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特開2024-165776発電設備の施工方法、太陽光発電設備および空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165776
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】発電設備の施工方法、太陽光発電設備および空調システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/20 20140101AFI20241121BHJP
   H02S 30/00 20140101ALI20241121BHJP
   H02S 40/34 20140101ALI20241121BHJP
【FI】
H02S20/20 200
H02S30/00
H02S40/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082266
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】中垣 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雅美
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA03
5F251AA05
5F251BA03
5F251JA02
5F251JA13
5F251JA15
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】空調室外機が設けられた建屋の屋上にスペースを確保し、簡便な工事で設置可能な太陽光発電の技術を提供する。
【解決手段】太陽光を用いた発電設備の施工方法であって、発電設備は、膜材と、膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、太陽光発電セルが貼付された膜材を取付可能な取付部材と、を備え、太陽光発電セルが貼付された膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を用いた発電設備の施工方法であって、
前記発電設備は、
膜材と、
前記膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材を取付可能な取付部材と、を備え、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付ける、発電設備の施工方法。
【請求項2】
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材は、複数列に並べられた前記空調室外機の各列の間に架け渡して取付けられる、請求項1に記載の発電設備の施工方法。
【請求項3】
前記空調室外機は筐体状であり、
前記取付部材は、前記膜材の前記太陽光発電セルが貼付された面の高さ位置と、前記架け渡される前記空調室外機の筐体上部の筐体面とが略同じ高さ位置になるように、前記膜材を取付ける、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項4】
前記膜材は可撓性を有し、
前記太陽光発電セルは曲面形状に加工可能であり、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材と、前記取付部材とは分離可能である、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項5】
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材は、前記膜材の略中央付近が下方側に湾曲する弛みを持たせて前記空調室外機同士の間に架け渡して取付けられる、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項6】
前記膜材は略矩形状であり、
前記太陽光発電セルは、前記略矩形状の膜材の所定領域に貼付され、
前記所定領域に太陽光発電セルが貼付された前記略矩形状の膜材が複数に並設されるときには、前記略矩形状の膜材の前記太陽光発電セルが貼付されていない領域が相互に重ね合わせられる、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項7】
前記相互に重ね合わせられる前記略矩形状の膜材の前記太陽光発電セルが貼付されていない領域は、前記重ね合わせにおいて上方側の前記膜材の下面と下方側の前記膜材の上面とは分離している、請求項6に記載の発電設備の施工方法。
【請求項8】
前記重ね合わせにおいて、前記膜材の一端の下面が並設された膜材の上方側に重ねられるときには、前記膜材の他端の上面は、前記上方側に重ねられる膜材とは異なる前記並設された膜材の下方側に重ねられる、請求項7に記載の発電設備の施工方法。
【請求項9】
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材の下面には、前記太陽光発電セルによって発電された電力を出力するための端子が設けられる、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項10】
前記膜材の前記取付部材が当接される領域は、前記空調室外機同士の間に架け渡して取付けるための補強材を有する、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項11】
前記空調室外機同士は、熱交換に関する外気を取り込むための吸込口が対向して開口するように対向配置された空調室外機であり、前記対向配置された空調室外機の筐体上部に
は前記熱交換後の排気を排出する排気口が設けられ、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材は、前記対向配置された空調室外機の、前記対向して開口する前記吸込口の間の上方位置に架け渡して取付けられる、請求項1または2に記載の発電設備の施工方法。
【請求項12】
膜材と、
前記膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材を取付可能な取付部材と、を備え、
前記取付部材は、前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付け可能な、
太陽光発電設備。
【請求項13】
複数の空調室外機と、
膜材と、
前記膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、
前記太陽光発電セルが貼付された前記膜材を、前記太陽光発電セルが貼付された面を上面として、前記空調室外機同士の間に架け渡して取付可能な取付部材と、
を備える空調システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電設備の施工方法、太陽光発電設備および空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素化、電力構成の多様化・分散化、災害対策などの観点から、太陽光をエネルギー源とする太陽光発電システムの導入が進んでいる。例えば、特許文献1には、太陽光パネルと、この太陽光パネルを任意の傾斜角度で保持する架台とを有し、建屋の屋上等に設置可能な太陽光発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-149756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既築の建屋屋上に太陽光発電を導入する場合には、太陽光パネル等を支持する基礎や架台等を設置するためのスペースの確保が課題になる。例えば、個別空調化が施された建屋においては、パッケージエアコン等の室外機が屋上に設置されるため、太陽光パネル等を支持する基礎や架台等を設置するスペースが確保し難い。また、建屋屋上に太陽光パネル等を支持する基礎や架台等を新設するための建築工事は、建屋の所有者にとって費用や工期の面で負担を強いることになる。そこで、本願は、空調室外機が設けられた建屋の屋上にスペースを確保し、簡便な工事で設置可能な太陽光発電の技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一側面における太陽光を用いた発電設備の施工方法では、発電設備は、膜材と、膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、太陽光発電セルが貼付された膜材を取付可能な取付部材と、を備える。そして、発電設備の施工方法は、太陽光発電セルが貼付された膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付ける。
【0006】
これにより、発電設備は、太陽光発電セルが貼付された膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付けることが可能になるため、空調室外機が設けられた建屋の屋上であっても太陽光発電を導入するスペースが確保できる。発電設備の取付けにおいては、太陽光パネル等を支持する基礎や架台等が不要であるため、簡便であり、建屋の所有者にとって費用や工期の面で負担を強いることもなく、建屋の屋上に設置可能な太陽光発電の技術が提供できる。
【0007】
また、太陽光発電セルが貼付された膜材は、複数列に並べられた空調室外機の各列の間に架け渡して取付けられるようにしてもよい。これにより、複数列の空調室外機が並設されている場合であっても、太陽光発電セルが貼付された膜材を各列の間に架け渡して取付けることが可能になる。
【0008】
また、空調室外機は筐体状であり、取付部材は、膜材の太陽光発電セルが貼付された面の高さ位置と、架け渡される空調室外機の筐体上部の筐体面とが略同じ高さ位置になるように、膜材を取付けるようにしてもよい。これにより、太陽光発電セルが貼付された面の高さ位置は、架け渡される空調室外機間の構造物の筐体上部の筐体面と略同じ高さ位置に
なるため、日当たりが良く、発電に係る十分な日射量が確保できる。
【0009】
また、膜材は可撓性を有し、太陽光発電セルは曲面形状に加工可能であり、太陽光発電セルが貼付された膜材と、取付部材とは分離可能であるようにしてもよい。これにより、取付部材と分離された太陽光発電セルが貼付された膜材を丸めた状態で梱包し、空調室外機が設置された建屋屋上に、作業員が脇抱えしながら運搬することができる。例えば、エレベータ等が使用不可の場合であっても階段等を移動しながら運搬できる。また、取付部材も同様にして建屋屋上に搬入できる。太陽光発電セルが貼付された膜材と、取付部材とを建屋屋上に搬入するためのクレーン等の設置が不要のため、設置工事に係るコストの低減、工期短縮が可能になる。
【0010】
また、太陽光発電セルが貼付された膜材は、膜材の略中央付近が下方側に湾曲する弛みを持たせて空調室外機同士の間に架け渡して取付けられるようにしてもよい。これにより、第1の構造物と第2の構造物との間の高さ位置のズレ、設置位置のズレや歪み等が吸収できる。また、弛みにより、地震等における架け渡された構造物間の揺れの違いを吸収し、太陽光発電セルの破損等が回避できる。さらに、降水が生じた際に、膜材の略中央付近が下方側に湾曲する弛みを持たせた端部から雨水等を落水させることができるため、太陽光発電セルが貼付された膜材上に雨水等を溜り難くすることができる。
【0011】
また、膜材は略矩形状であり、太陽光発電セルは、略矩形状の膜材の所定領域に貼付され、所定領域に太陽光発電セルが貼付された略矩形状の膜材が複数に並設されるときには、略矩形状の膜材の太陽光発電セルが貼付されていない領域が相互に重ね合わせられるようにしてもよい。これにより、複数の太陽光発電セルが貼付された膜材が並設される場合に、膜材の上面に貼付された太陽光発電セルの表面を覆い隠す等の干渉が回避でき、発電量の低下を招くこともない。
【0012】
また、相互に重ね合わせられる略矩形状の膜材の太陽光発電セルが貼付されていない領域は、重ね合わせにおいて上方側の膜材の下面と下方側の膜材の上面とは分離しているようにしてもよい。これにより、降水が生じた際に、膜材が重ね合わせられた領域から、雨水等を落水できるため、複数に並設された各膜材の太陽光発電セル上に雨水等を溜り難くすることができる。
【0013】
また、重ね合わせにおいて、膜材の一端の下面が並設された膜材の上方側に重ねられるときには、膜材の他端の上面は、上方側に重ねられる膜材とは異なる並設された膜材の下方側に重ねられるようにしてもよい。これにより、太陽光発電セルが貼付された複数の膜材が並設する際に、各膜材に対し、上方側に重ねられた一端の領域から下方側に重ねられる他端の領域へ下降する傾斜を設けることができる。降水が生じた際には、傾斜に沿って雨水等をより効果的に排出することが期待できる。
【0014】
また、太陽光発電セルが貼付された膜材の下面には、太陽光発電セルによって発電された電力を出力するための端子が設けられるようにしてもよい。これにより、空調室外機同士の間に架け渡して取付けられた太陽光発電ユニットの下面を対象として、発電された電力を取り出すための配線作業が可能になるため、簡便性、作業性を高めることが期待できる。
【0015】
また、膜材の取付部材が当接される領域は、空調室外機同士の間に架け渡して取付けるための補強材を有するようにしてもよい。これにより、空調室外機同士の間に架け渡して取付けられた、太陽光発電セルが貼付された膜材の取付強度を高めることができる。
【0016】
また、空調室外機同士は、熱交換に関する外気を取り込むための吸込口が対向して開口
するように対向配置された空調室外機であり、対向配置された空調室外機の筐体上部には熱交換後の排気を排出する排気口が設けられ、太陽光発電セルが貼付された膜材は、対向配置された空調室外機の、対向して開口する吸込口の間の上方位置に架け渡して取付けられるようにしてもよい。これにより、架け渡して取付けられた膜材により、対向配置された空調室外機の各排気口から排出された排気の、各吸込口へ向かう排気の流れを仕切ることが可能になるため、吸排気短絡を抑制する効果が期待できる。また、対向配置された空調室外機に対する直射日光を遮ることができるため、直射日光の照射熱による運転負荷の軽減が期待できる。
【0017】
また、本開示は、太陽光発電設備の側面から捉えることもできる。例えば、膜材と、膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、太陽光発電セルが貼付された膜材を取付可能な取付部材と、を備え、取付部材は、太陽光発電セルが貼付された膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付け可能な、太陽光発電設備であってもよい。
【0018】
また、本開示の他の側面における形態として、複数の空調室外機と、膜材と、膜材に貼付可能な太陽光発電セルと、太陽光発電セルが貼付された膜材を、太陽光発電セルが貼付された面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付可能な取付部材と、を備える空調システムであってもよい。
【0019】
このような形態であっても、空調システムは、太陽光発電セルが貼付された膜材の面を上面として、空調室外機同士の間に架け渡して取付けることが可能になるため、空調室外機が設けられた建屋の屋上であっても太陽光発電を導入するスペースが確保できる。発電設備の取付けにおいては、太陽光パネル等を支持する基礎や架台等が不要であるため、簡便であり、建屋の所有者にとって費用や工期の面で負担を強いることもなく、建屋の屋上に設置可能な太陽光発電の技術が提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本願により、空調室外機が設けられた建屋の屋上にスペースを確保し、簡便な工事で設置可能な太陽光発電の技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る太陽光発電ユニットの構成の一例を説明する斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る太陽光発電ユニットの表面を上方側から視た平面図である。
図3図3は、実施形態に係る太陽光発電ユニットの裏面を下方側から視た平面図である。
図4図4は、実施形態に係る太陽光発電ユニットの梱包状態を説明する図である。
図5図5は、実施形態に係る太陽光発電ユニットの固定方法を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る複数の太陽光発電ユニットが設けられる際の取付形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一の形態(以下、一実施形態、実施形態ともいう)を説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本開示の技術的範囲を実施形態に限定するものではない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0023】
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る太陽光発電システム1の構成の一例を説明する斜視図である。本実施形態に係る太陽光発電システム1は、パッケージエアコン等の室外機といった構造物が既設された建屋の屋上に導入可能な太陽光発電システムである。太陽光発電システム1は、太陽光をエネルギー源として発電可能な太陽光発電ユニット10と、太陽光発電ユニット10で発電された電力を室外機等が使用可能な電力に変換するためのパワーコンディショナ40を含み構成される。図1においては、対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)が複数列に平行して並設し、対向配置された空調室外機(20#1、20#2)の間に架け渡されて取り付けられた太陽光発電ユニット10の形態が例示される。
【0024】
本実施形態に係る太陽光発電ユニット10は、可撓性を有する膜材11と、膜材11の表面に貼付されたフィルム型の太陽光発電セル12と、当該発電セルが貼付された膜材11を空調室外機(20#1、20#2)に取り付けるための一対の取付部材(13a、13b)を含み構成される。取付部材(13a、13b)は、例えば、断面形状が略L字状のアングル材である。後述するように、太陽光発電ユニット10は、太陽光発電セル12が表面に貼付された膜材11は、ボルトおよびナット等の固定部材60を介して取付部材(13a、13b)に緊結される。
【0025】
以下では、図1に示す形態を用いて本実施形態に係る太陽光発電システム1の説明を行うが、太陽光発電ユニット10は、建屋屋上等に新たに設けられた新設の空調室外機(20#1、20#2)間に取付けられてよい。なお、空調室外機(20#1、20#2)、各空調室外機が有する排気口(21#1、21#2)、吸込口(22#1、22#2)、点検口(23#1、23#2)を総称して、それぞれ空調室外機20、排気口21、吸込口22、点検口23ともいう。同様にして、太陽光発電ユニット10を構成する一対の取付部材(13a、13b)を総称して、取付部材13ともいう。本実施形態において、対向配置された空調室外機20は「空調室外機同士」の一例であり、太陽光発電ユニット10は「発電設備」の一例である。また、対向配置された空調室外機20の間に太陽光発電ユニット10を架け渡して取付けることは、発電設備の施工方法ともいえる。
【0026】
空調室外機20は、個別空調化が施された既築の建屋屋上に設置されたパッケージエアコン等の室外機である。空調室外機20は、例えば、筐体状に構成され、筐体内に熱交換システムが内蔵されている。空調室外機20は、空調対象である建物や室内に設けられた室内機(パッケージエアコン等)と配管等で連結されており、熱交換システムを通じて、目的とする運転形態(冷房・暖房)に応じた熱交換を行う。空調室外機20の側面側には外気を吸入するための吸込口22、熱交換システムを点検するための点検口23等が設けられ、上部側には熱交換後の外気をファン等によって排出するための排気口21が設けられる。空調室外機20の近傍には、当該室外機に電力を供給するための動力盤30が設けられ、動力盤30には、例えば、太陽光発電ユニット10を通じて発電された電力を空調室外機20が利用可能な電力に変換するためのパワーコンディショナ40が設けられる。但し、動力盤30およびパワーコンディショナ40は、一体的に構成されてもよく、別体で構成されてもよい。
【0027】
空調室外機20では、側面側に設けられた吸込口22を通じて、熱交換等に係る外気が吸気され、熱交換後の外気はファン等によって上部側に設けられた排気口21を通じて外部に排気される。吸気された外気と熱交換後の排気との間には運転形態に伴う温度差が生じ得るが、空調室外機20においては、これらの吸排気が十分に分離されるように設計が行われている。しかしながら、個別空調化が施され、空調室外機20の設置密度が高くなると、上部側の排気口21から排出された排気が側面側の吸込口22を通じて吸気される吸排気短絡(所謂、ショートサーキット)が生じ得る。吸排気短絡が生じた場合には、例
えば、パッケージエアコン等の運転効率を低下させたり、夏季の冷房負荷ピーク時に高圧カットによる運転停止を招いたりする虞がある。
【0028】
本実施形態に係る太陽光発電ユニット10は、取付部材13を介して対向配置された複数の空調室外機20の各吸込口22よりも上方位置に架け渡されて設けられる。図1に示されるように、太陽光発電ユニット10は、略矩形状であり、当該ユニットの一端は取付部材13aを介して空調室外機20#1の吸込口22#1の上方位置に、他端は取付部材13bを介して空調室外機20#2の吸込口22#2の上方位置に取付けられる。太陽光発電ユニット10は、対向配置された各空調室外機の、対向して開口する吸込口22#1と吸込口22#2と間の上方位置の空間に架け渡される。そして、太陽光発電ユニット10の太陽光発電セル12が貼付された表面を上面として、それぞれの空調室外機20の排気口21が設けられる筐体面の高さ位置と略同じ高さ位置となるように設けられる。
【0029】
これにより、本実施形態では、対向配置された複数の空調室外機20の間に設けられた太陽光発電ユニット10によって、各排気口から排出された排気の吸込口22#1および22#2に向かう流れを仕切ることが可能になる。太陽光発電ユニット10が取付けられた各空調室外機においては、各排気口から排出された温度の高い排気の、吸込口22#1および22#2に向かう流れを遮蔽し、吸排気短絡を抑制する効果が期待できる。
【0030】
そして、太陽光発電ユニット10は、対向配置された空調室外機20の間において、排気口21が設けられる筐体面の高さ位置と略同じ高さ位置となるように架け渡されるため日当たりが良い。本実施形態に係る太陽光発電ユニット10においては、発電に係る十分な日射量の確保が可能になる。なお、対向配置された空調室外機20においては、架け渡された太陽光発電ユニット10による、直射日光の照射に対する遮熱および遮光効果が期待できる。このため、例えば、夏季等において、直射日光が照射されて熱せられたことを起因とする空調室外機20の運転負荷の軽減が可能になる。
【0031】
(太陽光発電ユニット)
次に、図2図3を用いて本実施形態に係る太陽光発電ユニット10の形状を説明する。図2は本実施形態に係る太陽光発電ユニット10の太陽光発電セル12が貼付された表面を上方側から視た平面図であり、図3は太陽光発電ユニット10の裏面(太陽光発電セル12が貼付された表面と対向する面)を下方側から視た平面図である。既に説明したように、太陽光発電ユニット10は、略矩形状であり、断面形状が略L字状のフレーム材である取付部材(13a、13b)を介して、対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)間の各吸込口の上方位置に架け渡されて取付けられる。なお、図2に示されるように、空調室外機20#1には、空調室外機20#1a、20#1bが隣接して並設され、空調室外機20#2には、空調室外機20#2a、20#2bが隣接して並設される。以下では、略矩形状の太陽光発電ユニット10において、例えば、空調室外機20#1aから空調室外機20#1bに向かう方向を「長手方向」、空調室外機20#1から空調室外機20#2に向かう方向を「短手方向」ともいう。
【0032】
図2に示されるように、太陽光発電ユニット10を構成するフィルム型の太陽光発電セル12は、可撓性を有する膜材11の表面の所定領域に貼付される。膜材11は、例えば、屋外のテント倉庫や、膜屋根の建物に用いられる樹脂製のシート材である。このようなシート材として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等が例示される。膜材11は、可撓性、耐候性、軽量性、強度等を有する材質であれば不織布であってもよく、太陽光発電ユニット10が設置される環境等に応じて適宜に採用され得る。
【0033】
太陽光発電セル12は、例えば、曲面形状に加工可能なフィルム型のアモルファスシリコン、MWT(メタルラップスルー)バックコンタクト構造の太陽電池セルである。このような太陽電池セルの採用により、ガラスパネルと一体的に構成された結晶シリコンパネルとは異なり、軽量化をはかり、膜材11の曲面に貼付させて一体化させた太陽光発電ユニット10が構成可能になる。例えば、メガソーラーで一般的に使われる結晶シリコン太陽電池は、架台込みで単位面積(m)当り15kg程度である。一方でフィルム型アモルファスシリコンのシートやMWTバックコンタクト構造の太陽電池の場合は、取付金具込みで単位面積(m)当り1~3kgである。太陽光発電セル12を膜材11に複数に貼付した場合であっても、同サイズのガラスパネルと一体的に構成された結晶シリコンパネルと比較すると重量が大幅に軽減可能になる。
【0034】
また、フィルム型アモルファスシリコンのシートが採用される場合には、太陽光発電セル12は、高温時における発電効率の低下、経年使用時における発電効率の低下が抑制可能になる。このような太陽光発電セル12によって構成された太陽光発電ユニット10においては、軽量化、高温時や経年使用時における発電効率の低下の抑制が可能になる。
【0035】
本実施形態においては、太陽光発電ユニット10の軽量化により荷重負担が軽減できるため、既設の空調室外機20を介した支持が可能になり、太陽光パネル等を支持する基礎や架台等の補強工事が不要になることで設置工事に係る費用負担が軽減できる。なお、太陽光発電セル12によって発電された電力は、図3に示されるように、太陽光発電ユニット10の裏面に設けられた端子14を通じてパワーコンディショナ40に出力される。
【0036】
取付部材(13a、13b)は、断面形状が略L字状のアングル材であり、アングル材を構成する各辺には略楕円形状の貫通穴が開口する。アングル材を構成する各辺の長さは、例えば、30mm程度である。図2図3に示されるように、取付部材(13a、13b)は、太陽光発電ユニット10を構成する膜材11の短手方向の両端部、裏面側に取付けられる。膜材11の、取付部材(13a、13b)が当接される当接位置には、ボルトおよびナット等の固定部材60を介して緊結するための貫通穴11a(例えば、10mmφ程度)が複数(例えば、4箇所)に設けられる。アングル材を構成する各辺の長さ、膜材11に設けられる貫通穴11aの穴径は、太陽光発電ユニット10が設置される環境等に応じて適宜に設定される。
【0037】
図2において、一点鎖線で示される長さA2は空調室外機20の長手方向の幅を表し、一点鎖線で示される長さA1は並設して設けられた空調室外機20との間の離間距離を表す。また、一点鎖線で示される長さB2は、膜材11に貼付される太陽光発電セル12の領域における長手方向の長さを表す。同様にして、一点鎖線で示される長さB1は、膜材11に貼付される太陽光発電セル12の領域における長手方向の端部と、並設して設けられた空調室外機20との間の離間距離を表す。また、一点鎖線で示される長さC1は、膜材11に貼付される太陽光発電セル12の領域における短手方向の長さを表し、一点鎖線で示される長さC3は、膜材11の短手方向の長さを表す。一点鎖線で示される長さC2は、膜材11の短手方向の両端部に開口する貫通穴間の離間距離を表す。一点鎖線で示される長さC2は、取付部材13を構成するアングル材の各辺の長さと、膜材11の短手方向の長さC3とにより適宜に決定される。
【0038】
図2に示されるように、膜材11に貼付される太陽光発電セル12の領域は、例えば、一点鎖線で示される長手方向の長さB2×短手方向の長さC1で表される。長手方向の長さB2は、空調室外機20の長手方向の幅A2と、太陽光発電セル12のセル幅によって適宜に決定される。例えば、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2は、空調室外機20の長手方向の幅A2を超えない直前の倍数の、並列可能なセル幅の長さとすることができる。例えば、太陽光発電セル12のセル幅が200mmであり、空調
室外機20の長手方向の幅A2が1750mmの場合では、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2は、1600mmとなる。また、空調室外機20の長手方向の幅A2が1200mmの場合では、長手方向の長さB2は1200mmとすることができる。
【0039】
なお、膜材11に貼付される太陽光発電セル12の領域の長手方向の端部と、並設された空調室外機20との間の離間距離(長さ)B1は、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2に基づいて適宜に決定できる。例えば、離間距離B1は、空調室外機20の長手方向の幅A2および並設された空調室外機間の離間距離(長さ)A1、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2によって決定することができる。すなわち、離間距離B1は、{A1+(A2-B2)/2}として表すことができる。なお、離間距離B1は、{A1+(A2-B2)/2}によって算出された長さに基づいて適宜に調整してもよい。例えば、離間距離B1が30mmを超え40mm未満においては、25mmとして設定可能である。同様にして、離間距離B1が60mmを超え100mm未満の場合には55mmとして設定し、100mmを超え180mm未満の場合には95mmとして設定することもできる。太陽光発電ユニット10が設置される環境等に応じて適宜に設定される。
【0040】
図2図3において、膜材11の短手方向の長さC3は、対向配置される空調室外機20の間の離間距離によって適宜に決定できる。例えば、対向配置される空調室外機20の間の離間距離が600mmから640mmの場合では、膜材11の短手方向の長さC3を約680mmとすることができる。このように、膜材11の短手方向の長さC3を、対向配置される空調室外機20の間の離間距離に対して所定の余裕長(上記の例では、80mmから40mm)を持たせることにより、空調室外機間の設置間隔のズレが吸収できる。空調室外機間の設置間隔のズレは、例えば、並設された空調室外機間の高さ方向の高低差、設置位置の長手方向の差分、対向配置された空調室外機の間の短手方向の差分等である。また、膜材11の短手方向の長さC3に余裕長を持たせることにより、対向配置された空調室外機間に架け渡された太陽光発電ユニット10の略中央付近を下方側に垂れ下がるように設置できる。このように太陽光発電ユニット10の略中央付近を下方側に垂れ下がるよう設置することで、後述するように、複数の太陽光発電ユニット10が連接して設置された際に、雨水等を溜り難くすることが可能になる。
【0041】
図3において、膜材11の短手方向の両端部に設けられる貫通穴11aの間隔(B3、B4、B5)は、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2、取付部材(13a、13b)を構成するアングル材の各辺の長さ等に基づいて適宜に設定できる。例えば、太陽光発電セル12が貼付される領域の長手方向の長さB2が1200mmの場合では、長手方向の両端部から20mmから40mm程度の余地を設けて当該両端側の貫通穴11aが設けられる。そして、例えば、貫通穴11aの間隔B3、B4、B5のそれぞれを400mm、340mm、400mmとして、4箇所の貫通穴11aを設けることができる。
【0042】
また、取付部材(13a、13b)が当接される膜材11の短手方向の両端部の縁11bには、取付部材(13a、13b)と緊結される貫通穴11aの強度を高めるための補強が施されている。このような補強として、例えば、膜材11の端部を表面から裏面側に折り返す等を施すことにより2重にすることが例示される。膜材11の折り返された端部は、取付部材(13a、13b)と緊結される貫通穴11aの強度を高めるための補強材ということもできる。膜材11の短手方向の両端部の縁11bに対して、2重にする等の補強を行うことで、ボルトおよびナット等の固定部材60を介して緊結される際の取付部材(13a、13b)と膜材11との間の密着性を高めることができる。
【0043】
このように、太陽光発電ユニット10は、膜材11と、膜材11に貼付される太陽光発電セル12と、当該発電セルが貼付された膜材11を空調室外機20に取り付けるための一対の取付部材(13a、13b)を含み構成される。このような構成を採用することにより、例えば、太陽光発電セル12が貼付された膜材11と、当該膜材を空調室外機20に取り付けるための一対の取付部材(13a、13b)とを分離した状態で建屋屋上等に個別に搬入することが可能になる。
【0044】
図4は、太陽光発電ユニット10の梱包状態を説明する図である。例えば、図4(a)、(b)に示されるように、太陽光発電セル12が貼付された膜材11を長手方向に丸めた状態で梱包し、太陽光発電ユニット10が設置される建屋屋上に搬入できる。梱包された状態では、作業員が脇抱えしながら運搬可能なため、例えば、エレベータ等が使用不可の場合であっても階段等を移動しながら空調室外機20が設置された建屋屋上に運搬できる。本実施形態においては、太陽光発電ユニット10を建屋屋上に搬入するためのクレーン等の設置が不要のため、太陽光発電システム1を設置するためのコストの低減、工期の短縮が可能になる。
【0045】
太陽光発電ユニット10を構成する、太陽光発電セル12が貼付された膜材11および取付部材(13a、13b)は、個別に建屋屋上に搬入された後に、ボルトおよびナット等の固定部材60を用いて緊結される。緊結完了後、対向配置された空調室外機20の間に取り付け可能な太陽光発電ユニット10の形態となる。
【0046】
(固定方法)
図5は、太陽光発電ユニット10の固定方法を説明する図である。図5においては、対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)の間に架け渡されて取り付けられた太陽光発電ユニット10を側面から視た側面図が例示される。太陽光発電ユニット10は、断面形状が略L字状のアングル材である取付部材(13a、13b)を介して、対向して開口する吸込口22#1と吸込口22#2と間の上方位置の空間に架け渡されて取り付けられる。
【0047】
作業員は、例えば、丸められて梱包された状態の膜材11を展開し、膜材11の短手方向の2重折り返し等によって補強された領域(縁11b)に、取付部材(13a、13b)を構成する略L字状のアングル材の一辺を裏面から当接させる。膜材11の表面には、フィルム型の太陽光発電セル12が所定領域に貼付されている。また、膜材11の短手方向の2重折り返し等によって補強された領域(縁11b)には貫通穴11aが開口し、当該補強領域に裏面から当接されるアングル材の一辺には略楕円形状の貫通穴が開口している。
【0048】
作業員は、例えば、膜材11の表面から貫通させた固定部材60のボルトを、裏面に当接させたアングル材に開口する略楕円形状の貫通穴に挿通させてナットを嵌め合わせる。そして、固定部材60のボルト・ナット間の締結により、太陽光発電セル12が貼付された膜材11と、取付部材13を構成するアングル材の一辺とが緊結されて、対向配置された空調室外機20の間に取り付け可能な太陽光発電ユニット10が組み立てられる。
【0049】
組み立てられた太陽光発電ユニット10は、取付部材13の膜材11が緊結されていないアングル材の他辺を介して空調室外機20に取付けられる。吸込口22が対向して配置された空調室外機20には、例えば、排気口21が設けられた筐体上部を筐体側面に固定するためのビス穴が設けられている。当該ビス穴は、空調室外機20の側面側に設けられた吸込口22よりも上方位置に設けられている。
【0050】
作業員は、例えば、取付部材13の膜材11が緊結されていないアングル材の他辺に開
口する略楕円形状の貫通穴の位置と、空調室外機20の筐体側面に設けられたビス穴の位置とが重なるように調整し、当該ビス穴を用いて太陽光発電ユニット10を固定する。図5に示されるように、太陽光発電セル12が貼付された膜材11の表面の領域は、架け渡される各空調室外機の、排気口21が設けられた筐体上部の筐体面と略同じ高さ位置になるように取り付けられる。このように、取付部材13の、空調室外機20と固定されるアングル材の辺の長さは、太陽光発電ユニット10の表面の高さ位置が筐体上部の筐体面と略同じ高さ位置になるように、空調室外機20のサイズに応じて適宜に設定可能であることが好ましい。
【0051】
本実施形態では、上記の作業工程により、対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)の、各吸込口よりも上方位置の空間に太陽光発電ユニット10を架け渡すことが可能になる。本実施形態では、太陽光発電ユニット10が予め取付部材13に緊結された状態で空調室外機20への取付作業が行われるため、例えば、脚立や足場台、空調室外機20の上部面に作業員が立ってボルト頭を押さえる等の高所作業が不要になる。
【0052】
対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)への、太陽光発電ユニット10の取付完了後、当該ユニットの裏面に設けられた端子14に対する配線作業が、下方側から行われる。この配線作業においても、脚立や足場台等を用いた高所作業は不要であるため、作業性を高め、安全性が確保できる。配線作業の完了後、太陽光発電ユニット10と、太陽光発電セル12によって発電された電力を所定の電力に変換するパワーコンディショナ40が接続される。
【0053】
なお、図1図5等に示されるように、対向配置された一対の空調室外機(20#1、20#2)の間に架け渡されて取り付けられた太陽光発電ユニット10の略中央付近に弛みを持たせて設置される。このように太陽光発電ユニット10の略中央付近を下方側に湾曲させて垂れ下がるよう設置することで、降水が生じた際に長手方向の両端部から雨水等を落水させることができるため、太陽光発電ユニット上に雨水等を溜り難くすることが可能になる。
【0054】
また、対向配置される空調室外機の間の離間距離に対して、膜材11の短手方向の長さに余裕長を持たせることで、太陽光発電ユニット10の取付け時における、空調室外機20間の高さ位置のズレ、筐体の歪み等が吸収可能になる。また、弛みにより、地震等における架け渡された空調室外機間の揺れの違いを吸収できるため、太陽光発電ユニット10の破損等の事故が回避可能になる。
【0055】
図6は、複数の太陽光発電ユニット10が設けられる際の取付形態を説明する図である。図6においては、複数に取付された太陽光発電ユニット(10#1、10#2、10#3)を斜め上面から視た斜視図が例示される。
【0056】
図6の重ね領域D1に示されるように、複数の太陽光発電ユニット10が連接して設けられる場合では、膜材11の長手方向の端部が、隣接する太陽光発電ユニット10の太陽光発電セル12の表面を覆わないように、相互の端部領域を重ね合わせて設置される。例えば、太陽光発電ユニット10#1と10#2との間の重ね領域D1では、太陽光発電ユニット10#2の太陽光発電セル12が貼付されていない膜材11#2の端部領域の上方側に太陽光発電ユニット10#1が重ね合わせられて設置される。同様にして、太陽光発電ユニット10#2と10#3との間の重ね領域D1では、太陽光発電ユニット10#3の太陽光発電セル12が貼付されていない膜材11#3の端部領域の上方側に太陽光発電ユニット10#2が重ね合わせられて設置される。
【0057】
そして、重ね領域D1においては、重ね合わせられる太陽光発電ユニット10の膜材間
は接着剤等で接着させずに分離させて設置させるようにする。このような重ね領域D1を持たせることで、複数の太陽光発電ユニット10が連接して設けられる際に、各太陽光発電ユニットの表面側に、長手方向の一端側から他端側へ向かう傾斜を設けることができる。例えば、太陽光発電ユニット10#2においては、太陽光発電ユニット10#3から太陽光発電ユニット10#1に下降する傾斜を設けることができる。このような傾斜により、降水が生じた際には、長手方向の一端から他端に向かう流れに沿って雨水等を移動させ、他端側の接着されていない重ね領域D1から落水させることができる。複数の太陽光発電ユニット10が連接して設けられる場合であっても、太陽光発電ユニット上に雨水等を溜り難くすることが可能になる。
【0058】
また、重ね領域D1の膜材間は分離し、接着されていないため、地震等が生じた場合には、異なる個別の空調室外機20の揺れが連接された太陽光発電ユニット10を介して伝搬することはない。複数の太陽光発電ユニット10が連接して設けられる場合であっても、空調室外機間の揺れの違いに起因する太陽光発電ユニット10の破損等の事故が回避可能になる。
【0059】
なお、本実施形態において、建屋屋上に設置された空調室外機20は、既設の構造物の一例である。本実施形態において、太陽光発電ユニット10が取付け可能な構造物であれば、建屋屋上に新たに設けられた新設の空調室外機であってもよい。空調室外機間に太陽光発電ユニット10を架け渡して設置することで、本実施形態に係る太陽光発電システム1を備える空調システムが構成され得る。
【符号の説明】
【0060】
1・・太陽光発電システム
10、10#1、10#2、10#3・・太陽光発電ユニット
11、11#1、11#2、11#3・・膜材
11a・・貫通穴
11b・・縁
12、12#1、12#2、12#3・・太陽光発電セル
13、13a、13b・・取付部材
14・・端子
20、20#1、20#1a、20#1b・・空調室外機
20#2、20#2a、20#2b・・空調室外機
21、21#1、21#2・・排気口
22、22#1、22#2・・吸込口
23、23#1、23#2・・点検口
30・・動力盤
40・・パワーコンディショナ
60・・固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6