の態様を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…システム、10(10-1~10-k)…ユーザ端末、20…サーバ、111…検出部、112…決定部、113…補正部、114…推定部、115…状態情報送信部、116…他ユーザ情報取得部、211…状態情報取得部、212…提供部、N…ネットワーク、U(U-1~U-k)…ユーザ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9