(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165769
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】圧縮空気供給機
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20241121BHJP
F04B 41/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F04B41/00 B
F04B41/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082253
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】呉 杉
(72)【発明者】
【氏名】増尾 秀三
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA35
3H076BB14
3H076BB31
3H076CC07
3H076CC42
3H076CC84
3H076CC95
3H076CC99
(57)【要約】
【課題】気液分離器に溜まった水の廃棄処理が容易となる圧縮空気供給機を提供すること。
【解決手段】圧縮空気供給機11は、空気を圧縮する圧縮機22と、圧縮機22から空気圧機器10への流路Rに設けられ、圧縮機22から吐出された圧縮空気と外気とを熱交換させる熱交換器24と、流路Rに設けられ、熱交換器24によって熱交換された圧縮空気から水分を除去する気液分離器25と、圧縮機22の吐出側を大気開放させるブローバルブ33と、を備える。圧縮空気供給機11は、気液分離器25の排出口25cに接続された排出流路48と、排出流路48の出口に設けられ、気液分離器25からの排水を噴出させる噴出部35と、を備えるとともに、ブローバルブ33を排出流路48に備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から空気圧機器への流路に設けられ、前記圧縮機から吐出された圧縮空気と外気とを熱交換させる熱交換器と、
前記流路に設けられ、前記熱交換器によって熱交換された前記圧縮空気から水分を分離する気液分離器と、
前記圧縮機の吐出側を大気開放させるブローバルブと、を備える圧縮空気供給機であって、
前記気液分離器に溜まった水を排出するための排出口に接続された排出流路、及び前記排出流路の出口に設けられ、前記気液分離器からの排水を噴出させる噴出部を備えるとともに、
前記排出流路に前記ブローバルブが設けられていることを特徴とする圧縮空気供給機。
【請求項2】
前記熱交換器に向けて送風する送風装置を備え、前記送風装置からの送風方向における前記熱交換器よりも下流側に前記噴出部が配置されている請求項1に記載の圧縮空気供給機。
【請求項3】
前記熱交換器と、前記気液分離器と、前記噴出部とは、前記送風装置からの前記送風方向の上流から下流に向けて前記熱交換器、前記気液分離器、及び前記噴出部の順番で配置されている請求項2に記載の圧縮空気供給機。
【請求項4】
前記流路における前記圧縮空気の流れ方向において前記気液分離器より下流には、前記圧縮空気を蓄えるとともに残圧排出口を備える空気タンクが設けられるとともに、
前記空気タンクの前記残圧排出口と、前記排出流路における前記ブローバルブより下流側かつ前記噴出部より上流側とは、タンク用排出流路によって接続され、
前記タンク用排出流路には、当該タンク用排出流路を開閉する残圧排出弁が設けられている請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の圧縮空気供給機。
【請求項5】
前記噴出部は、金属粉体の焼結体によって形成された多孔質体である請求項1又は請求項2に記載の圧縮空気供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアシリンダ等の空気圧機器は、圧縮空気供給機から供給された圧縮空気によって駆動される。圧縮空気は、熱交換器での熱交換に伴う冷却の後、空気圧機器に供給される。圧縮空気が熱交換器で冷却されると、圧縮空気に含まれる水蒸気が液化する。圧縮空気に液化した水が含まれていると、空気圧機器の動作不良や、空気圧機器を構成する部品の腐食などを引き起こす虞がある。このため、圧縮空気供給機は、圧縮空気から液状の水を分離するフィルタを備える場合がある。例えば、特許文献1には、熱交換器である冷却器で冷却された圧縮空気から、水分を分離する水分分離機能付きのフィルタを備える可搬型圧縮空気供給機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の可搬型圧縮空気供給機において、フィルタによる水分分離機能によって、圧縮空気から分離された水は、フィルタに溜まる。フィルタに溜まった水は、フィルタから除去する必要があるが、フィルタに溜まった水の除去を容易に行うことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための各態様を記載する。
[態様1]
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から空気圧機器への流路に設けられ、前記圧縮機から吐出された圧縮空気と外気とを熱交換させる熱交換器と、前記流路に設けられ、前記熱交換器によって熱交換された前記圧縮空気から水分を分離する気液分離器と、前記圧縮機の吐出側を大気開放させるブローバルブと、を備える圧縮空気供給機であって、前記気液分離器に溜まった水を排出するための排出口に接続された排出流路、及び前記排出流路の出口に設けられ、前記気液分離器からの排水を噴出させる噴出部を備えるとともに、前記排出流路に前記ブローバルブが設けられていることを特徴とする圧縮空気供給機。
【0006】
[態様2]
前記熱交換器に向けて送風する送風装置を備え、前記送風装置からの送風方向における前記熱交換器よりも下流側に前記噴出部が配置されている[態様1]に記載の圧縮空気供給機。
【0007】
[態様3]
前記熱交換器と、前記気液分離器と、前記噴出部とは、前記送風装置からの前記送風方向の上流から下流に向けて前記熱交換器、前記気液分離器、及び前記噴出部の順番で配置されている[態様2]に記載の圧縮空気供給機。
【0008】
[態様4]
前記流路における前記圧縮空気の流れ方向において前記気液分離器より下流には、前記圧縮空気を蓄えるとともに残圧排出口を備える空気タンクが設けられるとともに、前記空気タンクの前記残圧排出口と、前記排出流路における前記ブローバルブより下流側かつ前記噴出部より上流側とは、タンク用排出流路によって接続され、前記タンク用排出流路には、当該タンク用排出流路を開閉する残圧排出弁が設けられている[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の圧縮空気供給機。
【0009】
[態様5]
前記噴出部は、金属粉体の焼結体によって形成された多孔質体である[態様1]~[態様4]のうちいずれか一つに記載の圧縮空気供給機。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、気液分離器に溜まった水の廃棄処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、圧縮空気供給機を模式的に示す部分破断斜視図である。
【
図2】
図2は、圧縮空気供給機を模式的に示す正断面図である。
【
図3】
図3は、圧縮空気供給機における空気圧回路を示す図である。
【
図4】
図4は、ブローバルブ、及び噴出部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、圧縮空気供給機を具体化した一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。なお、
図1及び
図2は、圧縮空気供給機の構成部品の配置を示すため、詳細な配管及び配線の図示を省略するとともに、構成部品を簡略化して図示している。圧縮空気供給機は、工場内に設置して使用される。
【0013】
<ケース>
図1及び
図2に示すように、圧縮空気供給機11は、ケース12を備える。ケース12は、ケース本体13と、ケース本体13を開閉する蓋14と、ケース本体13の下部に一体の底部15と、を備える。ケース本体13は、前面に開口する中空箱状である。ケース本体13は、背板13aと、天板13bと、底板13cと、一対の側板13dと、を備える。天板13bと底板13cは、互いに対向するとともに、背板13aから蓋14に向けて突出する。一対の側板13dは、天板13bと底板13cを繋ぐとともに互いに対向する。また、一対の側板13dは、背板13aから蓋14に向けて突出する。ケース本体13の内側には、背板13aと、天板13bと、底板13cと、一対の側板13dとから形成された収容空間Sが画定されている。蓋14は、収容空間Sを開閉可能にケース本体13に脱着される。底板13cには、後に説明するドレンパン16を収容空間Sに連通させるための開口部13fが形成されている。
【0014】
底部15は、底板13cの下方に設けられた箱状の部分である。底部15には、ドレンパン16が脱着可能である。ドレンパン16は、上方に開口する箱状であるとともに、底部15に対し出し入れ可能である。底部15にドレンパン16が装着されると、ドレンパン16は、底板13cの開口部13fによって、収容空間Sと連通する。なお、ケース12の形状は、収容空間Sを画定できるとともに、底部15に対しドレンパン16を脱着可能であれば、適宜変更可能である。
【0015】
<圧縮空気供給機の構成>
図1、
図2及び
図3に示すように、圧縮空気供給機11は、吸気フィルタ23及び圧縮機22を備える。吸気フィルタ23は、一方の側板13dの内面に沿って配置されるとともに、収容空間Sに収容されている。吸気フィルタ23は、側板13dに形成された、図示しないメッシュ部を介してケース12外に面している。圧縮機22は、収容空間Sに収容されている。圧縮機22は、他方の側板13dの内面寄りに配置されている。圧縮機22は、圧縮機用モータM2によって駆動される。そして、圧縮機22の吸入口22aには、吸入配管41を介して吸気フィルタ23が接続されている。圧縮機用モータM2が駆動して圧縮機22が駆動されると、吸気フィルタ23及び吸入配管41を経由して、ケース12外の空気である外気が圧縮機22に吸い込まれる。圧縮機22は、吸い込んだ空気を圧縮する。
【0016】
圧縮空気供給機11は、送風装置21を備える。送風装置21は、天板13bに設置されている。送風装置21は、ケース12の外部と収容空間Sとに面している。送風装置21は、ファンモータM1によって駆動される。ファンモータM1が駆動して送風装置21が駆動されると、ケース12外の空気が、収容空間S内に取り込まれる。送風装置21によってケース12内に取り込まれた空気は、底板13cに向けて送られる。つまり、ケース12内には、送風装置21から空気が送られる。
【0017】
圧縮空気供給機11は、熱交換器24を備える。熱交換器24は、圧縮空気の流れ方向において、圧縮機22より下流に設けられている。熱交換器24は、収容空間Sに収容されている。熱交換器24は、螺旋状の銅管24cを備える。熱交換器24の銅管24cは、送風装置21の下方に配置されている。熱交換器24の入口24aには、吐出配管42を介して圧縮機22の吐出口22bが接続されている。
【0018】
そして、圧縮機22によって生成された圧縮空気は、吐出配管42を経由して熱交換器24に供給される。熱交換器24に供給された圧縮空気は、銅管24cを流れる。送風装置21から送られた空気は、熱交換器24の銅管24cに向けて流れる。これにより、銅管24cを流れる圧縮空気は、銅管24cを介して外気としての空気と熱交換されるとともに、冷却される。したがって、送風装置21は、熱交換器24に向けて送風するとともに、熱交換器24は、圧縮機22から吐出された圧縮空気と外気とを熱交換させる。
【0019】
同時に、送風装置21から送られた空気は、銅管24cにて圧縮空気の熱を受けて暖められる。また、熱交換器24における熱交換により、圧縮空気に含まれる水蒸気は、冷却されて液化される。そして、液状の水は、銅管24cでの圧縮空気の流れに乗って、熱交換器24から排出される。
【0020】
圧縮空気供給機11は、気液分離器25を備える。気液分離器25は、圧縮空気の流れ方向において、熱交換器24より下流に設けられている。気液分離器25は、収容空間Sに収容されるとともに、熱交換器24の下方に配置されている。熱交換器24は、送風装置21の下方に配置されているため、その熱交換器24の下方に配置された気液分離器25も送風装置21の下方に配置されていることになる。
【0021】
熱交換器24の出口24bと気液分離器25の入口25aとは、第1配管43を介して接続されている。気液分離器25には、第1配管43を経由して、熱交換器24において熱交換された圧縮空気が流入するとともに、圧縮空気とともに液状の水が流入する。気液分離器25は、遠心分離構造により、熱交換器24によって熱交換された圧縮空気から水分を分離する。なお、気液分離器25による水分分離は、遠心分離構造以外の方法でもよく、例えば、衝突分離方法でもよい。
【0022】
圧縮空気供給機11は、チェック弁26及び空気タンク27を備える。チェック弁26は、圧縮空気の流れ方向において、気液分離器25より下流に設けられている。空気タンク27は、圧縮空気の流れ方向において、チェック弁26より下流に設けられている。チェック弁26及び空気タンク27は収容空間Sに収容されている。チェック弁26の入口26aには、第2配管44を介して気液分離器25の出口25bが接続されている。また、チェック弁26の出口26bには、第3配管45を介して空気タンク27の入口27aが接続されている。チェック弁26には、水分の分離された圧縮空気が気液分離器25から流入する。チェック弁26は、空気タンク27内の圧縮空気が圧縮機22側に逆流するのを阻止する。
【0023】
空気タンク27には、第2配管44及び第3配管45を経由して、気液分離器25から、水分の分離された圧縮空気が流入する。空気タンク27は、圧縮空気を蓄える。空気タンク27は、空気タンク27の内部の圧力を排出する残圧排出口27cを備える。
【0024】
図2及び
図3に示すように、圧縮空気供給機11は、レギュレータ29を備える。レギュレータ29は、圧縮空気の流れ方向において、空気タンク27より下流に設けられている。レギュレータ29はケース12の外側に設置されている。なお、レギュレータ29は、ケース12の収容空間Sに収容されていてもよい。レギュレータ29は、圧縮機22に近い側板13d側に配置されている。レギュレータ29の入口29aは、空気タンク27の出口27bと第4配管46を介して接続されるとともに、レギュレータ29の出口29bは、空気圧機器10に接続されている。空気圧機器10は、レギュレータ29の出口29bと接続された流路切替弁10aを含む。流路切替弁10aは、空気圧機器10のシリンダ10bに対しロッド10cを没入させる第1位置B1と、空気圧機器10のシリンダ10bに対しロッド10cを突出させる第2位置B2とに切り替え可能である。そして、空気タンク27に蓄えられた圧縮空気は、第4配管46を経由してレギュレータ29に供給されるとともに、レギュレータ29によって調圧されて空気圧機器10に供給される。第4配管46には、空気タンク27の圧力を検出する、表示機付き圧力センサ30が設けられている。表示機付き圧力センサ30は、ケース12に設置されている。表示機付き圧力センサ30は、判定出力を行う。判定出力は、表示機付き圧力センサ30の検出値が、予め設定された閾値を超えたか否かの判定結果を出力することである。
【0025】
図3に示すように、上記の吸入配管41と、吐出配管42と、第1配管43と、第2配管44と、第3配管45と、第4配管46とは、圧縮空気供給機11の流路Rを形成している。そして、流路Rは、吸気フィルタ23と空気圧機器10とを接続している。このため、熱交換器24は、圧縮機22から空気圧機器10への流路Rに設けられている。また、気液分離器25、チェック弁26、空気タンク27、レギュレータ29、及び表示機付き圧力センサ30も流路Rに設けられている。したがって、空気タンク27は、流路Rにおける圧縮空気の流れ方向において、気液分離器25より下流に設けられている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、圧縮空気供給機11は、制御装置31を備える。制御装置31は収容空間Sに収容されている。制御装置31は、気液分離器25よりも背板13a側に配置されている。また、制御装置31は、送風装置21から送られた空気の送風方向Fに沿って配置されている。そして、送風装置21から送られた空気は、制御装置31に沿って流れるようになっている。
【0027】
制御装置31は、図示しない記憶部を備える。制御装置31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理を制御装置31に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置31は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0028】
制御装置31は、図示しないモータドライバを介して圧縮機用モータM2に信号接続されている。また、制御装置31は、表示機付き圧力センサ30に信号接続されている。また、制御装置31は、図示しないタイマを備える。
【0029】
図1~
図4に示すように、圧縮空気供給機11は、ブローバルブ33及び噴出部35を備える。ブローバルブ33及び噴出部35は、収容空間Sに収容されている。ブローバルブ33の入口33aは、第1排出用配管48aを介して、気液分離器25の排出口25cに接続されている。また、ブローバルブ33の出口33bは、第2排出用配管48bを介して噴出部35の入口35aに接続されている。噴出部35の出口は、大気開放されている。なお、
図4では、ブローバルブ33に接続された配線を図示しているが、
図1では配線の図示を省略している。
【0030】
第1排出用配管48aと第2排出用配管48bは、気液分離器25の排出口25cに接続された排出流路48を形成する。そして、排出流路48は、気液分離器25に溜まった水を排出するために、気液分離器25の排出口25cに接続されている。また、ブローバルブ33は、排出流路48に設けられているとともに、噴出部35は、排出流路48の出口に設けられている。
【0031】
図2に示すように、ブローバルブ33は、制御装置31によって第1位置P1と第2位置P2の2位置に切り替え可能である。ブローバルブ33は、第1位置P1では、第1排出用配管48aと第2排出用配管48bを連通させる。つまり、ブローバルブ33の第1位置P1では、排出流路48は、気液分離器25の排出口25cと噴出部35を連通させる。したがって、第1位置P1では、気液分離器25の排出口25cは、排出流路48及び噴出部35を介して大気開放される。そして、気液分離器25の排出口25cと噴出部35とが排出流路48を介して連通すると、気液分離器25に溜まった液状の水は、圧縮空気とともに、噴出部35へ排出される。
【0032】
ブローバルブ33は、第2位置P2では、第1排出用配管48aと第2排出用配管48bとを連通させない。つまり、ブローバルブ33の第2位置P2では、排出流路48は遮断される。したがって、ブローバルブ33が第2位置P2にあるとき、気液分離器25と噴出部35との間は遮断される。この場合、気液分離器25に溜まった液状の水は、噴出部35へ排出されない。
【0033】
ブローバルブ33は、制御装置31と信号接続されている。制御装置31は、ブローバルブ33を第1位置P1と第2位置P2とに切り替える。具体的には、制御装置31は、圧縮機22の起動直後に、ブローバルブ33を第2位置P2から第1位置P1に切り替える。これにより、圧縮機22の起動直後、圧縮機22における吐出側は、噴出部35を介して大気開放されるようになっている。圧縮機22の吐出側と大気とが連通するため、圧縮機22の吐出側が大気と同じ圧力になる。その結果、圧縮機22の起動直後、圧縮機用モータM2の負荷が低減される。
【0034】
制御装置31のタイマは、ブローバルブ33を第2位置P2から第1位置P1に切り替えると、切替時点から計時する。制御装置31は、タイマによる計時時間が所定時間に到達すると、ブローバルブ33を第1位置P1から第2位置P2に切り替える。所定時間は、圧縮機22の吐出側の圧力が大気と同じ又はほぼ同じになると想定される時間である。所定時間は、圧縮機22の吐出側回路容積に応じて変化するが、予め試験等により設定されている。
【0035】
噴出部35は、金属製の粉体を、当該金属の融点前後の温度で焼き固めて形成された焼結体である。噴出部35において、金属製の粉体同士は、点接触によって繋がっているため、噴出部35は、多孔質体である。
【0036】
図1に示すように、噴出部35は、第2排出用配管48bの端部に設けられるとともに、排出流路48の出口に設けられている。噴出部35は、カバー35cによって被覆されている。また、噴出部35は、開口部13fを介してドレンパン16に対向している。
【0037】
噴出部35は、気液分離器25の下方に配置されている。上記したように、熱交換器24、及び気液分離器25は、送風装置21の下方に配置されているため、気液分離器25の下方に配置された噴出部35も送風装置21の下方に配置されている。したがって、送風装置21と、熱交換器24と、気液分離器25と、噴出部35とは、上下方向に一列に並んで配置されている。具体的には、上から、送風装置21、熱交換器24、気液分離器25、及び噴出部35の順番で並んでいる。したがって、熱交換器24と、気液分離器25と、噴出部35とは、送風装置21からの送風方向Fの上流から下流に向けて熱交換器24、気液分離器25、及び噴出部35の順番で配置されている。よって、噴出部35は、送風装置21からの送風方向Fにおける熱交換器24よりも下流側に配置されている。送風装置21から熱交換器24の銅管24cに向けて送られた空気は、熱交換器24の銅管24c、気液分離器25、及び噴出部35に沿って流れる。また、送風装置21から熱交換器24の銅管24cに向けて送られた空気は、制御装置31に沿って流れる。
【0038】
噴出部35に対し、大気圧より高い圧力の圧縮空気が水とともに供給されると、噴出部35からは、水が気化されて噴出するようになっている。また、噴出部35は、多孔質体であるため、消音機能を有するサイレンサとしても機能する。
【0039】
図2及び
図3に示すように、圧縮空気供給機11は、残圧排出弁36を備える。残圧排出弁36は、収容空間Sに収容されている。残圧排出弁36の入口36aは、第1タンク用配管47aを介して空気タンク27の残圧排出口27cに接続されるとともに、残圧排出弁36の出口36bは、第2タンク用配管47bを介して排出流路48に接続されている。第2タンク用配管47bは、排出流路48の排水方向におけるブローバルブ33より下流側、かつ噴出部35より上流側に接続されている。そして、第1タンク用配管47aと第2タンク用配管47bは、タンク用排出流路R1を形成している。タンク用排出流路R1は、空気タンク27の残圧排出口27cと、排出流路48におけるブローバルブ33より下流側かつ噴出部35より上流側とを接続する。
【0040】
残圧排出弁36は、タンク用排出流路R1に設けられるとともに、当該タンク用排出流路R1を開閉する。残圧排出弁36は、手動によってタンク用排出流路R1を開いて、空気タンク27の残圧排出口27cと排出流路48を連通させる開位置A1と、タンク用排出流路R1を閉じて、空気タンク27の残圧排出口27cと排出流路48とを連通させない閉位置A2とを取り得る。
【0041】
<圧縮空気供給機の動作>
圧縮空気供給機11の駆動時、制御装置31は、圧縮機用モータM2を駆動させて圧縮機22を駆動させる。また、圧縮空気供給機11の駆動時、制御装置31は、ブローバルブ33を第2位置P2に位置させる。また、残圧排出弁36は、手動により、タンク用排出流路R1を遮断する閉位置A2に切り替えられている。さらに、送風装置21は、ケース12内に送風している。
【0042】
圧縮機22の駆動により、ケース12外の空気は、吸気フィルタ23及び吸入配管41を経由して圧縮機22に吸い込まれる。吸気フィルタ23により、空気に含まれる異物が除去される。圧縮機22は、吸い込んだ空気を圧縮するとともに、高温の圧縮空気を吐出する。圧縮機22から吐出された圧縮空気は、吐出配管42を経由して熱交換器24に供給されて、銅管24cを通過する。
【0043】
送風装置21からケース12内に送られた空気は、熱交換器24の銅管24cに吹き付けられる。すると、銅管24cを通過する圧縮空気は、送られた空気との熱交換により冷却されるとともに、空気は、銅管24cを介した圧縮空気との熱交換により暖められる。
【0044】
熱交換器24で冷却された圧縮空気は、第1配管43を経由して気液分離器25に流入する。気液分離器25は、流入した圧縮空気から水分を分離する。そして、圧縮空気供給機11の駆動中、ブローバルブ33は第2位置P2に位置しているため、圧縮空気供給機11の駆動中、気液分離器25に溜まった水は、気液分離器25から排出されない。このため、気液分離器25には、圧縮空気から分離された水分が液状の水として溜まっていく。
【0045】
気液分離器25を通過した圧縮空気は、第2配管44を経由してチェック弁26を通過した後、第3配管45を経由して空気タンク27に流入する。空気タンク27に流入した圧縮空気は、空気タンク27に一時的に蓄えられる。空気タンク27に蓄えられた圧縮空気は、第4配管46を経由してレギュレータ29に流入する。レギュレータ29によって調圧された圧縮空気は、空気圧機器10に供給される。これにより、空気圧機器10が動作する。
【0046】
制御装置31には、表示機付き圧力センサ30の判定出力が入力されている。制御装置31は、表示機付き圧力センサ30の判定出力に基づいて、圧縮機用モータM2の駆動を停止させて圧縮機22を停止させる。
【0047】
そして、圧縮機22の停止後も、空気タンク27に蓄えられた圧縮空気は、空気圧機器10に供給される。
圧縮機22が停止された時点では、ブローバルブ33は第2位置P2にあるとともに、残圧排出弁36は、タンク用排出流路R1を遮断する閉位置A2に切り替えられたままである。また、圧縮機22が停止されても、熱交換器24の銅管24cには、高温の圧縮空気が残ったままであるとともに、送風装置21は、ケース12内に送風している。
【0048】
さて、制御装置31は、表示機付き圧力センサ30の判定出力に基づいて、空気タンク27の圧力が低下したと判定する。この場合、圧縮機22の吐出側に圧縮空気が残っていると、圧縮機22の吐出側は、大気より高圧になっている。このまま圧縮機22を駆動させると、圧縮機22を駆動させるための負荷が過大になって好ましくない。このため、制御装置31は、圧縮機22の起動直後に、ブローバルブ33を第2位置P2から第1位置P1に切り替えて、ブローバルブ33を開く。このとき、制御装置31は、ブローバルブ33を第2位置P2から第1位置P1に切り替えた時点から計時を開始する。
【0049】
すると、圧縮機22における吐出側が、吐出配管42、熱交換器24、第1配管43、気液分離器25、第1排出用配管48a、ブローバルブ33、第2排出用配管48b、及び噴出部35を介して大気開放される。このため、圧縮機22における吐出側が、流路R及び排出流路48を介して大気開放される。すると、気液分離器25の排出口25cも大気開放される。このため、気液分離器25に溜まった水は、排水として排出流路48に排出される。気液分離器25からの排水は、圧縮空気と共に噴出部35から噴出する。これにより、排水は、気化して噴霧状に噴出部35から排出される。
【0050】
また、送風装置21が駆動しているため、噴出部35付近には、熱交換器24で暖められた空気が送風装置21からの送風によって流れる。したがって、暖められた空気により、噴出部35から噴出した排水は、より気化されやすくなる。
【0051】
制御装置31は、ブローバルブ33を第2位置P2から第1位置P1に切り替えた時点からの計時時間が所定時間を超えると、ブローバルブ33を第1位置P1から第2位置P2に切り替える。すると、ブローバルブ33によって排出流路48が閉じられるとともに、圧縮機22の吐出側も大気から遮断される。つまり、圧縮機22を含む閉回路が形成される。
【0052】
圧縮空気供給機11を使用した後、作業者は、残圧排出弁36を手動で切り替えて、タンク用排出流路R1を開く開位置A1に切り替える。すると、空気タンク27の残圧が、残圧排出口27cからタンク用排出流路R1を経由して排出流路48へ排出される。同時に、空気タンク27に溜まった水は、空気タンク27の残圧排出口27cから排出される圧縮空気と共にタンク用排出流路R1へ排出される。これにより、空気タンク27に溜まった水は、タンク用排出流路R1を経由して排出できる。空気タンク27からの排水は、圧縮空気と共に噴出部35から噴出する。これにより、排水は気化する。
【0053】
圧縮空気供給機11の使用開始時、作業者は、残圧排出弁36を手動で開位置A1から閉位置A2へ切り替えて、タンク用排出流路R1を遮断する。そして、制御装置31は、圧縮機用モータM2を駆動して、圧縮機22を駆動させる。
【0054】
噴出部35から噴出した排水は、ドレンパン16に向けて噴出する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)圧縮空気供給機11は、気液分離器25の排出口25cに接続された排出流路48を備えるとともに、排出流路48に設けられたブローバルブ33を備える。そして、圧縮機22の起動直後、ブローバルブ33が開かれると、気液分離器25に溜まった水は、気液分離器25からの排水となって圧縮空気と共に噴出部35から噴出する。これにより、気液分離器25に溜まった水を気化させて噴出部35から排出できる。よって、気液分離器25に溜まった水を、気液分離器25から手作業で取り出して排水したり、気液分離器25にポンプを接続して排水したりする場合と比べると、気液分離器25に溜まった水の廃棄処理が容易になる。
【0055】
(2)気液分離器25に溜まった水は、気液分離器25からの排水となって、大気圧よりも高い圧力の圧縮空気と共に噴出部35を通じて噴出される。例えば、気液分離器25に溜まった水だけを噴出部35を通じて噴出させる場合と比べて水を気化させやすいため、気液分離器25に溜まった水の廃棄に要する時間を短縮できる。
【0056】
(3)気液分離器25に溜まった水は、ブローバルブ33を開くことによって、気液分離器25からの排水となって圧縮空気と共に噴出部35に供給される。ブローバルブ33は、圧縮機22の吐出側の圧力を大気開放するために、圧縮空気供給機11に設けられる既存の構成である。また、噴出部35は、サイレンサとして機能するため、圧縮空気供給機11に設けられる既存の構成である。したがって、既存の構成を利用することで、気液分離器25に溜まった水を排出できる。
【0057】
(4)圧縮空気供給機11は、圧縮機22の起動直後に、気液分離器25に溜まった水を気化して排出できる。したがって、気液分離器25に溜まった水を、人手で定期的に排出する必要がないため、圧縮空気供給機11は、使用者にとって非常に使い勝手がよい。
【0058】
(5)ブローバルブ33は、圧縮機22の吐出側の圧力を大気開放するために用いられる。そして、ブローバルブ33は、気液分離器25に溜まった水を排出するためにも用いられる。したがって、ブローバルブ33を開くと、圧縮機22の吐出側の大気開放と、気液分離器25に溜まった水の排出とが、同時に行われる。例えば、圧縮機22の吐出側の大気開放のためのバルブと、気液分離器25に溜まった水の排出のためのバルブとを、別々に流路Rに設ける場合と比べると、バルブを開いたときに、流路Rから排出される圧縮空気の量を減らすことができる。
【0059】
(6)気液分離器25に溜まった水は、噴出部35から噴出することで気化される。気化した水は、ドレンパン16に溜まるため、ドレンパン16に溜まった水の排出が必要になる。例えば、気液分離器25に溜まった水をドレンパン16に直接排出して、ドレンパン16から排出する場合と比べると、ドレンパン16に溜まった水の排出頻度を減らすことができる。
【0060】
(7)圧縮空気供給機11の送風装置21は、熱交換器24に向けて送風する。そして、送風装置21から送られた空気は、高温の圧縮空気との熱交換により暖められる。熱交換器24で暖められた空気は、噴出部35に向けて送られる。このため、熱交換器24で暖められた空気により、噴出部35から噴出した排水をより気化させることができる。
【0061】
(8)熱交換器24と、気液分離器25と、噴出部35とは、送風装置21からの送風方向Fの上流から下流に向けて、熱交換器24、気液分離器25、及び噴出部35の順番で配置されている。このため、送風装置21から送られた空気は、熱交換器24によって暖められると、そのまま噴出部35に向けて流れる。したがって、暖められた空気により、噴出部35から噴出した排水をより気化させやすくなる。
【0062】
(9)圧縮空気供給機11は、空気タンク27と、空気タンク27の残圧排出口27cに接続されたタンク用排出流路R1と、タンク用排出流路R1に設けられた残圧排出弁36と、を備える。また、タンク用排出流路R1は、排出流路48において、ブローバルブ33の下流、かつ噴出部35の上流に接続されている。そして、残圧排出弁36を開位置A1へ切り替えると、空気タンク27に溜まった水を、残圧排出口27c及びタンク用排出流路R1を経由して空気タンク27内から排出できる。そして、空気タンク27からの排水は、圧縮空気と共に噴出部35から噴出する。これにより、排水を気化できる。よって、空気タンク27内に圧縮空気が残ったとき、その圧縮空気が冷えて、空気タンク27内に水が溜まるが、空気タンク27に溜まった水を空気タンク27から排出できる。
【0063】
(10)噴出部35は、多孔質状の金属粉体の焼結体によって形成されている。このため、噴出部35は、気液分離器25及び空気タンク27からの排水を効率良く気化することができる。
【0064】
(11)モータドライバを含む制御装置31は、送風装置21からの送風方向Fにおいて、熱交換器24より下流に配置されている。そして、送風装置21から送られた空気は、制御装置31に沿って流れるようになっている。このため、制御装置31が発熱しても、送風装置21から送られる空気によって制御装置31を冷却できる。
【0065】
(12)熱交換器24での圧縮空気との熱交換のため、送風装置21は、熱交換器24に向けて送風する。熱交換器24での熱交換によって暖められた空気は噴出部35に送られて、噴出部35からの排水の気化を促進させる。つまり、送風装置21は、熱交換器24での熱交換のための送風と、噴出部35での気化の促進のための送風とを兼用する。例えば、熱交換器24での熱交換のための送風用の送風装置21と、噴出部35での気化の促進のための送風装置とを別々に設ける場合と比べると、圧縮空気供給機11の構成が簡素化される。その結果、圧縮空気供給機11の部品点数を減らすことができるとともに、圧縮空気供給機11をコンパクトにできる。
【0066】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○噴出部35から噴出する排水の気化促進用に、送風装置21とは別の送風装置を設けてもよい。
【0067】
○噴出部35は、排水を気化できれば、金属粉体の焼結体以外の多孔質体で形成されていてもよい。
○噴出部35は、水用霧化ノズルで形成してもよい。
【0068】
○圧縮空気供給機11は、チェック弁26、空気タンク27、排出流路48、表示機付き圧力センサ30、レギュレータ29及び残圧排出弁36を備えていなくてもよい。
○ケース12内において、熱交換器24と、気液分離器25と、噴出部35との並び順は適宜変更してもよい。例えば、送風装置21からの送風方向Fにおいて、上流から下流に向けて、熱交換器24、噴出部35、気液分離器25の順番で配置されてもよい。又は、気液分離器25だけ、送風装置21からの送風方向Fから外れた位置に配置されていてもよい。
【0069】
○制御装置31によってブローバルブ33を開くのは、圧縮機22の停止直後であってもよい。この場合も、制御装置31によってブローバルブ33が開かれると、排出流路48を介して圧縮機22の吐出側が大気開放される。すると、気液分離器25の排出口25cも大気開放される。気液分離器25に溜まった水は、排水として排出流路48へ排出される。そして、気液分離器25からの排水は、圧縮空気と共に噴出部35から噴出する。これにより、排水は気化する。したがって、気液分離器25に溜まった水を気化させて排出できるため、気液分離器25に溜まった水を、そのまま排水として扱って廃棄する場合と比べると、処理が容易となる。
【0070】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記ブローバルブの駆動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記送風装置から送られる空気の流れに沿う位置に配置されている圧縮空気供給機。
【符号の説明】
【0071】
R…流路、R1…タンク用排出流路、10…空気圧機器、11…圧縮空気供給機、21…送風装置、22…圧縮機、24…熱交換器、25…気液分離器、25c…排出口、27…空気タンク、27c…残圧排出口、33…ブローバルブ、35…噴出部、36…残圧排出弁、48…排出流路。