(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165759
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65F3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082240
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】平野 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】山下 惠
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA01
3E024BA01
3E024DC02
(57)【要約】
【課題】 塵芥収集車において、分散配置される部材を簡略化する。
【解決手段】 投入口3aを開閉するカバー部材20と、カバー部材20の開閉状態を維持するロック機構30とを備え、ロック機構30は投入口に設けられたストッパ33,34と、カバー部材20に設けられたロック部31とを備え、ロック部31は回動部40と、回動部40に対して係合することで回動部40を回動方向で位置決めする位置決め部41と、位置決め部41を回動部40に向かって付勢する圧縮ばね66とを備え、開放側ロック位置または閉鎖側ロック位置まで回動すると、位置決め部41が回動部40に係合して開放側ロック位置または閉鎖側ロック位置で回動部が固定され、回動部40が固定された状態で回動部40がストッパ33,34の開放側または閉鎖側の延長位置に重なることでカバー部材20の開閉状態を維持できる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収容できる収容箱と、前記収容箱に内部が連通するように設けられていて、投入された塵芥を前記収容箱に移動させる投入箱とを備え、
前記投入箱は、外部に向けて開放された投入口と、前記投入口をスライド移動によって開閉するカバー部材と、前記カバー部材の開閉状態を維持するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、前記投入口に設けられたストッパと、前記カバー部材に設けられたロック部とを備え、
前記ストッパは、前記カバー部材の少なくとも開放位置と閉鎖位置とに対応した位置で前記投入口に固定されており、
前記ロック部は、回動する回動部と、前記回動部に対して係合することで前記回動部を回動方向で位置決めする位置決め部と、前記位置決め部を前記回動部に向かって付勢する付勢部と、を備え、
前記回動部は、開放側ロック位置、中立位置、閉鎖側ロック位置にわたって回動でき、
前記カバー部材の開閉動作に伴い前記ストッパに当たることで、前記中立位置から前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置まで回動させられ、
前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置まで回動すると、前記位置決め部が前記回動部に係合して、前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置で前記回動部が固定され、
前記回動部が固定された状態で前記回動部の一部が前記ストッパの開放側または閉鎖側の延長位置に重なることで、前記カバー部材の開閉状態を維持できる塵芥収集車。
【請求項2】
前記カバー部材は作業者によって操作される操作ハンドルを備え、
前記操作ハンドルは、前記カバー部材の開閉状態を変更する場合に操作され、当該操作に応じ、前記位置決め部を前記付勢部の付勢に抗して前記回動部から離反方向に移動させて、前記回動部を回動可能とする、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記回動部は、当該回動部が前記ストッパとの関係で自由状態にある場合に前記中立位置とする位置付勢部を備える、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記回動部は、周方向の3か所で、開側突出部、中立突出部、閉側突出部の各々が突出した三又形状とされており、
前記中立位置で、前記開側突出部は前記中立突出部の上方に位置し、前記閉側突出部は前記中立突出部の下方に位置し、
前記中立突出部は、前記ストッパに当たることで前記回動部を回動させ、
前記開側突出部は、前記ストッパの開放側の前記延長位置に重なることで、前記カバー部材の開放状態を維持し、
前記閉側突出部は、前記ストッパの閉鎖側の前記延長位置に重なることで、前記カバー部材の閉鎖状態を維持する、請求項1に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、塵芥投入箱の投入口を開閉するカバー部材を備え、カバー部材は上下方向にスライド可能に設けられ、カバー部材の後面には、これをスライド操作するためのハンドルが設けられている。このハンドルを持ち上げてカバー部材を上位置までスライドさせると、投入口が開放され、ハンドルを持ち下げてカバー部材を下位置までスライドさせると、投入口が閉鎖されるようになる。また、カバー部材が上位置から下側へスライドするのを規制し、また、下位置から上側へスライドするのを規制するロック装置を備えている。
【0003】
ロック装置は、ロックピンと、ロックピンをカバー部材の車幅方向外側に向けて付勢する付勢部材と、投入口に設けられ、カバー部材が下位置にあるときに、ロックピンと係合して当該ロックピンが上側に移動するのを規制する下係合部と、カバー部材が上位置にあるときに、ロックピンと係合して当該ロックピンが下側に移動するのを規制し得る上係合部と、ロックピンを付勢部材の付勢力に抗して、上係合部または下係合部との係合を解除させる解除機構とを有する。この解除機構は、ハンドルに連結されている。
【0004】
ところで、上係合部および下係合部には、ロックピンが係合する係合面が形成され、係合面よりも下方において車幅方向外側から車幅方向内端に向かうに従って高さが上がるように傾斜する傾斜面が形成され、ロックピンの車幅方向外端は傾斜面に沿いながら車幅方向内側へ移動することによって、上係合部または下係合部を乗り越えるよう構成されている。そして、ハンドルを操作して解除機構を解除することによりカバー部材がスライドすると、ロックピンは車幅方向外側へ移動して、上係合部の係合面、または下係合部の係合面に係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の塵芥収集車では、上係合部および下係合部が上下に分散して設けられており、上係合部および下係合部のそれぞれには、ロックピンを移動させるための傾斜面が形成されている。このように、ロックピンを移動させるために、上係合部および下係合部に傾斜面を形成することは、上係合部および下係合部のように分散配置された部材により、ロック装置の構成が煩雑となってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、塵芥収集車において、カバー部材の開閉状態を維持するロック機構に関し、分散配置される部材を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塵芥を収容できる収容箱と、前記収容箱に内部が連通するように設けられていて、投入された塵芥を前記収容箱に移動させる投入箱とを備え、前記投入箱は、外部に向けて開放された投入口と、前記投入口をスライド移動によって開閉するカバー部材と、前記カバー部材の開閉状態を維持するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記投入口に設けられたストッパと、前記カバー部材に設けられたロック部とを備え、前記ストッパは、前記カバー部材の少なくとも開放位置と閉鎖位置とに対応した位置で前記投入口に固定されており、前記ロック部は、回動する回動部と、前記回動部に対して係合することで前記回動部を回動方向で位置決めする位置決め部と、前記位置決め部を前記回動部に向かって付勢する付勢部と、を備え、前記回動部は、開放側ロック位置、中立位置、閉鎖側ロック位置にわたって回動でき、前記カバー部材の開閉動作に伴い前記ストッパに当たることで、前記中立位置から前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置まで回動させられ、前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置まで回動すると、前記位置決め部が前記回動部に係合して、前記開放側ロック位置または前記閉鎖側ロック位置で前記回動部が固定され、前記回動部が固定された状態で前記回動部の一部が前記ストッパの開放側または閉鎖側の延長位置に重なることで、前記カバー部材の開閉状態を維持できる塵芥収集車である。
【0009】
上記構成の塵芥収集車において、分散配置されるストッパは、回動部に当たる形状であればいいので、ロック機構が簡略化した構成となる。
【0010】
本発明では、前記カバー部材は作業者によって操作される操作ハンドルを備え、前記操作ハンドルは、前記カバー部材の開閉状態を変更する場合に操作され、当該操作に応じ、前記位置決め部を前記付勢部の付勢に抗して前記回動部から離反方向に移動させて、前記回動部を回動可能とすることもできる。
【0011】
上記構成では、作業者が操作ハンドルを操作することで、カバー部材の開閉状態を変更できる。
【0012】
本発明では、前記回動部は、当該回動部が前記ストッパとの関係で自由状態にある場合に前記中立位置とする位置付勢部を備えていてもよい。
【0013】
上記構成では、位置付勢部により、回動部が自由状態では中立位置に保たれるので、回動部の姿勢を作業者が戻す必要はない。
【0014】
本発明では、前記回動部は、周方向の3か所で、開側突出部、中立突出部、閉側突出部の各々が突出した三又形状とされており、前記中立位置で、前記開側突出部は前記中立突出部の上方に位置し、前記閉側突出部は前記中立突出部の下方に位置し、前記中立突出部は、前記ストッパに当たることで前記回動部を回動させ、前記開側突出部は、前記ストッパの開放側の前記延長位置に重なることで、前記カバー部材の開放状態を維持し、前記閉側突出部は、前記ストッパの閉鎖側の前記延長位置に重なることで、前記カバー部材の閉鎖状態を維持してもよい。
【0015】
上記構成では、各突出部により、回動部を回動させて、カバー部材の開閉状態を維持できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塵芥収集車によれば、分散配置されるストッパは、回動部に当たる形状であればいいのでロック機構が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る塵芥収集車(収容箱より後方)の斜視図である。
【
図3】同塵芥収集車の車両後方から見た正面図である。
【
図6】同塵芥収集車のロック機構の詳細図であり、開放側ロック位置、中立位置、閉鎖側ロック位置を表した車両後方から見た正面図であり、一方ではハンドルに関しては平面図とした図である。
【
図8】本発明の他の実施形態を表すロック機構の詳細図であり、開放側ロック位置、中立位置、閉鎖側ロック位置を表した車両後方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施形態では、塵芥収集車1の前後方向を「前後方向」、塵芥収集車1の上下方向を「上下方向」、塵芥収集車1を前方または後方から見た左右方向を「車幅方向」と称する。また、「車幅方向」のうち、塵芥収集車1の左右方向の中央部から右側又は左側へ向かう方向を「車幅方向外側」、左右方向の右側又は左側から中央部へ向かう方向を「車幅方向内側」と称する。
【0019】
図1に示すように、塵芥収集車1は、車体上に搭載され塵芥を収容できる塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置して連設された塵芥投入箱3とを備える。塵芥投入箱3は、塵芥収容箱2に内部が連通するように設けられていて、投入された塵芥を塵芥収容箱2に移動させることができる。
図2に示すように、塵芥収容箱2の後面には、塵芥を塵芥収容箱2内に積み込むための開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3は、その後部に塵芥が投入されて外部に向けて開放された投入口3aを有する。
【0020】
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点を中心に上下方向に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。すなわち、塵芥投入箱3は、
図2に示す位置では塵芥収容箱2の開口部2aが閉鎖されており、図示しない上方へ回動した位置で、開口部2aが開放されて、塵芥収容箱2内の塵芥を排出することが可能となる。
【0021】
塵芥投入箱3内には、投入口3aから投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込み可能な積込装置Tが設けられている。積込装置Tは、塵芥の積込動作を圧縮する行程を備えたプレス式の装置である。この積込装置Tは種々の構成とできるが、一例として、スライダ5と、このスライダ5の下端部にピン6を介して回動自在に取り付けられた押込板7とを有している。スライダ5は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cに設けられたガイドレール4に沿って移動することが可能である。塵芥投入箱3内の左右両側において、スライダ5の側面部材5aと塵芥投入箱3の側壁3cとの間にはプッシュシリンダ8が取り付けられている。また、押込板7の側面部材7aとスライダ5の側面部材5aとの間にはプレスシリンダ9が取り付けられている。
【0022】
積込装置Tは、以下のように動作する。まず、プレスシリンダ9の収縮動作により押込板7を反時計回り方向に回動させ、押込板7を反転させる(反転工程)。次に、プッシュシリンダ8の収縮動作によりスライダ5と押込板7とを共に斜め後方に降下させ、投入口3aから投入された塵芥を押込板7を圧縮する(一次圧縮工程)。そして、プレスシリンダ9の伸長動作により押込板7を時計回り方向に回動させ二次圧縮を行う(二次圧縮工程)。
【0023】
次に、プッシュシリンダ8の伸長動作によりスライダ5と押込板7とを斜め前方に上昇させ、圧縮した塵芥を塵芥収容箱2側へ押し込む。このように、積込装置Tは、順に反転工程、一次圧縮工程、二次圧縮工程、および押込工程を1サイクルとして行い、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、開口部2aを通じて塵芥収容箱2に積み込む動作を行うことができる。
【0024】
塵芥投入箱3には、投入口3aの下部に載置台10が設けられている。載置台10は、塵芥投入箱3に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられており、起立姿勢と展開姿勢とに姿勢変化することができる。つまり、載置台10は、その基端部を中心として下方(後方)へ回動可能とされており、下方へ90°回動して展開された状態となる。
【0025】
載置台10が展開された展開姿勢となると、作業者が塵芥を投入口3aから投入する際に、載置台10上に塵芥を一旦載置することができ、塵芥投入の作業性を高めることができる。載置台10は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されている。これにより、載置台10は、起立姿勢となると、投入口3aの下部を閉鎖する。
【0026】
[カバー部材]
図1および
図2に示すように、塵芥収集車1は、塵芥投入箱3の投入口3aをスライド移動によって開閉するためのカバー部材20と、このカバー部材20を上下方向にスライド可能に案内するレール部材21とをさらに備えている。
【0027】
カバー部材20は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されており、投入口3aの下部を除く他部、つまり、投入口3aにおいて載置台10の起立姿勢時の載置台10よりも上側部分を開閉する。
【0028】
カバー部材20の後面下側の中央部には、カバー部材20を上下方向にスライド操作するための操作ハンドル(以下、ハンドル11と称す)が設けられている。ハンドル11の車幅方向の両端部は、カバー部材20の後面に固定された左右一対の台座12に連結されている。各台座12は、カバー部材20の後方に突出する台座本体12aと、カバー部材20の前方に突出する箱部12bとを有している。
【0029】
ハンドル11は、台座12に対して、車幅方向の軸線を中心に、後述する回転ブラケット13と共に上下回動可能とされている。具体的には、ハンドル11は、
図5の一点鎖線で示す上回動位置Xと、二点鎖線で示す下回動位置Yとの間で回動可能とされている。そして、上回動位置Xまたは下回動位置Yに回動させたハンドル11から手を離すと、ハンドル11は、図示しないばねの付勢により、上回動位置Xと下回動位置Yとの間の途中位置Zまで回動して、その途中位置Zで保持されるようになっている。
【0030】
ところで、レール部材21は、塵芥投入箱3の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の側端部に沿って上下方向に延びて設けられている。レール部材21は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の両側端部に沿って設けられている。
【0031】
カバー部材20の車幅方向の両端部には、
図4に示すように、それぞれガイドローラ15が回転自在に設けられており、これらのガイドローラ15が各レール部材21に沿って上下方向に移動するようになっている。これにより、カバー部材20は、塵芥投入箱3に対して、上下方向にスライド操作される。
【0032】
図2に示すように、載置台10が起立姿勢のとき、カバー部材20は、上位置A(
図2の二点鎖線位置)と、下位置B(
図2の実線位置)との間でスライド可能とされている。したがって、下位置Bにスライドさせたカバー部材20と、起立姿勢とした載置台10とが上下に連続して配置されることで、投入口3a全体が閉鎖される。そして、この閉鎖状態から、カバー部材20を上位置Aまでスライドさせるとともに、載置台10を展開姿勢とすることで、投入口3a全体が開放される。
【0033】
なお、レール部材21は、載置台10の起立姿勢時の上端よりも下方に延びて形成されている。これにより、載置台10を展開姿勢としたときに、カバー部材20は、レール部材21に沿って下位置Bよりも下方の最下位置までスライド可能とされている。このようにカバー部材20を最下位置とすることで、投入口3a全体を一時的に閉鎖することができるよう構成されている。なお、カバー部材20は、図示しない補助部材の付勢力によって、上位置Aと最下位置との間で常に上側に向かってスライドするように付勢されている。
【0034】
[ロック機構]
図6に示すように、塵芥収集車1は、カバー部材20の開閉状態を維持(ロック)し、またはカバー部材20の開閉可能とするロック機構30を備えている。ロック機構30は、投入口3aの側壁3cに設けられたストッパ(以下、下係合部33および上係合部34と称す)と、カバー部材20に設けられたロック部31とを有している。なお、側壁3cは、製造上の都合により上部が下部に比べて、車幅方向外側にわずかに広くなっている。なお、ロック機構30は、
図6においては車幅方向一方側に取付けられた状態を示したが、カバー部材20の車幅方向の両端部にそれぞれ設けられている。このため、車幅方向一方側についてロック機構30の構成を説明する。車幅方向他方側は、一方側と対称形状となっている。
【0035】
[ストッパの構成]
前記ストッパは、上係合部34と、下係合部33とされる。上係合部34は、カバー部材20の上位置A(カバー部材20の開放位置)を規定する部材とされる。下係合部33は、カバー部材20の下位置B(カバー部材20の閉鎖位置)を規定する部材とされる。
【0036】
本実施形態の上係合部34は、側壁3cの内側面(投入口3aの車幅方向の側端部)の上部において、車幅方向内側に突出して固定されている。この上係合部34は、一側面34aが側壁3c側に固定され、上面34b、下面34cおよび車幅方向内側に相当する他側面34dを有して、上面34bおよび他側面34d、下面34cおよび他側面34dの車幅方向内側が切除されて切除面34e,34eを備えて、断面ブロック状に形成されている。
【0037】
本実施形態の下係合部33は、側壁3cの内側面(投入口3aの車幅方向の側端部)の下部において、車幅方向内側に突出して固定されている。下係合部33は、一側面33aが側壁3c側に固定され、上面33b、下面33cおよび車幅方向内側に相当する他側面33dを有して、上面33bおよび他側面33d、下面33cおよび他側面33dの車幅方向内側が切除されて切除面33e,33eを備えて、断面ブロック状に形成されている。下係合部33は上係合部34よりも下方位置に設置されている。
【0038】
これら、上係合部34および下係合部33における他側面34d,33dどうしは、側壁3cの上部が下部に比べて車幅方向外側にわずかに広くなっていたとしても、他側面34d,33dは、上下方向における同一平面内に位置している。また、上係合部34および下係合部33の上面34b,33b、下面34c,33c、他側面34d,34dは平滑面とされる。このように、ストッパは、カバー部材20のすくなくとも開放位置と閉鎖位置とに対応(分散)した位置で投入口3aに固定されている。
【0039】
[ロック部の構成]
図4、5で示すように、ロック部31は、回動部40と、回動部40を回動方向で位置決めするべく車幅方向内側から位置決め部41(後述する)を係合し、または回動部40から位置決め部41を離脱側に移動させる係合解除装置45とを備える。
【0040】
[回動部の構成]
回動部40は、支軸42と、該支軸42回りに一定範囲で回動自在な回動部本体43と、回動部本体43を一定の姿勢(後に述べる中立位置での姿勢)とする位置付勢部44とを備える。
【0041】
図5に示すように、支軸42は円柱状に形成されており、支軸42を保持するための支軸保持部材46は、カバー部材20の裏側下部に直角となるよう取付けられていて、支軸保持部材46はカバー部材20の裏側下部に沿って配置されている。
【0042】
図6、7に示すように、回動部本体43は、支軸42を中心とする周方向の3か所で、支軸42から一方側寄りへ突出する三又形状とされている。すなわち、支軸42から一方側寄りに、開側突出部47、中立突出部48、および閉側突出部49の突出部を有している。また、支軸42に対する他方側寄りには、押圧突出部50が形成されている。したがって、回動部本体43は、開側突出部47、中立突出部48、閉側突出部49の突出部に加え、押圧突出部50が形成されて、回動部本体43には、4か所の突出部を備えている。また、支軸42を中心として上下方向で対称形状とされている。なお、回動部本体43は、板状に形成されている(
図5参照)。
【0043】
ここで、開側突出部47、中立突出部48、閉側突出部49および押圧突出部50について、その詳細を説明する。まず、説明の便宜上、開側突出部47および閉側突出部49を説明し、その後に、中立突出部48について説明する。
【0044】
開側突出部47および閉側突出部49は、支軸42の一方側寄りに突出し、且つ開側突出部47および閉側突出部49は、支軸42に対して水平方向(逆方向)に傾斜するよう対称形状に形成されている。
【0045】
開側突出部47における、支軸42回りの周方向反時計側の面として、上係合部34の上面34bに当接可能な上当接面47aが形成されている。上当接面47aに周方向時計側で対向する面は上対向面47bとされる。上当接面47aと上対向面47bとの先端に周方向で連続する面は、支軸42に対して周方向に沿う上周方向面47cとされる。
【0046】
閉側突出部49における周方向時計側の面として、下係合部33の下面33cに当接可能な下当接面49aが形成されている。下当接面49aに周方向反時計側で対向する面は下対向面49bとされる。下当接面49aと下対向面49bとの先端に周方向で連続する面は、周方向に沿う下周方向面49cとされる。
【0047】
図6の中央部の図面において、開側突出部47の上周方向面47cの外方向上先端47d、および閉側突出部49の下周方向面49cの外方向下先端49dの位置と、上係合部34および下係合部33の他側面34d,33dとの距離は上下方向に重ならない寸法とされる。すなわち、開側突出部47の上周方向面47cの外方向上先端47dおよび閉側突出部49の下周方向面49cの外方向下先端49dと、上係合部34および下係合部33の他側面34d,33dとの間に、車幅方向で寸法δ1の距離が確保されている。よって、回動部本体43が上下動をする際、開側突出部47、閉側突出部49が通過の支障にならない。そして、回動部本体43が固定された状態で、回動部本体43の一部が、上係合部34、下係合部33の開放側または閉鎖側の延長位置に重なることで、カバー部材20の開閉状態を維持できるよう構成されている。
【0048】
中立突出部48は、開側突出部47および閉側突出部49の周方向中心部に突出されてる。中立突出部48は、開側突出部47の上当接面47aと周方向で対向する中央上対向面48aと、閉側突出部49の下当接面49aと周方向で対向する中央下対向面48bと、中央上対向面48aおよび中央下対向面48bの先端部を周方向で連続する中央周方向面48cとを有する。中央上対向面48aおよび中央下対向面48bは、外側ほど断面が大となるよう傾斜されている。
【0049】
このように、中央上対向面48aおよび中央下対向面48bは、外側ほど断面が大となるよう傾斜されている。これは、回動部本体43(回動部40)が上下動をする際、下係合部33の上面33bに対し中立突出部48の先端部分から当接して中央下対向面48bに移行し、上係合部34の下面34cに対し中立突出部48の先端部分から当接して中央上対向面48aに移行するためであり、中立突出部48の回動の円滑化をさせるためである。
【0050】
なお、上係合部34が切除面34e,34eを備え、下係合部33が切除面33e,33eを備えるのは、中立突出部48の中央上対向面48aと、中立突出部48の中央下対向面48bとが傾斜しているため、上係合部34と中立突出部48と、下係合部33と中立突出部48とが接触した際に該傾斜に合わせて、中立突出部48と、下係合部33および上係合部34との接続を円滑化させるためである。
【0051】
開側突出部47における上当接面47aの基端部と、中立突出部48における中央上対向面48aの基端部どうしは、上連結面51aで連結されている。閉側突出部49における下当接面49aの基端部と、中立突出部48における中央下対向面48bの基端部どうしは、下連結面51bで連結されている。
【0052】
図6の中央部の図面において、中立突出部48の中央周方向面48cは、支軸42を中心とした寸法に関し、側壁3cよりも短く、上係合部34、下係合部33の他側面34d,33dを越える長さである。
【0053】
ところで、前記押圧突出部50は、開側突出部47の上対向面47bと周方向で対向する押圧上対向面50aと、閉側突出部49の下対向面49bと周方向で対向する押圧下対向面50bと、押圧上対向面50aと押圧下対向面50bとの先端部を周方向で連結する押圧面50cとを有する。この押圧面50cは、支軸42を基準とした所定寸法角の円弧状面とされる。また、押圧突出部50の押圧上対向面50aの基端部と、開側突出部47における上対向面47bの基端部とは押圧上連結面51cで連結され、押圧突出部50の押圧下対向面50bの基端部と、閉側突出部49における下対向面49bの基端部とは押圧下連結面51dで連結されている。
【0054】
なお、開側突出部47における上周方向面47c、閉側突出部49における下周方向面49c、押圧突出部50における押圧面50cは、支軸42(軸心)回りを中心に、略同心円状に形成されている。
【0055】
回動部本体43の周方向には、開側突出部47と中立突出部48で形成される第一凹部52、閉側突出部49と中立突出部48とで形成される第二凹部53、開側突出部47と押圧突出部50とで形成される第三凹部54、閉側突出部49と押圧突出部50とで形成される第四凹部55が形成され、押圧突出部50の外周の凹部のみで形成される第五凹部56が形成されている。
【0056】
第一凹部52、第二凹部53、第三凹部54、第四凹部55、第五凹部56について、第一凹部52は、前述のように開側突出部47と中立突出部48で形成される構成であり、開側突出部47における上当接面47aと、中立突出部48の中央上対向面48aと、開側突出部47と中立突出部48とを連結する上連結面51aとで構成される。第二凹部53は、前述のように閉側突出部49と中立突出部48とで形成される構成であり、閉側突出部49における下当接面49aと、中立突出部48の中央下対向面48bと、閉側突出部49と中立突出部48とを連結する下連結面51bとで構成されている。第三凹部54は、前述のように開側突出部47と押圧突出部50とで形成される構成であり、開側突出部47における上対向面47bと、押圧突出部50における押圧上対向面50aと、押圧突出部50と開側突出部47とを連続する押圧上連結面51cとで構成される。第四凹部55は、前述のように閉側突出部49と押圧突出部50とで形成される構成であり、閉側突出部49における下対向面49bと、押圧突出部50における押圧下対向面50bと、押圧突出部50と閉側突出部49とを連続する押圧下連結面51dとで構成される。
【0057】
第五凹部56は、押圧突出部50のみで形成される構成であり、押圧突出部50の押圧面50cの円周方向中央に形成されている。
【0058】
第一凹部52および第二凹部53は、上係合部34および下係合部33が挿入される形状に形成され、第三凹部54および第四凹部55は、位置決め部41の先端部41aが挿入される形状に形成されている。また、第五凹部56は、位置決め部41の先端部41aが挿入される形状に形成されている。なお、回動部本体43を軽量化するために設けた穴57が支軸42と押圧突出部50の押圧面50cとの間に形成されている。
【0059】
第二凹部53に下係合部33が挿入されるとともに、第三凹部54に位置決め部41の先端部41aが挿入(係合)されることで、回動部本体43は閉鎖側ロック位置とされる。第一凹部52に上係合部34が挿入されるとともに、第四凹部55に位置決め部41の先端部41aが挿入(係合)することで、回動部本体43は開放側ロック位置とされる。また、回動部本体43が閉鎖側ロック位置、開放側ロック位置とされることにより、カバー部材20の上下移動が阻止される。
【0060】
また、回動部本体43は、押圧突出部50のみで形成される第五凹部56を有しており、上係合部34および下係合部33が回動部本体43に挿入されず、回動部本体43の第五凹部56に、位置決め部41の先端部41aが挿入(係合)されることで、カバー部材20の上下動を可能な態勢で仮止めされた中立位置とされる。
【0061】
位置付勢部44は、支軸42の外周に設けられている。位置付勢部44として、キックばねが用いられており、位置付勢部44は支軸42に巻回されている。位置付勢部44の端部を保持する突起58,58が、回動部本体43に設けられている。また、位置付勢部44の付勢で回動部本体43が回動して、位置決め部41の先端部41aが第五凹部56に係合する。
【0062】
[係合解除装置の構成]
係合解除装置45は、前記位置決め部41(ロックピンとも称す)と、位置決め部41をカバー部材20に支持するための保持枠59と、位置決め部41を回動部40(回動部本体43)に向かって付勢する突出付勢部65と、ハンドル11の回動操作(
図5参照)によって、位置決め部41の配置位置を操作するための解除機構とを備えている。
【0063】
位置決め部41は、回動部40(回動部本体43)をその周方向で位置決めする部材であり、支軸42の車幅方向内側の延長上に配置されており、車幅方向に長い杆状の部材とされている。位置決め部41は、車幅方向に長い胴部41bと、車幅方向外側の先端部41aとを有している。胴部41bは断面円形状に形成され、先端部41aは、胴部41bに対して外周を傾斜させた円錐台形状に形成されている。
【0064】
保持枠59は、車幅方向外側と車幅方向内側とを保持するよう一対の保持部材59aを有し、カバー部材20の裏側下部に固定されている。一方の保持部材59a(車幅方向外側)、他方の保持部材59a(車幅方向内側)には、位置決め部41を挿通するための孔(図示せず)が形成され、位置決め部41は該孔に対して挿通自在となっている。また、保持枠59には、
図5に示すように、支軸42を保持する前記支軸保持部材46を有する。
【0065】
突出付勢部65は、位置決め部41に外嵌される圧縮ばね66と、圧縮ばね66を支持する一対のばね座67,67と、位置決め部41の胴部41b車幅方向外側に配置され、胴部41bに直交するピン68とを有する。
【0066】
一対のばね座67,67は位置決め部41に外嵌されるとともに、ピン68と他方の保持部材59aとの間に配置され、位置決め部41を挿通する孔(図示せず)を有する。一対のばね座67,67のうち、一方のばね座67(車幅方向外側)はピン68側に位置し、他方のばね座67(車幅方向内側)は、他方の保持部材59a側に配置され、他方のばね座67は、他方の保持部材59aに一体的に形成されている。圧縮ばね66は一対のばね座67,67の間に配置されている。この構成により、位置決め部41が車幅方向外側に常に付勢されている。
【0067】
解除機構は、位置決め部41の基端部と、ハンドル11とを連結するよう構成されている。解除機構の概略を説明すると、解除機構は、外部構造と内部構造とを備えている。外部構造は、カバー部材20の外部に露出されたワイヤ62および連結ブラケット61を有する。ワイヤ62は位置決め部41の基端部から箱部12bの前方まで延長されている。連結ブラケット61は、箱部12bの裏面(前面)に配置されており、箱部12bの裏面側の連結ピン60に連結されている。連結ブラケット61は、断面L字形状に形成され、端部片がワイヤ62の基端部に連結されている。
【0068】
内部構造は、ハンドル11と連結ピン60とを連結する構成であり、主として箱部12bの内部に配置されている。内部構造は、回転ブラケット13、アーム51A、当接ピン52A、第1揺動プレート54A、第2揺動プレート55A、連結ピン60(連結ピン60の一部)等を備える。
【0069】
回転ブラケット13は、ハンドル11の車幅方向一端部に連結されている。ハンドル11の上下回動に連動して、回転ブラケット13が車幅方向回りに回転するよう構成されている。アーム51Aの基端部は、回転ブラケット13の車幅方向外側の端部に固定されている。当接ピン52Aは、アーム51Aの先端部に配置されて、車幅方向外側に向かって突出されている。これにより、ハンドル11の上下回動と連動して回転ブラケット13が車幅方向回りに回転することで、アーム51Aの先端部は、当接ピン52Aと共に上下方向に回動する。
【0070】
第1揺動プレート54Aは、箱部12bの蓋板12cに近接して配置されている。第1揺動プレート54Aは、例えば略三角形状の平板部材からなり、蓋板12cに近接して配置されている。第2揺動プレート55Aは、第1揺動プレート54Aの後側に近接して配置されている。第2揺動プレート55Aは、第1揺動プレート54Aと同じ形状(略三角形状)の平板部材からなり、箱部12bの内部空間12eの前側において第1揺動プレート54Aの後側に近接して配置されている。
【0071】
前記連結ピン60は、蓋板12cに形成された長孔12dを貫通して、その一部が箱部12bの前方に突出している。長孔12dは車幅方向に延長されており、連結ピン60は長孔12d内を移動自在に構成される。また、上記のように、連結ピン60の他端部(蓋板12cの外部に配置されている)には、前記連結ブラケット61が連結され、ワイヤ62の基端部が連結されている。
【0072】
上記構成を備えた塵芥収集車1において、カバー部材20は、前述のように投入口3aにおいて起立姿勢時の載置台10よりも上側部分を開閉するものであり、カバー部材20に設けられたハンドル11を操作することで、各ロック位置(閉鎖側ロック位置、開放側ロック位置)からカバー部材20が上下移動することを許容して、カバー部材20が上下方向にスライドして開閉するものである。
【0073】
はじめに、
図2に実線で示すように、カバー部材20を下方に移動させて下位置Bとした状態について説明する。これは側壁3cに対してカバー部材20を下側でロックした状態、すなわち回動部本体43における閉鎖側ロック位置となる。
【0074】
閉鎖側ロック位置では、圧縮ばね66の付勢力により、位置決め部41の先端部41aは車幅方向外側へ移動している状態であり、一方のばね座67が他方のばね座67から離間しており、解除機構では、その連結ピン60(連結ブラケット61)は長孔12dの車幅方向外側に移動している。
【0075】
位置決め部41の先端部41aは、回動部本体43の第三凹部54に挿入(係合)され、下係合部33が第二凹部53に挿入され、位置決め部41の先端部41aと、支軸42と、下係合部33の他側面33dが直線状に並ぶから、回動部本体43が支軸42周りに回動不能とされ、回動部本体43が上方に移動不能とされて、位置決め部41と下係合部33とで、回動部本体43が固定された状態にある。また、下係合部33の下面33c(閉側突出部49の閉鎖側の延長位置に重なっている)に、閉側突出部49の下当接面49a(回動部本体43の一部)が下方から当接している。この状態では、カバー部材20の閉鎖が維持されている。つまり、カバー部材20が下位置Bにあって、上方へスライドすることが阻止される。
【0076】
投入口3aを開放させるには、ハンドル11を上げる操作を行う。この際、解除機構では、ハンドル11に連結されている回転ブラケット13を介して、アーム51Aが、当接ピン52Aと共に下方回動を始める。そうすると、当接ピン52Aが第1揺動プレート54Aを下方へ押し下げるので、第1揺動プレート54Aは、前後方向で揺動する。
【0077】
第1揺動プレート54Aの前記揺動によって、連結ピン60は車幅方向内側へ移動しようとするので、連結ピン60に連結された第2揺動プレート55Aは、前後方向で揺動する。このように、第1および第2揺動プレート54A,55Aが揺動することにより、連結ピン60は、当接ピン52Aがストッパ(図示しないが、箱部12b内の下面にあり、アーム51Aの回動途中に当接ピン52Aが当接する部材である)に当接するまで、車幅方向内側へ移動する。
【0078】
連結ピン60が車幅方向内側へ移動すると、連結ブラケット61を介してワイヤ62の基端部が車幅方向内側から引っ張られる。そうすると、ワイヤ62の前端部に接続されている位置決め部41は、圧縮ばね66の付勢力に抗して車幅方向内側へ移動して、位置決め部41は車幅方向内側に移動する。そして、位置決め部41が回動部本体43に対して、離反方向に移動される。
【0079】
これを回動部本体43の観点で見ると、
図6の下部の図面に示す状態では、位置決め部41の先端部41aは第三凹部54に挿入されており、回動部本体43の下当接面49aが下係合部33の下面33cに、前記補助部材の付勢力によって押圧されているが、車幅方向では、カバー部材20が上方にスライド操作されると、回動部本体43の下当接面49aが下係合部33の下面33cに強く当ることになるものの、回動部本体43は支軸42回りに回動自在となっているから、回動部本体43は、
図6の仮想線で示すように、反時計方向に回動し、中立突出部48の中央下対向面48bが下係合部33の上面33bに当接する過程を経て、回動部本体43は中立位置(
図6の中央部の図面に示す状態)となる。このように、回動部本体43は、下係合部33および上係合部34に関わりをもたないために、カバー部材20が上下でスライド自在となる。また、中立位置では、回動部本体43の姿勢は位置付勢部44により保たれるので、回動部本体43の姿勢を作業者が戻す必要はない。
【0080】
このとき、連結ピン60は、蓋板12cに形成された長孔12dを、解除機構の内部構造によって移動自在であるから、回動部本体43が支軸42回りに回転することで、位置決め部41の先端部41aが第三凹部54から離脱し、位置決め部41の先端部41aは、押圧突出部50の押圧面50cと当接して、第五凹部56に車幅方向内側から挿入される。この状態が、回動部本体43の中立位置であり、カバー部材20は、回動部本体43の中立位置において、上下方向にスライド可能である。
【0081】
このような状態からカバー部材20を下げる場合では、外方向下先端49dは、下係合部33の他側面33dの車幅方向内側に配置されており、中立突出部48の中央下対向面48bは、下係合部33の上面33bの上側に配置されているから、カバー部材20を下げると、回動部本体43の中央下対向面48bが下係合部33の上面33bに当接し、回動部本体43は支軸42回りに回動自在となっているから、回動部本体43は、
図6の下部の図面における仮想線で示すように時計方向に回動し、中立突出部48の中央上対向面48aが下係合部33の下面33cに当接する過程を経て、回動部本体43は閉鎖側ロック位置となる。
【0082】
次に、カバー部材20を上方に移動させて、上位置Aとした状態について説明する。これは、側壁3cに対してカバー部材20を上側でロックした状態、すなわち回動部本体43における開放側ロック位置となる。開放側ロック位置では、圧縮ばね66の付勢力により、位置決め部41の先端部41aは車幅方向外側へ移動している状態であり、一方のばね座67が他方のばね座67から離間し、解除機構では、その連結ピン60(連結ブラケット61)は長孔12dの車幅方向外側に移動している。
【0083】
また、位置決め部41の先端部41aは、回動部本体43の第四凹部55に挿入(係合)され、上係合部34が第一凹部52に挿入され、位置決め部41の先端部41aと、支軸42と、上係合部34の他側面34dが直線状に並ぶから、回動部本体43が支軸42周りに回動不能とされて、回動部本体43が下方に移動不能とされて、位置決め部41と上係合部34とで、回動部本体43が固定された状態にある。また、上係合部34の上面34b(閉側突出部49の開放側の延長位置に重なっている)に、開側突出部47の上当接面47a(回動部本体43の一部)が当接している。この状態では、カバー部材20の開放状態が維持されている。つまり、カバー部材20が上位置Aにあって、下方へスライドすることが阻止される。
【0084】
ここで、
図6の中央の状態から、カバー部材20を上方に移動する場合について、回動部本体43の観点で見ると、開側突出部47の上周方向面47cと上当接面47aとの外方向上先端47dは、上係合部34の他側面34dの車幅方向内側に配置されており、中立突出部48の中央上対向面48aは、上係合部34の下面34cの下側に配置されている。
このため、カバー部材20を上げると、中立突出部48の中央上対向面48aが上係合部34の下面34cに当接して、回動部本体43は支軸42回りに反時計方向に回動し(
図6の上部の図面における仮想線)して、上係合部34が回動部本体43の第一凹部52に挿入され、開側突出部47の上当接面47aが、上係合部34の上面34bに上方から当接する。これによって、回動部本体43における開放側ロック位置となる。
【0085】
この状態からカバー部材20が下方にスライド操作されると、回動部本体43の上当接面47aが上係合部34の上面34bに強く当ることになるものの、回動部本体43は支軸42回りに回動自在となっているから、回動部本体43は、
図6の上部の図面における仮想線で示すように、時計方向に回動し、中立突出部48の中央上対向面48aが上係合部34の下面34cに当接する過程を経て、回動部本体43は中立位置(
図6の中央部の図面に示す状態)となる。このように、回動部本体43は、下係合部33および上係合部34に関わりをもたないために、カバー部材20が上下でスライド自在となる。
【0086】
このような構成により、本発明の塵芥収集車1では、カバー部材20の開閉動作に伴い下係合部33、上係合部34に当たることで、中立位置から開放側ロック位置、または閉鎖側ロック位置まで回動部本体43が回動させられ、開放側ロック位置または閉鎖側ロック位置まで回動すると、位置決め部41が回動部本体43に係合して、開放側ロック位置または閉鎖側ロック位置で回動部本体43が固定されるようになる。
【0087】
上記構成の塵芥収集車1では、上下に分散配置される下係合部33、上係合部34は、回動部本体43に当たる形状であればいいので、従来のような分散配置される単位ごとに斜面等を形成する必要がなく、ロック機構30を簡略化した構成とできる。
【0088】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、回動部本体43は、
図8に示すような形状であってもよい。
図8では、中立突出部48は、中央上対向面48aおよび中央下対向面48bのような傾斜面を有さずに形成している。また、上記実施形態では、押圧突出部50に第五凹部56を形成していたが、押圧突出部50に第五凹部56を形成する必要はない。
【0089】
また、上記実施形態では上係合部34、下係合部33に切除面33e,34eを形成していたが、切除面33e,34eを設ける必要はない。第一凹部52、第二凹部53と、上係合部34、下係合部33とは、互いに挿入される形状であって、回動部においては、開放側ロック位置に至る際に、上係合部34の下面に押圧される部材があり、且つ開放側ロック位置では、上係合部34の上面に当接する部材を有し、閉鎖側ロック位置に至る際に、下係合部33の上面に押圧される部材があり、且つ閉鎖側ロック位置では、下係合部33の下面に当接する部材を有していればよい。
【0090】
上記実施形態では、回動部本体43は、支軸42を中心とする周方向の3か所で、支軸42から一方側寄りへ突出する三又形状とされていた。しかしながら回動部本体43は、ストッパの開閉移動を規制してカバー部材20の開閉を規制すればよいので、少なくとも一本以上、突出した突出部があればよい。
【0091】
上記実施形態ではストッパは、上係合部34および下係合部33としたが、上係合部34および下係合部33の途中に別なストッパを配置することも可能であり、この場合では、例えば、カバー部材20は、上係合部34および下係合部33の中間位置でも、カバー部材20を維持(ロック)することができる。さらに、上記実施形態では、ストッパは上係合部34および下係合部33としたが、上係合部34または下係合部33として、カバー部材20を上位置または下位置で維持することもできる。
【0092】
上記実施形態では、ハンドル11は一本で形成したが、車幅方向左右に設けることもでき、この場合では、ロック機構は車幅方向左右に設ける。なお、上記実施形態では、カバー部材20を外側のガイドローラ15で案内していたが、カバー部材20を内側で案内するタイプの塵芥収集車1とすることもできる。
【0093】
上記実施形態では、外方向上先端47dおよび外方向下先端49dと、上係合部34および下係合部33の他側面34d,33dとの間に寸法δ1の距離が確保された。しかしながら寸法δ1を設けずに、上係合部34および下係合部33に当たった時に、回動部本体43が支軸42周りに回動することで、第一凹部52、第二凹部53への、上係合部34および下係合部33の導入を可能に構成することもできる。
【0094】
上記実施形態では、ロック機構30は、カバー部材20の車幅方向の両端部にそれぞれ設けられた構成を挙げたが、カバー部材20の車幅方向片側のみに設けることもできる。また、上係合部34および下係合部33は、形状を特定されるものではなく、例えば断面矩形の形状であってもよく、押圧突出部50に接続されてカバー部材20を固定できるものであればよい。
【符号の説明】
【0095】
1…塵芥収集車、2…塵芥収容箱、2a…開口部、3…塵芥投入箱、3a…投入口、3c…側壁、10…載置台、11…ハンドル、12…台座、12b…箱部、12c…蓋板、12d…長孔、12e…内部空間、20…カバー部材、30…ロック機構、31…ロック部、33…下係合部、34…上係合部、34b,33b…上面、34c,33c…下面、34d,33d…他側面、34e,34e…切除面、40…回動部、41…位置決め部、41a…先端部、41b…胴部、42…支軸、43…回動部本体、44…位置付勢部、45…係合解除装置、47…開側突出部、47a…上当接面、47b…上対向面、47c…上周方向面、47d…外方向上先端、48…中立突出部、48a…中央上対向面、48b…中央下対向面、48c…中央周方向面、49…閉側突出部、49a…下当接面、49b…下対向面、49c…下周方向面、49d…外方向下先端、50…押圧突出部、50a…押圧上対向面、50b…押圧下対向面、50c…押圧面、51a…上連結面、51b…下連結面、51c…押圧上連結面、51d…押圧下連結面、52…第一凹部、53…第二凹部、54…第三凹部、55…第四凹部、56…第五凹部、59…保持枠、59a…保持部材、60…連結ピン、61…連結ブラケット、62…ワイヤ、65…突出付勢部、X…上回動位置、Y…下回動位置、Z…途中位置