(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165758
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】シリンジ用ガスケット、および、これを用いたプレフィラブルシリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A61M5/315 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082239
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】阪下 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】藤本 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066HH14
(57)【要約】
【課題】初期摺動抵抗値の低いシリンジ用ガスケットを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のシリンジ用ガスケットは、弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、前記シリンジ用ガスケットは、先端側の側面に位置する第1環状突起を有し、前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmであることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、
前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、
前記シリンジ用ガスケットは、側面の先端側に位置する第1環状突起を有し、
前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記円環状平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmであることを特徴とするシリンジ用ガスケット。
【請求項2】
前記円環状平坦面とテーパ面とのなす角度が、30度~60度である請求項1に記載のシリンジ用ガスケット。
【請求項3】
先端側に平坦な天面を有し、前記天面と前記第1環状突起の円環状平坦面とが同一平面を形成している請求項1に記載のシリンジ用ガスケット。
【請求項4】
第1環状突起の後端側に少なくとも1つの環状突起を有する請求項1に記載のシリンジ用ガスケット。
【請求項5】
側面にシリコーン系潤滑剤が塗布されている請求項1に記載のシリンジ用ガスケット。
【請求項6】
シリンジバレルと、
前記シリンジバレルに挿入された請求項1~5のいずれか一項に記載のシリンジ用ガスケットと、
前記シリンジ用ガスケットに装着可能なプランジャーとを有し、前記シリンジ用ガスケットの側面、または、シリンジバレルの内面の少なくとも一方にシリコーン系潤滑剤が塗布されていることを特徴とするプレフィラブルシリンジ。
【請求項7】
前記シリンジバレルは、樹脂製である請求項6に記載のプレフィラブルシリンジ。
【請求項8】
シリンジバレルの内径に対する第1環状突起の圧縮率が8%以下である請求項6に記載のプレフィラブルシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ用ガスケットの摺動性の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤取り違え、院内感染防止、廃棄性、病院業務の効率などの理由から薬剤を予め充填したプレフィルドシリンジが使用されている。プレフィルドシリンジに拘わらずシリンジは、一般に、バレルと、バレル内を気密的・液密的に摺動し得るガスケットと、このガスケットを移動操作するプランジャーとで構成されている。シリンジに使用されるガスケットは、密封性(気密性、液密性)のみならず、薬剤を円滑に投与するために、高摺動性(例えば、低初期摺動抵抗や低経時摺動抵抗)を有することも求められている。
【0003】
特許文献1には、先端にノズル部と基端に開口部を有する外筒と、当該外筒内を摺動するガスケットと、当該開口部を通り当該ガスケットに接続された押子と、当該外筒内に当該ガスケットにより密封されて収納されている薬液とからなるプレフィルドシリンジにおいて、当該開口部の周縁には当該外筒の外方向に延びるフランジを有し、当該フランジには移動可能なストッパーが設けられており、当該押子の当該開口部から当該外筒の外に延びている部分には係止部が設けられているものであって、当該押子を介して当該ガスケットを先端方向に移動させ、当該ノズルから当該薬液中に存在する気泡および前記薬液の余剰量が排出された位置で当該係止部が当該ストッパーに係止されることで当該ガスケットが停止することを特徴とするプレフィルドシリンジが開示されている。
【0004】
特許文献2には、シリンジの外筒内を液密に摺動可能に接触するよう形成されたガスケットであって、該ガスケットは、弾性体からなるガスケット本体と、少なくとも前記シリンジと接触する部分に設けられた被覆層とを備え、該被覆層は、末端シラノール基を有する反応性シリコーンの縮合物からなり前記シラノール基に由来するシロキサン結合を有するシリコーン系樹脂を含有する組成物からなるとともに固体微粒子を含まないことを特徴とするシリンジ用ガスケットが開示されている。
【0005】
特許文献3には、注射器のピストン用ゴムとして好適に使用されるゴム製品であって、ブチル系ゴム100重量部に対し、平均粒径が1~5μmのフッ素樹脂微粉末を10~80重量部含有したゴム組成物を構成部品とし、キャスティング法により成形したフッ素樹脂フィルムを表面にラミネートした高浸透性液体密封用ゴム製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-014619号公報
【特許文献2】再表2009-084646号公報
【特許文献3】特開2007-054621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、シリコーンオイルのような潤滑剤をガスケット本体の外周面またはシリンジバレルの内面に塗布することで、シリンジ内でのガスケットの摺動性を向上させることが行われている。しかし、ガスケットが挿入されたシリンジを長時間保管していると、潤滑剤が、ガスケットの圧縮部(例えば、ガスケット本体の外周面の環状突起)から移動して、圧縮部における潤滑剤の量が少なくなるという現象が起こる。そのため、ガスケットの圧縮部が、シリンジバレルの内面に固着し、初期摺動抵抗値が高くなるという問題があった。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、初期摺動抵抗値が低いシリンジ用ガスケットおよびこれを用いたシリンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシリンジ用ガスケットは、弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、前記シリンジ用ガスケットは、側面の先端側に位置する第1環状突起を有し、前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記円環状平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmであることを特徴とする。本発明のシリンジ用ガスケットは、シリンジバレルと摺動する第1環状突起の湾曲面の曲率半径を小さくすることで、シリンジバレルに対する第1環状突起の圧縮力が高くなり、潤滑剤が第1環状突起から移動しにくくなる。その結果、打栓保管後に初期摺動抵抗値が高くなることが抑制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリンジ用ガスケットは、初期摺動抵抗値が低い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシリンジ用ガスケットの正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るシリンジ用ガスケットの平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシリンジ用ガスケットの断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るシリンジ用ガスケットの第1環状突起を示す拡大図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係るシリンジ用ガスケットの正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るプレフィラブルシリンジの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のシリンジ用ガスケットは、弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、前記シリンジ用ガスケットは、側面の先端側に位置する第1環状突起を有し、前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記円環状平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmであることを特徴とする。
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明を説明するが、本発明は図面に示された態様に限定されるものではない。
【0013】
<シリンジ用ガスケット>
図1は、本発明の一実施形態に係るシリンジ用ガスケット1(以下、単に「ガスケット1」と称することがある。)の正面図である。
図2は、
図1のシリンジ用ガスケット1の平面図である。
図3は、
図2のA-A線における断面図である。
【0014】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、円柱部3の周面に環状突起5(5a,5b)を有する略円柱状の形態を有している。前記シリンジ用ガスケット1は、シリンジバレルに挿入する先端側7とプランジャーに接続される後端側9とを有している。なお、先端側7を遠位端側、後端側9を近位端側という場合がある。シリンジ用ガスケット1は、先端側に天面22を有し、シリンジバレルに挿入したときにシリンジバレルの内面と対向する側面4を有する。シリンジ用ガスケット1の側面4は、円柱部3の周面と環状突起5の側面を含む。
【0015】
シリンジ用ガスケット1の円柱部3の直径R0は、11mm以上であることが好ましく、12mm以上であることがより好ましく、13mm以上であることがさらに好ましく、15mm以下であることが好ましく、14mm以下であることがより好ましい。
【0016】
シリンジ用ガスケット1の円柱部3の高さH0は、7.0mm以上であることが好ましく、7.5mm以上であることがより好ましく、8.0mm以上であることがさらに好ましく、10.0mm以下であることが好ましく、9.5mm以下であることがより好ましく、9.0mm以下であることがさらに好ましい。
【0017】
前記シリンジ用ガスケット1は、側面4の先端側7に位置する第1環状突起5aを有する。前記第1環状突起5aは、円柱部3の周面から外方に突出し、シリンジ用ガスケット1をシリンジバレル内に挿入したときに、前記第1環状突起5aがシリンジバレルの内面を摺動する。前記第1環状突起5aは、ガスケット1の円柱部3の円周方向に延びる環状構造を有している。
【0018】
図4は、
図3の第1環状突起5aの拡大断面図である。前記第1環状突起5aは、ガスケット本体の中心軸15に対して垂直な円環状平坦面17と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面19と、前記円環状平坦面17とテーパ面19とを繋ぐ湾曲面21とを有している。
【0019】
前記テーパ面19は、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径する面である。前記テーパ面19は、湾曲していてもよいし、平坦であってもよい。前記テーパ面19は平坦部を有する面であることが好ましい。すなわち、テーパ面19は、円柱部3の周面からなだらかに立ち上がる基端部19aとこの基端部19aに連続する平坦部19bとを有し、ガスケット本体1の先端側から後端側に向かって縮径するように構成されていることが好ましい。テーパ面19の平坦部19bの端部が、第1環状突起5aの湾曲面21に繋がる。
【0020】
前記円環状平坦面17とテーパ面19とのなす角度αは、30度以上であることが好ましく、35度以上であることがより好ましく、40度以上であることがさらに好ましく、60度以下であることが好ましく、55度以下であることがより好ましく、50度以下であることがさらに好ましい。前記円環状平坦面17とテーパ面19とのなす角度が、前記範囲内であれば、シールラインが適切となるからである。なお、前記円環状平坦面17とテーパ面19とのなす角度αは、前記円環状平坦面17とテーパ面19が有する平坦部19bとの角度である。
【0021】
前記湾曲面21は、シリンジの内面に向かって凸状に曲面している面であれば、特に限定されず、平坦な面を有さないことが好ましい。
【0022】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、前記湾曲面21の曲率半径(R)が、0.05mm以上であることが好ましく、0.15mm以下であることが好ましく、0.14mm以下であることがより好ましく、0.13mm以下であることがさらに好ましい。本発明のシリンジ用ガスケット1の第1環状突起5aの湾曲面21の曲率半径(R)が0.15mm以下であれば、シリンジバレルに対する第1環状突起の圧縮力が高くなり、潤滑剤が第1環状突起から移動しにくくなる。その結果、打栓保管後に初期摺動抵抗値が高くなることが抑制される。また、本発明のシリンジ用ガスケット1の第1環状突起5aの湾曲面21の曲率半径(R)が0.05mm以上であれば、シール性を確保することができる。
【0023】
前記第1環状突起5aの外径R1は、15.3mm以上であることが好ましく、15.35mm以上であることがより好ましく、15.4mm以上であることがさらに好ましく、15.8mm以下であることが好ましく、15.75mm以下であることがより好ましく、15.7mm以下であることがさらに好ましい。
【0024】
前記円環状平坦面17の幅は、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。
【0025】
前記第1環状突起5aの中心軸方向の高さH1は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましく、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。第1環状突起5aの中心軸方向の高さH1が前記範囲内であれば、摺動性と気密性とのバランスがより向上するからである。なお、第1環状突起5aの中心軸方向の高さH1は、テーパ面19が、ガスケット1の円柱部3の周面から立ち上がる起点から円環状平坦面17までの中心軸方向の距離である。
【0026】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、第1環状突起5aよりも後端側の側面に少なくとも1つ環状突起を有することが好ましい。前記後端側の環状突起は、シリンジ用ガスケット1の円柱部3の周面から外方に突出し、シリンジ用ガスケット1をシリンジバレル内に挿入したときに、前記環状突起がシリンジバレルの内面を摺動する。前記後端側の環状突起は、ガスケットの円柱部の円周方向に延びる環状構造を有していることが好ましい。
【0027】
図1、3、5で示されているように、本発明のシリンジ用ガスケット1は、第1環状突起5aの後端側に第2環状突起5bを有していることが好ましい。
【0028】
前記第2環状突起5bの中心軸方向の高さH2は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましく、5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。第1環状突起5bの中心軸方向の高さH2が前記範囲内であれば、摺動性と気密性とのバランスが一層向上するからである。なお、第2環状突起5bの中心軸方向の高さH2は、第2環状突起5bが、ガスケット1の円柱部3の周面から立ち上がる両起点間の中心軸方向の距離である。
【0029】
前記第2環状突起5bの外径R
2は、15.0mm以上であることが好ましく、15.1mm以上であることがより好ましく、15.2mm以上であることがさらに好ましく、15.3mm以上であることが特に好ましく、15.8mm以下であることが好ましく、15.7mm以下であることがより好ましく、15.6mm以下であることがさらに好ましい。なお、第2環状突起5bの外径R
2は、
図1、3、5において、第2環状突起5bの左右両頂点間の径方向の距離である。
【0030】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、先端側7に天面22を有し、後端側9には、プランジャーを挿入するための凹部23を有することが好ましい。前記凹部は、プランジャーのヘッドが挿入される略円筒状の空間である。凹部23の内周面には、プランジャーのヘッド部と羅合するねじが形成されていることが好ましい。
【0031】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、先端側7に天面22を有する。シリンジ用ガスケット1をシリンジバレルに挿入したときに、天面22は、薬剤との接液部になる。天面22は、
図2に示されるように、平面視において円形であることが好ましい。第1環状突起5aの円環状平坦面17は、前記天面22の周縁を構成していることが好ましい。
【0032】
本発明のシリンジ用ガスケット1の天面22は、
図1および
図3に示されるように、ガスケットの中心軸15に対して垂直な平坦な面であることが好ましい。前記天面22と第1環状突起5aの円環状平坦面17とは、同一平面を構成していることがより好ましい。
第1環状突起5aの円環状平坦面17は、前記天面22の周縁を構成している。
【0033】
図5は、本発明の別の好ましい実施形態を示す断面図である。
図5に示すように、天面22の形状は、例えば、軸中心部が突出する鈍角の山形形状(例えば、先端側に凸状の円錐型形状あるいは角錐形状)であってもよい。この態様においても、第1環状突起5aの円環状平坦面17は、前記天面22の周縁を構成している。
【0034】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、弾性体から構成される。前記弾性体を構成する材料は、弾性を付与する材料であれば特に限定されず、例えば、天然ゴムおよびブチルゴム、塩素化ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ネオプレンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム等の各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの弾性材料は、単独でも複数の成分をブレンドして使用することもできる。これらのなかでも、非溶出特性に優れるという観点から、弾性体を構成する材料は、ハロゲン化ブチルゴムが好ましく、塩素化ブチルゴムまたは臭素化ブチルゴムであることがより好ましい。
【0035】
本発明のシリンジ用ガスケット1は、側面4に設けられた環状突起5に不活性樹脂フィルムが積層されていないことが好ましく、側面4の全体に不活性樹脂フィルムが積層されていないことが好ましい。摺動性を高めるために、ガスケット本体の側面にフッ素系樹脂等の不活性樹脂フィルムが積層される場合がある。しかしながら、剛性が高い不活性樹脂フィルムは、摺動時にしわなどを発生させて液密性を低下させる場合があるからである。
【0036】
本発明のガスケット1は、天面22に不活性樹脂フィルムが積層されていることが好ましい。天面22に不活性樹脂フィルムを積層することにより、ガスケット1を構成する成分が、シリンジバレル内の薬剤に混入し、薬剤を汚染又は変質させることを防ぐことができる。
【0037】
本発明で使用する不活性樹脂フィルムとは、シリンジ内に充填される薬剤に対して不活性な樹脂材料から形成されるフィルムである。前記不活性樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0038】
前記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロテトラフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)などが挙げられる。また、医療用器具の滅菌法として、蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、ガンマ線滅菌が行われるが、PTFEはガンマ線に対する耐性が低い。よって、ガンマ線滅菌に対する耐性が高いETFE、変性ETFE、PCTFEが特に好ましい。
【0039】
ここで、ETFEとは、エチレンとテトラフルオロエチレンを30/70~70/30のモル比で共重合したものであり、改質目的でさらに他の成分を共重合した変性ETFEがある。他の成分としては、フッ素含有オレフィンや炭化水素系オレフィンが挙げられる。具体的には、プロピレン、ブテンなどのα-オレフィン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、パーフルオロブチルエチレン、トリフルオロクロロエチレンなどの含フッ素オレフィン、エチレンビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、含フッ素アクリレート類などがあり、2~10モル%程度共重合されて、ETFEを改質する。
【0040】
変性ETFEとしては、接着性を付与する官能基を有するETFEを好適に使用することができる。前記官能基としては、例えば、カルボキシル基、無水カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、アミノ基、シアノ基、炭素-炭素二重結合、スルホン酸基、エーテル基などが挙げられる。
【0041】
前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tなどが挙げられる。
【0042】
前記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンの共重合体等が挙げられる。
【0043】
前記不活性樹脂フィルムは、天面22を構成する材料との接着性を高める処理を行ってもよい。接着性を高める処理としては、化学処理法、フィルムの表面を粗面化する処理や、これらを組み合わせたものが挙げられ、具体例としては、ナトリウム処理、グロー放電処理、大気圧下又は真空下でのプラズマ処理(放電処理)、エキシマレーザー処理(放電処理)、イオンビーム処理などが挙げられる。
【0044】
不活性樹脂フィルムは、天面22の少なくとも一部を被覆するように積層されていることが好ましく、天面22の面積の50%以上を被覆するように積層されていることがより好ましく、天面22の全面を被覆するように積層されることがさらに好ましい。
【0045】
天面22に積層される不活性樹脂フィルムの厚みは、特に限定されないが、25μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましく、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。不活性樹脂フィルムの厚みが25μm以上であれば、ガスケット成型時のフィルム破れが発生しにくくなり、150μm以下であれば、成型品の寸法安定性が良好となり、不必要なコスト増加もない。
【0046】
本発明のシリンジ用ガスケットは、例えば、下記の方法により製造することができる。
【0047】
密封式混練機、オープンロール混練機などを用いて、所定配合比で配合材料を混練した混練物を、カレンダーまたはシート成型機で弾性体からなるシート(未加硫ゴムシートまたは熱可塑性エラストマーシート)を作製する。次に、必要に応じて、弾性体からなるシートに不活性樹脂フィルムを積層して、金型に置き、真空プレスで加熱圧縮を行う。加熱圧縮により、不活性樹脂フィルムと弾性体からなるシートとの加硫接着および成形が行われる。弾性体からなるシートの加熱圧縮により、ガスケットの形状が複数成形された成形シートが得られる。この成形シートから、ガスケットを打ち抜くことにより、ガスケットの成形品が得られる。
【0048】
成型条件は特に限定されず、適宜設定すればよいが、成型温度は、好ましくは150℃~200℃、より好ましくは165℃~180℃であり、成型時間は、好ましくは1分間~20分間、より好ましくは3~15分間、さらに好ましくは5分間~10分間である。
【0049】
この後、ガスケットの成型品から不要部分を切断・除去した後、洗浄、滅菌、乾燥および外観検査を行うことにより、ガスケットの完成品を得ることができる。
【0050】
本発明のシリンジ用ガスケットは、少なくとも第1環状突起の側面にシリコーン系潤滑剤が塗布されていることが好ましく、シリンジ用ガスケットの側面全体にシリコーン系潤滑剤が塗布されていることがより好ましい。また、シリンジ用ガスケットの全面にシリコーン系潤滑剤が塗布されていてもよい。
【0051】
<プレフィラブルシリンジ、プレフィルドシリンジ>
本発明には、プレフィラブルシリンジおよびプレフィルドシリンジが含まれる。
【0052】
本発明のプレフィラブルシリンジには、シリンジバレルと、シリンジバレルに挿入された本発明のシリンジ用ガスケットと、シリンジ用ガスケットに装着可能なプランジャーとを有し、シリンジ用ガスケットの側面、または、シリンジバレルの内面の少なくとも一方にシリコーン系潤滑剤が塗布されている。なお、本発明のプレフィラブルシリンジは、シリンジバレル内に薬剤が充填される前のシリンジであって、薬剤が充填されることによりプレフィルドシリンジとして使用されるシリンジである。
【0053】
本発明のプレフィルドシリンジは、シリンジバレルと、シリンジバレルに挿入された本発明のシリンジ用ガスケットと、シリンジ用ガスケットに装着可能なプランジャーとを有し、シリンジ用ガスケットの側面、または、シリンジバレルの内面の少なくとも一方にシリコーン系潤滑剤が塗布され、シリンジバレル内に薬剤が充填されている。
【0054】
図6は、本発明のプレフィラブルシリンジ10の一実施形態を示す説明図である。シリンジバレル25およびシリンジ用ガスケット1およびシールキャップ37は、半分が断面で表わされている。プレフィラブルシリンジ10は、円筒形状のシリンジバレル25と、シリンジバレル25と組み合わされ、シリンジバレル内を往復移動し得るプランジャー27と、プランジャー27の先端に装着されるシリンジ用ガスケット1とを含んでいる。シリンジ用ガスケット1の天面には、不活性樹脂フィルムが積層されていてもよい。プレフィラブルシリンジ10は、薬剤を密封するシールキャップ37を有することが好ましい。
【0055】
プランジャー27は、例えば、横断面が十文字状の樹脂製板片で構成され、その先端部にはシリンジ用ガスケット1が取り付けられるヘッド部29が備えられている。ヘッド部29は、プランジャー27と一体に形成された樹脂製で、雄ねじ形状に加工されている。シリンジ用ガスケット1は、短軸の略円柱形状で、後端側から軸方向に彫り込まれた雌ねじ形状の嵌合凹部23が形成されている。プランジャー27のヘッド部29が、シリンジ用ガスケット1の嵌合凹部23にねじ込まれることにより、プランジャー27の先端にシリンジ用ガスケット1が装着される。
【0056】
前記シリンジバレル25は、円筒状本体部31と、前記円筒状本体部31の先端側に設けられたノズル33と、本体部31の後端側に設けられたフランジ部35とを有することが好ましい。ノズル33には、薬剤を密封するためのシールキャップ37が装着される。
【0057】
前記シリンジバレル25の材質は、特に限定されないが、透明もしくは半透明で、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料で形成されることが好ましい。前記シリンジバレルの材料としては、ガラス、金属、樹脂などが挙げられる。ガラスとしてはホウケイ酸ガラスを挙げることができる。金属としては、ステンレスまたはアルミを挙げることができる。
【0058】
本発明では、前記シリンジバレル25は、樹脂で形成されることが好ましい。前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルペンテン-1)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリアレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、非晶性ポリエーテルイミドなどが挙げられる。これらの樹脂材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明で使用するシリンジバレルは、環状ポリオレフィン製であることが好ましい。
【0059】
シリンジバレル25の容量は、特に限定されないが、3mL以上が好ましく、5mL以上がより好ましく、10mL以上がさらに好ましく、100mL以下が好ましく、50mL以下がより好ましく、20mL以下がさらに好ましい。本発明のシリンジ用ガスケットは、容量が3mL~100mLのシリンジバレルに好適に使用できる。
【0060】
シリンジバレル25の内径は、8.5mm以上が好ましく、11.7mm以上がより好ましく、14.1mm以上がさらに好ましく、32.2mm以下が好ましく、29.3mm以下がより好ましく、19.1mm以下がさらに好ましい。本発明のシリンジ用ガスケット1は、内径が8.5mm~32.2mmのシリンジバレル25に好適に使用できる。
【0061】
本発明のシリンジ用ガスケットの第1環状突起5aは、シリンジバレルの内径に対する第1環状突起の圧縮率が、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。前記圧縮率が8%以下であれば、ガスケット1の初期摺動抵抗値をより低くすることができる。また、前記圧縮率は、特に限定されないが、3%以上であることが好ましく、3.5%以上であることがより好ましい。前記圧縮率が3%以上であれば、ガスケット1の液密性がより高くなる。前記第1環状突起5aの圧縮率は、第1環状突起の外径R1とシリンジバレル25の内径(r)から以下のように算出することができる。
圧縮率(%)=100%×(R1-r)/R1
【0062】
本発明のシリンジ用ガスケット1が、第2環状突起5bを有する場合、シリンジバレル25の内径に対する第2環状突起5bの圧縮率が、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。前記圧縮率が8%以下であれば、ガスケット1の初期摺動抵抗値をより低くすることができる。また、前記圧縮率は、特に限定されないが、3%以上であることが好ましく、3.5%以上であることがより好ましい。前記圧縮率が3%以上であれば、ガスケット1の液密性がより高くなる。前記第2環状突起の圧縮率は、第2環状突起の外径R2とシリンジバレル20の内径(r)から以下のように算出することができる。
圧縮率(%)=100%×(R2-r)/R2
【0063】
本発明のプレフィラブルシリンジ10は、前記シリンジ用ガスケット1の側面、または、シリンジバレル25の内面の少なくとも一方にシリコーン系潤滑剤が塗布されていることが好ましい。前記シリンジ用ガスケット1の側面、または、シリンジバレル25の内面の少なくとも一方にシリコーン系潤滑剤を塗布することにより、ガスケットの摺動性および液密性を向上させることができる。
【0064】
本発明で使用するシリコーン系潤滑剤は、シリコーンオイルを含む潤滑剤である。前記シリコーンオイルは、例えば、シロキサン結合(-SiO-)からなる主鎖を有する液状の化合物またはその混合物である。シリコーンオイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルを挙げることができる。
【0065】
ストレートシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンオイルなどを挙げることができる。
【0066】
変性シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルの一方の末端に有機基を導入した片末端型変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルの両方の末端に有機基を導入した両末端側変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルの側鎖の一部に有機基を導入した側鎖型変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイルの側鎖の一部および両末端に有機基を導入した側鎖両末端型変性シリコーンオイルなどを挙げることができる。
【0067】
変性シリコーンオイルには、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルが含まれる。反応性シリコーンオイルは、変性する有機基が反応性官能基であるシリコーンオイルである。非反応性シリコーンオイルは、変性する有機基が非反応性有機基であるシリコーンオイルである。
【0068】
ジメチルシリコーンオイルに導入する反応性官能基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メタクリロイル基、メルカプト基などを挙げることができる。
【0069】
シメチルシリコーンオイルに導入する非反応性有機基としては、ポリエーテル鎖 、メチルスチリル基、アルキル基、高級脂肪酸エステル鎖、フッ素などを挙げることができる。
【0070】
本発明で使用するシリコーンオイルは、医療用グレードであることが好ましく、人体に対して安全なものであり、プレフィルドシリンジに充填される薬剤に対して不活性なものであることが好ましい。
【0071】
前記シリコーン系潤滑剤の塗布量は、0.02mg/cm2以上であることが好ましく、0.10mg/cm2以下であることが好ましく、0.04mg/cm2以下であることがより好ましい。潤滑剤の塗布量が0.02mg/cm2以上であれば、ガスケットの摺動性および液密性が向上し、0.10mg/cm2以下であれば、潤滑剤の多量使用による薬剤への汚染リスクを低減することができる。
【実施例0072】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0073】
臭素化ブチルゴムをゴム分として含む未加硫のゴムシートを金型に配置し、190℃、2000KN、3.5分間の条件で真空プレスして、ガスケットの形状が複数加硫成形された成形シートを得た。得られた成形シートから、ガスケットを打ち抜き、洗浄、減菌処理、乾燥をして、
図1に示した形状のガスケットを作製した。作製したガスケットのショアA硬度は50であった。硬度の測定は、JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方」に準じて、タイプAデュロメーターにより、23℃における硬度として測定した。作製したガスケットの寸法を表1に示した。
【0074】
得られたガスケットの全面にシリコーン系潤滑剤(商品名:Dow Corning(登録商標)360、標準粘度:1,000cst)を0.02mg/cm2になるように塗布し、プランジャーの先端部に取り付けた。なお、プランジャーの先端部は、ガスケットの嵌合凹部の雌ねじ形状に対応する雄ねじ形状に加工されており、ガスケットの嵌合凹部にプランジャーの先端部をねじ込むことにより、ガスケットをプランジャーの先端部に取り付けた。
【0075】
前記プランジャーの先端部に取り付けられたガスケットを、円筒状の樹脂製バレル(容量:10mL、内径:14.76mm±0.01mm、材質:ポリプロピレン)に挿入し、室温で1週間放置した。放置後、100mm/minの速度でプランジャーを押すことによりガスケットを摺動させる際に要する力を、精密万能試験機(AG-X50kN、株式会社島津製作所製)を用いて計測した。摺動距離が0mm~1.5mmでの摺動に要する力の最大値を初期摺動抵抗値として記録し、n=10の中央値を用いた。初期摺動抵抗値の測定結果は、表1に示した。
【0076】
【0077】
表1の結果から、弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、前記シリンジ用ガスケットは、先端側の側面に位置する第1環状突起を有し、前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmである本発明のシリンジ用ガスケットは、初期摺動抵抗値が低い。
1:ガスケット、3:円柱部、4:側面、5a:第1環状突起、5b:第2環状突起、7:先端側、9:後端側、15:中心軸、17:円環状平坦面、19:テーパ面、21:湾曲面、22:天面、23:凹部、10:プレフィラブルシリンジ、25:シリンジバレル、27:プランジャー、29:ヘッド部、31:本体部、33:ノズル、35:フランジ部、37:シールキャップ
本発明の好ましい態様(1)は、弾性体からなる略円柱状のシリンジ用ガスケットであって、前記シリンジ用ガスケットは、シリンジに挿入する先端側とプランジャーに接続される後端側とを有し、前記シリンジ用ガスケットは、側面の先端側に位置する第1環状突起を有し、前記第1環状突起は、ガスケット本体の中心軸に対して垂直な円環状平坦面と、ガスケット本体の先端側から後端側に向かって縮径するテーパ面と、前記円環状平坦面とテーパ面とを繋ぐ湾曲面とを有し、前記湾曲面の曲率半径(R)が、0.05mm~0.15mmであることを特徴とするシリンジ用ガスケットである。
本発明の好ましい態様(3)は、先端側に平坦な天面を有し、前記天面と前記第1環状突起の円環状平坦面とが同一平面を形成している前記態様(1)または(2)のシリンジ用ガスケットである。