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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165795
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】調理機
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H05B6/12 324
H05B6/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082290
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】591190128
【氏名又は名称】株式会社下村漆器店
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】下村 昭夫
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA03
3K151BA12
3K151BA95
3K151CA58
3K151CA61
3K151CA63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遠隔操作によって自動で食材の加熱・調理を行うとき、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐと共に、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる。
【解決手段】複数の食器を各食器に対応させて配置される電磁誘導コイルが発する電磁波を利用して個別に電磁誘導加熱し食器内に配置される食材の調理を行う調理機100であって、調理手段120が、熱を通すために食材の温度を一定の時間所定の高い温度以上に保たせた後、食材の温度を人が食べるのに適する所定の適温へ降下させ、食材が、調味料であるとろみ材を含み、とろみ材が、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる性質を備え、所定の高い温度以上において、粘度が低くなる性質に基づき食材と混合され易くなり、所定の適温において、調理後の食材に粘度が高くなる性質に基づくとろみを付与することを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体上の所定の位置に載置される複数の食器を前記板状体下かつ各前記食器に対応させて配置される電磁誘導コイルが発する電磁波を利用して個別に電磁誘導加熱し前記各食器内に配置される食材の調理を行う調理機であって、
各前記電磁誘導コイルに流す電流の大きさを時系列情報として規定する前記食材の調理を行うための加熱制御規則情報を記憶する制御情報記憶手段と、
前記加熱制御規則情報に基づき、前記各電磁誘導コイルに電流を流すことによって前記各食器を電磁誘導加熱し、人手を介さずに前記食材の調理を行う調理手段と、を有し、
前記調理手段が、前記食器を介して前記食材を加熱し、前記食材に熱を通すために前記食材の温度を一定の時間所定の高い温度以上に保たせた後、前記食材の温度を人が食べるのに適する所定の適温へ降下させ、
前記食材が、食事にとろみを付けるための調味料であるとろみ材を含み、
前記とろみ材が、相対的に、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる性質を備え、前記所定の高い温度以上において、粘度が低くなる性質に基づき前記とろみ材以外の前記食材と混合され易くなり、前記所定の適温において、調理後の前記とろみ材以外の食材に粘度が高くなる性質に基づくとろみを付与することを特徴とする調理機。
【請求項2】
前記所定の適温において、前記調理後のとろみ材以外の食材に前記とろみ材が留まる程度に付着することを特徴とする請求項1に記載の調理機。
【請求項3】
前記所定の適温において、前記調理後のとろみ材以外の食材に前記とろみ材が、嚥下調整食として適度な粘度を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載の調理機。
【請求項4】
前記所定の高い温度において、前記とろみ材の粘度が低くなる性質に基づいて、前記とろみ材が流動し、焦げが出難くなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の調理機。
【請求項5】
板状体上の所定の位置に載置される複数の食器を前記板状体下かつ各前記食器に対応させて配置される電磁誘導コイルが発する電磁波を利用して個別に電磁誘導加熱し前記各食器内に配置される食材の調理を行い、各前記電磁誘導コイルに流す電流の大きさを時系列情報として規定する前記食材の調理を行うための加熱制御規則情報を記憶する制御情報記憶手段を有する調理機を使用する調理方法であって、
調理手段が、前記加熱制御規則情報に基づき、前記各電磁誘導コイルに電流を流すことによって前記各食器を電磁誘導加熱し、人手を介さずに前記食材の調理を行うステップを含み、
前記調理手段が、前記食器を介して前記食材を加熱し、前記食材に熱を通すために前記食材の温度を一定の時間所定の高い温度以上に保たせた後、前記食材の温度を人が食べるのに適する所定の適温へ降下させ、
前記食材が、食事にとろみを付けるための調味料であるとろみ材を含み、
前記とろみ材が、相対的に、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる性質を備え、前記所定の高い温度以上において、粘度が低くなる性質に基づき前記とろみ材以外の前記食材と混合され易くなり、前記所定の適温において、調理後の前記とろみ材以外の食材に粘度が高くなる性質に基づくとろみを付与することを特徴とする調理方法。
【請求項6】
前記所定の適温において、前記調理後のとろみ材以外の食材に前記とろみ材が留まる程度に付着することを特徴とする請求項5に記載の調理方法。
【請求項7】
前記所定の適温において、前記調理後のとろみ材以外の食材に前記とろみ材が、嚥下調整食として適度な粘度を付与することを特徴とする請求項5又は6に記載の調理方法。
【請求項8】
前記所定の高い温度において、前記とろみ材の粘度が低くなる性質に基づいて、前記とろみ材が流動し、焦げが出難くなることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一に記載の調理方法。
【請求項9】
コンピューターに、請求項5乃至8の何れか一に記載の方法を実行させるための調理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電磁誘導コイルが発する電磁波を利用して食器を電磁誘導加熱し、食器内の食材を調理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されるような遠隔調理システムの技術がある。特許文献1に開示される遠隔調理システム1は、調理制御装置100、1つ以上の調理機200を含み、ユーザー端末430と調理制御装置100、調理制御装置100と調理機200は相互に有線又は無線の通信ネットワーク420を介して接続される。調理機200は、食材340を加熱し食事の調理を行う装置であり、調理制御装置100は、調理機200で行われる調理の実行指示を行う装置である。調理機200は、地理的に離れた場所に位置する調理制御装置100から通知される制御指示に基づいて調理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6456982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、流動性の低い嚥下調整食の調理を行うにあたり、自動調理では焦げが生じるため、人手に頼らざるを得ず、それによって、調理される食事の二次汚染を引き起こす恐れがあるという問題点が有った。
【0005】
また、上記の従来技術では、とろみ付け用液状体を添える食事の調理を行うにあたり、自動調理では焦げが生じたり、食材ととろみ付け用液状体が混合し難いため、とろみのある食事の調理を首尾よく行うことができなかったりするという問題点が有った。
【0006】
そこで本発明では、上記問題点を鑑み、遠隔操作によって自動で食材の加熱・調理を行うとき、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐと共に、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる調理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する調理機の一形態は、板状体上の所定の位置に載置される複数の食器を前記板状体下かつ各前記食器に対応させて配置される電磁誘導コイルが発する電磁波を利用して個別に電磁誘導加熱し前記各食器内に配置される食材の調理を行う調理機であって、各前記電磁誘導コイルに流す電流の大きさを時系列情報として規定する前記食材の調理を行うための加熱制御規則情報を記憶する制御情報記憶手段と、前記加熱制御規則情報に基づき、前記各電磁誘導コイルに電流を流すことによって前記各食器を電磁誘導加熱し、人手を介さずに前記食材の調理を行う調理手段と、を有し、前記調理手段が、前記食器を介して前記食材を加熱し、前記食材に熱を通すために前記食材の温度を一定の時間所定の高い温度以上に保たせた後、前記食材の温度を人が食べるのに適する所定の適温へ降下させ、前記食材が、食事にとろみを付けるための調味料であるとろみ材を含み、前記とろみ材が、相対的に、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる性質を備え、前記所定の高い温度以上において、粘度が低くなる性質に基づき前記とろみ材以外の前記食材と混合され易くなり、前記所定の適温において、調理後の前記とろみ材以外の食材に粘度が高くなる性質に基づくとろみを付与することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示する調理機は、遠隔操作によって自動で食材の加熱・調理を行うとき、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐと共に、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる調理機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る遠隔調理システムの概要を示す図である。
図2】本実施の形態に係る板状体及び板状体上に載置される食器の一例を示す図である。
図3】本実施の形態に係る板状体上面の一例を示す図である。
図4】本実施の形態に係る調理機における板状体載置部位の透視図の一例である。
図5】本実施の形態に係る調理機における電磁誘導加熱の原理を説明する図である。
図6】本実施の形態に係る調理機の機能ブロック図である。
図7】本実施の形態に係る制御情報記憶手段(加熱制御規則情報)の一例を示す図である。
図8】本実施の形態に係る調理機のハードウエア構成例を示す図である。
図9】本実施の形態に係る調理機による基本処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る調理機の動作原理)
【0011】
図1乃至5を用いて、本実施の形態に係る調理機100を含む遠隔調理システムの概要について説明する。図1は、遠隔調理システムを構成する調理機100と情報処理装置280との関係を分かり易く示した図である。
【0012】
図1で示すように、遠隔調理システムは、情報処理装置280、1つ以上の調理機100を含み、情報処理装置280と調理機100は、有線又は無線の通信ネットワーク270を介して接続される。調理機100は、食材240を加熱し食事の調理を行う装置であり、情報処理装置280は、調理機100で行われる調理の実行指示を行う装置である。
【0013】
調理機100は、地理的に離れた場所に位置する情報処理装置280から通知される制御指示260に基づいて調理を行う。なお、食材240は、生の状態のものであっても良く、調理済みの食材又は調理済みの食材を冷凍した状態のものであっても良い。
【0014】
図2で示すように、調理機100は、配膳トレイ210を上に載せて使用し、配膳トレイ210上に複数の食器220を載置させ、配膳トレイ210下かつ各食器220に対応させ配置される電磁誘導コイル230が発する電磁波を利用して各食器220を電磁誘導加熱し、各食器220内に設置された食材240の調理を行う。
【0015】
図3で示すように、配膳トレイ210上には、各食器220を載置させる位置が分かるように目印215が付されている。また、図4で示すように、調理機100は、配膳トレイ210の下であって、配膳トレイ210上の各食器220を載置させる位置を示す目印215の下位置に、各食器220を電磁誘導加熱するための電磁誘導コイル230を備えている。
【0016】
また、配膳トレイ210上に載置される食器220は、陶製の器の下面に誘導加熱可能な磁性体が貼付される形態や、2層構造で構成され、このうち内側層が誘導加熱可能で且つ熱伝導率の高いステンレス等の金属で形成され、外側層が高い耐熱性を有するとともに内側層よりも熱伝導率の低い樹脂で形成される形態である。なお、配膳トレイ210上に載置される食器220は、誘導加熱可能な食器であれば、これら以外の形態であっても良い。
【0017】
図5で示すように、渦巻状のコイルである電磁誘導コイル230に高周波の電流を流すと、電磁誘導の法則に従って電磁誘導コイル230の周辺に磁力線が発生し、磁力線が食器(金属)を通過するときに、食器220の内部に無数の渦電流を発生させる。渦電流が流れるとき、食器220内の金属において電気抵抗熱が発生し、この熱を利用して食器220に配置された食材240の調理を行う。なお、食器220の温度の調整は、電磁誘導コイル230に流す電流の大きさを変化させることにより行う。
【0018】
次に、図6及び7を用いて、調理機100の動作原理について説明する。図6で示すように、調理機100は、制御情報記憶手段110、調理手段120を有する。
【0019】
先に説明したように、調理機100は、配膳トレイ(板状体)210上の所定の位置215に載置される複数の食器220を、配膳トレイ(板状体)210下かつ各食器220に対応させて配置される電磁誘導コイル230が発する電磁波を利用して個別に電磁誘導加熱し各食器220内に配置される食材240の調理を行う。
【0020】
調理機100は、各電磁誘導コイル230に流す電流の大きさを時系列情報として規定する、食材240の調理を行うための加熱制御規則情報260を、通信ネットワーク270を介して、他の情報処理装置280から取得する。そして、調理機100は、加熱制御規則情報260を制御情報記憶手段110に記憶させる。
【0021】
図7には制御情報記憶手段110(加熱制御規則情報260)の一例を示す。図7で示すように、加熱制御規則情報260は、調理機100が備える電磁誘導コイル230に電流を流し始めた時点からの時間(時刻)と電磁誘導コイル230に流す電流の大きさとの関係を規定する情報である。図7では電磁誘導コイル230に流す電流の大きさを最大出力の何%という指標で規定しているが、絶対値で規定する形態であっても他の相対値で規定する形態であっても良く、特に規定方法は限定しない。
【0022】
加熱制御規則情報260は、加熱制御規則情報260が実行されるべき時刻(後述する調理手段120による調理処理の開始時刻)が規定される形態としても良い。また、加熱制御規則情報260は、調理処理の終了予定時刻が規定され、当該時刻から調理処理に要する時間を加味して、調理処理の開始時刻が規定される形態としても良い。
【0023】
通信ネットワーク270は、有線通信ネットワーク又は無新通信ネットワークの何れの形態であっても良く、例えば、インターネット等の公衆通信網でも良く、ローカルエリアネットワークであっても良い。
【0024】
情報処理装置280は、遠隔地(地理的に離れた場所)に設置され、通信ネットワーク270を介して、調理機100に対し、調理機100が実行すべき制御指示260を通知するための装置である。
【0025】
調理手段120は、加熱制御規則情報260に基づき、各電磁誘導コイル230に電流を流すことによって各食器220を電磁誘導加熱し、各食器220内に配置される食材240の調理を行う。
【0026】
調理手段120による加熱制御規則情報260に基づく調理処理とは、加熱制御規則情報260において定められる各位置・各時刻における電流を電磁誘導コイル230に流す処理のことである。この調理処理によって、各食器220が電磁誘導加熱され、各食器220内に設置された食材240の加熱・調理が行われる。
【0027】
調理手段120は、食器220を介して食材240を加熱し、食材240に熱を通すために食材240の温度を一定の時間、所定の高い温度(75~85℃程度)以上に保たせた後、食材240の温度を人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)へ降下させる。このとき、調理手段120は、加熱開始後人手を介さずに、食器220内に配置される食材240の調理を行う。
【0028】
ここで、食材240は、食事にとろみを付けるための調味料であるとろみ材250を含む。とろみ材250は、相対的に、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる(サラサラになる)性質を備える。
【0029】
調理手段120が調理処理を行うとき、食材240に熱を通すための所定の高い温度(75~85℃程度)において、とろみ材250の粘度が相対的に低くなる性質に基づいて、とろみ材250は、とろみ材250以外の食材240と混合され易くなる。
【0030】
調理手段120が調理処理を行うとき、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、とろみ材250の粘度が相対的に高くなる性質に基づいて、とろみ材250は、調理後のとろみ材250以外の食材240に、粘度が高くなる性質に基づく適度なとろみを付与する。
【0031】
なお、適度なとろみとは、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、調理後のとろみ材250以外の食材240に、とろみ材250が適度に留まる(絡まる)程度に付着することをいう。これによって、とろみを添える食事を美味しく食べることができ、とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる。
【0032】
また、適度なとろみとは、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、嚥下調整食として適度な粘度を付与することをいう。調理手段120が、加熱開始後人手を介さずに、食器220内に配置される食材240の調理を行うので、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐことができる。なお、嚥下調整食とは、嚥下機能が低下した人に配慮して調整した食事のことである。これによって、嚥下調整食の調理を円滑に行うことができる。
【0033】
また、調理手段120が調理処理を行うとき、とろみ材250は、食材240に熱を通すための所定の高い温度(75~85℃程度)において、とろみ材250の粘度が低くなる性質に基づいて、流動性が増し、一か所に留まり難いため、焦げを出難くする役割も果たす。これによって、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる。
【0034】
上記した動作原理に基づいて、調理機100は、遠隔操作によって自動で食材の加熱・調理を行うとき、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐと共に、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行う。
(本実施の形態に係る調理機のハードウエア構成)
【0035】
図8を用いて、調理機100のハードウエア構成例について説明する。図8は、調理機制御装置100のハードウエア構成の一例を示す図である。図8で示すように、調理機100は、CPU(Central Processing Unit)410、ROM(Read-Only Memory)420、RAM(Random Access Memory)430、補助記憶装置440、通信I/F450、入力装置460、表示装置470、記憶媒体I/F480を有する。
【0036】
CPU410は、ROM420に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM430に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、調理機100全体を制御する。ROM420は、CPU410が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM430は、CPU410でROM420に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0037】
補助記憶装置440は、基本ソフトウエアであるOS(Operating System)や本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。補助記憶装置440は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどである。
【0038】
通信I/F450は、有線・無線LAN(Local Area Network)、インターネットなどの通信ネットワーク270に接続し、通信機能を提供する他装置280とデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0039】
入力装置460は、キーボードなど調理機100にデータ入力を行うための装置である。表示装置(出力装置)470は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される装置であり、調理機100が有する機能をユーザーが利用する際や各種設定を行う際のユーザインターフェースとして機能する装置である。記憶媒体I/F480は、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどの記憶媒体490とデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0040】
調理機100が有する各手段は、CPU410が、ROM420又は補助記憶装置440に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良い。また、調理機100が有する各手段は、当該各手段に関する処理がハードウエアとして実現される形態としても良い。また、通信I/F450を介して外部サーバー装置から本発明に係るプログラムを読み込ませたり、記憶媒体I/F480を介して記憶媒体490から本発明に係るプログラムを読み込ませたりして、調理機100に当該プログラムを実行させる形態としても良い。
(本実施の形態に係る調理機による処理例)
図9を用いて、調理機100による基本処理の流れについて説明する。図9は、調理機100による基本処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
S10で調理機100が、通信ネットワーク270を介して他の情報処理装置280から、加熱制御規則情報260を取得する。図7で示すように、加熱制御規則情報260は、調理機100が備える電磁誘導コイル230に電流を流し始めた時点からの時間(時刻)と電磁誘導コイル230に流す電流の大きさとの関係を規定する情報である。
【0042】
図7では、電磁誘導コイル230に流す電流の大きさを最大出力の何%という指標で規定しているが、絶対値で規定する形態であっても他の相対値で規定する形態であっても良く、特に規定方法は限定しない。
そして、S10で調理機100が、取得した加熱制御規則情報260を制御情報記憶手段110へ記憶させる。
【0043】
なお、配膳トレイ210上に載置される食器220の上には、調理機100によって調理される食材240が配置される。食材240は、生の状態のものであっても良く、調理済みの食材又は調理済みの食材を冷凍した状態のものであっても良い。なお、食材240の食器220内への配置は人によって行われても良いが、S20以降の調理処理は、人手を介さずに行われる(自動調理される)。
【0044】
また、食器220内に配置される調理対象の食材240は、食事にとろみを付けるための調味料であるとろみ材250を含む。とろみ材250は、相対的に、低温において粘度が高くなり、高温において粘度が低くなる(サラサラになる)性質を備える。
【0045】
S20で調理手段120が、S10において取得した加熱制御規則情報260に基づき、各電磁誘導コイル230に電流を流すことによって各食器220を電磁誘導加熱し、食材240の調理を行う。
【0046】
調理手段120は、食器220を介して食材240を加熱し、食材240に熱を通すために食材240の温度を一定の時間、所定の高い温度(75~85℃程度)以上に保たせた後、食材240の温度を人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)へ降下させる。このとき、調理手段120は、加熱開始後人手を介さずに、食器220内に配置される食材240の調理を行う。
【0047】
調理手段120が調理処理を行うとき、食材240に熱を通すための所定の高い温度(75~85℃程度)において、とろみ材250の粘度が相対的に低くなる性質に基づいて、とろみ材250は、食材240と混合され易くなる。
【0048】
調理手段120が調理処理を行うとき、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、とろみ材250の粘度が相対的に高くなる性質に基づいて、とろみ材250は、調理後の食材240に、粘度が高くなる性質に基づく適度なとろみを付与する。
【0049】
なお、適度なとろみとは、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、調理後の食材240にとろみ材250が適度に留まる(絡まる)程度に付着することをいう。これによって、とろみが添えられた食事を美味しく食べることができ、また、とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる。
【0050】
また、適度なとろみとは、人が食べるのに適する所定の適温(40℃程度)において、嚥下調整食として適度な粘度を付与することをいう。調理手段120が、加熱開始後人手を介さずに、食器220内に配置される食材240の調理を行うので、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐことができる。
【0051】
また、調理手段120が調理処理を行うとき、とろみ材250は、食材240に熱を通すための所定の高い温度(75~85℃程度)において、とろみ材250の粘度が低くなる性質に基づいて、流動性が増し、一か所に留まり難いため、焦げを出難くする役割も果たす。これによって、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行うことができる。
【0052】
上記のような処理を行うことによって、調理機100は、遠隔操作によって自動で食材240の加熱・調理を行うとき、嚥下調整食の調理において、二次汚染を防ぐと共に、嚥下調整食・とろみを添える食事の調理を円滑に行う。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
100 調理機
110 制御情報記憶手段
120 調理手段
210 板状体
215 板状体上の目印
220 食器
230 電磁誘導コイル
240 食材
250 とろみ材
260 加熱制御規則情報
270 通信ネットワーク
280 情報処理装置
410 CPU
420 ROM
430 RAM
440 補助記憶装置
450 通信インターフェース
460 入力装置
470 出力装置
480 記憶媒体インターフェース
490 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9