(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165813
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】断面画像生成装置、断面画像生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241121BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06T7/00 C
G06T1/00 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082326
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 結衣
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋央
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博幸
(72)【発明者】
【氏名】桑原 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊一
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057CA13
5B057CB13
5B057CC03
5B057DA16
5B057DB03
5L096AA09
5L096CA05
5L096DA01
5L096GA38
5L096HA02
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】物品の断面画像を適切に生成する。
【解決手段】複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、物品のそれぞれの層毎に取得する3次元データ取得部と、3次元層データに基づいて、層の内部構造の画像データである内部構造データを生成する内部構造生成部と、それぞれの層の3次元層データを積み重ねて、物品の3次元画像データである3次元物品データを生成する3次元画像生成部と、3次元物品データの断面位置を指定する断面指定部と、それぞれの層について、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における層の断面画像データを生成して、指定された断面位置における3次元物品データの断面画像を生成する断面画像生成部と、断面画像を出力する出力制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得する3次元データ取得部と、
前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成する内部構造生成部と、
それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成する3次元画像生成部と、
前記3次元物品データの断面位置を指定する断面指定部と、
それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成する断面画像生成部と、
前記断面画像を出力する出力制御部と、
を備える、
断面画像生成装置。
【請求項2】
前記内部構造生成部は、前記3次元層データが示す前記層の外周面の色に基づいて、その層の内部構造の色を設定する、
請求項1に記載の断面画像生成装置。
【請求項3】
前記内部構造生成部は、
前記3次元層データに基づいて、その層の種類を特定し、
特定した種類に対応した層であり、かつ層の内部構造の画像が設定されている参照層データを取得し、
前記参照層データに基づいて、前記内部構造データを生成する、
請求項1又は請求項2に記載の断面画像生成装置。
【請求項4】
複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得するステップと、
前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、
それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成するステップと、
前記3次元物品データの断面位置を指定するステップと、
それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成するステップと、
前記断面画像を出力するステップと、
を含む、
断面画像生成方法。
【請求項5】
複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得するステップと、
前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、
それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成するステップと、
前記3次元物品データの断面位置を指定するステップと、
それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成するステップと、
前記断面画像を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面画像生成装置、断面画像生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、試料を一定の方向に押し出し切断し、切断面の2次元画像を撮像して、2次元画像から試料の3次元内部構造を演算しカラーラピッドプロトタイピング装置を用いて立体カラー模型を製作する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、試料を実際に切断することで、立体カラー模型を製作している。しかしながら、物品の断面を知りたい場合に、その物品を実際に切断することが難しいケースがある。そのため、断面が未知の物品の断面画像を適切に生成することが求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑み、物品の断面画像を適切に生成可能な断面画像生成装置、断面画像生成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る断面画像生成装置は、複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得する3次元データ取得部と、
前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成する内部構造生成部と、それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成する3次元画像生成部と、前記3次元物品データの断面位置を指定する断面指定部と、それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成する断面画像生成部と、前記断面画像を出力する出力制御部と、を備える。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る断面画像生成方法は、複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得するステップと、前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成するステップと、前記3次元物品データの断面位置を指定するステップと、それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成するステップと、前記断面画像を出力するステップと、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、複数の層が重なって構成される物品のそれぞれの前記層の外周面の3次元画像データである3次元層データを、前記物品のそれぞれの前記層毎に取得するステップと、前記3次元層データに基づいて、前記層の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、それぞれの前記層の3次元層データを積み重ねて、前記物品の3次元画像データである3次元物品データを生成するステップと、前記3次元物品データの断面位置を指定するステップと、それぞれの層について、前記内部構造データに基づいて、指定された前記断面位置における前記層の断面画像データを生成して、指定された前記断面位置における前記3次元物品データの断面画像を生成するステップと、前記断面画像を出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品の断面画像を適切に生成することできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る断面画像生成システムの構成例を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る断面画像生成装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る3次元物品データの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る断面画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
<断面画像生成システム>
図1は、本実施形態に係る断面画像生成システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、断面画像生成システム1は、撮像装置10と、断面画像生成装置20とを含む。
【0013】
断面画像生成システム1は、撮像装置10で物品100(
図3参照)を撮像し、撮像した撮像データを断面画像生成装置20に送り、断面画像生成装置20で撮像データの処理を行い、断面画像Sを生成して出力するシステムである。
【0014】
(物品)
図2は、物品の一例を示す説明図である。ここで、物品100は、層を有するものである。
図2に示すように、物品100は、複数の層101を有する物品であることが好ましい。物品100は、複数の層101が積み重なって構成される。物品100は、例えば、食べ物や工芸品であることが好ましい。例えば、ケーキ等の菓子、漆塗りが施された食器類等が挙げられる。
【0015】
図2は、物品100がケーキ(ホールケーキ)である場合を例にしている。
図2の例では、層101として、層102、104、106が含まれている。層102は最下層であり、層106は、最上層であり、層104は、層102と層106との間に設けられる中間層である。すなわち、物品100は、層102、104、106の順で積み重なって構成される。なお、
図2の例では、層102がケーキの土台となる層であり、層104は、スポンジと果物で構成される層であり、層106が、ケーキの上面に配置された果物の層である。
【0016】
<撮像装置>
図1に戻り、撮像装置10について説明する。撮像装置10は、物品100の製作過程をリアルタイムで撮像する装置である。すなわち、物品100は、複数の層101を積み上げて製作されるので、撮像装置10は、層101が積み上げられる毎の物品100を撮像する。言い換えれば、撮像装置10は、物品100を構成する各層101を撮像する。
図2の例では、撮像装置10は、層102のみが配置された状態の物品100と、層102上に層104が積み重ねられた状態の物品100と、層102上に積み重ねられた層104上に、更に層106が積み重ねられた完成状態の物品100とを、それぞれ撮像する。撮像装置10は、複数のカメラ12、カメラ14、カメラ16・・・を備える。撮像装置10は、複数のカメラ12,14,16・・・が物品100とその製作過程を撮像できる位置にそれぞれのカメラが離れて配置される。撮像装置10は、複数のカメラ12,14,16・・・で物品100を撮像する。撮像装置10は、任意のフレームレートで撮像してよいが、撮像装置10は、物品100の製作開始時から製作終了時、つまり、物品100が完成した時まで撮像することが好ましい。撮像装置10は、撮像した撮像データを断面画像生成装置20に送る。なお、撮像装置10は、3台以上のカメラに限定されず、2台以上のカメラを備えるものであってよいし、1台のカメラを有するものであってもよい。
【0017】
<断面画像生成装置>
断面画像生成装置20は、例えばPC(Personal Computer)やタブレット端末などの情報端末である。断面画像生成装置20は、入力部22と、出力部24と、記憶部26と、通信部28と、制御部30とを備える。
【0018】
入力部22は、各種の情報の入力を受付ける。入力部22は、例えば、キーボードやマウスにより実現されて、ユーザから入力された各種の情報を受付けてよい。また、入力部22は、タッチパネルであってよく、表示面(例えば出力部24)を介してユーザから入力された情報を受付けてよい。入力部22は、マイクを備え、ユーザが発話することで、発話内容を受付けてもよい。
【0019】
出力部24は、画像を出力するディスプレイである。出力部24は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Luiquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)などを含むディスプレイである。出力部24は、出力制御部42からの情報を出力する。
【0020】
記憶部26は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つを含む。記憶部26が保存する制御部30用のプログラムは、断面画像生成装置20が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。記憶部26は、撮像装置10が撮像した撮像データや物品100の3次元画像データ等を記憶する。
【0021】
通信部28は、撮像装置10やサーバ装置などの外部の装置と相互に通信可能に接続し、外部の装置と情報を送受信する。通信部28は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LANカード、アンテナ等によって実現されてよい。通信部28は、ネットワークと有線又は無線で接続され、例えば、外部の装置との間で相互に情報の送受信を行う。
【0022】
制御部30は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部30は、入力データ取得部32と、3次元層データ取得部34と、内部構造生成部35と、3次元画像生成部36と、断面指定部38と、断面画像生成部40と、出力制御部42とを含む。制御部30は、記憶部26からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、入力データ取得部32と、3次元層データ取得部34と、内部構造生成部35と、3次元画像生成部36と、断面指定部38と、断面画像生成部40と、出力制御部42とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、入力データ取得部32と、3次元層データ取得部34と、内部構造生成部35と、3次元画像生成部36と、断面指定部38と、断面画像生成部40と、出力制御部42との少なくとも一部を、ハードウェアで実現してもよい。
【0023】
入力データ取得部32は、入力部22に入力されたデータを取得する。
【0024】
3次元層データ取得部34は、物品100のそれぞれの層101の外周面の3次元画像データである3次元層データを取得する。3次元層データ取得部34の詳細については、後述する。
【0025】
内部構造生成部35は、3次元層データに基づいて、その層の内部構造の画像データである内部構造データを生成する。内部構造生成部35の詳細については、後述する。
【0026】
3次元画像生成部36は、3次元層データを積み重ねて、物品100の3次元画像データである3次元物品データ100Sを生成する。3次元画像生成部36の詳細については、後述する。
【0027】
断面指定部38は、生成した3次元画像の断面を指定する。断面指定部38の詳細については、後述する。
【0028】
断面画像生成部40は、それぞれの層101について、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における層の断面画像データを生成することで、指定された断面における3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成する。断面画像生成部40の詳細については、後述する。
【0029】
出力制御部42は、断面画像Sを出力する。出力制御部42の詳細については、後述する。
【0030】
<処理フロー>
次に、本実施形態に係る断面画像生成装置20の処理を説明する。
図3は、本実施形態に係る断面画像生成装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図4は、本実施形態に係る3次元物品データの一例を示す説明図である。
図5は、本実施形態に係る断面画像の一例を示す図である。
【0031】
(3次元層データの取得)
図3に示すように、3次元層データ取得部34は、層101の外周面の3次元画像データである3次元層データを取得する(ステップS10)。3次元層データとは、層101の外周面の3次元画像データである。すなわち、3次元層データは、層101の実際の外周面の形状を反映した画像であるが、層101の実際の内部構造を反映したデータではない。本実施形態では、3次元層データ取得部34は、撮像装置10が撮像した層101の撮像データを取得して、層101の撮像データに基づいて、その層101の3次元層データを生成する。例えば、3次元層データ取得部34は、撮像装置10の複数のカメラが異なるアングルで撮像した同じ層101の撮像データから、その層101の3次元層データを生成する。例えば、3次元層データ取得部34は、ボリュメトリック技術により、層101の複数の撮像データから、その層101の3次元層データを生成してよい。
【0032】
3次元層データ取得部34は、物品100を構成する層101毎に、3次元層データを取得する。例えば、
図2の例では、3次元層データ取得部34は、層102の3次元層データと、層104の3次元層データと、層106の3次元層データとを取得する。
【0033】
(内部構造データの生成)
図3に示すように、内部構造生成部35は、3次元層データに基づいて、その層101の内部構造データを生成する(ステップS11)。内部構造データとは、層101の内部構造の画像データであり、層101の内部構造の色と形状との少なくとも一方を含む画像データであってよい。内部構造生成部35は、層101の内部の各位置における内部構造の画像データを、内部構造データとして生成してよい。ただしそれに限られず、内部構造生成部35は、層101の内部の一部の位置における内部構造の画像データを、内部構造データとして生成してよい。すなわち例えば、内部構造生成部35は、後述のように指定される断面位置における内部構造の画像データのみを、内部構造データとして生成してもよい。この場合例えば、指定される断面位置の候補が予め設定されており、内部構造生成部35は、候補とされた断面位置における内部構造の画像データを、内部構造データとして生成してよい。
【0034】
内部構造生成部35は、内部構造データの生成対象となる層101の3次元層データに基づいて、その層101の内部構造データを生成する。3次元層データに基づいた内部構造データの生成方法は任意であってよいが、以下でその例を説明する。
【0035】
(内部構造データの生成例)
例えば、内部構造生成部35は、層101の3次元層データにおいて設定された層101の外周面の色に基づいて、その層101の内部構造の色を設定して、内部構造の色を含むデータを、内部構造データとして生成してよい。この場合、内部構造生成部35は、3次元層データで示された外周面の各位置における色に基づいて、その層101の内部構造の色を設定することが好ましい。例えば、内部構造生成部35は、外周面の各位置における色に対して平均化された色(中間色)を、内部構造の色に設定してよい。具体的には、内部構造生成部35は、外周面の各位置における色が、赤、緑、青の各階調値の組み合わせで設定されている場合、外周面の各位置におけるそれらの各階調値の平均値を算出して、各階調値の平均値を、内部構造の色に設定してよい。なお、このように層101の3次元層データに基づいて、内部構造の色を設定する場合には、内部構造生成部35は、内部構造の形状については任意に設定してよい。例えば、内部構造生成部35は、内部構造の形状を一様な形状に設定してよい。
【0036】
また例えば、内部構造生成部35は、対象となる層101の3次元層データと、参照となる層の画像データである参照層データとに基づいて、対象となる層101の内部構造データを生成してよい。この場合、内部構造生成部35は、層101の3次元層データ(外周面の画像データ)に基づいて、その層101の種類を特定する。そして、内部構造生成部35は、その層101の種類(特定した種類)に対応する種類の層である参照層の画像データを、参照層データとして取得する。ここでの参照層データは、参照層の3次元画像データであり、参照層の内部構造の画像データを含む。内部構造生成部35は、取得した参照層データに基づいて、言い換えれば参照層データに含まれる参照層の内部構造の画像データに基づいて、対象となる層101の内部構造データを生成する。内部構造生成部35は、参照層の内部構造の画像データを、対象となる層101の内部構造データとして用いることが好ましい。
【0037】
なお、内部構造生成部35は、層101の3次元層データに基づいた任意の方法で、層101の種類を特定してよく、任意の方法で参照層データを取得してよい。例えば、内部構造生成部35は、層101の3次元層データに対して画像解析を実行して、層101の種類を特定してもよい。また例えば、記憶部26に、参照層の種類と、その参照層の参照層データとが対応付けて記憶されており、内部構造生成部35は、特定した層101の種類と対応する種類(例えば同じ種類)の参照層データを、記憶部26から読み出してよい。層106を例にすると、内部構造生成部35は、層106の3次元層データを画像解析して、層106の種類が果物(イチゴ)である旨を特定する。内部構造生成部35は、記憶部26から、種類がイチゴである参照層データを読み出して、読み出したイチゴの参照層データに含まれる内部構造の画像データを、対象となる層106の内部構造データとして用いる。
【0038】
また、例えば、内部構造生成部35は、層101の3次元層データに基づき、機械学習したAI(Artificial Inteligence)モデルにより、層101の内部構造データを生成してもよい。内部構造生成部35は、例えば、3次元層データ(すなわち外周面の画像データ)と、内部構造データ(すなわち内部構造の画像データ)との対応関係を機械学習したAI(Artificial Inteligence)モデルを用いて、内部構造データを生成してもよい。この場合、3次元層データと、その層の内部構造データとのデータセットを教師データとして、予めAIモデルに学習させておく。そして、内部構造生成部35は、内部構造が未知である層101の3次元層データを学習済みのAIモデルに入力して、AIモデルから出力された、内部構造データを取得する。
【0039】
(3次元画像の生成)
図3に示すように、3次元画像生成部36は、層101毎の3次元層データに基づき、物品100の3次元物品データ100Sを生成する(ステップS12)。3次元物品データ100Sとは、物品100の3次元画像データである。3次元画像生成部36は、3次元層データ取得部34が取得したそれぞれの層101の3次元層データを積み重ねて、3次元物品データ100Sを生成する。すなわち、
図4に示すように、3次元物品データ100Sは、3次元層データ101Sが積み重ねられた3次元画像データである。3次元物品データ100Sは、実際の物品100における層101の積層順に合わせて、それぞれの3次元層データ101Sが積み重ねられた画像データである。
【0040】
なお、本実施形態においては、3次元画像生成部36は、層101の外周面の3次元層データとその層101の内部構造データとを合成した画像データを、3次元層データ101Sとして取得して、それらの3次元層データ101Sを積み重ねて、3次元物品データ100Sを生成する。すなわち、3次元物品データ100Sに含まれる各層101の3次元層データ101Sは、層101の外周面の画像データと、層101の内部構造の画像データ(内部構造データ)とを含む。ただし、3次元物品データ100Sに含まれる3次元層データ101Sは、層101の外周面の画像データを含むが、内部構造データを含まなくてもよい。
【0041】
図4の例では、3次元画像生成部36は、層102に対応する3次元層データ101Sである3次元層データ102Sと、層104に対応する3次元層データ101Sである3次元層データ104Sと、層106に対応する3次元層データ101Sである3次元層データ106Sとを積み重ねて、3次元物品データ100Sを生成する。
【0042】
(断面の指定)
図3に示すように、断面指定部38は、物品100の断面位置を指定する(ステップS14)。断面位置とは、断面画像生成装置20が生成すべき3次元物品データ100Sの断面を示す位置であり、言い換えれば、断面画像生成装置20は、断面位置を切断面とした物品100の断面の画像を生成する。断面指定部38は、断面位置を任意の方法で指定してよい。例えば、ユーザが入力部22に断面とすべき位置(面)を入力し、断面指定部38は、ユーザに入力された位置を、断面位置としてよい。
【0043】
(断面画像の生成)
図3に示すように、断面画像生成部40は、断面指定部38によって指定された断面位置における、3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成する(ステップS16)。断面画像生成部40は、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における、層101の断面画像データを生成する。本実施形態の例では、3次元層データ101Sに内部構造データが含まれるため、断面画像生成部40は、3次元層データ101Sに含まれる内部構造データから、断面位置における層101の内部構造データを抽出して、断面位置における層101の断面画像データとする。断面画像生成部40は、3次元物品データ100Sに含まれるそれぞれの3次元層データ101Sについて(物品100に含まれるそれぞれの層101について)、同様の処理を行って、3次元層データ101S毎に(層101毎に)、断面画像データを生成する。断面画像生成部40は、3次元層データ101S毎の断面画像データに基づいて、指定された断面位置における3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成する。
【0044】
図5の例では、断面画像生成部40は、3次元層データ102S(層102)の断面画像データと、3次元層データ104S(層104)の断面画像データと、3次元層データ106S(層106)の断面画像データとを含む画像データを、断面画像Sとして生成する。
【0045】
このように生成される断面画像Sは、内部構造データに基づき生成されるため、内部構造データに基づいた内容となる。例えば、内部構造データとして、層101の外周面の各位置における色に対して平均化された色(中間色)が設定された場合には、その層101の断面画像は、内部構造データで設定された中間色とされた画像となる。また例えば、3次元層データ106S(層106)に対して、イチゴの参照層データを内部構造データとして設定していた場合には、その層106の断面画像は、イチゴの参照層データで設定された断面画像となる。
【0046】
なお、上記では、断面画像生成部40は、完成した物品100の断面画像Sを生成していたが、製作の途中経過における断面画像Sを生成してもよい。断面画像生成部40は、例えば特定の層を製作し終えたときに、ユーザが切断情報を指定して、その時の断面画像Sを生成してもよい。なお、ユーザは、各層が完成する度に切断情報を指定してもよい。これにより、断面画像生成部40は、ユーザが切断情報を指定する度に断面画像Sを生成する。
【0047】
なお、以上の説明では、断面画像Sを生成する前に、予め内部構造データが生成されていた。ただしそれに限られず、内部構造生成部35は、予め内部構造データを生成することなく、断面指定部38により断面位置が指定されたら、指定された断面位置における内部構造データを生成してよい。内部構造データの生成方法は上述と同様である。この場合、断面画像生成部40は、内部構造生成部35により生成された内部構造データに基づいて、指定された断面位置における断面画像Sを生成する。
【0048】
(断面画像の出力)
図2及び
図5に示すように、出力制御部42は、出力部24に断面画像Sを出力する(ステップS18)。出力制御部42は、実際に物品100を切断することなく断面画像生成部40が生成した物品100の断面画像Sを出力する。出力制御部42は、ユーザが物品100の断面画像Sを拡大または縮小できるように出力部24に出力してよい。また、出力制御部42は、出力する断面画像Sに関する情報を生成して、断面画像Sと共に出力部24に出力してもよい。例えば出力制御部42は、出力する断面画像Sの説明文や断面画像Sを説明する音声を生成して出力部24に出力してもよい。また出力制御部42は、物品100の製作過程の映像を字幕や音声などによる解説を生成し、それを付して出力してもよい。
【0049】
ここで、内部構造が未知の物品100に対して、物品100を切断することなく、内部構造をユーザに視認させることが求められる場合がある。それに対して、本実施形態に係る断面画像生成システム1(断面画像生成装置20)は、物品100の外部を撮像して生成した3次元層データに基づいて、内部構造データを生成する。そして、断面位置が指定されたら、内部構造データに基づいて、その断面位置における断面画像Sを生成する。従って、本実施形態によると、物品100を実際に切断することなく、物品100の断面画像Sを適切に生成して出力できる。
【0050】
<効果>
本実施形態の断面画像生成装置は、複数の層101が重なって構成される物品100のそれぞれの層101の外周面の3次元画像データである3次元層データ101S、102S、104S、106Sを、物品100のそれぞれの層101毎に取得する3次元層データ取得部34と、3次元層データに基づいて、層101の内部構造の画像データである内部構造データを生成する内部構造生成部35と、それぞれの層101の3次元層データ101S、102S、104S、106Sを積み重ねて、物品100の3次元画像データである3次元物品データ100Sを生成する3次元画像生成部36と、3次元物品データ100Sの断面位置を指定する断面指定部38と、それぞれの層101について、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における層101の断面画像データを生成して、指定された断面位置における3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成する断面画像生成部40と、断面画像Sを出力する出力制御部42と、を備える。
【0051】
これにより、例えば、販売、教室、テレビ番組などの種々の場面で物品100の断面を知りたい場合に、断面画像を生成することができる。つまり、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0052】
本実施形態の断面画像生成装置の内部構造生成部35は、3次元層データ101S、102S、104S、106Sが示す層の外周面の色に基づいて、その層の内部構造の色を設定する。これにより、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0053】
本実施形態の断面画像生成装置の内部構造生成部35は、3次元層データ101S、102S、104S、106Sに基づいて、その層の種類を特定し、特定した種類に対応した層であり、かつ層の内部構造の画像が設定されている参照層データを取得し、参照層データに基づいて、内部構造データを生成する。これにより、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0054】
本実施形態の断面画像生成装置の出力制御部42は、実際に物品100を切断することなく断面画像Sを出力する。
【0055】
これにより、物品が完成した後に実際に物品を切断することなく、断面を確認できる。さらに、1つしか製作できないものの断面も確認できる。つまり、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0056】
本実施形態の断面画像生成装置の3次層データ取得部34は、ボリュメトリック技術により3次元層データ101S、102S、104S、106Sを生成する。これにより、物品の断面を適切に生成できる。
【0057】
本実施形態の断面画像生成方法は、複数の層101が重なって構成される物品100のそれぞれの層101の外周面の3次元画像データである3次元層データ101S、102S、104S、106Sを、物品100のそれぞれの層101毎に取得するステップと、3次元層データに基づいて、層101の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、それぞれの層101の3次元層データ101S、102S、104S、106Sを積み重ねて、物品100の3次元画像データである3次元物品データ100Sを生成するステップと、3次元物品データ100Sの断面位置を指定するステップと、それぞれの層101について、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における層101の断面画像データを生成して、指定された断面位置における3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成するステップと、断面画像Sを出力するステップと、を含む。
【0058】
これにより、例えば、販売、教室、テレビ番組などの種々の場面で物品100の断面を知りたい場合に、断面画像を生成することができる。つまり、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0059】
本実施形態のプログラムは、複数の層101が重なって構成される物品100のそれぞれの層101の外周面の3次元画像データである3次元層データ101S、102S、104S、106Sを、物品100のそれぞれの層101毎に取得するステップと、3次元層データに基づいて、層101の内部構造の画像データである内部構造データを生成するステップと、それぞれの層101の3次元層データ101S、102S、104S、106Sを積み重ねて、物品100の3次元画像データである3次元物品データ100Sを生成するステップと、3次元物品データ100Sの断面位置を指定するステップと、それぞれの層101について、内部構造データに基づいて、指定された断面位置における層101の断面画像データを生成して、指定された断面位置における3次元物品データ100Sの断面画像Sを生成するステップと、断面画像Sを出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0060】
これにより、例えば、販売、教室、テレビ番組などの種々の場面で物品100の断面を知りたい場合に、断面画像を生成することができる。つまり、物品の断面画像を適切に生成することができる。
【0061】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 断面画像生成システム
10 撮像装置
12,14,16 カメラ
20 断面画像生成装置
22 入力部
24 出力部
26 記憶部
28 通信部
30 制御部
32 入力データ取得部
34 3次元層データ取得部
35 内部構造生成部
36 3次元画像生成部
38 断面指定部
40 断面画像生成部
42 出力制御部
100 物品(ホールケーキ)
100S 3次元物品データ
101、102、104、106 層
101S、102S、104S、106S 3次元層データ
S 断面画像