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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165773
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/88 20180101AFI20241121BHJP
   H04B 3/56 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F24F11/88
H04B3/56
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082260
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】粉川 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和陽
(72)【発明者】
【氏名】東山 伸
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩介
【テーマコード(参考)】
3L260
5K046
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA51
3L260JA02
5K046AA01
5K046CC09
(57)【要約】
【課題】空気調和機において、高周波信号の漏出を抑制する。
【解決手段】室内機12と、室外機11と、室内機12に設けられ、高周波信号を送信する送信回路24と、室外機11に設けられ、室内機12からの高周波信号を受信する受信回路44と、室外機11と室内機12とを接続し、室外機11から室内機12へ電力を供給する給電配線Wt2と、室外機11と室内機12とを接続し、給電配線Wt2の一部を構成する電力線L1を含み、送信回路24から受信回路44へ高周波信号を伝送させる通信配線Wt1と、送信回路24から送信された高周波信号を減衰させる減衰装置33と、減衰装置33による高周波信号の減衰量を制御する制御部23,43と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機(12)と、
室外機(11)と、
前記室内機(12)に設けられ、高周波信号を送信する送信回路(24)と、
前記室外機(11)に設けられ、前記室内機(12)からの高周波信号を受信する受信回路(44)と、
前記室外機(11)と前記室内機(12)とを接続し、前記室外機(11)から前記室内機(12)へ電力を供給する給電配線(Wa2)と、
前記室外機(11)と前記室内機(12)とを接続し、前記給電配線(Wa2)の一部を構成する電力線(L1)を含み、前記送信回路(24)から前記受信回路(44)へ高周波信号を伝送させる通信配線(Wt1)と、
前記送信回路(24)から送信された高周波信号を減衰させる減衰装置(33)と、
前記減衰装置(33)による高周波信号の減衰量を制御する制御部(23,43)と、を備える、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部(23,43)は、前記通信配線(Wt1)における高周波信号の減衰量に基づき、前記減衰装置(33)による減衰量を制御する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部(23,43)は、前記通信配線(Wt1)における高周波信号の減衰量を求め、この減衰量に基づいて前記減衰装置(33)による高周波信号の減衰量を決定する、請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部(23,43)は、前記通信配線(Wt1)の通信品質に関する情報を取得し、当該情報に基づいて前記通信配線(Wt1)における高周波信号の減衰量を求める、請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記減衰装置(33)は、前記制御部(23,43)の制御により減衰量を調整可能な減衰器(63)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記減衰装置(33)は、所定の減衰量を有する複数の減衰器(61a、61b、61c、62d)を含み、
前記制御部(23,43)は、前記通信配線(Wt1)に接続する前記減衰器の数又は種類を変更することにより、前記減衰装置による減衰量を制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記通信配線(Wt1)とは異なる経路により前記送信回路(24)から他の機器(13)へ高周波信号を伝送させる第2通信配線(Wt2)を備えている、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、室外機と室内機とが通信可能に接続された空気調和機が開示されている。この空気調和機では、室外機が商用電源に接続され、室外機から室内機に給電配線を介して電力が供給される。この給電配線の一部を構成する電力線は、通信配線としても用いられ、室外機と室内機との間で伝送される通信用の高周波信号が重畳される。
【0003】
上記のように電力線が通信配線として用いられる場合、高周波信号が電力線を通じて商用電源側に漏れ出す恐れがある。そのため、特許文献1の室外機では、商用電源に接続される配線に高周波信号を低減させるローパスフィルタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-185181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、空気調和機において高周波信号の漏出を抑制するための新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の空気調和機は、室内機と、
室外機と、
前記室内機に設けられ、高周波信号を送信する送信回路と、
前記室外機に設けられ、前記室内機からの高周波信号を受信する受信回路と、
前記室外機と前記室内機とを接続し、前記室外機から前記室内機へ電力を供給する給電配線と、
前記室外機と前記室内機とを接続し、前記給電配線の一部を構成する電力線を含み、前記送信回路から前記受信回路へ高周波信号を伝送させる通信配線と、
前記送信回路から送信された高周波信号を減衰させる減衰装置と、
前記減衰装置による高周波信号の減衰量を制御する制御部と、を備える。
【0007】
上記構成を有する空気調和機は、減衰装置による高周波信号の減衰量を制御することにより、送信回路から受信回路への高周波信号の信号強度を低下させ、室外機から商用電源側への高周波信号の漏出を抑制することができる。
【0008】
(2)上記(1)の空気調和機において、好ましくは、前記制御部は、前記通信配線における高周波信号の減衰量に基づき、前記減衰装置による減衰量を制御する。
高周波信号は、通信配線において減衰し、その減衰量は通信配線の長さによって変動する。上記構成によれば、通信配線が短い場合には減衰装置による減衰量を大きくすることで、高周波信号の漏出を抑制するために必要な全体の減衰量を確保することができる。逆に、通信配線が長い場合には減衰装置による減衰量を小さくしても必要な全体の減衰量を確保することができる。
【0009】
(3)上記(2)の空気調和機において、好ましくは、前記制御部は、前記通信配線における高周波信号の減衰量を求め、この減衰量に基づいて前記減衰装置による高周波信号の減衰量を決定する。
このような構成によって、制御部による減衰量の制御を実現することができる。
【0010】
(4)上記(3)の空気調和機において、好ましくは、前記制御部は、前記通信配線の通信品質に関する情報を取得し、当該情報に基づいて前記通信配線における高周波信号の減衰量を求める。
通信配線の通信品質は、減衰量と同様に通信配線の長さにより変動する。したがって、通信配線の通信品質と減衰量との間には相関関係があり、通信品質に関する情報を用いて減衰量を求めることができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の空気調和機において、好ましくは、前記減衰装置は、前記制御部の制御により減衰量を調整可能な減衰器を含む。
このような構成によって、簡素な構造の減衰装置を用いて高周波信号の減衰量を制御することができる。
【0012】
(6)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の空気調和機において、好ましくは、前記減衰装置は、所定の減衰量を有する複数の減衰器を含み、
前記制御部は、前記通信配線に接続する前記減衰器の数又は種類を変更することにより、前記減衰装置による減衰量を制御する。
このような構成によって、簡単に減衰量を制御することができる。
【0013】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の空気調和機において、前記通信配線とは異なる経路により前記送信回路から他の機器へ高周波信号を伝送させる第2通信配線を備えている。
この構成によれば、送信回路と他の機器との通信に影響を与えることなく、減衰装置による減衰量の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る空調調和機の全体構成図である。
図2】空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
図3】減衰装置の概略的な構成図である。
図4】PHYrateと減衰量との関係を例示するテーブルである。
図5】減衰装置による減衰量を制御する手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る空気調和機の減衰装置の概略的な構成図である。
図7】第3実施形態に係る空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
図8】第4実施形態に係る空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、空気調和機の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る空調調和機の全体構成図である。
本実施形態の空気調和機10は、ビル、店舗、又は住宅等の建物の外部に設置される室外機11と、建物の内部に設置される室内機12とを含む。図1に示される空気調和機10は、1つの室外機11と、複数の室内機12とを備えている。室外機11と複数の室内機12とは冷媒配管Pで接続され、この冷媒配管Pを介して室外機11と室内機12との間で冷媒を循環させ、建物の内部の冷房及び暖房が実行される。
【0016】
室外機11は商用電源100と給電配線Wa1で接続され、商用電源100から電力が供給される。室内機12は、室外機11と給電配線Wa2で接続され、商用電源100から室外機11を経由して電力が供給される。室外機11と室内機12とは、通信配線Wtで接続されている。室外機11と室内機12とは、通信配線Wtを介して通信可能に接続されている。
【0017】
空気調和機10は、集中コントローラ13を備えている。集中コントローラ13は、通信配線Wtを介して室外機11及び室内機12と通信可能に接続されている。集中コントローラ13は、室外機11及び室内機12の管理又は運用に用いられる。
【0018】
図2は、空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
(室内機の構成)
室内機12は、受電回路21を備える。受電回路21は、商用電源100から給電配線Wa1、Wa2、及び給電配線Wa1,Wa2に接続される室外機11中の配線を介して電力を受ける。受電回路21は、室内機12の内部の機器に電力を供給する。
【0019】
室内機12は、ファンインバータ22、MCU(Micro Control Unit)23、高周波送受信回路24、低周波受信回路25、及び低周波送受信回路26を備えている。これらの機器は、受電回路21から供給された電力によって駆動する。
【0020】
室内機12は、図示しない室内ファン及び室内熱交換器を備える。ファンインバータ22は、室内ファンを作動させるためのインバータである。室内ファンは、室内熱交換器を通過する空気流を生成する。MCU23は、室内機12の内部機器を制御するための制御部として機能する。
【0021】
MCU23は、プロセッサとメモリーとを含む。MCU23のプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成される。ASIC、又はゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラムと同様の処理を実行可能に構成される。
【0022】
MCU23のメモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリーや、フラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリーを含む。不揮発性メモリーには、コンピュータプログラムである制御プログラムや制御データが記憶される。MCU23は、プロセッサが制御プログラムを実行することによっての各種機能を発揮する。例えば、MCU23は、後述する減衰装置33による高周波信号の減衰量の制御機能を発揮する。
【0023】
受電回路21には、インピーダンスアッパー27と、ノイズフィルタ28と、整流回路29と、平滑回路30と、スイッチング電源31とが含まれる。インピーダンスアッパー27は、受電回路21のインピーダンスを上げ、後述するカレントループCLにおける通信信号が受電回路21に吸い込まれることを抑制する。ノイズフィルタ28は、商用電源100から供給される電力に含まれているノイズを低減する。整流回路29は、ノイズフィルタ28でノイズが低減された交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を出力する。平滑回路30は、整流回路29の出力に含まれる脈動を低減する。
【0024】
平滑回路30から出力される直流電力は、ファンインバータ22及びスイッチング電源31に供給される。スイッチング電源31は、平滑回路30から供給された電圧よりも小さな直流電圧に変換して室内機12の内部の機器に供給する。スイッチング電源31は、例えば、MCU23、高周波送受信回路24、低周波受信回路25及び低周波送受信回路26に電力を供給する。
【0025】
室内機12と室外機11とは、給電配線Wa2の一部を構成する電力線L1と、通信線L2とによって構成される第1通信配線Wt1によって接続されている。この第1通信配線Wt1は、室内機12と室外機11との間でカレントループCLを形成する。室内機12は、低周波送受信回路26によりカレントループCLを介して低周波の電流信号の送受信を行うことができる。
【0026】
室内機12は、バンドパスフィルタ32と、減衰装置33と、結合回路34と、ノイズフィルタ35とを備えている。バンドパスフィルタ32は、高周波送受信回路24で送受信される高周波の電圧信号(高周波信号)を通過させる。バンドパスフィルタ32は、減衰装置33と結合回路34とノイズフィルタ35とを介してカレントループCLの配線に接続されている。したがって、高周波送受信回路24は、カレントループCLの配線を介して高周波信号を送受信することができる。
【0027】
減衰装置33は、高周波送受信回路24から送信される高周波信号を減衰させ、信号強度を低下させる。具体的に、高周波送受信回路24から送信される高周波信号は、第1通信配線Wt1を通って室外機11に伝送され、室外機11の高周波送受信回路44に受信される。高周波信号の信号強度が高いと、第1通信配線Wt1から室外機11に送られた信号が、矢印X1で示す経路で商用電源100側に漏れ出す可能性がある。このように漏出された高周波信号は、その信号強度によっては電波法等の法規に抵触する可能性がある。本実施形態では、このような高周波信号の漏出を抑制するため、減衰装置33が高周波信号を減衰させる。本実施形態の減衰装置33は、高周波信号の減衰量を変更可能に構成されている。減衰装置33による減衰量の調整については後述する。
【0028】
結合回路34は、高周波信号の送受信のために直流成分を通過させずに交流成分を通過させる回路である。結合回路34は、例えばカップリングコンデンサにより構成される。結合回路34は、カレントループCLの配線で送信する高周波信号を通過させる。ノイズフィルタ35は、結合回路34を通過した高周波信号のノイズを低減させる。
【0029】
室内機12の高周波送受信回路24は、ハイパスフィルタ36を介して、第2通信配線Wt2に接続される。高周波送受信回路24は、第2通信配線Wt2を通して、高周波信号の送受信を行うことができる。
【0030】
室内機12の低周波受信回路25は、ローパスフィルタ37を介して、第2通信配線Wt2に接続される。室内機12の低周波受信回路25は、第2通信配線Wt2を通して、低周波信号を受信することができる。第2通信配線Wt2を通して送受信される高周波信号と低周波信号とは、電圧の変化によって情報を伝達する電圧信号である。
【0031】
なお、本開示において、高周波信号は、周波数が100kHz以上の信号であり、低周波信号は、周波数が10kHz以下の信号である。
【0032】
(室外機の構成)
室外機11は、受電回路41を備える。受電回路41は、商用電源100から電力を受け、室外機11の内部の機器に電力を供給する。室外機11は、インバータ47、ファンインバータ42、MCU43、高周波送受信回路44、低周波送信回路45及び低周波送受信回路46を備えている。これらは、受電回路41によって室外機11の内部に供給される電力によって駆動する。
【0033】
室外機11は、図示しない圧縮機、室外ファン、室外熱交換器を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮し、室外機11と室内機12との間で冷媒を循環させる。インバータ47は、圧縮機に電力を供給し、圧縮機を作動させる。ファンインバータ42は、室外ファンを作動させるためのインバータである。室外ファンは、室外熱交換器を通過する空気流を生成する。MCU43は、室外機11の内部機器を制御するための制御部として機能する。
【0034】
MCU43は、プロセッサとメモリーとを含む。MCU43のプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成される。ASIC、又はゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラムと同様の処理を実行可能に構成される。
【0035】
MCU23のメモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリーや、フラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリーを含む。不揮発性メモリーには、コンピュータプログラムである制御プログラムや制御データが記憶される。室内機12は、プロセッサが制御プログラムを実行することによっての各種機能を発揮する。
【0036】
受電回路41には、ノイズフィルタ48と、整流回路49と、平滑回路50と、スイッチング電源51とが含まれている。ノイズフィルタ48は、商用電源100から供給される電力に含まれているノイズを低減する。整流回路49は、ノイズフィルタ48でノイズが低減された交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を出力する。
【0037】
平滑回路50は、整流回路49の出力に含まれている脈動を低減する。平滑回路50から出力される直流電力は、インバータ47及びファンインバータ42に供給される。
【0038】
スイッチング電源51は、ノイズフィルタ48でノイズが低減された交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を室外機11の内部の機器に出力する。スイッチング電源51は、例えば、MCU43、高周波送受信回路44、低周波送信回路45及び低周波送受信回路46に電力を供給する。
【0039】
室外機11には、商用電源100からの電力を室内機12に供給するための給電配線Wa2が接続されている。室外機11は、給電配線Wa2で室内機12に電力を与えるために電力に重畳した高周波ノイズを低減するためのローパスフィルタ58を備えている。このローパスフィルタ58は、室外機11から商用電源100側へ流れる信号の高周波成分も低減する。
【0040】
室外機11は、低周波送受信回路46によって、カレントループCLを介して低周波の電流信号の送受信を行う。室外機11の低周波送受信回路46及び室内機12の低周波送受信回路26の電流信号の周波数は、給電配線Wa2に印加される商用電源100の周波数と同じに設定されることが好ましい。
【0041】
室外機11は、バンドパスフィルタ52と、減衰装置53と、結合回路54と、ノイズフィルタ55とを備えている。バンドパスフィルタ52は、高周波送受信回路44で送受信される高周波の電圧信号を通過させる。バンドパスフィルタ52は、減衰装置53と結合回路54とノイズフィルタ55を介してカレントループCLに接続されている。したがって、高周波送受信回路44は、カレントループCLの配線を介して高周波の電圧信号を送受信することができる。
【0042】
減衰装置53は、高周波送受信回路44から送信される高周波信号を減衰させ、信号強度を低下させる。高周波送受信回路44から送信される高周波信号は、第1通信配線Wt1を通って室内機12に伝送され、室内機12の高周波送受信回路24に受信される。しかし、高周波信号の信号強度が高いと、図2に矢印X2で示す経路でカレントループCLから商用電源100側に漏れ出す可能性がある。このような高周波信号の漏出を抑制するため、減衰装置53は高周波信号を減衰させる。室内機12の減衰装置33とは異なり、室外機11のこの減衰装置53には、高周波信号の減衰量が一定に固定されたものが用いられている。
【0043】
結合回路54は、高周波信号の送受信のために直流成分を通過させずに交流成分を通過させる回路である。結合回路54は、例えばカップリングコンデンサにより構成される。結合回路54は、カレントループCLを用いて送信する高周波信号を通過させる。ノイズフィルタ55は、結合回路54を通過した高周波信号のノイズを低減させる。
【0044】
室外機11の高周波送受信回路44は、ハイパスフィルタ56を介して、第2通信配線Wt2に接続されている。高周波送受信回路44は、第2通信配線Wt2を通して、高周波信号の送受信を行うことができる。
【0045】
室外機11の低周波送信回路45は、ローパスフィルタ57を介して第2通信配線Wt2に接続されている。室外機11の低周波送信回路45は、第2通信配線Wt2を通して低周波信号を送信することができる。
【0046】
室外機11と室内機12とは、第1通信配線Wt1を用いてカレントループCLを用いた通信を行うことができる。カレントループCLを用いた通信で使用される低周波信号は、室内機12の低周波送受信回路26から、第1通信配線Wt1(電力線L1及び通信線L2)を通して、室外機11の低周波送受信回路46に送られる。また、低周波信号は、室外機11の低周波送受信回路46から、第1通信配線Wt1(電力線L1及び通信線L2)を通して、室内機12の低周波送受信回路26に送られる。この低周波信号は、電力線L1と通信線L2を流れる電流の変化による電流信号である。
【0047】
室外機11と室内機12とは、第1通信配線Wt1を用いて高周波信号の通信を行うことができる。高周波信号は、室外機11の高周波送受信回路44から送信され、バンドパスフィルタ52、減衰装置53、結合回路54、ノイズフィルタ55、第1通信配線Wt1(電力線L1及び通信線L2)、ノイズフィルタ35、結合回路34、減衰装置33、及びバンドパスフィルタ32を介して、室内機12の高周波送受信回路24に送信される。
【0048】
また、高周波信号は、室内機12の高周波送受信回路24から、バンドパスフィルタ32、減衰装置33、結合回路34、ノイズフィルタ35、第1通信配線Wt1(電力線L1と通信線L2)、ノイズフィルタ55、結合回路54、減衰装置53、及びバンドパスフィルタ52を介して、室外機11の高周波送受信回路44に送信される。
【0049】
室外機11と室内機12と集中コントローラ13は、第2通信配線Wt2を用いて通信することができる。集中コントローラ13は、例えば、室外機11又は室内機12と同様のMCUと高周波送受信回路と低周波受信回路を備えることができ、高周波信号及び低周波信号を用いた通信を行うことができる。集中コントローラ13の通信用の内部構成には、室外機11又は室内機12と同様の構成を用いることができる。
【0050】
室外機11の低周波送信回路45から送信される低周波信号は、ローパスフィルタ57、第2通信配線Wt2及びローパスフィルタ37を介して、室内機12の低周波受信回路25で受信される。この低周波信号は、例えば、室外機11、室内機12、及び冷媒配管Pで形成される冷媒回路が複数系統ある場合に、各系統を認識するために用いられる。
【0051】
室外機11の高周波送受信回路44から送信される高周波信号は、ハイパスフィルタ56、第2通信配線Wt2及びハイパスフィルタ36を介して、室内機12の高周波送受信回路24に送信される。室内機12の高周波送受信回路24から送信される高周波信号は、ハイパスフィルタ36、第2通信配線Wt2及びハイパスフィルタ56を介して、室外機11の高周波送受信回路44で受信される。この高周波信号は、例えば、前述の系統認識、及び、系統認識後の空気調和機10の通常運転時の室外機11と室内機12の間の通信等に用いられる。
【0052】
室外機11と室内機12の間の低周波信号及び高周波信号の送受信と同様に、室外機11と集中コントローラ13との間で低周波信号と高周波信号の送受信を行うことができる。また、集中コントローラ13と室内機12との間で高周波信号の送受信を行うことができる。なお、集中コントローラ13と室内機12との高周波信号での通信は、集中コントローラ13の高周波送受信回路と室内機12の高周波送受信回路24とを用いて行うことができる。室外機11と室内機12の間の低周波信号及び高周波信号の送受信と同様に、集中コントローラ13と室外機11及び室内機12との間で低周波信号と高周波信号の送受信を行うことができるように構成されてもよい。
【0053】
(減衰装置33の制御)
図3は、減衰装置の概略的な構成図である。
上述したように室内機12に設けられた減衰装置33は、高周波信号の減衰量を変更可能に構成されている。減衰装置33は、入力端子60aと出力端子60bとの間に、複数の減衰器61a、61b、61c、61dと、複数のスイッチ62a、62b、62c、62d、62zとを備えている。複数の減衰器61a、61b、61c、61dは、それぞれ高周波信号を減衰させる抵抗素子を含む。複数の減衰器61a、61b、61c、61dは、互いに並列に接続されている。複数の減衰器61a、61b、61c、61dは、互いに異なる減衰量で高周波信号を減衰させる。例えば、減衰器61aは5dBの減衰量、減衰器61bは10dBの減衰量、減衰器61cは15dBの減衰量、減衰器61dは20dBの減衰量で、高周波信号を減衰させる。
【0054】
複数のスイッチ62a、62b、62c、62dは、複数の減衰器61a、61b、61c、61dに対応して直列に設けられている。複数のスイッチ62a、62b、62c、62dは、各減衰器61a、61b、61c、61dに対する高周波信号の入力の有無を切り替える。他の1つのスイッチ62zは、いずれの減衰器にも対応しておらず、いずれの減衰器も経由しない高周波信号の経路を形成する。複数のスイッチ62a、62b、62c、62d、62zは、MCU23によってオンオフ操作される。
【0055】
本実施形態の減衰装置33は、複数のスイッチ62a,62b、62c、62d、62zのうちのいずれか1つを選択的にオンすることによって減衰量を調整することができる。本実施形態の減衰装置33は、4つの減衰器61a、61b、61c、61d及び5つのスイッチ62a、62b、62c、62dを備えているので、0を含む5段階に減衰量を調整することができる。さらに、本実施形態の減衰装置33は、複数のスイッチ62a,62b、62c、62dのうちの2以上を選択的にオンすることによって減衰量をさらに多段階に調整することもできる。
【0056】
室内機12のMCU23は、減衰装置33を制御する。具体的に、MCU23は、減衰装置33による高周波信号の減衰量を制御(調整)する。MCU23は、減衰装置33の複数のスイッチ62a、62b、62c、62dを選択的にオン操作することによって減衰装置33による高周波信号の減衰量を調整する。本実施形態では、室外機11と室内機12との間の第1通信配線Wt1の長さ、言い換えると室外機11と室内機12との距離に基づいて、MCU23が減衰装置33による減衰量を調整する。
【0057】
室外機11と室内機12との間で伝送される電圧信号である高周波信号は、第1通信配線Wt1を通ることによって第1通信配線Wt1の抵抗により減衰する。第1通信配線Wt1における高周波信号の減衰量は、第1通信配線Wt1の長さによって変化する。例えば、第1通信配線Wt1が短くなると高周波信号の減衰量は小さくなり、第1通信配線Wt1が長くなると高周波信号の減衰量は大きくなる。そのため、第1通信配線Wt1が長くなるほど、第1通信配線Wt1による減衰量が高周波信号の通信に与える影響は大きくなる。
【0058】
図2の経路X1で示す商用電源100側への高周波信号の漏出を抑制するためには、第1通信配線Wt1の長さに関わらず、所定の減衰量で高周波信号を減衰させる必要がある。そのため、仮に、減衰装置33による高周波信号の減衰量が一定に固定されていたとすると、ある長さの第1通信配線Wt1では適切な減衰量で高周波信号を減衰させることができても、当該長さよりも長い第1通信配線Wt1では高周波信号を過度に減衰してしまい、通信に支障を来す恐れがある。その結果、第1通信配線Wt1の長さが所定に制限され、空気調和機10の据付、特に室外機11と室内機12との設置間隔にも制約が生じる。また、仮に、減衰装置33による高周波信号の減衰量が一定に固定されていたとすると、ある長さの第1通信配線Wt1では適切な減衰量で高周波信号を減衰させることができても、当該長さよりも短い第1通信配線Wt1では高周波信号が十分に減衰されなくなり、商用電源100側への高周波信号の漏出を適切に抑制できなくなる可能性が生じる。
【0059】
以上の実情に鑑み、本実施形態では、減衰装置33として減衰量を変更可能なものが適用され、さらに、MCU23が、第1通信配線Wt1による高周波信号の減衰量に基づいて減衰装置33を制御し、減衰装置33による高周波信号の減衰量を調整する。以下、MCU23による減衰装置の制御手順を説明する。
【0060】
図4は、PHYrateと減衰量との関係を例示するテーブルである。図5は、減衰装置による減衰量を制御する手順を示すフローチャートである。
本実施形態のMCU23は、図4に示すテーブル、もしくは、当該テーブルに相当する演算式等の情報をメモリーに記憶している。図4に示すPHYrateとは、室内機12の高周波送受信回路24と、室外機11の高周波送受信回路44との間の通信品質を示す情報である。PHYrateは、実質的に、両高周波送受信回路24,44間で所定の信号を伝送したときの通信速度(Mbps)である。高周波送受信回路24,44は、PHYrateを計測する機能を有している。
【0061】
図4に示す減衰量は、PHYrateに対応する、第1通信配線Wt1による高周波信号の減衰量の推定値である。図4には、参考として第1通信配線Wt1の長さである配線長の推定値も併記されている。これらの推定値は、実際に第1通信配線Wt1を使用して行った試験結果や第1通信配線Wt1の特性等から得られた値とすることができる。なお、図4のPHYrateと、減衰量と、第1通信配線Wt1の配線長との関係は、一例に過ぎない。PHYrateは、図2に示す空気調和機10の室外機11と室内機12との間の通信に関する構成、及び、第1通信配線Wt1の種類や巻き方等の影響を受ける。そのため、空気調和機10毎にPHYrateと、減衰量と、第1通信配線Wt1の配線長との関係が事前に求められる。
【0062】
図5のステップS1において、MCU23は、高周波送受信回路24からPHYrateの値を取得する。次いで、MCU23は、ステップS2において、取得したPHYrateを用いて第1通信配線Wt1における高周波信号の減衰量を求める。例えば、入力されたPHYrateが200Mbpsであった場合、MCU23は、図4に示す関係に基づき、第1通信配線Wt1による減衰量(5dB)を求める。
【0063】
次いで、MCU23は、ステップS3において、減衰装置33による高周波信号の減衰量を決定する。具体的に、MCU23は、室内機12の高周波送受信回路24から送信された高周波信号が商用電源100側へ漏出するのを防止するために、高周波送受信回路24から商用電源100に到るまでの経路(漏出経路)X1全体で減衰させる必要がある高周波信号の減衰量と、第1通信配線Wt1による高周波信号の減衰量と、の関係から、減衰装置33による高周波信号の減衰量を求める。例えば、漏出経路X1全体に要求される減衰量が「20dB」であり、第1通信配線Wt1による減衰量が「5dB」である場合、前者から後者を減算した値(20dB-5dB=15dB)を求め、これを減衰装置33による減衰量に決定する。
【0064】
最後に、MCU23は、ステップS4において、減衰装置33による減衰量が、ステップS3で決定した減衰量となるように、減衰装置33を制御する。具体的には、図3に示す複数のスイッチ62a~62d、62zを選択的にオン操作することによって減衰装置33の減衰量を調整する。
【0065】
なお、室外機11の減衰装置53は、室外機11の高周波送受信回路44から送信される高周波信号が商用電源100側へ漏出するのを抑制するにあたり、第1通信配線Wt1による減衰の影響を受けない。そのため、室外機11の減衰装置53は、変更できない固定の減衰量で高周波信号を減衰させる。
【0066】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る空気調和機の減衰装置の概略的な構成図である。
図6に示す減衰装置33は、ソフトウェアにより減衰量を調整できる公知の減衰器63(いわゆる、プログラマブルアッテネータ)を備えている。この減衰装置33は、MCU23から送信される制御信号により所定の分解能で段階的に任意の減衰量を得ることができる。本実施形態では、第1実施形態の減衰装置33のように複数の減衰器及び複数のスイッチを備える必要がなく、減衰装置33を簡素に構成することができる。
【0067】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係る空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
本実施形態では、減衰装置33が、室内機12におけるカレントループCLの配線であって、ノイズフィルタ35から商用電源100への高周波信号の漏出経路(矢印X1で示す経路)中に減衰装置33が配置されている。したがって、本実施形態においても、減衰装置33によって高周波信号を減衰し、商用電源100側への漏出を抑制することができる。
【0068】
なお、室内機12において、結合回路34よりノイズフィルタ35側の配線には、結合回路34よりバンドパスフィルタ32側の配線よりも電圧の高い高周波信号が流れる。そのため、第1実施形態の減衰装置33は、第3実施形態の減衰装置33より電圧の低い高周波信号が流れ、高周波信号の減衰のために、より抵抗値の小さなものを使用することができる。したがって、この観点においては、第1実施形態のように結合回路34とバンドパスフィルタ32との間に減衰装置33を設けることがより好ましい。
【0069】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係る空気調和機の室外機と室内機との間の通信に関する構成を示すブロック図である。
本実施形態では、減衰装置33が、室外機11における高周波信号の漏出経路(矢印X1で示す経路)に設けられている。具体的に、減衰装置33は、給電配線Wa1と給電配線Wa2とを接続する室外機11中の配線に設けられている。より具体的に、本実施形態の減衰装置33は、第1実施形態(図2参照)におけるローパスフィルタ58に代えて設けられている。ただし、減衰装置33は、ローパスフィルタ58とともに設けられていてもよい。
【0070】
室外機11に減衰装置33が設けられる場合、室外機11のMCU43が減衰装置33を制御する。MCU43のメモリーには、図4に示すテーブル又は当該テーブルに相当する演算式等の情報が記憶される。室外機11の高周波送受信回路44は、室内機12の高周波送受信回路24との間の通信品質を示す情報としてPHYrateを計測する機能を有している。MCU43は、高周波送受信回路44からPHYrareを取得し、図4に示すテーブルに基づいて通信配線Wt1における減衰量を求め、減衰装置33における減衰量を調整することができる。
【0071】
[他の実施形態]
減衰装置33の設置個所は、高周波信号の漏出経路X1中であれば特に限定されない。
減衰装置33は、図3に示すタイプのものと図6に示すタイプのものとの双方を組み合わせて設置することもできる。
室外機11に設けられた減衰装置53は、高周波信号の減衰量が一定に固定されたものに限らず、当該減衰量を変更可能に構成されたものであってもよい。
【0072】
図3に例示する減衰装置33は、複数の減衰器61a、61b、61c、61dの減衰量が同一とされていてもよい。この場合、複数のスイッチ62a、62b、62c、62dのうち、オンするスイッチの数を変更することによって減衰量を調整することができる。
【0073】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の空気調和機10は、室内機12と、室外機11と、室内機12に設けられ、高周波信号を送信する送信回路(高周波送受信回路)24と、室外機11に設けられ、室内機12からの高周波信号を受信する受信回路(高周波送受信回路)44と、室外機11と室内機12とを接続し、室外機11から室内機12へ電力を供給する給電配線(第2給電配線)Wa2と、室外機11と室内機12とを接続し、給電配線Wa2の一部を構成する電力線L1を含み、送信回路24から受信回路44へ高周波信号を伝送させる通信配線(第1通信配線)Wt1と、送信回路24から送信された高周波信号を減衰させる減衰装置33と、減衰装置33による高周波信号の減衰量を制御する制御部(MCU)23,43と、を備える。これにより、送信回路24から受信回路44への高周波信号の信号強度を低下させ、室外機11から商用電源100への高周波信号の漏出を抑制することができる。
【0074】
(2)上記実施形態では、制御部23,43は、通信配線Wt1における高周波信号の減衰量に基づき、減衰装置33による減衰量を制御する。
通信配線Wt1は、自身が抵抗となって高周波信号を減衰させる。この通信配線Wt1における高周波信号の減衰量は、通信配線Wt1の長さ、言い換えると、室内機12と室外機11との通信距離に応じて変化する。例えば、通信配線Wt1が長くなると高周波信号の減衰量は大きくなり、通信配線が短くなると高周波信号の減衰量は小さくなる。上記構成によれば、制御部23,43は、通信配線Wt1における高周波信号の減衰量に基づいて、減衰装置33による減衰量を制御する。そのため、通信配線Wt1が短い場合には減衰装置33による減衰量を大きくすることで、高周波信号の漏出を抑制するために必要な全体(漏出経路X1全体)の減衰量を確保することができる。逆に、通信配線Wt1が長い場合には減衰装置33による減衰量を小さくしても必要な全体の減衰量を確保することができる。言い換えると、減衰装置33による減衰量を小さくすることで、通信距離を延長することができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、制御部23,43は、通信配線Wt1における高周波信号の減衰量を求め、この減衰量に基づいて減衰装置33による高周波信号の減衰量を決定する。これにより、制御部23,43による減衰量の制御を実現することができる。
【0076】
(4)上記実施形態では、制御部23,43は、通信配線Wt1の通信品質に関する情報を取得し、当該情報に基づいて通信配線Wt1における高周波信号の減衰量を求める。通信配線Wt1の通信品質は、減衰量と同様に通信配線Wt1の長さにより変動する。したがって、通信配線Wt1の通信品質と減衰量との間には相関関係があり、通信品質に関する情報を用いて減衰量を求めることができる。
【0077】
(5)上記実施形態では、減衰装置33は、制御部23,43の制御により減衰量を調整可能な減衰器63を含む。これにより、簡素な構造の減衰装置33を用いて高周波信号の減衰量を制御することができる。
【0078】
(6)上記実施形態では、減衰装置33は、所定の減衰量を有する複数の減衰器61a~61dを含み、制御部23,43は、通信配線Wt1に接続する減衰器61a~61dの数又は種類を変更することにより、減衰装置33による減衰量を制御する。これにより、簡単に減衰量を制御することができる。
【0079】
(7)上記実施形態では、通信配線Wt1とは異なる経路により送信回路24から他の機器(例えば、集中コントローラ)13へ高周波信号を伝送させる第2通信配線Wt2を備えている。これにより、送信回路24と他の機器13との通信に影響を与えることなく、減衰装置33による減衰量を制御することができる。ここで、「他の機器」は、集中コントローラ13に限らず、他の室内機12や、その他の通信可能な機器とすることができる。
【0080】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0081】
10 :空気調和機
11 :室外機
12 :室内機
13 :集中コントローラ
23 :MCU(制御部)
24 :高周波送受信回路(送信回路)
33 :減衰装置
43 :MCU(制御部)
44 :高周波送受信回路(受信回路)
61a :減衰器
61b :減衰器
61c :減衰器
61d :減衰器
63 :減衰器
L1 :電力線
L2 :通信線
Wa2 :給電配線
Wt1 :第1通信配線
Wt2 :第2通信配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8