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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165812
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ガラス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
C03C15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082324
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 直裕
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 英成
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA08
4G059AB05
4G059AB06
4G059AC01
4G059BB04
4G059BB12
4G059BB14
4G059BB16
(57)【要約】
【課題】 ガラス基板により均一な複数の貫通孔を形成する。
【解決手段】 ガラス基板の製造方法は、ガラス基板40の第1面及び第2面にそれぞれ、複数の貫通孔に対応する複数の領域以外を覆う第1レジスト層41及び第2レジスト層42を形成する工程と、駆動機構20を用いてガラス基板40を垂直にした状態で、ガラス基板40を処理槽14内に搬送する工程と、ガラス基板40の両側にそれぞれ配置された第1ノズル15及び第2ノズル16を用いて、ガラス基板40の両側から連続してエッチング液を噴射する工程とを含む。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の第1面及び第2面にそれぞれ、複数の貫通孔に対応する複数の領域以外を覆う第1レジスト層及び第2レジスト層を形成する工程と、
駆動機構を用いて前記ガラス基板を垂直にした状態で、前記ガラス基板を処理槽内に搬送する工程と、
前記ガラス基板の両側にそれぞれ配置された第1ノズル及び第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から連続してエッチング液を噴射する工程と、
を具備するガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記連続してエッチング液を噴射する工程の後に、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から交互にエッチング液を噴射する工程をさらに具備する
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記交互にエッチング液を噴射する工程において、制御装置により、前記第1ノズル及び前記第2ノズルにそれぞれ接続された第1バルブ及び第2バルブを交互に開状態に設定する
請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記連続してエッチング液を噴射する工程が第1時間継続して実施された後に、前記交互にエッチング液を噴射する工程が第2時間継続して実施される
請求項2に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記駆動機構を用いて、前記ガラス基板を揺動する工程をさらに具備する
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記ガラス基板を基板ホルダに固定する工程をさらに具備し、
前記基板ホルダは、前記ガラス基板の端部を保持するように構成される
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項7】
ガラス基板の第1面及び第2面にそれぞれ、個片化される複数のチップに対応する複数の領域を覆う複数の第1レジスト層及び複数の第2レジスト層を形成する工程と、
駆動機構を用いて前記ガラス基板を垂直にした状態で、前記ガラス基板を処理槽内に搬送する工程と、
前記ガラス基板の両側にそれぞれ配置された第1ノズル及び第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から連続してエッチング液を噴射する工程と、
を具備するガラス基板の製造方法。
【請求項8】
前記連続してエッチング液を噴射する工程の後に、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から交互にエッチング液を噴射する工程をさらに具備する
請求項7に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項9】
前記交互にエッチング液を噴射する工程において、制御装置により、前記第1ノズル及び前記第2ノズルにそれぞれ接続された第1バルブ及び第2バルブを交互に開状態に設定する
請求項8に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項10】
前記連続してエッチング液を噴射する工程が第1時間継続して実施された後に、前記交互にエッチング液を噴射する工程が第2時間継続して実施される
請求項8に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項11】
前記駆動機構を用いて、前記ガラス基板を揺動する工程をさらに具備する
請求項7に記載のガラス基板の製造方法。
【請求項12】
前記ガラス基板を基板ホルダに固定する工程をさらに具備し、
前記基板ホルダは、前記ガラス基板の端部を保持し、前記複数のチップの各々を両側から挟むように保持するように構成される
請求項7に記載のガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスにおいて、複数の貫通孔が形成されたガラス基板が広く利用されている。複数の貫通孔を有するガラス基板の適用例として、例えば、インターポーザが挙げられる。インターポーザは、複数の半導体チップと基板とを電気的に接続する中継部材である。ガラス基板に複数の貫通孔を形成する方法としては、例えば、レーザを用いてガラス基板に複数の貫通孔を形成し、その後、ガラス基板をウェットエッチングする。
【0003】
半導体チップの微細化に伴い、ガラス基板に形成される貫通孔の微細化が要求される。また、電子デバイスの性能向上のために、複数の貫通孔をより均一に形成することが望まれる。また、貫通孔の径をガラス基板の厚さ方向に沿ってより均一に形成することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-222529号公報
【特許文献2】国際公開第2018/020531号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ガラス基板により均一な複数の貫通孔を形成することが可能なガラス基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によると、ガラス基板の第1面及び第2面にそれぞれ、複数の貫通孔に対応する複数の領域以外を覆う第1レジスト層及び第2レジスト層を形成する工程と、駆動機構を用いて前記ガラス基板を垂直にした状態で、前記ガラス基板を処理槽内に搬送する工程と、前記ガラス基板の両側にそれぞれ配置された第1ノズル及び第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から連続してエッチング液を噴射する工程とを具備する、ガラス基板の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の第2態様によると、前記連続してエッチング液を噴射する工程の後に、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から交互にエッチング液を噴射する工程をさらに具備する、第1態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の第3態様によると、前記交互にエッチング液を噴射する工程において、制御装置により、前記第1ノズル及び前記第2ノズルにそれぞれ接続された第1バルブ及び第2バルブを交互に開状態に設定する、第2態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の第4態様によると、前記連続してエッチング液を噴射する工程が第1時間継続して実施された後に、前記交互にエッチング液を噴射する工程が第2時間継続して実施される、第2態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の第5態様によると、前記駆動機構を用いて、前記ガラス基板を揺動する工程をさらに具備する、第1態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第6態様によると、前記ガラス基板を基板ホルダに固定する工程をさらに具備し、前記基板ホルダは、前記ガラス基板の端部を保持するように構成される、第1態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0012】
本発明の第7態様によると、ガラス基板の第1面及び第2面にそれぞれ、個片化される複数のチップに対応する複数の領域を覆う複数の第1レジスト層及び複数の第2レジスト層を形成する工程と、駆動機構を用いて前記ガラス基板を垂直にした状態で、前記ガラス基板を処理槽内に搬送する工程と、前記ガラス基板の両側にそれぞれ配置された第1ノズル及び第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から連続してエッチング液を噴射する工程とを具備する、ガラス基板の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第8態様によると、前記連続してエッチング液を噴射する工程の後に、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを用いて、前記ガラス基板の両側から交互にエッチング液を噴射する工程をさらに具備する、第7態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の第9態様によると、前記交互にエッチング液を噴射する工程において、制御装置により、前記第1ノズル及び前記第2ノズルにそれぞれ接続された第1バルブ及び第2バルブを交互に開状態に設定する、第8態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第10態様によると、前記連続してエッチング液を噴射する工程が第1時間継続して実施された後に、前記交互にエッチング液を噴射する工程が第2時間継続して実施される、第8態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の第11態様によると、前記駆動機構を用いて、前記ガラス基板を揺動する工程をさらに具備する、第7態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の第12態様によると、前記ガラス基板を基板ホルダに固定する工程をさらに具備し、前記基板ホルダは、前記ガラス基板の端部を保持し、前記複数のチップの各々を両側から挟むように保持するように構成される、第7態様に係るガラス基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガラス基板により均一な複数の貫通孔を形成することが可能なガラス基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るエッチング装置の模式図である。
図2図2は、複数の第1ノズル及び複数の第2ノズルの一例を説明する模式図である。
図3図3は、基板ホルダの平面図である。
図4図4は、図3に示したA-A´線に沿った基板ホルダの断面図である。
図5図5は、駆動機構の概略図である。
図6図6は、ガラス基板の製造方法を説明するフローチャートである。
図7図7は、エッチング前のガラス基板の構成例を示す平面図である。
図8図8は、図7示したB-B´線に沿ったガラス基板の断面図である。
図9図9は、エッチング前のガラス基板の他の構成例を示す断面図である。
図10図10は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図11図11は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図12図12は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態に係るエッチング装置の模式図である。
図14図14は、ガラス基板の製造方法を説明するフローチャートである。
図15図15は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図16図16は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図17図17は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図18図18は、本発明の第3実施形態に係るエッチング前のガラス基板の構成例を示す平面図である。
図19図19は、図18示したC-C´線に沿ったガラス基板の断面図である。
図20図20は、エッチング前のガラス基板の他の構成例を示す平面図である。
図21図21は、図20示したC-C´線に沿ったガラス基板の断面図である。
図22図22は、基板ホルダの平面図である。
図23図23は、図22に示したD-D´線に沿った基板ホルダの断面図である。
図24図24は、1個の吸着部の平面図である。
図25図25は、図24のE-E´線に沿った吸着部の断面図である。
図26図26は、1個の棒固定部の平面図である。
図27図27は、図26のF-F´線に沿った棒固定部の断面図である。
図28図28は、ガラス基板の製造方法を説明するフローチャートである。
図29図29は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図30図30は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図31図31は、本発明の第4実施形態に係るガラス基板の製造方法を説明するフローチャートである。
図32図32は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
図33図33は、ガラス基板のエッチング工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
[1] 第1実施形態
[1-1] エッチング装置1の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係るエッチング装置1の模式図である。エッチング装置1は、循環タンク10、供給流路11A~11E、ポンプ12、フィルタ13、処理槽14、複数の第1ノズル15、複数の第2ノズル16、吐出流路17A、17B、バルブ18、及び制御装置19を備える。
【0022】
循環タンク10は、エッチング液を貯留する。循環タンク10は、図示しない供給口及び排出口を備える。
【0023】
ポンプ12は、供給流路11Aを介して循環タンク10の排出口に接続される。ポンプ12は、エッチング液を輸送する。
【0024】
フィルタ13は、供給流路11Bを介してポンプ12に接続される。フィルタ13は、エッチング液に含まれる不純物を除去する。
【0025】
フィルタ13には、供給流路11Cが接続される。供給流路11Cは、2個の供給流路11D、11Eに分岐される。供給流路11D、11Eは、処理槽14の内部に配設される。
【0026】
処理槽14は、被処理基板としてのガラス基板40をエッチング処理する槽である。ガラス基板40は、後述する駆動機構20及び基板ホルダ30を用いて、垂直な状態で処理槽14内に搬送される。図1は、処理槽14を横から見た模式的な断面の様子を示している。処理槽14の底部には排出口(図示せず)が設けられており、その排出口に吐出流路17Aが接続される。処理槽14の上部には、開閉可能なカバー(図示せず)が設けられる。
【0027】
処理槽14内において、ガラス基板40が配置される領域の一方の側には、複数の第1ノズル15が配置される。複数の第1ノズル15は、ガラス基板40の一方の側に向くように配置される。複数の第1ノズル15は、水平方向にエッチング液を噴射可能なように配置される。複数の第1ノズル15は、供給流路11Dに接続される。
【0028】
処理槽14内において、ガラス基板40が配置される領域の他方の側には、複数の第2ノズル16が配置される。複数の第2ノズル16は、ガラス基板40の他方の側に向くように配置される。複数の第2ノズル16は、水平方向にエッチング液を噴射可能なように配置される。複数の第2ノズル16は、供給流路11Eに接続される。
【0029】
第1ノズル15及び第2ノズルは、シャワー状にエッチング液を噴射する。シャワー状とは、ノズルの先端から放射状に広がる噴射状態を含む。ノズルから噴射される液体のスプレー角度(液体が広がる角度)は、適宜設定可能である。
【0030】
図2は、複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16の一例を説明する模式図である。X方向は、水平面内において処理槽14のある一辺に沿った方向であり、Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、Z方向(垂直方向ともいう)は、XY面に直交する方向である。
【0031】
複数の第1ノズル15は、YZ面において行列状に配置される。複数の第2ノズル16は、複数の第1ノズル15からX方向に離れたYZ面において行列状に配置される。複数の第1ノズル15と複数の第2ノズル16とは対向配置される。複数の第1ノズル15の行数及び列数は、ガラス基板40のサイズ及びノズルのサイズに応じて適宜設定される。複数の第2ノズル16についても同様である。図2では、一例として、6(=2×3)個の第1ノズル15と、6(=2×3)個の第2ノズル16とを示している。
【0032】
バルブ18は、吐出流路17Aを介して処理槽14の排出口に接続される。バルブ18は、流路の開状態と閉状態とを切り替える。バルブ18は、例えば電磁弁(ソレノイドバルブともいう)で構成される。バルブ18は、エアオペレートバルブなど他の種類のバルブであってもよいし、手動弁であってもよい。バルブ18は、吐出流路17Bを介して循環タンク10の供給口に接続される。
【0033】
制御装置19は、エッチング装置1の動作を統括的に制御する。制御装置19は、ポンプ12の動作を制御する。制御装置19は、ポンプ12を駆動するためのインバータを備える。また、制御装置19は、バルブ18の開閉動作を制御する。
【0034】
図3は、基板ホルダ30の平面図である。図4は、図3に示したA-A´線に沿った基板ホルダ30の断面図である。図3において、X´方向は、基板ホルダ30のある一辺に沿った方向であり、Y´方向は、基板ホルダ30の平面内において、X´方向に直交する方向である。X´方向及びY´方向は、基板ホルダ30の構成を説明するために便宜上設定した方向である。基板ホルダ30が処理槽14に搬入される段階では、基板ホルダ30は、立てた状態(Y´方向が垂直方向)で処理槽14内に保持される。
【0035】
基板ホルダ30は、第1フレーム31、第2フレーム32、複数の第1保持部材33、複数の第2保持部材34、及び複数のネジ35を備える。
【0036】
第1フレーム31は、枠形状を有する。第1フレーム31は、その中央部を含む領域に四角形の開口部31Aを有する。開口部31Aの面積は、ガラス基板40の面積よりも若干小さく設定される。第1フレーム31は、Y´方向における上側に、例えば6個の開口部31Bを有する。開口部31Bの平面形状は、例えば円である。第1フレーム31の開口部31Bは、駆動機構20によって、基板ホルダ30を保持及び固定する際に使用される。第1フレーム31は、Y´方向における上側に、例えば2個の開口部31Cを有する。第1フレーム31の開口部31Cは、基板ホルダ30を軽量化するためのものである。開口部31Cの平面形状は、例えば四角形である。第1フレーム31は、例えば金属で構成される。
【0037】
第2フレーム32は、枠形状を有する。第2フレーム32は、その中央部に四角形の開口部32Aを有する。開口部32Aの面積は、開口部31Aの面積と同じである。第2フレーム32は、例えば金属で構成される。
【0038】
第1フレーム31と第2フレーム32とは、開口部31Aと開口部32Aとが一致するようにして、重ね合わせられる。
【0039】
第1フレーム31の第2フレーム32と向き合う面には、第1フレーム31の開口部31Aの辺に沿うようにして、複数の第1保持部材33が設けられる。複数の第1保持部材33は、第1フレーム31に接着される。第2フレーム32の第1フレーム31と向き合う面には、第2フレーム32の開口部32Aの辺に沿うようにして、複数の第2保持部材34が設けられる。複数の第2保持部材34は、第2フレーム32に接着される。第1保持部材33及び第2保持部材34は、弾性を有する材料で構成され、例えばゴムで構成される。図3では、8個の第1保持部材33、及び8個の第2保持部材34を一例として示している。
【0040】
複数の第1保持部材33と複数の第2保持部材34とは、平面視において同じ位置に配置される。第1保持部材33と第2保持部材34とは、ガラス基板40を両側から挟むように構成される。
【0041】
複数のネジ35は、第1フレーム31及び第2フレーム32を所定の位置に固定するために設けられる。第1フレーム31及び第2フレーム32には、複数のネジ35が配置される領域に、内側に螺旋状の切り込み(ねじ山)が設けられた穴(ネジ穴)が形成される。ネジ35は、第1フレーム31及び第2フレーム32のネジ穴にねじ込まれる。図3では、8個のネジ35を一例として示している。
【0042】
このように構成された基板ホルダ30において、第1フレーム31及び第2フレーム32は、ガラス基板40の周縁部を複数の第1保持部材33と複数の第2保持部材34とが挟むようにして、ガラス基板40の端を固定する。また、ガラス基板40は、第1フレーム31の開口部31Aと第2フレーム32の開口部32Aとから露出される。
【0043】
図5は、駆動機構20の概略図である。エッチング装置1は、駆動機構20を備える。駆動機構20は、基板ホルダ30を保持及び固定する。駆動機構20は、処理槽14内の所定の位置に基板ホルダ30を配置する。また、駆動機構20は、制御装置19の制御に基づいて、基板ホルダ30を揺動する。駆動機構20は、基板ホルダ30をつり下げるための保持部と、当該保持部を用いて基板ホルダ30を揺動するための駆動部とを含む。
【0044】
[1-2] 製造方法
次に、ガラス基板40の製造方法について説明する。ガラス基板40の製造方法は、ガラス基板40に複数の貫通孔を形成する製造工程を含む。
【0045】
図6は、ガラス基板40の製造方法を説明するフローチャートである。
【0046】
まず、ガラス基板40を準備する。ガラス基板40の互いに対向する第1主面及び第2主面をそれぞれ、上面及び底面ともいう。ガラス基板40としては、様々な種類の材料を用いることが可能である。例えば、ガラス基板40は、無アルカリガラスで構成される。
【0047】
続いて、ガラス基板40の上面及び底面にそれぞれ、複数の貫通孔を形成する予定領域(貫通孔形成領域ともいう)以外を覆う第1レジスト層41及び第2レジスト層42を形成する(ステップS100)。図7は、エッチング前のガラス基板40の構成例を示す平面図である。図8は、図7示したB-B´線に沿ったガラス基板40の断面図である。
【0048】
ガラス基板40の上面及び底面にそれぞれ、第1レジスト層41及び第2レジスト層42を形成する。第1レジスト層41及び第2レジスト層42は、ガラス基板40のウェットエッチング工程において、非エッチング領域を覆うマスクとして用いられる。第1レジスト層41は、ガラス基板40のうち貫通孔形成領域を露出する複数の開口部43を有する。第2レジスト層42は、ガラス基板40のうち貫通孔形成領域を露出する複数の開口部44を有する。開口部43、44の平面形状は、例えば円、又は楕円である。複数の開口部43と複数の開口部44とは、平面視において同じ位置に配置される。
【0049】
図9は、エッチング前のガラス基板40の他の構成例を示す断面図である。ガラス基板40の貫通孔形成領域を、レーザを用いて改質してもよい。図9は、レーザを用いてガラス基板40を部分的に改質した様子を示している。図9に対応する平面図は、図7とおおよそ同じである。具体的には、改質領域の面積は、レジスト層の開口部の面積より小さい。
【0050】
ガラス基板40の複数の貫通孔形成領域にレーザを照射し、ガラス基板40を部分的に改質する。これにより、ガラス基板40には、複数の改質領域45が形成される。改質領域45は、ウェットエッチング工程において、エッチングが促進される。よって、改質領域45を利用して貫通孔を形成することができる。以下では、エッチング前のガラス基板40にレジスト層を形成する構成を例に挙げて説明するが、これに限定されず、レジスト層を用いずに、部分的に改質されたガラス基板40を用いてもよい。
【0051】
続いて、ガラス基板40を基板ホルダ30に固定する(ステップS101)。続いて、駆動機構20を用いて、ガラス基板40を垂直にした状態で、ガラス基板40を処理槽14内に搬送する(ステップS102)。
【0052】
続いて、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から連続してエッチング液を噴射する(ステップS103)。具体的には、ガラス基板40に両側から、並行して又は同時にエッチング液を噴射する。駆動機構20は、ガラス基板40をエッチングする工程において、ガラス基板40を垂直方向及び水平方向に揺動する。この揺動工程により、ガラス基板40に対してウェットエッチング工程をより均一に行うことが可能である。なお、ガラス基板40を揺動する工程は、省略してもよい。他の実施形態についても同様である。
【0053】
図10は、ガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。図10は、ガラス基板40に1個の貫通孔を形成する部分を抽出した断面図である。
【0054】
ガラス基板40のX方向両側にはそれぞれ、ガラス基板40から所定の距離を空けて複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16が配置される。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16はそれぞれ、ガラス基板40に向けてシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。エッチング液としては、ガラスを溶解することが可能な溶液が用いられ、フッ酸、又はフッ酸に強酸である塩酸、硫酸、及び硝酸の1つ以上を混合した溶液が用いられる。
【0055】
続いて、エッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104における所定時間は、ウェットエッチングによってガラス基板40が貫通する時間である。当該所定時間は、エッチング速度、ガラス基板40の材料、ガラス基板40の厚さ、エッチング液の成分、エッチング液の流量、及びエッチング液の圧力などの条件を考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、ガラス基板40が貫通する時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。
【0056】
図11は、図10に続くガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。エッチング時間が経過するにつれて、ガラス基板40のうち第1レジスト層41及び第2レジスト層42により露出された貫通孔形成領域は、ガラス基板40の両側でエッチングが進む。
【0057】
図12は、図11に続くガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。さらにエッチング時間が経過すると、ガラス基板40に貫通孔46が形成される。エッチング時間を長くするほど、貫通孔46の内面が滑らかになり、また貫通孔46の径がより均一になる。
【0058】
ステップS104において所定時間が経過した場合、制御装置19は、エッチング液の噴射を停止する(ステップS105)。具体的には、制御装置19は、ポンプ12を停止する。また、駆動機構20は、ガラス基板40の揺動を停止する。
【0059】
続いて、ガラス基板40を処理槽14から搬出する(ステップS106)。その後、ガラス基板40の洗浄工程が行われる。
【0060】
以上の製造方法により、複数の貫通孔46を有するガラス基板40が製造される。例えば、複数の貫通孔46を有するガラス基板40は、複数の半導体チップと基板とを電気的に接続する中継部材であるインターポーザとして利用可能である。
【0061】
[1-3] 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、ガラス基板40を垂直にした状態でエッチング工程を実施しているため、エッチング液がガラス基板40上に溜まるのを防ぐことができる。これにより、ガラス基板40に、より均一な貫通孔46を形成することができる。
【0062】
また、ガラス基板40を両側から均等にエッチングできる。これにより、ガラス基板40に良好な形状の貫通孔46を形成することができる。また、貫通孔46の形状ばらつきを抑制できる。
【0063】
また、ガラス基板40を両側からエッチングすることで、エッチング時間を短縮することができる。
【0064】
また、ガラス基板40を揺動しながらエッチング工程を実施している。これにより、ガラス基板40に、より均一な貫通孔46を形成することができる。
【0065】
[2] 第2実施形態
第2実施形態では、ガラス基板40を垂直にした状態で、ガラス基板40の両側から交互にエッチング液を噴射するようにしている。
【0066】
[2-1] エッチング装置1の構成
図13は、本発明の第2実施形態に係るエッチング装置1の模式図である。エッチング装置1は、2個のバルブ21、22をさらに備える。
【0067】
バルブ21、22は、流路の開状態と閉状態とを切り替える。バルブ21、22は、例えばエアオペレートバルブで構成される。バルブ21、22は、電磁弁など他の種類のバルブであってもよい。エアオペレートバルブは、圧縮空気(空気圧)によって弁体を開閉可能な自動弁である。エアオペレートバルブは、気体供給源(図示せず)から供給される圧縮空気により開閉が切り替えられる。
【0068】
供給流路11Cは、2つの流路に分岐される。供給流路11Cの分岐された一方の流路は、バルブ21の一端に接続され、バルブ21の他端は、供給流路11Dに接続される。供給流路11Cの分岐された他方の流路は、バルブ22の一端に接続され、バルブ22の他端は、供給流路11Eに接続される。供給流路11Dには、複数の第1ノズル15が接続される。供給流路11Eには、複数の第2ノズル16が接続される。
【0069】
制御装置19は、バルブ21、22の開閉動作を制御する。制御装置19は、バルブ21、22を交互に開状態に設定することが可能である。その他の構成は、図1と同じである。
【0070】
[2-2] 製造方法
次に、第2実施形態に係るガラス基板40の製造方法について説明する。図14は、ガラス基板40の製造方法を説明するフローチャートである。第2実施形態のステップS200~S202の工程は、第1実施形態のステップS100~S102の工程と同じである。
【0071】
続いて、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から連続してエッチング液を噴射する(ステップS203)。具体的には、ガラス基板40に両側から、並行して又は同時にエッチング液を噴射する。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16はそれぞれ、ガラス基板40に向けてシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。
【0072】
駆動機構20は、ガラス基板40をエッチングする工程において、ガラス基板40を垂直方向及び水平方向に揺動する。この揺動工程により、ガラス基板40に対してウェットエッチング工程をより均一に行うことが可能である。
【0073】
続いて、ステップS203のエッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。ステップS204における所定時間は、ウェットエッチングによってガラス基板40が貫通する時間である。当該所定時間は、エッチング速度、ガラス基板40の材料、ガラス基板40の厚さ、エッチング液の成分、エッチング液の流量、及びエッチング液の圧力などの条件を考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、ガラス基板40が貫通する時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。
【0074】
図15は、ガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。エッチング時間が所定時間を経過すると、ガラス基板40に貫通孔46が形成される。
【0075】
ステップS204において所定時間が経過した後、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から交互にエッチング液を噴射する(ステップS205)。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16は、ガラス基板40に向けて交互にシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。具体的には、制御装置19は、バルブ21、22の開閉動作を制御する。制御装置19は、バルブ21とバルブ22とを交互に開状態に設定する。バルブ21が開状態の時、複数の第1ノズル15がオン状態であり、複数の第1ノズル15は、エッチング液を噴射する。バルブ22が開状態の時、複数の第2ノズル16がオン状態であり、複数の第2ノズル16は、エッチング液を噴射する。複数の第1ノズル15がオン状態の時は、複数の第2ノズル16がオフ状態であり、複数の第2ノズル16がオン状態の時は、複数の第1ノズル15がオフ状態である。
【0076】
図16及び図17は、ガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。図16に示すように、制御装置19は、バルブ21を開状態に設定し、バルブ22を閉状態に設定する。第1ノズル15は、エッチング液を噴射し(図16のシャワーオン)、第2ノズル16は、エッチング液の噴射を停止する(図16のシャワーオフ)。これにより、図16の左側からのみガラス基板40にエッチング液が噴射される。
【0077】
図17に示すように、制御装置19は、バルブ21を閉状態に設定し、バルブ22を開状態に設定する。第1ノズル15は、エッチング液の噴射を停止し(図17のシャワーオフ)、第2ノズル16は、エッチング液を噴射する(図17のシャワーオン)。これにより、図17の右側からのみガラス基板40にエッチング液が噴射される。
【0078】
複数の第1ノズル15と複数の第2ノズル16とを交互に切り替える時間は、エッチング速度に応じて適宜設定される。なお、第1ノズル15と第2ノズル16との切り替えタイミングは、同時でなくてもよく、所定の間隔を空けてもよい。
【0079】
ここで、第1ノズル15と第2ノズル16とを同時に噴射させると、貫通孔46の中央部において第1ノズル15と第2ノズル16とのシャワーがぶつかり合い、貫通孔46内において、ガラス基板40の厚さ方向のシャワー圧力が低下する。本実施形態のように第1ノズル15と第2ノズル16との交互の噴射により、貫通孔46内において、ガラス基板40の厚さ方向のシャワー圧力が低下するのを抑制できる。また、貫通孔46の中央部(貫通孔46のうち径が小さい凸部)に、シャワー圧力が交互に印加される。これにより、貫通孔46の両側からより均等にエッチングが行われる。結果として、貫通孔46の径をより均一にすることができる。特に、貫通孔46の中央部の径が、貫通孔46の端部の径に比べて小さくなるのを抑制できる。
【0080】
続いて、ステップS205のエッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206における所定時間は、貫通孔46の中央部の凸部がエッチングされる時間であり、想定する凸部の幅とエッチング条件とを考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、凸部がエッチングされる時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。当該所定時間を長くするほど、貫通孔46の中央部の凸部のエッチング量が増え、貫通孔46の径がより均一になる。
【0081】
ステップS206において所定時間が経過した場合、制御装置19は、エッチング液の噴射を停止する(ステップS207)。具体的には、制御装置19は、ポンプ12を停止する。また、駆動機構20は、ガラス基板40の揺動を停止する。
【0082】
続いて、ガラス基板40を処理槽14から搬出する(ステップS208)。その後、ガラス基板40の洗浄工程が行われる。
【0083】
[2-3] 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、ガラス基板40に貫通孔46が形成された後、ガラス基板40の両側から交互にエッチング液を噴射している。これにより、貫通孔46の中央部において、エッチング液のシャワー圧力が低下するのを抑制することができる。よって、ガラス基板40の貫通孔46をより均一に形成できる。また、貫通孔46の径をより均一にすることができる。
【0084】
また、貫通孔46をより均一に形成しつつ、エッチング時間を短縮できる。その他の効果は、第1実施形態と同じである。
【0085】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、ガラス基板40を複数のチップに個片化する製造方法に関する。第3実施形態では、ガラス基板40を垂直にした状態で、ガラス基板40の両側から連続してエッチング液を噴射するようにしている。
【0086】
[3-1] ガラス基板40の構成
まず、エッチング前のガラス基板40の構成について説明する。図18は、エッチング前のガラス基板40の構成例を示す平面図である。図19は、図18示したC-C´線に沿ったガラス基板40の断面図である。
【0087】
ガラス基板40の上面及び底面にはそれぞれ、複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48が設けられる。複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48は、ガラス基板40のウェットエッチング工程において、非エッチング領域を覆うマスクとして用いられる。第3レジスト層47の平面形状は、例えば四角形である。複数の第3レジスト層47は、例えば、マトリクス状に配置される。図18では、30(=5×6)個の第3レジスト層47を一例として示している。換言すると、複数の第3レジスト層47は、格子状のスリットによって分割される。複数の第4レジスト層48の構成は、複数の第3レジスト層47の構成と同じである。複数の第3レジスト層47と複数の第4レジスト層48とは、平面視において同じ位置に配置される。
【0088】
複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48が形成された複数の領域は、ガラス基板40を個片化する単位である。複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48は、個片化される複数のチップを両側から覆うように形成される。ガラス基板40のうち複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48で覆われた複数の領域には、複数の素子、複数の配線、及び複数の回路などが形成されていてもよい。後述するエッチング工程によって、ガラス基板40のうち複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48から露出部分がエッチングされて、ガラス基板40が複数のチップに分割される。
【0089】
図20は、エッチング前のガラス基板40の他の構成例を示す平面図である。図21は、図20示したC-C´線に沿ったガラス基板40の断面図である。
【0090】
ガラス基板40の切断領域を、レーザを用いて改質してもよい。図20及び図21は、レーザを用いてガラス基板40を部分的に改質した様子を示している。ガラス基板40を個片化する領域にレーザを照射し、ガラス基板40を部分的に改質する。これにより、ガラス基板40には、格子状の改質領域49が形成される。改質領域49で囲まれた複数の四角形の領域は、個片化される複数のチップを構成する。改質領域49は、ウェットエッチング工程において、エッチングが促進される。
【0091】
本実施形態では、エッチング前のガラス基板40にレジスト層を形成する構成(図18及び図19)を例に挙げて説明するが、これに限定されず、レジスト層を用いずに、部分的に改質されたガラス基板40を用いてもよい。
【0092】
[3-2] 基板ホルダ30の構成
次に、ガラス基板40を保持する基板ホルダ30の構成について説明する。図22は、基板ホルダ30の平面図である。図23は、図22に示したD-D´線に沿った基板ホルダ30の断面図である。
【0093】
基板ホルダ30は、第1フレーム31、第2フレーム32、複数の第1保持部材33、複数の第2保持部材34、及び複数のネジ35を備える。これらの構成は、第1実施形態と同じである。
【0094】
基板ホルダ30は、複数の吸着部50、複数の棒60、及び複数の棒固定部70をさらに備える。なお、図22及び図23では、吸着部50を外形のみで簡略化して示しており、棒固定部70を四角で簡略化して示している。吸着部50及び棒固定部70の具体的な構成については後述する。
【0095】
ガラス基板40の一方の面(具体的には、複数の第3レジスト層47上)には、複数のチップに対応する数の複数の吸着部50が設けられる。ガラス基板40の他方の面(具体的には、複数の第4レジスト層48上)には、複数のチップに対応する数の複数の吸着部50が設けられる。すなわち、2個の吸着部50は、ガラス基板40の1個のチップに対応して設けられる。吸着部50は、磁石を含むように構成される。2個の吸着部50は、1個のチップを両側から挟むように配置される。2個の吸着部50は、1個のチップに吸着する。
【0096】
1行分の複数の吸着部50は、X´方向に延びる1本の棒60に固定される。一列分の複数の吸着部50は、Y´方向に延びる1本の棒60に固定される。棒60は、例えば金属で構成される。X´方向に延びる複数の棒60と、Y´方向に延びる複数の棒60とは、高さ方向の位置が異なるように配置される。
【0097】
複数の棒固定部70は、第1フレーム31及び第2フレーム32にそれぞれ設けられ、複数の棒60を第1フレーム31及び第2フレーム32に固定する機能を有する。2個の棒固定部70は、1本の棒60に対応して設けられる。2個の棒固定部70は、1本の棒60の両端に配置され、当該棒60を両端で固定する。
【0098】
図24は、1個の吸着部50の平面図である。図25は、図24のE-E´線に沿った吸着部50の断面図である。吸着部50は、ボディ部材51、磁石52、封止部材53、ボディ部材54、及びネジ55、56を備える。
【0099】
ボディ部材51は、磁石52を収容する機能を有する。ボディ部材51の平面形状は、例えば円である。ボディ部材51は、円形の底部と、円筒状の側部とで構成される。ボディ部材51は、吸着するガラス基板40に傷が付かない材料で構成することが望ましい。ボディ部材51は、例えば樹脂で構成され、PVC(polyvinyl chloride)などで構成される。
【0100】
磁石52は、ボディ部材51に収容される。磁石52の平面形状は、例えば円である。磁石52は、例えば、ネオジム磁石(ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、及びホウ素(B)を主成分とする希土類磁石)で構成される。
【0101】
封止部材53は、ボディ部材51の内部に磁石52を封止する機能を有する。封止部材53は、ボディ部材51の内面に接する。封止部材53は、例えば樹脂で構成され、PVCなどで構成される。
【0102】
ボディ部材54は、封止部材53上に設けられ、封止部材53に接着される。ボディ部材54は、交差する2本の棒60に固定される。ボディ部材54の平面形状は、例えば円である。ボディ部材54は、交差する2本の棒60が貫通する貫通孔を有する。交差する2本の棒60は、ボディ部材54の2個に貫通孔を通るように配置される。
【0103】
ボディ部材54は、交差する2本の棒60に達する2個のねじ穴を有する。ボディ部材54の2個のねじ穴にはそれぞれ、ネジ55、56が埋め込まれる。ネジ55は、棒60に接触する長さを有し、その先端は、棒60に接する。ネジ55は、X´方向に延びる棒60とボディ部材54とを固定する。ネジ56は、Y´方向に延びる棒60とボディ部材54とを固定する。ネジ55、56は、例えば樹脂ネジで構成され、PEEK(polyether ether ketone)などで構成される。
【0104】
図26は、1個の棒固定部70の平面図である。図27は、図26のF-F´線に沿った棒固定部70の断面図である。棒固定部70は、例えば、ネジで構成される。ネジ70は、例えば樹脂ネジで構成され、PEEKなどで構成される。
【0105】
第2フレーム32は、複数の開口部32Bを有する。開口部32Bの径は、棒60の径より若干大きく設定される。開口部32Bには、棒60が挿入される。第2フレーム32は、ねじ穴を有する。第2フレーム32のねじ穴には、ネジ70が埋め込まれる。ネジ70は、棒60に接触する長さを有し、その先端は、棒60に接する。ネジ70は、棒60と第2フレーム32とを固定する。ネジ70は、例えば樹脂ネジで構成され、PEEKなどで構成される。第1フレーム31にも同様に、棒固定部70としてのネジが設けられる。
【0106】
このように構成された基板ホルダ30は、ガラス基板40を端部で保持することが可能である。また、基板ホルダ30は、複数のチップの各々を2個の吸着部50を用いて保持することが可能である。
【0107】
[3-3] 製造方法
次に、ガラス基板40の製造方法について説明する。ガラス基板40の製造方法は、ガラス基板40を複数のチップに個片化する製造工程を含む。エッチング装置1の構成は、図1と同じである。図28は、ガラス基板40の製造方法を説明するフローチャートである。
【0108】
まず、ガラス基板40を準備する。ガラス基板40としては、様々な種類の材料を用いることが可能である。例えば、ガラス基板40は、無アルカリガラスで構成される。
【0109】
続いて、ガラス基板40の上面及び底面にそれぞれ、複数のチップを形成する予定領域(チップ形成領域)を覆う複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48を形成する(ステップS300)。ガラス基板40、複数の第3レジスト層47、及び複数の第4レジスト層48の構成は、図18及び図19の通りである。なお、前述したように、レジスト層に代えて、ガラス基板40の切断ラインをレーザにより改質してもよい。
【0110】
続いて、ガラス基板40を基板ホルダ30に固定する(ステップS301)。ガラス基板40を基板ホルダ30に固定した状態は、図22及び図23の通りである。
【0111】
続いて、駆動機構20を用いて、ガラス基板40を垂直にした状態で、ガラス基板40を処理槽14内に搬送する(ステップS302)。
【0112】
続いて、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から連続してエッチング液を噴射する(ステップS303)。具体的には、ガラス基板40に両側から、並行して又は同時にエッチング液を噴射する。駆動機構20は、ガラス基板40をエッチングする工程において、ガラス基板40を垂直方向及び水平方向に揺動する。この揺動工程により、ガラス基板40に対してウェットエッチング工程をより均一に行うことが可能である。
【0113】
図29は、ガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。ガラス基板40のX方向両側にはそれぞれ、ガラス基板40から所定の距離を空けて複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16が配置される。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16はそれぞれ、ガラス基板40に向けてシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。
【0114】
続いて、エッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS304)。ステップS304における所定時間は、ウェットエッチングによってガラス基板40の露出部分が分断される時間である。当該所定時間は、エッチング速度、ガラス基板40の材料、ガラス基板40の厚さ、エッチング液の成分、エッチング液の流量、及びエッチング液の圧力などの条件を考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、ガラス基板40が貫通する時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。
【0115】
図30は、図29に続くガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。エッチング時間が経過するにつれて、ガラス基板40のうち複数の第3レジスト層47及び複数の第4レジスト層48により露出されたダイシングラインは、ガラス基板40の両側でエッチングが進む。さらにエッチング時間が経過すると、ガラス基板40がダイシングライン(切断領域ともいう)40Bで分断され、ガラス基板40が複数のチップ40Aに個片化される。エッチング時間を長くするほど、チップ40Aの側面が平坦になる。
【0116】
この時、各チップ40Aは、2個の吸着部50に挟まれるようにして、当該2個の吸着部50に吸着されている。よって、ガラス基板40が複数のチップ40Aに個片化された後でも、各チップ40Aが基板ホルダ30から落下するのを防ぐことができる。
【0117】
ステップS304において所定時間が経過した場合、制御装置19は、エッチング液の噴射を停止する(ステップS305)。具体的には、制御装置19は、ポンプ12を停止する。また、駆動機構20は、基板ホルダ30の揺動を停止する。
【0118】
続いて、複数のチップ40Aを処理槽14から搬出する(ステップS306)。その後、複数のチップ40Aの洗浄工程が行われる。
【0119】
以上の製造方法により、ガラス基板40を複数のチップ40Aに個片化することが可能である。
【0120】
[3-4] 第3実施形態の効果
第3実施形態によれば、ガラス基板40を垂直にした状態でエッチング工程を実施しているため、エッチング液がガラス基板40上に溜まるのを防ぐことができる。これにより、ガラス基板40を、所望の形状の複数のチップ40Aに個片化することができる。
【0121】
また、ガラス基板40を両側から均等にエッチングできる。これにより、良好な形状の複数のチップ40Aを形成することができる。また、複数のチップ40Aの形状ばらつきを抑制できる。
【0122】
また、ガラス基板40を両側からエッチングすることで、エッチング時間を短縮することができる。
【0123】
また、ガラス基板40を揺動しながらエッチング工程を実施している。これにより、良好な形状の複数のチップ40Aを形成することができる。
【0124】
[4] 第4実施形態
第4実施形態は、ガラス基板40を複数のチップに個片化する製造方法に関する。第4実施形態では、ガラス基板40を垂直に配置した状態で、ガラス基板40の両側から交互にエッチング液を噴射するようにしている。
【0125】
[4-1] 製造方法
本実施形態に係るガラス基板40の製造方法について説明する。エッチング装置1の構成は、図13と同じである。ガラス基板40、及び基板ホルダ30の構成は、第3実施形態と同じである。
【0126】
図31は、ガラス基板40の製造方法を説明するフローチャートである。第4実施形態のステップS400~S402の工程は、第3実施形態のステップS300~S302の工程と同じである。
【0127】
続いて、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から連続してエッチング液を噴射する(ステップS403)。具体的には、ガラス基板40に両側から、並行して又は同時にエッチング液を噴射する。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16はそれぞれ、ガラス基板40に向けてシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。
【0128】
駆動機構20は、ガラス基板40をエッチングする工程において、ガラス基板40を垂直方向及び水平方向に揺動する。この揺動工程により、ガラス基板40に対してウェットエッチング工程をより均一に行うことが可能である。
【0129】
続いて、エッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404における所定時間は、ウェットエッチングによってガラス基板40の露出部分が分断される時間である。当該所定時間は、エッチング速度、ガラス基板40の材料、ガラス基板40の厚さ、エッチング液の成分、エッチング液の流量、及びエッチング液の圧力などの条件を考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、ガラス基板40が貫通する時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。
【0130】
ステップS404において所定時間が経過した後、駆動機構20によりガラス基板40を揺動しながら、ガラス基板40に両側から交互にエッチング液を噴射する(ステップS405)。複数の第1ノズル15及び複数の第2ノズル16は、ガラス基板40に向けて交互にシャワー状にエッチング液を噴射する。第1ノズル15と第2ノズル16との流量及び圧力は同じに設定される。具体的には、制御装置19は、バルブ21、22の開閉動作を制御する。制御装置19は、バルブ21とバルブ22とを交互に開状態に設定する。
【0131】
図32及び図33は、ガラス基板40のエッチング工程を説明する図である。図32に示すように、制御装置19は、バルブ21を開状態に設定し、バルブ22を閉状態に設定する。第1ノズル15は、エッチング液を噴射し(図32のシャワーオン)、第2ノズル16は、エッチング液の噴射を停止する(図32のシャワーオフ)。これにより、図32の左側からのみガラス基板40にエッチング液が噴射される。
【0132】
図33に示すように、制御装置19は、バルブ21を閉状態に設定し、バルブ22を開状態に設定する。第1ノズル15は、エッチング液の噴射を停止し(図33のシャワーオフ)、第2ノズル16は、エッチング液を噴射する(図33のシャワーオン)。これにより、図33の右側からのみガラス基板40にエッチング液が噴射される。
【0133】
複数の第1ノズル15と複数の第2ノズル16とを交互に切り替える時間は、エッチング速度に応じて適宜設定される。なお、第1ノズル15と第2ノズル16との切り替えタイミングは、同時でなくてもよく、所定の間隔を空けてもよい。第1ノズル15と第2ノズル16との交互の噴射により、ダイシングライン40Bにおいて、チップ40Aの厚さ方向のシャワー圧力が低下するのを抑制できる。これにより、ダイシングライン40Bの両側からより均等にエッチングが行われる。結果として、チップ40Aの側面をより平坦化することができる。
【0134】
続いて、ステップS405のエッチング液の噴射を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS406)。ステップS406における所定時間は、チップ40Aの側面に形成された凸部がエッチングされる時間であり、想定する凸部の幅とエッチング条件とを考慮して算出される。上記各種条件を考慮して、凸部がエッチングされる時間が実験等によって予め算出され、この算出された時間が当該所定時間として設定される。当該所定時間を長くするほど、チップ40Aの側面の凸部のエッチング量が増え、チップ40Aの側面が平坦化される。
【0135】
ステップS406において所定時間が経過した場合、制御装置19は、エッチング液の噴射を停止する(ステップS407)。具体的には、制御装置19は、ポンプ12を停止する。また、駆動機構20は、基板ホルダ30の揺動を停止する。
【0136】
続いて、複数のチップ40Aを処理槽14から搬出する(ステップS408)。その後、複数のチップ40Aの洗浄工程が行われる。
【0137】
[4-2] 第4実施形態の効果
第4実施形態によれば、ガラス基板40が複数のチップ40Aに分断された後、ガラス基板40の両側から交互にエッチング液を噴射している。これにより、チップ40Aの側面の中央部において、エッチング液のシャワー圧力が低下するのを抑制することができる。よって、チップ40Aの側面をより平坦化できる。
【0138】
また、チップ40Aの側面をより平坦化しつつ、ガラス基板40を複数のチップ40Aに個片化するためのエッチング時間を短縮できる。その他の効果は、第3実施形態と同じである。
【0139】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0140】
1…エッチング装置、10…循環タンク、11A~11E…供給流路、12…ポンプ、13…フィルタ、14…処理槽、15…第1ノズル、16…第2ノズル、17A,17B…吐出流路、18…バルブ、19…制御装置、20…駆動機構、21,22…バルブ、30…基板ホルダ、31…第1フレーム、31A~31C…開口部、32…第2フレーム、32A…開口部、32B…開口部、33…第1保持部材、34…第2保持部材、35…ネジ、40…ガラス基板、40A…チップ、40B…ダイシングライン、41…第1レジスト層、42…第2レジスト層、43…開口部、44…開口部、45…改質領域、46…貫通孔、47…第3レジスト層、48…第4レジスト層、49…改質領域、50…吸着部、51…ボディ部材、52…磁石、53…封止部材、54…ボディ部材、55,56…ネジ、56…ネジ、60…棒、70…棒固定部。
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