(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165801
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】レーダカバー着脱構造
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01S7/03 246
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082296
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】多田 亮太
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AB15
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD09
5J070AD10
5J070AE20
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】レーダカバー着脱構造を提供する。
【解決手段】ブラケット50にレーダカバー60を着脱可能に取り付けるレーダカバー着脱構造であって、前記ブラケット及び前記レーダカバーの一方に設けられた係合部52と、他方に設けられ、前記係合部が係合する被係合部61と、前記ブラケット及び前記レーダカバーのうち前記係合部が設けられた方に設けられ、ロッド状ツール80を前記係合部までガイドするためのガイド通路53と、を備え、前記ガイド通路は、前記ロッド状ツールが挿入される開口端部53aから前記係合部近傍まで延びており、前記レーダカバーは、前記開口端部を介して挿入され前記ガイド通路により前記係合部までガイドされる前記ロッド状ツールにより、前記係合部の前記被係合部に対する係合が解除されることにより前記ブラケットから取り外される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダユニットが着脱可能に取り付けられるブラケットにレーダカバーを着脱可能に取り付けるレーダカバー着脱構造であって、
前記ブラケット及び前記レーダカバーの一方に設けられた係合部と、他方に設けられ、前記係合部が係合する被係合部と、
前記ブラケット及び前記レーダカバーのうち前記係合部が設けられた方に設けられ、ロッド状ツールを前記係合部までガイドするためのガイド通路と、を備え、
前記ガイド通路は、前記ロッド状ツールが挿入される開口端部から前記係合部近傍まで延びており、
前記レーダカバーは、前記係合部が前記被係合部に係合することにより前記ブラケットに着脱可能に取り付けられ、一方、前記開口端部を介して挿入され前記ガイド通路により前記係合部までガイドされる前記ロッド状ツールにより、前記係合部の前記被係合部に対する係合が解除されることにより前記ブラケットから取り外されるレーダカバー着脱構造。
【請求項2】
前記ガイド通路には、前記開口端部を介して挿入される前記ロッド状ツールの挿入角度をガイドするガイド部が設けられている請求項1に記載のレーダカバー着脱構造。
【請求項3】
前記ブラケット及び前記レーダカバーの一方に設けられたバネ部と、他方に設けられ、前記バネ部を付勢し弾性変形させるバネ部付勢部と、をさらに備え、
前記バネ部は、前記レーダカバーを前記ブラケットに取り付けた状態で、前記バネ部付勢部により付勢されることにより弾性変形し、
前記レーダカバーは、前記ロッド状ツールにより前記係合部の前記被係合部に対する係合が解除された場合、弾性変形した前記バネ部の弾性力により取り外し方向に移動する請求項1に記載のレーダカバー着脱構造。
【請求項4】
前記レーダユニット及び前記レーダカバーが着脱可能に取り付けられた前記ブラケットは、アウターレンズに形成された凹部に着脱可能に取り付けられており、
前記ガイド通路の前記開口端部は、前記凹部から露出しており、かつ、車両側部材で覆われている請求項1に記載のレーダカバー着脱構造。
【請求項5】
前記ガイド通路の前記開口端部は、前記ブラケット及び前記レーダカバーのうち前記係合部が設けられた方の下端部側に設けられている請求項4に記載のレーダカバー着脱構造。
【請求項6】
前記車両側部材は、バンパーである請求項4又は5に記載のレーダカバー着脱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダカバー着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダユニットが取り付けられた凹部を含むアウターレンズと、前記凹部を覆った状態でアウターレンズに着脱可能に取り付けられるレーダカバーと、を備えた車両用灯具が知られている。レーダユニットは、高周波の電磁波(例えば、ミリ波)を車両周辺に送信し、送信範囲内に存在する対象物からの反射波を受信することにより、対象物を検出するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、レーダカバー着脱構造についての記載が全くなく、この点で改善の余地がある。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、レーダカバー着脱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるレーダカバー着脱構造は、レーダユニットが着脱可能に取り付けられるブラケットにレーダカバーを着脱可能に取り付けるレーダカバー着脱構造であって、前記ブラケット及び前記レーダカバーの一方に設けられた係合部と、他方に設けられ、前記係合部が係合する被係合部と、前記ブラケット及び前記レーダカバーのうち前記係合部が設けられた方に設けられ、ロッド状ツールを前記係合部までガイドするためのガイド通路と、を備え、前記ガイド通路は、前記ロッド状ツールが挿入される開口端部から前記係合部近傍まで延びており、前記レーダカバーは、前記係合部が前記被係合部に係合することにより前記ブラケットに着脱可能に取り付けられ、一方、前記開口端部を介して挿入され前記ガイド通路により前記係合部までガイドされる前記ロッド状ツールにより、前記係合部の前記被係合部に対する係合が解除されることにより前記ブラケットから取り外される。
【0007】
このような構成により、レーダカバー着脱構造を提供することができる。例えば、ロッド状ツールを用いてレーダカバーを取り外す際、ロッド状ツールが周囲に接触し破損するのを防止することができるレーダカバー着脱構造を提供することができる。
【0008】
また、上記レーダカバー着脱構造において、前記ガイド通路には、前記開口端部を介して挿入される前記ロッド状ツールの挿入角度をガイドするガイド部が設けられていてよい。
【0009】
また、上記レーダカバー着脱構造において、前記ブラケット及び前記レーダカバーの一方に設けられたバネ部と、他方に設けられ、前記バネ部を付勢し弾性変形させるバネ部付勢部と、をさらに備え、前記バネ部は、前記レーダカバーを前記ブラケットに取り付けた状態で、前記バネ部付勢部により付勢されることにより弾性変形し、前記レーダカバーは、前記ロッド状ツールにより前記係合部の前記被係合部に対する係合が解除された場合、弾性変形した前記バネ部の弾性力により取り外し方向に移動してよい。
【0010】
また、上記レーダカバー着脱構造において、前記レーダユニット及び前記レーダカバーが着脱可能に取り付けられた前記ブラケットは、アウターレンズに形成された凹部に着脱可能に取り付けられており、前記ガイド通路の前記開口端部は、前記凹部から露出しており、かつ、車両側部材で覆われていてよい。
【0011】
また、上記レーダカバー着脱構造において、前記ガイド通路の前記開口端部は、前記ブラケット及び前記レーダカバーのうち前記係合部が設けられた方の下端部側に設けられていてよい。
【0012】
また、上記レーダカバー着脱構造において、前記車両側部材は、バンパーであってよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、レーダカバー着脱構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両に搭載された車両用灯具10近傍の斜視図である。
【
図2】は
図1中の矢印Ar1方向から見た矢視図である。
【
図6】ブラケット50に取り付けられたレーダカバー60の正面図である。
【
図7】ブラケット50及びレーダカバー60の分解斜視図である。
【
図9】レーダカバー60が取り付けられたブラケット50の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態であるレーダカバー着脱構造を適用した車両用灯具について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
本実施形態の車両用灯具10は、ヘッドランプとして機能する車両用灯具で、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。
【0017】
図1は車両に搭載された車両用灯具10近傍の斜視図、
図2は
図1中の矢印Ar1方向から見た矢視図、
図3は車両用灯具10の上面図(概略図)、
図4は
図2のA-A断面図、
図5は車両用灯具10の分解斜視図である。
【0018】
図3~
図5に示すように、車両用灯具10は、灯具ハウジング20、アウターレンズ30、灯具ユニット40、ブラケット50、レーダカバー60、レーダユニット70を備える。なお、
図3中符号100は、車両ボディを表す。
【0019】
アウターレンズ30は、灯具ハウジング20に取り付けられて当該灯具ハウジング20との間に灯室S1(
図4等参照)を構成する。図示しないが、灯室S1内には、灯具ユニット40が配置される。灯具ユニット40は、ヘッドランプとして機能する光を照射する灯具ユニットであればどのような構成でもよい。例えば、灯具ユニット40は、プロジェクタ型の灯具ユニット、リフレクタ型の灯具ユニット、ダイレクトプロジェクション型(直射型)の灯具ユニット、導光体(導光棒、導光板)を用いた灯具ユニットでもよいし、これら以外の灯具ユニットでもよい。
【0020】
アウターレンズ30は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂(合成樹脂)製で、灯具ユニット40が照射する光が透過するレンズ部31、及び正面側から背面側(灯具ハウジング20側)に向かって凹んだ凹部32を含む。レンズ部31は車幅方向内側に配置され、凹部32は車幅方向外側に配置されている。
【0021】
凹部32は、正面側の開口端部32a、背面側の底部32b、開口端部32aと底部32bとの間の内壁32c(上内壁32c1、下内壁32c2、内内壁32c3、外内壁32c4)により構成される。
【0022】
上記構成のアウターレンズ30(凹部32)には、ブラケット50が着脱可能に取り付けられる。
【0023】
次に、ブラケット50について説明する。
【0024】
図6はブラケット50に取り付けられたレーダカバー60の正面図、
図7はブラケット50及びレーダカバー60の分解斜視図である。
図8は、
図6のB-B断面図である。
【0025】
ブラケット50は、アクリルやポリカーボネイト等の合成樹脂製で、
図6~
図8に示すように、ブラケット本体51、上係合部52と、ガイド通路53と、ガイド部54と、バネ部55と、下係合部56と、を含む。
【0026】
ブラケット本体51は、レーダユニット取付面51aとその反対側の背面51bとを含む(
図4参照)。レーダユニット取付面51aには、レーダユニット70がねじ止めされるねじボス51a1(3箇所)が設けられている(
図5参照)。
【0027】
上係合部52は、レーダカバー60の上被係合部61に係合する部分である。
図7に示すように、上係合部52は、レーダカバー60の上被係合部61に対応してブラケット50(ブラケット本体51)の正面側上部の左右両側にそれぞれ設けられている。具体的には、上係合部52は、フック部である。以下、上フック部52とも記載する。上フック部52は、ブラケット50(ブラケット本体51)の正面側上部から前方側(レーダカバー側)に片持ち梁状に延びている。上フック部52の先端部には、レーダカバー60の上被係合部61に係合する爪部52aが設けられている。
【0028】
ガイド通路53は、ロッド状ツール80を上フック部52までガイドするための通路である。具体的には、ガイド通路53は、ブラケット50(ブラケット本体51)の下端部側に開口端部53aを有し、当該開口端部53aから上係合部52近傍まで延びている(
図8参照)。
図9に示すように、ガイド通路53の断面形状はU字形状で、当該U字形状の底部53bはレーダカバー60側に配置されている。
図9は、レーダカバー60が取り付けられたブラケット50の斜視図である。
【0029】
ロッド状ツール80は、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除するため、ロッド状に延びた長尺のツールである。
図8、
図9に示すように、ロッド状ツール80は、作業者が把持する把持部81を備える。なお、ロッド状ツール80は、専用ツールであってもよいし、ドライバ(スクリュドライバ)のような工具であってもよい。なお、ロッド状ツール80を用いてブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除する手順については後述する。
【0030】
ガイド部54は、ガイド通路53によりガイドされるロッド状ツール80の挿入角度をガイドする部分である。ガイド部54は、ガイド通路53内の上部に設けられている(
図6、
図8参照)。ガイド部54は、ロッド状ツール80の挿入方向(
図8中矢印Ar2参照)に対して傾斜したガイド面54aを含む。
【0031】
バネ部55は、当該バネ部55に当接するレーダカバー60のバネ部付勢部63に対応してブラケット50(ブラケット本体51)の正面側の左右両側にそれぞれ設けられている(
図7参照)。
図7に示すように、バネ部55は、上ばね部55a、及び下ばね部55bを含む。上ばね部55aは、ブラケット50(ブラケット本体51)の正面側に固定された固定部55a1と、固定部55a1から上方に延びる延長部55a2と、を含む。同様に、下ばね部55bは、ブラケット50(ブラケット本体51)の正面側に固定された固定部55b1と、固定部55b1から下方に延びる延長部55b2と、を含む。
【0032】
バネ部55(上ばね部55a、下ばね部55b)は、後述のようにレーダカバー60をブラケット50に取り付けた状態で、当該バネ部55に当接するレーダカバー60のバネ部付勢部63によりブラケット50側に付勢されることにより弾性変形する。一方、上フック部52(爪部52a)の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除した場合、弾性変形したバネ部55の弾性力によりレーダカバー60が取り外し方向(
図4中矢印Ar3参照)に移動する。この点についてはさらに後述する。
【0033】
下係合部56は、レーダカバー60の下被係合部62に係合する部分である。
図7に示すように、下係合部56は、レーダカバー60の下被係合部62に対応してブラケット50(ブラケット本体51)の正面側下部(2箇所)にそれぞれ設けられている。具体的には、下係合部56は、フック部である。以下、下フック部56とも記載する。
【0034】
ブラケット50(ブラケット本体51)の下部には、当該下部から下方に延びる板状の延長部57が設けられている(
図4、
図6参照)。延長部57には、レーダカバー60の下被係合部62(2つ)に対応して当該下被係合部62が挿入される貫通穴57a(2つ)が形成されている。
【0035】
下フック部56は、貫通穴57a下部から後方側(アウターレンズ側)に片持ち梁状に延びている(
図6中C-C断面図参照)。下フック部56の先端部には、レーダカバー60の下被係合部62(貫通穴62b)に係合(嵌合)する爪部56aが設けられている。
【0036】
上記構成のブラケット50は、アウターレンズ30(凹部32)に着脱可能に取り付けられる。具体的には、ブラケット50は、その背面と凹部32の底部32bとが対向した状態で公知の固定手段(ねじ、フック部等)により、アウターレンズ30又は灯具ハウジング20に取り付けられる(
図4参照)。その際、凹部32を構成する上内壁32c1の正面側(
図4中左側)端部E
32c1はブラケット50を超えて正面側に延びているのに対して、凹部32を構成する下内壁32c2の正面側(
図4中左側)端部E
32c2はブラケット50の下端部(ガイド通路53の開口端部53a)の手前まで正面側に延びている。そのため、ブラケット50の下端部(ガイド通路53の開口端部53a)は、下内壁32c2で覆われることなく、凹部32から露出している。これにより、アウターレンズ30からブラケット50を取り外すことなく、アウターレンズ30に取り付けられた状態のブラケット50(ガイド通路53)にロッド状ツール80を挿入可能となっている。
【0037】
次に、レーダカバー60について説明する。
【0038】
図7に示すように、レーダカバー60は、上被係合部61と、下被係合部62と、バネ部付勢部63と、を含む。
【0039】
上被係合部61は、ブラケット50の上フック部52(上係合部)が係合する部分である。上被係合部61は、ブラケット50の上フック部52に対応してレーダカバー60の背面側上部の左右両側にそれぞれ設けられている(
図7参照)。具体的には、上被係合部61は、レーダカバー60の背面側上部から後方側(ブラケット50側)に片持ち梁状に延びる延長部61aと、この延長部61aに形成された貫通穴61bと、を含む。ブラケット50の上フック部52(爪部52a)は、貫通穴61bに係合(嵌合)する(
図6、
図8参照)。
【0040】
下被係合部62は、ブラケット50の下フック部56(下係合部)が係合する部分である。下被係合部62は、ブラケット50の下フック部56に対応してレーダカバー60の背面側下部(2箇所)に設けられている(
図6、
図7参照)。具体的には、下被係合部62は、レーダカバー60の背面側下部から下方に延び、さらに後方側(ブラケット50側)に片持ち梁状に延びる延長部62aと、この延長部62aに形成された貫通穴62bと、を含む(
図6中C-C断面図参照)。ブラケット50の下フック部56(爪部56a)は、貫通穴62bに係合(嵌合)する(
図6中C-C断面図参照)。
【0041】
上記構成のレーダカバー60は、ブラケット50に着脱可能に取り付けられる。具体的には、まず、レーダカバー60の下被係合部62をブラケット50(ブラケット本体51)の下部に設けられた延長部57に形成された貫通穴57aに挿入し、当該貫通穴57aに挿入した下被係合部62(貫通穴62b)に、ブラケット50の下フック部56(爪部56a)を係合(嵌合)させる(
図6中C-C断面図参照)。また、レーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)を係合(嵌合)させる(
図6、
図8参照)。
【0042】
以上のようにしてレーダカバー60は、ブラケット50に着脱可能に取り付けられる。その際、バネ部55は、当該バネ部55に当接するレーダカバー60のバネ部付勢部63によりブラケット50側に付勢されることにより弾性変形した状態でレーダカバー60とブラケット50との間に配置される。
【0043】
次に、レーダユニット70について説明する。
【0044】
図5に示すように、レーダユニット70(レーダ装置)は、ケース71、このケース71内に収容される送信アンテナ、受信アンテナ(いずれも図示せず)等を有する。レーダユニット70は、送信アンテナから電磁波(ミリ波)を送信するミリ波レーダユニットである。電磁波(ミリ波)は、レーダカバー60を透過して、垂直方向の広がり角θ
V(
図4参照)、水平方向の広がり角θ
H(
図3参照)の範囲に送信される。そして、レーダユニット70は、その送信範囲内に存在する対象物によって反射されレーダカバー60を透過した反射波を受信アンテナによって受信する。受信された信号は制御装置、例えば、図示しないECU(Electronic Control Unit)によって信号処理が行われ、対象物(対象物との間の距離、角度、速度)が検出される。レーダユニット70においては、例えば76-81GHz帯のミリ波、特に79GHz帯のミリ波が用いられるが、この周波数帯に限定されない。
【0045】
なお、レーダユニット70のレーダ方式は、パルス方式、CW(Continuous Wave)方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。また、レーダユニット70のアンテナ方式は、機械走査方式、ビーム切り替え方式、フェーズドアレー方式、ディジタルフォーミング方式のいずれであってもよいし、その他の方式であってもよい。
【0046】
上記構成のレーダユニット70は、ブラケット50(ブラケット本体51)に着脱可能に取り付けられる。具体的には、
図7に示すように、レーダユニット70は、その背面とブラケット50のレーダユニット取付面51aとが対向した状態でレーダユニット70のフランジ部72(3箇所)に挿入されたねじN1をブラケット50のレーダユニット取付面51aのねじボス51a1に螺合することにより、ブラケット50(ブラケット本体51)に取り付けられる。
【0047】
次に、上記構成の車両用灯具10を車体側に取り付ける手順について説明する。
【0048】
まず、アウターレンズ30(凹部32)に、ブラケット50を取り付ける。具体的には、ブラケット50は、その背面と凹部32の底部32bとが対向した状態で公知の固定手段(ねじ、フック部等)により、アウターレンズ30(凹部32)に着脱可能に取り付けられる。
【0049】
次に、上記のようにブラケット50が取り付けられた車両用灯具10を公知の固定手段(ねじ等)により、車体側に取り付ける。
【0050】
次に、レーダユニット70をブラケット50に取り付ける。具体的には、レーダユニット70は、その背面とブラケット50のレーダユニット取付面51aとが対向した状態でレーダユニット70のフランジ部72(3箇所)に挿入されたねじN1をブラケット50のレーダユニット取付面51aのねじボス51a1に螺合することにより、ブラケット50(ブラケット本体51)に着脱可能に取り付けられる。
【0051】
次に、レーダカバー60をブラケット50に取り付ける。具体的には、まず、レーダカバー60の下被係合部62をブラケット50(ブラケット本体51)の下部に設けられた延長部57に形成された貫通穴57aに挿入し、当該貫通穴57aに挿入した下被係合部62(貫通穴62b)に、ブラケット50の下フック部56(爪部56a)を係合(嵌合)させる(
図6中C-C断面図参照)。また、レーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)を係合(嵌合)させる(
図6、
図8参照)。
【0052】
以上のようにしてレーダカバー60は、ブラケット50に着脱可能に取り付けられる。その際、バネ部55は、当該バネ部55に当接するレーダカバー60のバネ部付勢部63によりブラケット50側に付勢されることにより弾性変形した状態でレーダカバー60とブラケット50との間に配置される。
【0053】
次に、バンパー90を車体側に取り付ける。具体的には、
図1、
図4に示すように、バンパー90は、レーダカバー60の下端部より下方を覆った状態で公知の固定手段(ねじ等)により、車体側に着脱可能に取り付けられる。これにより、アウターレンズ30の凹部32から露出しているブラケット50の下端部(ガイド通路53の開口端部53a)もバンパー90で覆われる(
図4参照)。
【0054】
以上のようにして、車両用灯具10は車体側に取り付けられる。
【0055】
次に、レーダユニット70をブラケット50から取り外す手順について説明する。この手順は、例えば、レーダユニット70の故障時にレーダユニット70を交換する際、又はレーダユニット70に内蔵されたROM等の記憶部に記憶された制御プログラムを書き換える際(例えばバージョンアップの際)に実行される。
【0056】
まず、バンパー90を車体側から取り外す。
【0057】
次に、レーダカバー60をブラケット50から取り外す。これは、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除することにより実現される。この解除の手順は次のとおりである。
【0058】
すなわち、バンパー90を取り外すことで露出したブラケット50のガイド通路53(開口端部53a)に、作業者(図示せず)が把持部81を把持したロッド状ツール80を挿入する(
図8、
図9参照)。
図8、
図9中矢印Ar2は、ロッド状ツール80の挿入方向を表す。具体的には、作業者(図示せず)は、当該把持部81を把持したロッド状ツール80を、ガイド通路53に沿って、レーダカバー60の下被係合部62(貫通穴61b)に係合(嵌合)した上フック部52(爪部52a)に向けて挿入する。
【0059】
その際、ロッド状ツール80の先端部は、ガイド部54のガイド面54aに当接し当該ガイド面54aに沿ってガイドされることにより、その挿入角度(挿入方向)が制御され、上フック部52(爪部52a)に向かい、最終的に、上フック部52(爪部52a)に下側から当接する(
図10参照)。
【0060】
次に、上記のように先端部が上フック部52(爪部52a)に下側から当接した状態のロッド状ツール80をさらに矢印Ar2方向に挿入することにより、レーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対して上フック部52(爪部52a)を押し上げる。これにより、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)が解除される。
【0061】
このようにブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除した場合、弾性変形したバネ部55の弾性力によりレーダカバー60が取り外し方向(
図4中矢印Ar3参照)に移動する。具体的には、レーダカバー60は、その下部(下フック部56)を支点としてその上部が取り外し方向に移動する。これにより、ブラケット50の下フック部56(爪部56a)のレーダカバー60の下被係合部62(貫通穴62b)に対する係合(嵌合)も解除される。
【0062】
以上のようにして、レーダカバー60をブラケット50から取り外すことができる。
【0063】
次に、レーダカバー60を取り外すことで露出したねじN1を取り外すことにより、レーダユニット70をブラケット50から取り外す。
【0064】
以上のようにして、レーダユニット70をブラケット50から取り外すことができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロッド状ツール80を用いてレーダカバー60を取り外す際、ロッド状ツール80が周囲に接触し破損するのを防止することができるレーダカバー着脱構造を提供することができる。
【0066】
これは、ロッド状ツール80を上フック部52までガイドするためのガイド通路53を備えていることによるものである。
【0067】
また、本実施形態によれば、ロッド状ツール80の先端部は、ガイド部54のガイド面54aに当接し当該ガイド面54aに沿ってガイドされることにより、その挿入角度(挿入方向)が制御され、上フック部52(爪部52a)に向かい、最終的に、上フック部52(爪部52a)に下側から当接する(
図10参照)。そのため、作業者(図示せず)は、ロッド状ツール80の先端部を当接させる箇所(上フック部52(爪部52a))を意識することなく、レーダカバー60の取外し作業を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ロッド状ツール80を用いてブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)を解除した場合、弾性変形したバネ部55の弾性力によりレーダカバー60が取り外し方向(
図4中矢印Ar3参照)に移動する。その際に発生する振動(クリック感)がロッド状ツール80等を介して作業者に伝わる。これにより、上記レーダカバー60の取外し作業を行う作業者は、ブラケット50の上フック部52(爪部52a)のレーダカバー60の上被係合部61(貫通穴61b)に対する係合(嵌合)が解除したことを把握することができる。そのため、必要以上ロッド状ツール80を挿入することを防止できる。これにより、必要以上ロッド状ツール80を挿入することに起因して上フック部52等が破損するのを防止することができる。
【0069】
次に、変形例について説明する。
【0070】
上記実施形態では、上係合部52、ガイド通路53、ガイド部54、及び下係合部56をブラケット50に設け、上被係合部61、及び下被係合部62をレーダカバー60に設けた例について説明したが、これに限らない。逆に、上係合部52、ガイド通路53、ガイド部54、及び下係合部56をレーダカバー60に設け、上被係合部61、及び下被係合部62をブラケット50に設けてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ガイド通路53の開口端部53aを、ブラケット50(ブラケット本体51)の下端部側に設けた例について説明したが、これに限らない。例えば、ガイド通路53の開口端部53aを、ブラケット50(ブラケット本体51)の車幅方向外側等、他の箇所に設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ガイド通路53の断面形状はU字形状である例について説明したが、これに限らない。例えば、ガイド通路53の断面形状はU字形状以外の円形状、矩形形状、その他の形状であってよい。
【0073】
また、上記実施形態では、車両側部材としてバンパー90を用いる例について説明したが、これに限らない。車両側部材としてバンパー以外の各種部材を用いてよい。
【0074】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0075】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
10…車両用灯具
20…灯具ハウジング
30…アウターレンズ
31…レンズ部
32…凹部
32a…開口端部
32b…底部
32c…内壁
32c1…上内壁
32c2…下内壁
32c3…内内壁
32c4…外内壁
40…灯具ユニット
50…ブラケット
51…ブラケット本体
51a…レーダユニット取付面
51a1…ねじボス
51b…背面
52…上係合部(上フック部)
52a…爪部
53…ガイド通路
53a…開口端部
53b…底部
54…ガイド部
54a…ガイド面
55…バネ部
55a…上ばね部
55a1…固定部
55a2…延長部
55b…下ばね部
55b1…固定部
55b2…延長部
56…下係合部(下フック部)
56a…爪部
57…延長部
57a…貫通穴
60…レーダカバー
61…上被係合部
61a…延長部
61b…貫通穴
62…下被係合部
62a…延長部
62b…貫通穴
63…バネ部付勢部
70…レーダユニット
71…ケース
72…フランジ部
80…ロッド状ツール
81…把持部
90…バンパー
E32c1、E32c2…端部
N1…ねじ
θH、θV…広がり角