(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165753
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタ組立体、接続構造および接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20241121BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R12/77
A41D13/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082234
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
【テーマコード(参考)】
3B211
5E223
【Fターム(参考)】
3B211AB01
3B211AB11
3B211AC07
3B211AC17
3B211AC21
5E223AA30
5E223AB01
5E223AB06
5E223AB41
5E223AC50
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB12
5E223CB26
5E223CB31
5E223CB47
5E223CB72
5E223CD02
5E223CD12
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB25
(57)【要約】
【課題】衣服等の実装対象物に実装されながらも小型化を達成することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ11は、嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材12と、シート部材12の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置においてシート部材12に保持された複数のコンタクト15と、シート部材12に配置された複数のフレキシブル導体とを含み、シート部材12は、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、複数のコンタクト15の間に位置する部分のシート部材12が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタ21に嵌合し、シート部材12に発生する収縮力により複数のコンタクト15が複数の相手側コンタクト23にそれぞれ接触し且つ電気的に接続される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し、前記相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトに接続される複数のコンタクトを有するコネクタであって、
前記嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、
前記シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置において前記シート部材に保持された前記複数のコンタクトと、
前記シート部材に配置され且つ前記複数のコンタクトと前記実装対象物の前記複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体と
を備え、
前記シート部材は、少なくとも前記所定の方向に伸縮可能であり、
前記複数のコンタクトの間に位置する部分の前記シート部材が前記所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で前記相手側コネクタに嵌合し、前記シート部材に発生する収縮力により前記複数のコンタクトが前記複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触し且つ電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記複数のコンタクトは、互いに前記所定の方向に離間し且つそれぞれ前記所定の方向に直交する方向に延びる2つのコンタクト列に分かれて配列され、
前記複数の相手側コンタクトは、互いに前記所定の方向に離間し且つそれぞれ前記所定の方向に直交する方向に延びる2つの相手側コンタクト列に分かれて配列され、
前記シート部材に外力が作用しない場合に、前記2つの相手側コンタクト列の間の前記所定の方向に沿った離間距離は、前記2つのコンタクト列の間の前記所定の方向に沿った離間距離よりも長い請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記シート部材は、前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに重なる嵌合部と、前記実装対象物に実装される実装部を有し、
前記複数のコンタクトは、前記シート部材の前記嵌合部に保持され、
前記複数のフレキシブル導体は、前記嵌合部に配置され且つ前記複数のコンタクトに電気的に接続された複数の第1接続部と、前記実装部に配置され且つ前記実装対象物の前記複数の配線部に電気的に接続される複数の第2接続部と、前記複数の第1接続部および前記複数の第2接続部を互いに連結する複数の連結部を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
前記複数のフレキシブル導体は、それぞれ、前記シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数の相手側コンタクトは、それぞれ、前記ハウジングから前記嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
前記複数のコンタクトは、それぞれ、対応する前記相手側コンタクトが挿入されるリング状の導電性部材からなり、
前記シート部材に発生する前記収縮力により前記導電性部材の内周部が前記筒状部の外周部に接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記複数のコンタクトは、それぞれ、前記シート部材から前記嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
前記複数の相手側コンタクトは、それぞれ、対応する前記コンタクトが挿入されるリング状の導電性部材からなり、
前記シート部材に発生する前記収縮力により前記筒状部の外周部が前記導電性部材の内周部に接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数のフレキシブル導体は、それぞれ、前記第1接続部から前記第2接続部に向かってジグザグに延びている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シート部材の前記相手側コネクタに対向する面とは反対側の面上で且つ前記嵌合部に対応する位置に貼り付けられた伸縮可能な補助部材を備える請求項3に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記実装対象物として衣服に実装される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記コネクタと、
前記コネクタが嵌合する前記相手側コネクタと
を備えるコネクタ組立体。
【請求項11】
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタの複数のコンタクトと、前記相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトとの接続構造であって、
前記コネクタは、前記嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、前記シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置において前記シート部材に保持された前記複数のコンタクトと、前記シート部材に配置され且つ前記複数のコンタクトと前記実装対象物の前記複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体とを備え、
前記シート部材は、少なくとも前記所定の方向に伸縮可能であり、
前記複数のコンタクトの間に位置する部分の前記シート部材が前記所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で前記コネクタが前記相手側コネクタに嵌合し、前記シート部材に発生する収縮力により前記複数のコンタクトが前記複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触し且つ電気的に接続される接続構造。
【請求項12】
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタの複数のコンタクトと、前記相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトとの接続方法であって、
前記コネクタは、前記嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、前記シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置において前記シート部材に保持された前記複数のコンタクトと、前記シート部材に配置され且つ前記複数のコンタクトと前記実装対象物の前記複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体とを備え、
前記シート部材は、少なくとも前記所定の方向に伸縮可能であり、
前記複数のコンタクトの間に位置する部分の前記シート部材が前記所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で前記コネクタを前記相手側コネクタに嵌合し、
前記シート部材に発生する収縮力により前記複数のコンタクトを前記複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触させて電気的に接続する接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、衣服等の実装対象物に実装され且つ相手側コネクタに嵌合するコネクタに関する。
また、この発明は、このようなコネクタと相手側コネクタを備えるコネクタ組立体にも関している。
さらに、この発明は、コネクタの複数のコンタクトと相手側コネクタの複数の相手側コンタクトを接続する接続構造および接続方法にも関している。
【背景技術】
【0002】
近年、着用するだけで心拍数、体温等のユーザの生体情報を取得することができる、いわゆるスマート衣料が注目を浴びている。このスマート衣料は、計測箇所に配置された電極を備え、電極に計測機器としてのウエアラブルデバイスを電気的に接続することで、生体情報をウエアラブルデバイスに伝送することが可能となる。
電極とウエアラブルデバイスとの接続は、例えば、電極から引き出された配線部に接続されるコネクタを用いることにより行うことができる。
【0003】
この種のコネクタとして、例えば、特許文献1に、
図19に示されるようなコネクタが開示されている。コネクタは、第1の布1に取り付けられた雄型スナップボタン2と、第2の布3に取り付けられた雌型スナップボタン4を有している。第1の布1および第2の布3は、導電性を有する布から構成され、雄型スナップボタン2および雌型スナップボタン4は、導電性を有する材料から形成されている。雄型スナップボタン2の凸部5が、雌型スナップボタン4の凹部6に挿入されて雌型スナップボタン4の2本の棒状ばね7で押さえられることにより、雄型スナップボタン2と雌型スナップボタン4が互いに電気的に接続され、これら雄型スナップボタン2および雌型スナップボタン4を介して第1の布1と第2の布3が互いに電気的に接続されることとなる。
【0004】
このようなスナップボタン型コネクタを用いてウエアラブルデバイスの接続を行うことができ、また、ウエアラブルデバイスの着脱時および衣服の洗濯時等には、雄型スナップボタン2を雌型スナップボタン4から取り外してスナップボタン型コネクタによる接続を切り離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスナップボタン型コネクタでは、雄型スナップボタン2に雌型スナップボタン4を電気的に接続するために、2本の棒状ばね7を用いて雌型スナップボタン4にばね構造を形成する必要があり、コネクタの高さが高くなるという問題がある。
また、雄型スナップボタン2の全体および雌型スナップボタン4の全体が、それぞれ1つの電極として機能するため、複数の配線を接続しようとすると、配線数と同数のスナップボタン型コネクタを衣服に取り付けなければならず、ウエアラブルデバイスの小型化を損なうこととなる。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、衣服等の実装対象物に実装されながらも小型化を達成することができるコネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、このようなコネクタと相手側コネクタからなるコネクタ組立体を提供することも目的としている。
さらに、この発明は、コネクタの複数のコンタクトと相手側コネクタの複数の相手側コンタクトを接続する接続構造および接続方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタは、
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し、相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトに接続される複数のコンタクトを有するコネクタであって、
嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、
シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置においてシート部材に保持された複数のコンタクトと、
シート部材に配置され且つ複数のコンタクトと実装対象物の複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体と
を備え、
シート部材は、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、
複数のコンタクトの間に位置する部分のシート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタに嵌合し、シート部材に発生する収縮力により複数のコンタクトが複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触し且つ電気的に接続されるものである。
【0009】
複数のコンタクトは、互いに所定の方向に離間し且つそれぞれ所定の方向に直交する方向に延びる2つのコンタクト列に分かれて配列され、
複数の相手側コンタクトは、互いに所定の方向に離間し且つそれぞれ所定の方向に直交する方向に延びる2つの相手側コンタクト列に分かれて配列され、
シート部材に外力が作用しない場合に、2つの相手側コンタクト列の間の所定の方向に沿った離間距離は、2つのコンタクト列の間の所定の方向に沿った離間距離よりも長いことが好ましい。
【0010】
シート部材は、相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタに重なる嵌合部と、実装対象物に実装される実装部を有し、
複数のコンタクトは、シート部材の嵌合部に保持され、
複数のフレキシブル導体は、嵌合部に配置され且つ複数のコンタクトに電気的に接続された複数の第1接続部と、実装部に配置され且つ実装対象物の複数の配線部に電気的に接続される複数の第2接続部と、複数の第1接続部および複数の第2接続部を互いに連結する複数の連結部を有することが好ましい。
【0011】
シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
複数のフレキシブル導体は、それぞれ、シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されていることが好ましい。
【0012】
複数の相手側コンタクトは、それぞれ、ハウジングから嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
複数のコンタクトは、それぞれ、対応する相手側コンタクトが挿入されるリング状の導電性部材からなり、
シート部材に発生する収縮力により導電性部材の内周部が筒状部の外周部に接触するように構成することができる。
【0013】
あるいは、複数のコンタクトは、それぞれ、シート部材から嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
複数の相手側コンタクトは、それぞれ、対応するコンタクトが挿入されるリング状の導電性部材からなり、
シート部材に発生する収縮力により筒状部の外周部が導電性部材の内周部に接触するように構成することもできる。
【0014】
複数のフレキシブル導体は、それぞれ、第1接続部から第2接続部に向かってジグザグに延びていてもよい。
シート部材の相手側コネクタに対向する面とは反対側の面上で且つ嵌合部に対応する位置に貼り付けられた伸縮可能な補助部材を備えることもできる。
また、実装対象物として衣服にコネクタを実装することができる。
【0015】
この発明に係るコネクタ組立体は、
上記のコネクタと、
コネクタが嵌合する相手側コネクタと
を備えるものである。
【0016】
この発明に係る接続構造は、
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタの複数のコンタクトと、相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトとの接続構造であって、
コネクタは、嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置においてシート部材に保持された複数のコンタクトと、シート部材に配置され且つ複数のコンタクトと実装対象物の複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体とを備え、
シート部材は、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、
複数のコンタクトの間に位置する部分のシート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態でコネクタが相手側コネクタに嵌合し、シート部材に発生する収縮力により複数のコンタクトが複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触し且つ電気的に接続されるものである。
【0017】
この発明に係る接続方法は、
複数の配線部が配置されている実装対象物に実装され且つ嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合するコネクタの複数のコンタクトと、相手側コネクタの剛性を有する絶縁性のハウジングに保持されている複数の相手側コンタクトとの接続方法であって、
コネクタは、嵌合方向に直交する方向に延び且つフレキシブルな絶縁性のシート部材と、シート部材の表面に沿って互いに所定の方向に離間した位置においてシート部材に保持された複数のコンタクトと、シート部材に配置され且つ複数のコンタクトと実装対象物の複数の配線部との間を電気的に接続する複数のフレキシブル導体とを備え、
シート部材は、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、
複数のコンタクトの間に位置する部分のシート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態でコネクタを相手側コネクタに嵌合し、
シート部材に発生する収縮力により複数のコンタクトを複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触させて電気的に接続する方法である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、フレキシブルな絶縁性のシート部材の互いに所定の方向に離間した位置に複数のコンタクトが保持され、シート部材は、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、複数のコンタクトの間に位置する部分のシート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタに嵌合し、シート部材に発生する収縮力により複数のコンタクトが複数の相手側コンタクトにそれぞれ接触し且つ電気的に接続されるので、衣服等の実装対象物に実装されながらも小型化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実装対象物に実装された実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1で用いられるコネクタを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1で用いられる相手側コネクタを示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1で用いられる相手側コネクタの相手側コンタクトを示す断面図である。
【
図6】相手側コネクタに嵌合した状態の実施の形態1におけるコネクタを示す平面図である。
【
図8】実施の形態2に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2で用いられるコネクタを示す斜視図である。
【
図10】実施の形態3に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。
【
図11】実施の形態3で用いられるコネクタを示す斜視図である。
【
図12】実施の形態4に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。
【
図13】実施の形態4に係るコネクタ組立体を示す平面図である。
【
図14】実施の形態4で用いられるコネクタを示す斜視図である。
【
図15】実施の形態4で用いられるコネクタのコンタクトを示す斜視図である。
【
図16】実施の形態4で用いられる相手側コネクタを示す斜視図である。
【
図18】実施の形態4の変形例に係るコネクタ組立体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および
図2に、実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、コネクタ11と、コネクタ11が嵌合する相手側コネクタ21を備えている。
コネクタ11は、シート形状を有しており、コネクタ11の一部が相手側コネクタ21の上に重なるように配置された状態で相手側コネクタ21に嵌合する。
例えば、コネクタ11は、実装対象物である衣服Gに実装されることで衣服側コネクタとして使用され、コネクタ11に嵌合する相手側コネクタ21は、モジュール側コネクタとして使用される。
【0021】
ここで、便宜上、シート形状のコネクタ11がXY面に沿って延び、コネクタ11から衣服Gに向かう方向を+X方向、XY面に垂直で且つ相手側コネクタ21からコネクタ11に向かう方向を+Z方向と呼ぶことにする。Z方向は、コネクタ11と相手側コネクタ21の嵌合方向となる。
【0022】
図3に示されるように、コネクタ11は、XY面に沿って延びる絶縁性のシート部材12を有している。シート部材12は、シート部材12の-X方向側部分に区画され且つ相手側コネクタ21に嵌合する嵌合部FPと、シート部材12の+X方向側部分に区画され且つ衣服Gに実装される実装部MPを有している。
シート部材12は、例えば、絶縁性の布地、編地、または、ゴム材から形成され且つフレキシブルで少なくともX方向に伸縮可能な部材であり、シート部材12に、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン13が形成されている。
【0023】
刺繍パターン13を形成する刺繍糸として導電糸を使用することで、導電性を有する複数のフレキシブル導体14が形成されている。
それぞれのフレキシブル導体14は、シート部材12の嵌合部FPに配置され且つX方向に延びる直線状の第1接続部14Aと、シート部材12の実装部MPに配置された矩形の第2接続部14Bと、第1接続部14Aおよび第2接続部14Bを互いに連結する連結部14Cを有している。
フレキシブル導体14が刺繍糸により形成されていることから、少なくとも、それぞれのフレキシブル導体14のX方向に延びる第1接続部14Aは、X方向に伸縮可能に構成されている。
【0024】
コネクタ11は、シート部材12の嵌合部FPに取り付けられ且つ複数のフレキシブル導体14の第1接続部14Aに電気的に接続された複数のコンタクト15を有している。
コンタクト15は、金属等からなるリング状、具体的には、いわゆるドーナツ形状の導電性部材であり、対応するフレキシブル導体14の第1接続部14Aが配置される部分のシート部材12に形成されたシート側貫通孔12Aの周縁部に取り付けられている。コンタクト15としては、例えば、いわゆる「ハトメ」と呼ばれるリング状金具を用いることができる。
【0025】
複数のコンタクト15は、嵌合部FPの-X方向側部分においてY方向に延びる第1コンタクト列R11と嵌合部FPの+X方向側部分においてY方向に延びる第2コンタクト列R12に分かれて、いわゆる千鳥状に互い違いに配列されている。
シート部材12に引っ張り力等の外力が作用しない状態において、第1コンタクト列R11に位置するコンタクト15の中心と第2コンタクト列R12に位置するコンタクト15の中心は、互いにX方向に距離L1だけ離間している。
【0026】
図4に示されるように、相手側コネクタ21は、剛性を有する絶縁性のハウジング22と、ハウジング22に保持された複数の相手側コンタクト23を備えている。
ハウジング22は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた平面状のコネクタ対向面22Aを有し、複数の相手側コンタクト23が、それぞれ、筒状部がコネクタ対向面22Aから+Z方向に突出している。
【0027】
複数の相手側コンタクト23は、ハウジング22の-X方向側部分においてY方向に延びる第1相手側コンタクト列R21とハウジング22の+X方向側部分においてY方向に延びる第2相手側コンタクト列R22に分かれて、いわゆる千鳥状に互い違いに配列されている。
第1相手側コンタクト列R21に位置する相手側コンタクト23の中心と第2相手側コンタクト列R22に位置する相手側コンタクト23の中心は、互いにX方向に距離L2だけ離間している。
【0028】
相手側コネクタ21における相手側コンタクト23のX方向の離間距離L2は、コネクタ11におけるコンタクト15のX方向の離間距離L1よりも差分dLだけ長い値に設定されている。
なお、相手側コネクタ21における複数の相手側コンタクト23のY方向の中心間の間隔は、コネクタ11における複数のコンタクト15のY方向の中心間の間隔に等しくなるように設定されている。
【0029】
それぞれの相手側コンタクト23は、
図5に示されるように、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部23Aと、筒状部23Aの-Z方向端部からXY面に沿って延びるフランジ23Bを有している。筒状部23Aの+Z方向端部には、+Z方向に向かって先細りとなる円錐形状の誘い部23Cが形成され、誘い部23Cの-Z方向端部に、筒状部23Aよりも径方向に張り出す張り出し部23Dが形成されている。張り出し部23Dの外径は、コネクタ11におけるリング状のコンタクト15の内径よりも小さく設定されており、筒状部23Aおよび誘い部23Cは、コネクタ11のリング状のコンタクト15に挿入可能に形成されている。
【0030】
ただし、相手側コネクタ21において第1相手側コンタクト列R21および第2相手側コンタクト列R22に配列された複数の相手側コンタクト23のX方向の離間距離L2は、コネクタ11において第1コンタクト列R11および第2コンタクト列R12に配列された複数のコンタクト15のX方向の離間距離L1よりも差分dLだけ長いため、相手側コネクタ21の直上にコネクタ11の嵌合部FPを位置させるだけでは、複数の相手側コンタクト23のすべてを対応するコンタクト15に挿入することはできない。
【0031】
そこで、コネクタ11を相手側コネクタ21に嵌合する際には、まず、
図6に2点鎖線で示されるように、コネクタ11の伸縮可能なシート部材12にX方向の引っ張り力を作用させることにより、第1コンタクト列R11に位置するコンタクト15の中心と第2コンタクト列R12に位置するコンタクト15の中心のX方向の離間距離が、差分dLだけ引き延ばされる。
【0032】
すなわち、コネクタ11の第1コンタクト列R11および第2コンタクト列R12に配列された複数のコンタクト15のX方向の離間距離が、相手側コネクタ21の第1相手側コンタクト列R21および第2相手側コンタクト列R22に配列された複数の相手側コンタクト23のX方向の離間距離L2に等しい距離(L1+dL)となるまで、コネクタ11の複数のコンタクト15の間に位置する部分のシート部材12がX方向に引き延ばされる。
【0033】
これにより、コネクタ11の複数のコンタクト15の互いの位置関係は、X方向においてもY方向においても、相手側コネクタ21の複数の相手側コンタクト23の互いの位置関係に等しくなる。
この状態で、コネクタ11のシート部材12の嵌合部FPを、+Z方向から相手側コネクタ21のハウジング22のコネクタ対向面22Aに向けて-Z方向に移動させることにより、コネクタ11が相手側コネクタ21に嵌合し、相手側コネクタ21の複数の相手側コンタクト23が、それぞれ、コネクタ11の対応するリング状のコンタクト15に挿入される。
【0034】
その後、コネクタ11のシート部材12に作用していたX方向の引っ張り力を解除すると、複数のコンタクト15の間に位置する部分のシート部材12がX方向に収縮して、第1コンタクト列R11に位置するコンタクト15の中心と第2コンタクト列R12に位置するコンタクト15の中心の離間距離が短くなる。
【0035】
このようにして互いに嵌合したコネクタ11および相手側コネクタ21を
図7に示す。相手側コネクタ21のハウジング22内には、モジュール基板24が内蔵されており、複数の相手側コンタクト23のフランジ23Bがモジュール基板24上に実装されている。それぞれの相手側コンタクト23の筒状部23Aおよび誘い部23Cがハウジング22の貫通孔22Bを通してコネクタ対向面22Aから+Z方向に突出し、コネクタ11の対応するリング状のコンタクト15に挿入された状態で、コネクタ11のシート部材12に作用していた引っ張り力の解除に起因して、シート部材12に収縮力が発生する。
【0036】
これにより、コネクタ11の第1コンタクト列R11に位置するコンタクト15の-X方向側の内周部が、相手側コネクタ21の第1相手側コンタクト列R21に位置する相手側コンタクト23の-X方向側の外周部に所定の接触圧で接触し、また、コネクタ11の第2コンタクト列R12に位置するコンタクト15の+X方向側の内周部が、相手側コネクタ21の第2相手側コンタクト列R22に位置する相手側コンタクト23の+X方向側の外周部に所定の接触圧で接触する。
その結果、コネクタ11の複数のコンタクト15は、相手側コネクタ21の複数の相手側コンタクト23にそれぞれ電気的に接続されることとなる。
【0037】
図1に示されるように、実装対象物となる衣服Gの裏面には、コネクタ11の複数のフレキシブル導体14に対応する複数の導電性の配線部G1が形成されており、
図3に示されるコネクタ11のシート部材12の実装部MPに配置されている複数の第2接続部14Bを、それぞれ、例えば導電性の縫合糸を用いて衣服Gの対応する配線部G1の一端に縫い合わせることで、複数のフレキシブル導体14は、衣服Gの複数の配線部G1にそれぞれ電気的に接続される。
【0038】
その結果、コネクタ11の複数のコンタクト15および複数のフレキシブル導体14を介して、相手側コネクタ21の複数の相手側コンタクト23を、衣服Gの複数の配線部G1にそれぞれ電気的に接続することが可能となる。
なお、複数の配線部G1の他端は、衣服Gの裏面に沿って、衣服Gに取り付けられている図示しない電極まで延びているものとする。
従って、相手側コネクタ21に内蔵されているモジュール基板24に所定の電子回路を搭載することで、電極を介して取得された生体情報を電子回路により計測する、あるいは、電子回路から遠隔の計測装置に伝送することができる。
【0039】
実施の形態1におけるコネクタ11は、絶縁性の布地または編地から形成されるフレキシブルで且つ伸縮可能なシート部材12に、複数のフレキシブル導体14と複数のリング状のコンタクト15が配置され、複数のコンタクト15の間に位置する部分のシート部材12が弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタ21に嵌合し、シート部材12に発生する収縮力により複数のコンタクト15が複数の相手側コンタクト23にそれぞれ接触して電気的に接続されるので、小型化、特に、薄型化を達成することが可能となる。
また、コネクタ11を衣服Gの外側に実装することにより、コネクタ11に相手側コネクタ21を嵌合しても、衣服Gの着心地の低下を抑制することが可能となる。
【0040】
なお、それぞれの相手側コンタクト23は、+Z方向に向かって先細りとなる円錐形状の誘い部23Cを有している。そこで、コネクタ11を相手側コネクタ21に嵌合する際に、例えば、コネクタ11の第2コンタクト列R12のコンタクト15の貫通孔に、相手側コネクタ21の第2相手側コンタクト列R22の相手側コンタクト23を挿入した状態で、相手側コネクタ21に対してシート部材12の-X方向端部を-X方向に引っ張り、コネクタ11の第1コンタクト列R11のコンタクト15の貫通孔が、相手側コネクタ21の第1相手側コンタクト列R21の相手側コンタクト23の誘い部23Cの+Z方向端部の+Z方向側に重なったところで、第1コンタクト列R11のコンタクト15を-Z方向に押し下げることにより、コネクタ11の複数のコンタクト15に相手側コンタクト23の複数の相手側コンタクト23を挿入させることができる。
【0041】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、コネクタ11のシート部材12に取り付けられたコンタクト15が、いわゆるドーナツ形状の導電性部材から形成されているが、これに限るものではない。
【0042】
図8に、実施の形態2に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、コネクタ31と、コネクタ31が嵌合する相手側コネクタ21を備えている。相手側コネクタ21は、実施の形態1で用いられたものと同一である。
コネクタ31の構成を
図9に示す。コネクタ31は、実施の形態1におけるコネクタ11において、複数のコンタクト15の代わりに、複数のコンタクト35がシート部材12の嵌合部FPに取り付けられたものであり、その他の構成はコネクタ11と同様である。すなわち、シート部材12に複数のフレキシブル導体14が形成され、シート部材12の嵌合部FPに、複数のコンタクト35が配置されている。
【0043】
複数のコンタクト35は、嵌合部FPの-X方向側部分においてY方向に延びる第1コンタクト列R31と嵌合部FPの+X方向側部分においてY方向に延びる第2コンタクト列R32に分かれて配列されており、シート部材12に引っ張り力等の外力が作用しない状態において、第1コンタクト列R31に位置するコンタクト35の中心と第2コンタクト列R32に位置するコンタクト35の中心は、実施の形態1と同様に、互いにX方向に距離L1だけ離間している。
【0044】
それぞれのコンタクト35は、シート部材12に形成されたシート側貫通孔12Aの内周部に沿って形成されたリング状の導電部を有するもので、対応するフレキシブル導体14の第1接続部14Aに電気的に接続されている。
このようなコンタクト35を有していても、実施の形態1と同様にして、複数のコンタクト35の間に位置する部分のシート部材12が弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタ21に嵌合し、シート部材12に発生する収縮力により複数のコンタクト35が複数の相手側コンタクト23にそれぞれ接触して電気的に接続されるコネクタ31が実現される。実施の形態1に係るコネクタ11と同様に、小型化、特に、薄型化を達成することが可能となる。
【0045】
実施の形態3
図10に、実施の形態3に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、コネクタ41と、コネクタ41が嵌合する相手側コネクタ21を備えている。相手側コネクタ21は、実施の形態1および2で用いられたものと同一である。
【0046】
コネクタ41の構成を
図11に示す。コネクタ41は、実施の形態2におけるコネクタ31において、複数のフレキシブル導体14の代わりに、複数のフレキシブル導体44がシート部材12に形成されたものであり、その他の構成はコネクタ31と同様である。すなわち、シート部材12に、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン43が形成され、刺繍パターン43により、導電性を有する複数のフレキシブル導体44が形成されている。
【0047】
それぞれのフレキシブル導体44は、シート部材12の嵌合部FPに配置され且つX方向に延びる第1接続部44Aと、シート部材12の実装部MPに配置された矩形の第2接続部44Bと、第1接続部44Aおよび第2接続部44Bを互いに連結する連結部44Cを有しており、第1接続部44Aおよび連結部44Cが、X方向に沿ってジグザグに、すなわち、Y方向に屈曲を繰り返しながらX方向に延びている。
【0048】
複数のコンタクト35は、嵌合部FPの-X方向側部分においてY方向に延びる第1コンタクト列R41と嵌合部FPの+X方向側部分においてY方向に延びる第2コンタクト列R42に分かれて配列されており、シート部材12に引っ張り力等の外力が作用しない状態において、第1コンタクト列R41に位置するコンタクト35の中心と第2コンタクト列R42に位置するコンタクト35の中心は、実施の形態1および2と同様に、互いにX方向に距離L1だけ離間している。
【0049】
それぞれのフレキシブル導体44の第1接続部44Aおよび連結部44Cが、X方向に沿ってジグザグに延びているため、シート部材12に引っ張り力を作用させて、シート部材12をX方向に引き延ばすと、第1接続部44Aおよび連結部44Cは、屈曲を繰り返すジグザグ形状のY方向の屈曲幅が狭まるように、XY面上で変形することで、シート部材12と共にX方向に伸長することができる。
【0050】
このため、導電糸により形成されるフレキシブル導体44が十分な伸縮性を有しない場合であっても、実施の形態1および2と同様にして、シート部材12がX方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタ21に嵌合し、シート部材12に発生する収縮力により複数のコンタクト35が複数の相手側コンタクト23にそれぞれ接触して電気的に接続されるコネクタ41を実現することができる。これにより、小型化、特に、薄型化を達成することが可能となる。
【0051】
実施の形態4
図12および
図13に、実施の形態4に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、コネクタ51と、コネクタ51が嵌合する相手側コネクタ61を備えている。
コネクタ51の構成を
図14に示す。コネクタ51は、実施の形態1におけるコネクタ11において、複数のコンタクト15の代わりに、それぞれ+Z方向に向かって突出する複数のコンタクト55がシート部材12の嵌合部FPに取り付けられたものであり、その他の構成はコネクタ11と同様である。すなわち、シート部材12に複数のフレキシブル導体14が形成され、シート部材12の嵌合部FPに、複数のコンタクト55が配置されている。
【0052】
複数のコンタクト55は、嵌合部FPの-X方向側部分においてY方向に延びる第1コンタクト列R51と嵌合部FPの+X方向側部分においてY方向に延びる第2コンタクト列R52に分かれて配列されており、シート部材12に引っ張り力等の外力が作用しない状態において、第1コンタクト列R51に位置するコンタクト55の中心と第2コンタクト列R52に位置するコンタクト55の中心は、実施の形態1と同様に、互いにX方向に距離L1だけ離間している。
【0053】
それぞれのコンタクト55は、
図15に示されるように、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部55Aと、筒状部55Aの-Z方向端部からXY面に沿って延びるフランジ55Bを有している。コンタクト55は、フランジ55Bを部分的にシート部材12に貫通させてシート部材12の-Z方向側に屈曲させることで、シート部材12に保持され、対応する第1接続部14Aに電気的に接続されている。
また、筒状部55Aの+Z方向端部には、+Z方向に向かって先細りとなる円錐形状の誘い部55Cが形成されている。
【0054】
図16に示されるように、相手側コネクタ61は、剛性を有する絶縁性のハウジング62と、ハウジング62に保持された複数の相手側コンタクト63を備えている。
ハウジング62は、XY面に沿って延び且つ-Z方向を向いた平面状のコネクタ対向面62Aを有し、複数の相手側コンタクト63が、それぞれ、コネクタ対向面62Aから-Z方向に露出するようにハウジング62に保持されている。
【0055】
複数の相手側コンタクト63は、ハウジング62の-X方向側部分においてY方向に延びる第1相手側コンタクト列R61とハウジング62の+X方向側部分においてY方向に延びる第2相手側コンタクト列R62に分かれて配列されている。
第1相手側コンタクト列R61に位置する相手側コンタクト63の中心と第2相手側コンタクト列R62に位置する相手側コンタクト63の中心は、互いにX方向に距離L2だけ離間している。
相手側コネクタ61における相手側コンタクト63のX方向の離間距離L2は、コネクタ51におけるコンタクト55のX方向の離間距離L1よりも長い値に設定されている。
【0056】
それぞれの相手側コンタクト63は、金属等からなる平板状で且つリング形状の導電性部材であり、相手側コンタクト63の中心に、コネクタ51のコンタクト55の筒状部55Aおよび誘い部55Cが挿入可能な貫通孔が形成されている。
【0057】
コネクタ51を相手側コネクタ61に嵌合する際には、実施の形態1と同様に、まず、コネクタ51の伸縮可能なシート部材12にX方向の引っ張り力を作用させることにより、第1コンタクト列R51に位置するコンタクト55と第2コンタクト列R52に位置するコンタクト55の間に位置する部分のシート部材12がX方向に引き延ばされる。
【0058】
この状態で、-Z方向からコネクタ51のシート部材12の嵌合部FPを相手側コネクタ61のハウジング62のコネクタ対向面62Aに向けて+Z方向に相対的に移動させることにより、コネクタ51が相手側コネクタ61に嵌合し、コネクタ51の複数のコンタクト55の筒状部55Aおよび誘い部55Cが、それぞれ、相手側コネクタ61の対応するリング状の相手側コンタクト63に挿入される。
【0059】
その後、コネクタ51のシート部材12に作用していたX方向の引っ張り力を解除すると、複数のコンタクト55の間に位置する部分のシート部材12がX方向に収縮して、第1コンタクト列R51に位置するコンタクト55の中心と第2コンタクト列R52に位置するコンタクト55の中心の離間距離が短くなる。
【0060】
これにより、
図17に示されるように、コネクタ51の第1コンタクト列R51に位置するコンタクト55の+X方向側の外周部が、相手側コネクタ61の第1相手側コンタクト列R61に位置する相手側コンタクト63の+X方向側の内周部に所定の接触圧で接触し、また、コネクタ51の第2コンタクト列R52に位置するコンタクト55の-X方向側の外周部が、相手側コネクタ61の第2相手側コンタクト列R62に位置する相手側コンタクト63の-X方向側の内周部に所定の接触圧で接触する。
その結果、コネクタ51の複数のコンタクト55は、相手側コネクタ61の複数の相手側コンタクト63にそれぞれ電気的に接続されることとなる。
【0061】
このように、+Z方向に向かって突出する複数のコンタクト55がコネクタ51のフレキシブルで伸縮可能なシート部材12に取り付けられ、リング形状の複数の相手側コンタクト63が相手側コネクタ61の剛性を有するハウジング62に配置されていても、小型、特に、薄型のコネクタ51を実現することができる。
【0062】
なお、
図18に示されるように、コネクタ51のシート部材12の相手側コネクタ61に対向する面とは反対側、すなわち、-Z方向側の面上に、補助部材71を貼り付けることができる。
補助部材71は、例えば、ゴム材等から形成され、シート部材12と同様に、少なくともX方向に伸縮可能な部材であり、シート部材12の嵌合部FPに対応する位置に貼り付けられる。
【0063】
このような補助部材71をシート部材12に貼り付けることにより、シート部材12が十分な伸縮性を有しない場合であっても、補助部材71の伸縮性に起因する収縮力が発生することで、コネクタ51の複数のコンタクト55と相手側コネクタ61の複数の相手側コンタクト63を、信頼性よく、電気的に接続することが可能となる。
【0064】
実施の形態4のコネクタ51だけでなく、実施の形態1~3のコネクタ11、31、41に対しても、同様の補助部材をシート部材12に貼り付けることができる。ただし、実施の形態1~3のコネクタ11、31、41におけるシート部材12に補助部材を貼り付ける場合には、補助部材をシート部材12の+Z方向側の面上に配置し、相手側コネクタ21の複数の相手側コンタクト23の筒状部23Aおよび誘い部23Cが貫通するような貫通孔を形成する必要がある。
【0065】
なお、上記の実施の形態1~4におけるコネクタ11、31、41、51の複数のコンタクト15、35、55および相手側コネクタ21、61の相手側コンタクト23、63の個数は、特に限定されるものではなく、コネクタの2つ以上のコンタクトが相手側コネクタの2つ以上の相手側コンタクトに接続される構成を有していればよい。
また、上記の実施の形態1~4では、コネクタ11、31、41、51が、実装対象物として衣服Gに実装されているが、実装対象物は、衣服Gに限るものではなく、各種の実装対象物に実装することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 第1の布、2 雄型スナップボタン、3 第2の布、4 雌型スナップボタン、5 凸部、6 凹部、7 棒状ばね、11,31,41,51 コネクタ、12 シート部材、12A シート側貫通孔、13,43 刺繍パターン、14,44 フレキシブル導体、14A,44A 第1接続部、14B,44B 第2接続部、14C,44C 連結部、15,35,55 コンタクト、21,61 相手側コネクタ、22,62 ハウジング、22A,62A コネクタ対向面、23、63 相手側コンタクト、23A,55A 筒状部、23B,55B フランジ、23C,55C 誘い部、23D 張り出し部、71 補助部材、G 衣服、G1 配線部、FP 嵌合部、MP 実装部、R11,R31,R41,R51 第1コンタクト列、R12,R32,R42,R52 第2コンタクト列、R21,R61 第1相手側コンタクト列、R22,R62 第2相手側コンタクト列、L1,L2 距離、dL 差分。