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特開2024-165689医用画像処理装置、X線診断装置、および医用画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165689
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、X線診断装置、および医用画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241121BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20241121BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241121BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20241121BHJP
【FI】
A61B6/00 350P
A61B6/00 360B
A61B6/00 370
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082084
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 美輝
(72)【発明者】
【氏名】相田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 早紀
(72)【発明者】
【氏名】高谷 美郁
(72)【発明者】
【氏名】及川 紘奈
(72)【発明者】
【氏名】小池 由貴
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA24
4C093DA02
4C093DA04
4C093EC16
4C093FF35
4C093FF37
4C093FF42
4C096AA18
4C096AC01
4C096AD14
4C096DC33
4C096DC36
(57)【要約】
【課題】被検体の部位を活動させる活動領域の電気信号を受信可能なデバイスの配置の留置に関する情報を、ユーザーに提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、位置合わせ部と、算出部と、表示部とを備える。取得部は、被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、前記複数の活動領域に関する3次元的な血管を示す血管画像とを取得する。位置合わせ部は、前記活動位置データと前記血管画像との位置合わせを実行する。算出部は、前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域の少なくとも一つと前記血管との位置関係を算出する。表示部は、前記位置関係に基づいて、前記活動領域からの電気信号を前記被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、前記複数の活動領域に関する3次元的な血管を示す血管画像とを取得する取得部と、
前記活動位置データと前記血管画像との位置合わせを実行する位置合わせ部と、
前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域の少なくとも一つと前記血管との位置関係を算出する算出部と、
前記位置関係に基づいて、前記活動領域からの電気信号を前記被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する表示部と、
を備えた医用画像処理装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記活動位置データと前記デバイスの配置に関する情報とを、前記血管画像に重畳させて表示する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域のうち一つの活動領域と前記血管との最短距離を、前記位置関係として算出する、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、
前記複数の活動領域各々における複数のボクセル各々の活動量に基づいて、前記複数の活動領域における活動量の重心位置を算出し、
前記位置合わせの結果に基づいて、前記重心位置と前記血管との最短距離を、前記位置関係として算出する、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記血管画像における血管上において、前記デバイスの配置に関する情報のうち前記デバイスの配置を、前記最短距離に関する位置からの距離に応じて異なる色相で表示する、
請求項3または4に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記血管の構造情報に基づいて、前記デバイスの配置に関して危険性を有する危険位置を算出し、
前記表示部は、前記血管上において、前記危険位置を前記色相とは異なる色相で表示する、
請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記被検体に関する透視画像を取得し、
前記表示部は、前記デバイスの配置に関する情報を、前記透視画像とともに表示する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記被検体の撮像に関する撮像系の幾何情報をさらに取得し、
前記算出部は、前記透視画像に関する前記幾何情報に基づいて、前記デバイスの配置に関する情報のうち前記デバイスの配置の目標を示す目標位置を、前記撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、
前記表示部は、前記目標位置を前記透視画像に重畳して表示する、
請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記デバイスに関する情報は、前記電気信号の受信に関して前記デバイスの配置の目標を示す目標位置を有し、
前記表示部は、前記目標位置への前記デバイスの到達を契機として、前記目標位置に前記デバイスが到達したことを報知する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記デバイスは、前記活動領域において発生した電気信号を受信する電極を有するステントである、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体に対する前記X線の照射に基づいて、3次元的な血管を示す血管画像を生成する画像生成部と、
前記被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、前記複数の活動領域に関する前記3次元的な血管画像と、を取得する取得部と、
前記活動位置データと前記血管画像との位置合わせを実行する位置合わせ部と、
前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域の少なくとも一つと前記血管との位置関係を算出する算出部と、
前記位置関係に基づいて、前記活動領域からの電気信号を前記被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する表示部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記被検体に対する透視撮影に基づいて生成された透視画像と、前記被検体の撮像に関する撮像系の幾何情報とを取得し、
前記算出部は、前記透視画像に関する前記幾何情報に基づいて、前記デバイスの配置に関する情報のうち前記デバイスの配置の目標を示す目標位置を、前記撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、
前記表示部は、前記目標位置を前記透視画像に重畳して表示する、
請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項13】
被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、前記複数の活動領域に関する3次元的な血管を示す血管画像とを取得し、
前記活動位置データと前記血管画像との位置合わせを実行し、
前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域の少なくとも一つと前記血管との位置関係を算出し、
前記位置関係に基づいて、前記活動領域からの電気信号を前記被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示すること、
を備えた医用画像処理方法。
【請求項14】
前記被検体に対する透視撮影に基づいて生成された透視画像と、前記被検体の撮像に関する撮像系の幾何情報とを取得し、
前記透視画像に関する前記幾何情報に基づいて、前記デバイスの配置に関する情報のうち前記デバイスの配置の目標を示す目標位置を、前記撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、
前記目標位置を前記透視画像に重畳して表示すること、
をさらに備える請求項13に記載の医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、X線診断装置、および医用画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動脈瘤および心筋梗塞の治療において、被検体の血管内に留置するステントが臨床で利用されている。当該ステントに受信用の電極を取り付けることで、例えば、脳の運動野からの電気信号をデータ化させるという試みが進められている。電極を有するステント(以下、電極搭載ステントと呼ぶ)を用いることで、脳で思考した情報からデジタル機器を制御することができるようになれば、運動神経障害者の新たな選択肢となる可能性がある。電極搭載ステントはすでにヒトへの臨床試験が実施されており、近い将来実用化される可能性が高い。
【0003】
電極搭載ステントの留置は、通常のステント(電極を有さないステント)を用いた治療とは異なる。すなわち、電極搭載ステントの留置場所には、留置場所の目印となる血管の瘤や狭窄は存在しない。また、電極搭載ステントが留置される静脈は、動脈に比べて非常に薄く、破れやすい。これらのことから、電極搭載ステントの留置は、血管内治療で通常実施される動脈へのステントの留置に比べて、難易度が高いと考えられる。
【0004】
また、従来、脳の神経活動部は、fMRI(functional magnetic resonance imaging:機能的磁気共鳴画像法)により位置を確認・画像化することができる。fMRIは、非侵襲で脳の神経活動部を確認することができ、かつ、目的の作業を実施する際に脳のどの部分が活動しているか可視化することができる。このため、電極搭載ステントの留置前の準備段階においても、fMRIによる脳の神経活動部の確認、留置する静脈の3D(3次元)造影、及び目的位置のマーキングが実施される。
【0005】
脳の神経活動部と血管との位置合わせ、及びマーキングは、ユーザーの手動で実施される。このため、電極搭載ステントの留置位置の判断は、術者の経験に委ねられる。また、術者は、別々に表示されるアンギオの透視画像とマーキングしたモデル画像とを見比べながら、手技を実施することになる。
【0006】
以上のことから、電極搭載ステントの最適な留置場所に、正確かつ安全に電極搭載ステントを留置するには、高度な技術と経験が必要になる。すなわち、電極搭載ステントの最適な留置場所を設定すること、および電極搭載ステントの最適な留置場所に、正確かつ安全に電極搭載ステントを留置することは、難しい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-000362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、被検体の部位を活動させる活動領域の電気信号を受信可能なデバイスの配置に関する情報を、ユーザーに提供することにある。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、位置合わせ部と、算出部と、表示部とを備える。取得部は、被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、前記複数の活動領域に関する3次元的な血管を示す血管画像とを取得する。位置合わせ部は、前記活動位置データと前記血管画像との位置合わせを実行する。算出部は、前記位置合わせの結果に基づいて、前記複数の活動領域の少なくとも一つと前記血管との位置関係を算出する。表示部は、前記位置関係に基づいて、前記活動領域からの電気信号を前記被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図。
図2図2は、実施形態に係り、血管画像と活動位置データとの位置合わせにより生成された活動血管重畳画像の一例を示す図。
図3図3は、実施形態に係り、複数の活動領域各々と血管との距離の一例を示す図。
図4図4は、実施形態に係り、算出機能により特定、またはユーザーにより選択された最大活動領域に対する目標位置の一例を示す図。
図5図5は、実施形態に係り、3つの活動領域の重心位置に基づく目標位置の設定の一例を示す図。
図6図6は、実施形態に係り、画像表示処理の手順の一例を示すフローチャート。
図7図7は、実施形態に係り、活動領域から血管までの最短距離の位置に対応する中心位置からの距離に応じた異なる色相の表示の一例を示す図。
図8図8は、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図。
図9図9は、実施形態の第2応用例に係り、留置位置画像を透視画像に重畳した画像の一例を示す図。
図10図10は、実施形態の第2応用例に係り、目標位置に対応するマーカーの色相が変更された一例を示す図。
図11図11は、実施形態の第2応用例に係り、留置表示処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、X線診断装置および医用画像処理方法の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る医用画像処理装置30を含む医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態に係る医用情報処理システム1は、X線診断装置10と、画像保管装置20と、医用画像処理装置30とを備える。図1に示すように、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30は、ネットワークを介して相互に接続される。
【0013】
X線診断装置10は、被検体PからX線画像データを収集する。例えば、X線診断装置10は、被検体Pから複数のX線画像データを収集し、収集した複数のX線画像データを画像保管装置20又は医用画像処理装置30に送信する。なお、X線診断装置10の構成については後述する。
【0014】
画像保管装置20は、X線診断装置10によって収集された複数のX線画像データを保管する。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。本実施形態では、画像保管装置20は、ネットワークを介してX線診断装置10から複数のX線画像データを取得し、取得した複数のX線画像データを、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。
【0015】
また、画像保管装置20は、各種診断装置によって収集された被検体の機能画像を保管する。機能画像は、例えば、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging:機能的磁気共鳴画像法)により得られた画像(以下、fMRI画像と呼ぶ)である。fMRI画像は、3次元的なボクセルデータであって、例えば、被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データに対応する。被検体の部位とは、例えば、指、四肢、表情筋、眼球など筋肉により動作する部分である。また、活動領域は、脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化した領域に対応する。被検体の脳を活動位置データの対象とする場合、活動領域は、脳における神経活動部に相当する。例えば、fMRI画像は、被検体に対するMRIにより生成された構造情報に、脳の機能活動がどの脳のどの部位で起きたのかを重畳して画像化したものである。活動位置データは、例えば、脳の領域に対応する複数のボクセル各々において、神経活動の強さをグレースケールで表したものに対応する。fMRI画像は、被検体に対する磁気共鳴撮像により、磁気共鳴イメージング装置により生成される。fMRI画像の生成は、既知の手法が利用可能であるため、説明は省略する。
【0016】
なお、機能画像は、上記fMRI画像に限定されない。例えば、機能画像は、筋電位計により取得された筋電位の強弱の分布を示すマップであってもよいし、被検体の脳の活動を磁場でとらえた脳磁図であってもよい。また、機能画像は、被検体に張り付けられた電極シートにより取得された電気信号のマップであってもよい。以下、説明を具体的にするために、活動位置データは、fMRI画像(ボクセルデータ)であるものとして説明する。このとき、画像保管装置20は、ネットワークを介して不図示のMRI装置からfMRI画像を取得し、取得したfMRI画像を、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。
【0017】
画像保管装置20は、各種診断装置によって収集された被検体の血管画像を保管する。血管画像は、複数の活動領域に関する3次元的な血管の構造を示す画像である。すなわち、血管画像は、3次元的な血管の構造を示す3D血管モデルに相当する。すなわち、血管画像は、複数の活動領域の近傍における血管の構造を示すボリュームデータである。血管画像は、例えば、MRI装置、X線CT(Computed Tomography)装置、造影画像を収集するX線診断装置10などを用いた造影撮影により取得される。造影画像を収集するX線診断装置10では、DSA(Digital Subtraction Angiography:デジタル差分血管造影法)により血管画像が生成されてもよい。或いは、造影画像を収集するX線診断装置10では、造影画像に対する画像処理に基づいて血管画像が生成されてもよい。これらの装置による血管画像の生成は、既知の手法が利用可能であるため、説明は省略する。
【0018】
医用画像処理装置30は、ネットワークを介して時系列の複数のX線画像データをX線診断装置10から取得し、取得した複数のX線画像データを用いて種々の処理を実行する。例えば、医用画像処理装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。本実施形態では、医用画像処理装置30は、ネットワークを介してX線診断装置10又は画像保管装置20から複数のX線画像データを取得する。加えて、医用画像処理装置30は、ネットワークを介して画像保管装置20から活動位置データを取得する。また、医用画像処理装置30は、活動位置データと血管画像との位置合わせを実行し、当該位置合わせの結果に基づいて、複数の活動領域の少なくとも一つと血管との位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて、活動領域からの電気信号を被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を、ディスプレイ32に表示させる。
【0019】
図1に示すように、医用画像処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
【0020】
入力インターフェース31は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース31は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路34へと出力する。なお、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用画像処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。入力インターフェース31は、入力部の一例である。
【0021】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、各種のX線画像データを表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、表示部の一例である。
【0022】
メモリ33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、画像保管装置20から取得した複数のX線画像データを記憶する。また、例えば、メモリ33は、医用画像処理装置30に含まれる各回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。メモリ33は、記憶部の一例である。
【0023】
処理回路34は、取得機能34a、位置合わせ機能34b、算出機能34c、及び表示制御機能34dを実行することで、医用画像処理装置30全体の動作を制御する。
【0024】
処理回路34は、取得機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、画像保管装置20から血管画像を取得する。なお、取得機能34aは、被検体に対するDSAによりX線診断装置10から血管画像を取得してもよい。また、取得機能34aは、画像保管装置20から活動位置データを取得する。取得機能34aは取得した血管画像と活動位置データとをメモリ33に記憶させる。取得機能34aを実現する処理回路34は、取得部に対応する。
【0025】
処理回路34は、位置合わせ機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、活動位置データと血管画像との位置合わせを実行する。例えば、位置合わせ機能34bは、活動位置データと血管画像とにおける複数の解剖学的特徴点(Anatomical Landmarks:解剖学的ランドマークともいう)を検出する。複数の解剖学的特徴点の検出は、セグメンテーション処理、画像認識に関する学習済みモデルへの入力など、既知の方法が適用可能であるため、説明は省略する。次いで、位置合わせ機能34bは、検出された複数の解剖学的特徴点を用いて、活動位置データと血管画像との位置合わせを実行する。
【0026】
当該位置合わせは、例えば、活動位置データと血管画像とのうち少なくとも一つに対する剛体位置合わせ(アフィン変換など)および/または非剛体位置合わせなどである。位置合わせの具体的な手法は、各種既知の方法が適用可能であるため、説明は省略する。当該位置合わせにより、位置合わせ機能34bは、活動位置データと血管画像との位置合わせの結果として、例えば、血管画像に活動位置データを重畳させた活動血管重畳画像を生成する。位置合わせ機能34bは、位置合わせされた活動位置データと血管画像とを、例えば、活動血管重畳画像としてメモリ33に記憶させる。位置合わせ機能34bを実現する処理回路34は、位置合わせ部に対応する。
【0027】
図2は、血管画像VIと活動位置データAPDとの位置合わせにより生成された活動血管重畳画像AVSIの一例を示す図である。図2に示すように、血管画像VIは、被検体の脳内における3次元的な血管の構造を示している。また、図2に示すように、活動位置データAPDは、被検体に部位に応じた活動領域を、活動量の強さに応じたグレースケールで示している。活動位置データAPDは、図2に示すようにfMRI画像を示している。また、図2に示すように、活動血管重畳画像AVSIは、血管画像VIと活動位置データAPDとの3次元的な位置合わせにより、血管画像VIに活動位置データAPDが重畳されている。活動血管重畳画像AVSIは、3次元的な血管と3次元的な複数の活動領域とを示す、3次元的なモデルに相当する。
【0028】
処理回路34は、算出機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、位置合わせ機能34bによる活動位置データと血管画像VIとの位置合わせの結果(活動血管重畳画像AVSI)に基づいて、複数の活動領域の少なくとも一つと血管画像VIにおける血管との位置関係を算出する。例えば、算出機能34cは、複数の活動領域の少なくとも一つと血管との距離を、位置合わせされた3次元モデル(活動血管重畳画像AVSI)上で計算する。算出機能34cを実現する処理回路34は、算出部に対応する。
【0029】
図3は、複数の活動領域各々と血管BVとの距離の一例を示す図である。図3では、複数の活動領域として、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)が示されている。図3では、算出機能34cは、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)に対応する、血管BVからの3つの最短距離(D1、D2、D3)を、活動血管重畳画像AVSIを用いて計算する。図3に示すように、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)に関する3つの距離(D1、D2、D3)において、第1の活動領域AR1に関する距離D1が、他の2つの活動領域(AR2、AR3)よりも短い。
【0030】
以下、説明を具体的にするために、複数の活動領域の少なくとも一つは、複数の活動領域に活動領域のうち最も大きい活動量の代表値に対応する活動領域(以下、最大活動領域と呼ぶ)であるものとする。最大活動領域とは、例えば、複数の活動領域各々において複数のボクセルに対応する複数の活動量の平均値、最大値、または中央値などの活動量の代表値(以下、活動代表値と呼ぶ)が最大となる活動領域に対応する。活動代表値は、複数の活動領域各々において、複数のボクセルに対応する複数の活動量に対する平均値、最大値または中央値を計算することで、算出機能34cにより算出される。最大活動領域は、活動位置データに基づいて算出機能34cにより特定される。なお、最大活動領域は、入力インターフェース31を介してユーザーにより選択された活動領域であってもよい。
【0031】
具体的には、処理回路34は、算出機能34cにより、活動血管重畳画像AVSIにおける血管BVの芯線を抽出する。なお、算出機能34cは、芯線の代わりに、血管壁を抽出してもよい。芯線および/または血管壁の抽出は、既知のセグメンテーション処理などが適用可能であるため、説明は省略する。次いで、算出機能34cは、活動血管重畳画像AVSIにおいて、血管BVの芯線または血管壁から、最大活動領域までの距離を、上記位置関係として算出する。上記距離は、例えば最短距離である。なお、活動位置データにおける脳の活動部位は、被検体での実現したい動作によって強く活動する部位が異なることが知られている。例えば、1つの電極を搭載したステント(以下、電極搭載ステントと呼ぶ)で複数の希望動作を実現したい場合、各希望動作時における複数のfMRI画像を、上記最短距離の算出に用いてもよい。
【0032】
処理回路34は、算出機能34cにより、位置関係に基づいて、活動領域からの電気信号を被検体Pの血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を生成する。デバイスは、例えば、活動領域に関する静脈の血管BVに留置可能であって、当該活動領域で発生した電気信号を受信する電極を搭載したステント(電極搭載ステント)である。すなわち、本実施形態におけるステントは、動脈が狭くなった部位(心臓、頚、腎、下肢など)を拡張する目的で使用されるステントと、および悪性腫瘍で食道、気管、消化管が狭くなった場合に使用されるステントとは、異なるものである。本実施形態で用いられる電極搭載ステントは、既知のものが利用可能であるため、説明は省略する。
【0033】
例えば、処理回路34は、算出機能34cにより、最大活動領域に関して算出された最短距離を用いて、最大活動領域からの電気信号の受信に関してデバイスの配置の目標を示す位置(以下、目標位置と呼ぶ)を、血管BV上に設定する。具体的には、算出機能34cは、メモリ33からデバイスの長さを読み出す。次いで、算出機能34cは、最短距離に関する血管BV上の位置をデバイスの長軸方向の中心として特定する。続いて、算出機能34cは、特定された位置をデバイスの長軸方向の中心として、血管BVに沿ったデバイスの配置(向き、座標)を、目標位置として算出する。目標位置は、例えば、活動血管重畳画像AVSIにおける3次元的な座標として、算出機能34cにより算出される。目標位置、デバイス長、最大活動領域と血管BVとの距離などは、デバイスの配置に関する情報に含めて、メモリ33に記憶される。すなわち、デバイスの配置に関する情報は、目標位置、デバイス長、(最大)活動領域と血管BVとの距離などを有する。
【0034】
図4は、算出機能34cにより特定、またはユーザーにより選択された最大活動領域AR1に対する目標位置TPの一例を示す図である。図4では、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)のうち第1の活動領域AR1が最大活動量領域として特定または選択されている。図4に示すように、最大活動領域AR1に関する血管BVにおいて、最短距離D1に関する位置をデバイスの配置の中心(以下、中心位置と呼ぶ)CPとして、目標位置TPが設定される。
【0035】
なお、本実施形態の応用例として、機能画像が筋電位である場合、算出機能34cは、筋電位の測定対象となる筋肉に関する静脈血管において、目標位置を算出する。また、上記説明において血管は、脳内にあるものとして設定したが、頸椎における神経を通過する上記電気信号を上記デバイスで受信する場合、上記血管は、例えば頸静脈に相当する。
【0036】
また、複数の活動領域からの電気信号の受信をユーザーが所望する場合、算出機能34cは、例えば、入力インターフェース31を介してユーザーにより選択された複数の活動領域の重心位置を算出する。なお、重心位置の算出に関する複数の活動領域は、ユーザーの選択に限定されず、複数の活動領域に対応する複数の活動代表値のうち、予め設定された上位の複数(例えば、活動代表値の大きい順に上位n個(nは、予め設定された整数(例えば、2、3、4、5、など)))である。また、複数の活動代表値は、算出機能34cにより、予め設定された閾値により、判定されてもよい。閾値未満の活動代表値(すなわち、一定の強度以下の活動代表値)に対応する活動領域は、重心位置の算出から除外される。当該閾値は、活動量の強弱に対応し、メモリ33に記憶される。なお、当該閾値は、入力インターフェース31を介して、ユーザーにより適宜調整可能である。
【0037】
例えば、処理回路34は、算出機能34cにより、複数の活動領域各々における複数のボクセル各々の活動量に基づいて、複数の活動領域における活動量の重心位置を算出する。具体的には、算出機能34cは、ユーザーにより選択された、もしくは所定の閾値を超える活動代表値に対応する複数の活動領域各々における複数のボクセル各々の活動量を用いて、複数の活動領域に関する重心位置を計算する。重心位置の計算において、複数のボクセル各々の活動量の大きさを重みとして用いて、重心位置を計算してもよい。
【0038】
重心位置が算出されると、処理回路34は、算出機能34cにより、位置合わせの結果である活動血管重畳画像AVSIに基づいて、重心位置と血管BVとの最短距離を、位置関係として算出する。すなわち、算出機能34cは、重心位置から最も近い血管BVの位置(活動血管重畳画像AVSIにおける座標)を算出する。位置関係に基づいてデバイスの配置に関する情報を生成する処理は、上記のとおりであるため、説明は省略する。
【0039】
図5は、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)の重心位置CGに基づく目標位置TPの設定の一例を示す図である。図5では、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)がユーザーにより選択、もしくは所定の閾値を超える活動代表値に対応するものとして選択されている。図5に示すように、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)に関する血管BVにおいて、3つの活動領域(AR1、AR2、AR3)の重心位置CGからの最短距離に関する位置を目標位置TPとして、デバイスの配置に関する中心位置CPが設定される。すなわち、目標位置TPと中心位置CPとが重なるように、目標位置TPが設定される。
【0040】
処理回路34は、表示制御機能34dに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、算出機能34cにより算出された位置関係に基づいて、活動領域からの電気信号を被検体の血管内で受信可能なデバイス(電極搭載デバイス)の配置に関する情報を、ディスプレイ32に表示させる。電極搭載デバイスは、例えば、電極搭載ステントに対応する。これにより、ディスプレイ32は、電極搭載デバイスの配置に関する情報を表示する。例えば、表示制御機能34dは、活動位置データと電極搭載デバイスの配置に関する情報とを、血管画像VIに重畳させて、ディスプレイ32に表示させる。このとき、ディスプレイ32は、血管画像VIに、活動位置データと電極搭載デバイスの配置に関する情報とを重畳させて表示する。表示制御機能34dを実現する処理回路34は、表示制御部に対応する。
【0041】
以上、実施形態に係る医用画像処理装置30の全体構成について説明した。以下、血管画像VIに、活動位置データと電極搭載デバイスの配置に関する情報とを重畳させて表示する処理(以下、画像表示処理と呼ぶ)について、図6を用いて説明する。
【0042】
図6は、画像表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、説明を具体的にするために、活動位置データは、3次元的なfMRI画像APDであるものとする。また、血管画像VIは、X線診断装置10におけるDSA法により生成された、被検体の脳における血管ボリュームデータであるものとする。
【0043】
(画像表示処理)
(ステップS601)
処理回路34は、取得機能34aにより、画像保管装置20からfMRI画像APDと血管画像VIとを取得する。fMRI画像APDと血管画像VIとは、同一被検体に関する画像である。取得機能34aは、fMRI画像APDと血管画像VIとをメモリ33に記憶させる。
【0044】
(ステップS602)
処理回路34は、位置合わせ機能34bにより、fMRI画像APDと血管画像VIとをメモリ33から読みだす。位置合わせ機能34bは、fMRI画像APDと血管画像VIとの位置合わせを実行する。当該位置合わせは、3次元的な位置合わせである。これにより、位置合わせ機能34bは、活動血管重畳画像AVSIを生成する。位置合わせ機能34bは、生成された活動血管重畳画像AVSIをメモリ33に記憶させる。
【0045】
(ステップS603)
処理回路34は、算出機能34cにより、位置合わせの結果に基づいて、複数の活動領域の少なくとも一つと血管BVとの位置関係を算出する。ユーザーなどにより一つの活動領域が選択された場合、例えば、図4に示すように、第1の活動領域AR1がユーザーにより選択された場合、算出機能34cは、位置関係として、図4に示すように、血管BVから第1の活動領域AR1までの最短距離D1を算出する。
【0046】
また、ユーザーなどにより複数の活動領域が選択された場合、例えば、図5に示すように、第1乃至第3の活動領域(AR1、AR2、AR3)がユーザーにより選択された場合、算出機能34cは、図4に示すように、重心位置CGを算出する。次いで、算出機能34cは、重心位置CGから血管BVまでの最短距離を算出する。
【0047】
(ステップS604)
処理回路34は、算出機能34cにより、算出された位置関係に基づいて、血管BV上における電極搭載デバイスの配置の目標位置TPを算出する。算出機能34cは、算出された目標位置TPに関する情報(座標、向きベクトルなど)を、メモリ33に記憶させる。
【0048】
(ステップS605)
処理回路34は、表示制御機能34dにより、活動血管重畳画像AVSIに目標位置TPを重畳させて、ディスプレイ32に表示させる。このとき、入力インターフェース31を介したユーザーの指示により、目標位置TPは適宜調整可能である。また、活動血管重畳画像AVSIに目標位置を重畳させた状態において、活動領域の選択は適宜変更可能である。このとき、ステップS603以降の処理が繰り返される。なお、表示制御機能34dは、fMRI画像または血管画像VIに目標位置TPを重畳して、ディスプレイ32に表示させてもよい。入力インターフェース31を介したユーザーの指示により、目標位置TPの確定指示が入力されると、表示制御機能34dは、活動血管重畳画像AVSIに目標位置TPを重畳させた画像(以下、目標位置提示画像と呼ぶ)を、メモリ33に記憶させる。
【0049】
以上に述べた実施形態に係る医用画像処理装置30は、被検体の部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、当該複数の活動領域に関する3次元的な血管BVを示す血管画像VIとを取得し、取得した活動位置データと血管画像VIとの位置合わせを実行し、当該位置合わせの結果に基づいて、当該複数の活動領域の少なくとも一つと当該血管BVとの位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて、当該活動領域からの電気信号を被検体の血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する。このとき、実施形態に係る医用画像処理装置30において、当該デバイスは、例えば、当該活動領域において発生した電気信号を受信する電極を有するステントである。また、実施形態に係る医用画像処理装置30は、当該活動位置データと当該デバイスの配置に関する情報とを、当該血管画像VIに重畳させて表示する。
【0050】
例えば、実施形態に係る医用画像処理装置30は、位置合わせの結果に基づいて、複数の活動領域のうち一つの活動領域と血管BVとの最短距離D1を、当該位置関係として算出する。また、実施形態に係る医用画像処理装置30は、複数の活動領域各々における複数のボクセル各々の活動量に基づいて、当該複数の活動領域における活動量の重心位置を算出し、当該位置合わせの結果に基づいて、血管BVと算出された重心位置との最短距離D1を、当該位置関係として算出する。
【0051】
これらのことから、実施形態に係る医用画像処理装置30によれば、fMRI画像などの活動位置データと血管画像VIとに基づいて、デバイスの留置の目標位置TPを、かつ活動位置データおよび血管画像VIとともに、ユーザーに提示することができる。このため、実施形態に係る医用画像処理装置30によれば、デバイスの留置の目標位置TPの設定に関して、ユーザーの操作を低減させて、最適なデバイスの留置位置をユーザーに提示することができる。これにより、実施形態に係る医用画像処理装置30によれば、デバイスの留置に関する診断の効率(スループット)を向上させることができる。
【0052】
(第1応用例)
本応用例は、実施形態において算出された目標位置TPがデバイスの留置に適さない場合、目標位置の変更を提示することにある。例えば、処理回路34は、算出機能34cにより、血管画像VIにおける血管BVの構造情報に基づいて、電極搭載デバイスの配置に関して危険性を有する危険位置を算出する。血管BVの構造情報は、例えば、目標位置TPに重畳する血管BVの曲率および目標位置TPに重畳する血管BVにおける分岐の有無に対応する。例えば、算出機能34cは、目標位置TPに重畳する血管BVの曲率を算出する。なお、算出機能34cは、当該曲率の代わりに、目標位置TPに重畳する血管BVの曲率半径を算出してもよい。また、算出機能34cは、目標位置TPに重畳する血管BVにおいて、分岐の有無を特定する。本応用例に関する画像表示処理は、例えば、ステップS605以降に実施される。
【0053】
処理回路34は、算出機能34cにより、電極搭載デバイスの長さと、電極搭載デバイスの弾性と、算出された曲率(または算出された曲率半径)と、分岐の有無とに基づいて、電極搭載デバイスの配置に関して危険性を有する危険位置(血管画像VIにおける座標など)を算出する。例えば、算出機能34cは、電極搭載デバイスの長さと分岐の長さとの重畳部分の長さの算出により、当該目標位置TPを危険位置として判定してもよい。危険位置は、目標位置TPに重畳する血管BVにおいて分岐がある場合、すなわち電極搭載デバイスを目標位置TPに配置した場合に電極搭載デバイスの一部が当該分岐に重なる場合に相当する。
【0054】
電極搭載デバイスの長さおよび弾性は、入力インターフェース31を介して電極搭載デバイスの種別が選択されると、当該種別と電極搭載デバイスの長さおよび弾性とを対応付けた対応表と、選択された種別とを照合することで、例えば算出機能34cにより決定される。また、処理回路34は、算出機能34cは、血管BVの曲率(または曲率半径)と、電極搭載デバイスの長さと、電極搭載デバイスの弾性とにより、目標位置TPの危険位置を算出する。算出機能34cは、算出された危険位置(座標)を、メモリ33に記憶させる。
【0055】
処理回路34は、表示制御機能34dにより、血管画像VIにおける血管上において、をデバイスの配置に関する情報のうちデバイスの配置を、最短距離に関する位置(上記中心位置CP)からの距離に応じて異なる色相で、ディスプレイ32に表示させる。このとき、ディスプレイ32は、血管画像VIの血管上で、電極搭載デバイスの配置を、中心位置CPからの距離に応じて異なる色相で表示する。
【0056】
図7は、活動領域AR1から血管BVまでの最短距離の位置に対応する中心位置CPからの距離に応じた異なる色相SCの表示の一例を示す図である。図7では、異なる色相SCは、ハッチングの濃さで表されている。ディスプレイ32は、例えば、図7に示すように、中心位置SCから1mm離れるごとに異なる色相SCで、血管BV上を表示する。図7に示すように、入力インターフェース31を介したユーザーの操作により、血管BVに沿った目標位置TPの移動・調整時において、中心位置CPからの距離に応じた異なる色相SCは、スケールに相当するものとなる。
【0057】
また、処理回路34は、表示制御機能34dにより、血管BV上において、算出された危険位置を上記スケールに対応する色相とは異なる色相(以下、危険色相と呼ぶ)で、ディスプレイ32に表示させる。危険色相は、図7に示す色相とは異なる色相であって、例えば、赤色オレンジ色などの警戒色であってもよい。なお、表示制御機能34dは、血管BV上での目標位置TPの場所に応じて、当該場所における曲率または曲率半径を、ディスプレイ32に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、目標位置TPにおける曲率または曲率半径を把握することができる。
【0058】
以上に述べた実施形態の第1応用例に係る医用画像処理装置30は、血管画像VIにおける血管BV上において、デバイスの配置に関する情報のうちデバイスの配置を、最短距離に関する位置(中心位置CP)からの距離に応じて異なる色相CSで表示する。これにより、実施形態の第1応用例に係る医用画像処理装置30によれば、ユーザーは、入力インターフェース31を介して簡便に目標位置TPを移動・調整することができる。
【0059】
また、実施形態の第1応用例に係る医用画像処理装置30は、血管BVの構造情報に基づいて、デバイスの配置に関して危険性を有する危険位置を算出し、血管BV上において、危険位置を上記色相とは異なる色相(危険色相)で表示する。これにより、実施形態の第1応用例に係る医用画像処理装置30によれば、算出された目標位置TPにおける血管BVの曲率が大きい場合、もしくは他の危険があると考えられる部位(例えば分岐)など目標位置TPが電極搭載デバイスの留置に適さない位置だった場合、血管BV上に危険色相を表示させることができる。これにより、ユーザーは、入力インターフェース31を介して、ワンタッチで電極搭載デバイスの留置が安全な位置まで、目標位置TPを変更することができる。他の効果は実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0060】
(第2応用例)
本応用例は、入力インターフェース31により決定された目標位置TPを、X線診断装置10から取得された透視画像とともにディスプレイに表示することにある。以下、説明を具体的にするために、本応用例では、医用画像処理装置30の処理回路34における各種機能は、X線診断装置10に搭載されたものとして説明する。なお、本応用例において実現される技術的特徴は、X線診断装置10から透視画像を取得することにより、医用画像処理装置30単体においても実現可能である。
【0061】
図8は、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、コリメータ103と、フィルタ104と、天板105と、Cアーム106と、X線検出器107と、制御装置108と、メモリ109と、ディスプレイ110と、入力インターフェース111と、処理回路112とを備える。
【0062】
X線高電圧装置101は、処理回路112による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0063】
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。これにより、X線管102は、被検体PにX線を照射する。
【0064】
コリメータ(X線絞り装置ともいう)103は、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータ103は、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。
【0065】
フィルタ104は、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラストの低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタ104は、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
【0066】
天板105は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。
【0067】
Cアーム106は、X線管102、コリメータ103及びフィルタ104と、X線検出器107とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。なお、図8では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。また、Cアーム106に関する駆動機構については、例えば循環器用のアンギオ装置に関するものなど、既知の駆動機構が適用可能である。
【0068】
X線検出器107は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器107は、X線管102から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路112へと出力する。なお、X線検出器107は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0069】
制御装置108は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この機構を制御する回路とを含む。制御装置108は、処理回路112による制御の下、コリメータ103やフィルタ104、天板105、Cアーム106等の動作を制御する。例えば、制御装置108は、コリメータ103の絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、制御装置108は、フィルタ104の位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。また、例えば、制御装置108は、Cアーム106を回転・移動させたり、天板105を移動させたりする。
【0070】
メモリ109は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ109は、例えば、処理回路112によって収集されたX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ109は、処理回路112によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ109は、図1に記載の医用画像処理装置30におけるメモリ33に記憶されたものと同様な記憶内容を記憶する。
【0071】
ディスプレイ110は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ110は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像データを表示する。例えば、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。なお、ディスプレイ1110は、図1に記載の医用画像処理装置30におけるディスプレイ32と同様な表示内容を表示する。
【0072】
入力インターフェース111は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース111は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路112へと出力する。なお、入力インターフェース111は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路112へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース111の例に含まれる。なお、入力インターフェース111は、図1に記載の医用画像処理装置30における入力インターフェース31と同様な操作が入力可能である。
【0073】
処理回路112は、制御機能112a、収集機能112b、取得機能34a、位置合わせ機能34b、算出機能34c、及び表示制御機能34dを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。取得機能34a、位置合わせ機能34b、算出機能34c、及び表示制御機能34dに関する処理において、実施形態同様な処理については、説明を省略する。
【0074】
処理回路112は、メモリ109から制御機能112aに対応するプログラムを読み出して実行することにより、入力インターフェース111を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路112の各種機能を制御する。制御機能112aを実現する処理回路112は、制御部に対応する。
【0075】
処理回路112は、メモリ109から収集機能112bに対応するプログラムを読み出して実行することにより、X線画像データを収集する。例えば、収集機能112bは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能112bは、制御装置108を制御し、コリメータ103が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能112bは、制御装置108を制御し、フィルタ104の位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。
【0076】
また、処理回路112は、収集機能112bにより、制御装置108を制御し、Cアーム106の回転及び移動、天板105の移動等を制御する。また、収集機能112bは、X線検出器107から受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ109に格納する。ここで、収集機能112bは、メモリ109が記憶するX線画像データに対して各種画像処理を行なう場合であってもよい。例えば、収集機能112bは、X線画像データに対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や、散乱線補正を実行する。収集機能112bを実現する処理回路112は、収集部に対応する。これらにより、収集機能112bは、被検体Pに対するX線の照射に基づいて、3次元的な血管BVを示す血管画像VIを生成する。このとき、収集機能112bを実現する処理回路112は、画像生成部に対応する。
【0077】
処理回路112は、取得機能34aにより、被検体Pに関する透視画像を、収集機能112bから取得する。また、取得機能34aは、取得された透視画像に関連し被検体Pの撮像に関する撮像系の幾何情報を、制御装置108から取得する。幾何情報は、例えば、Cアーム106の位置、Cアーム106の角度、天板105の位置(座標)などの幾何的な情報である。なお、幾何情報は、被検体Pに対するX線の撮像におけるX線管102およびX線検出器107に関する幾何的な情報であってもよい。取得機能34aは、透視画像と幾何情報とを関連付けて、メモリ109に記憶してもよい。また、取得機能34aは、目標位置TPが設定された血管画像VI(以下、留置位置設定画像と呼ぶ)をメモリ109から取得する。
【0078】
処理回路112は、位置合わせ機能34bにより、留置位置設定画像と透視画像との位置合わせを実行する。当該位置合わせの結果により、位置合わせ機能34bは、留置位置設定画像と透視画像に関する幾何情報とを関連付ける。位置合わせ機能34bは、留置位置設定画像と幾何情報との関連付けに関する情報(以下、関連付け情報と呼ぶ)を、メモリ109に記憶させる。当該関連付け情報は、例えば、幾何情報に基づいて、透視画像と同一の視点および視線方向から留置位置設定画像を表示させるための行列などである。
【0079】
処理回路112は、算出機能34cにより、取得された透視画像に関する幾何情報に基づいて、デバイスの配置に関する情報のうちデバイスの配置の目標を示す目標位置TPを、撮像系の幾何情報の変更に追従して算出する。具体的には、算出機能34cは、取得された透視画像に関する幾何情報と関連付け情報とを用いて、位置合わせ後の留置位置設定画像を、透視画像と同様な視点および視線方向に対応した画像に変換する。これらにより、算出機能34cは、撮像系の幾何情報の変更に追従した留置位置設定画像の変換により、透視画像に対応する、留置位置設定画像の表示用の画像(以下、留置位置画像と呼ぶ)を算出する。
【0080】
処理回路112は、メモリ109から表示制御機能34dに対応するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ110において、収集機能112bによって収集されたX線画像データを表示する。また、表示制御機能34dは、ディスプレイ110において、操作者の指示を受け付けるためのGUIを表示する。
【0081】
また、処理回路112は、表示制御機能34dにより、目標位置TPを透視画像に重畳して、ディスプレイ110に表示させる。すなわち、表示制御機能34dは、留置位置画像を透視画像に重畳して、ディスプレイ110に表示する。なお、表示制御機能34dは、留置位置画像における目標位置TPを透視画像に重畳して、ディスプレイ110に表示してもよい。これらにより、ディスプレイ110は、目標位置TPを透視画像に重畳して表示する。なお、表示制御機能34dは、透視画像が表示されるディスプレイ110の一部、または透視画像が表示されるディスプレイ110とは異なるモニタ(例えば、図8では不図示のリファレンスモニタなど)に、図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する表示画像を表示させてもよい。
【0082】
図9は、留置位置画像を透視画像FIに重畳した画像の一例を示す図である。図9に示すように、被検体Pに対する透視画像FIにおいて、血管BV上に目標位置TPが表示される。このとき、透視画像の更新に応じて、血管BVおよび目標位置TPが更新されたディスプレイ110に表示される。
【0083】
目標位置TPまで電極搭載デバイスが移動した場合、処理回路112は、表示制御機能34dにより、目標位置TPを示すマーカーの色相を変更して、ディスプレイ110に表示させる。例えば、算出機能34cは、透視画像FIにおける電極搭載デバイスの位置を算出する。具体的には、算出機能34cは、既知の画像認識技術により、透視画像FIにおける電極搭載デバイスの位置を特定する。次いで、算出機能34cは、特定された電極搭載デバイスの位置と目標位置TPとの差異を算出する。当該差異は、例えば、特定された電極搭載デバイスの位置の座標と目標位置TPの座標との差分(距離)である。算出機能34cは、算出された差分と予め設定された値とを比較し、算出された差分が予め設定された値以下であれば、電極搭載デバイスが目標位置TPに到達したと判定する。当該予め設定された値は、メモリ109に記憶される。電極搭載デバイスが目標位置TPに到達したとの判定に応答して、表示制御機能34dは、目標位置TPを示すマーカーの色相を変更して、ディスプレイ110に表示させる。
【0084】
図10は、目標位置TPに対応するマーカーTPCCの色相が変更された一例を示す図である。図10に示すように、電極搭載デバイスが目標位置TPに到達すると、図9とは異なり、マーカーTPCCの色相(図10ではハッチング)が変更されてディスプレイ110に表示される。すなわち、ディスプレイ110は、目標位置TPへの電極搭載デバイスの到達(以下、デバイス到達と呼ぶ)を契機として、目標位置TPに電極搭載デバイスが到達したことを、ユーザーに報知する。なお、デバイス到達の報知は、上記目標位置TPを示すマーカーの色相の変更に限定されず、例えば音声、ランプの点灯などにより実現されてもよい。デバイス到達の報知が音声で出力される場合、音声の出力は、ディスプレイ110に限定されず、既知のスピーカなどから出力されてもよい。
【0085】
図8に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ109へ記憶されている。処理回路112は、メモリ109からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路112は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図8においては単一の処理回路112にて、制御機能112a、収集機能112b、取得機能34a、位置合わせ機能34b、算出機能34c、及び表示制御機能34dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路112を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0086】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。処理回路34および処理回路112におけるプロセッサは、メモリ33又はメモリ109に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ33又はメモリ109にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態のプロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0087】
以上、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10の全体構成について説明した。以下、電極搭載デバイスを目標位置TPに留置させる際における表示処理(以下、留置表示処理と呼ぶ)について、図11を用いて説明する。図11は、留置表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。留置表示処理は、例えば、撮像系の移動に伴う透視画像の更新に応じて、血管BVおよび目標位置TPを撮像系の移動に追従して、透視画像に重畳してディスプレイ110に表示させる処理である。
【0088】
(留置表示処理)
(ステップS111)
処理回路112は、取得機能34aにより、メモリ109から留置位置設定画像を取得する。
【0089】
(ステップS112)
制御装置108は、制御機能112aによる制御のもとで、被検体Pに対して透視撮影を実行する。これにより、処理回路112は、収集機能112bにより透視画像を生成する。このとき、透視画像に幾何情報が関連づけられている。処理回路112は、取得機能34aにより、透視画像と幾何情報とを取得する。
【0090】
(ステップS113)
処理回路112は、位置合わせ機能34bにより、留置位置設定画像と透視画像との位置合わせを実行する。当該位置合わせは、留置位置設定画像における視線および視線方向と透視画像の幾何情報とを関連付けることに相当する。これにより、位置合わせ機能34bは、透視画像と留置位置設定画像とを関連付ける関連付け情報を生成する。
【0091】
(ステップS114)
処理回路112は、算出機能34cにより、関連付け情報と幾何情報と留置位置設定画像とに基づいて、留置位置画像を生成する。留置位置画像は、透視画像と同様な視点および視線方向で生成された画像であって、血管BVと目標位置TPとを有する。
【0092】
(ステップS115)
処理回路112は、表示制御機能34dにより、留置位置画像を透視画像に重畳してディスプレイ110に表示させる。これにより、ディスプレイ110は、図9に示すように、被検体Pに対する透視画像FIにおいて、血管BV上に目標位置TPを表示する。このとき、表示制御機能34dは、ディスプレイ110の一部、またはディスプレイ110とは異なるリファレンスモニタなどに、図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する表示画像、および/またはfMRI画像を表示させてもよい。
【0093】
(ステップS116)
被検体Pへの透視撮影において撮像系(Cアーム106、天板105など)が移動された場合(ステップS116のYes)、ステップS117の処理が実行される。被検体Pへの透視撮影において撮像系が移動されなかった場合(ステップS116のNo)、ステップS118の処理が実行される。
【0094】
(ステップS117)
制御装置108は、制御機能112aによる制御のもとで、被検体Pに対して透視撮影を実行する。これにより、処理回路112は、収集機能112bにより透視画像を生成する。処理回路112は、取得機能34aにより、透視画像と幾何情報とを取得する。本ステップの後、ステップS114以降の処理が繰り返される。
【0095】
(ステップS118)
処理回路112は、算出機能34cにより、透視画像FIにおける電極搭載デバイスの位置と、目標位置Tpとの差異に基づいて、電極搭載デバイスが目標位置TPに到達したか否かを判定する。電極搭載デバイスが目標位置TPに載置されれば(ステップS118のYes)、ステップS119の処理が実行される。電極搭載デバイスが目標位置TPに載置されていなければ(ステップS118のNo)、ステップS116以降の処理が実行される。
【0096】
(ステップS119)
処理回路112は、表示制御機能34dにより、目標位置TPを示すマーカーの色相を変更して、ディスプレイ110に表示させる。このとき、ディスプレイ110は、図10に示すように、マーカーTPCCの色相(図10ではハッチング)を、電極搭載デバイスが目標位置TPに到達前の色相から変更して表示する。なお、電極搭載デバイスが目標位置TPに到達した場合の応答としては、上記マーカーTPCCの色相の変更に限定されず、例えば音声が出力されてもよい。本ステップにより、留置表示処理は終了する。
【0097】
上記第2応用例の変形例として、留置表示処理における留置位置設定画像と同様に、活動血管重畳画像に関する図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する画像が留置表示処理に用いられてもよい。このとき、算出機能34cは、活動血管重畳画像に関する図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する画像を、留置表示処理における説明と同様に、撮像系の移動に追従して、透視画像と同じ視点および同じ視線方向に対応した画像を生成する。次いで、表示制御機能34dは、ディスプレイ110の一部またはリファレンスモニタなどに、撮像系の移動に追従して生成された画像を表示させる。これらにより、ディスプレイ110の一部またはリファレンスモニタなどは、撮像系の移動に追従して、透視画像に対応する図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する画像を手技の参照画像として表示する。
【0098】
なお、留置表示処理は、上記幾何情報を用いることに限定されず、撮像系の移動に追従して、例えば透視画像と留置位置設定画像との位置合わせ(画像処理)を、撮像系の移動に応じて実行することで、留置位置画像などを生成してもよい。このとき、幾何情報の取得は不要となる。
【0099】
以上に述べた実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pに対するX線の照射に基づいて、3次元的な血管BVを示す血管画像VIを生成し、被検体Pの部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、当該複数の活動領域に関する3次元的な血管BVを示す血管画像VIとを取得し、取得した活動位置データと血管画像VIとの位置合わせを実行し、当該位置合わせの結果に基づいて、当該複数の活動領域の少なくとも一つと当該血管BVとの位置関係を算出し、算出された位置関係に基づいて、当該活動領域からの電気信号を被検体Pの血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する。また、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10は、被検体Pに対する透視撮影に基づいて生成された透視画像FIと、被検体Pの撮像に関する撮像系の幾何情報とを取得し、透視画像FIに関する幾何情報に基づいて、電極搭載デバイスの配置に関する情報のうち電極搭載デバイスの配置の目標を示す目標位置TPを、撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、目標位置TPを透視画像FIに重畳してディスプレイ110に表示する。
【0100】
これらのことから、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10によれば、3次元的な血管画像VIをベースにすることで、3次元ロードマップ画像の表示と同様に、Cアーム106および天板105の回転および移動に追従することで、ユーザーは、血管BVの奥行きや上下左右方向からの目標位置TPの現在位置を確認することができる。また、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10によれば、図3乃至図5、および図7のうち少なくとも一つに対応する表示画像を、例えばリファレンスモニタに同時表示することができるため、ユーザーは、これらの画像を比較、確認することができる。
【0101】
また、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10は、目標位置TPへの電極搭載デバイスの到達を契機として、目標位置TPに電極搭載デバイスが到達したことを報知する。例えば、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10によれば、目的位置TPまで電極搭載デバイスを動かした場合、正確に目標位置TPに電極搭載デバイスが到達していれば電極搭載デバイスの留置位置のマーキングの色を変えることなどができる。これにより、実施形態の第2応用例に係るX線診断装置10によれば、目的位置TPまで電極搭載デバイスが到達したことを、ユーザーにフィードバック(ユーザーに報知)することができる。他の効果は実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0102】
本実施形態における技術的思想を医用画像処理方法で実現する場合、当該医用画像処理方法は、被検体Pの部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、複数の活動領域に関する3次元的な血管BVを示す血管画像VIとを取得し、活動位置データと血管画像VIとの位置合わせを実行し、位置合わせの結果に基づいて、複数の活動領域の少なくとも一つと血管とBVの位置関係を算出し、位置関係に基づいて、活動領域からの電気信号を被検体Pの血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示する。また、当該医用画像処理方法は、被検体Pに対する透視撮影に基づいて生成された透視画像FIと、被検体Pの撮像に関する撮像系の幾何情報とを取得し、透視画像FIに関する幾何情報に基づいて、デバイスの配置に関する情報のうちデバイスの配置の目標を示す目標位置TPを、撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、目標位置TPを透視画像FIに重畳して表示すること、をさらに有していてもよい。医用画像処理方法における処理手順は、画像表示処理および留置表示処理に準拠する。また、医用画像処理方法による効果は、実施形態、第1応用例、および第2応用例と同様である。これらのことから、医用画像処理方法における処理手順および効果について、説明は省略する。
【0103】
実施形態における技術的思想を医用画像処理プログラムで実現する場合、当該医用画像処理プログラムは、コンピュータに、被検体Pの部位を活動させる複数の活動領域の位置に関する活動位置データと、複数の活動領域に関する3次元的な血管BVを示す血管画像VIとを取得し、活動位置データと血管画像VIとの位置合わせを実行し、位置合わせの結果に基づいて、複数の活動領域の少なくとも一つと血管とBVの位置関係を算出し、位置関係に基づいて、活動領域からの電気信号を被検体Pの血管内で受信可能なデバイスの配置に関する情報を表示することを実現させる。また、当該医用画像処理プログラムは、コンピュータに、被検体Pに対する透視撮影に基づいて生成された透視画像FIと、被検体Pの撮像に関する撮像系の幾何情報とを取得し、透視画像FIに関する幾何情報に基づいて、デバイスの配置に関する情報のうちデバイスの配置の目標を示す目標位置TPを、撮像系の幾何情報の変更に追従して算出し、目標位置TPを透視画像FIに重畳して表示すること、をさらに実現させる。
【0104】
例えば、図1に示す医用画像処理装置30やX線診断装置10などのコンピュータに画像評価プログラムをインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、画像表示処理および留置表示処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該処理を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。また、医用画像処理プログラムの頒布は、上記媒体に限定されず、例えば、インターネットを介したダウンロードなど、電気通信機能を用いて頒布されてもよい。医用画像処理プログラムにおける処理手順は、画像表示処理および留置表示処理に準拠する。また、医用画像処理プログラムによる効果は、実施形態、第1応用例、および第2応用例と同様である。これらのことから、医用画像処理プログラムにおける処理手順および効果について、説明は省略する。
【0105】
以上説明した少なくとも実施形態、第1応用例および第2応用例等によれば、被検体Pの部位を活動させる活動領域の電気信号を受信可能なデバイスの配置に関する情報を、ユーザーに提供することができる。これらにより、実施形態、第1応用例および第2応用例等によれば、例えば、脳神経活動部と血管の位置関係から最適なデバイス留置位置を装置側で算出することで、正確かつ安全にデバイスを留置することができる。
【0106】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 医用情報処理システム
10 X線診断装置
20 画像保管装置
30 医用画像処理装置
31 入力インターフェース
32 ディスプレイ
33 メモリ
34 処理回路
34a 取得機能
34b 位置合わせ機能
34c 算出機能
34d 表示制御機能
101 X線高電圧装置
102 X線管
103コリメータ
104 フィルタ
105 天板
106 Cアーム
107 X線検出器
108 制御装置
109 メモリ
110 ディスプレイ
111 入力インターフェース
112 処理回路
112a 制御機能
112b 収集機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11