(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165799
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】土砂の移送具および移送方法
(51)【国際特許分類】
B66C 3/02 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B66C3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082294
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】507022617
【氏名又は名称】木田重機興業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】木田 健二
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004PA03
3F004PB01
(57)【要約】
【課題】掘削土などの土砂を、簡便かつ効率的に所定の集積場所に移送できる土砂の移送具および移送方法を提供する。
【解決手段】上端部に支持部7を有する自立する剛性体の受け台6を、集積場所P2に隣接して配置し、上端2aを開口して下端部に回動係合部3aを有する自立する剛性体の収容容器2を土砂Sの積込み場所P1に配置して、積込み場所P1で収容容器2に土砂Sを収容した後に、収容容器2をクレーン10により吊り上げて受け台6の上方に移動させ、次いで、収容容器2を下方移動させて回動係合部3aを支持部7に支持させて収容容器2を支持部7に載置することで、収容容器2を回動係合部3aを中心軸にして回動させて、収容容器2に収容されている土砂Sを収容容器2の上端2aの開口を通じて集積場所P2に排出する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂を収容する収容容器と前記収容容器を支持する受け台とを備え、前記収容容器が上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体であり、前記受け台が上端部に支持部を有する自立する剛性体であり、クレーンにより吊り上げられた前記収容容器の前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器が前記支持部に載置されることで、前記収容容器が前記回動係合部を中心軸にして回動する構成にした土砂の移送具。
【請求項2】
前記収容容器の周壁の対向する軸支部どうしを連結して、それぞれの前記軸支部に回転可能に軸支されているアーム部を有して、前記アーム部を介して前記収容容器が前記クレーンに吊り上げられる構成にした請求項1に記載の土砂の移送具。
【請求項3】
前記受け台が、前記支持部に載置された前記収容容器を前記回動する一方向に傾斜させる傾け部を有する請求項1または2に記載の土砂の移送具。
【請求項4】
前記受け台が、前記収容容器の回動範囲を規制するストッパを有する請求項1または2に記載の土砂の移送具。
【請求項5】
上端部に支持部を有する自立する剛性体の受け台を、集積場所に隣接して配置し、上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体の収容容器を土砂の積込み場所に配置して、前記積込み場所で前記収容容器に土砂を収容した後に、前記収容容器をクレーンにより吊り上げて前記受け台の上方に移動させ、次いで、前記収容容器を下方移動させて前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器を前記支持部に載置することで、前記収容容器を前記回動係合部を中心軸にして回動させて前記収容容器に収容されている前記土砂を前記収容容器の上端の開口を通じて前記集積場所に排出する土砂の移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂の移送具および移送方法に関し、さらに詳しくは、掘削土などの土砂を、簡便かつ効率的に所定の集積場所に移送できる土砂の移送具および移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木、建築工事では掘削土砂などの種々の土砂が発生する。これらの土砂は、発生場所から所定の集積場所まで移送される。従来、土砂を移送するにはベルトコンベヤ装置の他に、種々の方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されているように、軌道上を走行するバケットに土砂を積み込んで移送する方法では、軌道などの設備が必要になり、オペレーションも煩雑になる。ベルトコンベヤ装置を用いる場合も相応の設備やオペレーションが要求される。或いは、土砂を積み込んだ収容容器を単純にクレーンなどで吊り上げて移送する場合は、集積場所にて土砂を収容容器から迅速かつ円滑に排出させることができないため、作業の効率化を図ることが難しい。それ故、掘削土などの土砂を、簡便かつ効率的に所定の集積場所に移送するには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、掘削土などの土砂を、簡便かつ効率的に所定の集積場所に移送できる土砂の移送具および移送方法掘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の土砂の移送具は、土砂を収容する収容容器と前記収容容器を支持する受け台とを備え、前記収容容器が上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体であり、前記受け台が上端部に支持部を有する自立する剛性体であり、クレーンにより吊り上げられた前記収容容器の前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器が前記支持部に載置されることで、前記収容容器が前記回動係合部を中心軸にして回動する構成にしたことを特徴とする。
【0007】
本発明の土砂の移送方法は、上端部に支持部を有する自立する剛性体の受け台を、集積場所に隣接して配置し、上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体の収容容器を土砂の積込み場所に配置して、前記積込み場所で前記収容容器に土砂を収容した後に、前記収容容器をクレーンにより吊り上げて前記受け台の上方に移動させ、次いで、前記収容容器を下方移動させて前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器を前記支持部に載置することで、前記収容容器を前記回動係合部を中心軸にして回動させて前記収容容器に収容されている前記土砂を前記収容容器の上端の開口を通じて前記集積場所に排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の移送具は前記収容容器と前記受け台との簡素な構成であり、土砂を積込み場所から集積場所まで移送するには、その他に前記収容容器を吊り上げる既存のクレーンが用意できればよい。そして、前記積込み場所に配置した前記収容容器に土砂を収容した後に、クレーンにより吊り上げた前記収容容器の前記回動係合部を、集積場所に隣接配置した前記受け台の前記支持部に支持させて前記収容容器を前記支持部に載置することで、前記収容容器を前記回動係合部を中心軸にして回動させることができる。このように前記収容容器が回動すると、前記収容容器に収容されている前記土砂を前記収容容器の上端の開口を通じて前記集積場所に迅速かつ円滑に排出させることができる。それ故、本発明によれば、掘削土などの土砂を、簡便かつ効率的に積込み場所から所定の集積場所に移送するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の土砂の移送具の実施形態を側面視で例示する説明図である。
【
図2】
図1のA矢視(正面視)で移送具を例示する説明図である。
【
図3】
図1の移送具が使用される土砂の積込み場所と集積場所とを平面視で例示する説明図である。
【
図4】収容容器に土砂を積込む工程を、収容容器の内部を透視して例示する説明図である。
【
図5】土砂が収容された収容容器を、クレーンにより吊り上げた状態を収容容器の内部を透視して正面視で例示する説明図である。
【
図6】
図5の収容容器を受け台の上方に移動させた状態を側面視で例示する説明図である。
【
図7】
図6の収容容器を受け台の支持部に載置した状態を側面視で例示する説明図である。
【
図8】
図7の収容容器に収容された土砂が集積場所に排出されている状態を側面視で例示する説明図である。
【
図9】移送具の別の実施形態を側面視で例示する説明図である。
【
図10】
図9の収容容器を受け台の支持部に載置した状態を側面視で例示する説明図である。
【
図11】
図10の収容容器に収容された土砂が集積場所に排出されている状態を側面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の土砂の移送具および移送方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1、
図2に例示する移送具1の実施形態は、土砂Sを収容する収容容器2と、収容容器2を支持する受け台6とを備えている。この移送具1を用いて、
図3に例示する積込み場所P1から集積場所P2に土砂Sが移送される。
【0012】
積込み場所P1は例えば、掘削土などの土砂Sが発生する土木や建築の工事現場、または、土砂Sが一時的にストックされているストックヤードなどの場合もある。集積場所P2は例えば、土砂Sを一時的にストックするストックヤード、または、土砂Sの最終処分場の場合もある。或いは、集積場所P2は、土砂Sを運搬するダンプトラックの荷台や土運船の泥倉の場合もある。
【0013】
図3に例示するように、土砂Sが移送される作業現場にはクレーン10が設置されていて、この移送具1を使用するにはクレーン10が用いられる。クレーン10は公知の種々のタイプを用いることができ、タワークレーンのような固定式であっても車両などに搭載された移動式であってもよい。クレーン10のブーム10aに沿ってクレーンワイヤ11aが繰出しおよび巻取りされ、クレーンワイヤ11aの下端部には吊具11bとして公知のクレーンフックが設けられている。
【0014】
収容容器2は、実質的に全体が金属(公知の鋼材)で形成された剛性体である。収容容器2は、上端2aに開口を有する筒状である。この実施形態では収容容器2は円筒状であるが、底板(底面2b)が四角形などの多角形状の筒状であってもよい。収容容器2は、その底面2bを接地させて自立する。
【0015】
収容容器2は下端部に回動係合部3aを有している。この実施形態では、収容容器2の底面2bに接合された軸状体が回動係合部3aとして採用されている。この回動係合部3aは、収容容器2の底面2bを横断して延在していて、収容容器2の幅方向両側に突出している。軸状体の回動係合部3aの両端には若干拡径したフランジが形成されている。回動係合部3aは、この実施形態に例示した形態に限定されずに種々の形態を採用することができる。例えば、後述する別の実施形態のように、収容容器2の周壁の下端部から幅方向両側に突出した軸状体を回動係合部3aとして採用することもできる。
【0016】
この収容容器2の底面2bには、回動係合部3aを挟んだ前後位置にそれぞれ、平板状のスペーサ3cが突設されている。スペーサ3cは中空体でも中実体でもよい。それぞれのスペーサ3cの収容容器2の底面2bから下方への突出量は回動係合部3aの突出量以上であり、好ましくは、回動係合部3aの突出量よりも大きくする。このようなスペーサ3cを設けることで、収容容器2の底面2bに回動係合部3aが突出していても、スペーサ3cが接地することで、収容容器2を安定して自立させるには有利になる。また、収容容器2が自立している際に、スペーサ3cが荷重を負担するので回動係合部3aに過度な荷重が作用することが回避されて回動係合部3aの変形を抑制するにも有利になる。
【0017】
さらに、この収容容器2は、回転可能に軸支されたアーム部4を有している。詳述すると、アーム部4は、平面視で収容容器2の周壁の対向する軸支部3bどうしを連結して、それぞれの軸支部3bに回転可能に軸支されている。それぞれの軸支部3bは、収容容器2の周壁の上端部に位置している。コ字状のアーム部4は金属(公知の鋼材)で形成された剛性体である。
【0018】
アーム部4の間隔をあけた複数箇所(2箇所)には吊り連結部5が設けられている。吊り連結部5には、クレーン10の吊具11bが直接または吊りワイヤ5aなど介して係合される。そして、収容容器2は、アーム部4を介してクレーン10によって吊り上げられる。アーム部4は任意で設けることができる。アーム部4を有していない収容容器2の場合は、例えば、収容容器2の周壁の対向する2箇所に吊具11bが直接または吊りワイヤ5aなど介して係合される。
【0019】
受け台6は、実質的に全体が金属(公知の鋼材)で形成された剛性体である。受け台6は、上端部に支持部7を有していて自立する。この実施形態では受け台6は平板状のベース部6aに2本の柱部6bが立設されていて、それぞれの柱部6bの上端部に支持部7が形成されている。2本の柱部6bどうしの間隔は、収容容器2の周壁の幅寸法よりも大きく設定されている。受け台6は、ベース部6aを接地させて自立する。
【0020】
支持部7は、軸状体の回動係合部3aを支持、載置するためにV溝状に形成されている。このように上方に拡がるV溝状の支持部7を採用することで、支持部7に対して下方移動してくる回動係合部3aを確実に支持および載置するには有利になる。
【0021】
回動係合部3aが支持部7に支持および載置されて、収容容器2が回動係合部3aを中心軸として回動できればよいので、この実施形態の回動係合部3aの形態を支持部7に採用し、支持部7の形態を回動係合部3aに採用することもできる。即ち、支持部7を軸状体にして、回動係合部3aをV溝状に形成することもできる。
【0022】
この実施形態では、受け台6が傾け部8およびストッパ9を有している。傾け部8およびストッパ9は任意で設けることができる。傾け部8は、支持部7に載置された収容容器2が回動係止部3aを中心軸にして回動する際に、収容容器2を回動方向一方向に傾斜させる。この実施形態では、それぞれの柱部6bの上端部の間に傾け部8が延在して架け渡されている。傾け部8は上方に突出している板状体であるが、種々の形態を採用することができる。尚、受け台6は、上端部に支持部7を有して自立し、支持部7に載置された収容容器2を回動係合部3aを中心軸にして回動させることができる種々の形態を採用できる。
【0023】
ストッパ9は、支持部7に載置された収容容器2が回動係止部3aを中心軸にして回動する際に、収容容器2の回動範囲を規制する。この実施形態では、ストッパ9は2本の柱部6bの間に延在している梁状体であり、柱部6bの上下方向中央部どうしを連結している。
【0024】
次に、この移送具1を用いて土砂Sを積込み場所P1から集積場所P2に移送する手順の一例を説明する。
【0025】
図3に例示するように、収容容器2を積込み場所P1に配置し、受け台6を集積場所P2に隣接して配置する。収容容器2にクレーン10の吊具11bを吊りワイヤ5aなど介して係合させて、クレーン10を用いて吊り上げて移動させることで、積込み場所P1の所望の位置に収容容器2を配置することができる。収容容器2は自立するので、上端2aの開口を上にした状態で配置することが容易である。
【0026】
受け台6は、集積場所P2に隣接させて配置する。受け台6にクレーン10の吊具11bを吊りワイヤ5aなど介して係合させて、クレーン10を用いて吊り上げて移動させることで、集積場所P2に隣接する所望の位置に受け台6を配置することができる。
【0027】
図4に例示するように、積込み場所P1では例えば、パワーショベルなどを用いて、積込み場所P1の土砂Sを収容容器2に積込んで収容する。アーム部4の吊り連結部5には予め吊りワイヤ5aを連結しておくとよい。この実施形態では、収容容器2の底面2bおよびスペーサ3cが接地しているが、積込み場所P1の地盤が硬い場合は主にスペーサ3cだけが接地した状態になる。
【0028】
収容容器2に所定量の土砂Sを収容した後は、
図5に例示するように、クレーンワイヤ11bに吊り下げられている吊具11bを吊りワイヤ5aに連結して、収容容器2をクレーン10により吊り上げる。この実施形態では、収容容器2にアーム部4が回転可能に軸支されているので、アーム部4を介してクレーン10によって吊り上げられた収容容器2の上端2aの開口が安定して上に維持される。
【0029】
図6に例示するように、クレーン10によって吊り上げた収容容器2を、クレーン10を操作して受け台6の上方に移動させる。受け台6のベース部6aにはブロックなどを錘12として載置して、受け台6の転倒防止を図ることが好ましい。
【0030】
次いで、
図7に例示するように、クレーン10を操作して収容容器2を下方移動させ、回動係合部3aを受け台6の支持部7に支持させて収容容器2を支持部7に載置する。収容容器2が支持部7に載置されることで、収容容器2が回動係合部3aを中心軸にして回動する構成になっている。詳述すると、収容容器2を支持部7に載置すると、側面視で土砂Sを収容している収容容器2の重心位置と、支持部7の位置とにズレ(ズレ量L)があることによって、収容容器2には支持部7に支持されている回動係合部3aを支点として、収容容器2および土砂Sの合計重量Wとズレ量Lとを乗じたモーメント(W×L)が作用する。そのため、支持部7に載置された収容容器2は、自動的に回動係合部3aを中心軸にして回動する。
【0031】
この実施形態では、収容容器2を下方移動させて回動係合部3aを支持部7に載置する過程で、傾け部8に収容容器2の底面2b(またはスペーサ3c)が当接する。その結果、収容容器2の底面2bは傾け部8によって上方に押圧されたようになって収容容器2が傾き、側面視で土砂Sを収容している収容容器2の重心位置と、支持部7の位置とにズレが生じる。それ故、収容容器2は回動係合部3aを中心軸として特定の一方向に回動する。即ち、収容容器2は、集積場所P2に向かって倒れるように回動する。傾け部8は、このように上端2aの開口を集積場所P2に向けて収容容器2が回動係合部3aを中心軸として回動するように設定する。この実施形態のように、回動係合部3aの両端にフランジを形成しておくと、支持部7に載置された回動係合部3aが横ズレして支持部7から外れることを防止するには有利になる。
【0032】
図8に例示するように、収容容器2を支持部7に載置した後は、クレーン10を操作してクレーンワイヤ11aに不要なテンションが生じないようにして、回動係合部3aを中心軸として収容容器2を回動させる。収容容器2が回動係合部3aを中心軸として回動すると、収容容器2の周壁がストッパ9に当接する。その結果、収容容器2はストッパ9に当接までしか回動することができずにその回動範囲が規制される。
【0033】
図8に例示するように、収容容器2の上端2の開口が下方になり底面2bが上方になるように回動すると、収容容器2に収容されている土砂Sは上端2aの開口を通じて集積場所P2に向かって排出される。例えば、回動係合部3aを中心軸として収容容器2を120°以上180°以下の範囲で回動させる。尚、収容容器2を180°回動させた状態とは、上端2aの開口が真下になって底面2bが真上に位置する状態である。
【0034】
したがって、ストッパ9は、回動係合部3aを中心軸として収容容器2が120°以上180°以下の範囲で回動するように設置する。ストッパ9によって、収容容器2の回動範囲をこのように規制することで、収容容器2が回動係合部3aを中心軸にして過剰に大きく回動することがないので、受け台6の周辺の安全性を確保するには有利になる。また、この実施形態では、ストッパ9の傾斜面を収容容器2の周壁と当接させるように(面接触させるように)しているので、収容容器2の損傷を抑えるには有利になっている。
【0035】
土砂Sが集積場所P2に排出されて空になった収容容器2は、クレーン10によって吊り上げて移動させ、再度、積込み場所P1に配置する。このようにして、収容容器2を積込み場所P1と集積場所P2との間を必要回数移動させて、所望量の土砂Sを積込み場所P1から集積場所P2へ移送する。
【0036】
上述したように、土砂Sを積込み場所P1から集積場所P2に移送するには、移送具1は収容容器2と受け台6との簡素な構成の移送具1の他に、収容容器2を吊り上げる既存のクレーン10が用意できればよい。クレーン10を用いることで、収容容器2に収容された土砂Sを積込み場所P1から受け台6に容易に移動させることができる。
【0037】
そして、クレーン10により吊り上げた収容容器2の回動係合部3aを、受け台6の支持部7に支持させて収容容器2を支持部7に載置すれば、自動的に収容容器2が回動係合部3aを中心軸にして回動する。そのため、複雑なオペレーションを行うことなく、土砂Sを集積場所P2に迅速かつ円滑に排出させることができる。それ故、この実施形態によれば、土砂Sを、簡便かつ効率的に積込み場所P1から集積場所P2に移送するには有利になる。
【0038】
この実施形態では、受け台6が傾け部8を有しているので、収容容器2をその上端2aの開口が集積場所P2に向かうように確実に回動させることができる。したがって、収容容器2に収容されている土砂Sを、集積場所P2に確実に排出させるには有利になっている。
【0039】
さらにこの実施形態では、収容容器2にアーム部4が回転可能に軸支されているので、回動係合部3aを中心軸にして収容容器2が回動する際にアーム部4が障害になることはなく、収容容器2を円滑に回動させるには有利になっている。また、
図8に例示するように収容容器2が回動してもアーム部4は受け台6の上端部にもたれ掛かって、吊り連結部5が上方に位置した状態に維持させることができる。そのため、空になった収容容器2を円滑にクレーン10によって吊り上げ易くなる。
【0040】
図9~
図11に例する移送具1の別の実施形態では、収容容器2の周壁の下端部に回動係合部3aが設置されて、周壁の両端部に回動係合部3aが突出している。また、受け台6は傾け部8を有していない。この実施形態の移送具1のその他の構成は、先の実施形態と実質的に同じであり、土砂Sを積込み場所P1から集積場所P2まで移送する方法も同様である。
【0041】
図9に例示するように土砂Sを収容した収容容器2をクレーン10により吊り上げて受け台6の上方に移動させ、次いで、
図10に例示するように収容容器2を下方移動させて回動係合部3aを支持部7に支持させて載置する。この実施形態では、回動係合部3aが収容容器2の一方向に極端に偏芯した位置に設けられている。したがって、収容容器2を支持部7に載置しただけで、土砂Sを収容している収容容器2の重心位置と、支持部7の位置とのズレが非常に大きい状態になる。それ故、先の実施形態のような傾け部8が無くても、収容容器2の上端2aの開口が集積場所P2に向かうように確実に収容容器2を回動係合部3aを中心軸として回動させることが可能になる。
【0042】
そして、
図11に例示するようにストッパ9に規制されるまで回動係合部3aを中心軸にして収容容器2が回動する。その結果、土砂Sが収容容器2から集積場所P2に迅速かつ円滑に排出される。
【0043】
本開示は、以下の発明を包含している。
発明1:土砂を収容する収容容器と前記収容容器を支持する受け台とを備え、前記収容容器が上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体であり、前記受け台が上端部に支持部を有する自立する剛性体であり、クレーンにより吊り上げられた前記収容容器の前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器が前記支持部に載置されることで、前記収容容器が前記回動係合部を中心軸にして回動する構成にした土砂の移送具。
発明2:前記収容容器の周壁の対向する軸支部どうしを連結して、それぞれの前記軸支部に回転可能に軸支されているアーム部を有して、前記アーム部を介して前記収容容器が前記クレーンに吊り上げられる構成にした発明1に記載の土砂の移送具。
発明3:前記受け台が、前記支持部に載置された前記収容容器を前記回動する一方向に傾斜させる傾け部を有する発明1または2に記載の土砂の移送具。
発明4:前記受け台が、前記収容容器の回動範囲を規制するストッパを有する発明1~3のいずれかに記載の土砂の移送具。
発明5:上端部に支持部を有する自立する剛性体の受け台を、集積場所に隣接して配置し、上端を開口して下端部に回動係合部を有する自立する剛性体の収容容器を土砂の積込み場所に配置して、前記積込み場所で前記収容容器に土砂を収容した後に、前記収容容器をクレーンにより吊り上げて前記受け台の上方に移動させ、次いで、前記収容容器を下方移動させて前記回動係合部を前記支持部に支持させて前記収容容器を前記支持部に載置することで、前記収容容器を前記回動係合部を中心軸にして回動させて前記収容容器に収容されている前記土砂を前記収容容器の上端の開口を通じて前記集積場所に排出する土砂の移送方法。
【符号の説明】
【0044】
1 移送具
2 収容容器
2a 上端
2b 底面
3a 回動係合部
3b 軸支部
3c スペーサ
4 アーム部
5 吊り連結部
5a 吊りワイヤ
6 受け台
6a ベース部
6b 柱部
7 支持部
8 傾け部
9 ストッパ
10 クレーン
10a ブーム
11a クレーンワイヤ
11b 吊具
12 錘
S 土砂
P1 積込み場所
P2 集積場所