(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165784
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電源システム、電源システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082278
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼沼 大貴
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA07
5G503FA06
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】電源リレーのオンオフ制御により給電電源と蓄電池との間の電気的な接続/非接続を制御可能な電源システムにおいて、電源リレーを適切に制御する。
【解決手段】電源システム10は、給電電源と蓄電池との間に設けられた電源リレーRL1,RL2と、電源リレーに対して互いに逆側において電圧を検出する第1、第2電圧モニタ回路21,22と、電源リレーがオフ状態で第1、第2電圧モニタ回路から各々取得した第1電圧と第2電圧との電圧差が所定のオン可能電圧差以下であることを条件に電源リレーをオン状態に切り替えるリレー制御部43と、蓄電池と給電電源とを非接続とした状態で第1、第2電圧モニタ回路の高/低電位側を互いに接続させる同電位接続状態に切り替える切替回路と、同電位接続状態で第1、第2電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、第1、第2電圧の少なくともいずれか一方を補正する補正部41と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電電源(11)と蓄電池(12)との間の高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられた電源リレー(RL1,RL2、RL11,RL12)と、
前記電源リレーに対して前記給電電源側または前記蓄電池側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第1電圧として検出する第1電圧モニタ回路(21,121)と、
前記電源リレーに対して前記第1電圧モニタ回路と逆側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第2電圧として検出する第2電圧モニタ回路(22,122)と、
前記電源リレーがオフされた状態で前記各電圧モニタ回路により検出された前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が、所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替えるリレー制御部(43,143,343)と、
を備える電源システム(10,110,310)であって、
前記蓄電池と前記給電電源とを非接続とした状態で、前記第1電圧モニタ回路の高電位側および低電位側を、それぞれ前記第2電圧モニタ回路の高電位側および低電位側と同電位に接続させる同電位接続状態に切り替えるための切替回路(SW1~SW4、RL13~RL16)と、
前記切替回路により前記同電位接続状態として、前記第1電圧モニタ回路および前記第2電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、前記第1電圧と前記第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する補正処理を実行する補正部(41,141,341)と、をさらに備える、電源システム。
【請求項2】
前記切替回路は、
前記電源リレーに対して前記第2電圧モニタ回路と逆側において前記第1電圧モニタ回路と前記高電位経路および前記低電位経路との間に設けられた制御用スイッチ(SW1,SW2)と、
前記電源リレーに対して前記第2電圧モニタ回路と同じ側おいて前記第1電圧モニタ回路と前記高電位経路および前記低電位経路との間に設けられた補正用スイッチ(SW3,SW4)と、を備え、
前記補正部は、
前記電源リレーがオフであり、前記制御用スイッチがオフであり、前記補正用スイッチがオンであるように制御された状態で、前記第1電圧モニタ回路から取得した電圧と前記第2電圧モニタ回路から取得した電圧との電圧差に基づいて、前記補正処理を実行し、
前記リレー制御部は、
前記補正処理の実行後に、前記制御用スイッチをオン状態に制御するとともに、前記補正用スイッチをオフ状態に制御した状態で、前記第1電圧モニタ回路により検出された第1電圧と前記第2電圧モニタ回路により検出された第2電圧との電圧差が、前記オン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替える請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記切替回路は、
前記電源リレー、前記第1電圧モニタ回路および前記第2電圧モニタ回路を含む電源回路と前記給電電源との間と、前記電源回路と前記蓄電池との間との少なくともいずれか一方において前記高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられた副電源リレー(RL13~RL16)を備え、
前記補正部は、
前記電源リレーをオン状態に制御するとともに、前記副電源リレーをオフ状態に制御した状態で、前記第1電圧モニタ回路により検出された電圧と前記第2電圧モニタ回路により検出された電圧との電圧差に基づいて、前記補正処理を実行し、
前記リレー制御部は、
前記電源リレーをオフ状態に制御するとともに、前記副電源リレーをオン状態に制御した状態で、前記第1電圧モニタ回路により検出された第1電圧と前記第2電圧モニタ回路により検出された第2電圧との電圧差が、前記オン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替える請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
給電電源(11)と蓄電池(12)との間の高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられた電源リレー(RL1,RL2、RL11,RL12)と、
前記電源リレーに対して前記給電電源側または前記蓄電池側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第1電圧として検出する第1電圧モニタ回路(21,121)と、
前記電源リレーに対して前記第1電圧モニタ回路と逆側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第2電圧として検出する第2電圧モニタ回路(22,122)と、
前記蓄電池と前記給電電源とを非接続とした状態で、前記第1電圧モニタ回路の高電位側および低電位側を、それぞれ前記第2電圧モニタ回路の高電位側および低電位側と同電位に接続させる同電位接続状態に切り替えるための切替回路(SW1~SW4、RL13~RL16)と、を含む電源システムの制御プログラムであって、コンピュータに、
前記切替回路により前記同電位接続状態として、前記第1電圧モニタ回路および前記第2電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、前記第1電圧と前記第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する補正ステップと、
前記電源リレーがオフされた状態で前記各電圧モニタ回路により検出された前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が、所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替えるリレー制御ステップと、を実行させる、電源システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
給電電源と蓄電池との間に設けられた電源リレーを含む電源システムおよびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載の外部端子を介して車外の給電電源と車載の蓄電池とを接続し、車載の蓄電池を充放電する電源システムが知られている。特許文献1の電源システムでは、車載の蓄電池と外部端子との間に、電源リレーを備える保護回路が設けられている。電源リレーをオン状態に制御すると、車載の蓄電池と車外の給電電源とは電気的に接続し、互いの充放電が可能となる。電源リレーをオフ状態に制御すると、車載の蓄電池と車外の給電電源との電気的接続は遮断される。保護回路は、電源リレーに対して蓄電池側の電圧と、給電電源側の電圧とをそれぞれ別個の電圧測定部によりモニタリングし、その差分である両端電圧差等に基づいて、電源リレーのオンオフ制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各電圧測定部による電圧のモニタリング値の誤差は、電源リレーの両端電圧差の誤差に影響する。電源リレーの両端電圧差に含まれる誤差が大きいと、電源リレーのオンオフ制御が不適切に実行される可能性がある。例えば、電源リレーの両端電圧差が、電源リレーの耐圧(例えば、最大許容電圧)を超える場合に誤って電源リレーがオン状態に制御されると、電源リレーが故障する可能性がある。特に、電圧測定部が複数設けられている場合には、電圧測定部毎の電圧のモニタリング値の誤差が積み上がった結果、電源リレーのオンオフ制御が不適切に実行される可能性が高くなることが懸念される。
【0005】
上記を鑑み、本発明は、電源リレーのオンオフ制御により給電電源と蓄電池との間の電気的な接続/非接続を制御可能な電源システムにおいて、電源リレーを適切に制御する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、給電電源と蓄電池との間の高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられた電源リレーと、前記電源リレーに対して前記給電電源側または前記蓄電池側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第1電圧として検出する第1電圧モニタ回路と、前記電源リレーに対して前記第1電圧モニタ回路と逆側において前記高電位経路と前記低電位経路との間の電圧を第2電圧として検出する第2電圧モニタ回路と、前記電源リレーがオフされた状態で前記各電圧モニタ回路により検出した前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が、所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替えるリレー制御部と、を備える電源システムを提供する。この電源システムは、前記蓄電池と前記給電電源とを非接続とした状態で、前記第1電圧モニタ回路の高電位側および低電位側を、それぞれ前記第2電圧モニタ回路の高電位側および低電位側と同電位に接続させる同電位接続状態に切り替えるための切替回路と、前記切替回路により前記同電位接続状態として、前記第1電圧モニタ回路および前記第2電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、前記第1電圧と前記第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する補正処理を実行する補正部と、をさらに備える。
【0007】
本発明に係る電源システムでは、給電電源と蓄電池との間の高電位経路および低電位経路にそれぞれ電源リレーが設けられている。電源リレーに対して給電電源側と蓄電池側のいずれか一方に第1電圧モニタ回路が設けられ、他方に、第2電圧モニタ回路が設けられている。リレー制御部は、電源リレーがオフされた状態(すなわち、給電電源と蓄電池との間が非接続の状態)で、第1電圧モニタ回路により検出された第1電圧と、第2電圧モニタ回路により検出された第2電圧との電圧差(すなわち、各モニタ回路により検出される電源リレーの両端電圧差)が、所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、電源リレーをオン状態に切り替える。例えば、所定のオン可能電圧差が、電源リレーがオンに遷移する際の許容電圧を超えないような値に設定されることにより、電源リレーの故障を回避したオンオフ制御が可能となる。各電圧モニタ回路から取得される検出電圧に誤差が含まれていると、電源リレーを適切にオン状態に切り替えることが困難となる。しかしながら、本発明に係る電源システムは、さらに、切替回路を備えており、蓄電池と給電電源とを非接続とした状態で、第1電圧モニタ回路の高電位側および低電位側を、それぞれ第2電圧モニタ回路の高電位側および低電位側と接続させる同電位接続状態に切り替えることができる。切替回路により同電位接続状態とした状態で、補正部は、各電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、第1電圧と第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する補正処理を実行する。同電位接続状態では、第1モニタ回路と第2モニタ回路とは、同電位に接続されるため、例えば、各電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差が零となるように補正することにより、各電圧モニタ回路が電圧を検出する検出点間の電圧差に対する、第1電圧と第2電圧の電圧差に含まれる誤差(以下、相対誤差と称する)を補正できる。補正部により、電源リレーがオフされた状態で取得される第1電圧、第2電圧に含まれる相対誤差も補正されるため、リレー制御部によって電源リレーを適切にオン状態に切り替えることができる。すなわち、電源リレーのオンオフ制御により給電電源と蓄電池との間の電気的な接続/非接続を制御可能な電源システムにおいて、電源リレーを適切に制御することが可能となる。
【0008】
本発明は、上記の電源システムを制御する制御プログラムとして提供することもできる。この制御プログラムは、コンピュータに、前記切替回路により前記同電位接続状態として、前記第1電圧モニタ回路および前記第2電圧モニタ回路により検出された各電圧の電圧差に基づいて、前記第1電圧と前記第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する補正ステップと、前記電源リレーがオフされた状態で前記各電圧モニタ回路から取得した前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が、所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、前記電源リレーをオン状態に切り替えるリレー制御ステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示す電源システムの電源回路および切替回路を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る電源システムの制御フローチャート。
【
図4】変形例に係る電源システムの電源回路および切替回路を示す図。
【
図7】第2実施形態に係る電源システムの制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1に示す第1実施形態に係る電源システム10は、車両に搭載されており、蓄電池12と、車載回路20と、制御装置40と、高電位端子26Hおよび低電位端子26Lと、を備えている。高電位端子26Hおよび低電位端子26Lに車外の給電電源11を接続することにより、電源システム10と給電電源11とを接続できる。給電電源11と、蓄電池12とは、車載回路20を介して接続されている。
【0011】
車載回路20は、第1電源リレーRL1と、第2電源リレーRL2と、第1電圧モニタ回路21と、第2電圧モニタ回路22と、第1~第4スイッチSW1~SW4と、を備えている。
【0012】
第1電源リレーRL1は、給電電源11と蓄電池12との間の高電位経路に設けられており、第2電源リレーRL2は、給電電源11と蓄電池12との間の低電位経路に設けられている。第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2が共にオン状態である場合に、給電電源11と蓄電池12とは互いに接続され、給電電源11と蓄電池12との間で充放電が実施され得る。
【0013】
第1電圧モニタ回路21は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して給電電源11側となるノードn1,n2において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている。第1電圧モニタ回路21とノードn1とは配線23Hによって互いに接続されており、第1電圧モニタ回路21とノードn2とは配線23Lによって互いに接続されている。第1電圧モニタ回路21は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側となるノードn3,n4において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている。第1電圧モニタ回路21とノードn3とは配線24Hによって互いに接続されており、第1電圧モニタ回路21とノードn4とは配線24Lによって互いに接続されている。配線24Hは、ノードn5において配線23Hに接続されており、配線24Lは、ノードn6において配線23Lに接続されている。配線23H,23Lは、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して給電電源11側に設けられた給電電源側バイパス経路に相当する。配線24H,24Lは、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側に設けられた蓄電池側バイパス経路に相当する。
【0014】
第1スイッチSW1は、配線23Hのノードn1とノードn5との間に設けられている。第2スイッチSW2は、配線23Lのノードn2とノードn6との間に設けられている。第3スイッチSW3は、配線24Hに設けられている。第4スイッチSW4は、配線24Lに設けられている。本実施形態では、第1~第4スイッチSW1~SW4は、半導体スイッチング素子であり、より具体的には、MOSFET、IGBT等を例示できるが、機械的にオンオフを切替えるスイッチであってもよい。
【0015】
図2に、第1~第4スイッチSW1~SW4の制御例を示す。
図2(a)に示すように、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2がオフ状態であり、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオン状態である場合には、第1電圧モニタ回路21により、ノードn3とノードn4との間の電圧を検出することができる。
図2(a)の状態において第1電圧モニタ回路21は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側において高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。
【0016】
図2(b)に示すように、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2がオン状態であり、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4がオフ状態である場合には、第1電圧モニタ回路21により、ノードn1とノードn2との間の電圧を検出することができる。
図2(b)の状態において第1電圧モニタ回路21は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して給電電源11側において高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。
【0017】
第2電圧モニタ回路22は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側となるノードn7,n8において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている。ノードn7,n8は、蓄電池12側に位置している。第2電圧モニタ回路22とノードn7とは配線25Hによって互いに接続されており、第2電圧モニタ回路22とノードn8とは配線25Lによって互いに接続されている。配線25H,25Lは、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側に設けられた蓄電池側バイパス経路に相当する。
【0018】
図1,2に示すように、第1~第4スイッチSW1~SW4のオン/オフ状態に関わらず、第2電圧モニタ回路22により、ノードn7とノードn8との間の電圧を検出することができる。第2電圧モニタ回路22は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側において高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。
図2(b)の状態においては、第1電圧モニタ回路21の高電位側および低電位側は、それぞれ第2電圧モニタ回路22の高電位側および低電位側と同電位に接続されており、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22は、双方とも、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側において高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。
【0019】
制御装置40は、補正部41と、スイッチ(SW)制御部42と、リレー(RL)制御部43とを備えている。制御装置40は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を主体に構成されている。例えば、CPUがROMにインストールされている電力変換プログラムを実行することで制御装置40が備える補正部41と、SW制御部42と、RL制御部43等の機能を実現する。マイコンによって提供される機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウエアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウエアのみ、ハードウエアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供されるものであってもよい。例えば、マイコンがハードウエアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する電池制御処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークを介して更新可能である。
【0020】
制御装置40には、第1電圧モニタ回路21から取得される出力と、検出電圧との関係を示す第1電圧モニタマップが記憶されている。制御装置40には、第2電圧モニタ回路22から取得される出力と検出電圧との関係を示す第2電圧モニタマップが記憶されている。制御装置40は、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した出力に基づいて第1電圧モニタマップおよび第2電圧モニタマップを参照し、それぞれの検出電圧を取得する。以下、本明細書では、制御装置40が各電圧モニタ回路21、22から取得した出力に基づいて各電圧モニタマップを参照して取得した電圧を検出電圧と称する。制御装置40は、第1~第4スイッチSW1~SW4および第1、第2電源リレーRL1、RL2をオンオフ制御する。
【0021】
SW制御部42は、第1~第4スイッチSW1~SW4を操作対象とし、第1~第4スイッチSW1~SW4のゲート駆動信号を制御することにより、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ制御を実行する。
図2(a)に示すように、SW制御部42が、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオフ状態に制御し、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオン状態に制御すると、第1電圧モニタ回路21により、ノードn3とノードn4との間の電圧を検出することができる。
図2(b)に示すように、SW制御部42が、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオン状態に制御し、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオフ状態に制御すると、第1電圧モニタ回路21により、ノードn1とノードn2との間の電圧を検出することができる。第1,第2スイッチSW1,SW2は、第1,第2電源リレーRL1,RL2に対して第2電圧モニタ回路22と逆側において、第1電圧モニタ回路21と高電位経路および低電位経路との間に設けられた制御用スイッチに相当する。第3,第4スイッチSW3,SW4は、第1,第2電源リレーRL1,RL2に対して第2電圧モニタ回路22と同じ側において、第1電圧モニタ回路21と高電位経路および低電位経路との間に設けられた補正用スイッチに相当する。
【0022】
RL制御部43は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2を操作対象としてオンオフ制御を実行することによって、給電電源11と蓄電池12との間の接続状態を制御する。RL制御部43が第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオン状態に制御すると、給電電源11と蓄電池12とは互いに接続され、給電電源11と蓄電池12との間で充放電が実施され得る。RL制御部43が第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態に制御すると、給電電源11と蓄電池12とは互いに非接続となり、給電電源11と蓄電池12との間で充放電は実施されない。
【0023】
給電電源11の電圧と蓄電池12の電圧との差が大きい場合に第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態からオン状態に切り替えると、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に各自がオンに遷移する際の許容電圧を超える電圧が印加され、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2が故障することが懸念される。
【0024】
このため、RL制御部43は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態に制御した状態で、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2の両端電圧差を取得し、この両端電圧差に基づいて、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態からオン状態に切り替えるリレー制御処理を実行する。
【0025】
具体的には、RL制御部43が、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態に制御し、SW制御部42が、
図2(b)に示すように、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオン状態に制御し、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオフ状態に制御した状態で、制御装置40は、第1電圧モニタ回路21からの検出電圧として第1電圧を取得し、第2電圧モニタ回路からの検出電圧として第2電圧を取得する。リレー制御部43は、第1電圧と第2電圧との電圧差を算出し、この電圧差が所定のオン可能電圧差以下であることを条件に、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオン状態に切り替える。例えば、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2がオンに遷移する際の許容電圧を超えないような値にオン可能電圧差を設定されることにより、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。第1、第2電源リレーRL1,RL2および第1、第2電圧モニタ回路21、22は、給電電源11と蓄電池12との接続/非接続を切り替える電源回路として機能する。
【0026】
第1、第2電圧モニタ回路21、22から取得した第1電圧、第2電圧に誤差が含まれていると、リレー制御部43により算出される第1電圧と第2電圧との電圧差にも誤差が含まれ得る。この場合、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2の故障を回避して適切にオン状態に切り替えることが困難となる。この第1電圧と第2電圧との電圧差に含まれる誤差は、本実施形態においては、第1電圧モニタ回路21が第1電圧を検出する第1検出点(本実施形態ではノードn1,n2)と、第2電圧モニタ回路22が第2電圧を検出する第2検出点(本実施形態ではノードn7,n8)の間の電圧差(実際の電圧差)に対する、第1電圧と第2電圧の電圧差(検出電圧の差)に含まれる誤差である。このような第1、第2電圧モニタ回路がそれぞれ第1,第2電圧を検出する第1,第2検出点間の電圧差に対する、第1電圧と第2電圧の電圧差に含まれる誤差を、相対誤差と称する。
【0027】
制御装置40は、補正部41を備え、補正部41により、第1、第2電圧モニタ回路21、22から取得される各検出電圧に含まれた相対誤差を補正する。補正部41により、リレー制御部43により算出される第1電圧と第2電圧との電圧差(より具体的には検出電圧における差)に含まれる相対誤差が、解消または緩和されるため、RL制御部43により、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2の故障を回避して適切にオン状態に切り替えることを、より確実に実行できる。
【0028】
具体的には、RL制御部43が、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態に制御し、SW制御部42が、
図2(a)に示すように、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオフ状態に制御し、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオン状態に制御した状態(同電位接続状態と称する)で、制御装置40は、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22からの出力に基づいて各検出電圧を取得する。第1、第2電源リレーRL1、RL2がオフ状態であることにより蓄電池12と給電電源11とを非接続とした状態で、第1~第4スイッチSW1~SW4は、第1電圧モニタ回路21の高電位側および低電位側を、それぞれ第2電圧モニタ回路22の高電位側および低電位側と同電位に接続させる同電位接続状態に切り替え可能に構成された切替回路として機能する。
【0029】
この同電位接続状態では、第1電圧モニタ回路21の高電位側および低電位側は、それぞれ第2電圧モニタ回路22の高電位側および低電位側と同電位に接続されており、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22は、双方とも、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して蓄電池12側において高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。すなわち、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22に全く誤差が無い理想的な状態では、同電位接続状態で第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した各検出電圧は等しくなり、各検出電圧の電圧差は零となる。
【0030】
補正部41は、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した各検出電圧の電圧差を算出し、この電圧差に基づいて、第1電圧と第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する。より具体的には、第1電圧モニタマップと第2電圧モニタマップとの少なくともいずれかについて、出力と検出電圧との関係を補正する補正処理を実行する。
【0031】
より具体的には、補正部41は、例えば、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した各検出電圧の電圧差が所定の閾値である補正電圧差以下となるように、第1電圧モニタマップと第2電圧モニタマップとの少なくともいずれかについて、出力と検出電圧との関係を補正するように構成されていてもよい。この場合、補正電圧差は、零に設定されてもよい。また、例えば、補正部41は、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した各検出電圧の電圧差を補正量として、第1電圧と第2電圧とのいずれか一方に補正量を加算等することにより、補正するように構成されていてもよい。
【0032】
制御装置40は、RL制御部43によりリレー制御処理が実行される毎に、毎回、補正部41により補正処理を実行するように構成されていてもよいし、毎回の実施ではなく、所定の期間やリレー制御処理の実行回数ごとに、補正処理を実行するように構成されていてもよい。
【0033】
図3は、制御装置40が実行する電源システム10の制御フローチャートである。
図3のフローチャートに示す処理は、制御装置40を構成するCPUがROMにインストールされている電源システム10の制御プログラムを実行することにより実現され、電源システム10が給電電源11に接続されたときに、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0034】
ステップS101では、第1、第2電源リレーRL1、RL2をオフ状態に制御し、第1、第2スイッチSW1,SW2をオフ状態に制御し、第3、第4スイッチSW3,SW4をオン状態に制御する。すなわち、同電位接続状態となるように、第1、第2電源リレーRL1、RL2および第1~第4スイッチSW1~SW4を制御する。その後、ステップS102に進む。
【0035】
ステップS102では、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から、それぞれ、検出電圧を取得する。ステップS102で第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得する各検出電圧は、同電位接続状態において取得した検出電圧である。より具体的には、第1電圧モニタ回路21から取得される検出電圧は、第1電圧モニタ回路21の高電位側および低電位側が、それぞれ第2電圧モニタ回路22の高電位側および低電位側と同電位に接続された状態で取得される検出電圧であり、この場合の電圧をV12と称する。第2電圧モニタ回路22から取得される検出電圧は、第1、第2電源リレーRL1、RL2に対して蓄電池12側における高電位経路と低電位経路との間における検出電圧であり、この場合の検出電圧をV22と称する。その後、ステップS103に進む。
【0036】
ステップS103では、V12とV22との差が所定の閾値である補正電圧差以下となるように、第1電圧モニタマップと、第2電圧モニタマップとの少なくともいずれか一方を補正する。例えば、V12とV22との差の絶対値であるabs(V12-V22)が零となるように、第1電圧モニタマップを補正する。ステップS101~S103に示す補正ステップにより、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21から取得される検出電圧と第2電圧モニタ回路22から取得される検出電圧とがずれないように補正することができる。その後、ステップS104に進む。
【0037】
ステップS104では、第1、第2スイッチSW1,SW2をオン状態に切り替え、第3、第4スイッチSW3,SW4をオフ状態に切り替える。第1、第2電源リレーRL1、RL2は切り替えず、オフ状態のままである。その後、ステップS105に進む。
【0038】
ステップS105では、第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から、それぞれ、検出電圧を取得する。ステップS105では、第1電圧モニタ回路21から取得される検出電圧は、第1、第2電源リレーRL1、RL2に対して給電電源11側における高電位経路と低電位経路との間における検出電圧であり、この検出電圧をV11と称する。第2電圧モニタ回路22から取得される検出電圧は、ステップS102と同様に、第1、第2電源リレーRL1、RL2に対して蓄電池12側における高電位経路と低電位経路との間における検出電圧(V22)である。V11は第1電圧に相当し、V22は第2電圧に相当する。その後、ステップS106に進む。
【0039】
ステップS108では、第1電圧V11と第2電圧V22との差の絶対値であるabs(V11-V22)が所定の閾値であるオン可能電圧差Xth1未満であるか否かを判定する。オン可能電圧差Xth1は、第1、第2電源リレーRL1、RL2がオンに遷移する際の許容電圧を超えないような値に設定されている。abs(V11-V22)<Xth1である場合には、ステップS109に進む。abs(V11-V22)≧Xth1である場合には、ステップS111に進む。
【0040】
ステップS109では、給電電源11から蓄電池12への充電は「可」であると判断し、ステップS110に進む。ステップS110では、第1、第2電源リレーRL1、RL2をオフ状態からオン状態に切り替えて、処理を終了する。他方、ステップS111では、給電電源11から蓄電池12への充電は「不可」であると判断し、処理を終了する。ステップS104~S111に示すリレー制御ステップにより、第1、第2電源リレーRL1、RL2の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。
【0041】
上記のとおり、制御装置40が実行する電源システム10の制御プログラム、およびこれによって実施される電源システム10の制御方法によれば、ステップS101~S103に示す補正ステップにより、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21から取得される検出電圧と第2電圧モニタ回路22から取得される検出電圧とがずれないように補正することができる。補正ステップを実行した後に、ステップS104~S111に示すリレー制御ステップを実行するため、より確実に、第1、第2電源リレーRL1、RL2の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21から取得される検出電圧と第2電圧モニタ回路22から取得される検出電圧との間の相対誤差を解消した状態で、第1電圧V11と第2電圧V22とを取得し、第1、第2電源リレーRL1、RL2の両端電圧差(V11とV12との差)が、第1、第2電源リレーRL1、RL2がオンに遷移する際の許容電圧を超えない電圧差であるか否かを判定して、第1、第2電源リレーRL1、RL2をオン状態に切り替えるか否かを判定できるため、より確実に、第1、第2電源リレーRL1、RL2の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。その結果、第1、第2電源リレーRL1、RL2のオンオフ制御により給電電源11と蓄電池12との間の電気的な接続/非接続を制御可能な電源システム10において、第1、第2電源リレーRL1、RL2を適切に制御することが可能となる。
【0042】
(変形例)
図4に示す車載回路30のように、第2電圧モニタ回路は、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2に対して給電電源11側となるノードn9,n10において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている第2電圧モニタ回路32であってもよい。第2電圧モニタ回路32とノードn9とは配線35Hによって互いに接続されており、第2電圧モニタ回路32とノードn10とは配線35Lによって互いに接続されている。この場合、同電位接続状態は、RL制御部43が、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2をオフ状態に制御し、SW制御部42が、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオン状態に制御し、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオフ状態に制御した状態に相当する。補正ステップでは、この同電位接続状態において第1電圧モニタ回路21および第2電圧モニタ回路22から取得した各検出電圧の電圧差に基づいて、補正処理を実行する。補正ステップ後に実行するリレー制御ステップでは、第1電源リレーRL1および第2電源リレーRL2はオフ状態のままで、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2をオフ状態に切り替え、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4をオン状態に切り替えて取得した第1電圧および第2電圧に基づいて、第1、第2電源リレーRL1、RL2をオン状態に切り替えるか否かを判定する。
【0043】
(第2実施形態)
図5に示す第2実施形態に係る電源システムは、車載の電源システム110と、車外回路130とを備えている。電源システム110は、車両に搭載されており、蓄電池112と、車載回路120と、制御装置140と、高電位端子126Hおよび低電位端子126Lと、を備えている。高電位端子126Hおよび低電位端子126Lに車外の給電電源111を接続することにより、車外回路130を介して電源システム110と給電電源11とを接続できる。給電電源111と、蓄電池112とは、車載回路120および車外回路130を介して接続されている。
【0044】
車載回路120は、第1電源リレーRL11と、第2電源リレーRL12と、第1電圧モニタ回路121と、第2電圧モニタ回路122と、を備えている。車外回路130は、第1副電源リレーRL13と、第2副電源リレーRL14と、を備えている。
【0045】
第1電源リレーRL11は、給電電源111と蓄電池112との間の高電位経路に設けられており、第2電源リレーRL12は、給電電源111と蓄電池112との間の低電位経路に設けられている。第1副電源リレーRL13は、給電電源111と第1電圧モニタ回路121との間の高電位経路に設けられており、第2副電源リレーRL14は、給電電源111と第1電圧モニタ回路121との間の低電位経路に設けられている。第1、第2副電源リレーRL13,RL14は、第1、第2電源リレーRL11,RL12および第1電圧モニタ回路121と、第2電圧モニタ回路122を含む電源回路に対して、給電電源11側において、高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられている。第1、第2電源リレーRL11,RL12および第1、第2副電源リレーRL13,RL14が、いずれもオン状態である場合に、給電電源111と蓄電池112とは互いに接続され、給電電源111と蓄電池112との間で充放電が実施され得る。
【0046】
第1電圧モニタ回路121は、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12に対して給電電源111側となるノードn11,n12において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている。第1電圧モニタ回路121とノードn11とは配線123Hによって互いに接続されており、第1電圧モニタ回路21とノードn12とは配線123Lによって互いに接続されている。配線123H,123Lは、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12に対して給電電源111側に設けられた給電電源側バイパス経路に相当する。
【0047】
第2電圧モニタ回路122は、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12に対して蓄電池112側となるノードn15,n16において、それぞれ高電位経路および低電位経路に接続されている。第2電圧モニタ回路122とノードn15とは配線125Hによって互いに接続されており、第2電圧モニタ回路122とノードn16とは配線25Lによって互いに接続されている。配線125H,125Lは、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12に対して蓄電池112側に設けられた蓄電池側バイパス経路に相当する。
【0048】
制御装置140は、補正部141と、リレー(RL)制御部143とを備えている。制御装置140は、制御装置40と同様にCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を主体に構成されており、例えば、CPUがROMにインストールされている電力変換プログラムを実行することで制御装置140が備える補正部141と、RL制御部143等の機能を実現する。
【0049】
制御装置140には、制御装置40と同様に、第1、第2電圧モニタ回路121、122から取得される出力と、検出電圧との関係を示す第1、第2電圧モニタマップが記憶されている。制御装置140は、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から、それぞれの検出電圧を取得する。制御装置140は、第1、第2電源リレーRL11、RL12をオンオフ制御する。車外回路130と電源システム110とが接続されている場合には、制御装置140は、第1、第2副電源リレーRL13、RL14をオンオフ制御することもできる。
【0050】
RL制御部143は、第1、第2電源リレーRL11、RL12および第1、第2副電源リレーRL13、RL14を操作対象としてオンオフ制御を実行することによって、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側を、第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続させるか給電電源111側と接続させるかを切り替えるとともに、給電電源111と蓄電池112との間の接続状態を制御する。
【0051】
RL制御部143が第1、第2電源リレーRL11、RL12および第1、第2副電源リレーRL13、RL14を全てオン状態に制御すると、給電電源111と蓄電池112とは互いに接続され、給電電源111と蓄電池112との間で充放電が実施され得る。
【0052】
RL制御部143が第1、第2電源リレーRL11、RL12をオン状態に制御し、第1、第2副電源リレーRL13、RL14をオフ状態に制御すると、給電電源111と蓄電池112とは互いに非接続となり、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側は、第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続される。この状態は、蓄電池112と給電電源111とを非接続とするとともに、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側を、それぞれ第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続させる同電位接続状態に相当する。
【0053】
RL制御部143が第1、第2電源リレーRL11、RL12をオフ状態に制御し、第1、第2副電源リレーRL13、RL14をオン状態に制御すると、給電電源111と蓄電池112とは互いに非接続となり、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側は、給電電源111側に接続される。この状態をリレーオン判定状態と称する。リレーオン判定状態において、第1電圧モニタ回路121から取得される検出電圧は第1電圧であり、第2電圧モニタ回路122から取得される検出電圧は、第2電圧である。
【0054】
RL制御部143は、リレーオン判定状態となるように第1、第2電源リレーRL11、RL12および第1、第2副電源リレーRL13、RL14を制御して、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12の両端電圧差(第1電圧と第2電圧との電圧差)を取得し、この両端電圧差に基づいて、第1電源リレーRL11および第2電源リレーRL12をオフ状態からオン状態に切り替えるリレー制御処理を実行する。本実施形態においては、相対誤差は、第1電圧モニタ回路121が第1電圧を検出する第1検出点(本実施形態ではノードn11,n12)と、第2電圧モニタ回路122が第2電圧を検出する第2検出点(本実施形態ではノードn15,n16)の間の電圧差(実際の電圧差)に対する、第1電圧と第2電圧の電圧差(検出電圧の差)に含まれる誤差である。
【0055】
補正部141は、RL制御部143が、同電位接続状態となるように第1、第2電源リレーRL11、RL12および第1、第2副電源リレーRL13、RL14を制御した状態で、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から検出電圧を取得する。この同電位接続状態では、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側は、それぞれ第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続されており、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122は、双方とも、蓄電池12に接続された高電位経路と低電位経路との間の電圧を検出する。すなわち、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122に全く誤差が無い理想的な状態では、同電位接続状態で第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から取得した各検出電圧は等しくなり、各検出電圧の電圧差は零となる。
【0056】
補正部141は、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から取得した各検出電圧の電圧差を算出し、この電圧差に基づいて、第1電圧と第2電圧との少なくともいずれか一方を補正する。より具体的には、第1電圧モニタマップと第2電圧モニタマップとの少なくともいずれかについて、出力と検出電圧との関係を補正する補正処理を実行する。
【0057】
第1実施形態と同様に、補正部141は、例えば、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から取得した各検出電圧の電圧差が所定の閾値である補正電圧差以下となるように、第1電圧モニタマップと第2電圧モニタマップとの少なくともいずれかについて、出力と検出電圧との関係を補正するように構成されていてもよい。この場合、補正電圧差は、零に設定されてもよい。また、例えば、補正部141は、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から取得した各検出電圧の電圧差を補正量として、第1電圧と第2電圧とのいずれか一方に補正量を加算等することにより、補正するように構成されていてもよい。また、制御装置140は、RL制御部143によりリレー制御処理が実行される毎に、毎回、補正部141により補正処理を実行するように構成されていてもよいし、毎回の実施ではなく、所定の期間やリレー制御処理の実行回数ごとに、補正処理を実行するように構成されていてもよい。
【0058】
なお、第1、第2副電源リレーRL13、RL14は、RL制御部143により間接的に制御されるように構成されていてもよい。例えば、
図6に示すように、車両の外部に、第1、第2副電源リレーRL13、RL14に制御信号を送信する車外RL制御部133が設けられており、制御装置140と車外RL制御部133とが通信可能である場合に、RL制御部143からの指示により、車外RL制御部133が第1、第2副電源リレーRL13、RL14を制御するように構成されていてもよい。車外RL制御部133は、例えば、給電電源111および車外回路130とともに給電設備に備えられるものであってもよい。
【0059】
図7は、制御装置140が実行する電源システム110の制御フローチャートである。
図7のフローチャートに示す処理は、制御装置140を構成するCPUがROMにインストールされている電源システム110の制御プログラムを実行することにより実現され、電源システム110が給電電源111に接続されたときに、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0060】
ステップS301では、第1、第2電源リレーRL11、RL12をオン状態に制御し、第1、第2副電源リレーRL13、RL14をオフ状態に制御する。すなわち、同電位接続状態となるように、第1、第2電源リレーRL11、RL12および第1、第2副電源リレーRL13、RL14を制御する。その後、ステップS302に進む。
【0061】
ステップS302では、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から、それぞれ、検出電圧を取得する。ステップS302で第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から取得する各検出電圧は、同電位接続状態において取得した検出電圧である。より具体的には、第1電圧モニタ回路121から取得される検出電圧は、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側が、それぞれ第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続された状態で取得される検出電圧であり、この場合の検出電圧をV13と称する。第2電圧モニタ回路122から取得される検出電圧は、第1、第2電源リレーRL11、RL12に対して蓄電池112側における高電位経路と低電位経路との間の電圧であり、この場合の電圧をV23と称する。その後、ステップS303に進む。
【0062】
ステップS303では、V13とV23との差が所定の閾値である補正電圧差以下となるように、第1電圧モニタマップと、第2電圧モニタマップとの少なくともいずれか一方を補正する。例えば、V13とV23との差の絶対値であるabs(V13-V23)が零となるように、第1電圧モニタマップを補正する。ステップS301~S303に示す補正ステップにより、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路121から取得される検出電圧と第2電圧モニタ回路122から取得される検出電圧とがずれないように補正することができる。その後、ステップS304に進む。
【0063】
ステップS304では、第1、第2電源リレーRL11、RL12をオフ状態に切り替え、第1、第2副電源リレーRL13、RL14をオン状態に切り替える。その後、ステップS305に進む。
【0064】
ステップS305では、第1電圧モニタ回路121および第2電圧モニタ回路122から、それぞれ、検出電圧を取得する。ステップS305では、第1電圧モニタ回路121から取得される検出電圧は、第1、第2電源リレーRL1、RL2に対して給電電源11側における高電位経路と低電位経路との間における検出電圧であり、この検出電圧をV14と称する。第2電圧モニタ回路122から取得される検出電圧は、ステップS302と同様に、第1、第2電源リレーRL1、RL2に対して蓄電池12側における高電位経路と低電位経路との間における検出電圧であり、この検出電圧をV24と称する。V14は第1電圧に相当し、V24は第2電圧に相当する。その後、ステップS308に進む。
【0065】
ステップS308では、第1電圧V14と第2電圧V24との差の絶対値であるabs(V14-V24)が所定の閾値であるオン可能電圧差Xth3未満であるか否かを判定する。オン可能電圧差Xth3は、第1、第2電源リレーRL11、RL12のオンに遷移する際の許容電圧を超えないような値に設定されている。abs(V14-V24)<Xth3である場合には、ステップS309に進む。abs(V14-V24)≧Xth3である場合には、ステップS311に進む。
【0066】
ステップS309では、給電電源111から蓄電池112への充電は「可」であると判断し、ステップS310に進む。ステップS310では、第1、第2電源リレーRL11、RL12をオフ状態からオン状態に切り替えて、処理を終了する。他方、ステップS111では、給電電源111から蓄電池112への充電は「不可」であると判断し、処理を終了する。ステップS304~S311に示すリレー制御ステップにより、第1、第2電源リレーRL11、RL12の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。
【0067】
上記のとおり、制御装置140が実行する電源システム110の制御プログラム、およびこれによって実施される電源システム110の制御方法によれば、第1実施形態と同様に、ステップS301~S303に示す補正ステップにより、同電位接続状態において第1電圧モニタ回路121から取得される検出電圧と第2電圧モニタ回路122から取得される検出電圧とがずれないように補正することができる。補正ステップを実行した後に、ステップS304~S311に示すリレー制御ステップを実行するため、より確実に、第1、第2電源リレーRL11、RL12の故障を回避したオンオフ制御が可能となる。その結果、第1、第2電源リレーRL11、RL12のオンオフ制御により給電電源111と蓄電池112との間の電気的な接続/非接続を制御可能な電源システム110において、第1、第2電源リレーRL11、R1L2を適切に制御することが可能となる。
【0068】
(変形例)
図8に示す電源システム210のように、第1、第2副電源リレーRL13、RL14は、車載回路220に含まれていてもよい。
【0069】
図9に示す電源システム310のように、第1、第2副電源リレーRL15、RL16は、車載回路320に含まれ、蓄電池112と第2電圧モニタ回路221との間の高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられていてもよい。電源システム310では、第1、第2副電源リレーRL15,RL16は、第1、第2電源リレーRL11,RL12および第1電圧モニタ回路121と、第2電圧モニタ回路122を含む電源回路に対して、蓄電池112側において、高電位経路および低電位経路にそれぞれ設けられている。
【0070】
RL制御部343が第1、第2電源リレーRL11、RL12をオン状態に制御し、第1、第2副電源リレーRL15、RL16をオフ状態に制御すると、給電電源111と蓄電池112とは互いに非接続となり、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側は、第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続される。この状態は、蓄電池112と給電電源111とを非接続とするとともに、第1電圧モニタ回路121の高電位側および低電位側を、それぞれ第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側と同電位に接続させる状態であり、同電位接続状態に相当する。
【0071】
RL制御部143が第1、第2電源リレーRL11、RL12をオフ状態に制御し、第1、第2副電源リレーRL15、RL16をオン状態に制御すると、給電電源111と蓄電池112とは互いに非接続となり、第2電圧モニタ回路122の高電位側および低電位側は、蓄電池112側に接続される。この状態は、リレーオン判定状態に相当する。
【0072】
上記の各実施形態では、補正部により補正処理を実行後に、RL制御部によりリレー制御処理が実行されるフローチャートを例示して説明したが、これに限定されない。リレー制御処理が実行される度に毎回実施されなくてもよく、例えば、所定の期間やリレー制御処理の実行回数ごとに、補正処理を実行するように構成されていてもよい。
【0073】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…電源システム、11…給電電源、12…蓄電池、21…第1モニタ回路、22…第2モニタ回路、40…制御装置、41…補正部、43…リレー制御部、RL1,RL2…電源リレー、SW1~SW4…スイッチ