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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165754
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20241121BHJP
   B26B 15/00 20060101ALI20241121BHJP
   A01G 3/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B26B15/00
A01G3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082235
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和也
【テーマコード(参考)】
3C064
3C065
【Fターム(参考)】
3C064AA07
3C064AB03
3C064AC04
3C064BA11
3C064BB52
3C064BB82
3C064CA05
3C064CA07
3C064CA25
3C064CA26
3C064CA41
3C064CB17
3C064CB64
3C064CB73
3C064CB82
3C065EA02
3C065EA07
3C065EA11
3C065FA03
(57)【要約】
【課題】異物がハウジングの内部に侵入することを抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】作業機は、作業部と、作業部を動作させる原動機と、作業部を保持するとともに、原動機を収容するハウジングと、ハウジングに形成された貫通孔を介してハウジングの内部と外部に跨っており、ユーザによって操作されるトリガレバーと、ハウジングの内部に配置されており、トリガレバーのうちハウジングの内部に存在する部分の動きを検出するセンサと、センサでの検出結果に応じて原動機を制御する制御部と、を備える。トリガレバーは、ハウジングに対して、回転シャフトを介して回転可能に支持される。トリガレバーは、トリガレバーの回転軸を中心とした回転体形状を有する遮蔽部を備える。貫通孔の周縁部は、遮蔽部の外周面と対向する対向縁部を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業部と、
前記作業部を動作させる原動機と、
前記作業部を保持するとともに、前記原動機を収容するハウジングと、
前記ハウジングに形成された貫通孔を介して前記ハウジングの内部と外部に跨っており、ユーザによって操作されるトリガレバーと、
前記ハウジングの内部に配置されており、前記トリガレバーのうち前記ハウジングの内部に存在する部分の動きを検出するセンサと、
前記センサでの検出結果に応じて前記原動機を制御する制御部と、を備えており、
前記トリガレバーは、前記ハウジングに対して、回転シャフトを介して回転可能に支持されており、
前記トリガレバーは、前記トリガレバーの回転軸を中心とした回転体形状を有する遮蔽部を備えており、
前記貫通孔の周縁部は、前記遮蔽部の外周面と対向する対向縁部を含む、作業機。
【請求項2】
前記遮蔽部は、前記貫通孔の略全体を塞ぐように配置されており、
前記トリガレバーは、
前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの外部に配置されており、前記ユーザによって操作される操作部と、
前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの内部に配置されており、前記センサによって検出される検出部と、をさらに備えており、
前記操作部は、棒形状を有する、請求項1の作業機。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記貫通孔が設けられている箇所から前記作業部に向かう方向に対して、略反対方向に開口している、請求項1または2の作業機。
【請求項4】
前記センサは、磁気センサおよびマイクロスイッチのうち少なくとも一つを含む、請求項1から3の何れか一項の作業機。
【請求項5】
前記ハウジングに対する前記トリガレバーの回転移動は、所定の可動範囲内に制限されており、
前記トリガレバーが前記可動範囲の一端から他端まで回転する場合の前記トリガレバーの回転角度は、45度未満である、請求項1から4の何れか一項の作業機。
【請求項6】
前記遮蔽部は、前記貫通孔の略全体を塞ぐように配置されており、
前記トリガレバーは、
前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの外部に配置されており、前記ユーザによって操作される操作部と、
前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの内部に配置されており、前記センサによって検出される検出部と、をさらに備えており、
前記操作部は、棒形状を有しており、
前記ハウジングに対する前記トリガレバーの回転移動は、所定の可動範囲内に制限されており、
前記遮蔽部の外周部分のうち、前記トリガレバーが前記可動範囲の一端から他端まで回転する過程で前記貫通孔を介して前記ハウジングの外部に露出する部分を露出部とした時、
前記回転軸の周方向において前記露出部が存在する角度範囲は、90度以上である、請求項1から5の何れか一項の作業機。
【請求項7】
前記作業部は、被切断物を切断する切断作業、または、被切削物を切削する切削作業を実行するように構成されている、請求項1から6の何れか一項の作業機。
【請求項8】
前記ユーザが片手で持ち運び可能なハンディタイプの作業機である、請求項1から7の何れか一項の作業機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業部と、前記作業部を動作させる原動機と、前記作業部を保持するとともに、前記原動機を収容するハウジングと、ユーザによって操作されるトリガレバーと、前記ハウジングの内部に配置されるセンサと、前記センサでの検出結果に応じて前記原動機を制御する制御部と、を備える作業機が開示される。前記トリガレバーは、全体が前記ハウジングの外部に配置される。前記センサは、前記ハウジングの外部に存在する前記トリガレバーの動きを検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国出願公開第2016/0219793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機は、センサとトリガレバーの間がハウジングによって遮られているので、センサによるトリガレバーの検出精度に劣る可能性がある。これを改善する構成として、ハウジングに貫通孔を設け、当該貫通孔を介してトリガレバーをハウジングの内部と外部に跨らせ、トリガレバーのうちハウジングの内部に存在する部分の動きをセンサに検出させることが考えられる。ただしこの構成では、貫通孔の周縁部とトリガレバーの間に設けられる隙間を介して、塵などの異物がハウジングの内部に侵入するおそれがある。本明細書では、異物がハウジングの内部に侵入することを抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する作業機は、作業部と、前記作業部を動作させる原動機と、前記作業部を保持するとともに、前記原動機を収容するハウジングと、前記ハウジングに形成された貫通孔を介して前記ハウジングの内部と外部に跨っており、ユーザによって操作されるトリガレバーと、前記ハウジングの内部に配置されており、前記トリガレバーのうち前記ハウジングの内部に存在する部分の動きを検出するセンサと、前記センサでの検出結果に応じて前記原動機を制御する制御部と、を備える。前記トリガレバーは、前記ハウジングに対して、回転シャフトを介して回転可能に支持される。前記トリガレバーは、前記トリガレバーの回転軸を中心とした回転体形状を有する遮蔽部を備える。前記貫通孔の周縁部は、前記遮蔽部の外周面と対向する対向縁部を含む。
【0006】
トリガレバーはハウジングに対して様々な姿勢を取り得る。トリガレバーの姿勢に依っては、貫通孔の周縁部とトリガレバーの間に設けられる隙間が拡大してしまうことも予想される。仮に貫通孔の周縁部とトリガレバーの間に設けられる隙間が拡大すると、異物がハウジングの内部に侵入しやすくなってしまう。上記の構成によれば、遮蔽部がトリガレバーの回転軸を中心とした回転体形状を有するので、トリガレバーが回転しても、遮蔽部の外周面と対向縁部の間の距離は一定に維持される。このため、貫通孔の周縁部とトリガレバーの間に設けられる隙間のうち、少なくとも遮蔽部の外周面と対向縁部の間に設けられる隙間については、トリガレバーの姿勢に依らず、狭い状態を保つことができる。従って、異物がハウジングの内部に侵入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る剪定ハサミ2を、前方右方上方から見た斜視図である。
図2】実施例に係る剪定ハサミ2の作業部12の近傍の構成を示す分解図である。
図3】実施例に係る剪定ハサミ2の可動刃8が開位置にある場合の、剪定ハサミ2の内部構造を、右方から見た図である。
図4】実施例に係る剪定ハサミ2のハウジング4に設けられたトリガ貫通孔100を、後方右方下方から見た図である。
図5】実施例に係る剪定ハサミ2のトリガレバー10の近傍の構成を示す図である。
図6】実施例に係る剪定ハサミ2の、ゼロ位置にあるトリガレバー10を、右方から見た図である。
図7】実施例に係る剪定ハサミ2の、最大引き上げ位置にあるトリガレバー10を、右方から見た図である。
図8】実施例に係る剪定ハサミ2の、センサ基板90の近傍の構成を示す図である。
図9】実施例に係る剪定ハサミ2の可動刃8が閉位置にある場合の、剪定ハサミ2の内部構造を右方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記遮蔽部は、前記貫通孔の略全体を塞ぐように配置されてもよい。前記トリガレバーは、前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの外部に配置されており、前記ユーザによって操作される操作部と、前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの内部に配置されており、前記センサによって検出される検出部と、をさらに備えてもよい。前記操作部は、棒形状を有してもよい。
【0012】
一般的なトリガレバーとして、ユーザによって操作される操作部に、回転軸の周方向に関して厚みを持たせたものがある。この操作部は、貫通孔を介してハウジングの内部と外部に跨るように配置され、ユーザによってハウジングの内部に押し込まれる構成となっている。しかしながら、この構成では、遮蔽部が貫通孔の略全体を塞ぐことにはならない。この場合、遮蔽部の外周面に対向する対向縁部は1箇所しか存在しないので、トリガレバーの姿勢に依らず狭い状態に保たれる隙間も1箇所しか存在しない。上記の構成によれば、遮蔽部が貫通孔の略全体を塞ぐように配置される。この場合、遮蔽部の外周面に対向する対向縁部は、遮蔽部の外周面を挟み込むように、2箇所に存在する。このため、トリガレバーの姿勢に依らず狭い状態に保たれる隙間が2箇所に存在する。従って、比較的広範囲にわたって、異物がハウジングの内部に侵入することを抑制できる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記貫通孔は、前記貫通孔が設けられている箇所から前記作業部に向かう方向に対して、略反対方向に開口していてもよい。
【0014】
作業部を動作させると、作業部の近傍において、塵などの異物が飛散することが予想される。このため、仮に貫通孔が作業部に向けて開口していると、作業部の動作に伴って飛散した異物が、ハウジングの内部に侵入するおそれがある。上記の構成によれば、貫通孔は、作業部が設けられている箇所から作業部に向かう方向とは略反対方向に開口している。このため、作業部の動作に伴って飛散した異物がハウジングの内部に侵入することを抑制できる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記センサは、磁気センサおよびマイクロスイッチのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
上記の構成によれば、汎用的なセンサが用いられるので、作業機の構成を簡素なものにできる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記ハウジングに対する前記トリガレバーの回転移動は、所定の可動範囲内に制限されていてもよい。前記トリガレバーが前記可動範囲の一端から他端まで回転する場合の前記トリガレバーの回転角度は、45度未満であってもよい。
【0018】
ハウジングに対するトリガレバーの可動範囲が過度に大きいと、ユーザにとって、トリガレバーの操作が煩わしいものとなってしまう。上記の構成によれば、ハウジングに対するトリガレバーの可動範囲が適度な大きさに制限される。このため、ユーザがトリガレバーを操作する際に感じる煩わしさを低減できる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記遮蔽部は、前記貫通孔の略全体を塞ぐように配置されてもよい。前記トリガレバーは、前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの外部に配置されており、前記ユーザによって操作される操作部と、前記遮蔽部から延びており、前記ハウジングの内部に配置されており、前記センサによって検出される検出部と、をさらに備えてもよい。前記操作部は、棒形状を有してもよい。前記ハウジングに対する前記トリガレバーの回転移動は、所定の可動範囲内に制限されていてもよい。前記遮蔽部の外周部分のうち、前記トリガレバーが前記可動範囲の一端から他端まで回転する過程で前記貫通孔を介して前記ハウジングの外部に露出する部分を露出部とした時、前記回転軸の周方向において前記露出部が存在する角度範囲は、90度以上であってもよい。
【0020】
ハウジングの内部において遮蔽部が占有するスペースが大きいと、ハウジングが大型化してしまう。上記の構成によれば、遮蔽部の大部分をハウジングの外部に露出させることができる。このため、ハウジングの内部において遮蔽部が占有するスペースを小さくすることができる。その結果、ハウジングを小型化することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業部は、被切断物を切断する切断作業、または、被切削物を切削する切削作業を実行するように構成されてもよい。
【0022】
上記の構成では、作業部による切断作業(または切削作業)に伴って、粉塵が生じ得る。このため、作業機が使用される環境において、ハウジングの内部に侵入し得る異物が比較的多く存在すると考えられる。従って、上記の構成によれば、異物がハウジングの内部に侵入することを抑制する効果が、顕著に発揮される。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業機は、前記ユーザが片手で持ち運び可能なハンディタイプの作業機であってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、ユーザにとって、作業機の取り回しが容易になる。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の作業機は、剪定ハサミ2である。剪定ハサミ2は、主に木の枝等の切断作業に用いられる。剪定ハサミ2は、外部電源から供給される電力によって動作する電動式の作業機である。剪定ハサミ2は、ユーザが片手で把持して持ち運び可能となっている。
【0026】
剪定ハサミ2は、ハウジング4と、固定刃6と、可動刃8と、トリガレバー10を備える。詳細は後述するが、剪定ハサミ2は、トリガレバー10への引き上げ操作に応じて、可動刃8を固定刃6に対して回動させることで、切断作業を実行する。固定刃6と可動刃8は、金属(例えば、鉄)によって形成されている。本明細書では、固定刃6と可動刃8を総称して「作業部12」と呼ぶことがある。
【0027】
ハウジング4は、左側ハウジング14と、右側ハウジング16と、ギアハウジング18と、カバーハウジング20を備える。左側ハウジング14と、右側ハウジング16と、ギアハウジング18と、カバーハウジング20は、いずれも、プラスチックによって形成されている。左側ハウジング14と右側ハウジング16は、ネジによって互いに固定されている。ギアハウジング18は、左側ハウジング14と右側ハウジング16によって支持されている。カバーハウジング20は、ネジによって、左側ハウジング14と右側ハウジング16に対して固定されている。ハウジング4には、ユーザが把持するための把持部22と、トリガレバー10を保護するための保護部24が規定されている。
【0028】
本明細書では、把持部22の長手方向を前後方向と定める。前後方向において、把持部22から作業部12に向かう方向を前方向と定め、作業部12から把持部22に向かう方向を後方向と定める。そして、前後方向に直交する方向であって、可動刃8の回動軸に沿った方向を左右方向と定める。左右方向において、可動刃8から固定刃6に向かう方向を左方向と定め、固定刃6から可動刃8に向かう方向を右方向と定める。そして、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向と定める。上下方向において、保護部24からトリガレバー10に向かう方向を上方向と定め、トリガレバー10から保護部24に向かう方向を下方向と定める。
【0029】
ハウジング4の後方上部には、操作ユニット26が設けられている。操作ユニット26は、主電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチ28や、調整スイッチ30(詳細は後述する。)等を備えている。また、ハウジング4の前方上部には、表示ユニット32が設けられている。表示ユニット32は、主電源のオン/オフの状態等を表示するためのLED(図示せず)等を備えている。
【0030】
図2に示すように、剪定ハサミ2は、共締めボルト34と、ブレードホルダ36と、連結ピン38と、共締めナット40と、ロックネジ42と、ロックプレート44と、Oリング46をさらに備える。本実施例では、共締めボルト34の中心軸を「軸A1」と呼ぶ。連結ピン38の中心軸を「軸A2」と呼ぶ。ロックネジ42の中心軸を「軸A3」と呼ぶ。軸A1、A2、A3は、それぞれ、左右方向に沿って延びている。
【0031】
共締めボルト34には、左方から順に、雄ネジ48と、嵌合部50と、円柱部52が形成されている。共締めボルト34は、いわゆる段付ボルトである。嵌合部50は、ギアハウジング18に設けられた嵌合孔54に対応した形状を有している。
【0032】
ブレードホルダ36は、第1貫通孔56と、第1貫通孔56の前方に設けられた第2貫通孔58を備える。第1貫通孔56は、共締めボルト34の円柱部52を回転可能に受け入れる。このため、ブレードホルダ36は、ギアハウジング18に対して軸A1周りに回転可能となっている。第2貫通孔58には、連結ピン38の右部が挿入される。連結ピン38は、第2貫通孔58に挿入された状態で、ブレードホルダ36に固定されている。また、ブレードホルダ36の左面には、第1貫通孔56の周縁部から左方に突出した第1円筒部60(図8参照)と、ベベルギア62が形成されている。
【0033】
可動刃8は、ブレードホルダ36の第1円筒部60が挿入される第3貫通孔64と、連結ピン38の左部が挿入される第4貫通孔66を備える。可動刃8は、軸A1と軸A2に関して、ブレードホルダ36に拘束される。これにより、可動刃8は、ブレードホルダ36と一体的に、ギアハウジング18に対して軸A1周りに回転可能となっている。
【0034】
固定刃6は、第5貫通孔68と、第5貫通孔68の後方に設けられた第6貫通孔70を備える。第5貫通孔68には、ギアハウジング18の右面から右方に突出した第2円筒部72が挿入される。第6貫通孔70の内側面には、雌ネジ74が設けられる。
【0035】
共締めナット40は、共締めボルト34の雄ネジ48に対応した雌ネジ76を備える。共締めボルト34と共締めナット40は、雄ネジ48を雌ネジ76に対して螺合させることで、ギアハウジング18に対して、ブレードホルダ36と、可動刃8と、固定刃6を締結している。具体的には、共締めボルト34と共締めナット40は、ブレードホルダ36と、可動刃8と、固定刃6を、左右方向に関して拘束している。ユーザは、共締めボルト34に対して共締めナット40を締める(または緩める)ことにより、ギアハウジング18、固定刃6、可動刃8、およびブレードホルダ36を左右方向に締め付ける力(以下では、単に「締め付け力」と呼ぶ。)を調整することができる。締め付け力が弱すぎると、可動刃8が固定刃6に対してガタつくので、剪定ハサミ2の切れ味が低下する恐れがある。一方、締め付け力が強すぎると、固定刃6に対して可動刃8を回動させる際に可動刃8に生じる抵抗力が大きくなる。これにより、可動刃8を回動させる電動モータ86(図3参照)への負荷が大きくなるおそれがある。
【0036】
ロックネジ42は、固定刃6に設けられた雌ネジ74に対応する雄ネジ78を備える。また、ギアハウジング18には、嵌合孔54の後方において、ロックネジ42の雌ネジ74が通過可能な第7貫通孔80が設けられている。ロックネジ42の雌ネジ74を第7貫通孔80に通過させた状態で、雄ネジ78を固定刃6の雌ネジ74に対して螺合させると、ギアハウジング18に対して固定刃6が締結される。これにより、固定刃6は、ギアハウジング18に固定される。
【0037】
ロックプレート44とOリング46は、ロックネジ42に取り付けられている。ロックプレート44とOリング46は、いわゆるワッシャとして機能する。ロックプレート44の外周部には、複数の歯部82が形成されている。図示しないが、共締めナット40の外周部には、ロックプレート44の複数の歯部82に対応した複数の歯部が形成されている。ギアハウジング18に対して固定刃6を固定する際には、ロックプレート44の複数の歯部82を、共締めナット40の複数の歯部に噛み合わせた状態で、ロックネジ42による締結を行う。ロックネジ42による締結が完了した状態では、ギアハウジング18に対するロックプレート44の回転が禁止されるので、ロックプレート44に噛み合う共締めナット40の回転も禁止される。これにより、共締めナット40が緩むなどして、締め付け力が意図せず変化してしまうことが抑制される。
【0038】
なお、共締めナット40を締めて(または緩めて)締め付け力を調整したい場合には、先ずロックネジ42を緩めて、ロックネジ42を取り外す必要がある。ロックネジ42を取り外した状態で、ロックプレート44を左方に移動させると、共締めナット40とロックプレート44の噛み合いが解除される。これにより、共締めナット40の回転が許容されるので、締め付け力の調整が可能となる。
【0039】
図3に示すように、剪定ハサミ2は、制御装置84と、電動モータ86と、動力伝達機構88と、センサ基板90と、コネクタ92をさらに備える。制御装置84と、電動モータ86と、動力伝達機構88と、センサ基板90は、ハウジング4の内部に収容されている。コネクタ92は、一部がハウジング4の内部に収容されており、残部がハウジング4の外部に露出している。コネクタ92は、外部電源を剪定ハサミ2に電気的に接続するためのインターフェースである。コネクタ92には、例えば、外部電源から延びる電力ケーブル(図示せず)が接続される。剪定ハサミ2は、コネクタ92を介して、外部電源から電力供給を受けることができる。
【0040】
制御装置84は、メモリ、CPU等を含む。制御装置84は、操作ユニット26と、表示ユニット32と、電動モータ86と、センサ基板90と、コネクタ92のそれぞれに電気的に接続される。制御装置84は、メモリに記憶された所定のプログラムに沿って、剪定ハサミ2の動作を制御する。例えば、制御装置84は、主電源のオン/オフ状態に応じて、外部電源から電動モータ86への電力供給を許容する状態と遮断する状態を切り換える。また、制御装置84は、主電源のオン/オフ状態等を表示するように、表示ユニット32を制御する。
【0041】
電動モータ86は、例えば、ブラシレスモータである。電動モータ86は、電力が供給されることによって、前後方向に沿って延びるモータシャフト(図示せず)を回転させる。
【0042】
動力伝達機構88は、前述のモータシャフト(図示せず)に連結される遊星歯車機構(図示せず)と、遊星歯車機構に連結されるギアシャフト94を備える。遊星歯車機構は、モータシャフトの回転を減速して、ギアシャフト94に伝達する。ギアシャフト94は、ギアハウジング18の内部に設けられたベアリング(図示せず)によって、前後方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。ギアシャフト94の前部には、ブレードホルダ36の左面に形成されたベベルギア62(図2参照)に対応するベベルギア96が形成されている。ギアシャフト94(ベベルギア96)の一部は、ギアハウジング18の右面に形成された開口部98を介して、ブレードホルダ36のベベルギア62と噛み合っている。ベベルギア62、96は、ギアシャフト94の回転を、ブレードホルダ36および可動刃8の回転に変換する。電動モータ86が駆動されると、モータシャフト、遊星歯車機構、ギアシャフト94、ベベルギア62、96を介して、可動刃8に動力が伝達される。これにより、可動刃8が回動する。
【0043】
図4に示すように、ハウジング4には、トリガレバー10(図1参照)を通過させるためのトリガ貫通孔100が設けられている。トリガ貫通孔100は、ハウジング4の外面に設けられた凹部102の底壁部に形成されている。凹部102およびトリガ貫通孔100は、左側ハウジング14と右側ハウジング16の接続箇所に形成されている。トリガ貫通孔100は、トリガ貫通孔100が設けられている箇所から作業部12に向かう方向(図4の例では前方斜め上方向)に対して、略反対方向(図4の例では後方斜め下方向)に開口している。また、左側ハウジング14は、トリガ貫通孔100が設けられている箇所において、右方に突出する左側シャフト104を備えている。右側ハウジング16は、トリガ貫通孔100が設けられている箇所において、左方に突出する右側シャフト106を備えている。左側シャフト104と右側シャフト106は、左右方向において、互いに対向している。
【0044】
図5に示すように、トリガレバー10は、トリガ貫通孔100(図4参照)の略全体を塞ぐように配置された遮蔽部108を備える。遮蔽部108は、左側シャフト104(図4参照)が挿入される左側凹部110(図8参照)と、右側シャフト106(図4参照)が挿入される右側凹部112を備える。トリガレバー10は、左側シャフト104および右側シャフト106を介して、ハウジング4に回転可能に支持される。本実施例では、トリガレバー10の回転軸を「軸A4」と呼ぶ。また、軸A4の周方向であって、右方から見て時計回りの方向を「時計回り方向」と呼び、右方から見て反時計回りの方向を「反時計回り方向」と呼ぶ。遮蔽部108は、軸A4を中心とした回転体形状(例えば、円柱形状)を有している。遮蔽部108の外径は、5mmから11mmまでの範囲内であって、本実施例では8mm程度である。
【0045】
トリガレバー10は、遮蔽部108から後方下方に延びる操作部114と、遮蔽部108から前方上方に延びるアーム部116と、アーム部116の下面から下方に突出する突出部118をさらに備える。遮蔽部108と、操作部114と、アーム部116と、突出部118は、継ぎ目なく一体的に形成されている。遮蔽部108と、操作部114と、アーム部116と、突出部118は、プラスチックによって形成されている。操作部114は、ハウジング4の外部に配置されている。操作部114は、把持部22を把持する手の人差し指によって操作可能な位置に配置される。操作部114は、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に湾曲した棒形状を有している。操作部114の幅(即ち、左右方向の寸法)は、基端(即ち、遮蔽部108に接続する部分)から先端までの間で略一定となっている。操作部114の厚さ(即ち、上下方向の寸法)は、基端から先端に向かうにつれて増えていく。アーム部116は、ハウジング4の内部に配置されている。アーム部116の右面には、マグネット120が固定されている。突出部118の周囲には、コイルバネ122が取り付けられている。コイルバネ122の上端は、アーム部116の下面に当接している。コイルバネ122の下端は、ハウジング4に設けられたバネ受け面124に当接している。コイルバネ122は、ハウジング4に対してアーム部116を上方に付勢している。換言すれば、コイルバネ122は、ハウジング4に対してトリガレバー10を反時計回り方向に付勢している。なお、図5以外の図面では、簡略化のため、コイルバネ122の図示を省略している。
【0046】
ハウジング4の内部には、トリガレバー10を反時計回り方向に回転させていった時に、アーム部116の上面に当接するストッパ部126が設けられている。トリガレバー10がストッパ部126に当接した状態では、トリガレバー10がそれ以上反時計回り方向に回転することが禁止される。本明細書では、この状態におけるトリガレバー10の位置を「ゼロ位置」と呼ぶ。ユーザがトリガレバー10を操作しない場合、トリガレバー10は、コイルバネ122の付勢力によって、ゼロ位置に保持される。トリガレバー10がゼロ位置にある状態から、ユーザがコイルバネ122の付勢力に抗して操作部114を引き上げると、トリガレバー10は時計回り方向に回転する。トリガレバー10を時計回り方向に回転させていくと、やがて、操作部114の上面がハウジング4の外面に当接する。操作部114の上面がハウジング4の外面に当接した状態では、トリガレバー10がそれ以上時計回り方向に回転することが禁止される。本明細書では、この状態におけるトリガレバー10の位置を「最大引き上げ位置」と呼ぶ。
【0047】
図6には、ゼロ位置にあるトリガレバー10が示される。図7には、最大引き上げ位置にあるトリガレバー10が示される。トリガレバー10の回転移動は、ゼロ位置と最大引き上げ位置の間の範囲内に制限されている。トリガレバー10をゼロ位置から最大引き上げ位置まで回転させた場合のトリガレバー10の回転角度は、10度から40度までの範囲内であり、本実施例では25度である。
【0048】
図4に示すトリガ貫通孔100の周縁部のうち、遮蔽部108(図5参照)の外周面と対向する部分を「対向縁部130」と呼ぶ。対向縁部130のうち、遮蔽部108から見て上側に位置する部分を「上側対向縁部130a」と呼び、遮蔽部108から見て下側に位置する部分を「下側対向縁部130b」と呼ぶ。上側対向縁部130aおよび下側対向縁部130bは、それぞれ軸A4と略平行に延びている。図4では、対向縁部130が、太線で強調して示される。
【0049】
図6図7に示すように、対向縁部130は、遮蔽部108の外周面からわずかに離間している。これにより、対向縁部130と遮蔽部108の外周面の間には、隙間132が設けられる。隙間132は、トリガレバー10のスムーズな回転を許容するために設けられる。本実施例では、遮蔽部108が、軸A4を中心とした回転体形状を有している。このため、対向縁部130と遮蔽部108の外周面の間の隙間132の広さは、トリガレバー10が回転しても、一定に維持される。
【0050】
また、遮蔽部108の外周部分のうち、トリガレバー10がゼロ位置から最大引き上げ位置まで回転する過程でトリガ貫通孔100を介してハウジング4の外部に露出する部分を「露出部128」と呼ぶ。ここでいう「ハウジング4の外部」とは、厳密には「右方から見た時の、上側の隙間132aが最も狭くなる部分から、ハウジング4の外部を通って、下側の隙間132bが最も狭くなる部分に至るまでの範囲」を意味する。図6図7では、露出部128が、太線で強調して示される。軸A4の周方向において露出部128が存在する角度範囲は、100度から160度までの範囲内であって、本実施例では130度である。
【0051】
図8に示すセンサ基板90は、磁気センサである。センサ基板90は、ネジ(図示せず)によって、ギアハウジング18(図3参照)に固定されている。センサ基板90は、前後上下方向に広がっている。センサ基板90は、第1ホール素子134と、第2ホール素子136と、第3ホール素子138を備える。第1ホール素子134は、センサ基板90の下部であって、センサ基板90の左面に配置されている。第2ホール素子136は、第1ホール素子134よりも上方において、センサ基板90の右面に配置されている。第3ホール素子138は、第2ホール素子136よりも上方において、センサ基板90の右面に配置されている。センサ基板90は、第1ホール素子134、第2ホール素子136、および第3ホール素子138によって磁気を検出し、その検出結果を制御装置84に出力する。制御装置84に出力される検出結果は、例えば、磁気の強さや磁界の向きを示す。
【0052】
アーム部116の右面に固定されたマグネット120は、センサ基板90の左面に対向している。トリガレバー10が引き上げ操作されると、マグネット120は、第1ホール素子134の近傍を通過するように移動する。この場合、センサ基板90(特に、第1ホール素子134)で検出される磁気が変動する。制御装置84(図3参照)は、センサ基板90からの出力に基づいて、ハウジング4に対するトリガレバー10の位置、あるいは、トリガレバー10の引き上げ量を特定することができる。
【0053】
ブレードホルダ36の左面には、マグネット140が固定されている。マグネット140は、センサ基板90の右面に対向している。可動刃8が回動すると、ブレードホルダ36も回動するので、センサ基板90に対するマグネット140の位置も変化する。この場合、センサ基板90(特に、第2ホール素子136および第3ホール素子138)で検出される磁気が変動する。制御装置84(図3参照)は、センサ基板90からの出力に基づいて、ハウジング4に対する可動刃8の位置、あるいは、可動刃8の回動量を特定することができる。
【0054】
(剪定ハサミ2の通常モード)
以下では、通常時の剪定ハサミ2の動作について説明する。ここでいう通常時とは、例えば、ユーザが剪定ハサミ2を用いて切断作業を行う時である。本実施例では、この時の剪定ハサミ2の動作モードを、通常モードと呼ぶ。
【0055】
図3に示すように、トリガレバー10がゼロ位置にある場合、制御装置84は、可動刃8を固定刃6に対して開いた位置(開位置とも呼ぶ。)で保持するように、電動モータ86を駆動する。この状態から、トリガレバー10が引き上げ操作されると、制御装置84は、トリガレバー10の引き上げ量に応じて可動刃8が固定刃6に対して閉じていくように、電動モータ86を駆動する。具体的には、制御装置84は、トリガレバー10の引き上げ量に応じた回動量だけ、可動刃8を固定刃6に対して回動させる。図9に示すように、トリガレバー10が最大引き上げ位置にある場合、可動刃8が固定刃6に対して閉じた位置(閉位置とも呼ぶ。)に保持される。この状態から、トリガレバー10への引き上げ操作が解除されると、制御装置84は、可動刃8を開位置に戻すように、電動モータ86を駆動する。通常モードでは、ユーザは、トリガレバー10への引き上げ操作を行うことで、剪定ハサミ2に切断動作を実行させることができる。
【0056】
制御装置84は、調整スイッチ30への第1の操作(例えば、短押し操作)に応じて、可動刃8の開位置を、第1開位置と、第1開位置よりも閉じた位置にある第2開位置との間で切り換える。ユーザは、この機能を利用することにより、被切断物の太さに応じて、適した開位置を選択することができる。なお、開位置は、第1開位置および第2開位置に限らず、その他の位置に切り換えられてもよい。
【0057】
(剪定ハサミ2の切り込み深さ微調整モード)
制御装置84は、調整スイッチ30への第2の操作(長押し操作)がされると、剪定ハサミ2の動作モードを、固定刃6と可動刃8による切り込み深さを微調整するための切り込み深さ微調整モードに切り換える。ここでいう切り込み深さとは、可動刃8が閉位置にある時に固定刃6と可動刃8が重なり合う部分の幅を意味する。切り込み深さが浅いと、固定刃6と可動刃8によって被切断物を完全に切断できないおそれがある。図示しないが、切り込み深さ微調整モードでは、制御装置84は、トリガレバー10がゼロ位置から引き上げ操作される度に、切り込み深さを深くしていく。制御装置84は、ゼロ位置からのトリガレバー10の引き上げ操作が所定回数行われると、切り込み深さを元の深さに戻す。切り込み深さ微調整モードでは、ユーザは、トリガレバー10への引き上げ操作を行うことで、切り込み深さを適切な深さに調整することができる。なお、調整スイッチ30への第3の操作(短押しまたは長押し)がされると、制御装置84は、剪定ハサミ2の動作モードを通常モードに切り換える。
【0058】
(変形例)
トリガレバー10の近傍の構成は、剪定ハサミ2に限らず、他の態様の作業機に適用されてもよい。ここでいう他の態様の作業機とは、例えば、草刈り機、シャー、リベッター、またはグラインダであってもよい。
【0059】
作業機は、ユーザが片手で把持して持ち運び可能なハンディタイプのものに限られない。作業機は、ユーザが片手で把持して持ち運ぶことが困難なものであってもよい。
【0060】
作業機には、再充電可能な電池パックを取り付け可能であってもよい。この場合、作業機は、電池パックから供給される電力によって動作してもよい。
【0061】
作業機は、電動モータ86の代わりに、ブラシレスモータ以外の原動機(例えば、ブラシ付きモータ、エンジン)を備えてもよい。
【0062】
遮蔽部108は、円柱形状以外の回転体形状を有していてもよい。例えば、遮蔽部108は、円錐台形状を有していてもよい。
【0063】
操作部114は、棒形状以外の形状を有していてもよい。例えば、操作部114は、回転軸の周方向に関して厚みを持たせた形状を有してもよい。この場合、操作部114は、トリガ貫通孔100を介して、ハウジング4の内部と外部に跨っていてもよい。ただし、この構成では、遮蔽部108の外周面に対向する対向縁部130は、1箇所しか存在しない。
【0064】
遮蔽部108は、トリガ貫通孔100の略全体を塞ぐように配置されていなくてもよい。即ち、遮蔽部108は、トリガ貫通孔100の一部を塞ぐように配置されていてもよい。
【0065】
トリガ貫通孔100の開口方向は、適宜変更されてもよい。例えば、トリガ貫通孔100は、トリガ貫通孔100が設けられている箇所から作業部12に向かう方向に開口していてもよい。
【0066】
左側シャフト104および右側シャフト106は、ハウジング4とは別体であってもよい。この場合、左側シャフト104および右側シャフト106は、それぞれ、左側凹部110および右側凹部112に挿入された状態で、ハウジング4に支持されてもよい。これにより、トリガレバー10が、ハウジング4に対して回転可能となっていてもよい。
【0067】
遮蔽部108は、左側凹部110および右側凹部112を備える代わりに、遮蔽部108の内部を左右方向に沿って通過する貫通孔を備えてもよい。左側シャフト104は、遮蔽部108の左方から、この貫通孔に挿入されていてもよい。右側シャフト106は、遮蔽部108の右方から、この貫通孔に挿入されていてもよい。これらにより、トリガレバー10が、ハウジング4に対して回転可能となっていてもよい。また、左側シャフト104および右側シャフト106は、上記の貫通孔を通過する1本のシャフトに置き換えられてもよい。この場合、遮蔽部108の左面および右面のそれぞれが、トリガ貫通孔100の周縁部に当接していてもよい。これにより、ハウジング4に対してトリガレバー10が左右方向に移動することが、禁止されていてもよい。
【0068】
作業機は、センサ基板90の代わりに、マイクロスイッチを備えてもよい。マイクロスイッチは、トリガレバー10を時計回り方向に回転させていった時に、トリガレバー10のアーム部116によって押圧される位置に配置されてもよい。制御装置84は、マイクロスイッチからの出力に基づいて、トリガレバー10が引き上げ操作されたか否かを判断してもよい。
【0069】
作業機は、センサ基板90およびマイクロスイッチ以外のセンサ(例えば、フォトセンサ)を備えてもよい。
【0070】
トリガレバー10をゼロ位置から最大引き上げ位置まで回転させた場合のトリガレバー10の回転角度は、10度未満であってもよいし、40度超であってもよい。
【0071】
軸A4の周方向において露出部128が存在する角度範囲は、100度未満であってもよいし、130度超であってもよい。
【0072】
(実施例の特徴)
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、剪定ハサミ2(作業機の例)は、作業部12と、作業部12を動作させる電動モータ86(原動機の例)と、作業部12を保持するとともに、電動モータ86を収容するハウジング4と、ハウジング4に形成されたトリガ貫通孔100(貫通孔の例)を介してハウジング4の内部と外部に跨っており、ユーザによって操作されるトリガレバー10と、ハウジング4の内部に配置されており、トリガレバー10のうちハウジング4の内部に存在する部分の動きを検出するセンサ基板90(センサの例)と、センサ基板90での検出結果に応じて電動モータ86を制御する制御装置84(制御部の例)と、を備える。トリガレバー10は、ハウジング4に対して、左側シャフト104および右側シャフト106(回転シャフトの例)を介して回転可能に支持される。トリガレバー10は、軸A4(トリガレバーの回転軸の例)を中心とした回転体形状を有する遮蔽部108を備える。トリガ貫通孔100の周縁部は、遮蔽部108の外周面と対向する対向縁部130を含む。
【0073】
トリガレバー10はハウジング4に対して様々な姿勢を取り得る。トリガレバー10の姿勢に依っては、トリガ貫通孔100の周縁部とトリガレバー10の間に設けられる隙間が拡大してしまうことも予想される。仮にトリガ貫通孔100の周縁部とトリガレバー10の間に設けられる隙間が拡大すると、異物がハウジング4の内部に侵入しやすくなってしまう。上記の構成によれば、遮蔽部108がトリガレバー10の回転軸を中心とした回転体形状を有するので、トリガレバー10が回転しても、遮蔽部108の外周面と対向縁部130の間の距離は一定に維持される。このため、トリガ貫通孔100の周縁部とトリガレバー10の間に設けられる隙間のうち、少なくとも遮蔽部108の外周面と対向縁部130の間に設けられる隙間132については、トリガレバー10の姿勢に依らず、狭い状態を保つことができる。従って、異物がハウジング4の内部に侵入することを抑制できる。
【0074】
1つまたはそれ以上の実施形態において、遮蔽部108は、トリガ貫通孔100の略全体を塞ぐように配置される。トリガレバー10は、遮蔽部108から延びており、ハウジング4の外部に配置されており、ユーザによって操作される操作部114と、遮蔽部108から延びており、ハウジング4の内部に配置されており、センサ基板90によって検出されるアーム部116およびマグネット120(検出部の例)と、をさらに備える。操作部114は、棒形状を有する。
【0075】
上記の構成によれば、遮蔽部108がトリガ貫通孔100の略全体を塞ぐように配置される。この場合、遮蔽部108の外周面に対向する対向縁部130(上側対向縁部130aと下側対向縁部130b)は、遮蔽部108の外周面を挟み込むように、2箇所に存在する。このため、トリガレバー10の姿勢に依らず狭い状態に保たれる隙間132(上側の隙間132aと下側の隙間132b)が2箇所に存在する。従って、比較的広範囲にわたって、異物がハウジング4の内部に侵入することを抑制できる。
【0076】
1つまたはそれ以上の実施形態において、トリガ貫通孔100は、トリガ貫通孔100が設けられている箇所から作業部12に向かう方向に対して、略反対方向に開口している。
【0077】
作業部12を動作させると、作業部12の近傍において、塵などの異物が飛散することが予想される。このため、仮にトリガ貫通孔100が作業部12に向けて開口していると、作業部12の動作に伴って飛散した異物が、ハウジング4の内部に侵入するおそれがある。上記の構成によれば、トリガ貫通孔100は、作業部12が設けられている箇所から作業部12に向かう方向とは略反対方向に開口している。このため、作業部12の動作に伴って飛散した異物がハウジング4の内部に侵入することを抑制できる。
【0078】
1つまたはそれ以上の実施形態において、センサは、磁気センサ(磁気センサおよびマイクロスイッチのうち少なくとも一つの例)を含む。
【0079】
上記の構成によれば、汎用的なセンサが用いられるので、剪定ハサミ2の構成を簡素なものにできる。
【0080】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジング4に対するトリガレバー10の回転移動は、所定の可動範囲内に制限されている。トリガレバー10がゼロ位置(可動範囲の一端の例)から最大引き上げ位置(可動範囲の他端)まで回転する場合のトリガレバー10の回転角度は、45度未満である。
【0081】
ハウジング4に対するトリガレバー10の可動範囲が過度に大きいと、ユーザにとって、トリガレバー10の操作が煩わしいものとなってしまう。上記の構成によれば、ハウジング4に対するトリガレバー10の可動範囲が適度な大きさに制限される。このため、ユーザがトリガレバー10を操作する際に感じる煩わしさを低減できる。
【0082】
1つまたはそれ以上の実施形態において、遮蔽部108は、トリガ貫通孔100の略全体を塞ぐように配置される。トリガレバー10は、遮蔽部108から延びており、ハウジング4の外部に配置されており、ユーザによって操作される操作部114と、遮蔽部108から延びており、ハウジング4の内部に配置されており、センサ基板90によって検出されるアーム部116およびマグネット120と、をさらに備える。操作部114は、棒形状を有する。ハウジング4に対するトリガレバー10の回転移動は、所定の可動範囲内に制限されている。遮蔽部108の外周部分のうち、トリガレバー10がゼロ位置から最大引き上げ位置まで回転する過程でトリガ貫通孔100を介してハウジング4の外部に露出する部分を露出部128とした時、軸A4の周方向において露出部128が存在する角度範囲は、90度以上である。
【0083】
ハウジング4の内部において遮蔽部108が占有するスペースが大きいと、ハウジング4が大型化してしまう。上記の構成によれば、遮蔽部108の大部分をハウジング4の外部に露出させることができる。このため、ハウジング4の内部において遮蔽部108が占有するスペースを小さくすることができる。その結果、ハウジング4を小型化することができる。
【0084】
1つまたはそれ以上の実施形態において、作業部12は、被切断物を切断する切断作業を実行するように構成される。
【0085】
上記の構成では、作業部12による切断作業に伴って、粉塵が生じ得る。このため、剪定ハサミ2が使用される環境において、ハウジング4の内部に侵入し得る異物が比較的多く存在すると考えられる。従って、上記の構成によれば、異物がハウジング4の内部に侵入することを抑制する効果が、顕著に発揮される。
【0086】
1つまたはそれ以上の実施形態において、剪定ハサミ2は、ユーザが片手で持ち運び可能なハンディタイプの作業機であってもよい。
【0087】
上記の構成によれば、ユーザにとって、剪定ハサミ2の取り回しが容易になる。
【符号の説明】
【0088】
2 :剪定ハサミ
4 :ハウジング
6 :固定刃
8 :可動刃
10 :トリガレバー
12 :作業部
14 :左側ハウジング
16 :右側ハウジング
18 :ギアハウジング
20 :カバーハウジング
22 :把持部
24 :保護部
26 :操作ユニット
28 :電源スイッチ
30 :調整スイッチ
32 :表示ユニット
34 :共締めボルト
36 :ブレードホルダ
38 :連結ピン
40 :共締めナット
42 :ロックネジ
44 :ロックプレート
46 :Oリング
48 :雄ネジ
50 :嵌合部
52 :円柱部
54 :嵌合孔
56 :第1貫通孔
58 :第2貫通孔
60 :第1円筒部
62 :ベベルギア
64 :第3貫通孔
66 :第4貫通孔
68 :第5貫通孔
70 :第6貫通孔
72 :第2円筒部
74 :雌ネジ
76 :雌ネジ
78 :雄ネジ
80 :第7貫通孔
82 :複数の歯部
84 :制御装置
86 :電動モータ
88 :動力伝達機構
90 :センサ基板
92 :コネクタ
94 :ギアシャフト
96 :ベベルギア
98 :開口部
100 :トリガ貫通孔
102 :凹部
104 :左側シャフト
106 :右側シャフト
108 :遮蔽部
110 :左側凹部
112 :右側凹部
114 :操作部
116 :アーム部
118 :突出部
120 :マグネット
122 :コイルバネ
124 :バネ受け面
126 :ストッパ部
128 :露出部
130、130a、130b :対向縁部
132、132a、132b :隙間
134 :第1ホール素子
136 :第2ホール素子
138 :第3ホール素子
140 :マグネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9