(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165767
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】メンテナンス管理方法、メンテナンス管理システム、及びメンテナンス管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241121BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082250
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】古市 光洋
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC15
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作物の種類に応じて、メンテナンスを行うべきメンテナンス部位を決定する。
【解決手段】メンテナンス管理方法は、収穫機30が実際に稼働した実稼働時間と、収穫機30が収穫した作物の種類とに基づき、収穫機30に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することを含む。また、メンテナンス管理方法は、メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することを含む。メンテナンス部位を決定することは、実稼働時間と、作物の種類とに基づき、収穫機30に設けられた部位において、作物の種類に応じた負荷に対応する稼働時間を表す稼働時間を決定することを含んでもよい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することと、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することと、
を含むメンテナンス管理方法。
【請求項2】
前記メンテナンス部位を決定することは、
前記実稼働時間と、前記作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた前記部位において、前記作物の種類に応じた負荷に対応する稼働時間を表す仮想稼働時間を決定することと、
前記仮想稼働時間に基づき、前記メンテナンス部位を決定することと、
を含む請求項1に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項3】
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機が収穫した1以上の作物の種類のうち、収穫していた時間が最も長い作物の種類を表す主要作物を決定することと、
前記1以上の作物の種類のうち前記主要作物以外に関する情報を用いず、前記実稼働時間と、前記主要作物とに基づき、前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む請求項2に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項4】
前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することは、
前記実稼働時間に基づき、前記主要作物に応じた関数を用いて前記仮想稼働時間を決定すること
を含む請求項3に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項5】
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機により収穫された1以上の作物の種類ごとに前記収穫機が実際に稼働した1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類ごとに応じた負荷に対応する1以上の部分仮想稼働時間を決定することと、
前記1以上の部分仮想稼働時間に基づき、前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む請求項2に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項6】
前記1以上の部分仮想稼働時間を決定することは、
前記1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類に応じた1以上の関数を用いて前記1以上の部分仮想稼働時間を決定すること
を含む請求項5に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項7】
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機が収穫した1以上の作物の種類のうち、収穫していた時間が最も長い作業の種類を表す主要作物を決定することと、
前記実稼働時間に対する前記主要作物を収穫していた時間の比率が閾値より大きいとき、前記1以上の作物の種類のうち前記主要作物以外を用いず、前記実稼働時間と、前記主要作物とに基づき、前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することと、
前記実稼働時間に対する前記主要作物を収穫していた時間の比率が閾値以下のとき、
前記収穫機により収穫された1以上の作物の種類ごとに前記収穫機が稼働した1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類ごとに応じた負荷に対応する1以上の部分仮想稼働時間を決定し、
前記1以上の部分仮想稼働時間に基づき、前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む請求項2に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項8】
前記作物の種類に基づき、前記メンテナンス部位に含まれる複数の部品のうち、消耗している部品を決定することをさらに含み、
前記メンテナンス情報は、前記消耗している部品を表す情報を含む
請求項1から7のいずれか1項に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項9】
前記収穫機により収穫された時期に基づき、前記収穫機により収穫された前記作物の種類を決定することをさらに含む
請求項1から7のいずれか1項に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項10】
前記収穫機の稼働情報に基づき、前記収穫機により収穫された前記作物の種類を決定することをさらに含む
請求項1から7のいずれか1項に記載のメンテナンス管理方法。
【請求項11】
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定するメンテナンス部位決定部と、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力する出力部と、
を備えるメンテナンス管理システム。
【請求項12】
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することと、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することと、
を演算装置に実行させるメンテナンス管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス管理方法、メンテナンス管理システム、及びメンテナンス管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理を用いて、作業機械のメンテナンスを行う時期を決定することが研究されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、作業機械の各部位において、使用状況が加味された仮想稼働時間に応じて、メンテナンス時期を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、収穫機において、稼働時間が同じであっても、収穫する作物の種類に応じて消耗する部位が異なる。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、収穫された作物の種類に応じたメンテナンス時期を報知することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態によるメンテナンス管理方法は、収穫機(30)が実際に稼働した実稼働時間と、収穫機(30)が収穫した作物の種類とに基づき、収穫機(30)に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することを含む。また、メンテナンス管理方法は、メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態によるメンテナンス管理システム(1000)は、メンテナンス部位決定部(170)と、出力部(180)とを備える。メンテナンス部位決定部(170)は、収穫機(30)が実際に稼働した実稼働時間と、収穫機(30)が収穫した作物の種類とに基づき、収穫機(30)に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定する。出力部(180)は、メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態によるメンテナンス管理プログラム(430)は、収穫機(30)が実際に稼働した実稼働時間と、収穫機(30)が収穫した作物の種類とに基づき、収穫機(30)に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することを演算装置(120、220)に実行させる。また、メンテナンス管理プログラム(430)は、メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することを演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の形態によれば、作物の種類に応じて、メンテナンスを行うべきメンテナンス部位を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施の形態におけるメンテナンス管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態におけるメンテナンス時期データの構成を表す図である。
【
図3】一実施の形態におけるメンテナンス管理装置の構成を表す図である。
【
図4】一実施の形態における算出式データの構成を表す図である。
【
図5】一実施の形態におけるメンテナンス管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図6】一実施の形態における端末の構成を表す図である。
【
図7】一実施の形態におけるメンテナンス管理システムによる処理を表すフローチャートである。
【
図8】一実施の形態において、収穫機の動作情報から動作スコアを決定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態によるメンテナンス管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、メンテナンス管理システム1000は、メンテナンス管理装置100と、端末200とを備える。メンテナンス管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、1つ以上の収穫機30と通信可能に接続されている。
【0014】
例えば、収穫機30は、圃場500で作物を収穫しているときの収穫機30の状態を表す稼働情報を取得し、取得された稼働情報をメンテナンス管理システム1000、例えばメンテナンス管理装置100に送信する。例えば、収穫機30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機、量子コンパスなどを備え、各時刻の位置を表す位置情報を取得する。また、収穫機30は、実際に稼働した稼働時間を表す実稼働時間、例えばエンジンが起動してから停止するまでの時間を測定する。位置情報と、実稼働時間を表す時間情報とは、稼働情報に含まれ、メンテナンス管理システム1000に送信される。収穫機30は、例えば、収穫を行う作業機械と一体に形成されたコンバイン、収穫を行う作業機械を牽引するトラクターなどを含む。収穫機30には、作物を効率よく収穫するための取付装置、例えばトウモロコシ対応キット、トウモロコシ専用ヘッダなどが設けられてもよい。
【0015】
例えば、1つの収穫機30は、1つ以上の種類の作物を収穫する。例えば、1つの収穫機30が、第1圃場500-1と、栽培されている作物が第1圃場500-1の作物と異なる第2圃場500-2とにおいて、作物を収穫してもよい。
【0016】
メンテナンス管理システム1000は、圃場500で作物を収穫した収穫機30の各部位において、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定し、ユーザ、例えば作業者、収穫機30の所有者などにメンテナンス部位を報知する。例えば、
図2に示すように、収穫機30の各部位におけるメンテナンス時期は、稼働時間を用いて表されている。例えば、「部位A」は、稼働時間がメンテナンス時期に表される時間(例えば100時間、200時間、300時間など)に達したときにメンテナンスの対象となる。
【0017】
ここで、メンテナンス管理システム1000は、収穫された作物の種類と、収穫機30が実際に稼働した実稼働時間とに基づき、収穫機30の各部位における消耗度の指標を表す仮想稼働時間を決定する。メンテナンス管理システム1000は、仮想稼働時間がメンテナンス時期に達した部位をメンテナンス部位として決定する。
【0018】
このように、メンテナンス管理システム1000は、収穫された作物の種類に応じた負荷に対応する稼働時間を表す仮想稼働時間に基づき、メンテナンス部位を決定する。ここで、収穫機30の各部位は、収穫機30を構成する部品または部品の集まりを表し、例えば、圃場500の作物を刈り取る刈取部、刈り取った作物の脱穀を行う脱穀部、収穫機30を移動する走行部などを含む。
【0019】
また、収穫機30が出力する稼働情報は、収穫機30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況などを表す情報を含んでもよい。収穫機30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。また、収穫機30がモーターを備えるとき、稼働情報は、モーターの消費電力を含んでもよい。
【0020】
(メンテナンス管理システムの構成)
図1に示すメンテナンス管理システム1000のメンテナンス管理装置100の構成を説明する。メンテナンス管理装置100は、
図3に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。メンテナンス管理装置100は、例えば、クラウドサーバなどを含むコンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0021】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、収穫機30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0022】
記憶装置140は、メンテナンス情報をユーザに報知するための様々なデータ、例えばメンテナンス時期データ400と、算出式データ410と、作業実績データ420と、メンテナンス管理プログラム430とを格納する。記憶装置140は、メンテナンス管理プログラム430を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。メンテナンス管理プログラム430は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0023】
メンテナンス時期データ400は、
図2に示すように、収穫機30の各部位をメンテナンスする時期と、メンテナンスを行った回数とを表す。例えば、メンテナンス時期データ400は、部位ごとのメンテナンス時期を記憶する。メンテナンス時期は、例えば部位をメンテナンスするときの仮想稼働時間を表す。
図2において、「部位A」に表されたメンテナンス時期は、「部位A」に対応する仮想稼働時間が100時間、200時間、300時間であるときに「部位A」をメンテナンスすることを表す。「部位B」に表されたメンテナンス時期は、「部位B」に対応する仮想稼働時間が200時間、600時間、1000時間であるときに「部位B」をメンテナンスすることを表す。
【0024】
算出式データ410には、例えば、
図4に示すように、収穫された作物の種類に応じて、1つ以上の稼働係数k
iから部位ごとの部分仮想稼働時間を算出するための数式が記憶されている。例えば、仮想稼働時間は、収穫機30が収穫した作物の種類ごとに算出される部分仮想稼働時間を積算して決定される。1つ以上の稼働係数k
iは、稼働情報に基づき算出される。t
iは、対応する作物を収穫したときに収穫機30が稼働した時間を表す。
【0025】
例えば、収穫機30が「イネ」をt1時間だけ収穫したとき、部位Aの部分仮想稼働時間は関数fA1(ki、t1)により算出され、部位Bの仮想稼働時間は関数fB1(ki、t1)により算出され、部位Cの仮想稼働時間は関数fC1(ki、t1)により算出される。また、収穫機30が「ソバ」をt2時間だけ収穫したとき、部位Aの部分仮想稼働時間は関数fA2(ki、t2)により算出され、部位Bの仮想稼働時間は関数fB2(ki、t2)により算出され、部位Cの仮想稼働時間は関数fC2(ki、t2)により算出される。
【0026】
作業実績データ420は、1つ以上の収穫機30から取得した稼働情報を記憶する。稼働情報は、収穫機30の位置情報、例えば位置と時刻とに関連付けて記憶される。
【0027】
図1に示す演算装置120は、メンテナンス管理プログラム430を記憶装置140から読み出し実行して、メンテナンス部位を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0028】
演算装置120は、メンテナンス管理プログラム430を読み出し実行することで、
図5に示すように、作物決定部150と、データ記憶部160と、メンテナンス部位決定部170と、出力部180とを実現する。作物決定部150は、収穫機30により収穫された作物の種類を決定する。データ記憶部160は、メンテナンス時期データ400と、算出式データ410と、作業実績データ420とを記憶する。メンテナンス部位決定部170は、収穫された作物の種類と、収穫機30の実稼働時間とに基づき、メンテナンス部位を決定する。出力部180は、メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を端末200に出力する。
【0029】
メンテナンス部位決定部170は、仮想時間決定部171と、部位決定部172とを備える。仮想時間決定部171は、収穫された作物の種類と、収穫機30の実稼働時間とに基づき、収穫機30の各部位における仮想稼働時間を決定する。部位決定部172は、収穫機30の各部位における仮想稼働時間に基づき、メンテナンス部位を決定する。
【0030】
次に、
図1に示す端末200の構成を説明する。端末200は、
図6に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0031】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、メンテナンス管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号をメンテナンス管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0032】
記憶装置240は、メンテナンス情報をユーザに報知するための様々なデータ、例えば表示プログラム440を格納する。記憶装置240は、表示プログラム440を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム440は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0033】
演算装置220は、表示プログラム440を読み出し実行することで、
図5に示すように、入出力装置210と協働して、表示部250を実現する。表示部250は、メンテナンス管理装置100からメンテナンス情報を取得して、メンテナンス情報を入出力装置210に表示する。例えば、メンテナンス管理装置100が電子メールを用いてメンテナンス情報を報知するとき、表示部250は電子メールを閲覧するソフトウェアを含む。
【0034】
(メンテナンス管理システムの動作)
図1に示す収穫機30は、圃場500での作業を行うと、稼働情報をメンテナンス管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、収穫機30は、動力源、例えばエンジン、電動機などを停止したときに、動力源を起動してから停止するまでの稼働情報をメンテナンス管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、収穫機30の稼働情報を受信すると、メンテナンス管理プログラム430を読み出し実行する。メンテナンス管理プログラム430を実行することで、演算装置120は、メンテナンス管理方法である
図7に示す処理を開始する。メンテナンス管理装置100の演算装置120は、端末200の演算装置220から収穫機30の各部位のメンテナンス情報を要求する要求信号を受信したときに、メンテナンス管理プログラム430を読み出し実行してもよい。
【0035】
ステップS110において、演算装置120で実現される作物決定部150は、収穫された作物の種類を決定する。例えば、作物決定部150は、収穫機30が作物を収穫した時期、例えば収穫機30から稼働情報を受信した時期に基づき、収穫された作物の種類を決定する。例えば、作物決定部150は、収穫された時期に対応する作物の種類を表す情報を保持し、収穫機30が作物を収穫した時期に応じて、保持している情報から作物の種類を特定し、特定した作物の種類を収穫された作物の種類として決定する。例えば、作物決定部150は、収穫機30が5月に作物を収穫しているとき、収穫された作物の種類が「麦」であると決定する。
【0036】
また、作物決定部150は、収穫機30が作物を収穫した時期と、収穫した地域とに基づき、収穫された作物の種類を決定してもよい。例えば、作物決定部150は、収穫された時期と地域とに対応する作物の種類を表す情報を保持し、収穫機30が作物を収穫した時期と地域とに応じて、保持している情報から収穫された作物の種類を決定する。例えば、作物決定部150は、収穫機30が7月に北海道で作物を収穫しているとき、収穫された作物の種類が「麦」であると決定する。また、作物決定部150は、収穫機30が7月に中部地方で作物を収穫しているとき、収穫された作物の種類が「ソバ」であると決定する。なお、収穫機30が収穫した地域は、稼働情報に含まれる収穫機30の位置情報に基づき決定される。
【0037】
また、作物決定部150は、収穫機30が作物を収穫した時期と、収穫機30の稼働情報とに基づき、収穫された作物の種類を決定してもよい。例えば、作物決定部150は、収穫された時期と、稼働情報の少なくとも一部の情報とに対応する作物の種類を保持し、収穫機30が収穫した時期と稼働情報とに応じて、保持している情報から収穫された作物の種類を決定する。例えば、作物決定部150は、9月に収穫しているときの収穫機30のロータ回転数が閾値以下、例えば毎分300回であるとき、収穫された作物の種類が「ソバ」であると決定する。作物決定部150は、9月に収穫しているときの収穫機30のロータ回転数が閾値より大きい、例えば毎分700回であるとき、収穫された作物の種類が「イネ」であると決定する。また、作物決定部150は、9月に収穫しているときの収穫機30のエンジン負荷率が閾値以下、例えば30%であるとき、収穫された作物の種類が「ソバ」であると決定してもよい。作物決定部150は、9月に収穫しているときの収穫機30のエンジン負荷率が閾値より大きい、例えば50%であるとき、収穫された作物の種類が「イネ」であると決定してもよい。
【0038】
また、作物決定部150は、収穫機30の稼働情報に基づき、収穫された作物の種類を決定してもよい。例えば、作物決定部150は、稼働情報から収穫された作物の種類を決定するモデルを保持してもよい。例えば、保持されているモデルは、稼働情報から収穫された作物の種類を決定するように学習された学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)を含んでもよい。作物決定部150は、このモデルを用いて、稼働情報から収穫された作物の種類を決定してもよい。
【0039】
ステップS120において、データ記憶部160は、収穫機30から取得した稼働情報を作業実績データ420に記憶する。データ記憶部160は、稼働情報に基づき、収穫した作物の種類ごとに収穫機30が実際に稼働した部分実稼働時間を決定する。例えば、データ記憶部160は、稼働情報からエンジンを起動した起動時刻と停止した停止時刻とを抽出する。データ記憶部160は、抽出された起動時刻から停止時刻までの時間を、決定された作物の種類に対応する過去の部分実稼働時間に加算した時間を、作物の種類に対応する部分実稼働時間として決定する。部分実稼働時間は、対応する作物の種類を収穫するために、収穫機30が実際に稼働した時間を表す。
【0040】
また、データ記憶部160は、稼働情報を送信した収穫機30を特定する。例えば、データ記憶部160は、稼働情報から送信元の収穫機30を特定する。また、データ記憶部160は、稼働情報の送信元を表す情報から収穫機30を特定してもよい。
【0041】
決定された部分実稼働時間は、取得された稼働情報と、特定された収穫機30の識別子と関連付けられて、作業実績データ420に記憶される。
【0042】
ステップS130において、仮想時間決定部171は、作業実績データ420に基づき、圃場500での作業における収穫機30の動作情報を算出する。動作情報は、例えば、圃場500での作業における稼働情報に関する統計情報を表す。仮想時間決定部171は、例えば、複数の収穫機30のすべてにおける動作情報を算出する。例えば、仮想時間決定部171は、複数の収穫機30のすべてに対して、すべての圃場500で行われた作業における動作情報を算出する。
【0043】
例えば、動作情報は、所定のクラッチのON/OFF状況に関する統計情報を表すとき、圃場500での作業において、単位時間当たりに所定のクラッチがONであった(つながっていた)時間を表す。また、動作情報は、圃場500での作業において、所定のクラッチがONであった総時間を表してもよい。また、動作情報は、圃場500での作業において、所定のクラッチがOFFの状態からONの状態に変化した単位時間当たりの回数を表してもよい。動作情報は、これらの値のすべて、または、一部を含んでもよい。
【0044】
例えば、動作情報は、圃場500での作業における速度に関する統計情報を表すとき、圃場500での作業において、収穫機30の速度の平均値、最大値、最小値、中央値、分散などを表す。
【0045】
ステップS140において、仮想時間決定部171は、算出された動作情報に基づき、稼働係数kiを算出する。稼働係数kiは、動作情報の分布において、対象の収穫機30の動作情報の位置を表し、例えば、複数の収穫機30における動作情報の分布と、対象の収穫機30の動作情報とから数学的な計算処理により算出される。このため、稼働係数kiは、複数の収穫機30、例えば同型の収穫機30において、対象の収穫機30の動作情報の相対的な位置を表す。
【0046】
例えば、各収穫機30の動作情報の分布は、正規分布に近似すると仮定される。このため、仮想時間決定部171は、最初に、各収穫機30の動作情報の分布を標準化して、平均が0、かつ、分散が1の分布に変換する。具体的には、仮想時間決定部171は、各収穫機30の動作情報を式(1)により標準動作情報に変換する。
【数1】
ここで、xは動作情報を表し、x
sは標準化された動作情報である標準動作情報を表す。また、μは動作情報の平均を表し、αは動作情報の標準偏差を表す。
【0047】
なお、動作情報の平均μと標準偏差αとは、複数の収穫機30における動作情報のすべてを用いてもよく、一部を用いてもよい。例えば、仮想時間決定部171は、算出された動作情報のうち、除外条件を満たす動作情報を除外して、平均μと標準偏差αを算出してもよい。例えば、除外条件は、実稼働時間が閾値以下である収穫機30の動作情報であることを含む。この場合、実稼働時間が閾値以下である収穫機30の動作情報を除外して、平均μと標準偏差αとが算出される。また、除外条件は、動作情報が、所定の範囲に含まれることを含んでもよい。所定の範囲は、動作情報が上位から所定の割合、例えば5%を表す。また、所定の範囲は、動作情報が下位から所定の割合、例えば5%を表す。除外条件は、複数の条件を含み、複数の条件のうちいずれかを満たすことでもよい。
【0048】
次に、仮想時間決定部171は、標準動作情報に基づき、動作スコアを算出する。動作スコアは、
図8に示すように、複数の閾値のうち、標準動作情報を間に挟む隣接する2つの閾値を特定して、特定した2つの閾値により決定される。具体的には、標準動作情報がZ
1より小さいとき、動作スコアは「1」として算出される。標準動作情報がZ
1以上かつZ
2より小さいとき、動作スコアは「2」として算出される。標準動作情報がZ
2以上かつZ
3より小さいとき、動作スコアは「3」として算出される。標準動作情報がZ
3以上かつZ
4より小さいとき、動作スコアは「4」として算出される。標準動作情報がZ
4以上かつZ
5より小さいとき、動作スコアは「5」として算出される。標準動作情報がZ
5以上かつZ
6より小さいとき、動作スコアは「6」として算出される。標準動作情報がZ
6以上かつZ
7より小さいとき、動作スコアは「7」として算出される。標準動作情報がZ
7以上かつZ
8より小さいとき、動作スコアは「8」として算出される。標準動作情報がZ
8以上かつZ
9より小さいとき、動作スコアは「9」として算出される。標準動作情報がZ
9以上かつZ
10より小さいとき、動作スコアは「10」として算出される。標準動作情報がZ
10以上かつZ
11より小さいとき、動作スコアは「11」として算出される。標準動作情報がZ
11以上であるとき、動作スコアは「12」として算出される。
【0049】
Z1からZ11は、各動作スコアに割り当てられる標準動作情報に割り当てられる収穫機30の数量に基づき、設定される。例えば、Z1は、-1.65に設定され、動作スコアが「1」になる収穫機30の割合が5%になるように設定される。Z2は、-1.04に設定され、動作スコアが「2」になる収穫機30の割合が10%になるように設定される。Z3からZ11も、各動作スコアに含まれる収穫機30の割合が10%になるように設定される。例えば、Z3は-0.68を表し、Z4は-0.39を表し、Z5は-0.13を表し、Z6は0を表し、Z7は0.13を表し、Z8は0.39を表し、Z9は0.68を表し、Z10は1.04を表し、Z11は1.65を表す。
【0050】
次に、仮想時間決定部171は、算出された動作スコアに基づき、稼働係数を算出する。例えば、仮想時間決定部171は、動作スコアを正規化することで、稼働係数を算出する。仮想時間決定部171は、稼働係数の最大値と、最小値とが所定の値となるように正規化してもよい。具体的には、仮想時間決定部171は、式(2)により、稼働係数を算出する。
【数2】
ここで、k
iは収穫機30の動作情報のうち、識別子がiである動作情報に対する稼働係数を表す。X
iは収穫機30の動作情報のうち、識別子がiである動作情報に対する動作スコアを表す。X
minは、複数の収穫機30において、識別子がiである動作情報に対する動作スコアの最小値を表し、X
maxは識別子がiである動作情報に対する動作スコアの最大値を表す。Mは正規化した後の最大値を表し、mは正規化した後の最小値を表す。
【0051】
図7に示すステップS150において、仮想時間決定部171は、算出された稼働係数k
iと、1以上の作物の種類に応じた部分実稼働時間と、
図4に示す算出式データ410とに基づき、1以上の作物の種類に応じた部位ごとに部分仮想稼働時間を決定する。例えば、「イネ」の収穫に対応する部位Aの部分仮想稼働時間は関数f
A1(k
i、t
1)により決定され、部位Bの部分仮想稼働時間は関数f
B1(k
i、t
1)により決定され、部位Cの部分仮想稼働時間は関数f
C1(k
i、t
1)により決定される。ここで、t
1は、収穫機30が「イネ」を収穫した部分実稼働時間を表す。同様に、「ソバ」の収穫に対応する部位Aの部分仮想稼働時間は関数f
A2(k
i、t
2)により決定され、部位Bの部分仮想稼働時間は関数f
B2(k
i、t
2)により決定され、部位Cの部分仮想稼働時間は関数f
C2(k
i、t
2)により決定される。ここで、t
2は、収穫機30が「ソバ」を収穫した部分実稼働時間を表す。このため、部分仮想稼働時間は、作物の種類ごとに、各部位に与えられる負荷の大きさに応じた稼働時間を表す。
【0052】
図7に示すステップS160において、仮想時間決定部171は、作物の種類に応じた部位ごとの部分仮想稼働時間に基づき、部位ごとの仮想稼働時間を決定する。例えば、仮想時間決定部171は、作物の種類に応じた部位ごとの部分仮想稼働時間を積算して仮想稼働時間を決定する。このため、仮想稼働時間も、作物の種類において各部位に与えられる負荷の大きさを反映した稼働時間を表す。また、仮想稼働時間は、複数の収穫機30、例えば同型の収穫機30において、相対的な負荷の大きさに応じた各部位における稼働時間を表す。例えば、対象の部位において、対象の収穫機30の負荷が、他の収穫機30の負荷に対して大きいほど、仮想稼働時間は大きな時間を表す。
【0053】
図7に示すステップS170において、部位決定部172は、仮想稼働時間に基づき、メンテナンスの対象となる部位を表すメンテナンス部位を決定する。部位決定部172は、最初に、
図2に示すメンテナンス時期データ400に基づき、各部位において次にメンテナンスが行われるメンテナンス時期を決定する。
【0054】
例えば、
図2に示す例は、「部位A」のメンテナンス回数が「1」であるため、「部位A」において次にメンテナンスが行われるメンテナンス時期が200時間であることを表す。「部位B」のメンテナンス回数が「1」であるため、「部位B」におけるメンテナンス時期は600時間を表す。「部位C」のメンテナンス回数が「2」であるため、「部位C」におけるメンテナンス時期は500時間を表す。
【0055】
次に、部位決定部172は、各部位において、仮想稼働時間と、メンテナンス時期とを比較して、メンテナンスを行う対象を表すメンテナンス部位を決定する。例えば、部位決定部172は、仮想稼働時間がメンテナンス時期に達している部位をメンテナンス部位として決定する。また、部位決定部172は、仮想稼働時間がメンテナンス時期より所定の時間だけ減算した時間に達している部位をメンテナンス部位として決定してもよい。
【0056】
図7に示すステップS180において、出力部180は、決定されたメンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力する。例えば、出力部180は、メンテナンス部位と、メンテナンス部位における仮想稼働時間とを表す画像を構成するメンテナンス情報を端末200に出力する。また、メンテナンス情報は、収穫機30に設けられた複数の部位における仮想稼働時間を表す画像を構成してもよい。また、メンテナンス情報は、収穫機30により収穫された作物の種類に対応する部分仮想稼働時間を表してもよい。また、メンテナンス情報は、仮想稼働時間に対する部分仮想稼働時間の比率を表してもよい。
【0057】
また、出力部180は、部分仮想稼働時間が最も大きい作物の種類に応じて、メンテナンス部位に含まれる複数の部品のうち、消耗している部品を表すメンテナンス情報を出力してもよい。例えば、出力部180は、収穫機30の脱穀部において、「イネ」の部分仮想稼働時間が最も大きいとき、脱穀部に含まれる部品のうち「イネ」の収穫において消耗する部品を表すメンテナンス情報を出力する。また、出力部180は、脱穀部において、例えば仮想稼働時間に対する「イネ」の部分仮想稼働時間の比率が最も大きいとき、脱穀部に含まれる部品のうち「イネ」の収穫において消耗する部品を表すメンテナンス情報を出力する。この場合、例えば、メンテナンス情報は、「脱穀部において、コンケーブ、横送りコンベアの消耗が大きいため、メンテナンスを推奨する」ことを表してもよい。例えば、出力部180は、刈取部において、「トウモロコシ」の部分仮想稼働時間が最も大きいとき、「フィーダチェンの消耗が大きいため、メンテナンスを推奨する」ことを表してもよい。この場合、各部位において、作物の種類に応じて消耗する部品を表す情報は、例えば、出力部180により保持されている。
【0058】
さらに、出力部180は、部分仮想稼働時間が最も大きい種類の作物を収穫するときに取り付けられている取付装置に基づき、メンテナンス部位に含まれる複数の部品のうち、消耗している部品を表すメンテナンス情報を出力してもよい。例えば、最初に、出力部180は、作物を収穫するときに、収穫機30に取り付けられている取付装置を決定する。例えば、出力部180は、収穫機30のユーザ、例えば作業者、所有者などが購入している取付装置を検出し、検出された取付装置が対応する種類の作物を収穫するときに取り付けられていると決定する。例えば、収穫機30のユーザが「トウモロコシ対応キット」を購入しているとき、出力部180は、収穫機30が「トウモロコシ」を収穫するとき、「トウモロコシ対応キット」が収穫機30に取り付けられていると決定する。また、収穫機30のユーザが「トウモロコシ専用ヘッダ」を購入しているとき、出力部180は、収穫機30が「トウモロコシ」を収穫するとき、「トウモロコシ専用ヘッダ」が収穫機30に取り付けられていると決定する。なお、ユーザが購入している取付装置を表す購入情報は、メンテナンス管理装置100の記憶装置140に記憶されていてもよく、メンテナンス管理システム1000外の装置から取得してもよい。
【0059】
また、出力部180は、収穫機30の稼働情報に基づき、収穫機30に取り付けられている取付装置を決定してもよい。例えば、収穫機30が「トウモロコシ」を収穫しており、かつ、収穫機30の平均速度が毎秒1.0m以下であるとき、出力部180は、収穫機30に「トウモロコシ対応キット」が取り付けられていると決定する。また、例えば、収穫機30が「トウモロコシ」を収穫しており、かつ、収穫機30の平均速度が毎秒1.2m以上であるとき、出力部180は、収穫機30に「トウモロコシ専用ヘッダ」が取り付けられていると決定する。
【0060】
続いて、出力部180は、部分仮想稼働時間が最も大きい作物の種類が決定された取付装置に対応する作物の種類であるとき、取付装置に基づき、消耗している部品を表すメンテナンス情報を出力する。例えば、走行部において、部分仮想稼働時間が最大の作物の種類が「トウモロコシ」であり、かつ、収穫するときに「トウモロコシ専用ヘッダ」が取り付けられているとき、メンテナンス情報は「クローラの消耗が大きいためメンテナンスを推奨する」ことを表す。例えば、脱穀部において、部分仮想稼働時間が最大の作物の種類が「トウモロコシ」であり、かつ、収穫するときに「トウモロコシ対応キット」が取り付けられているとき、メンテナンス情報は「コンケーブの消耗が大きいためメンテナンスを推奨する」ことを表す。この場合、各部位において、取付装置に応じて消耗する部品を表す情報は、例えば、出力部180により保持されている。
【0061】
ステップS190において、端末200の表示部250は、メンテナンス管理装置100から取得したメンテナンス情報を入出力装置210に表示する。例えば、表示部250は、メンテナンス情報に表されたメンテナンスの対象となるメンテナンス部位を表す画像を表示する。また、表示部250は、メンテナンス情報に表されたメンテナンス部位と、メンテナンス部位における仮想稼働時間とを表す画像を表示する。表示部250は、さらに、収穫機30に設けられた複数の部位における仮想稼働時間を表す画像を表示してもよい。また、表示部250は、メンテナンス部位において、仮想稼働時間に対して、作物の種類ごとの部分仮想稼働時間の比率を表す画像を表示してもよい。また、表示部250は、メンテナンス部位に含まれる複数の部品のうち、消耗している部品を表す画像を表示してもよい。
【0062】
このように、メンテナンス管理システム1000は、収穫機30が収穫した作物の種類に応じて与えられる負荷に対応したメンテナンス部位を決定し、決定したメンテナンス部位をユーザに報知する。これにより、ユーザは、メンテナンスをすべき部位を適時に確認することができる。
【0063】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、
図7に示すステップS110において、メンテナンス管理装置100の作物決定部150は、任意の方法で作物の種類を決定してもよい。例えば、収穫された作物の種類は、ユーザにより入力されてもよい。例えば、端末200の表示部250は、収穫された作物の種類を表す情報を受け付ける。ユーザが端末200の入出力装置210に収穫された作物の種類を表す情報を入力すると、表示部250は、入力された作物の種類を表す情報をメンテナンス管理装置100に出力する。メンテナンス管理装置100の作物決定部150は、端末200から取得する情報に基づき、収穫された作物の種類を決定してもよい。
【0064】
また、作物決定部150は、収穫機30が作物を収穫した時期を表す情報も任意の方法で取得してもよい。例えば、収穫機30が作物を収穫した時期も、ユーザにより入力されてもよい。同様に、作物決定部150は、収穫機30が作物を収穫した地域を表す情報も任意の方法で取得してもよい。
【0065】
図7に示すステップS130において、メンテナンス管理装置100の仮想時間決定部171は、収穫された作物の種類ごとに動作情報を算出してもよい。例えば、仮想時間決定部171は、収穫された作物の種類ごとに、複数の収穫機30のすべてに対して動作情報を決定する。この場合、ステップS140において、仮想時間決定部171は、収穫された作物の種類ごとに稼働係数k
iを算出する。収穫された作物の種類ごとの稼働係数k
iも、作物の種類ごとに、動作情報の分布において、対象の収穫機30の動作情報の位置を表す。
【0066】
また、
図4に示す算出式の1つ以上は、例えば関数f
A1(k
i、t
1)は、稼働係数k
iに影響せずに、部分実稼働時間t
iのみ、例えばt
1のみに影響する部分仮想稼働時間を出力してもよい。例えば、算出式の1つ以上は、t
iに固定値の係数を乗算することを表してもよい。例えば、この場合、固定値の係数は、対応する種類の作物を収穫するときに対応する部位の負荷が大きいほど、大きい値を表す。
【0067】
また、
図7に示すステップS160において、仮想時間決定部171は、収穫機30が収穫した1以上の作物の種類のうち、実際に収穫していた部分実稼働時間が最も長い作物の種類に応じた負荷に対応する仮想稼働時間を決定してもよい。例えば、最初に、仮想時間決定部171は、作業実績データ420に基づき、部分実稼働時間が最も長い作物の種類を表す主要作物を決定する。続いて、仮想時間決定部171は、
図4に示す算出式データ410から決定された主要作物に対応する関数に、稼働係数k
iと、収穫機30が実際に稼働した実稼働時間とを入力して仮想稼働時間を決定してもよい。例えば、仮想時間決定部171は、主要作物が「イネ」であるとき、関数f
A1(k
i、t
1)のt
1に、収穫した作物の種類によらず、収穫機30が実際に稼働した実稼働時間を用いて仮想稼働時間を決定する。この場合、仮想時間決定部171は、収穫機30が収穫した1以上の作物のうち、主要作物以外に関する情報を用いることなく、主要作物のみに応じた負荷に対応する仮想稼働時間を決定する。
【0068】
さらに、
図7に示すステップS160において、仮想時間決定部171は、実稼働時間に対して、実際に主要作物を収穫したときの部分実稼働時間の割合に基づき、主要作物以外に関する情報を用いるかを決定してもよい。例えば、作物の種類によらず収穫機30が実際に稼働した実稼働時間に対する主要作物の部分実稼働時間の割合が閾値より大きいとき、仮想時間決定部171は、主要作物のみに応じた負荷に対応する仮想稼働時間を決定してもよい。また、実稼働時間に対する主要作物の部分実稼働時間の割合が閾値以下のとき、仮想時間決定部171は、収穫機30により収穫された作物の種類ごとに部分仮想稼働時間を決定し、仮想稼働時間を決定する。
【0069】
また、
図7に示すステップS180において、出力部180は、作物の種類と、取付装置との組み合わせに対する仮想稼働時間を表すメンテナンス情報を出力してもよい。この場合、
図4に示す算出式データ410は、作物の種類と、取付装置との組み合わせごとの関数を格納してもよい。
【0070】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、
図1に示すメンテナンス管理システム1000に端末200が含まれなくてもよい。例えば、メンテナンス管理装置100は、メンテナンス管理システム1000に含まれない端末にメンテナンス情報を出力してもよい。メンテナンス管理装置100の処理は、すべてまたは一部がメンテナンス管理装置100または端末200で実行されてもよい。メンテナンス管理プログラム430は、表示プログラム440を含んでもよい。
【0071】
(付記)
各実施の形態で記載したメンテナンス管理方法と、メンテナンス管理システムと、メンテナンス管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0072】
第1の態様に係るメンテナンス管理方法は、
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することと、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することと、
を含む。
【0073】
第2の態様に係るメンテナンス管理方法は、第1の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記メンテナンス部位を決定することは、
前記実稼働時間と、前記作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた前記部位において、前記作物の種類に応じた負荷に対応する稼働時間を表す仮想稼働時間を決定することと、
前記仮想稼働時間に基づき、前記メンテナンス部位を決定することと、
を含む。
【0074】
第3の態様に係るメンテナンス管理方法は、第2の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機が収穫した1以上の作物の種類のうち、収穫していた時間が最も長い作物の種類を表す主要作物を決定することと、
前記1以上の作物の種類のうち前記主要作物以外に関する情報を用いず、前記実稼働時間と、前記主要作物とに基づき、前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む。
【0075】
第4の態様に係るメンテナンス管理方法は、第3の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することは、
前記実稼働時間に基づき、前記主要作物に応じた関数を用いて前記仮想稼働時間を決定すること
を含む。
【0076】
第5の態様に係るメンテナンス管理方法は、第2の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機により収穫された1以上の作物の種類ごとに前記収穫機が実際に稼働した1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類ごとに応じた負荷に対応する1以上の部分仮想稼働時間を決定することと、
前記1以上の部分仮想稼働時間に基づき、前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む。
【0077】
第6の態様に係るメンテナンス管理方法は、第5の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記1以上の部分仮想稼働時間を決定することは、
前記1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類に応じた1以上の関数を用いて前記1以上の部分仮想稼働時間を決定すること
を含む。
【0078】
第7の態様に係るメンテナンス管理方法は、第2の態様に係るメンテナンス管理方法であって、
前記仮想稼働時間を決定することは、
前記収穫機が収穫した1以上の作物の種類のうち、収穫していた時間が最も長い作業の種類を表す主要作物を決定することと、
前記実稼働時間に対する前記主要作物を収穫していた時間の比率が閾値より大きいとき、前記1以上の作物の種類のうち前記主要作物以外を用いず、前記実稼働時間と、前記主要作物とに基づき、前記主要作物に応じた負荷に対応する前記仮想稼働時間を決定することと、
前記実稼働時間に対する前記主要作物を収穫していた時間の比率が閾値以下のとき、
前記収穫機により収穫された1以上の作物の種類ごとに前記収穫機が稼働した1以上の部分実稼働時間に基づき、前記1以上の作物の種類ごとに応じた負荷に対応する1以上の部分仮想稼働時間を決定し、
前記1以上の部分仮想稼働時間に基づき、前記仮想稼働時間を決定することと、
を含む。
【0079】
第8の態様に係るメンテナンス管理方法は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに係るメンテナンス管理方法であって、
前記作物の種類に基づき、前記メンテナンス部位に含まれる複数の部品のうち、消耗している部品を決定することをさらに含み、
前記メンテナンス情報は、前記消耗している部品を表す情報を含む。
【0080】
第9の態様に係るメンテナンス管理方法は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つに係るメンテナンス管理方法であって、
前記収穫機により収穫された時期に基づき、前記収穫機により収穫された前記作物の種類を決定することをさらに含む。
【0081】
第10の態様に係るメンテナンス管理方法は、第1の態様から第9の態様のいずれか1つに係るメンテナンス管理方法であって、
前記収穫機の稼働情報に基づき、前記収穫機により収穫された前記作物の種類を決定することをさらに含む。
【0082】
第11の態様に係るメンテナンス管理システムは、
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定するメンテナンス部位決定部と、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力する出力部と、
を備える。
【0083】
第12の態様に係るメンテナンス管理プログラムは、
収穫機が実際に稼働した実稼働時間と、前記収穫機が収穫した作物の種類とに基づき、前記収穫機に設けられた部位のうち、メンテナンスの対象となるメンテナンス部位を決定することと、
前記メンテナンス部位を表すメンテナンス情報を出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0084】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :収穫機
100 :メンテナンス管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :作物決定部
160 :データ記憶部
170 :メンテナンス部位決定部
171 :仮想時間決定部
172 :部位決定部
180 :出力部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
400 :メンテナンス時期データ
410 :算出式データ
420 :作業実績データ
430 :メンテナンス管理プログラム
440 :表示プログラム
500 :圃場
1000 :メンテナンス管理システム