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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165692
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】SoTモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H04R17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082089
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】523062084
【氏名又は名称】株式会社ミチヒロ
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】親川 潤
(72)【発明者】
【氏名】金 京守
(72)【発明者】
【氏名】屋宜 道広
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA02
5D004CD00
5D004DD01
5D004EE00
(57)【要約】
【課題】複数の圧電素子の振動を振動板の特定の領域で増幅させて出力することで特定の周波数帯の音圧を向上できるSoTモジュールを提供する。
【解決手段】SoTモジュール100は、交流電圧の印加により振動を発生させる平板状の複数の圧電素子111~114と、圧電素子111~114の振動が伝わる第1の振動板130と、を備え、第1の振動板130の特定の領域において、複数の圧電素子111~114の振動を増幅させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧の印加により振動を発生させる平板状の複数の圧電素子と、
前記圧電素子の振動が伝わる第1の振動板と、を備え、
前記第1の振動板の特定の領域において、複数の前記圧電素子の振動を増幅させることを特徴とするSoTモジュール。
【請求項2】
複数の前記圧電素子のうち、一つの圧電素子から前記第1の振動板への振動伝達経路と、他の圧電素子から前記第1の振動板への振動伝達経路とは、異なることを特徴とする請求項1記載のSoTモジュール。
【請求項3】
複数の前記圧電素子は、前記第1の振動板に対し、重畳して配置されていることを特徴とする請求項2記載のSoTモジュール。
【請求項4】
複数の前記圧電素子は矩形に形成されており、
複数の前記圧電素子の中心軸が一致していることを特徴とする請求項3記載のSoTモジュール。
【請求項5】
複数の前記圧電素子は、各々の矩形の辺に沿った方向が異なる配置で設けられていることを特徴とする請求項4記載のSoTモジュール。
【請求項6】
複数の前記圧電素子は、互いに重複していない領域のある配置で設けられていることを特徴とする請求項4記載のSoTモジュール。
【請求項7】
前記一つの圧電素子を駆動する位相と前記他の圧電素子を駆動する位相とが異なることを特徴とする請求項2記載のSoTモジュール。
【請求項8】
前記一つの圧電素子は、前記他の圧電素子に貼り付けられている部分を有し、前記貼り付けられている部分は、いずれも圧電素子が連結して構成されている圧電複合体の重心にならないことを特徴とする請求項2記載のSoTモジュール。
【請求項9】
前記一つの圧電素子は、弾性体により前記第1の振動板に連結され、
前記他の圧電素子は、前記第1の振動板に貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載のSoTモジュール。
【請求項10】
前記他の圧電素子が直接連結される第2の振動板をさらに備え、
前記第2の振動板は、前記一つの圧電素子と弾性体により連結されていることを特徴とする請求項2記載のSoTモジュール。
【請求項11】
前記一つの圧電素子は、前記第1の振動板に貼り付けられ、
前記他の圧電素子は、前記第2の振動板に貼り付けられていることを特徴とする請求項10記載のSoTモジュール。
【請求項12】
前記第2の振動板は、前記第1の振動板と弾性体で連結されていることを特徴とする請求項10記載のSoTモジュール。
【請求項13】
前記第2の振動板に対して前記第1の振動板の反対側に設けられたカバー板をさらに備えることを特徴とする請求項11または請求項12記載のSoTモジュール。
【請求項14】
テレビ、タブレット、スマートフォンまたは自動車用ナビゲーションのいずれか一つのディスプレイに用いられることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載のSoTモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形平板に形成された圧電素子を備えるSoTモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
音響分野では、一般的にコイルによるダイナミックスピーカが用いられる。ダイナミックスピーカは、低音域であっても十分な音圧を発生させることができるが、その重量や容積が大きくなり、消費電力も大きいため、用途が限定される。一方、圧電素子を用いた圧電スピーカの応用が進められている(例えば特許文献1参照)。圧電スピーカは、嵩張らず、重量も小さく、消費電力も小さいため、ダイナミックスピーカの適用が難しい用途にも使える。
【0003】
特許文献1記載の音響発生器は、長手方向を互いに直交させて2つの屈曲型の圧電素子を重畳させている。そして、弾性支持部が圧電素子の長手方向の端部または中央部に設けられ、弾性支持部が振動を振動板に伝達している。特許文献1には、音響発生器を表示パネル自体をスピーカとして機能させる応用も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-106029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、様々なアプローチで圧電素子のスピーカへの応用が検討されている。しかしながら、圧電素子そのものは硬い材料で構成されるため、それ自体では中低音域で十分な音圧が得られ難く、全体的に音圧も小さくなる場合が多い。この弱点を克服できれば、圧電モジュールの応用分野が広がる。このような圧電モジュールは、従来の圧電モジュールとは全く異なる可能性を有しており、SoT(Soundof Things)モジュールと呼ぶべきものである(以下、特定音域の音圧を向上できる圧電モジュールをSoTモジュールと呼ぶ)。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の圧電素子の振動を振動板の特定の領域で増幅させて出力することで特定の周波数帯の音圧を向上できるSoTモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じている。すなわち、本発明のSoTモジュールは、交流電圧の印加により振動を発生させる平板状の複数の圧電素子と、前記圧電素子の振動が伝わる第1の振動板と、を備え、前記第1の振動板の特定の領域において、複数の前記圧電素子の振動を増幅させることを特徴としている。
【0008】
(2)また、上記(1)記載のSoTモジュールにおいて、複数の前記圧電素子のうち、一つの圧電素子から前記第1の振動板への振動伝達経路と、他の圧電素子から前記第1の振動板への振動伝達経路とは、異なることを特徴としている。
【0009】
(3)また、上記(1)または(2)記載のSoTモジュールにおいて、複数の前記圧電素子は、前記第1の振動板に対し、重畳して配置されていることを特徴としている。
【0010】
(4)また、上記(3)記載のSoTモジュールにおいて、複数の前記圧電素子は矩形に形成されており、複数の前記圧電素子の中心軸が一致していることを特徴としている。
【0011】
(5)また、上記(4)記載のSoTモジュールにおいて、複数の前記圧電素子は、各々の矩形の辺に沿った方向が異なる配置で設けられていることを特徴としている。
【0012】
(6)また、上記(4)記載のSoTモジュールにおいて、複数の前記圧電素子は、互いに重複していない領域のある配置で設けられていることを特徴としている。
【0013】
(7)また、上記(1)から(6)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、前記一つの圧電素子を駆動する位相と前記他の圧電素子を駆動する位相とが異なることを特徴としている。
【0014】
(8)また、上記(1)から(7)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、前記一つの圧電素子は、前記他の圧電素子に貼り付けられている部分を有し、前記貼り付けられている部分は、いずれも圧電素子が連結して構成されている圧電複合体の重心にならないことを特徴としている。
【0015】
(9)また、上記(1)から(8)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、前記一つの圧電素子は、弾性体により前記第1の振動板に連結され、前記他の圧電素子は、前記第1の振動板に貼り付けられていることを特徴としている。
【0016】
(10)また、上記(1)から(9)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、前記他の圧電素子が直接連結される第2の振動板をさらに備え、前記第2の振動板は、前記一つの圧電素子と弾性体により連結されていることを特徴としている。
【0017】
(11)また、上記(10)記載のSoTモジュールにおいて、前記一つの圧電素子は、前記第1の振動板に貼り付けられ、前記他の圧電素子は、前記第2の振動板に貼り付けられていることを特徴としている。
【0018】
(12)また、上記(10)または(11)記載のSoTモジュールにおいて、前記第2の振動板は、前記第1の振動板と弾性体で連結されていることを特徴としている。
【0019】
(13)また、上記(10)から(12)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、前記第2の振動板に対して前記第1の振動板の反対側に設けられたカバー板をさらに備えることを特徴としている。
【0020】
(14)また、上記(1)から(13)のいずれかに記載のSoTモジュールにおいて、テレビ、タブレット、スマートフォンまたは自動車用ナビゲーションのいずれか一つのディスプレイに用いられることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを示す平面図、断面図および振動板の振動領域を示す概略図である。
図2】圧電素子の構成および動作の一例を示す断面図である。
図3】(a)、(b)それぞれ圧電素子と振動板との間に弾性体が設けられたSoTモジュールを示す平面図および断面図である。
図4】(a)、(b)それぞれ圧電素子が弾性体で連結されたSoTモジュールを示す平面図および断面図である。
図5】(a)、(b)それぞれ円環板状の弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図および断面図である。
図6】(a)、(b)それぞれ各圧電素子に錘が貼り付けられたSoTモジュールを示す平面図および断面図である。
図7】(a)~(c)それぞれ全体貼り付けおよび四角支持の圧電モジュールを示す斜視図、分解斜視図およびそれらの音圧の周波数特性を示すグラフである。
図8】(a)~(c)それぞれ上側および下側の中央連結型のSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図9】(a)、(b)それぞれ中央連結型かつ中央単支持のSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図10】(a)、(b)それぞれ中央連結型かつ中央複支持のSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図11】(a)、(b)それぞれ中央連結型かつ独立した貼り付け素子有りのSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図12】(a)、(b)それぞれ中央連結型かつ中央連結した貼り付け素子有りのSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図13】(a)~(c)それぞれ中央連結型かつ周辺連結した貼り付け素子有りのSoTモジュールを示す分解斜視図ならびにその同位相駆動および逆位相駆動の場合の音圧の周波数特性を示すグラフである。
図14】(a)、(b)それぞれ全面支持および複数部分支持された重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図15】(a)、(b)いずれも複数部分重畳の重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図16】(a)、(b)いずれも振動板が素子間に配置された重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図17】(a)、(b)それぞれ素子の基準軸をずらした重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。
図18】素子配置をずらした重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図19】(a)、(b)いずれも複数部分重畳かつ素子の基準軸をずらした重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図20】(a)、(b)いずれも大型の振動板が素子間に配置された複数部分重畳の重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。
図21】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図22】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図23】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図24】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図25】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図26】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図27】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図28】(a)~(c)それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。
図29】(a)~(c)それぞれ単一の圧電素子を有する圧電モジュールを示す平面図、断面図およびその振動のモードパターンを示す図である。
図30】(a)~(c)それぞれ単一の弾性体で連結された圧電素子を有する圧電モジュールを示す平面図、断面図およびその振動のモードパターンを示す図である。
図31】(a)~(c)それぞれ格子状に配列された圧電素子および弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。
図32】(a)~(c)それぞれ円環状に配列された圧電素子および弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。
図33】(a)~(c)それぞれ点対称に配列された圧電素子および弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明では、特定の帯域の音圧を向上させるため、複数の圧電素子が各圧電素子の振動帯域を維持できるように素子間を柔らかい材料での接着または弾性体で緩やかに連結させながら1つのモジュールを構成している。
【0023】
[第1実施形態(風車型)]
本実施形態では、風車の羽根のように圧電素子の一端を中央に集めた配置で、圧電素子を直接に振動板に貼り付ける。圧電素子の長手方向の中心軸(いわゆる素子の基準軸)は互いに一致しない。圧電素子を直接に振動板に貼り付けるため、変位幅を大きくすることができ、大きい変位力により低音域の音圧を増幅できる。なお、各要素の基準軸は、矩形板の場合は長手方向の中心軸であり、正方形板の場合は各辺に平行な中心軸を指す。
【0024】
振動子が振動面を振動させるか空気を振動させるかに関係なく、振動を作る立場で考えると、振動を丸の形で作るのが効率の高い出力方式である。本実施形態の圧電素子は、各領域別の変位力が等分布になるよう回転対称に貼り付けられることが好ましい。このような形態は、表面変位形態を考慮して圧電素子の貼り付けを行うのではなく、同一駆動で領域ごとの変位を異ならせることができるため、特定の音圧の増強を実現できる。
【0025】
<単純な風車型>
(SoTモジュールの構成)
図1(a)~(c)は、それぞれSoTモジュール100を示す平面図、断面図および振動板130(第1の振動板)の振動領域を示す概略図である。図1(b)は、図1(a)に示す断面1bを示している(他の図でも断面の符号と断面図の番号との関係は同様)。SoTモジュール100は、圧電素子111~114および振動板130で構成されている。圧電素子111~114は、それぞれが屈曲型で矩形平板に形成され、交流電圧の印加により屈曲振動を発生させる。
【0026】
それぞれの圧電素子111~114は、互いに連結されておらず、その長手方向端部が隣の圧電素子111~114の側面にほとんど接する位置で対向して配置されている(風車型の配置)。圧電素子111~114は、それぞれ一方の面が振動板130に貼り付けられている。貼り付けは、例えばエポキシ系、アクリル系、またはウレタン系の接着剤を用いた接着により可能であり、接着剤は軟質および硬質のいずれのものであっても用いることができる(以下、いずれの貼り付けも同様)。
【0027】
図1(c)は、図1(a)と同じ視点で見たときの振動板130の各振動領域を示している。領域R1は、圧電素子111~114からの振動が伝わり受動的に振動しているだけの領域である。領域R2は、各圧電素子111~114の能動的な振動が伝わっている領域である。領域R3は、複数の圧電素子111~114の振動が合わさり増幅されている領域である。
【0028】
各圧電素子111~114を同位相または逆位相で振動させることでそれぞれの貼り付け部分からSoTモジュール100の中央部へ振動が伝達され、その中央部の振動を増幅できる。このように、異なる振動伝達経路で伝達された複数の圧電素子111~114の振動を振動板の特定の領域で増幅できる。その結果、異なる振動伝達経路で伝達された振動同士の干渉を利用し、振動板の特定の領域が発生させる周波数帯の音圧を向上できる。なお、振動伝達経路は、何を介して連結するかという連結構造を指す。
【0029】
例えば図1(c)の領域R3が20~100Hzの低音域で振動する場合、その音域の音圧を大きくできる。このような構成を用いれば中低音域で十分な音圧を得やすく、SoTモジュール100を多様な用途に適用できる。なお、圧電素子111~114による風車型の配置においては、配置の対称中心に近い位置を中央と呼び、対称中心から離れている位置を周辺と呼ぶ。
【0030】
(圧電素子)
圧電素子は、逆圧電効果を利用し交流電圧の印加により振動する素子である。図2は、圧電素子111の構成および動作の一例を示す断面図である。図2に示す圧電素子111は、本発明に用いられる圧電素子の構成の一例であり、圧電素子111以外の圧電素子でも同様の構成を採りうる。圧電素子111は、圧電体121、122、電極123、124、シム板125を備えている。シム板125は、金属製であり、電極の機能も有している。
【0031】
圧電体121、122は、圧電セラミックス材料により形成されていることが好ましい。圧電材料には、例えば、チタン酸ジルコニウム酸塩(Pb(Ti,Zr)O、いわゆるPZT)、チタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。いずれも強誘電体であり、効率の面ではPZTが好ましいが、鉛フリーの観点ではチタン酸バリウムが好ましい。圧電体121、122は、圧電ポリマーで形成されていてもよい。圧電ポリマーには、ポリフッ化ビニリデンおよびその共重合体、ポリ乳酸、ポリシアン化ビニリデン、ポリ尿素および奇数ナイロンが挙げられる。圧電体121、122として、圧電効果を持つ材料で薄型シートを製作できる。
【0032】
圧電体121は、電極123からシム板125の方向に分極処理されており、圧電体122は、シム板125から電極124の方向に分極処理されている。電極123、124に一方の電極が接続され、シム板125に他方の電極が接続されている。この構成で、電源P1により交流電圧を圧電体121、122に印加すると、逆圧電効果により表面に平行な方向に沿って一方が縮むと他方が伸び、図2に示す矢印S1、S2の動きを繰り返すことで屈曲振動する。
【0033】
上記の圧電素子111は、各圧電体121、122の分極方向が同じパラレル型のバイモルフ構造を有しているが、分極方向が異なるシリーズ型のバイモルフ構造であってもよい。また、中央のシム板に絶縁体を用いてもよい。圧電素子111は、バイモルフ構造を有することが好ましいが、ユニモルフ構造を有していてもよい。また、圧電素子111には、単板の圧電体に代えて圧電積層体を用いてもよい。その場合には外部電極を用いてもよいしバイア構造で電極を形成してもよい。また、圧電素子111は、圧電体層と電極とが積層されることで形成され、積層方向に伸縮する伸縮型の圧電素子でもよい。圧電素子111は、積層型が好ましいが単板であってもよい。このような圧電素子は、他の実施形態でも用いることができる。
【0034】
(振動板)
振動板130は、平板状に形成され、伝えられた圧電素子の振動を音として出力する。振動板130の材料は、用途によりまちまちである。振動板130には、例えば、スチレンボードを用いることができる。また、TV用スピーカの振動板130としてOLEDパネルを用いることができる。樹脂製の板が用いられやすいが、木や纎維組職を用いて非弾性力を高めたものが用いられることもある。
【0035】
振動板130は、圧電素子111~114から伝達された変位力により厚み方向に振動し、空気を振動させ、音波を発生する。圧電素子111~114に与えられる信号の周波数と電流の強さによって、振動板130から発生する音の高低、音圧の大小が異なって現れる。大きい音圧を作り出すためには、振動板まで繋がる、振動効率の向上が有効である。このような振動板は、他の実施形態でも用いることができる。
【0036】
<弾性体を有する風車型>
SoTモジュールに弾性体を設けた構造を採用してもよい。図3(a)、(b)は、それぞれ圧電素子111~114と振動板130との間に弾性体151、152が設けられたSoTモジュール100aを示す平面図および断面図である。SoTモジュール100aは、圧電素子111~114、振動板130および弾性体151、152で構成されている。SoTモジュール100aがその長手方向の両側において弾性体151、152で振動板130に連結されている点以外は、SoTモジュール100と同様に構成されている。
【0037】
SoTモジュール100aでは、各圧電素子111~114の長手方向の一方(SoTモジュール100の中央側)に弾性体151が貼り付けられている。そして、各圧電素子111~114は、長手方向の他方(SoTモジュール100の周辺側)に弾性体152が貼り付けられている。弾性体151、152は、振動板130にも貼り付けられており、圧電素子111~114と振動板130とを連結している。これにより、例えば、低音域の音圧をさらに増幅することが可能である。
【0038】
(弾性体)
弾性体151、152は、ウレタン等の柔らかい材料で構成され、一方で振動体を支持するとともに、その振動を他方に伝達する。図3に示す例では、弾性体151、152は、一方の面が圧電素子111~114の主面に貼り付けられ、他方の面が振動板130の主面に貼り付けられている。貼り付けは、例えばエポキシ系、アクリル系、またはウレタン系の接着剤を用いた接着により可能である。弾性体151、152により圧電素子111~114の変位が振動板130に伝達され、SoTモジュール100b中央部の振動が増幅される。増幅された振動は、振動板130により音として出力される。
【0039】
弾性体151、152は、ウレタン等の樹脂で形成されていることが好ましい。弾性体151、152には、例えば、弾性率が70MPa以上690MPa以下である材料を用いることができる。これにより、低音域の振動を増幅しやすくなる。
【0040】
弾性体151、152は、円板状に形成されていることが好ましい。矩形状に形成されてもよい。弾性体151、152は、大きさや材質で増幅する周波数を制御することが好ましい。このような弾性体は、他の実施形態でも用いることができる。
【0041】
<弾性体で連結された風車型>
図4(a)、(b)は、それぞれ圧電素子111~114が弾性体153で連結されたSoTモジュール100bを示す平面図および断面図である。SoTモジュール100bは、圧電素子111~114、振動板130および弾性体153で構成されている。SoTモジュール100bは、その中央部で圧電素子111~114が弾性体153で連結されている点以外は、SoTモジュール100aと同様に構成されている。
【0042】
SoTモジュール100bでは、圧電素子111~114により振動が増幅される中央の領域(領域R3)で弾性体153を介して連結されている。各圧電素子111~114の周辺側に設けられた弾性体152の構成は、SoTモジュール100aと同様である。弾性体153の材質等に応じて所定の周波数の振動がさらに増幅される。例えば柔らかい材質の弾性体153を用いることで、低音域の音圧を強調できる。
【0043】
<円環板状の弾性体を有する風車型>
図5(a)、(b)は、それぞれ円環板状の弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図および断面図である。SoTモジュール100cは、圧電素子111~114、振動板130および弾性体153、155で構成されている。SoTモジュール100cは、圧電素子111~114の周辺側の弾性体152に代えて円環板状の弾性体155が貼り付けられている点以外は、SoTモジュール100bと同様に構成されている。
【0044】
上記の構成により、SoTモジュール100cは、その中央側において圧電素子111~114が円板状の弾性体153で連結し、周辺側において円環板状の弾性体155で連結している。これにより、SoTモジュール100cは、中心対称な形態を有し、振動板130の中心から周辺に向かって交互に振動の腹と節を作ることができる。その結果、さらに低音の振動を増幅することができる。
【0045】
<各圧電素子に錘が貼り付けられた風車型>
図6(a)、(b)は、それぞれ各圧電素子に錘が貼り付けられたSoTモジュール100dを示す平面図および断面図である。SoTモジュール100dは、圧電素子111~114、振動板130および錘141~144で構成されている。SoTモジュール100dは、各圧電素子111~114の端部に、独立して各錘141~144が貼り付けられている点以外は、SoTモジュール100と同様に構成されている。
【0046】
圧電素子111~114が風車型に配置されていることから、各錘141~144が各圧電素子111~114に貼り付けられている領域は、SoTモジュール100dの周辺の領域(領域R2)に相当する。その結果、錘141~144によりこの領域に特有の振動を増幅することができる。
【0047】
なお、錘は、各圧電素子111~114を連結して形成されていてもよい。その場合、様々な形状を採りうるが、振動の制御の面で、板状が好ましく、さらに対称性を考慮すると円板または円環板が好ましい。形状が円板であれば、増幅したい周波数に応じて径を調整しやすく、素子の取り扱いも容易である。
【0048】
[第2実施形態(中央連結型)]
上記のような風車型のSoTモジュールには、低音域の音圧を大きく増幅できるものの中高音域の音圧が減少するトレードオフの関係がある。本実施形態である中央連結型のSoTモジュールは、変位を増幅させる構造を有しながら、上記のトレードオフを最小化し、ピークディップの音圧のレベル差を改善できる。
【0049】
<前提となる単純な形態>
図7(a)~(c)は、それぞれ全体貼り付けおよび四角支持の圧電モジュール200、200aを示す斜視図、分解斜視図およびそれらの音圧の周波数特性を示すグラフである。
【0050】
図7(a)に示すように、圧電モジュール200は、圧電素子210および振動板130で構成されている。圧電素子210は、正方形平板状に形成され、一方の主面の全面が振動板130に貼り付けられている。圧電モジュール200に交流電圧を印加すると、生じた振動は、振動板130に直接伝達され、音として出力される。この場合、振動板130には、圧電素子210の能動的な振動が伝わる領域およびその振動が受動的に伝わる領域が生じる。
【0051】
図7(b)に示すように、圧電モジュール200aは、圧電素子211、振動板130および弾性体251~254で構成されている。圧電素子211は、正方形平板状に形成され、その4つの角に貼り付けられた弾性体251~254で振動板130と連結されている。複数の弾性体251~254は、正方形平板状に形成され、圧電素子211の下面を振動板130の表面と平行に支持している。後述の複数の弾性体はいずれも基本的に圧電素子の下面を振動板の表面と平行に支持する。複数の弾性体251~254は、正方形平板状に形成されているが、形状は必ずしも正方形に限定されず、多角形や円であってもよい。他の実施形態における複数の弾性体の形状についても同様である。
【0052】
圧電モジュール200aに交流電圧を印加すると、生じた振動は、弾性体251~254を介して振動板130に伝達され、音として出力される。この場合には、4つの弾性体251~254を介した4つの異なる振動伝達経路が存在し、それぞれを伝わる振動を中央で増幅することが可能である。
【0053】
図7(c)に示すグラフ上の曲線P200は、圧電モジュール200による音圧の周波数特性を示している。また、曲線P200aは、圧電モジュール200aによる音圧の周波数特性を示している。これらの曲線の符号と圧電モジュールの符号との対応関係は後述の図でも同様である。両者を比較すると、中音域で圧電モジュール200aの音圧は、圧電モジュール200の音圧より大きく、高音域で圧電モジュール200aの音圧は、圧電モジュール200の音圧より小さい。
【0054】
<単純な中央連結型>
図8(a)~(c)は、それぞれ上側および下側の中央連結型のSoTモジュール300a、300bを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。分解斜視図は、各部の形状や結合構造を分かり易く示すために本来なら結合しているものを分解して表す表現であり、この表現における破線に沿った位置で実際には各部が結合されている。図8(a)に示すSoTモジュール300aは、圧電素子311~314、315、振動板130および弾性体351~354を備えている。なお、圧電素子同士が貼り付けられている部分は、いずれも圧電素子が連結して構成されている圧電複合体の重心にならない。そのような構成の結果、貼り付けられている部分以外には、自由度が高い自由振動性が維持できることになり、振動が増幅され振動板に伝わる力が大きくなる。このような作用は、以下の実施形態の同様な構成にも同様に生じる。
【0055】
4つの圧電素子311~314は、それぞれ矩形平板に形成されており、互いの一端がSoTモジュール300aの中央で距離を置いて対向するように配置されている。4つの圧電素子311~314の他端の下面には、弾性体351~354が貼り付けられている。一方で、弾性体351~354は振動板130に貼り付けられ、圧電素子311~314を支持している。
【0056】
SoTモジュール300aの中央において、4つの圧電素子311~314の端部の下側に単一の正方形平板状の圧電素子315がその各辺に沿った位置で貼り付けられている。この場合、下とは圧電素子315から見た振動板130側を指す。このように、SoTモジュール300aの中央の領域で、圧電素子311~314と圧電素子315が連結しており、圧電複合体310aを形成している。周辺の4つの圧電素子311~314と中央の圧電素子315には、同位相または逆位相で交流電圧を印加することができる。
【0057】
生じた圧電複合体310aの振動は、弾性体351~354を介して振動板130に伝達され、音として出力される。周辺の4つの圧電素子311~314で生じた振動は、弾性体351~354を介して振動板130に伝達され、中央の圧電素子315で生じた振動は、周辺の4つの圧電素子311~314および弾性体351~354を介して振動板130に伝達される。このように、中央連結型のSoTモジュールは、異なる振動伝達経路で振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。
【0058】
図8(b)に示すSoTモジュール300bは、圧電素子311~314、316、振動板130および弾性体351~354を備えている。SoTモジュール300bは、4つの圧電素子311~314の端部の上側に単一の正方形平板状の圧電素子316がその各辺に沿った位置で貼り付けられている点を除いてSoTモジュール300aと同様に構成されている。
【0059】
この場合、圧電素子316が圧電素子311~314の上側に設けられているため、圧電素子316と振動板130との間に生じる空間を活用しやすい。圧電素子311~314および圧電素子315は、圧電複合体310bを形成している。周辺の4つの圧電素子311~314と中央の圧電素子316には、同位相または逆位相で交流電圧を印加することができる。生じた圧電複合体310bの振動は、弾性体351~354を介して振動板130に伝達され、音として出力される。
【0060】
図8(c)に示すグラフ上の曲線P300bは、SoTモジュール300bの音圧の周波数特性を示している。中音域で、SoTモジュール300bの音圧は、圧電モジュール200、200aの音圧より大きい。低音域でSoTモジュール300bの音圧は圧電モジュール200、200aの音圧と同等である。
【0061】
<中央連結型かつ中央単支持>
図9(a)、(b)は、それぞれ中央連結型かつ中央単支持のSoTモジュール300cを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール300cは、圧電素子311~314、316、振動板130および弾性体351~354、355を備えている。SoTモジュール300cは、中央の正方形平板状の圧電素子316が弾性体355で支持されている点を除いてSoTモジュール300bと同様に構成されている。
【0062】
SoTモジュール300cでは、圧電素子316の下面の中央には、弾性体355がその上端面で貼り付けられている。弾性体355は、圧電素子316の下面に垂直な方向を長手方向とした矩形柱状に形成され、その下端面が振動板130に貼り付けられ、圧電素子316を支持している。弾性体355は、圧電素子311~314上に連結された圧電素子316の下面を振動板130の表面と平行に維持する厚さを有している。このように、SoTモジュール300cの中央の領域では、圧電素子311~314と圧電素子316が連結し、圧電複合体310bを形成している。圧電素子316は、圧電素子311~314を介する経路で振動を伝達する。一方で圧電素子316は弾性体355を介して振動板130と連結し、その経路でも振動を振動板130に伝達する。
【0063】
4つの圧電素子311~314と圧電素子316に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで生じた圧電複合体310bの振動は、弾性体351~354、355を介して振動板130に伝達される。このように異なる種類の振動伝達経路で振動が伝達される。
【0064】
図9(b)に示すグラフ上の曲線P300cは、SoTモジュール300cの音圧の周波数特性を示している。低音域で、SoTモジュール300cの音圧は、SoTモジュール300bの音圧には及ばないものの、圧電モジュール200、200aの音圧より大きい。
【0065】
<中央連結型かつ中央複支持>
図10(a)、(b)は、それぞれ中央連結型かつ中央複支持のSoTモジュール300dを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール300dは、圧電素子311~314、316、振動板130および弾性体351~354、356~359を備えている。SoTモジュール300cは、中央の正方形平板状の圧電素子311が複数の弾性体356~359で支持されている点を除いてSoTモジュール300cと同様に構成されている。
【0066】
SoTモジュール300dでは、圧電素子316の下面に複数の弾性体356~359がその上面で貼り付けられている。複数の弾性体356~359は、それぞれが圧電素子316の各辺に平行な方向を長手方向とする矩形柱状に形成されている。そして、複数の弾性体356~359は、その下面が振動板130に貼り付けられ、複数の位置で中央の圧電素子316を支持している。
【0067】
SoTモジュール300dの中央の領域では、圧電素子311~314と圧電素子316が連結し、圧電複合体310bを形成している。圧電素子316は、圧電素子311~314を介する経路で振動を伝達する。一方で圧電素子316は弾性体356~359を介して振動板130と連結し、その経路でも振動を振動板130に伝達している。4つの圧電素子311~314と圧電素子316に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで生じた圧電複合体310bの振動は、弾性体351~354、355を介して振動板130に伝達される。このように異なる種類の振動伝達経路で振動が伝達される。
【0068】
図10(b)に示すグラフ上の曲線P300dは、SoTモジュール300dの音圧の周波数特性を示している。低音域で、SoTモジュール300dの音圧は、SoTモジュール300bの音圧には及ばないものの、圧電モジュール200の音圧より大きい。
【0069】
<中央連結型かつ独立した貼り付け素子有り>
図11(a)、(b)は、それぞれ中央連結型かつ独立した貼り付け素子有りのSoTモジュール300eを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール300eは、圧電素子311~314、316、318、振動板130および弾性体351~354を備えている。
【0070】
SoTモジュール300eは、その中央部で正方形平板状の圧電素子318が振動板130に貼り付けられている点を除いてSoTモジュール300bと同様に構成されている。圧電素子318が独立して振動板130に貼り付けられている中央の領域では、周辺の領域の振動とは違う周波数帯で振動板130を振動させることができる。
【0071】
SoTモジュール300eでは、4つの圧電素子311~314、圧電素子316、318のいずれかの組み合わせに対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、中央または周辺の振動を増幅できる。圧電複合体310bの振動が弾性体351~354を介して振動板130に伝達されるとともに、圧電素子318の振動が直接に振動板130の中央に伝達される。これらの異なる振動伝達経路で伝達された振動により、SoTモジュール300eは、中央部の振動を増幅できる。
【0072】
図11(b)に示すグラフ上の曲線P300eは、SoTモジュール300eの音圧の周波数特性を示している。低音域で、SoTモジュール300eの音圧は、圧電モジュール200、200aの音圧より大きくSoTモジュール300bの音圧と同等である。また、高音域でSoTモジュール300eの音圧は、SoTモジュール300bの音圧より大きい。
【0073】
<中央連結型かつ中央連結した貼り付け素子有り>
図12(a)、(b)は、それぞれ中央連結型かつ中央連結した貼り付け素子有りのSoTモジュール300fを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール300fは、圧電素子311~314、316、318、振動板130、弾性体351~354、355fを備えている。SoTモジュール300fは、その中央部で振動板130に貼り付けられた圧電素子318が弾性体355fを介して圧電素子316に連結されている点を除いてSoTモジュール300eと同様に構成されている。
【0074】
SoTモジュール300fでは、4つの圧電素子311~314および圧電素子316、318のいずれかの組み合わせに対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、中央または周辺の振動を増幅できる。圧電複合体310bの振動が弾性体351~354を介して振動板130に伝達されるとともに、弾性体355fおよび圧電素子318を介して振動板130の中央に伝達される。また、圧電素子318の振動が直接に振動板130の中央に伝達される。これらの異なる振動伝達経路で伝達された振動により、SoTモジュール300fは、中央部の振動を増幅できる。
【0075】
図12(b)に示すグラフの曲線P300fは、SoTモジュール300fの音圧の周波数特性を示している。低音域で、SoTモジュール300fの音圧は、SoTモジュール300bの音圧には及ばないものの、圧電モジュール200、200aの音圧より大きい。
【0076】
<中央連結型かつ周辺連結した貼り付け素子有り>
図13(a)~(c)は、それぞれ中央連結型かつ周辺連結した貼り付け素子有りのSoTモジュール300gを示す分解斜視図ならびにその同位相駆動および逆位相駆動の場合の音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール300gは、圧電素子311~314、316、318、振動板130、弾性体351~354、356g~359gを備えている。SoTモジュール300gは、その中央部で振動板130に貼り付けられた圧電素子318が弾性体356g~359gを介して圧電素子316に連結されている点を除いてSoTモジュール300eと同様に構成されている。
【0077】
弾性体356g~359gは、矩形柱状に形成され、その下端面で正方形平板状の圧電素子318の4つの角の位置にそれぞれ貼り付けられている。他方では弾性体356g~359gは、その上端面で圧電素子316の下面に貼り付けられている。弾性体356g~359gを介して、圧電複合体310bの振動が圧電素子318に伝達される。これにより、SoTモジュール300gの特定の領域の振動を増幅できる。
【0078】
SoTモジュール300gでは、4つの圧電素子311~314および圧電素子316、318のいずれかの組み合わせに対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、中央または周辺の振動を増幅できる。圧電複合体310bの振動が弾性体351~354を介して振動板130に伝達されるとともに、弾性体356g~359gおよび圧電素子318を介して振動板130の中央に伝達される。また、圧電素子318の振動が直接に振動板130の中央に伝達される。これらの異なる振動伝達経路で伝達された振動により、SoTモジュール300fは、中央部の振動を増幅できる。
【0079】
図13(b)に示すグラフの曲線P300g-1は、SoTモジュール300gの同位相駆動の場合の音圧の周波数特性を示している。低音域で、同位相駆動時のSoTモジュール300gの音圧は、SoTモジュール300b、300eの音圧に及ばないものの、圧電モジュール200、200aの音圧より大きい。
【0080】
図13(c)に示すグラフの曲線P300g-2は、SoTモジュール300gの逆位相駆動の場合の音圧の周波数特性を示している。低音域では、逆位相駆動時のSoTモジュール300gの音圧は、同位相駆動時のSoTモジュール300gの音圧と同等である。高音域では、逆位相駆動時のSoTモジュール300gの音圧が、同位相駆動時のSoTモジュール300gの音圧より大きい。
【0081】
なお、上記の測定において、同位相駆動とは、圧電複合体310bと圧電素子318に印加する電圧の位相が同じであることを指し、逆位相駆動とは、圧電複合体310bと圧電素子318に印加する電圧の位相が逆であることを指す。
【0082】
[第3実施形態(重畳型)]
第1実施形態のように薄型の圧電素子を低音域の音圧を増幅する構造に用いると、変位量によっては素子に負荷がかかりすぎクラックが発生するおそれがある。本実施形態では、重畳構造によりモジュールの強度を向上させつつ、部分的な連結や回転対称の構造を採用することで音圧を改善できる。なお、重畳は、部分的に重複するか否かにかかわらず要素同士を主面の中心軸方向に重ねるという意味を指す。なお、主面の中心軸とは、主面の中心にある主面に垂直な軸を指す。
【0083】
<全面支持および複数部分支持された重畳型>
図14(a)、(b)は、それぞれ全面支持および複数部分支持された重畳型のSoTモジュール400、400aを示す分解斜視図である。図14(a)に示すSoTモジュール400は、圧電素子410、411、振動板130および弾性体450で構成されている。圧電素子410、411は、いずれも正方形平板状に形成されており、振動板130上に重畳されている。このような配置はアレイ化とも呼ばれ、これによりモジュールの強度が向上する。
【0084】
圧電素子410は、直接に振動板130に貼り付けられている。圧電素子410上には、正方形平板状の弾性体450が貼り付けられており、さらに弾性体450上に圧電素子411が貼り付けられている。圧電素子410、弾性体450および圧電素子411はいずれも同じ形状であり、全面で貼り付けられている。弾性体450は、圧電素子411を全面にわたり支持しており、圧電素子間の連結によりそれらの振動を振動板130に伝達している。このような構造により、振動板130に貼られている圧電素子410の中である部分の力が強くなり、他の部分の力が弱くなる。その場合、振動受ける面としての振動板130を伝わる力が領域ごとに異なる。
【0085】
圧電素子410、411に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体450を介して圧電素子411の振動が圧電素子410に伝達され、圧電素子410の振動が、直接に振動板130に伝達される。このように完全に重複された複数の圧電素子の振動を異なる振動伝達経路で伝達し、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。なお、重複とは、主面の中心軸方向への投影が重なることを指す。
【0086】
図14(b)に示すSoTモジュール400aは、圧電素子410、411、振動板130および弾性体451で構成されている。SoTモジュール400aは、圧電素子間が単一ではなく複数の弾性体451で連結されている点を除いてSoTモジュール400と同様に構成されている。複数の弾性体451は、それぞれが正方形平板状に形成され、圧電素子410上に対称的に配置されている。複数の弾性体451は、下面で圧電素子410に貼り付けられており、上面で圧電素子411に貼り付けられている。このような連結により、複数の弾性体451は、圧電素子411を複数部分で支持している。
【0087】
図14(b)に示す複数の弾性体451の例は、正方形平板を9分割した形状を有している。複数の弾性体451は、分割数によらず正方形平板を対称的に分割した形状を有することが好ましい。複数の弾性体451は、正方形の頂点とその頂点を結ぶ線分の中間点に配置されており、複数の弾性体451の主面は、その集合が作る配置の主面として圧電素子410、411の主面と平行であり、互いの中心軸は一致している。複数の弾性体451の基準軸は、その集合の配置で特定される正方形の辺に平行な方向の中心軸である。複数の弾性体の主面、主面の中心軸および基準軸は、他の実施形態でも同様に特定できる。
【0088】
圧電素子410、411に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、複数の弾性体451を介して圧電素子411の振動が圧電素子410に伝達される。また、圧電素子410の振動が振動板130に直接に伝達される。これにより、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。
【0089】
<複数部分重畳の重畳型>
図15(a)、(b)は、いずれも複数部分重畳の重畳型のSoTモジュール400b、400cを示す分解斜視図である。図15(a)に示すSoTモジュール400bは、圧電素子410、412、振動板130および弾性体451で構成されている。SoTモジュール400bは、複数の圧電素子412が複数の弾性体451で圧電素子410に連結されている点を除いてSoTモジュール400aと同様に構成されている。
【0090】
図15(a)に示す例では、9枚の圧電素子412が、それぞれが正方形平板状に形成され、9枚の弾性体451と同様に対称的に配置されており、圧電素子410に連結されている。圧電素子412および弾性体451は、正方形平板状に形成されることが好ましいが、円板状のような他の形状であってもよい。
【0091】
圧電素子410、412に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、対応する弾性体451を介して複数の圧電素子412の各振動を圧電素子410に伝達できる。一方で、圧電素子410の振動を振動板130に伝達できる。これにより、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。複数の圧電素子412および圧電素子410の振動を、複数の異なる振動伝達経路で伝達し、振動板130の特定の領域で増幅することが可能である。
【0092】
図15(b)に示すSoTモジュール400cは、圧電素子410、413、振動板130および弾性体452で構成されている。SoTモジュール400cは、5枚の圧電素子413が5枚の弾性体452で圧電素子410に連結されている点を除いてSoTモジュール400bと同様に構成されている。5枚の圧電素子413は、それぞれが正方形平板状に形成され、5枚の弾性体452と同様に対称的に配置されている。そして、5枚の圧電素子413は、それぞれが弾性体452を介して圧電素子410に連結されている。
【0093】
圧電素子410、413のいずれかの組み合わせに対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、対応する弾性体452を介して複数の圧電素子413の各振動を圧電素子410に伝達できる。一方で、圧電素子410の振動を振動板130に伝達できる。これにより、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。圧電素子および弾性体の枚数に応じて、複数の圧電素子413からの振動を、複数の異なる振動伝達経路で伝達し、振動板130の特定の領域で増幅することが可能である。
【0094】
<振動板が素子間に配置された重畳型>
図16(a)、(b)は、いずれも振動板が素子間に配置された重畳型のSoTモジュール400d、400eを示す分解斜視図である。図16(a)に示すSoTモジュール400dは、圧電素子410、414、振動板130、430および弾性体451で構成されている。SoTモジュール400dは、圧電素子414と弾性体451との間に中間の振動板430(第2の振動板)が設けられている点を除いてSoTモジュール400aと同様に構成されている。
【0095】
第2の振動板には、ステンレス製の強度強化板を用いることができる。第2の振動板は、基本的に強度の強化の目的で設けられており、その上に貼り付ける圧電素子が元々硬い場合には、第2の振動板を設ける必要性は薄い。1枚の圧電素子414が中間の振動板430上に貼り付けられている。振動板430に貼り付けられる圧電素子414は、薄型のフィルム形の素子であってもよい。一方で中間の振動板430の下面には、複数の弾性体451が貼り付けられている。
【0096】
圧電素子410、414に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子414の振動が振動板430に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体451を介して振動板130に伝達される。一方で、圧電素子410の振動が振動板130に伝達される。これにより、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合、複数の弾性体451を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0097】
図16(b)に示すSoTモジュール400eは、圧電素子410、415、振動板130、430および弾性体451で構成されている。SoTモジュール400eは、中間の振動板430上に複数の圧電素子415が設けられている点を除いてSoTモジュール400aと同様に構成されている。SoTモジュール400eでは、5枚の正方形平板状の圧電素子415が対称に配置され、中間の振動板430上に貼り付けられている。
【0098】
圧電素子410、415に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子415の振動が振動板430に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体451を介して振動板130に伝達される。一方で、圧電素子410の振動が振動板130に伝達される。これにより、振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合も、複数の弾性体451を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0099】
<素子の基準軸をずらした重畳型>
図17(a)、(b)は、それぞれ素子の基準軸をずらした重畳型のSoTモジュール400fを示す分解斜視図およびその音圧の周波数特性を示すグラフである。SoTモジュール400fは、圧電素子410、416、振動板130、431および弾性体453、454で構成されている。SoTモジュール400fは、圧電素子416、中間の振動板431および複数の弾性体453、454の基準軸が圧電素子410の基準軸からずれている点を除いてSoTモジュール400aと同様に構成されている。
【0100】
SoTモジュール400fでは、圧電素子416、振動板431(第2の振動板)、複数の弾性体453、454および圧電素子410は、主面の中心軸を一致させて重畳して貼り付けられている。このような配置により、振動を増幅しやすくなる。
【0101】
ただし、正方形平板状に形成された圧電素子416および振動板431の基準軸と正方形平板状に形成された圧電素子410の基準軸とは45°ずれている。すなわち、圧電素子410、416は、互いに重複していない領域のある配置で設けられている。振動板431と圧電素子410は、重複領域が弾性体453で連結されている。振動板431は、圧電素子410と重複していない領域で振動板130と弾性体454を介して連結されている。弾性体454の厚さは、弾性体453の厚さより大きく、圧電素子410の下面は、振動板の表面と平行に維持されている。このような形状の調整は、他の実施形態の弾性体も同様になされている。
【0102】
複数の弾性体453、454のそれぞれは、いずれも正方形平板状に形成されているが、形状は必ずしも正方形に限定されず、多角形や円であってもよい。このように重畳する圧電素子410および圧電素子416の互いの基準軸が異なることによる振動伝達経路が異なることで、音圧特性が改善し、ピークディップも改善する。
【0103】
圧電素子410、412に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体453、454を介して圧電素子416および振動板431の振動を振動板130に伝達できる。また、圧電素子410の振動は直接に振動板130に伝達できる。配置をずらして圧電素子を重畳させた形態であるため、振動板431の振動は、弾性体453を経由する振動伝達経路と弾性体454を経由する振動伝達経路により振動板130に伝達される。このように重複する領域と重複しない領域とで異なる振動伝達経路を形成し、振動が増幅する特定の領域を作ることができる。
【0104】
図17(b)に示すグラフ上の曲線P400fは、SoTモジュール400fの音圧の周波数特性を示している。SoTモジュール400fの音圧は、低音域でSoTモジュール300b、300eの音圧を上回っており、高音域でも圧電モジュール200の音圧と同程度である。
【0105】
図18は、素子配置をずらした重畳型のSoTモジュールを示す分解斜視図である。SoTモジュール400gは、圧電素子417、418、振動板130、432および弾性体455、456で構成されている。SoTモジュール400gは、圧電素子418、中間の振動板432(第2の振動板)および複数の弾性体455、456の基準軸が圧電素子417の基準軸からずれている点では、SoTモジュール400fと共通している。その他、重畳方向の配置の順番なども共通している。
【0106】
SoTモジュール400gでは、圧電素子418、振動板433、複数の弾性体455、456および圧電素子417は、主面の中心軸を一致させて重畳して貼り付けられている。ただし、矩形平板状に形成された圧電素子417の基準軸に対し、いずれも矩形平板状に形成または配置された圧電素子418、振動板433および複数の弾性体455、456の基準軸が90°ずれている点が異なっている。
【0107】
振動板432と圧電素子417は、重複領域が弾性体455で連結されている。振動板432は、圧電素子417と重複していない領域では弾性体454を介して振動板130と連結されている。複数の弾性体455、456のそれぞれは、いずれも正方形平板状に形成されているが、それらの形状は、多角形または円であってもよい。
【0108】
圧電素子417、418に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体455、456を介して圧電素子418および振動板432の振動が振動板130に伝達されるとともに、圧電素子417の振動が振動板130に伝達される。基準軸をずらして圧電素子を重畳させた形態であるため、振動板130上に振動板432により振動する領域、圧電素子417により振動する領域、振動板432および圧電素子417により振動が増幅する領域を作ることができる。
【0109】
<複数部分重畳かつ素子の基準軸をずらした重畳型>
図19(a)、(b)は、いずれも複数部分重畳かつ素子の基準軸をずらした重畳型のSoTモジュール400hを示す分解斜視図である。図19(a)に示すSoTモジュール400hは、圧電素子410、419、振動板130、430および弾性体453、454で構成されている。SoTモジュール400hは、中間の振動板430上に複数の圧電素子419が設けられている点を除いてSoTモジュール400fと同様に構成されている。9枚の正方形平板状の圧電素子419が正方形の頂点およびその頂点を結ぶ線分の中間点に対称的に配置され、中間の振動板430上に貼り付けられている。また、複数の弾性体453、454は、複数の圧電素子419に対応する位置に設けられている。
【0110】
複数の圧電素子419、振動板430および弾性体453、454の基準軸は、圧電素子410の基準軸から45°ずれている。弾性体453は、振動板430と圧電素子410とをその重複領域で連結し、弾性体454は、振動板430と振動板130とを振動板430と圧電素子410とが重複しない領域で連結している。
【0111】
圧電素子410、419に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子419の振動が振動板430に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体453、454を介して振動板130に伝達される。また、圧電素子410の振動が振動板130に直接に伝達される。これらの振動で振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合、複数の弾性体453、454を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0112】
図19(b)に示すSoTモジュール400iは、圧電素子410、415、振動板130、430および弾性体453、454で構成されている。SoTモジュール400iは、中間の振動板430上に5枚の圧電素子415が設けられている点を除いてSoTモジュール400hと同様に構成されている。SoTモジュール400iでは、5枚の正方形平板状の圧電素子415が正方形の頂点およびその中心に対称的に配置され、中間の振動板430上に貼り付けられている。また、複数の弾性体453、454は、複数の圧電素子415に対応する位置に設けられている。
【0113】
複数の圧電素子415、振動板430および弾性体453、454の基準軸は、圧電素子410の基準軸から45°ずれている。弾性体453は、振動板430と圧電素子410とをその重複領域で連結し、弾性体454は、振動板430と振動板130とを振動板430と圧電素子410とが重複しない領域で連結している。
【0114】
圧電素子410、415に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子415の振動が振動板430に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体453、454を介して振動板130に伝達される。また、圧電素子410の振動が振動板130に直接に伝達される。これらの振動で振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合も、複数の弾性体453、454を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0115】
<大型の振動板が素子間に配置された複数部分重畳の重畳型>
図20(a)、(b)は、いずれも大型の振動板が素子間に配置された複数部分重畳の重畳型のSoTモジュール400j、400kを示す分解斜視図である。図20(a)に示すSoTモジュール400jは、圧電素子410、415、振動板130、435および弾性体453、454で構成されている。SoTモジュール400jは、中間の振動板435(第2の振動板)が大型であり、5枚の圧電素子415および弾性体453、454の配置が圧電素子410の配置と対応している点を除いてSoTモジュール400hと同様に構成されている。
【0116】
具体的には、圧電素子415および弾性体453、454は、それぞれの正方形の頂点および中心の位置に対称的に配置されており、これらの基準軸と、正方形平板状に形成された圧電素子410の基準軸とが一致している。また、複数の圧電素子415は、その振動板130への投影が圧電素子410の範囲より広い範囲に及ぶように配置されており、弾性体453、454の配置もこの範囲にわたり配置されている。そのような配置の結果、弾性体453は、振動板435と圧電素子410とをそれらの重複領域で連結しており、弾性体454は、振動板435と振動板130とを振動板435と圧電素子410とが重複しない領域で連結している。
【0117】
圧電素子410、415に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子415の振動が振動板435に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体453、454を介して振動板130に伝達される。また、圧電素子410の振動が振動板130に直接に伝達される。これらの振動で振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合、複数の弾性体453、454を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0118】
図20(b)に示すSoTモジュール400kは、圧電素子410、415、振動板130、435および弾性体453、454で構成されている。SoTモジュール400kでは、5枚の圧電素子415および弾性体453、454の基準軸が圧電素子410の基準軸からずれている点を除いてSoTモジュール400iと同様に構成されている。
【0119】
具体的には、圧電素子415および弾性体453、454は、正方形の頂点および中心の位置に対称的に配置されており、これらの基準軸と、圧電素子410の基準軸とが45°ずれている。すなわち、圧電素子410、415は、互いに重複していない領域のある配置で設けられている。弾性体453は、振動板435と圧電素子410とをそれらの重複領域で連結しており、弾性体454は、振動板435と振動板130とを振動板435と圧電素子410との重複しない領域で連結している。
【0120】
圧電素子410、415に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子415の振動が振動板435に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体453、454を介して振動板130に伝達される。また、圧電素子410の振動が振動板130に直接に伝達される。これらの振動で振動板130の特定の領域の振動を増幅できる。この場合、複数の弾性体453、454を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0121】
[第4実施形態(ディスプレイへの応用)]
SoTモジュールは、内部にキャビティ構造を有する薄型ディスプレイに応用できる。薄型ディスプレイでは、表示パネルと背面板との間を中間板により区切られ、第1キャビティおよび第2キャビティが形成されている。SoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイには、中間板を振動板として用いるものと表示パネルおよび中間板を振動板として用いるものがある。それらの場合、背面板はSoTモジュールを保護するためのカバー板として用いることができる。SoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイは、テレビ、タブレット、スマートフォンまたは自動車用ナビゲーションに応用できる。
【0122】
<SoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(中間板利用)>
図21(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ800(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ800は、表示パネル810、SoTモジュール500および背面板820を備えている。
【0123】
SoTモジュール500は、圧電素子510、511、中間板830および弾性体550で構成されている。圧電素子510、511は、いずれも正方形平板状に形成されており、中間板830上に重畳されている。SoTモジュール500は、SoTモジュール400と同様に構成されており、中間板830を振動板(第1の振動板)として用いている。
【0124】
圧電素子510は、直接に中間板830に貼り付けられている。圧電素子510上には、正方形平板状の弾性体550が貼り付けられており、弾性体550上に圧電素子511が貼り付けられている。圧電素子510、弾性体550および圧電素子511はいずれも同じ形状であり、全面で貼り付けられている。弾性体550は、圧電素子511を全面にわたり支持しており、圧電素子間の連結によりそれらの振動を中間板830に伝達している。
【0125】
圧電素子510、511に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体550を介して圧電素子511の振動が圧電素子510に伝達される。また、圧電素子510の振動が中間板830に直接に伝達される。これらの振動で中間板830の特定の領域の振動を増幅できる。なお、第2キャビティの厚さd10が薄くなるほど薄型ディスプレイの厚さd20が薄くなるが、圧電素子510、511の重畳により限界がある。
【0126】
図22(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ800a(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ800aは、表示パネル810、SoTモジュール500aおよび背面板820を備えている。
【0127】
SoTモジュール500aは、圧電素子510、511、中間板830および弾性体551で構成されている。SoTモジュール500aは、圧電素子間が複数の弾性体551で連結されている点を除いてSoTモジュール500と同様に構成されている。複数の弾性体551は、それぞれが正方形平板状に形成され、圧電素子510上に正方形の頂点の位置で対称的に配置されており、圧電素子511に連結されている。
【0128】
圧電素子510、511に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、複数の弾性体551を介して圧電素子511の振動が圧電素子510に伝達される。また、圧電素子510の振動が中間板830に直接に伝達される。これらの振動で中間板830の特定の領域の振動を増幅できる。この場合には、複数の弾性体551を介した複数の異なる振動伝達経路が存在し、それぞれを伝わる振動を特定の領域で増幅することが可能である。なお、第2の振動板が用いられているSoTモジュール400d等をSoTモジュール500aに適用することも可能である。
【0129】
図23(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ800b(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ800bは、表示パネル810、SoTモジュール500bおよび背面板820を備えている。
【0130】
SoTモジュール500bは、圧電素子510、516、中間板830および弾性体553、554で構成されている。SoTモジュール500bは、SoTモジュール500aとは異なり、圧電素子516および複数の弾性体553、554の基準軸が圧電素子510の基準軸からずれている。
【0131】
SoTモジュール500bでは、圧電素子516、複数の弾性体553、554および圧電素子510は、主面の中心軸を一致させて重畳して貼り付けられている。ただし、正方形平板状に形成された圧電素子516およびそれに応じて配置された複数の弾性体553、554の基準軸と正方形平板状に形成された圧電素子510の基準軸とは45°ずれている。すなわち、圧電素子510、516は、互いに重複していない領域のある配置で設けられている。
【0132】
圧電素子516は、重複領域で弾性体553を介して圧電素子510に連結され、重複していない領域で弾性体554を介して中間板830に連結されている。複数の弾性体553、554のそれぞれは正方形平板状に形成されている。
【0133】
圧電素子510、516に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体553、554を介して圧電素子516の振動を中間板830に伝達するとともに、圧電素子510の振動を中間板830に伝達することができる。基準軸をずらして圧電素子を重畳させた形態であるため、中間板830上に圧電素子516により振動する領域、圧電素子510により振動する領域、圧電素子510、516により振動が増幅する領域を作ることができる。なお、第2の振動板が用いられているSoTモジュール400d等をSoTモジュール500bに適用することも可能である。
【0134】
図24(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ800c(中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ800cは、表示パネル810、SoTモジュール500cおよび背面板820を備えている。
【0135】
SoTモジュール500cは、圧電素子510、517、中間板830、振動板531(第2の振動板)および弾性体551で構成されている。SoTモジュール500cは、圧電素子517と弾性体551との間に振動板531が設けられている点を除いてSoTモジュール500と同様に構成されている。1枚の圧電素子517が振動板531上に貼り付けられており、一方で振動板531は、弾性体551にも貼り付けられている。
【0136】
圧電素子510、517に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子517の振動が振動板531に伝達され、さらにその振動が弾性体551を介して中間板830に伝達される。また、圧電素子510の振動が中間板830に直接に伝達される。これらの振動で中間板830の特定の領域の振動を増幅できる。
【0137】
<SoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ(表示パネルおよび中間板利用)>
図25(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ900(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ900は、SoTモジュール600および背面板920を備えている。
【0138】
SoTモジュール600は、圧電素子610、615、表示パネル910、中間板930および弾性体652で構成されている。SoTモジュール600は、圧電素子610、615は、いずれも正方形平板状に形成されており、圧電素子610は、表示パネル910上に貼り付けられ、圧電素子615は、中間板930上に重畳されている。
【0139】
SoTモジュール600は、2つの振動板を用いた重畳型のSoTモジュールと同様に構成されており、表示パネル910よび中間板930を振動板(それぞれ第1および第2の振動板)として用いている。この応用例では、重畳する圧電素子610、615の一方が第1キャビティにも配置されるため、第2キャビティの厚さd10を薄くでき、薄型ディスプレイ全体d20の厚さを薄くできる。弾性体652は、正方形平板状に形成され、中間板930と圧電素子610は、重複領域が弾性体652で連結されている。
【0140】
圧電素子610、615に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体652を介して中間板930の振動を圧電素子610に伝達するとともに、圧電素子610の振動を表示パネル910に伝達することができる。これらの振動で表示パネル910の特定の領域の振動を増幅させることができる。
【0141】
図26(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ900a(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ900aは、SoTモジュール600aおよび背面板920を備えている。
【0142】
SoTモジュール600aは、圧電素子610、615、表示パネル910、中間板930および弾性体653で構成されている。SoTモジュール600aは、単一ではなく複数の弾性体653が設けられている点を除いてSoTモジュール600と同様に構成されている。複数の弾性体653は、それぞれが正方形平板状に形成され、圧電素子610上において正方形の頂点の位置に対称的に配置されており、中間板930に連結されている。この場合、圧電素子610の基準軸に対して、圧電素子615および複数の弾性体653の基準軸は一致している。
【0143】
圧電素子610、615に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、複数の弾性体653を介して中間板930の振動が圧電素子610に伝達される。また、圧電素子610の振動が表示パネル910に直接に伝達される。これらの振動で表示パネル910の特定の領域の振動を増幅できる。この場合には、複数の弾性体653を介した複数の異なる振動伝達経路が存在し、それぞれを伝わる振動を特定の領域で増幅することが可能である。
【0144】
図27(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ900b(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ900bは、SoTモジュール600bおよび背面板920を備えている。
【0145】
SoTモジュール600bは、圧電素子610、616、表示パネル910、中間板930および弾性体654、655で構成されている。SoTモジュール600bは、圧電素子616および複数の弾性体654、655の基準軸が圧電素子610の基準軸からずれており、8枚の弾性体654、655が配置されている点を除いてSoTモジュール600aと同様に構成されている。
【0146】
SoTモジュール600bでは、圧電素子616、複数の弾性体654、655および圧電素子610は、主面の中心軸を一致させて重畳して貼り付けられている。ただし、正方形平板状に形成された圧電素子616および複数の弾性体654、655の基準軸の基準軸と正方形平板状に形成された圧電素子610の基準軸とは45°ずれている。すなわち、圧電素子610、616は、互いに重複していない領域のある配置で設けられている。
【0147】
中間板930は圧電素子610とその重複領域において弾性体654で連結されている。中間板930は、圧電素子410と重複していない領域で弾性体655を介して表示パネル910に連結されている。複数の弾性体654、655のそれぞれは、いずれも正方形平板状に形成されている。
【0148】
圧電素子610、616に、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、弾性体654、655を介して中間板930の振動を表示パネル910に伝達するとともに、圧電素子610の振動を表示パネル910に伝達することができる。基準軸をずらして圧電素子を重畳させた形態であるため、表示パネル910上に中間板930により振動する領域、圧電素子610により振動する領域、表示パネル910および圧電素子610により振動が増幅する領域を作ることができる。
【0149】
図28(a)~(c)は、それぞれSoTモジュールを内蔵した薄型ディスプレイ900c(表示パネルおよび中間板利用)を示す斜視図、分解斜視図および断面図である。薄型ディスプレイ900cは、SoTモジュール600cおよび背面板920を備えている。
【0150】
SoTモジュール600cは、圧電素子610、617、表示パネル910、中間板930および弾性体656、657で構成されている。SoTモジュール600cは、9枚の圧電素子617および9枚の弾性体656、657が設けられている点を除いてSoTモジュール600bと同様に構成されている。
【0151】
具体的には、圧電素子617および弾性体656、657は、正方形の頂点および頂点を結ぶ線分の中間点に対称的に配置され、それらの基準軸と、正方形平板状に形成された圧電素子610の基準軸とが45°ずれている。すなわち、圧電素子610、617は、互いに重複していない領域のある配置で設けられている。弾性体656は、中間板930と圧電素子610とを連結しており、弾性体657は、中間板930と表示パネル910とを連結している。
【0152】
圧電素子610、617に対し、同位相または逆位相で交流電圧を印加することで、圧電素子617の振動が中間板930に伝達され、さらにその振動が複数の弾性体656、657を介して表示パネル910に伝達される。また、圧電素子610の振動が表示パネル910に直接に伝達される。これらの振動で表示パネル910の特定の領域の振動を増幅できる。この場合、複数の弾性体656、657を介した複数の異なる振動伝達経路が存在する。
【0153】
<振動領域の測定>
準備した複数種類の圧電モジュールおよびSoTモジュールを駆動し、振動板の振動領域をレーザドップラ計で測定した。図29(a)~(c)は、それぞれ単一の圧電素子を有する圧電モジュール1100を示す平面図、断面図およびその振動のモードパターンを示す図である。圧電モジュール1100は、圧電素子1110および振動板1130を備えている。圧電素子1110は、円板状に形成され、正方形平板状の振動板1130の中心に貼り付けられている。
【0154】
図29(c)では、振動板1130上の振幅の分布が振動のモードパターンとして示されており、振幅の大きさが濃淡で表示されている(以下同様)。図29(c)に示すように、振動板1130の中心からの距離に応じて振幅の大きさの分布が異なる。振動板1130の中心部は、圧電素子1110の能動的な振動が伝わっている領域であり、周辺領域は、圧電素子1110からの振動が伝わり受動的に振動しているだけの領域である。
【0155】
図30(a)~(c)は、それぞれ単一の弾性体1250で連結された圧電素子1210を有する圧電モジュール1200を示す平面図、断面図およびその振動のモードパターンを示す図である。圧電モジュール1200は、圧電素子1210、弾性体1250および振動板1130を備えている。圧電素子1210は、正方形平板状に形成され、円板状の弾性体1250により正方形平板状の振動板1130の中心に連結されている。
【0156】
図30(c)に示すように、振動板1130の中心からの距離に応じて振幅の大きさの分布が異なる。圧電モジュール1200による振動の分布は、圧電モジュール1100と同じである。振動が伝達されるのは、それぞれ圧電素子1110および弾性体1250が振動板1130に接着されている同一形状の円内の領域であるため、それによる分布も同じになる。
【0157】
図31(a)~(c)は、それぞれ格子状に配列された圧電素子1311、1312および弾性体1450を有するSoTモジュール1300、1400を示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。図31(a)に示すSoTモジュール1300は、圧電素子1311、1312および振動板1130を備えている。圧電素子1311、1312は、円板状に形成され、振動板1130上に正方形格子の各格子点に配列されている。圧電素子1311と圧電素子1312とは、平面上に互い違いに配置され、圧電素子1312は、圧電素子1311が駆動される位相と逆の位相で駆動される。圧電素子1311、1312は、振動板1130に貼り付けられており、それらの振動が振動板1130に伝達される。その結果、図31(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0158】
図31(b)に示すSoTモジュール1400は、圧電素子1411、1412、弾性体1450および振動板1130を備えている。圧電素子1411、1412は、正方形平板状に形成され、振動板1130上に正方形格子の各格子点に配列されている。圧電素子1411、1412は、各配置において円板状に形成された弾性体1450で振動板1130に連結されている。圧電素子1411と圧電素子1412とは平面上で互い違いに配置され、圧電素子1412は、圧電素子1411が駆動される位相と逆の位相で駆動される。圧電素子1411、1412は、弾性体1450で振動板1130に連結されており、それらの振動が振動板1130に伝達される。その結果、SoTモジュール1400において、SoTモジュール1300と同様に図31(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0159】
図32(a)~(c)は、それぞれ円環状に配列された圧電素子および弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。図32(a)に示すSoTモジュール1500は、圧電素子1511、1512および振動板1130を備えている。圧電素子1511、1512は、円板状に形成され、振動板1130の円周上に等間隔(図の例では45°間隔)で配列されている。圧電素子1511と圧電素子1512とは、互い違いに配置され、圧電素子1512は、圧電素子1511が駆動される位相と逆の位相で駆動される。圧電素子1511、1512は、振動板1130に貼り付けられており、それらの振動が振動板1130に伝達される。その結果、図32(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0160】
図32(b)に示すSoTモジュール1600は、圧電素子1611、1612、弾性体1650および振動板1130を備えている。圧電素子1611、1612は、正方形平板状に形成され、振動板1130の円周上に等間隔(図の例では45°間隔)で配列されている。圧電素子1611、1612は、各配置において円板状に形成された弾性体1650で振動板1130に連結されている。圧電素子1611と圧電素子1612とは互い違いに配置され、圧電素子1612は、圧電素子1611が駆動される位相と逆の位相で駆動される。圧電素子1611、1612は、弾性体1650で振動板1130に連結されており、それらの振動が振動板1130に伝達される。その結果、SoTモジュール1600において、SoTモジュール1500と同様に図32(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0161】
図33(a)~(c)は、それぞれ点対称に配列された圧電素子および弾性体を有するSoTモジュールを示す平面図およびその振動のモードパターンを示す図である。図33(a)に示すSoTモジュール1700は、圧電素子1711、1712および振動板1130を備えている。圧電素子1711、1712は、円板状に形成され、振動板1130上に点対称な図形上に配列されている。具体的には、振動板1130の中心を中心として大小2重に描かれた正方形上に一定の角度間隔で圧電素子1711と圧電素子1712とが互い違いに配置されている。圧電素子1712は、圧電素子1711が駆動される位相と逆の位相で駆動される。圧電素子1711、1712は、振動板1130に貼り付けられており、それらの振動が振動板1130に伝達される。その結果、図33(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0162】
図33(b)に示すSoTモジュール1800は、圧電素子1811~1814、弾性体1850および振動板1130を備えている。圧電素子1811、1812は、正方形平板状に形成され、圧電素子1813、1814は、長方形平板状に形成されている。円板状に形成された弾性体1850は、振動板1130の点対称な図形上に配列されている。具体的には、振動板1130の中心を中心として大小2重に描かれた正方形上に一定の角度間隔で弾性体1850が配置されている。
【0163】
圧電素子1811、1812は、外側の正方形上の辺の中央の位置に設けられた弾性体1850に連結され、互い違いに配置されている。また、圧電素子1813、1814は、内側の正方形と外側の正方形の角の位置に設けられた弾性体1850に連結され、振動板1130の中央から周辺に向かう方向を長手方向とするように配置されている。隣り合わせの圧電素子1813、1814は、長手方向が平行になるように並列に配置されている。
【0164】
圧電素子1811~1814は、弾性体1850で振動板1130に連結されている。圧電素子1813は圧電素子1811と同相で駆動され、圧電素子1812、1814は、圧電素子1811と逆相で駆動される。圧電素子1811~1814の振動は、弾性体1850を介して振動板1130に伝達される。その結果、SoTモジュール1800において、SoTモジュール1700と同様に図33(c)に示すモードパターンで振動板1130が振動する。
【0165】
<変形例>
なお、以上の実施形態においては、複数の圧電素子を異なる位相で駆動することが可能であるが、逆位相で駆動することが好ましい。ただし、同位相または逆位相以外で駆動することがあってもよい。これにより、振動の増幅を調整できる。また、複数の圧電素子または弾性体として9枚または5枚のものを用いているが、他の数であってもよい。これらについては対称な配置が可能な数量が好ましい。
【符号の説明】
【0166】
100~100d SoTモジュール
111~114 圧電素子
121、122 圧電体
123、124 電極
125 シム板
130、430、431、432、435 振動板
141~144 錘
151、152、153、155 弾性体
200、200a 圧電モジュール
210、211 圧電素子
251~254 弾性体
300a~300g SoTモジュール
310a、310b 圧電複合体
311~314、315、316、318 圧電素子
351~354、355、355f、356~359、356g~359g 弾性体
400、400a~400f、400h~400k SoTモジュール
410~416、419 圧電素子
430~431、435 振動板
450~454 弾性体
500、500a~500c SoTモジュール
510、511、516、517 圧電素子
531 振動板
550、551、553、554 弾性体
600、600a、600b、600c SoTモジュール
610、615、616、617 圧電素子
652~657 弾性体
800、800a800c~ 薄型ディスプレイ
810 表示パネル
820 背面板
830 中間板
900、900a~900c 薄型ディスプレイ
910 表示パネル
920 背面板
930 中間板
1100、1200 圧電モジュール
1110、1210 圧電素子
1130 振動板
1250 弾性体
1300、1400 SoTモジュール
1311、1312 圧電素子
1411、1412 圧電素子
1450 弾性体
1500、1600 SoTモジュール
1511、1512 圧電素子
1611、1612 圧電素子
1650 弾性体
1700、1800 SoTモジュール
1711、1712 圧電素子
1811~1814 圧電素子
1850 弾性体
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