(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165715
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、紙幣処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 13/00 20060101AFI20241121BHJP
G07D 11/32 20190101ALI20241121BHJP
【FI】
G07D13/00
G07D11/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082127
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 高士
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141BA20
3E141CA11
3E141GA07
(57)【要約】
【課題】紙幣処理装置において紙幣の再計数を行う状況が発生した場合に、紙幣の回収元と紙幣とを適切に紐付けることができる技術を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様に係る情報処理装置は、紙幣処理装置から、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信する通信部と、前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する制御部と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣処理装置から、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信する通信部と、
前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記記番号管理情報が前記情報を含み、前記記番号情報が前記回収元に紐付けられて前記記憶装置に記憶されていない場合、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記番号管理情報が前記情報を含まない場合、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記紙幣処理装置又は前記紙幣処理装置を操作するための端末装置から、前記紙幣処理装置の操作者を示す操作者情報を受信し、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元及び前記操作者情報に紐付けて前記記憶装置に記憶させる、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記紙幣処理装置を操作するための端末装置から、前記回収元を示す情報を受信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記紙幣は、前記回収元から回収された所定枚数に満たない1枚以上の紙幣であって、前記紙幣処理装置によって適切に処理された前記1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣であり、
前記1枚以上の紙幣の最後の紙幣が前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記紙幣は、前記回収元から回収された所定枚数以上の紙幣のうち、前記紙幣処理装置によって適切に処理された前記所定枚数の紙幣のうちの1枚の紙幣であり、
前記所定枚数の紙幣の最後の紙幣が前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記回収元は第1の回収元であり、
前記紙幣は、前記第1の回収元から回収された第1の1枚以上の紙幣であって、前記紙幣処理装置によって、第2の回収元から回収された所定枚数に満たない第2の1枚以上の紙幣が適切に処理された後に適切に処理された前記第1の1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣であり、
前記第2の1枚以上の紙幣と前記第1の1枚以上の紙幣との合計が前記所定枚数になるときの、前記第1の1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣が、前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
紙幣処理装置と情報処理装置と記憶装置とを備える紙幣処理システムであって、
前記紙幣処理装置は、
前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記紙幣処理装置から、前記記番号管理情報を受信し、
前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させるか否かを判定する、
紙幣処理システム。
【請求項10】
前記回収元を示す情報を前記情報処理装置に送信する、前記紙幣処理装置を操作するための端末装置をさらに備え、
前記情報処理装置は、前記端末装置から、前記回収元を示す情報を受信する、
請求項9に記載の紙幣処理システム。
【請求項11】
情報処理装置が、
紙幣処理装置から、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信し、
前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、紙幣処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の店舗から回収された現金(紙幣及び/又は貨幣)を、現金処理センターにて、貨幣処理装置により識別、計数、帯封等して保管する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる技術では、店舗毎の回収された現金が、貨幣処理装置に投入され、貨幣処理装置によって処理された現金が、帯封及び/又は包装された状態で投出され、コンテナ等に収納される。各店舗から回収された現金の計数処理が完了するたびに、計数結果(金種別枚数や合計金額等)が、管理サーバに送信され、店舗情報に紐付けられて管理サーバによって管理される。
【0003】
上記したように、回収された紙幣は、貨幣処理装置又は紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置)に投入され、識別及び計数された後、金種別に分類されて、所定枚数(例えば、100枚)ずつ帯封されて投出される。所定枚数に満たない残りの紙幣は、紙幣処理装置内の集積部に残留され、次の店舗から回収された紙幣が追加集積されることになる。
【0004】
紙幣処理装置が紙幣を処理している途中にジャム等のエラーが発生した場合、装置扉を開放して紙幣搬送路や集積部等の紙幣処理装置内に残っている紙幣が装置外へ取り出された後、取り出された紙幣や続きの紙幣が、改めて計数(再計数と呼ぶ)されることになる。ここで、紙幣処理装置外へ取り出された紙幣を、再計数のために紙幣処理装置内に戻す処理を、端数戻しと呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術において、ある店舗(第1店舗と呼ぶ)の紙幣が計数され、その紙幣が集積部に残っている状態で、次の店舗(第2店舗と呼ぶ)の紙幣が処理され、その途中でエラーが発生した場合、集積部から取り出された紙幣には、第1店舗の(同じ記番号の)紙幣と第2店舗の(同じ記番号の)紙幣とが混在している。この取り出された紙幣が再計数される場合、第1店舗の紙幣が重複して計数されるため、第2店舗の紙幣の計数は、正確でなくなるおそれがある。その結果、紙幣の回収元の店舗と計数された紙幣との紐付けが適切になされず、店舗と紙幣との紐付けを適切に管理できないおそれがある。
【0007】
本開示は、上記課題に鑑みて、紙幣処理装置において紙幣の再計数を行う状況が発生した場合に、紙幣の回収元と紙幣とを適切に紐付けることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、紙幣処理装置から、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信する通信部と、前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する制御部と、を備える。
【0009】
一例において、前記記番号管理情報が前記情報を含み、前記記番号情報が前記回収元に紐付けられて前記記憶装置に記憶されていない場合、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させてもよい。
【0010】
一例において、前記記番号管理情報が前記情報を含まない場合、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させてもよい。
【0011】
一例において、前記通信部は、前記紙幣処理装置又は前記紙幣処理装置を操作するための端末装置から、前記紙幣処理装置の操作者を示す操作者情報を受信してもよく、前記制御部は、前記記番号情報を前記回収元及び前記操作者情報に紐付けて前記記憶装置に記憶させてもよい。
【0012】
一例において、前記通信部は、前記紙幣処理装置を操作するための端末装置から、前記回収元を示す情報を受信してもよい。
【0013】
一例において、前記紙幣は、前記回収元から回収された所定枚数に満たない1枚以上の紙幣であって、前記紙幣処理装置によって適切に処理された前記1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣であってもよく、前記1枚以上の紙幣の最後の紙幣が前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信してもよい。
【0014】
一例において、前記紙幣は、前記回収元から回収された所定枚数以上の紙幣のうち、前記紙幣処理装置によって適切に処理された前記所定枚数の紙幣のうちの1枚の紙幣であってもよく、前記所定枚数の紙幣の最後の紙幣が前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信してもよい。
【0015】
一例において、前記回収元は第1の回収元であってもよく、前記紙幣は、前記第1の回収元から回収された第1の1枚以上の紙幣であって、前記紙幣処理装置によって、第2の回収元から回収された所定枚数に満たない第2の1枚以上の紙幣が適切に処理された後に適切に処理された前記第1の1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣であってもよく、前記第2の1枚以上の紙幣と前記第1の1枚以上の紙幣との合計が前記所定枚数になるときの、前記第1の1枚以上の紙幣のうちの1枚の紙幣が、前記紙幣処理装置によって適切に処理されたときに、前記通信部は、前記記番号管理情報を受信してもよい。
【0016】
本開示の一態様に係る紙幣処理システムは、紙幣処理装置と情報処理装置と記憶装置とを備え、前記紙幣処理装置は、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記紙幣処理装置から、前記記番号管理情報を受信し、前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて前記記憶装置に記憶させるか否かを判定する。
【0017】
一例において、当該紙幣処理システムは、前記回収元を示す情報を前記情報処理装置に送信する、前記紙幣処理装置を操作するための端末装置をさらに備えてもよく、前記情報処理装置は、前記端末装置から、前記回収元を示す情報を受信してもよい。
【0018】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置が、紙幣処理装置から、前記紙幣処理装置によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信し、前記記番号管理情報が、前記紙幣処理装置によって前記紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報を含むか否かに基づいて、前記記番号情報を前記紙幣の回収元に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、紙幣処理装置において紙幣の再計数を行う状況が発生した場合に、紙幣の回収元と紙幣とを適切に紐付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成例を示すブロック図
【
図2】本開示の実施形態に係る紙幣処理装置の内部構造の一例を示す図
【
図3】本開示の実施形態に係る操作端末のハードウェア構成例を示すブロック図
【
図4】本開示の実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図
【
図5】本開示の実施形態に係る記番号管理情報に記録される情報の例を示す図
【
図6】本開示の実施形態に係る、回収された紙幣に関するデータテーブルの例を示す図
【
図7】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報の設定及び送信の例を説明するための図
【
図8】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報の設定及び送信の例を説明するための図
【
図9A】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報及び顧客情報に基づく記番号と顧客情報との紐付けの例を説明するための図
【
図9B】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報及び顧客情報に基づく記番号と顧客情報との紐付けの例を説明するための図
【
図9C】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報及び顧客情報に基づく記番号と顧客情報との紐付けの例を説明するための図
【
図9D】本開示の実施形態に係る、記番号管理情報及び顧客情報に基づく記番号と顧客情報との紐付けの例を説明するための図
【
図10】本開示の実施形態に係る、紙幣処理装置の動作例を示すフローチャート
【
図11】本開示の実施形態に係る、紙幣処理装置の動作例を示すフローチャート
【
図12】本開示の実施形態に係る、管理サーバの動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
<紙幣処理システムの構成>
まず、紙幣処理システムの構成について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る紙幣処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す紙幣処理システム100は、例えば、警送会社によって運営される現金処理センターに設置される。警送会社の担当者は、様々な顧客店舗(例えば、銀行の支店等)から現金(例えば、紙幣)を回収して現金処理センターまで運送する。紙幣処理システム100は、紙幣処理装置(例えば、
図1に示す紙幣処理装置1)に投入されて計数された現金を管理する。なお、現金処理センターに持ち込まれる回収された現金には、伝票(媒体)が添付されており、伝票には、回収元(例えば、A銀行α支店ATM01号機等)を問い合わせるための情報として、二次元コード(機械読取り可能なコードであれば、バーコード等でも可)が印字されている。また、伝票には、回収元からの回収合計金額も印字されている。
【0024】
図1に示すように、紙幣処理システム100は、紙幣処理装置1と、操作端末8と、管理サーバ9と、を有する。
図1において、紙幣処理装置1、操作端末8及び管理サーバ9は、それぞれ1つ存在するものとして示されているが、紙幣処理システム100を構成する紙幣処理装置1、操作端末8及び管理サーバ9の数は、それぞれ1つに限定されるものではない。紙幣処理装置1が複数存在する場合、例えば、操作端末8と紙幣処理装置1とは、1対1の関係にあってもよいし、1対複数(例えば2)の関係にあってもよい。また、例えば、負荷分散等のために、管理サーバ9は、複数存在してもよい。
【0025】
紙幣処理装置1は、紙幣を1枚ずつ繰出して識別し、種類(金種)別に所定枚数(本実施形態では100枚)ずつ集積し、集積された紙幣を帯封して払い出す(投出する)。紙幣処理装置1は、紙幣整理機とも呼ばれる。以下において、所定枚数(100枚)の紙幣を計数処理すること(及び、集積された所定枚数の紙幣を帯封して払い出すこと)を、束確定と呼ぶ。
【0026】
紙幣処理装置1は、紙幣の真偽/金種を判定し、撮影画像から記番号を判定し、判定した記番号を表示する。
【0027】
紙幣処理装置1は、取引確定時に、取引データを操作端末8に送信し、記番号情報を記番号管理情報(例えば、
図5を参照)に含めて管理サーバ9に送信する。ここで、取引とは、ある店舗等の一の顧客から回収された現金が、紙幣処理装置により識別及び計数されて、以下で説明するように、計数処理によって判定された合計金額と伝票に印字された回収合計金額との照合を行うことを意味し、取引確定とは、計数結果と回収合計金額とが一致したことに応じて、操作者が操作端末8に表示された取引確定ボタンを押下することを意味する。なお、取引データには、回収された現金の金種別枚数及び合計金額が含まれる。上記及び以下において、記番号情報と記番号とは、互いに読み替えられてもよく、情報とデータとは、互いに読み替えられてもよい。
【0028】
また、紙幣処理装置1は、束確定時にも、記番号情報を記番号管理情報に含めて管理サーバ9に送信する。
【0029】
紙幣処理装置1は、記番号管理情報を管理サーバ9に送信するときに、同じ記番号の記番号管理情報が既に管理サーバ9に送信されている場合には、再度送信する記番号管理情報に送信済み情報をセット(又は付与又は付加)して管理サーバ9に送信する。送信済み情報並びにそのセット及び送信については、以下で詳述する。
【0030】
紙幣処理装置1は、紙幣処理装置1において前回端数戻しが行われた場合には、記番号管理情報に端数戻し情報をセット(又は付与又は付加)して管理サーバ9に送信する。端数戻し情報は、紙幣が、紙幣処理装置1によって処理されてはいるものの、適切には処理されていない可能性があることを示す情報である。端数戻し情報並びにそのセット及び送信については、以下で詳述する。なお、前回端数戻しとは、束確定せずに100枚に満たない端数紙幣がある状態で、取引確定を行い、その後にエラー等が発生して紙幣処理装置1から紙幣の抜取が発生した場合に、取引確定を行った端数紙幣を紙幣処理装置1内に戻す処理を意味する。操作端末8に表示された(端数戻し)完了ボタン押下後に処理の確認が選択可能である。端数戻し処理において、紙幣をすべて戻すこともできるが、紙幣を一部戻す又は紙幣を戻さずに処理を完了することも可能である。
【0031】
操作端末8は、紙幣処理装置1を操作するための端末装置である。操作端末8は、計数処理を開始する前に、操作端末8が有する二次元コードリーダによって伝票に印字された二次元コードが読み取られると、二次元コードが示す情報を用いて管理サーバ9に問い合わせることにより、管理サーバ9から回収元情報を取得する。あるいは、操作端末8は、二次元コードリーダによって二次元コードが読み取られたことに応じて、管理サーバ9から回収元情報を取得した後でないと、計数処理を開始できないようにしてもよい。
【0032】
操作端末8は、計数処理後、紙幣処理装置1から送信された取引データ(合計金額)と伝票に印字された回収合計金額とを照合する。操作端末8は、計数結果と回収合計金額とが一致しない場合には、後述するユーザインタフェース(UI:User Interface)装置を介して(例えば、表示装置、スピーカ等を介して)、一致しないことを示す情報を外部に向けて出力し、計数結果と回収合計金額とが一致する場合には、UI装置を介して、一致することを示す情報及び取引確定ボタンを外部に向けて出力する。
【0033】
操作端末8は、例えば、計数結果と回収合計金額とが一致した場合に操作者によって取引確定ボタンが押下されたことに応じて、取引確定操作を行い、この取引確定時に、紙幣処理装置1から送信された取引データと管理サーバ9から送信された顧客情報とを紐付けて管理サーバ9に送信する。
【0034】
管理サーバ9は、紙幣処理装置1から送信された送信済み情報及び/又は端数戻し情報記番号情報(いずれも記番号管理情報に含まれる)に基づいて、紙幣処理装置1から送信された記番号情報(記番号管理情報に含まれる)と操作端末8から送信された顧客情報及び取引データとを紐付ける。以下において、管理サーバ9が、記番号情報と顧客情報とを紐付けるとは、管理サーバ9が、記番号情報と顧客情報とを紐付けて記憶装置に(例えば、後述する
図6に示すデータテーブル600として)記憶させることを意味する。記番号情報と顧客情報とを紐付けて記憶する記憶装置は、管理サーバ9が備える記憶装置(例えば、後述する記憶装置91)であってもよいし、データサーバ等の別の記憶装置であってもよい。
【0035】
なお、本実施形態では、管理サーバ9が現金処理センターすなわちオンプレミス環境に設置される例を説明しているが、管理サーバ9は、クラウド環境に設置されてもよい。
【0036】
(紙幣処理装置の構成)
次に、紙幣処理装置の構成について説明する。
図1は、紙幣処理装置1の外観の一例も示している。
図2は、紙幣処理装置1の内部構成の一例を示す図である。なお、以下の説明では、便宜上、
図2における紙面左を「前」と呼び、紙面右を「後」と呼ぶ場合がある。
【0037】
紙幣処理装置1は、バラ紙幣を集積する第1外部集積部11及び第2外部集積部12と、バラ紙幣が投入される投入部13と、リジェクト券を集積するリジェクト部14と、帯封された紙幣を出金するための投出部15と、エラー発生に伴って紙幣を返却する返却部16と、表示部17と、を備えている。
【0038】
第1外部集積部11及び第2外部集積部12は、紙幣処理装置1の筐体10の上部に、前後に並んで設けられている。第1外部集積部11及び第2外部集積部12はそれぞれ、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
【0039】
投入部13は、筐体10の前面の上部に設けられている。操作者は投入部13の内部にバラ紙幣を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、様々な金種を含む紙幣が投入される。投入部13は、保持している紙幣を、繰り出しローラ131によって1枚1枚、筐体10の内部へ繰り出す。
【0040】
リジェクト部14は、筐体10の前面における投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14は、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、リジェクト部14に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
【0041】
投出部15は、筐体10の前面の下部に開口している。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣は、予め置かれた容器等に入る。
【0042】
返却部16は、筐体10の上部に設けられている。返却部16は、紙幣が載るトレイ161を有している。トレイ161は、
図2に実線及び一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣を載せたトレイ161が、一点鎖線に示すように前進すると、操作者は、トレイ161から紙幣を、手で取り出すことができる。
【0043】
表示部17は、返却部16の上側に配設されている。表示部17は、一例では、タッチパネルから構成されている。表示部17は、操作者が操作を行うための操作部を兼用する。表示部17は、紙幣処理装置1が処理を行っているときには、紙幣の処理状況等の情報(計数結果、計数結果と回収合計金額との照合結果等)を含む計数画面を表示する。表示部17はまた、紙幣の処理に関する複数の項目を、操作者が設定入力するための設定画面を表示する。
【0044】
図2に示すように、紙幣処理装置1は、筐体10の内部に、搬送部3と、識別部18と、第1反転部21と、第2反転部22と、第1~第5集積部51~55と、運搬部6と、帯封部7と、制御部41と、記憶部42と、を備えている。
【0045】
搬送部3は、紙幣の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第1反転部21、リジェクト部14、第2反転部22、第1~第5集積部51~55、第1外部集積部11及び第2外部集積部12までの間で、バラ紙幣の搬送を行う。搬送部3は、筐体10の内部に配設された搬送路を有している。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出する通過センサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部3は、所定の間隔を空けて、紙幣を1枚1枚、搬送路に沿って搬送する。
【0046】
識別部18は、紙幣の搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣の金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。識別部18は、識別した識別結果(判定結果とも呼ぶ)を、紙幣処理装置1の他の構成要素(例えば、第1反転部21、第2反転部22、制御部41等)に出力する。追加的に又は代替的に、識別部18は、識別した識別結果を、記番号管理情報に記録してもよい。
【0047】
第1反転部21は、スイッチバック機構を含み、識別部18の識別結果に応じて、紙幣の表裏及び天地方向の両方を、選択的に反転するよう構成されている。第1反転部21は、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がある紙幣の表裏及び天地方向の向きを反転させると共に、表裏及び天地方向の向きを反転する必要がない紙幣を、そのまま通過させる。第1反転部21を通過した紙幣は、少なくとも表裏が揃っている。
【0048】
第1反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路141は、紙幣の搬送方向について第1反転部21の下流から分岐している。リジェクト券と識別された紙幣は、リジェクト部14に搬送される。
【0049】
第2反転部22は、スパイラル機構を含み、紙幣の搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。第2反転部22は、識別部18の識別結果に応じて、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣の左右方向の向き及び表裏を反転させると共に、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣を、そのまま通過させる。この紙幣処理装置1は、反転部として、第1反転部21と第2反転部22との二種類の反転部を備えることにより、紙幣の表裏及び天地方向の向きの両方を揃えることができる。
【0050】
第1~第5集積部51~55は、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側に配設されている。第1~第5集積部51~55は、上下方向に並んで配設されている。第1~第5集積部51~55は、帯封対象の紙幣を、例えば金種毎に集積する。操作者は、第1~第5集積部51~55に集積する紙幣の種類を設定することができる。
【0051】
第2反転部22の下流で紙幣を搬送する搬送路は、第1~第5集積部51~55の前側で、かつ、識別部18、第1反転部21及び第2反転部22の後側で、第1~第5集積部51~55に沿うように上下方向に伸びて配設されている。上下方向に伸びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、第1~第5集積部51~55のそれぞれに接続されている。紙幣は、第1~第5集積部51~55のそれぞれに対し、前側から投入される。投入された紙幣は、第1~第5集積部51~55のそれぞれに集積される。
【0052】
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣の搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。このことによって、紙幣は、第1~第5集積部51~55に、選択的に投入される。
【0053】
上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第1外部集積部11及び第2外部集積部12のそれぞれに接続されている。分岐箇所には、図示は省略するが、分岐爪が配設されている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪を動かすことにより、紙幣は、第1外部集積部11及び第2外部集積部12に、選択的に投入される。
【0054】
運搬部6は、上下方向に並んだ第1~第5集積部51~55の後側に配設されている。運搬部6は、紙幣を掴むアーム部61と、アーム部61を上下方向に往復移動させるガイド部62と、を備えている。ガイド部62は、上下方向に伸びている。アーム部61は、ガイド部62に沿って上下方向に移動する。アーム部61は、第1~第5集積部51~55それぞれの高さ位置に位置づけられ、第1~第5集積部51~55に集積されている紙幣を、後方に向かって取り出す。
【0055】
帯封部7は、第2反転部22の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6の下端部に位置している。運搬部6は、第1~第5集積部51~55から取り出した紙幣を、帯封部7に運搬する。帯封部7の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部7は、公知の様々な構成を採用することができる。帯封部7は、例えば紙幣の束の外周囲に帯封紙を巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部7はまた、帯封紙によって形成した輪の中に紙幣の束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
【0056】
帯封部7は、帯封紙に情報を印す印字部71を有している。印字部71は、帯封紙に印刷を行う印刷部、及び、帯封紙にスタンプを押す押印部の両方、又は、いずれか一方を含んでいる。印字部71は、帯封をする前、又は、帯封をした後に、帯封紙に情報を印す。印字部71は、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った操作者を特定する情報、帯封紙幣が損券である旨の情報等を、帯封紙に印す。帯封部7又は印字部71は、帯封紙に印す情報を、紙幣処理装置1の他の構成要素(例えば、制御部41等)に出力する。追加的に又は代替的に、帯封部7又は印字部71は、帯封紙に印す情報を、記番号管理情報に記録してもよい。
【0057】
帯封部7の前側には、ベルト式の第2運搬部72が設けられている。第2運搬部72は、帯封部7が帯封をした帯封紙幣を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。
【0058】
紙幣処理装置1が処理を行った際、エラーが発生し、紙幣処理装置1内に紙幣が残ってしまう場合がある。運搬部6は、エラーが発生した際に紙幣処理装置1内に紙幣が残った紙幣を返却部16へ運搬する。
【0059】
制御部41は、図示は省略するが、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6及び帯封部7が、制御部41の制御の下で通信可能に接続されるように、これらを制御する。
【0060】
制御部41は、記憶部42に記憶されている各種の情報やプログラムに基づいて、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6及び帯封部7に制御信号を出力する。このことにより、紙幣処理装置1は、紙幣を識別及び計数し、種類別に分類をする処理を行う。また、制御部41は、記憶部42に記憶されている各種の情報やプログラムに基づいて、第1外部集積部11、第2外部集積部12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1~第5集積部51~55、運搬部6及び帯封部7から、これらの状態、判定結果、帯封紙に印す情報等を示す信号を受信する。
【0061】
記憶部42は、表示部17に表示される各種の画面に関する情報、予め設定をした登録パターンの情報(紙幣の正損に関する識別パターンの情報等)、制御部41のためのプログラム等を記憶する。記憶部42はまた、各紙幣(記番号)の記番号管理情報を記憶する。
【0062】
紙幣処理装置1の筐体10における、第1外部集積部11及び第2外部集積部12の側部には、
図1に示すように、操作者が操作を行うスタートボタン19が設けられている。操作者は、投入部13に、処理対象の紙幣を投入した後、スタートボタン19を操作することによって、紙幣処理装置1に、処理を開始させることができる。
【0063】
紙幣処理装置1は、紙幣処理装置1が備えている通信部(図示せず)及びネットワークNWを介して操作端末8及び管理サーバ9に通信可能に接続されている。なお、表示部17等の、紙幣処理装置1の他の構成要素が、通信部を兼用してもよい。操作者は、操作端末8を操作することによって、紙幣処理装置1に、処理を開始させることもできる。なお、紙幣処理装置1と操作端末8とは、ネットワークNWを介さずに直接的に接続されてもよい。
【0064】
さらに、紙幣処理装置1は、自動スタートを設定することが可能であってもよい。自動スタートとは、操作者が処理対象の紙幣を投入部13に投入すれば、そのことをセンサが検知することによって、スタートボタン19の操作や、操作端末8の操作を行わなくても、紙幣処理装置1が処理を開始することである。
【0065】
本実施形態において、紙幣処理装置1が備えているいくつかの構成要素は、以下の処理をさらに実行する。
【0066】
[記番号管理情報の設定及び送信]
制御部41は、識別部18等から出力された信号に基づいて、各情報を記録することにより、紙幣処理装置1に投入された紙幣に関する管理情報である記番号管理情報を設定(又は生成)する。なお、記番号管理情報に記録される(含まれる)情報の一部は、識別部18等の、紙幣処理装置1の他の構成要素によって記録されてもよい。そして、制御部41は、設定した記番号管理情報を、通信部及びネットワークNWを介して、管理サーバ9に送信する。
【0067】
図5は、本開示の実施形態に係る記番号管理情報に記録される情報の例を示す図である。
図5に示すように、記番号管理情報500に記録される情報は、例えば、記番号、記番号金種コード、帯封ID、汚損値(透かし)、汚損値(折れ)、計数時刻、情報フラグ、他情報フラグ等を含む。
【0068】
記番号は、当該紙幣の記番号である。記番号金種コードは、当該紙幣の種類を示すコードである。帯封IDは、当該紙幣を含む帯封された紙幣群の識別情報である。汚損値(透かし)は、0-255で表される、透かしの汚れに基づく汚損程度であり、255に近いほどより汚損していることを表す。汚損値(折れ)は、0-255で表される、中央部の折れに基づく汚損程度であり、255に近いほどより汚損していることを表す。計数時刻は、当該紙幣に対して計数処理が行われた日時情報である。
【0069】
情報フラグは、Bit 0及びBit 1の2ビットで構成されている。Bit 0は、当該紙幣(記番号)の記番号管理情報が管理サーバ9に送信済みであるか否かを示し、1は、送信済みであることを示す送信済み情報であり、0は、未送信であることを示す未送信情報である。Bit 1は、当該紙幣(記番号)に対して行われている今回の取引又は当該紙幣(記番号)に対して行われた取引後の取引における計数処理にて、束確定される前に端数戻しが発生したか(有ったか)否かを示し、1は、端数戻しが有ったことを示す端数戻し情報であり、0は、端数戻しが無かったことを示す情報である。
【0070】
他情報フラグは、当該紙幣が、欠損券であるか否か、汚損券であるか否か等を示す。
【0071】
制御部41が記番号管理情報を管理サーバ9に送信するタイミングは、以下のケース1及びケース2のタイミングを含む。
【0072】
ケース1:
集積部に残っている他の顧客からの適切に処理された(記番号管理情報が管理サーバ9に送信済みの)紙幣の枚数(1枚以上)と、現在処理されている一の顧客からの紙幣が全て適切に処理されたときの枚数と、の合計、又は、集積部に他の顧客からの処理済みの紙幣が残っていない状態で現在処理されている一の顧客からの紙幣が全て適切に処理されたときの枚数、が100枚に満たなかったとき。
【0073】
このときには、制御部41は、集積部に残っている他の顧客からの適切に処理された紙幣と一の顧客からの全ての適切に処理された紙幣とについて、又は、集積部に他の顧客からの処理済みの紙幣が残っていない状態であったときの一の顧客からの全ての適切に処理された紙幣について、記番号管理情報を管理サーバ9に送信する。このように合計が100枚に満たなかったときに一の顧客からの紙幣について記番号管理情報を管理サーバ9に送信することを、「バラ確定」分の送信と呼ぶ。
【0074】
ケース2:
集積部に残っている他の顧客からの適切に処理された(記番号管理情報が管理サーバ9に送信済みの)紙幣の枚数(1枚以上)と、現在処理されている一の顧客からの紙幣(全てではないこともある)が適切に処理されたときの枚数と、の合計、又は、集積部に他の顧客からの処理済みの紙幣が残っていない状態で現在処理されている一の顧客からの紙幣(全てではないこともある)が適切に処理されたときの枚数、が100枚に達したとき。
【0075】
このときには、制御部41は、集積部に残っている他の顧客からの適切に処理された紙幣と一の顧客からの適切に処理された紙幣と(計100枚)について、又は、集積部に他の顧客からの処理済みの紙幣が残っていない状態であったときの一の顧客からの適切に処理された紙幣(計100枚)について、記番号管理情報を管理サーバ9に送信する。このように合計が100枚に達したときに100枚の紙幣について記番号管理情報を管理サーバ9に送信することを、「束確定」分の送信と呼ぶ。
【0076】
なお、本実施形態において、顧客(紙幣の回収元)は、銀行の店舗単位である。しかしながら、顧客は、例えば、銀行単位であってもよいし、銀行の店舗の機械(例えば、ATM)単位であってもよい。
【0077】
・送信済み情報
制御部41は、各記番号について、上述したように当該記番号の記番号管理情報を管理サーバ9に最初に送信するときには、記番号管理情報の情報フラグのBit 0に「0」(未送信)をセットする。あるいは、「0」は、デフォルト値としてセットされていてもよい。制御部41は、情報フラグのBit 0に「0」(未送信)がセットされた記番号管理情報を管理サーバ9に送信後、記番号管理情報の情報フラグのBit 0に「1」をセット(又は付与又は付加)する。
【0078】
紙幣(記番号)の記番号管理情報は、「束確定」の場合には、一度しか管理サーバ9に送信されないが、「バラ確定」の場合には、束(計100枚)ができるまで複数回に分割されて送信されることがあり、一の記番号の記番号管理情報は、束確定分の送信時等に、送信済みの記番号として再度送信されることがある。
【0079】
このように、一の記番号が複数回管理サーバ9に送信された場合、管理サーバ9は、複数回送信された記番号のうちどの記番号を顧客情報と紐付けるかを把握する必要がある。
【0080】
送信済み情報を記番号管理情報に組み入れることにより、管理サーバ9は、記番号管理情報に送信済み情報が無い場合には、記番号管理情報に記録された記番号を顧客情報に新たに紐付ける対象であると判定し、当該記番号と操作端末8から送信された顧客情報とを紐付ける。一方、管理サーバ9は、記番号管理情報に送信済み情報が有る場合には、当該記番号が顧客情報に既に紐付けられているので(すなわち紐付け済みであると判定し)、当該記番号には顧客情報を紐付けない。
【0081】
本実施形態において、送信済み情報を付与する対象は、リモート運用での、すなわち、紙幣処理装置1と管理サーバ9とが連携して管理サーバ9によって管理される紙幣である。なお、反対に、ローカル運用とは、紙幣処理装置単体での運用を意味し、管理サーバ9との連携がなされないことを意味する。また、本実施形態において、セットされた送信済み情報は、記番号管理情報においてクリアされることがない。また、ローカル運用において紙幣処理装置によって管理される紙幣に対して、リモート運用と同様に送信済み情報が付与されてもよい。
【0082】
以上により、紙幣処理装置1は、記番号情報が既に送信済みであるか否かを管理サーバ9に示すことができる。
【0083】
・端数戻し情報
紙幣処理装置1は、紙幣処理装置1において前回端数戻しが行われた場合には、記番号と顧客とを新たに紐付ける必要があり得る。そのために、制御部41は、前回端数戻しが行われた場合には、記番号管理情報に端数戻し情報をセット(又は付与又は付加)する。
【0084】
なお、操作者は、端数戻し情報をセット(又は付与又は付加)する機能をオンにするかオフにするかを、操作端末8を介して、又は、紙幣処理装置1の表示部17を介して、設定することができる。この設定を、前回端数戻し設定と呼ぶ。前回端数戻し設定がオン(有りともいう)の場合に、端数戻し情報がセットされ得るが、前回端数戻し設定がオフ(無しともいう)の場合には、端数戻し情報がセットされ得ない。
【0085】
制御部41は、前回端数戻し設定がオン(有り)で、前回端数戻しが行われた場合には、紙幣処理装置1内に戻された紙幣の枚数にかかわらず、以後送信する記番号管理情報の情報フラグのBit 1に端数戻し情報「1」(有)をセット(又は付与又は付加)して管理サーバ9に送信する。なお、上記以外の場合には、制御部41は、記番号管理情報の情報フラグのBit 1に「0」(無)をセットしてもよいし、Bit 1の値「0」(無)が、デフォルト値としてセットされていてもよい。
【0086】
端数戻し情報がセットされた記番号(紙幣)は、管理サーバ9によって顧客情報と既に紐付け済みの記番号(紙幣)を含む可能性がある。そこで、管理サーバ9は、端数戻し情報がセットされた記番号管理情報の中から、顧客情報と既に紐付け済みの記番号を検索し、紐付け済みでない記番号だけを抽出して顧客情報と紐付ける。
【0087】
本実施形態において、端数戻し情報を付与する対象は、前回端数戻しが行われたときから、今回の取引が完了(ストア)するまでの全ての紙幣である。したがって、完了(ストア)後には、端数戻し情報は記番号管理情報にセットされない。また、本実施形態において、今回の取引が完了(ストア)した後、セットされた端数戻し情報はクリアされる。なお、ストアとは、取引の内容を確定する処理を意味する。ストア時において、取引の内容が、リモート運用の場合には操作端末8や管理サーバ9に記録又は記憶され、ローカル運用の場合には紙幣処理装置内に記録又は記憶される。
【0088】
以上により、紙幣処理装置1は、端数戻しが発生したか否かを管理サーバ9に示すことができる。
【0089】
なお、情報フラグのBit 0とBit 1とは反対であってもよい。すなわち、Bit 1が、紙幣(記番号)の記番号管理情報が管理サーバ9に送信済みであるか否かを示し、Bit 0が、紙幣(記番号)の後に端数戻しが発生したか(有ったか)否かを示してもよい。
【0090】
(操作端末の構成)
図3は、本開示の実施形態に係る操作端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。操作端末8は、パーソナルコンピュータ等の計算機又は情報処理装置によって実現されてもよい。
【0091】
例えば、
図3に示すように、操作端末8は、記憶装置81と、処理装置82と、UI装置83と、通信装置84と、バス85と、を備えてもよい。記憶装置81、処理装置82、UI装置83及び通信装置84は、バス85を介して相互に接続されてもよい。
【0092】
操作端末8の後述する機能又は処理を実現するプログラム又は指示は、ネットワーク等を介して何らかの外部装置からダウンロードされてもよいし、フラッシュメモリ(USBメモリ等)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、リムーバブルHDD(Hard Disk Drive)等の着脱可能な記憶媒体から提供されてもよい。
【0093】
記憶装置81は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD等によって実現され、インストールされたプログラム又は指示とともに、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を記憶する。また、記憶装置81は、顧客情報、取引データ(回収された現金の金種別枚数及び合計金額)等を記憶する。記憶装置81は、非一時的な記憶媒体(non-transitory storage medium)を含んでもよい。記憶装置81は、記憶部等と呼ばれてもよい。
【0094】
処理装置82は、1つ以上のプロセッサコアから構成され得る1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等(プロセッサ)によって実現されてもよく、記憶装置81に記憶されたプログラム又は指示、当該プログラム又は指示を実行するのに使用されるパラメータ等のデータ等に従って、操作端末8の後述する機能又は処理を実行する。処理装置82は、制御部、処理部等と呼ばれてもよい。
【0095】
UI装置83は、キーボード、マウス、カメラ、マイクロフォン等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドセット、プリンタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置から構成されてもよく、操作端末8のユーザ(操作者)と操作端末8との間のインタフェースを実現する。例えば、操作端末8のユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を、キーボード、マウス、ユーザの指等を用いて操作することで、操作端末8を操作する。また、UI装置83には、伝票に印字された二次元コードを読み取るための二次元コードリーダが含まれる。
【0096】
通信装置84は、ネットワークNWとの通信処理を実行する各種通信回路によって実現されてもよい。通信装置84は、紙幣処理装置1から、ネットワークNWを介して、取引データ(計数結果等)、顧客情報等を受信する。通信装置84は、ネットワークNWを介して、顧客情報について問い合わせるための情報、顧客情報及び取引データ等を管理サーバ9に送信する。通信装置84は、通信部、送受信部、送信部、受信部等と呼ばれてもよい。
【0097】
操作端末8のハードウェア構成は一例に過ぎず、本開示に係る操作端末8は、他の適切なハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0098】
二次元コードリーダは、操作端末8の操作者によって操作され、計数処理を開始する前に、伝票に印字された二次元コードを読み取る。処理装置82は、二次元コードリーダから二次元コードを受け付け、二次元コードに基づいて、通信装置84を介して管理サーバ9から回収元情報(顧客情報)を取得する。
【0099】
処理装置82は、計数処理後、紙幣処理装置1から送信された計数結果と伝票に印字された回収合計金額とを照合する。処理装置82は、計数結果と回収合計金額とが一致しない場合には、UI装置83を介して、一致しないことを示す情報を外部に向けて出力し、計数結果と回収合計金額とが一致する場合には、UI装置83を介して、一致することを示す情報及び取引確定ボタンを外部に向けて出力する。
【0100】
処理装置82は、例えば、計数結果と回収合計金額とが一致した場合に操作者によって取引確定ボタンが押下されたことに応じて、取引確定操作を行い、この取引確定時に、紙幣処理装置1から送信された取引データと管理サーバ9から送信された顧客情報とを紐付けて、通信装置84を介して管理サーバ9に送信する。
【0101】
(管理サーバの構成)
図4は、本開示の実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。管理サーバ9は、サーバコンピュータ等の計算機又は情報処理装置によって実現されてもよい。
【0102】
例えば、
図4に示すように、管理サーバ9は、記憶装置91と、処理装置92と、UI装置93と、通信装置94と、バス95と、を備えてもよい。記憶装置91、処理装置92、UI装置93及び通信装置94は、バス95を介して相互に接続されてもよい。
【0103】
管理サーバ9の後述する機能又は処理を実現するプログラム又は指示は、ネットワーク等を介して何らかの外部装置からダウンロードされてもよいし、フラッシュメモリ(USBメモリ等)、CD-ROM、リムーバブルHDD等の着脱可能な記憶媒体から提供されてもよい。
【0104】
記憶装置91は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等によって実現され、インストールされたプログラム又は指示とともに、プログラム又は指示の実行に用いられるファイル、データ等を記憶する。また、記憶装置91は、記番号管理情報(
図5参照)、回収された紙幣に関するデータテーブル(
図6参照)等を記憶する。記憶装置91は、非一時的な記憶媒体を含んでもよい。記憶装置91は、記憶部等と呼ばれてもよい。
【0105】
処理装置92は、1つ以上のプロセッサコアから構成され得る1つ以上のCPU、GPU、処理回路等(プロセッサ)によって実現されてもよく、記憶装置91に記憶されたプログラム又は指示、当該プログラム又は指示を実行するのに使用されるパラメータ等のデータ等に従って、管理サーバ9の後述する機能又は処理を実行する。処理装置92は、制御部、処理部等と呼ばれてもよい。
【0106】
UI装置93は、キーボード、マウス、カメラ、マイクロフォン等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ、ヘッドセット、プリンタ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置から構成されてもよく、管理サーバ9のユーザと管理サーバ9との間のインタフェースを実現する。例えば、管理サーバ9のユーザは、ディスプレイ又はタッチパネルに表示されたGUIを、キーボード、マウス、ユーザの指等を用いて操作することで、管理サーバ9を操作する。
【0107】
通信装置94は、ネットワークNWとの通信処理を実行する各種通信回路によって実現されてもよい。通信装置94は、紙幣処理装置1から、ネットワークNWを介して、記番号管理情報等を受信する。通信装置94は、操作端末8から、ネットワークNWを介して、操作端末8に顧客情報等を送信する。通信装置94は、ネットワークNWを介して、顧客情報等を受信する。通信装置94は、通信部、送受信部、送信部、受信部等と呼ばれてもよい。
【0108】
管理サーバ9のハードウェア構成は一例に過ぎず、本開示に係る管理サーバ9は、他の適切なハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0109】
処理装置92は、紙幣処理装置1から通信装置94を介して受信された記番号管理情報に送信済み情報が無い場合に、記番号管理情報に記録された記番号を顧客情報に新たに紐付ける対象であると判定し、当該記番号と操作端末8から送信された顧客情報とを紐付ける。一方、管理サーバ9は、記番号管理情報に送信済み情報が有る場合には、当該記番号が顧客情報に既に紐付けられているので紐付け済みであると判定し、当該記番号には顧客情報を紐付けない。
【0110】
以上により、管理サーバ9は、送信済み情報に基づいて、記番号と顧客情報とを適切に紐付けることができる。例えば、管理サーバ9は、送信済み情報が付加されている受信した記番号管理情報に対応するバラ確定済みの紙幣(記番号)について、二重で顧客情報を紐付けないようにすることができ、記番号(紙幣)と顧客情報とを適切に紐付けることができる。また、束内の記番号情報の紐付け及び紙幣1枚毎の顧客情報との紐付けの両立が可能である。また、紙幣の帯封処理と記番号管理処理とを行うときに、エラーが発生すると、帯封する100枚の順序が変わってしまうが、管理サーバ9は、送信済み情報を用いることにより、帯封された紙幣順に記番号情報と顧客情報とを管理することができる。
【0111】
また、処理装置92は、紙幣処理装置1から通信装置94を介して受信された記番号管理情報に端数戻し情報が有る場合に、端数戻し情報がセットされた記番号管理情報の中から、顧客情報と既に紐付け済みの記番号を検索し、紐付け済みでない記番号のみを抽出して、抽出した記番号と操作端末8から送信された顧客情報とを紐付ける。
【0112】
以上により、管理サーバ9は、端数戻し情報に基づいて、記番号と顧客情報とを適切に紐付けることができる。例えば、管理サーバ9は、既に顧客情報が紐付いているバラ紙幣が返却後に端数戻しが行われた場合に、束確定時に束に含まれるバラ紙幣であって既に顧客情報が紐付いている紙幣について、新たに顧客情報を紐付けしないようにすることができ、記番号(紙幣)と顧客情報とを適切に紐付けることができる。さらに、顧客情報との紐付けのために取引をさかのぼって管理サーバ9が記番号検索する対象範囲を限定することで、検索時間の短縮を図ることができ、誤読による誤検索の影響を低減することができる。
【0113】
図6は、本開示の実施形態に係る、回収された紙幣に関するデータテーブルの例を示す図である。
図6に示すこのようなデータテーブル600は、例えば、管理サーバ9の記憶装置91に記憶される。
【0114】
図6に示すように、データテーブル600は、例えば、記番号(バラ)フィールド、金種(バラ)フィールド、金種(束)フィールド、帯封印字フィールド、顧客情報1フィールド、顧客情報2フィールド、色判別結果フィールド、汚損値透かしフィールド及び汚損値折れフィールドを有する。データテーブル600には、紙幣処理装置1及び操作端末8から管理サーバ9が受信した記番号管理情報、顧客情報等に基づく情報が、処理装置92によって格納される。このようにデータテーブル600に格納された情報が、管理サーバ9によって管理される。
【0115】
記番号(バラ)フィールドは、紙幣の記番号を示す。金種(バラ)フィールドは、バラ紙幣の種類を示す。金種(束)フィールドは、束にまとめられた紙幣の種類を示す。帯封印字フィールドは、帯封に印字された情報(帯封時刻を含む)を示す。顧客情報1フィールドは、紙幣回収元の銀行名を示す。顧客情報2フィールドは、紙幣回収元の支店及び機械情報を示す。色判別結果フィールドは、記番号の印字色(黒、褐色又は紺)を示す。汚損値透かしフィールドは、紙幣の透かし汚れに基づく汚損程度を示す。汚損値折れフィールドは、紙幣の中央部折れに基づく汚損程度を示す。
【0116】
管理サーバ9は、データテーブル600を用いて、顧客情報と記番号情報と100枚を1束とする帯封情報とを管理する。このようなデータテーブル600を用いることで、管理サーバ9は、「顧客情報及び記番号情報」と「記番号情報及び帯封情報」とを別々に管理する必要なく、帯封内の紙幣順に記番号情報と帯封情報と顧客情報とを管理することができる。
【0117】
図7は、本開示の実施形態に係る、記番号管理情報の設定及び送信の例を説明するための図である。この例では、送信済み情報の設定及び送信が適用される。なお、この例では、スペースの関係上、100枚を1束とするのではなく、10枚を1束として説明する。
【0118】
図7(a)は、9:00~9:05の間に、顧客Aの全ての紙幣(5枚)が紙幣処理装置1によって計数処理され、5枚分の紙幣がバラ確定され、その後、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報が、はじめて紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されることを示している。したがって、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報には、送信済み情報がセットされていない。
【0119】
図7(b)は、記番号管理情報がはじめて送信された5枚の紙幣について、これらの記番号管理情報の情報フラグのBit 0が制御部41によって「1」にセットされ、すなわち、送信済み情報有りとなり、その後、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報には、送信済み情報がセットされていないので、処理装置92によって、これら5枚の紙幣(記番号)が、操作端末8から送信された顧客情報と紐付けられることを示している。
【0120】
図7(c)は、9:06~9:13の間に、異なる顧客Bの紙幣(5枚)が紙幣処理装置1によって計数処理され、顧客Aの紙幣(5枚)とあわせて計10枚分の紙幣が束確定され、その後、これら10枚の紙幣に対応する記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されることを示している。ここで、顧客Aの紙幣(5枚)に対応する記番号管理情報には、送信済み情報がセットされており、顧客Bの紙幣(5枚)に対応する記番号管理情報は、はじめて紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されているので、顧客Bの紙幣(5枚)に対応する記番号管理情報には、送信済み情報がセットされていない。
【0121】
図7(d)は、記番号管理情報がはじめて送信された顧客Bの紙幣(5枚)については、これらの記番号管理情報の情報フラグのBit 0が(制御部41によって)「1」にセットされ、すなわち、送信済み情報有りとなり、その後、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報には、送信済み情報がセットされていないので、処理装置92によって、これら5枚の紙幣(記番号)が、操作端末8から送信された顧客情報と紐付けられることを示している。一方、記番号管理情報が再度送信された顧客Aの紙幣(5枚)については、対応する記番号管理情報に送信済み情報がセットされているので、処理装置92によって顧客情報は紐付けられない。
【0122】
以上により、紙幣処理装置1は、記番号が既に送信済みであるか否かを管理サーバ9に示すことができる。また、管理サーバ9は、記番号と顧客情報とを適切に紐付けることができる。
【0123】
図8は、本開示の実施形態に係る、記番号管理情報の設定及び送信の例を説明するための図である。この例では、端数戻し情報の設定及び送信が適用される。なお、この例でも、スペースの関係上、100枚を1束とするのではなく、10枚を1束として説明する。
【0124】
まず、9:00~9:05の間に、顧客Aの全ての紙幣(5枚)が紙幣処理装置1によって計数処理され、5枚分の紙幣がバラ確定され、その後、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されている。これらの記番号管理情報には、端数戻し情報がセットされていない。
【0125】
次に、9:06~9:15の間に、顧客Bの全ての紙幣(7枚)が紙幣処理装置1によって計数処理されることが図示されているが、顧客Bの2枚目の紙幣の計数処理中にエラーが発生し、前回端数戻しが発生している。これにより、これまでに計数処理されたバラ確定された顧客Aの全ての紙幣(5枚)及び顧客Bの紙幣と、以降計数処理される顧客Bの紙幣と、に対応する記番号管理情報には、端数戻し情報がセットされることになる。
【0126】
計10枚の紙幣が束確定された時点で、これら10枚の紙幣に対応する、端数戻し情報がセットされている記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信される。
【0127】
また、顧客Bの残りの紙幣がバラ確定され、残りの紙幣に対応する、端数戻し情報がセットされている記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信される。
【0128】
ここで、処理装置92は、受信された記番号管理情報に送信済み情報が無い場合には、記番号管理情報に記録された記番号と操作端末8から送信された顧客情報とを紐付け、記番号管理情報に送信済み情報が有る場合には、当該記番号には顧客情報を紐付けない。
【0129】
なお、次回の取引対象である顧客Cの紙幣については、端数戻し情報は付与されない。
【0130】
以上により、紙幣処理装置1は、端数戻しが発生したか否かを管理サーバ9に示すことができる。また、管理サーバ9は、記番号と顧客情報とを適切に紐付けることができる。
【0131】
図9A~
図9Dは、本開示の実施形態に係る、記番号管理情報及び顧客情報に基づく記番号と顧客情報との紐付けの例を説明するための図である。この例では、端数戻し情報の設定及び送信が適用される。なお、この例でも、スペースの関係上、100枚を1束とするのではなく、10枚を1束として説明する。
【0132】
図9Aは、顧客Aの全5枚の紙幣(1万円札)、すなわち、記番号N101の紙幣、記番号N102の紙幣、記番号N103の紙幣、記番号N104の紙幣及び記番号N105の紙幣が、それぞれ、9:01、9:01、9:02、9:02及び9:03に紙幣処理装置1によって計数処理され、5枚分の紙幣がバラ確定され、その後、これら5枚の紙幣に対応する記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されることを示している。
【0133】
また、
図9Aは、5枚分の紙幣がバラ確定され、その後(取引確定時に)、これら5枚の紙幣に対応する合計金額50,000円を示す情報等が、紙幣処理装置1から操作端末8に送信されること、及び、顧客Aの取引が完了(ストア)して、顧客がAであることを示す顧客情報が、9:05に、操作端末8から管理サーバ9に送信されることも示している。
【0134】
また、
図9Aは、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信された記番号N101~N105と操作端末8から管理サーバ9に送信された顧客情報とが、計数処理の処理時刻及び顧客情報の送信時刻に基づいて、管理サーバ9(処理装置92)によって紐付けられることも示している。
【0135】
図9Bは、
図9Aに示す処理の後、顧客Bの全7枚の紙幣(1万円札)のうち、記番号N201の紙幣が正常に計数処理されたが、記番号N202の紙幣の計数処理中にエラーが発生したことを示している。この場合、例えば、紙幣処理装置1においてエラーが発生したことを示すアラームが表示又は鳴動されること、エラーが発生したことを示す情報が操作端末8に送信されてアラームが表示又は鳴動されること等により、操作者は、エラーの発生に気が付く。エラーの発生に応じて、紙幣処理装置1内の一部の紙幣が、返却部16において返却される。操作者は、返却された一部の紙幣を紙幣処理装置1の投入部13に戻し、操作端末8に表示された(端数戻し)完了ボタンを押下する。この際に、返却されなかった記番号N101の紙幣、記番号N201の紙幣、記番号N105の紙幣、記番号N202の紙幣及び記番号N103の紙幣に対応する記番号管理情報において、制御部41によって、時刻9:09及び端数戻し情報がセットされる。
【0136】
図9Cは、
図9Bの処理の後、これから再計数処理される混在した顧客Aの紙幣及び顧客Bの紙幣、すなわち、顧客Bの記番号N203の紙幣、顧客Bの記番号N204の紙幣、記番号N104の紙幣、顧客Bの記番号N205の紙幣及び顧客Bの記番号N206の紙幣が、それぞれ、9:10、9:10、9:11、9:11及び9:12に紙幣処理装置1によって計数処理され、返却されなかった5枚分の紙幣とあわせて10枚分の紙幣が、9:13に束確定及び束投出されることを示している。この際に、顧客Bの記番号N203の紙幣、顧客Bの記番号N204の紙幣、記番号N104の紙幣、顧客Bの記番号N205の紙幣及び顧客Bの記番号N206の紙幣に対応する記番号管理情報において、制御部41によって、端数戻し情報がセットされる。
【0137】
また、
図9Cは、束確定されたことから、これら10枚の紙幣に対応する、端数戻し情報がセットされている記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されることも示している。なお、束確定されて帯封された時刻9:13を示す帯封印字情報が、紙幣処理装置1から操作端末8を経由して管理サーバ9に送信される。
【0138】
図9Dは、
図9Cの処理の後、これから再計数処理される混在した顧客Aの紙幣及び顧客Bの紙幣、すなわち、記番号N102及び顧客Bの記番号N207の紙幣が、それぞれ、9:13及び9:14に紙幣処理装置1によって計数処理され、顧客Bの紙幣がバラ確定され、その後、これら2枚の紙幣に対応する、制御部41によって端数戻し情報がセットされた記番号管理情報が、紙幣処理装置1から管理サーバ9に送信されることを示している。
【0139】
また、
図9Dは、顧客Bの記番号N207の紙幣がバラ確定され、その後(取引確定時に)、顧客Bの全5枚の紙幣に対応する合計金額70,000円を示す情報等が、紙幣処理装置1から操作端末8に送信されること、及び、顧客Bの取引が完了(ストア)して、顧客がBであることを示す顧客情報が、9:15に、操作端末8から管理サーバ9に送信されることも示している。
【0140】
また、
図9Dは、管理サーバ9(処理装置92)によって、計数処理の処理時刻に基づいて、顧客情報と既に紐付けられている、端数戻し情報がセットされた記番号管理情報に記録された記番号N101~N105(前回バラ確定分、9:00~9:05)及び端数戻し情報がセットされた記番号管理情報に記録された記番号N101~N105(前回バラ確定分、9:06~9:15)が除外され、紐付け済みでない記番号N201~N207と操作端末8から管理サーバ9に送信された顧客情報とが紐付けられることも示している。
【0141】
<紙幣処理システムの動作>
次に、紙幣処理システム100の動作例について説明する。
【0142】
図10は、本開示の実施形態に係る、紙幣処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図10に示す動作例は、送信済み情報のセットに関する。
【0143】
ステップS11において、紙幣処理装置1(制御部41)は、リモート運用であるか否か(すなわちリモート運用であるかローカル運用であるか)を判定する。
【0144】
リモート運用でない(ローカル運用である)場合(ステップS11;NO)、フローは終了する。
【0145】
一方、リモート運用である場合(ステップS11;YES)、ステップS12において、紙幣処理装置1(制御部41)は、ストア有りか否かを判定する。ここで、ストア有りとは、取引の内容が操作端末8や管理サーバ9に記録又は記憶される必要がある設定を意味し、ストア無しとは、取引の内容が操作端末8や管理サーバ9に記録又は記憶される必要がない設定を意味する。
【0146】
ストア有りでない(ストア無しである)場合(ステップS12;NO)、フローは終了する。
【0147】
一方、ストア有りである場合(ステップS12;YES)、ステップS13において、紙幣処理装置1(制御部41)は、管理サーバ9に記番号管理情報を送信した後、管理サーバ9からのレスポンスが正常であるか否か(すなわち正常であるか異常であるか)を判定する。
【0148】
レスポンスが正常でない(異常である)場合(ステップS13;NO)、フローは終了する。
【0149】
一方、レスポンスが正常である場合(ステップS13;YES)、ステップS14において、紙幣処理装置1(制御部41)は、送信した記番号管理情報に送信済み情報をセットする。そして、フローは終了する。
【0150】
図11は、本開示の実施形態に係る、紙幣処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図11に示す動作例は、端数戻し情報のセットに関する。
【0151】
ステップS21において、紙幣処理装置1(制御部41)は、リモート運用であるか否か(すなわちリモート運用であるかローカル運用であるか)を判定する。
【0152】
リモート運用であるか(ローカル運用である)場合(ステップS21;NO)、フローは終了する。
【0153】
一方、リモート運用である場合(ステップS21;YES)、ステップS22において、紙幣処理装置1(制御部41)は、ストア有りか否かを判定する。
【0154】
ストア有りでない(ストア無しである)場合(ステップS22;NO)、フローは終了する。
【0155】
一方、ストア有りである場合(ステップS22;YES)、ステップS23において、紙幣処理装置1(制御部41)は、前回端数設定が有りであるか否かを判定する。
【0156】
前回端数設定が有りでない(無しである)場合(ステップS23;NO)、フローは終了する。
【0157】
一方、前回端数設定が有りである場合(ステップS23;YES)、ステップS24において、紙幣処理装置1(制御部41)は、端数戻しが有りであるか否かを判定する。なお、「端数戻しが有り」であるとは、端数戻し処理時に、紙幣処理装置1が1枚以上の紙幣を計数し、操作者が操作端末8に表示された(端数戻し)完了ボタンを押下したことを意味し、「端数戻しが無し」であるとは、端数戻し処理時に、紙幣処理装置1が計数を行わずに、操作者が(端数戻し)完了ボタンを押下したことを意味する。
【0158】
端数戻しが有りでない(無しである)場合(ステップS24;NO)、フローは終了する。
【0159】
一方、端数戻しが有りである場合(ステップS24;YES)、ステップS25において、紙幣処理装置1(制御部41)は、記番号管理情報に端数戻し情報をセットする。なお、端数戻し枚数が0枚であっても、前回端数が次の再計数処理に含まれない保証がないので、端数戻し情報はセットされる。そして、フローは終了する。
【0160】
図12は、本開示の実施形態に係る、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
図12に示す動作例は、端数戻し情報に基づく顧客情報の紐付けに関し、記番号管理情報毎に実行される。
【0161】
ステップS31において、管理サーバ9(処理装置92)は、記番号管理情報に端数戻し情報が有るか否かを判定する。
【0162】
端数戻し情報が無い場合(ステップS31;NO)、ステップS33において、管理サーバ9(処理装置92)は、計数処理時刻に基づいて、記番号管理情報に記録された記番号に顧客情報(操作端末8から受信)を付与する(紐付ける)。そして、フローは終了する。
【0163】
一方、端数戻し情報が有る場合(ステップS31;YES)、ステップS32において、管理サーバ9(処理装置92)は、記番号検索を行い、記番号管理情報に記録された記番号に顧客情報が付与済み(紐付け済み)であるか否かを判定する。
【0164】
記番号に顧客情報が付与済み(紐付け済み)でない場合(ステップS32;NO)、ステップS33において、管理サーバ9(処理装置92)は、計数処理時刻に基づいて、記番号管理情報に記録された記番号に顧客情報(操作端末8から受信)を付与する(紐付ける)。そして、フローは終了する。
【0165】
記番号に顧客情報が付与済み(紐付け済み)である場合(ステップS32;YES)、管理サーバ9(処理装置92)は、記番号管理情報に記録された記番号に顧客情報を付与することなく、フローは終了する。
【0166】
以上、送信済み情報及び端数戻し情報並びにこれらに関連する動作について説明した。本開示に係る紙幣処理システムにおいては、送信済み情報及び関連する動作が適用されてもよいし、端数戻し情報及び関連する動作が適用されてもよいし、これらの両者が適用されてもよい。
【0167】
<変形例>
送信済み情報及び端数戻し情報のいずれを用いる場合であっても、以下の変形例が適用可能である。
【0168】
管理サーバ9(処理装置92)は、紙幣(記番号)に対して、顧客情報だけでなく、紙幣処理装置1の操作者(ユーザ)情報も同様に紐付けて記憶装置に記憶させてもよい。この場合、管理サーバ9は、紙幣処理装置1又は操作端末8から、紙幣処理装置1(又は操作端末8)の操作者を示す操作者情報を受信してもよい。これにより、違算があった場合等の調査をより容易に行うことができ、現金管理の厳正化が可能になる。
【0169】
管理サーバ9(処理装置92)は、金種、券種等の紙幣を分別するための情報に基づいて、顧客情報と紐付けられる紙幣を検索するようにすることで、顧客情報と紐付けられる紙幣の枚数を限定するようにしてもよい。
【0170】
上述した実施形態に記載の技術は、紙幣入出金機等の記番号を読み取る装置を備えた製品にも適用できる。
【0171】
上記では、送信済み情報及び/又は端数戻し情報は、記番号に対して付与されるものとして説明したが、送信済み情報及び/又は端数戻し情報は、記番号と記番号の印字色(
図6に示す色判別結果フィールドの情報)との組み合わせに対して付与されてもよい。
【0172】
<実施形態の効果>
本実施形態において、管理サーバ9の通信装置94は、紙幣処理装置1から、紙幣処理装置1によって処理された紙幣の記番号情報を含む記番号管理情報を受信する。記番号管理情報が、紙幣処理装置1によって紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す情報(端数戻し情報)を含むか否かに基づいて、記番号情報を紙幣の回収元(例えば、銀行店舗)に紐付けて記憶装置に記憶させるか否かを判定する。紙幣処理装置1によって紙幣が適切に処理されていない可能性があることを示す端数戻し情報を用いることで、紙幣処理装置1においてエラーが発生して紙幣の再計数を行う状況が発生した場合でも、紙幣の回収元と紙幣とを適切に紐付けることができる。
【0173】
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例又は修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施形態(変更例又は修正例を含む)における各構成要素又は各事項は任意に組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本開示の一態様は、紙幣処理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0175】
100 紙幣処理システム
1 紙幣処理装置
41 制御部
42 記憶部
8 操作端末
81 記憶装置
82 処理装置
83 UI装置
84 通信装置
9 管理サーバ
91 記憶装置
92 処理装置
93 UI装置
94 通信装置