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特開2024-165760コネクタ、コネクタ組立体および着用品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165760
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタ組立体および着用品
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20241121BHJP
   A41B 9/06 20060101ALI20241121BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R12/77
A41B9/06 E
H01R31/06 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082241
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
【テーマコード(参考)】
3B128
5E223
【Fターム(参考)】
3B128FB01
3B128FB08
5E223AA30
5E223AB41
5E223AC21
5E223AC50
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB12
5E223CB26
5E223CB31
5E223CB47
5E223CB72
5E223CD01
5E223CD02
5E223CD12
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB25
(57)【要約】
【課題】実装対象物に実装され且つ相手側コネクタに嵌合するだけで、実装対象物の締め付けと電気的接続の双方を行うことができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ11は、互いに離間して配置された第1コンタクト25および第2コンタクト35と、基端が第1コンタクト25に対して第2コンタクト35とは反対側の位置において実装対象物に実装され且つ先端に第1コンタクト25を保持する第1シート部材22を含み、第2コンタクト35は、第2シート部材32を介して実装対象物に保持され、または、実装対象物に直接保持され、少なくとも第1シート部材22が弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタ12に嵌合し、第1シート部材22に発生する収縮力により、第1コンタクト25および第2コンタクト35が相手側コネクタ12の相手側第1コンタクト14および相手側第2コンタクト15にそれぞれ電気的に接続される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装対象物に実装され、剛性を有する絶縁性のハウジングに相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトが保持されている相手側コネクタに嵌合するコネクタであって、
互いに所定の方向に離間して配置され且つ前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側第1コンタクトおよび前記相手側第2コンタクトにそれぞれ嵌め合わされる第1コンタクトおよび第2コンタクトと、
前記所定の方向における基端が前記第1コンタクトに対して前記第2コンタクトとは反対側の位置において前記実装対象物に実装され且つ前記所定の方向における先端に前記第1コンタクトを保持し、少なくとも前記所定の方向に伸縮可能でフレキシブルな絶縁性の第1シート部材と
を備え、
前記第2コンタクトは、フレキシブルな絶縁性の第2シート部材を介して前記実装対象物に保持され、または、前記実装対象物に直接保持され、
少なくとも前記第1シート部材が前記所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で前記相手側コネクタに嵌合し、前記第1シート部材に発生する収縮力により、前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトが前記相手側第1コンタクトおよび前記相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記第2シート部材を備え、
前記第2シート部材は、前記所定の方向における基端が前記第2コンタクトに対して前記第1コンタクトとは反対側の位置において前記実装対象物に実装され且つ前記所定の方向における先端に前記第2コンタクトを保持し、少なくとも前記所定の方向に伸縮可能であり、
前記第1シート部材および前記第2シート部材がそれぞれ前記所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で前記相手側コネクタに嵌合し、前記第1シート部材および前記第2シート部材に発生する収縮力により、前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトが前記相手側第1コンタクトおよび前記相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1シート部材に配置され且つ前記第1コンタクトを前記実装対象物の第1配線部に電気的に接続する第1フレキシブル導体を備える請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2シート部材に配置され且つ前記第2コンタクトを前記実装対象物の第2配線部に電気的に接続する第2フレキシブル導体を備える請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1コンタクトは、前記所定の方向に沿って間隔を隔てて配列され且つ互いに電気的に接続された複数の第1コンタクト部分を有し、
前記複数の第1コンタクト部分のうちの1つが、選択的に前記相手側第1コンタクトに嵌め合わされる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第2コンタクトは、前記所定の方向に沿って間隔を隔てて配列され且つ互いに電気的に接続された複数の第2コンタクト部分を有し、
前記複数の第2コンタクト部分のうちの1つが、選択的に前記相手側第2コンタクトに嵌め合わされる請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第2コンタクトは、前記実装対象物に保持され、前記実装対象物の第2配線部に直接接続される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
それぞれ前記所定の方向に対して直交する方向に配列された複数の前記第1コンタクトおよび複数の前記第1フレキシブル導体を備え、
複数の前記第1コンタクトは、前記相手側コネクタの複数の前記相手側第1コンタクトにそれぞれ電気的に接続される請求項3に記載のコネクタ。
【請求項9】
それぞれ前記所定の方向に対して直交する方向に配列された複数の前記第2コンタクトおよび複数の前記第2フレキシブル導体を備え、
複数の前記第2コンタクトは、前記相手側コネクタの複数の前記相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続される請求項4に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1シート部材は、前記先端に配置され且つ前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに重なる嵌合部と、前記基端に配置され且つ前記実装対象物に実装される実装部を有し、
前記第1コンタクトは、前記第1シート部材の前記嵌合部に保持され、
前記第1フレキシブル導体は、前記嵌合部に配置され且つ前記第1コンタクトに電気的に接続された第1接続部と、前記実装部に配置され且つ前記実装対象物の前記第1配線部に電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部および前記第2接続部を互いに連結する連結部を有する請求項3に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第2シート部材は、前記先端に配置され且つ前記相手側コネクタとの嵌合時に前記相手側コネクタに重なる嵌合部と、前記基端に配置され且つ前記実装対象物に実装される実装部を有し、
前記第2コンタクトは、前記第2シート部材の前記嵌合部に保持され、
前記第2フレキシブル導体は、前記嵌合部に配置され且つ前記第2コンタクトに電気的に接続された第1接続部と、前記実装部に配置され且つ前記実装対象物の前記第2配線部に電気的に接続される第2接続部と、前記第1接続部および前記第2接続部を互いに連結する連結部を有する請求項4に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記第1シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
前記第1フレキシブル導体は、前記第1シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第2シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
前記第2フレキシブル導体は、前記第2シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記相手側第1コンタクトおよび前記相手側第2コンタクトは、それぞれ、前記嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトは、それぞれ、リング状の導電性部材からなり、
前記第1シート部材に発生する前記収縮力により前記導電性部材の内周部が対応する前記筒状部の外周部に接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトは、それぞれ、前記嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
前記相手側第1コンタクトおよび前記相手側第2コンタクトは、それぞれ、リング状の導電性部材からなり、
前記第1シート部材に発生する前記収縮力により前記筒状部の外周部が対応する前記導電性部材の内周部に接触する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の前記コネクタと、
前記コネクタが嵌合する前記相手側コネクタと
を備えるコネクタ組立体。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の前記コネクタが実装されている前記実装対象物としての着用品。
【請求項18】
ユーザの身体の一部が挿入される筒状またはリング状の周回部分を有し、
前記コネクタは、前記周回部分の周方向を前記所定の方向として前記周回部分に装着されている請求項17に記載の着用品。
【請求項19】
前記第1シート部材を前記周回部分の内周面から外周面に通すためのスリットを有する請求項18に記載の着用品。
【請求項20】
前記周回部分の内周面上に配置され且つ前記コネクタの前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトに接続される複数の端末部材を備える請求項18に記載の着用品。
【請求項21】
前記端末部材は、電極またはセンサからなる請求項20に記載の着用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタに係り、特に、衣服等の実装対象物に実装され且つ相手側コネクタに嵌合するコネクタに関する。
また、この発明は、このようなコネクタと相手側コネクタからなるコネクタ組立体にも関している。
さらに、この発明は、コネクタが装着された実装対象物としての着用品にも関している。
【背景技術】
【0002】
近年、着用するだけで心拍数、体温等のユーザの生体情報を取得することができる、いわゆるスマート衣料が注目を浴びている。このスマート衣料は、計測箇所に配置された電極を備え、電極に計測機器としてのウエアラブルデバイスを電気的に接続することで、生体情報をウエアラブルデバイスに伝送することが可能となる。
電極とウエアラブルデバイスとの接続は、例えば、電極から引き出された配線部に接続されたコネクタを用いて行うことができる。
【0003】
このようなスマート衣料においては、生体情報を精度よく取得するために、電極をユーザの身体に密着させる必要がある。
そこで、例えば、特許文献1には、図25および図26に示されるような締め付け装置が取り付けられた衣服が開示されている。締め付け装置は、図25に示されるように、衣服の前身頃1の外側における左右の両側部にそれぞれ取り付けられた帯状の自着性テープ2と、図26に示されるように、衣服の後身頃3の外側における左右の両側部にそれぞれ取り付けられた面状の自着性テープ4、5を備えている。
【0004】
図示されていないが、前身頃1の内側面には電極が配置されており、前身頃1の帯状の自着性テープ2を引っ張りながら後身頃3の自着性テープ4、5のいずれかに接続することにより、衣服を締め付けて電極をユーザの身体に密着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-123959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の締め付け装置が取り付けられた衣服では、電極を介して取得した生体情報を計測する、あるいは、遠隔の計測装置に伝送するために、衣服にさらに回路モジュール、コネクタ等を装着して電極に電気的に接続する必要がある。このため、締め付け装置を用いた衣服の締め付け作業の他に、電極と回路モジュール、コネクタ等との間の電気的な接続作業を要するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、実装対象物に実装され且つ相手側コネクタに嵌合するだけで、実装対象物の締め付けと電気的接続の双方を行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、このようなコネクタと相手側コネクタからなるコネクタ組立体を提供することも目的としている。
さらに、この発明は、コネクタが実装された着用品を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタは、
実装対象物に実装され、剛性を有する絶縁性のハウジングに相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトが保持されている相手側コネクタに嵌合するコネクタであって、
互いに所定の方向に離間して配置され且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトにそれぞれ嵌め合わされる第1コンタクトおよび第2コンタクトと、
所定の方向における基端が第1コンタクトに対して第2コンタクトとは反対側の位置において実装対象物に実装され且つ所定の方向における先端に第1コンタクトを保持し、少なくとも所定の方向に伸縮可能でフレキシブルな絶縁性の第1シート部材と
を備え、
第2コンタクトは、フレキシブルな絶縁性の第2シート部材を介して実装対象物に保持され、または、実装対象物に直接保持され、
少なくとも第1シート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタに嵌合し、第1シート部材に発生する収縮力により、第1コンタクトおよび第2コンタクトが相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続されるものである。
【0009】
第2シート部材を備え、
第2シート部材は、所定の方向における基端が第2コンタクトに対して第1コンタクトとは反対側の位置において実装対象物に実装され且つ所定の方向における先端に第2コンタクトを保持し、少なくとも所定の方向に伸縮可能であり、
第1シート部材および第2シート部材がそれぞれ所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタに嵌合し、第1シート部材および第2シート部材に発生する収縮力により、第1コンタクトおよび第2コンタクトが相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続されるように構成することができる。
なお、第1シート部材に配置され且つ第1コンタクトを実装対象物の第1配線部に電気的に接続する第1フレキシブル導体を備えることが好ましい。
また、第2シート部材に配置され且つ第2コンタクトを実装対象物の第2配線部に電気的に接続する第2フレキシブル導体を備えることが好ましい。
【0010】
第1コンタクトは、所定の方向に沿って間隔を隔てて配列され且つ互いに電気的に接続された複数の第1コンタクト部分を有し、
複数の第1コンタクト部分のうちの1つが、選択的に相手側第1コンタクトに嵌め合わされるようにしてもよい。
また、第2コンタクトは、所定の方向に沿って間隔を隔てて配列され且つ互いに電気的に接続された複数の第2コンタクト部分を有し、
複数の第2コンタクト部分のうちの1つが、選択的に相手側第2コンタクトに嵌め合わされるようにすることもできる。
【0011】
第2コンタクトは、実装対象物に保持され、実装対象物の第2配線部に直接接続されるように構成することもできる。
【0012】
それぞれ所定の方向に対して直交する方向に配列された複数の第1コンタクトおよび複数の第1フレキシブル導体を備え、
複数の第1コンタクトは、相手側コネクタの複数の相手側第1コンタクトにそれぞれ電気的に接続されることが好ましい。
また、それぞれ所定の方向に対して直交する方向に配列された複数の第2コンタクトおよび複数の第2フレキシブル導体を備え、
複数の第2コンタクトは、相手側コネクタの複数の相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続されることが好ましい。
【0013】
第1シート部材は、先端に配置され且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタに重なる嵌合部と、基端に配置され且つ実装対象物に実装される実装部を有し、
第1コンタクト部材は、第1シート部材の嵌合部に保持され、
第1フレキシブル導体は、嵌合部に配置され且つ第1コンタクト部材に電気的に接続された第1接続部と、実装部に配置され且つ実装対象物の第1配線部に電気的に接続される第2接続部と、第1接続部および第2接続部を互いに連結する連結部を有することが好ましい。
【0014】
また、第2シート部材は、先端に配置され且つ相手側コネクタとの嵌合時に相手側コネクタに重なる嵌合部と、基端に配置され且つ実装対象物に実装される実装部を有し、
第2コンタクト部材は、第2シート部材の嵌合部に保持され、
第2フレキシブル導体は、嵌合部に配置され且つ第2コンタクト部材に電気的に接続された第1接続部と、実装部に配置され且つ実装対象物の第2配線部に電気的に接続される第2接続部と、第1接続部および第2接続部を互いに連結する連結部を有することが好ましい。
【0015】
第1シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
第1フレキシブル導体は、第1シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されていることが好ましい。
また、第2シート部材は、布地、編地、または、ゴム材から形成され、
第2フレキシブル導体は、第2シート部材に刺繍された、または、編み込まれた導電糸により形成されていることが好ましい。
【0016】
相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトは、それぞれ、嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
第1コンタクトおよび第2コンタクトは、それぞれ、リング状の導電性部材からなり、
第1シート部材に発生する収縮力により導電性部材の内周部が対応する筒状部の外周部に接触するように構成することができる。
【0017】
あるいは、第1コンタクトおよび第2コンタクトは、それぞれ、嵌合方向に突出する円筒形状の筒状部を有し、
相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトは、それぞれ、リング状の導電性部材からなり、
第1シート部材に発生する収縮力により筒状部の外周部が対応する導電性部材の内周部に接触するように構成してもよい。
【0018】
この発明に係るコネクタ組立体は、
上記のコネクタと、
コネクタが嵌合する相手側コネクタと
を備えるものである。
【0019】
この発明に係る着用品は、上記のコネクタが装着されている実装対象物としての着用品である。
【0020】
ユーザの身体の一部が挿入される筒状またはリング状の周回部分を有し、
コネクタは、周回部分の周方向を所定の方向として周回部分に装着されていることが好ましい。
第1シート部材を周回部分の内周面から外周面に通すためのスリットを有することが好ましい。
また、周回部分の内周面上に配置され且つコネクタの第1コンタクトおよび第2コンタクトに接続される複数の端末部材を備えることが好ましい。
端末部材として、電極またはセンサを用いることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、基端が実装対象物に実装され且つ少なくとも所定の方向に伸縮可能な第1シート部材の先端に第1コンタクトが保持され、第1コンタクトから所定の方向に離間して配置された第2コンタクトは、第2シート部材の先端、または、実装対象物に保持され、第1シート部材が所定の方向に弾性的に引き延ばされた状態で相手側コネクタに嵌合し、第1シート部材に発生する収縮力により、第1コンタクトおよび第2コンタクトが相手側コネクタの相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトにそれぞれ電気的に接続されるので、実装対象物に実装され且つ相手側コネクタに嵌合するだけで、実装対象物の締め付けと電気的接続の双方を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係るコネクタが実装された衣服を示す図である。
図2】衣服に実装された実施の形態1に係るコネクタの第1コネクタ部材を示す図である。
図3】実施の形態1で用いられる第1コネクタ部材を示す斜視図である。
図4】実施の形態1で用いられる第1コネクタ部材を示す平面図である。
図5】衣服に実装された実施の形態1に係るコネクタの第2コネクタ部材を示す図である。
図6】実施の形態1で用いられる第2コネクタ部材を示す斜視図である。
図7】実施の形態1に係るコネクタの衣服の外側面に露出している部分を示す図である。
図8】実施の形態1で用いられる相手側コネクタを示す斜視図である。
図9】実施の形態1で用いられる相手側コネクタの相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトを示す断面図である。
図10】実施の形態1に係るコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す部分平面図である。
図11図10のA-A線断面図である。
図12】実施の形態1に係るコネクタが実装され且つコネクタに相手側コネクタが嵌合された状態の衣服を示す図である。
図13】実施の形態2で用いられる第1コネクタ部材を示す斜視図である。
図14】実施の形態2で用いられる第2コネクタ部材を示す斜視図である。
図15】実施の形態2で用いられる相手側コネクタを示す斜視図である。
図16】実施の形態2におけるコネクタと相手側コネクタの第1の嵌合状態を示す平面図である。
図17】実施の形態2におけるコネクタと相手側コネクタの第2の嵌合状態を示す平面図である。
図18】実施の形態3におけるコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す部分平面図である。
図19】実施の形態4に係るコネクタが実装された衣服を示す図である。
図20】実施の形態4におけるコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す部分平面図である。
図21】実施の形態5におけるコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す部分平面図である。
図22】実施の形態5で用いられる第1コンタクトおよび第2コンタクトを示す斜視図である。
図23】実施の形態5で用いられる相手側コネクタを示す斜視図である。
図24図21のB-B線断面図である。
図25】従来の締め付け装置が取り付けられた衣服を示す正面図である。
図26】従来の締め付け装置が取り付けられた衣服を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係るコネクタ11が取り付けられた衣服Gを示す。衣服Gは、ユーザが身につける、いわゆるシャツ等のトップスであり、ユーザの胴部が挿入される胴回りからなる筒状の周回部分G1に、衣服側コネクタとして使用されるコネクタ11が配置されている。
【0024】
コネクタ11は、衣服Gの前身頃に取り付けられており、互いに周回部分G1の周方向に間隔を隔てて配置された第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31により構成されている。
また、衣服Gの周回部分G1の内周面上、すなわち、ユーザが衣服Gを着用した際にユーザの身体に対向する衣服Gの内側面上に、端末部材を構成する複数の電極G2が取り付けられている。
【0025】
さらに、周回部分G1の内周面上には、複数の電極G2と第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31の間に、複数の第1配線部W1および複数の第2配線部W2が配置されている。具体的には、複数の電極G2のうち、一部の電極G2は、第1配線部W1を介して第1コネクタ部材21に接続され、残りの電極G2は、第2配線部W2を介して第2コネクタ部材31に接続されている。
【0026】
ここで、便宜上、図1における衣服Gの前身頃がXY面に沿って延び、第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31がX方向に間隔を隔てて配置され、XY面に垂直で且つ前身頃から衣服Gの前方へ向かう方向を+Z方向と呼ぶことにする。
衣服Gを正面から見たときに、第1コネクタ部材21の-X方向側に第2コネクタ部材31が配置されている。
【0027】
図2に示されるように、第1コネクタ部材21は、XY面に沿い且つ+X方向から-X方向に向かって延びる絶縁性の第1シート部材22を有している。また、衣服Gの周回部分G1には、第1コネクタ部材21に対応し且つY方向に延びるスリットG3が形成されており、第1シート部材22がスリットG3に通されることにより、第1コネクタ部材21の+X方向側部分は、衣服Gの周回部分G1の内周面側に位置し、第1コネクタ部材21の-X方向側部分は、衣服Gの周回部分G1の外周面側に位置している。
【0028】
図3に示されるように、+X方向から-X方向に向かって延びる第1シート部材22は、第1シート部材22の+X方向側の基端に区画され且つ衣服Gに実装される実装部MPと、第1シート部材22の-X方向側の先端に区画され且つ相手側コネクタ12に嵌合する嵌合部FPを有している。
【0029】
第1シート部材22には、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン23が形成されている。刺繍パターン23は、実装部MPから嵌合部FPにまで延びており、刺繍パターン23を形成する刺繍糸として導電糸を使用することで、導電性を有する複数の第1フレキシブル導体24が形成されている。
それぞれの第1フレキシブル導体24は、第1シート部材22の嵌合部FPに配置され且つX方向に延びる直線状の第1接続部24Aと、第1シート部材22の実装部MPに配置された矩形の第2接続部24Bと、第1接続部24Aおよび第2接続部24Bを互いにX方向に連結する連結部24Cを有している。
【0030】
第1コネクタ部材21は、第1シート部材22の嵌合部FPに取り付けられ且つ複数の第1フレキシブル導体24の第1接続部24Aに電気的に接続された複数の第1コンタクト25を有している。複数の第1コンタクト25は、嵌合部FPにおいてY方向に配列され、Y方向に延びるコンタクト列R2を形成している。
それぞれの第1コンタクト25は、金属等からなるリング状、具体的には、いわゆるドーナツ形状の導電性部材であり、対応する第1フレキシブル導体24の第1接続部24Aが配置される部分の第1シート部材22に形成されたシート側貫通孔22Aの周縁部に取り付けられている。第1コンタクト25としては、例えば、いわゆる「ハトメ」と呼ばれるリング状金具を用いることができる。
【0031】
第1シート部材22は、例えば、絶縁性の布地、編地またはゴム材から形成され且つフレキシブルで少なくともX方向に伸縮可能な部材であり、図4に2点鎖線で示されるように、第1シート部材22-X方向側の先端に-X方向の引っ張り力を作用させることにより、コンタクト列R2に位置する複数の第1コンタクト25を-X方向に変位させることができる。第1コンタクト25の変位量dLは、第1シート部材22に作用する引っ張り力に応じて変化し、X方向に弾性的に引き延ばされた第1シート部材22には、変位量dLに応じた収縮力が発生する。
また、第1フレキシブル導体24が刺繍糸により形成されていることから、X方向に延びる第1フレキシブル導体24も、X方向に伸縮可能に構成されている。
【0032】
図2に示されるように、第1コネクタ部材21の+X方向側の基端は、衣服Gの周回部分G1の内周面側に位置しており、複数の第1フレキシブル導体24の第2接続部24Bは、周回部分G1の内周面側において、それぞれ対応する第1配線部W1に電気的に接続され、さらに、第1配線部W1を介して対応する電極G2に電気的に接続されている。
また、第1コネクタ部材21の-X方向側の先端は、衣服Gの周回部分G1の外周面側に位置しており、複数の第1コンタクト25は、周回部分G1の外周面側に露出している。
【0033】
図5に示されるように、第2コネクタ部材31は、XY面に沿い且つ-X方向から+X方向に向かって延びる絶縁性の第2シート部材32を有している。また、衣服Gの周回部分G1には、第2コネクタ部材31に対応し且つY方向に延びるスリットG4が形成されており、第2シート部材32がスリットG4に通されることにより、第2コネクタ部材31の-X方向側部分は、衣服Gの周回部分G1の内周面側に位置し、第2コネクタ部材31の+X方向側部分は、衣服Gの周回部分G1の外周面側に位置している。
【0034】
第2コネクタ部材31は、第1コネクタ部材21と同様の構成を有している。すなわち、図6に示されるように、-X方向から+X方向に向かって延びる第2シート部材32は、第2シート部材32の-X方向側の基端に区画され且つ衣服Gに実装される実装部MPと、第2シート部材32の+X方向側の先端に区画され且つ相手側コネクタ12に嵌合する嵌合部FPを有している。
【0035】
第2シート部材32には、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン33が形成され、刺繍パターン33により導電性を有する複数の第2フレキシブル導体34が形成されている。
それぞれの第2フレキシブル導体34は、第2シート部材32の嵌合部FPに配置され且つX方向に延びる直線状の第1接続部34Aと、第2シート部材32の実装部MPに配置された矩形の第2接続部34Bと、第1接続部34Aおよび第2接続部34Bを互いにX方向に連結する連結部34Cを有している。
【0036】
第2コネクタ部材31は、第2シート部材32の嵌合部FPに取り付けられ且つ複数の第2フレキシブル導体34の第1接続部34Aに電気的に接続された複数の第2コンタクト35を有している。複数の第2コンタクト35は、嵌合部FPにおいてY方向に配列され、Y方向に延びるコンタクト列R3を形成している。
それぞれの第2コンタクト35は、第1コネクタ部材21の第1コンタクト25と同一の構成を有するドーナツ形状の導電性部材であり、第2シート部材32に形成されたシート側貫通孔32Aの周縁部に取り付けられている。
ドーナツ形状の第1コンタクト25と第2コンタクト35は、互いに同一の内径を有している。
【0037】
第2シート部材32は、第1コネクタ部材21の第1シート部材22と同様に、例えば、絶縁性の布地、編地またはゴム材から形成され且つフレキシブルで少なくともX方向に伸縮可能な部材であり、第2シート部材32の+X方向側の先端に+X方向の引っ張り力を作用させることにより、コンタクト列R3に位置する複数の第2コンタクト35が変位し、X方向に弾性的に引き延ばされた第2シート部材32にX方向の収縮力が発生する。
また、第2フレキシブル導体34が刺繍糸により形成されていることから、X方向に延びる第2フレキシブル導体34も、X方向に伸縮可能に構成されている。
【0038】
図5に示されるように、第2コネクタ部材31の-X方向側の基端は、衣服Gの周回部分G1の内周面側に位置しており、複数の第2フレキシブル導体34の第2接続部34Bは、周回部分G1の内周面側において、それぞれ対応する第2配線部W2に電気的に接続され、さらに、第2配線部W2を介して対応する電極G2に電気的に接続されている。
また、第2コネクタ部材31の+X方向側の先端は、衣服Gの周回部分G1の外周面側に位置しており、複数の第2コンタクト35は、周回部分G1の外周面側に露出している。
【0039】
衣服Gおよびコネクタ11に重力以外の外力が作用しない状態においては、図7に示されるように、衣服Gの周回部分G1の外周面側に露出している第1コネクタ部材21のコンタクト列R2と第2コネクタ部材31のコンタクト列R3は、互いにX方向に距離L1だけ離間している。
【0040】
図1に示される衣服Gの周回部分G1の内周面上に取り付けられている電極G2は、衣服Gを着用するユーザの生体情報を取得するためのもので、金属材料により形成することができるが、導電糸の織り込み、または、編み込みにより形成することもでき、さらに、絶縁性樹脂フィルムの表面上に印刷等により導電層が形成された電極G2を用いてもよい。
【0041】
また、衣服Gの周回部分G1の内周面上において、第1コネクタ部材21の第1フレキシブル導体24の第2接続部24Bと対応する電極G2との間を接続する第1配線部W1、および、第2コネクタ部材31の第2フレキシブル導体34の第2接続部34Bと対応する電極G2との間を接続する第2配線部W2として、導電糸を織り込む、または、編み込むことにより形成される繊維配線を用いることができる。あるいは、第1配線部W1および第2配線部W2として、絶縁性樹脂フィルムの表面上に印刷等により導電層が形成されたものを使用してもよい。
【0042】
図8に、コネクタ11に嵌合する相手側コネクタ12を示す。相手側コネクタ12は、剛性を有する絶縁性のハウジング13と、ハウジング13に保持された複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15を備えており、モジュール側コネクタとして使用される。
ハウジング13は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた平面状のコネクタ対向面13Aを有し、複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15は、それぞれ、コネクタ対向面13Aから+Z方向に突出している。
【0043】
複数の相手側第1コンタクト14は、ハウジング13の+X方向側部分においてY方向に配列され、Y方向に延びるコンタクト列R11を形成している。複数の相手側第2コンタクト15は、ハウジング13の-X方向側部分においてY方向に配列され、複数の相手側第1コンタクト14によるコンタクト列R11から-X方向に距離L2だけ離間した位置に、Y方向に延びるコンタクト列R12を形成している。
なお、コンタクト列R11およびR12の間のX方向の距離L2は、衣服Gおよびコネクタ11に重力以外の外力が作用しない状態における第1コネクタ部材21のコンタクト列R2と第2コネクタ部材31のコンタクト列R3の間のX方向の距離L1よりも短い値に設定されている。
【0044】
相手側第1コンタクト14および相手側第2コンタクト15は、互いに同一の構成を有しており、図9に示されるように、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部S1と、筒状部S1の-Z方向端部からXY面に沿って延びるフランジS2を有している。筒状部S1の+Z方向端部には、+Z方向に向かって先細りとなる円錐形状の誘い部S3が形成され、誘い部S3の-Z方向端部に、筒状部S1よりも径方向に張り出す環状の張り出し部S4が形成されている。張り出し部S4の外径は、第1コネクタ部材21のドーナツ形状の第1コンタクト25および第2コネクタ部材31のドーナツ形状の第2コンタクト35の内径よりも小さく設定されており、筒状部S1および誘い部S3は、ドーナツ形状の第1コンタクト25および第2コンタクト35に挿入可能に形成されている。
【0045】
コネクタ11を相手側コネクタ12に嵌合する際には、まず、ユーザが衣服Gを着用し、第1コネクタ部材21と第2コネクタ部材31の間に相手側コネクタ12を位置させる。
さらに、衣服Gの周回部分G1の外周面側に露出している第1コネクタ部材21の第1シート部材22の-X方向端部と第2コネクタ部材31の第2シート部材32の+X方向端部を互いに近接するように引っ張ることにより、第1コネクタ部材21の複数の第1コンタクト25が相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14の+Z方向側に位置し且つ第2コネクタ部材31の複数の第2コンタクト35が相手側コネクタ12の複数の相手側第2コンタクト15の+Z方向側に位置するまで、第1シート部材22および第2シート部材32がそれぞれX方向に引き伸ばされる。
【0046】
この状態で、第1コネクタ部材21の第1シート部材22の嵌合部FPおよび第2コネクタ部材31の第2シート部材32の嵌合部FPを、+Z方向から相手側コネクタ12のハウジング13のコネクタ対向面13Aに向けて-Z方向に移動させることにより、図10に示されるように、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14がそれぞれ第1コネクタ部材21の対応するドーナツ形状の第1コンタクト25に挿入されて嵌め合わされ、また、相手側コネクタ12の複数の相手側第2コンタクト15がそれぞれ第2コネクタ部材31の対応するドーナツ形状の第2コンタクト35に挿入されて嵌め合わされる。
【0047】
その後、第1コネクタ部材21の第1シート部材22および第2コネクタ部材31の第2シート部材32に作用していたX方向の引っ張り力を解除すると、第1シート部材22および第2シート部材32がX方向に収縮し、第1コネクタ部材21の複数の第1コンタクト25および第2コネクタ部材31の複数の第2コンタクト35が、それぞれ、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15に電気的に接続され、コネクタ11は相手側コネクタ12に嵌合される。
【0048】
このようにして互いに嵌合したコネクタ11および相手側コネクタ12を図11に示す。相手側コネクタ12のハウジング13内には、モジュール基板17が内蔵されており、複数の相手側第1コンタクト14のフランジS2および複数の相手側第2コンタクト15のフランジS2がモジュール基板17上に実装されている。
【0049】
相手側第1コンタクト14の筒状部S1および誘い部S3がハウジング13の貫通孔13Bを通してコネクタ対向面13Aから+Z方向に突出し、第1コネクタ部材21の対応するドーナツ形状の第1コンタクト25に挿入された状態で、第1シート部材22に作用していた引っ張り力の解除に起因して、第1シート部材22に収縮力が発生する。
同様に、相手側第2コンタクト15の筒状部S1および誘い部S3がハウジング13の貫通孔13Bを通してコネクタ対向面13Aから+Z方向に突出し、第2コネクタ部材31の対応するドーナツ形状の第2コンタクト35に挿入された状態で、第2シート部材32に作用していた引っ張り力の解除に起因して、第2シート部材32に収縮力が発生する。
【0050】
これにより、第1コネクタ部材21の第1コンタクト25の-X方向側の内周部が、相手側コネクタ12の相手側第1コンタクト14の-X方向側の外周部に所定の接触圧で接触し、また、第2コネクタ部材31の第2コンタクト35の+X方向側の内周部が、相手側コネクタ12の相手側第2コンタクト15の+X方向側の外周部に所定の接触圧で接触する。
その結果、第1コネクタ部材21の複数の第1コンタクト25は、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14にそれぞれ電気的に接続され、また、第2コネクタ部材31の複数の第2コンタクト35は、相手側コネクタ12の複数の相手側第2コンタクト15にそれぞれ電気的に接続されることとなる。
【0051】
図2に示されるように、第1コネクタ部材21の複数の第1フレキシブル導体24の第2接続部24Bは、それぞれ、衣服Gの第1配線部W1を介して対応する電極G2に電気的に接続されている。
同様に、図5に示されるように、第2コネクタ部材31の複数の第2フレキシブル導体34の第2接続部34Bは、それぞれ、衣服Gの第2配線部W2を介して対応する電極G2に電気的に接続されている。
【0052】
その結果、コネクタ11の複数の第1コンタクト25および複数の第2コンタクト35を介して、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15を、衣服Gの周回部分G1の内周面側に配置された複数の電極G2にそれぞれ電気的に接続することが可能となる。
従って、相手側コネクタ12に内蔵されているモジュール基板17に所定の電子回路を搭載することで、複数の電極G2を介して取得されたユーザの生体情報を電子回路により計測する、あるいは、電子回路から遠隔の計測装置に伝送することができる。
【0053】
また、相手側コネクタ12のコンタクト列R11およびR12の間のX方向の距離L2は、衣服Gおよびコネクタ11に重力以外の外力が作用しない状態における第1コネクタ部材21のコンタクト列R2と第2コネクタ部材31のコンタクト列R3の間のX方向の距離L1よりも短い値に設定されているため、相手側コネクタ12に嵌合しているコネクタ11においては、第1シート部材22および第2シート部材32がそれぞれX方向に引き伸ばされた状態にある。
【0054】
このため、第1シート部材22および第2シート部材32にそれぞれX方向の収縮力が作用し、これにより、第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31が取り付けられている衣服Gの周回部分G1が締め付けられ、図12に示されるように、周回部分G1における周の長さが短くなる。
その結果、衣服Gを着用しているユーザの身体に対して、衣服Gの周回部分G1の内周面側に配置されている複数の電極G2を密着させることができる。
【0055】
このように、実施の形態1に係るコネクタ11を衣服Gに実装し、コネクタ11に相手側コネクタ12を嵌合するだけで、衣服Gに取り付けられた複数の電極G2と相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15との電気的接続と、衣服Gの締め付けの双方を行うことができる。すなわち、衣服Gを着用するユーザの生体情報を精度よく取得して、モジュール側コネクタとしての相手側コネクタ12により電気的な処理を行うことが可能となる。
【0056】
また、ユーザの生体情報の取得を行わない場合は、衣服Gから相手側コネクタ12を取り外してコネクタ11と相手側コネクタ12の嵌合を解除することにより、衣服Gは、図1に示される初期の状態に戻り、締め付け感のない緩い衣服となる。
【0057】
なお、上記の実施の形態1では、第1シート部材22の複数の第1フレキシブル導体24の第2接続部24Bおよび第2シート部材32の複数の第2フレキシブル導体34の第2接続部34Bが、衣服Gの周回部分G1の内周面側において、それぞれ対応する第1配線部W1および第2配線部W2に電気的に接続されているが、これに限るものではない。
例えば、第1シート部材22の複数の第1フレキシブル導体24の第2接続部24Bおよび第2シート部材32の複数の第2フレキシブル導体34の第2接続部34Bを、衣服Gの周回部分G1の外周面側に配置し、それぞれ、導電糸を用いた縫合により、周回部分G1の内周面側に配置されている第1配線部W1および第2配線部W2に電気的に接続することもできる。この場合、衣服Gの周回部分G1に形成されるスリットG3およびG4は不要となる。
【0058】
実施の形態2
実施の形態1に係るコネクタ11においては、衣服Gに実装され且つ相手側コネクタ12に嵌合するだけで、複数の第1コンタクト25および複数の第2コンタクト35と相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15の間に接触力が付与され、且つ、衣服Gの周回部分G1に締め付け力が付与されることとなるが、さらに、付与する接触力および締め付け力を調整可能とすることもできる。
【0059】
図13に、実施の形態2に係るコネクタ41で用いられる第1コネクタ部材51を示す。第1コネクタ部材51は、XY面に沿って延びる絶縁性の第1シート部材52を有している。第1シート部材52は、第1シート部材52の+X方向側の基端に区画された実装部MPと、第1シート部材52の-X方向側の先端に区画された嵌合部FPを有している。
【0060】
第1シート部材52には、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン53が形成されており、刺繍パターン53を形成する刺繍糸として導電糸を使用することで、導電性を有する複数の第1フレキシブル導体54が形成されている。それぞれの第1フレキシブル導体54は、実施の形態1における第1フレキシブル導体24と同様に、第1シート部材52の嵌合部FPに配置された第1接続部54Aと、第1シート部材52の実装部MPに配置された第2接続部54Bと、第1接続部54Aおよび第2接続部54Bを互いに連結する連結部54Cを有している。
【0061】
第1コネクタ部材51は、複数の第1フレキシブル導体54に対応し且つ第1シート部材52の嵌合部FPに取り付けられた複数の第1コンタクト55を有している。それぞれの第1コンタクト55は、互いにX方向に沿って間隔を隔てて配列された2つの第1コンタクト部分55Aを有しており、これら2つの第1コンタクト部分55Aは、いずれも、対応する第1フレキシブル導体54の第1接続部54Aに電気的に接続されている。
【0062】
複数の第1コンタクト55における-X方向側に配置された第1コンタクト部分55Aにより、Y方向に配列され且つY方向に延びる第1のコンタクト列R51が形成され、複数の第1コンタクト55における+X方向側に配置された第1コンタクト部分55Aにより、Y方向に配列され且つY方向に延びる第2のコンタクト列R52が形成されている。
【0063】
図14に、実施の形態2に係るコネクタ41で用いられる第2コネクタ部材61を示す。第2コネクタ部材61は、XY面に沿って延びる絶縁性の第2シート部材62を有している。第2シート部材62は、第2シート部材62の-X方向側の基端に区画された実装部MPと、第2シート部材62の+X方向側の先端に区画された嵌合部FPを有している。
【0064】
第2シート部材62には、刺繍糸により縫い表された刺繍パターン63が形成されており、刺繍パターン63を形成する刺繍糸として導電糸を使用することで、導電性を有する複数の第2フレキシブル導体64が形成されている。それぞれの第2フレキシブル導体64は、実施の形態1における第2フレキシブル導体34と同様に、第2シート部材62の嵌合部FPに配置された第1接続部64Aと、第2シート部材62の実装部MPに配置された第2接続部64Bと、第1接続部64Aおよび第2接続部64Bを互いに連結する連結部64Cを有している。
【0065】
第2コネクタ部材61は、複数の第2フレキシブル導体64に対応し且つ第2シート部材62の嵌合部FPに取り付けられた複数の第2コンタクト65を有している。それぞれの第2コンタクト65は、互いにX方向に沿って間隔を隔てて配列された2つの第2コンタクト部分65Aを有しており、これら2つの第2コンタクト部分65Aは、いずれも、対応する第2フレキシブル導体64の第1接続部64Aに電気的に接続されている。
【0066】
複数の第2コンタクト65における+X方向側に配置された第2コンタクト部分65Aにより、Y方向に配列され且つY方向に延びる第1のコンタクト列R61が形成され、複数の第2コンタクト65における-X方向側に配置された第2コンタクト部分65Aにより、Y方向に配列され且つY方向に延びる第2のコンタクト列R62が形成されている。
【0067】
第1シート部材52および第2シート部材62は、実施の形態1における第1シート部材22および第2シート部材32と同様に、例えば、絶縁性の布地、編地またはゴム材から形成され且つフレキシブルで少なくともX方向に伸縮可能な部材である。
【0068】
第1コンタクト55の2つの第1コンタクト部分55Aおよび第2コンタクト65の2つの第2コンタクト部分65Aは、それぞれ、実施の形態1における第1コンタクト25および第2コンタクト35と同様に、金属等からなるリング状、具体的には、ドーナツ形状の導電性部材であり、例えば、いわゆる「ハトメ」と呼ばれるリング状金具により形成することができる。
第1コンタクト部分55Aは、対応する第1フレキシブル導体54の第1接続部54Aが配置される部分の第1シート部材52に形成されたシート側貫通孔52Aの周縁部に取り付けられ、第2コンタクト部分65Aは、対応する第2フレキシブル導体64の第1接続部64Aが配置される部分の第2シート部材62に形成されたシート側貫通孔62Aの周縁部に取り付けられている。
【0069】
図15に、コネクタ41に嵌合する相手側コネクタ42を示す。相手側コネクタ42は、X方向に沿って細長く形成されている点以外は、実施の形態1における相手側コネクタ12と同様の構成を有している。すなわち、相手側コネクタ42は、剛性を有する絶縁性のハウジング43と、ハウジング43のXY面に沿って延び且つ+Z方向を向いたコネクタ対向面43Aから+Z方向に突出する複数の相手側第1コンタクト44および複数の相手側第2コンタクト45を有している。
【0070】
複数の相手側第1コンタクト44は、ハウジング43の+X方向側部分においてY方向に配列されることによりY方向に延びるコンタクト列R41を形成し、複数の相手側第2コンタクト45は、ハウジング43の-X方向側部分においてY方向に配列されることによりY方向に延びるコンタクト列R42を形成している。
相手側第1コンタクト44および相手側第2コンタクト45は、実施の形態1で用いられ且つ図9に示される相手側第1コンタクト14および相手側第2コンタクト15と同様の構成を有している。
【0071】
実施の形態2に係るコネクタ41においても、実施の形態1のコネクタ11と同様に、第1コネクタ部材51の第1シート部材52と第2コネクタ部材61の第2シート部材62をそれぞれX方向に引き伸ばし、この状態で、相手側コネクタ42の複数の相手側第1コンタクト44が、第1コネクタ部材51の複数の第1コンタクト55に嵌め合わされ、相手側コネクタ42の複数の相手側第2コンタクト45が、第2コネクタ部材61の複数の第2コンタクト65に嵌め合わされる。
その後、第1コネクタ部材51の第1シート部材52および第2コネクタ部材61の第2シート部材62に作用していたX方向の引っ張り力を解除することで、相手側コネクタ42がコネクタ41に嵌合する。
【0072】
ただし、第1コネクタ部材51の複数の第1コンタクト55は、それぞれ、互いにX方向に沿って間隔を隔てて配列された2つの第1コンタクト部分55Aを有しており、第1のコンタクト列R51と第2のコンタクト列R52を形成しているため、相手側コネクタ42の相手側第1コンタクト44を、第1のコンタクト列R51および第2のコンタクト列R52のうちいずれのコンタクト列の第1コンタクト部分55Aに挿入するかに応じて、コネクタ41と相手側コネクタ42の嵌合時に第1シート部材52に発生する収縮力が異なる。
【0073】
同様に、第2コネクタ部材61の複数の第2コンタクト65は、それぞれ、互いにX方向に沿って間隔を隔てて配列された2つの第2コンタクト部分65Aを有しており、第1のコンタクト列R61と第2のコンタクト列R62を形成しているため、相手側コネクタ42の相手側第2コンタクト45を、第1のコンタクト列R61および第2のコンタクト列R62のうちいずれのコンタクト列の第2コンタクト部分65Aに挿入するかに応じて、コネクタ41と相手側コネクタ42の嵌合時に第2シート部材62に発生する収縮力が異なる。
【0074】
例えば、図16に示されるように、相手側コネクタ42のコンタクト列R41を形成する複数の相手側第1コンタクト44を、第1コネクタ部材51の第1のコンタクト列R51を形成する複数の第1コンタクト部分55Aに嵌め合わせ、且つ、相手側コネクタ42のコンタクト列R42を形成する複数の相手側第2コンタクト45を、第2コネクタ部材61の第1のコンタクト列R61を形成する複数の第2コンタクト部分65Aに嵌め合わせることで、コネクタ41に相手側コネクタ42を嵌合することができる。
【0075】
この場合には、第1シート部材52および第2シート部材62のX方向の伸び量が比較的小さいため、第1シート部材52および第2シート部材62に発生する収縮力は比較的弱い。その結果、第1コンタクト部分55Aおよび第2コンタクト部分65Aと相手側第1コンタクト44および相手側第2コンタクト45が比較的弱い力で接触し、衣服Gの周回部分G1に比較的弱い締め付け力が作用することとなる。
【0076】
一方、例えば、図17に示されるように、相手側コネクタ42のコンタクト列R41を形成する複数の相手側第1コンタクト44を、第1コネクタ部材51の第2のコンタクト列R52を形成する複数の第1コンタクト部分55Aに嵌め合わせ、且つ、相手側コネクタ42のコンタクト列R42を形成する複数の相手側第2コンタクト45を、第2コネクタ部材61の第2のコンタクト列R62を形成する複数の第2コンタクト部分65Aに嵌め合わせることで、コネクタ41に相手側コネクタ42を嵌合することもできる。
【0077】
この場合には、第1シート部材52および第2シート部材62のX方向の伸び量が比較的大きいため、第1シート部材52および第2シート部材62に発生する収縮力は比較的強い。その結果、第1コンタクト部分55Aおよび第2コンタクト部分65Aと相手側第1コンタクト44および相手側第2コンタクト45が比較的強い力で接触し、衣服Gの周回部分G1に比較的強い締め付け力が作用することとなる。
【0078】
従って、衣服Gを着用するユーザの体格等に応じて、第1コネクタ部材51の第1のコンタクト列R51および第2のコンタクト列R52のうちの一方を選択し、且つ、第2コネクタ部材61の第1のコンタクト列R61および第2のコンタクト列R62のうちの一方を選択して、コネクタ41に相手側コネクタ42を嵌合させることにより、付与する接触力および締め付け力を調整することができる。
【0079】
なお、上記の実施の形態2では、第1コネクタ部材51が第1のコンタクト列R51および第2のコンタクト列R52を有し、第2コネクタ部材61が第1のコンタクト列R61および第2のコンタクト列R62を有しているが、第1コネクタ部材51および第2コネクタ部材61が、それぞれ3つ以上のコンタクト列を有するように構成してもよい。
また、第1コネクタ部材51が有するコンタクト列の本数と第2コネクタ部材61が有するコンタクト列の本数は、互いに同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0080】
実施の形態3
実施の形態1においては、図10および図11に示されるように、第1コンタクト25が露出している第1シート部材22の-X方向側部分と第2コンタクト35が露出している第2シート部材32の+X方向側部分の-Z方向側、すなわち、衣服G側に相手側コネクタ12のハウジング13が配置された状態でコネクタ11に相手側コネクタ12が嵌合しているが、これに限るものではない。
【0081】
例えば、図18に示されるように、第1シート部材22の-X方向側部分と第2シート部材32の+X方向側部分の+Z方向側、すなわち、衣服Gとは反対側に相手側コネクタ12を配置してコネクタ11に相手側コネクタ12を嵌合させる構成とすることもできる。
ただし、この場合、相手側コネクタ12は、相手側第1コンタクト14および相手側第2コンタクト15が-Z方向に向かって突出するように、姿勢をZ方向に関して反転させた状態で、+Z方向からコネクタ11に嵌合するものとする。
【0082】
実施の形態4
実施の形態1においては、複数の第1コンタクト25が第1コネクタ部材21の伸縮可能な第1シート部材22に保持され、複数の第2コンタクト35が第2コネクタ部材31の伸縮可能な第2シート部材32に保持されているが、これに限るものではない。
【0083】
図19に、実施の形態4に係るコネクタ11Aが取り付けられた衣服Gを示す。衣服Gは、実施の形態1で用いられたものと同一であり、筒状の周回部分G1の内周面上に複数の電極G2と第1配線部W1および第2配線部W2が配置されている。
コネクタ11Aは、実施の形態1に係るコネクタ11において、第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31のうち、第2コネクタ部材31を省略し、複数の第2コンタクト35を衣服Gの周回部分G1に保持させたものである。
複数の第2コンタクト35は、衣服Gの周回部分G1の内周面側において、複数の第2配線部W2に直接接続されている。
【0084】
実施の形態4のコネクタ11Aにおいては、図20に示されるように、第1コネクタ部材21の第1シート部材22の-X方向端部を-X方向に引っ張ることにより、第1シート部材22をX方向に引き伸ばし、この状態で、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14が、第1コネクタ部材21の複数の第1コンタクト25に嵌め合わされ、相手側コネクタ12の複数の相手側第2コンタクト15が、衣服Gの周回部分G1に保持されている複数の第2コンタクト35に嵌め合わされる。
その後、第1コネクタ部材21の第1シート部材22に作用していたX方向の引っ張り力を解除することで、相手側コネクタ12がコネクタ11Aに嵌合する。
【0085】
複数の第2コンタクト35が衣服Gに保持されていても、X方向に引き伸ばされた第1シート部材22に収縮力が発生し、これにより、複数の第1コンタクト25および複数の第2コンタクト35を、それぞれ、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14および複数の相手側第2コンタクト15に所定の接触圧で接触させ、また、コネクタ11Aが配置されている衣服Gの周回部分G1に締め付け力を作用させることが可能となる。
【0086】
なお、実施の形態1における第1コネクタ部材21および第2コネクタ部材31のうち、第1コネクタ部材21を省略し、複数の第1コンタクト25を衣服Gの周回部分G1に保持させてもよい。この場合、相手側コネクタ12の複数の相手側第1コンタクト14が、衣服Gの周回部分G1に保持されている複数の第1コンタクト25に挿入され、相手側コネクタ12の複数の相手側第2コンタクト15が、第2コネクタ部材31の複数の第2コンタクト35に挿入される。
【0087】
上記の実施の形態1~4では、第1コンタクト25、第2コンタクト35、第1コンタクト55の第1コンタクト部分55A、および、第2コンタクト65の第2コンタクト部分65Aが、それぞれ、いわゆるドーナツ形状を有しているが、ドーナツ形状に限らず、例えば、金属等からなる平板状で且つリング形状の導電性部材を用いることもできる。
【0088】
実施の形態5
図21に、実施の形態5に係るコネクタ71と相手側コネクタ72の嵌合状態を示す。コネクタ71は、それぞれ+Z方向に向かって突出する複数の第1コンタクト85を有する第1コネクタ部材81と、それぞれ+Z方向に向かって突出する複数の第2コンタクト95を有する第2コネクタ部材91を備えている。
【0089】
第1コネクタ部材81は、XY面に沿って延びる絶縁性の第1シート部材82を有しており、第1シート部材82に導電糸を用いた複数の第1フレキシブル導体84が形成されている。複数の第1コンタクト85は、第1シート部材82に保持され且つ複数の第1フレキシブル導体84に接続されている。
【0090】
第2コネクタ部材91は、XY面に沿って延びる絶縁性の第2シート部材92を有しており、第2シート部材92に導電糸を用いた複数の第2フレキシブル導体94が形成されている。複数の第2コンタクト95は、第2シート部材92に保持され且つ複数の第2フレキシブル導体94に接続されている。
【0091】
第1シート部材82および第2シート部材92は、実施の形態1における第1シート部材22および第2シート部材32と同様に、例えば、絶縁性の布地、編地またはゴム材から形成され且つフレキシブルで少なくともX方向に伸縮可能な部材である。
【0092】
第1コンタクト85および第2コンタクト95は、図22に示されるように、+Z方向に延びる円筒形状の筒状部T1と、筒状部T1の-Z方向端部からXY面に沿って延びるフランジT2を有している。第1コンタクト85および第2コンタクト95は、フランジT2を部分的に第1シート部材82および第2シート部材92に貫通させ且つ-Z方向側に屈曲させることで、第1シート部材82および第2シート部材92に保持され、対応する第1フレキシブル導体84および第2フレキシブル導体94に電気的に接続されている。
また、筒状部T1の+Z方向端部には、+Z方向に向かって先細りとなる円錐形状の誘い部T3が形成されている。
【0093】
図23に示されるように、相手側コネクタ72は、剛性を有する絶縁性のハウジング73と、ハウジング73に保持された複数の相手側第1コンタクト74および複数の相手側第2コンタクト75を備えている。
ハウジング73は、XY面に沿って延び且つ-Z方向を向いた平面状のコネクタ対向面73Aを有し、複数の相手側第1コンタクト74および複数の相手側第2コンタクト75が、それぞれ、コネクタ対向面73Aから-Z方向に露出するようにハウジング73に保持されている。
【0094】
複数の相手側第1コンタクト74は、ハウジング73の+X方向側部分においてY方向に配列されることによりY方向に延びるコンタクト列R8を形成し、複数の相手側第2コンタクト75は、ハウジング73の-X方向側部分においてY方向に配列されることによりY方向に延びるコンタクト列R9を形成している。
相手側第1コンタクト74および相手側第2コンタクト75は、金属等からなる平板状で且つリング形状の導電性部材であり、相手側第1コンタクト74および相手側第2コンタクト75の中心に、第1コンタクト85および第2コンタクト95の筒状部T1および誘い部T3が挿入可能な貫通孔が形成されている。
【0095】
コネクタ71を相手側コネクタ72に嵌合する際には、実施の形態1と同様に、まず、第1コネクタ部材81の第1シート部材82の-X方向端部と第2コネクタ部材91の第2シート部材92の+X方向端部を互いに近接するように引っ張ることにより、第1シート部材82および第2シート部材92がそれぞれX方向に引き伸ばされる。
この状態で、第1コネクタ部材81の複数の第1コンタクト85の筒状部T1および誘い部T3が、相手側コネクタ72の複数のリング状の相手側第1コンタクト74に挿入され、第2コネクタ部材91の複数の第2コンタクト95の筒状部T1および誘い部T3が、相手側コネクタ72の複数のリング状の相手側第2コンタクト75に挿入される。
【0096】
その後、第1コネクタ部材81の第1シート部材82および第2コネクタ部材91の第2シート部材92に作用していたX方向の引っ張り力を解除すると、第1シート部材82および第2シート部材92がX方向に収縮し、第1コネクタ部材81の複数の第1コンタクト85および第2コネクタ部材91の複数の第2コンタクト95が、それぞれ、相手側コネクタ72の複数の相手側第1コンタクト74および複数の相手側第2コンタクト75に電気的に接続され、コネクタ71は相手側コネクタ72に嵌合される。
【0097】
このようにして互いに嵌合したコネクタ71および相手側コネクタ72を図24に示す。第1シート部材82および第2シート部材92がX方向に収縮することで、第1コネクタ部材81の第1コンタクト85の筒状部T1の+X方向側の外周部が、相手側コネクタ72のリング状の相手側第1コンタクト74の+X方向側の内周部に所定の接触圧で接触し、また、第2コネクタ部材91の第2コンタクト95の筒状部T1の-X方向側の外周部が、相手側コネクタ72のリング状の相手側第2コンタクト75の-X方向側の内周部に所定の接触圧で接触する。
【0098】
その結果、第1コネクタ部材81の複数の第1コンタクト85および第2コネクタ部材91の複数の第2コンタクト95は、相手側コネクタ72の複数の相手側第1コンタクト74および相手側第2コンタクト75にそれぞれ電気的に接続されることとなる。
また、第1シート部材82および第2シート部材92がX方向に収縮することで、コネクタ71が配置されている衣服Gの周回部分G1に締め付け力が作用する。
【0099】
このように、+Z方向に向かって突出する複数の第1コンタクト85および複数の第2コンタクト95が、それぞれ、第1コネクタ部材81の伸縮可能な第1シート部材82および第2コネクタ部材91の伸縮可能な第2シート部材92に取り付けられ、且つ、複数のリング状の相手側第1コンタクト74および複数のリング状の相手側第2コンタクト75が相手側コネクタ72の剛性を有するハウジング73に配置されていても、実施の形態1のコネクタ11と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0100】
なお、上記の実施の形態1~5におけるコネクタ11、11A、41、71における複数の第1コンタクト25、55、85の個数および複数の第2コンタクト35、65、95の個数、相手側コネクタ12、42、72における複数の相手側第1コンタクト14、44、74の個数および複数の相手側第2コンタクト15、45、75の個数は、特に限定されるものではなく、コネクタの1つ以上の第1コンタクトおよび第2コンタクトが、相手側コネクタの1つ以上の相手側第1コンタクトおよび相手側第2コンタクトに接続される構成を有していればよい。
【0101】
上記の実施の形態1~5では、衣服Gの周回部分G1の内周面上に取り付けられた電極G2が、端末部材としてコネクタ11、11A、41、71に接続されているが、ユーザの生体情報を取得するための各種のセンサを端末部材として用いることもできる。コネクタ11、11A、41、71に相手側コネクタ12、42、72を嵌合することで、衣服Gの周回部分G1に締め付け力を作用させて、端末部材としてのセンサをユーザの身体に密着させることができ、生体情報を精度よく取得することが可能となる。
【0102】
また、上記の実施の形態1~5では、コネクタ11、11A、41、71が、実装対象物としての衣服Gに実装されているが、実装対象物は、衣服Gに限るものではなく、各種の実装対象物に実装することができる。
例えば、腹巻き、ヘッドバンド、リストバンド等、ユーザの身体の一部が挿入される筒状またはリング状の周回部分を有する着用品を実装対象物として、コネクタ11、11A、41、71を実装することで、効果的に締め付け力を作用させ、着用品に取り付けられた端末部材をユーザの身体に密着させることができる。また、ユーザの足に着用する靴を実装対象物として、コネクタ11、11A、41、71を実装することで、足の甲の回りに締め付け力を作用させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0103】
1 前身頃、2,4,5 自着性テープ、3 後身頃、11,11A,41,71 コネクタ、12,42,72 相手側コネクタ、13,43,73 ハウジング、13A,43A,73A コネクタ対向面、13B 貫通孔、14,44,74 相手側第1コンタクト、15,45,75 相手側第2コンタクト、21,51,81 第1コネクタ部材、22,52,82 第1シート部材、22A,32A,52A,62A シート側貫通孔、23,33,53,63 刺繍パターン、24,54,84 第1フレキシブル導体、24A,34A,54A,64A 第1接続部、24B,34B,54B,64B 第2接続部、24C,34C,54C,64C 連結部、25,55,85 第1コンタクト、31,61,91 第2コネクタ部材、32,62,92 第2シート部材、34,64,94 第2フレキシブル導体、35,65,95 第2コンタクト、55A 第1コンタクト部分、65A 第2コンタクト部分、G 衣服、G1 周回部分、G2 電極、G3,G4 スリット、W1 第1配線部、W2 第2配線部、MP 実装部、FP 嵌合部、R2,R3,R8,R9,R11,R12,R41,R42,R51,R52,R61,R62 コンタクト列、dL 変位量、L1,L2 距離、S1,T1 筒状部、S2,T2 フランジ、S3,T3 誘い部、S4 張り出し部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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