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特開2024-165815信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165815
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/32 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H03M7/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082328
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 大作
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 真明
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064BA03
5J064BB07
5J064BC14
5J064BC25
(57)【要約】
【課題】複数の出力信号ブロックの境界において信号の不連続性を緩和可能な信号処理装置を提供する。
【解決手段】信号処理装置1は、入力信号ISを複数の入力信号ブロックISBに分割し、分割した複数の入力信号ブロックを複数のデルタシグマ変調回路122に分割順に分配する分配部11と、複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックISBを出力する複数のデルタシグマ変調回路を含む並列回路部12と、複数の出力信号ブロックを結合して出力信号OSを生成する結合部13とを備え、信号処理装置は、第1の出力信号ブロックに、第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、出力信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号から出力信号を生成する信号処理装置であって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割し、分割した前記複数の入力信号ブロックを、複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配する分配部と、
前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する前記複数のデルタシグマ変調回路を含む並列回路部と、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成する結合部と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、
前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、
前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態と
が反映されるように、前記出力信号を生成する
信号処理装置。
【請求項2】
前記分配部は、前記第2入力信号ブロックの末尾に、前記第2入力信号ブロックの直後に位置する第1入力信号ブロックのうちの先頭から所定の第1長さを有するオーバーラップデータを付加し、前記オーバーラップデータが付加された前記第2入力信号ブロックを前記第2のデルタシグマ変調回路に分配し、
前記結合部は、前記第1デルタシグマ変調回路が前記第1入力信号ブロックのうちの前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第2デルタシグマ変調回路が前記第2入力信号ブロックに付加されたオーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果とに基づいて、前記第1出力信号ブロックの少なくとも一部を算出することで、前記第2のデルタシグマ変調回路の状態が反映された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成する
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記第1デルタシグマ変調回路が前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第2デルタシグマ変調回路が前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果との平均値を、前記第1出力信号ブロックの少なくとも一部として算出する
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記並列回路部は、前記第1入力信号ブロックのうちの末尾から所定の第2長さを有する信号ブロック部分にデルタシグマ変調を施す前記第1デルタシグマ変調回路の状態が、前記第2入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す前記第2デルタシグマ変調回路の初期状態に近づくように、前記第1デルタシグマ変調回路の状態を制御し、
前記結合部は、前記並列回路部によって状態が制御された前記第1デルタシグマ変調回路が第1入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施すことで生成された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成することで、前記第2のデルタシグマ変調回路の状態が反映された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成する
請求項1から3のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記第1デルタシグマ変調回路は、前記第1デルタシグマ変調回路内でフィードバックされるフィードバック信号の大きさを制御するためのゲインを変更することで、前記第1デルタシグマ変調回路の状態を制御する
請求項4に記載の信号処理装置。
【請求項6】
入力信号から出力信号を生成する信号処理方法であって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、
分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することと
を備え、
前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する
信号処理方法。
【請求項7】
入力信号から出力信号を生成する信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、
分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することと
を備え、
前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデルタシグマ変調回路を用いて入力信号から出力信号を生成する信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデルタシグマ変調回路を用いて入力信号から出力信号を生成する信号処理装置の一例が、特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1には、入力信号を複数の入力信号ブロックに分割し、複数のデルタシグマ変調回路を用いて複数の入力信号ブロックを処理して複数の出力信号ブロックを生成し、複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成する信号処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7072734号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力信号を複数の入力信号ブロックに分割すると共に、複数のデルタシグマ変調回路を用いて複数の入力信号ブロックから夫々生成される複数の出力信号ブロックを結合することで出力信号が生成される場合には、複数の出力信号ブロックの境界において、信号の不連続性が生ずる可能性がある。なぜならば、時間的に連続する二つの入力信号ブロックから二つの出力信号ブロックを生成するために、異なる二つのデルタシグマ変調回路が用いられるが、時間的に先行する入力信号ブロックの末尾の信号ブロック部分を処理する一のデルタシグマ変調回路の回路状態が、後続の入力信号ブロックの先頭の信号ブロック部分を処理する他のデルタシグマ変調回路の回路状態と同一になるとは限らないからである。
【0005】
特許文献1には、複数の出力信号ブロックの境界において信号の不連続性を緩和するために、異なる二つのデルタシグマ変調回路が出力する二つの出力信号ブロックのいずれか一方を、所定の判定基準に従って、出力信号を生成するために実際に用いる一の出力信号ブロックとして選択している。しかしながら、特許文献1に記載された方法は、条件分岐のための複雑な判定基準を用いているため、入力信号を高速に処理することが困難になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した技術的問題を解決可能な信号変調装置及び信号変調方法を提供することを課題とする。一例として、本発明は、複数の出力信号ブロックの境界において信号の不連続性を緩和可能な信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
信号処理装置の一態様は、入力信号から出力信号を生成する信号処理装置であって、入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割し、分割した前記複数の入力信号ブロックを複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配する分配部と、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する前記複数のデルタシグマ変調回路を含む並列回路部と、前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成する結合部とを備え、前記信号処理装置は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する。
【0008】
信号処理方法の一態様は、入力信号から出力信号を生成する信号処理方法であって、入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することとを備え、前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する。
【0009】
コンピュータプログラムの一態様は、入力信号から出力信号を生成する信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することとを備え、前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する。
【発明の効果】
【0010】
上述した信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムの夫々の態様によれば、複数の出力信号ブロックの境界において信号の不連続性を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態における信号処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態における信号処理装置が行う信号処理の過程を模式的に示す。
図3図3は、第1実施形態におけるデルタシグマ変調回路の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、時間的に連続する二つの入力信号ブロックから夫々生成される二つの出力信号ブロックを模式的に示す。
図5図5(a)は、第1比較例の信号処理装置が生成した出力信号の演算誤差を示すグラフであり、図5(b)は、第1実施形態の信号処理装置が生成した出力信号の演算誤差を示すグラフである。
図6図6は、第2実施形態における信号処理装置の構成を示すブロック図である。
図7図7は、第2実施形態における信号処理装置が行う信号処理の過程を模式的に示す。
図8図8は、第2実施形態におけるデルタシグマ変調回路の構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、入力信号ブロックとゲインとの関係を示す。
図10図10(a)は、第2比較例の信号処理装置が生成した出力信号の演算誤差を示すグラフであり、図10(b)は、第2実施形態の信号処理装置が生成した出力信号の演算誤差を示すグラフである。
図11図11は、デルタシグマ変調回路の構成の他の一例を示すブロック図である。
図12図12は、信号処理装置の機能を実現するソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。以下の説明では、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態が適用された信号処理装置1を用いて、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0013】
<1>第1実施形態の信号処理装置1
はじめに、図1を参照しながら、第1実施形態の信号処理装置1について説明する。図1は、第1実施形態の信号処理装置1の構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第1実施形態の信号処理装置1を、信号処理装置1aと称する。
【0014】
図1に示すように、信号処理装置1aは、分配部11と、並列回路部12と、結合部13とを備える。分配部11は、入力信号記憶部111と、入力信号選択部112とを備える。並列回路部12は、複数のフィルタ回路121を備える。図1に示す例では、並列回路部12は、三つのフィルタ回路121(具体的には、フィルタ回路121#1、121#2及び121#3)を備える。以下の説明では、説明の便宜上、並列回路部12が三つのフィルタ回路121(具体的には、フィルタ回路121#1、121#2及び121#3)を備える例について説明する。各フィルタ回路121は、デルタシグマ変調回路122を備える。以下の説明では、説明の便宜上、三つのフィルタ回路121#1、121#2及び121#3が、それぞれ、三つのデルタシグマ変調回路122#1、122#2及び122#3を備える例について説明する。結合部13は、出力信号記憶部131と、出力信号選択部132と、信号処理部133とを備える。
【0015】
信号処理装置1は、入力信号ISから出力信号OSを生成可能な装置である。入力信号IS及び出力信号OSのそれぞれは、デジタル信号である。入力信号ISは、多ビットのデジタル信号である。つまり、入力信号ISは、量子化ビット数が2以上となるデジタル信号である。一方で、出力信号OAは、1ビットのデジタル信号である。つまり、出力信号OSは、量子化ビット数が1となるデジタル信号である。
【0016】
入力信号ISから出力信号OSを生成するために、入力信号ISは、分配部11に入力される。分配部11に入力された入力信号ISは、入力信号記憶部111によって記憶される。入力信号選択部112は、入力信号記憶部111に記憶されている入力信号ISを、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックISBに分割する。例えば、入力信号ISから生成される複数の入力信号ブロックISBを模式的に示す図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ISを、入力信号ブロックISB#1と、入力信号ブロックISB#2と、入力信号ブロックISB#3と、入力信号ブロックISB#4と、入力信号ブロックISB#5と、・・・、入力信号ブロックISB#N(尚、Nは、入力信号ブロックISBの数を示す変数である)とに分割してもよい。
【0017】
入力信号選択部112は、複数の入力信号ブロックISBを、並列回路部12に出力する。特に、入力信号選択部112は、各入力信号ブロックISBを、並列回路部12が備える複数のフィルタ回路121のうちの各入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に出力する。例えば、図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#1をフィルタ回路121#1に出力し、入力信号ブロックISB#2をフィルタ回路121#2に出力し、入力信号ブロックISB#3をフィルタ回路121#3に出力し、入力信号ブロックISB#4をフィルタ回路121#1に出力してもよい。つまり、入力信号選択部112は、分割した複数の入力信号ブロックISBを、複数のフィルタ回路121に分割順に分配する。
【0018】
第1実施形態では特に、入力信号選択部112は、一の入力信号ブロックISBを一の入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に出力する際に、一の入力信号ブロックISBの末尾に、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBの一部であるオーバーラップデータODを付加する。その後、入力信号選択部112は、オーバーラップデータODが付加された一の入力信号ブロックISBを、一の入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に出力する。つまり、入力信号選択部112は、一の入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に対して、一の入力信号ブロックISBに加えて、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBの一部であるオーバーラップデータODを出力する。言い換えれば、入力信号選択部112は、一の入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に対して、一の入力信号ブロックISBと、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBの一部であるオーバーラップデータODとを含む入力信号ブロックISB’を出力する。
【0019】
例えば、図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#1の末尾に、入力信号ブロックISB#2の一部であるオーバーラップデータOD#2を付加し、オーバーラップデータOD#2が付加された入力信号ブロックISB#1である入力信号ブロックISB’#1を、フィルタ回路121#1に出力してもよい。例えば、図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#2の末尾に、入力信号ブロックISB#3の一部であるオーバーラップデータOD#3を付加し、オーバーラップデータOD#3が付加された入力信号ブロックISB#2である入力信号ブロックISB’#2を、フィルタ回路121#2に出力してもよい。例えば、図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#3の末尾に、入力信号ブロックISB#4の一部であるオーバーラップデータOD#4を付加し、オーバーラップデータOD#4が付加された入力信号ブロックISB#3である入力信号ブロックISB’#3を、フィルタ回路121#3に出力してもよい。例えば、図2に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#4の末尾に、入力信号ブロックISB#5の一部であるオーバーラップデータOD#5を付加し、オーバーラップデータOD#5が付加された入力信号ブロックISB#4である入力信号ブロックISB’#4を、フィルタ回路121#1に出力してもよい。
【0020】
オーバーラップデータODは、入力信号ブロックISBのうちの、入力信号ブロックISBの先頭から所定の第1長さを有する信号ブロック部分を含む。例えば、オーバーラップデータは、入力信号ブロックISBのうちの、入力信号ブロックISBの先頭に位置する数サンプル(例えば、2サンプルから3サンプル)の信号ブロック部分を含んでいてもよい。尚、入力信号ブロックISBに含まれる1サンプルの信号ブロック部分は、デジタル信号である入力信号を生成するために行われるサンプリングに応じて定まるサイズを有する信号ブロック部分を意味していてもよい。具体的には、1サンプルの信号ブロック部分は、1回のサンプリングで生成される所定のビット幅を有する1つのデジタルデータを意味していてもよい。
【0021】
各フィルタ回路121は、各フィルタ回路121が備えるデルタシグマ変調回路122を用いて、各フィルタ回路121に入力された入力信号ブロックISB’を処理する。尚、第1実施形態では、「デルタシグマ変調回路122を用いて入力信号ブロックISB’を処理する」ことは、「入力信号ブロックISB’にデルタシグマ変調を施す」ことを意味するものとする。具体的には、各フィルタ回路121は、各フィルタ回路121が備えるデルタシグマ変調回路122を用いて、各フィルタ回路121に入力された入力信号ブロックISB’を変調する。その結果、各フィルタ回路121は、変調された入力信号ブロックISB’である出力信号ブロックOSB’を生成する。例えば、図2に示すように、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1を用いて入力信号ブロックISB’#1を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#1は、変調された入力信号ブロックISB’#1である出力信号ブロックOSB’#1を生成してもよい。例えば、図2に示すように、フィルタ回路121#2は、デルタシグマ変調回路122#2を用いて入力信号ブロックISB’#2を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#2は、変調された入力信号ブロックISB’#2である出力信号ブロックOSB’#2を生成してもよい。例えば、図2に示すように、フィルタ回路121#3は、デルタシグマ変調回路122#3を用いて入力信号ブロックISB’#3を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#3は、変調された入力信号ブロックISB’#3である出力信号ブロックOSB’#3を生成してもよい。例えば、図2に示すように、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1を用いて入力信号ブロックISB’#4を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#1は、変調された入力信号ブロックISB’#4である出力信号ブロックOSB’#4を生成してもよい。
【0022】
各フィルタ回路121に複数の入力信号ブロックISB’が順に入力される場合には、各フィルタ回路121は、各フィルタ回路121が備えるデルタシグマ変調回路122を用いて、各フィルタ回路121に順に入力された入力信号ブロックISB’を順に処理する。更に、各フィルタ回路121は、新たな入力信号ブロックISB’の処理を開始する前に、各フィルタ回路121が備えるデルタシグマ変調回路122の回路状態をリセットする。例えば、図2に示す例では、フィルタ回路121#1には、入力信号ブロックISB’#1が入力され、その後、入力信号ブロックISB’#4が入力される。この場合には、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1を用いて、入力信号ブロックISB’#1を処理してもよい。その後、入力信号ブロックISB’#1の処理が完了した後に、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1の回路状態をリセットする。その後、フィルタ回路121#1は、回路状態がリセットされたデルタシグマ変調回路122#1を用いて、入力信号ブロックISB’#4を処理してもよい。
【0023】
デルタシグマ変調回路122の一例が、図3に示されている。図3は、デルタシグマ変調回路122として、二次のエラーフィードバック型のデルタシグマ変調回路が用いられる例を示している。
【0024】
図3に示すように、デルタシグマ変調回路122は、1ビット量子化器1221と、減算器1222#1と、遅延器1223#1と、遅延器1223#2と、乗算器1224#1と、乗算器1224#2と、加算器1225#1と、加算器1225#2とを備える。デルタシグマ変調回路122に入力された入力信号ブロックISB’は、加算器1225#1及び1225#2を介して、1ビット量子化器1221に入力される。加算器1225#1及び1225#2の夫々は、入力信号ブロックISB’にフィードバック信号を加算する。従って、1ビット量子化器1221は、フィードバック信号が加算された入力信号ブロックISB’から、出力信号ブロックOSB’を生成する。減算器1222は、1ビット量子化器1221から出力された出力信号ブロックOSB’と1ビット量子化器1221に入力される入力信号ブロックISB’との差分を示す差分信号を生成する。減算器1222が生成した差分信号は、メモリに相当する遅延器1223#1に記憶される。1223#1は、記憶した差分信号を、1クロックに相当する遅延時間が経過した後に、乗算器1224#1に出力する。乗算器1224#1は、所定のゲインAを差分信号に掛け合わせることで、加算器1225#1において入力信号ブロックISB’に加算されるフィードバック信号を生成する。更に、遅延器1223#1が出力した差分信号は、メモリに相当する遅延器1223#2に記憶される。遅延器1223#2は、記憶した差分信号を、1クロックに相当する遅延時間が経過した後に、乗算器1224#2に出力する。乗算器1224#2は、所定のゲインBを差分信号に掛け合わせることで、加算器1225#2において入力信号ブロックISB’に加算されるフィードバック信号を生成する。
【0025】
上述したデルタシグマ変調回路122の回路状態は、遅延器1223#1及び1223#2の状態を含んでいてもよい。言い換えれば、デルタシグマ変調回路122の回路状態は、遅延器1223#1が記憶している差分信号の状態及び遅延器1223#2が記憶している差分信号の状態を含んでいてもよい。デルタシグマ変調回路122の回路状態をリセットすることは、遅延器1223#1が記憶している差分信号及び遅延器1223#2が記憶している差分信号をリセットすることを意味していてもよい。遅延器1223#1及び1223#2の夫々が記憶している差分信号をリセットすることは、遅延器1223#1及び1223#2の夫々が記憶している差分信号の信号レベルを、初期値(例えば、ゼロ)に設定することを意味していてもよい。
【0026】
再び図1において、並列回路部12が生成した複数の出力信号ブロックOSB’は、結合部13に入力される。結合部13に入力された複数の出力信号ブロックOSB’は、出力信号記憶部131に記憶される。出力信号選択部132は、出力信号記憶部131に記憶されている複数の出力信号ブロックOSB’を読み出し、読み出した複数の出力信号ブロックOSB’を、対応する入力信号ブロックISBの順に信号処理部133に出力する。信号処理部133は、出力信号選択部132から入力される複数の出力信号ブロックOSB’を順に結合することで、結合された複数の出力信号ブロックOSB’である出力信号OSを生成する。
【0027】
ここで、第1実施形態では特に、上述したように、出力信号ブロックOSB’を生成する各デルタシグマ変調回路122には、オーバーラップデータODが付加された入力信号ブロックISBである入力信号ブロックISB’が入力される。つまり、出力信号ブロックOSB’を生成する各デルタシグマ変調回路122には、入力信号ブロックISBとオーバーラップデータODとを含む入力信号ブロックISB’が入力される。このため、図2に示すように、出力信号ブロックOSB’は、入力信号ブロックISBを変調することで生成される出力信号ブロックOSBと、オーバーラップデータODを変調することで生成されるオーバーラップ信号ODSとを含む。例えば、図2に示すように、入力信号ブロックISB#1’から生成される出力信号ブロックOSB’#1は、入力信号ブロックISB#1を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#1と、オーバーラップデータOD#2を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#2とを含む。例えば、図2に示すように、入力信号ブロックISB’#2から生成される出力信号ブロックOSB’#2は、入力信号ブロックISB#2を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#2と、オーバーラップデータOD#3を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#3とを含む。例えば、図2に示すように、入力信号ブロックISB’#3から生成される出力信号ブロックOSB’#3は、入力信号ブロックISB#3を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#3と、オーバーラップデータOD#4を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#4とを含む。例えば、図2に示すように、入力信号ブロックISB’#4から生成される出力信号ブロックOSB’#4は、入力信号ブロックISB#3を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#4と、オーバーラップデータOD#5を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#5とを含む。
【0028】
この場合、時間的に連続する二つの入力信号ブロックISB’#j及びISB’#j+1から夫々生成される二つの出力信号ブロックOSB’#j及びOSB’#j+1(尚、jは、1以上且つN-1以下の整数を示す変数である)を模式的に示す図4に示すように、二つの出力信号ブロックOSB’#j及びOSB’#j+1は共に、入力信号ブロックISB#j+1のオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1を含む。
【0029】
具体的には、図4に示すように、オーバーラップデータOD#j+1が付加された入力信号ブロックISB#jである入力信号ブロックISB’#jは、入力信号ブロックISB’#jに対応する一のデルタシグマ変調回路122によって変調される。尚、以下の説明では、入力信号ブロックISB’#jに対応する一のデルタシグマ変調回路122を、デルタシグマ変調回路122#pと称する。この場合、デルタシグマ変調回路122#pが生成する出力信号ブロックOSB’#jは、デルタシグマ変調回路122#pが入力信号ブロックISB#jを変調することで生成される出力信号ブロックOSB#jと、デルタシグマ変調回路122#pがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1とを含む。尚、以下の説明では、デルタシグマ変調回路122#pがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1を、オーバーラップ信号ODS#j+1_pと称する。
【0030】
一方で、図4に示すように、入力信号ブロックISB#j+1を含む(その結果、オーバーラップデータOD#j+1も含む)入力信号ブロックISB’#j+1は、入力信号ブロックISB’#j+1に対応する一のデルタシグマ変調回路122によって変調される。尚、以下の説明では、入力信号ブロックISB’#j+1に対応する一のデルタシグマ変調回路122を、デルタシグマ変調回路122#qと称する。この場合、デルタシグマ変調回路122#qが生成する出力信号ブロックOSB’#j+1は、デルタシグマ変調回路122#qが入力信号ブロックISB#j+1を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#j+1を含む。ここで、入力信号ブロックISB#j+1がオーバーラップデータOD#j+1を含むがゆえに、出力信号ブロックOSB#j+1は、デルタシグマ変調回路122#qがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1を含んでいる。尚、以下の説明では、デルタシグマ変調回路122#qがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1を、オーバーラップ信号ODS#j+1_qと称する。
【0031】
この場合、信号処理部133は、デルタシグマ変調回路122#pがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1_pと、デルタシグマ変調回路122#qがオーバーラップデータOD#j+1を変調することで生成されるオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの双方を用いて、出力信号OSを生成する。具体的には、信号処理部133は、デルタシグマ変調回路122#qが入力信号ブロックISB#j+1を変調することで生成される出力信号ブロックOSB#j+1を、結合対象の出力信号ブロックOSBとして選択する。但し、信号処理部133は、出力信号ブロックOSB#j+1のうちのオーバーラップ信号ODS#j+1_qを、オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとを用いた演算によって算出されるオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換える。具体的には、信号処理部133は、オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとを用いた演算を行うことでオーバーラップ信号ODS#j+1_rを生成し、その後、必要に応じてオーバーラップ信号ODS#j+1_rを1ビットに量子化し、その後、オーバーラップ信号ODS#j+1_qをオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換えてもよい。
【0032】
オーバーラップ信号ODS#j+1_rの一例として、オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの平均値が用いられてもよい。オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの平均値は、オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの単純平均値であってもよい。オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの平均値は、オーバーラップ信号ODS#j+1_pとオーバーラップ信号ODS#j+1_qとの重み付け平均値であってもよい。重み付け平均値が用いられる場合には、オーバーラップ信号ODS#j+1_pの重みは、オーバーラップ信号ODS#j+1_qの重みよりも小さくてもよい。オーバーラップ信号ODS#j+1_pの重みがオーバーラップ信号ODS#j+1_qの重みよりも小さい場合には、オーバーラップ信号ODS#j+1_rは、オーバーラップ信号ODS#j+1_qがより強く反映された信号となる。
【0033】
この場合、信号処理部133は、図4に示すように、オーバーラップ信号ODS#j_qがオーバーラップ信号ODS#j_rに置き換えられた出力信号ブロックOSB#jとオーバーラップ信号ODS#j+1_qがオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換えられた出力信号ブロックOSB#j+1とを結合することで、出力信号OSを生成する。この場合、オーバーラップ信号ODS#j+1_qがオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換えられた出力信号ブロックOSB#j+1と出力信号ブロックOSB#jとが結合される場合には、オーバーラップ信号ODS#j+1_qがオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換えられていない出力信号ブロックOSB#j+1が出力信号ブロックOSB#jと結合される場合と比較して、出力信号ブロックOSB#j+1と出力信号ブロックOSB#jとの境界における信号の不連続性が緩和される。なぜならば、オーバーラップ信号ODS#j+1_qがオーバーラップ信号ODS#j+1_rに置き換えられている場合には、出力信号ブロックOSB#j+1の先頭の信号ブロック部分(具体的には、オーバーラップ信号ODS#j+1_r)は、出力信号ブロックOSB#jを生成するデルタシグマ変調回路122#pの回路状態が実質的に反映されているからである。つまり、第1実施形態では、信号処理装置1aは、デルタシグマ変調回路122#qが入力信号ブロックISB#j+1を処理した結果(つまり、出力信号ブロックOSB#j+1)と、入力信号ブロックISB#j+1の直前に位置する入力信号ブロックISB#jを処理するデルタシグマ変調回路122#pの回路状態とが反映された出力信号ブロックOSB#j+1を生成するために、オーバーラップ信号ODS#j+1_p及びODS#j+1_qの双方を用いて出力信号ブロックOSB#j+1を生成している。
【0034】
信号の不連続性は、出力信号OSの演算誤差につながる。尚、出力信号OSの演算誤差は、分割されていない入力信号ISを単一のデルタシグマ変調回路122を用いて処理することで生成される理想的な出力信号OSに対する、分割された入力信号IS(つまり、複数の入力信号ブロックISB)を複数のデルタシグマ変調回路122を用いて夫々処理することで生成される実際の出力信号OSの誤差を意味していてもよい。この場合、信号の不連続性が緩和されると、出力信号OSの演算誤差が小さくなる。このため、第1実施形態の信号処理装置1aは、複数のデルタシグマ変調回路122が夫々生成した複数の出力信号ブロックOSBをそのまま結合する第1比較例の信号処理装置と比較して、出力信号OSの演算誤差を低減することができる。
【0035】
一例として、図5(a)は、第1比較例の信号処理装置が生成した出力信号OSの演算誤差を示すグラフであり、図5(b)は、第1実施形態の信号処理装置1aが生成した出力信号OSの演算誤差を示すグラフである。図5(a)及び図5(b)に示すように、第1比較例の信号処理装置が生成した出力信号OSの演算誤差と比較して、第1実施形態の信号処理装置1aが生成した出力信号OSの演算誤差が低減されていることが分かる。尚、演算誤差の低減は、演算誤差の大きさの低減及び演算誤差の発生頻度の低減の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0036】
<2>第2実施形態の信号処理装置1
続いて、図6を参照しながら、第2実施形態の信号処理装置1について説明する。図6は、第2実施形態の信号処理装置1の構成を示すブロック図である。尚、以下の説明では、説明の便宜上、第2実施形態の信号処理装置1を、信号処理装置1bと称する。また、以下の説明では、第1実施形態において説明済みの構成要素については、同一の参照符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0037】
図6に示すように、信号処理装置1bは、分配部11bと、並列回路部12bと、結合部13bとを備える。
【0038】
分配部11bは、上述した第1実施形態の分配部11と比較して、入力信号選択部112に代えて、入力信号選択部112bを備えるという点で異なる。分配部11bのその他の特徴は、上述した第1実施形態の分配部11のその他の特徴と同一であってもよい。入力信号選択部112bは、上述した第1実施形態の入力信号選択部112と比較して、図7に示すように、一の入力信号ブロックISBを一の入力信号ブロックISBに対応する一のフィルタ回路121に出力する際に、一の入力信号ブロックISBの末尾に、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBの一部であるオーバーラップデータODを付加しなくてもよいという点で異なる。つまり、入力信号選択部112bは、上述した第1実施形態の入力信号選択部112と比較して、入力信号ブロックISBとオーバーラップデータODとを含む入力信号ブロックISB’に代えて、入力信号ブロックISBをフィルタ回路121に出力するという点で異なる。例えば、図7に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#1をフィルタ回路121#1に出力してもよい。例えば、図7に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#2をフィルタ回路121#2に出力してもよい。例えば、図7に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#3をフィルタ回路121#3に出力してもよい。例えば、図7に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#4をフィルタ回路121#1に出力してもよい。例えば、図7に示すように、入力信号選択部112は、入力信号ブロックISB#5をフィルタ回路121#2に出力してもよい。入力信号選択部112bのその他の特徴は、上述した第1実施形態の入力信号選択部112のその他の特徴と同一であってもよい。
【0039】
再び図6において、並列回路部12bは、上述した第1実施形態の並列回路部12と比較して、複数のフィルタ回路121に代えて、複数のフィルタ回路121bを備えているという点で異なる。フィルタ回路121bは、上述した第1実施形態のフィルタ回路121と比較して、ゲイン調整部123bを備えているという点で異なる。以下の説明では、説明の便宜上、三つのフィルタ回路121#1、121#2及び121#3が、それぞれ、三つのゲイン調整部123b#1、123#2及び123#3を備える例について説明する。並列回路部12bのその他の特徴は、上述した第1実施形態の並列回路部12のその他の特徴と同一であってもよい。
【0040】
各ゲイン調整部123bは、各ゲイン調整部123bに対応する一のデルタシグマ変調回路122で差分信号の大きさを制御するために用いられるゲインを調整する。例えば、図3に示すデルタシグマ変調回路122が用いられる場合には、各ゲイン調整部123bは、各ゲイン調整部123bに対応する一のデルタシグマ変調回路122で差分信号の大きさを制御するために用いられるゲインA及びゲインBの少なくとも一つを調整してもよい。尚、差分信号からフィードバック信号が生成されるがゆえに、各ゲイン調整部123bは、各ゲイン調整部123bに対応する一のデルタシグマ変調回路122でフィードバック信号の大きさを制御するために用いられるゲインを調整するとみなしてもよい。
【0041】
尚、第2実施形態では、図3に示すデルタシグマ変調回路122に代えて、図8に示すデルタシグマ変調回路122が用いられてもよい。図8に示すデルタシグマ変調回路122は、図3に示すデルタシグマ変調回路122と比較して、乗算器1224#1及び1224#2の少なくとも一つに加えて又は代えて、乗算器1224#0を含んでいてもよいという点で異なっている。この場合、減算器1222が生成した差分信号には、乗算器1224#0によって所定のゲインCが掛け合わせられてもよい。ゲインCがかけ合わせられた差分信号は、遅延器1223#1に記憶されてもよい。図8に示すデルタシグマ変調回路122のその他の特徴は、図3に示すデルタシグマ変調回路122のその他の特徴と同一であってもよい。
【0042】
図8に示すように乗算器1224#1及び1224#2の少なくとも一つに加えて又は代えて乗算器1224#0を含むデルタシグマ変調回路122が用いられる場合には、各ゲイン調整部123bは、各ゲイン調整部123bに対応する一のデルタシグマ変調回路122で差分信号の大きさを制御するために用いられるゲインCを、ゲインA及びゲインBの少なくとも一つに加えて又は代えて調整してもよい。
【0043】
第2実施形態では、ゲイン調整部123bは、入力信号ブロックISBとゲインとの関係を示す図9に示すように、入力信号ブロックISBのうちの、入力信号ブロックISBの末尾から所定の第2長さを有する信号ブロック部分である末尾信号ブロック部分EISBをデルタシグマ変調回路122が処理する場合に、ゲインを調整してもよい。つまり、ゲイン調整部123bは、デルタシグマ変調回路122が末尾信号ブロック部分EISBを処理する場合に、ゲインが初期値とは異なる値となるように、ゲインを調整してもよい。末尾信号ブロック部分EISBは、入力信号ブロックISBのうちの、入力信号ブロックISBの末尾に位置する数サンプル(例えば、4サンプルから5サンプル)の信号ブロック部分を含んでいてもよい。一方で、ゲイン調整部123bは、図9に示すように、入力信号ブロックISBのうちの末尾信号ブロック部分EISB以外の信号ブロック部分NISBをデルタシグマ変調回路122が処理する場合に、ゲインを調整しなくてもよい。つまり、ゲイン調整部123bは、デルタシグマ変調回路122が信号ブロック部分NISBを処理する場合に、ゲインを初期値のまま維持してもよい。
【0044】
ゲイン調整部123bは、一の入力信号ブロックISBの末尾信号ブロック部分EISBを処理する一のデルタシグマ変調回路122の回路状態が、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBを処理する他のデルタシグマ変調回路122の初期状態(つまり、リセットされた回路状態)に近づくように、一のデルタシグマ変調回路122で用いられるゲインを調整してもよい。例えば、上述したように、デルタシグマ変調回路122の初期状態として、信号レベルが初期値(例えば、ゼロ)となる初期信号が差分信号として遅延器1223#1及び1223#2の夫々に記憶されている状態が用いられる場合には、ゲイン調整部123bは、図9に示すように、デルタシグマ変調回路122が末尾信号ブロック部分EISBを処理する場合に用いられるゲインが、ゲインの初期値よりも小さくなるように、ゲインを調整してもよい。ゲインが小さくなるほど、遅延器1223#1及び1223#2の夫々に記憶される差分信号の信号レベルが小さくなる。このため、ゲインが小さくなるほど、末尾信号ブロック部分EISBを処理する一のデルタシグマ変調回路122の回路状態が、他のデルタシグマ変調回路122の初期状態により近づく。
【0045】
再び図6において、結合部13bは、上述した第1実施形態における結合部13と比較して、信号処理部133に代えて、信号処理部133bを備えているという点で異なる。結合部13bのその他の特徴は、上述した第1実施形態における結合部13のその他の特徴と同一であってもよい。
【0046】
ここで、第2実施形態では、並列回路部12bに複数の入力信号ブロックISBが入力されるため、並列回路部12bは、複数の出力信号ブロックOSB’に代えて、複数の出力信号ブロックOSBを生成する。このため、第2実施形態では、複数の出力信号ブロックOSB’に代えて、複数の出力信号ブロックOSBが結合部13bに入力される。例えば、図7に示すように、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1を用いて入力信号ブロックISB#1を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#1は、変調された入力信号ブロックISB#1である出力信号ブロックOSB#1を、結合部13bに出力してもよい。例えば、図7に示すように、フィルタ回路121#2は、デルタシグマ変調回路122#2を用いて入力信号ブロックISB#2を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#2は、変調された入力信号ブロックISB#2である出力信号ブロックOSB#2を、結合部13bに出力してもよい。例えば、図7に示すように、フィルタ回路121#3は、デルタシグマ変調回路122#3を用いて入力信号ブロックISB#3を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#3は、変調された入力信号ブロックISB#3である出力信号ブロックOSB#3を、結合部13bに出力してもよい。例えば、図7に示すように、フィルタ回路121#1は、デルタシグマ変調回路122#1を用いて入力信号ブロックISB#4を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#1は、変調された入力信号ブロックISB#4である出力信号ブロックOSB#4を、結合部13bに出力してもよい。例えば、図7に示すように、フィルタ回路121#2は、デルタシグマ変調回路122#2を用いて入力信号ブロックISB#5を変調してもよい。その結果、フィルタ回路121#2は、変調された入力信号ブロックISB#5である出力信号ブロックOSB#5を、結合部13bに出力してもよい。
【0047】
この場合、結合部13bに入力された複数の出力信号ブロックOSBは、出力信号記憶部131に記憶される。出力信号選択部132は、出力信号記憶部131に記憶されている複数の出力信号ブロックOSBを読み出し、読み出した複数の出力信号ブロックOSBを、対応する入力信号ブロックISBの順に信号処理部133bに出力する。信号処理部133bは、出力信号選択部132から入力される複数の出力信号ブロックOSBを順に結合することで、結合された複数の出力信号ブロックOSBである出力信号OSを生成する。
【0048】
ここで、第2実施形態では、上述したように、一の入力信号ブロックISBの末尾信号ブロック部分EISBを処理する一のデルタシグマ変調回路122の回路状態が、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBを処理する他のデルタシグマ変調回路122の初期状態に近づくように、一のデルタシグマ変調回路122のゲインが調整される。この場合、ゲインが調整されない場合と比較して、一の入力信号ブロックISBから生成される一の出力信号ブロックOSBと他の入力信号ブロックISBから生成される他の出力信号ブロックOSBとの境界における信号の不連続性が緩和される。というのも、上述したように、信号の不連続性が生ずる原因は、時間的に先行する一の入力信号ブロックISBの末尾信号ブロック部分EISBを処理する一のデルタシグマ変調回路122の回路状態が、後続する他の入力信号ブロックISBの先頭の信号ブロック部分を処理する他のデルタシグマ変調回路122の回路状態(つまり、他のデルタシグマ変調回路122の初期状態)と同一にならないことである。第2実施形態では、時間的に先行する一の入力信号ブロックISBの末尾信号ブロック部分EISBを処理する一のデルタシグマ変調回路122の回路状態が、後続する他の入力信号ブロックISBの先頭の信号ブロック部分を処理する他のデルタシグマ変調回路122の回路状態(つまり、他のデルタシグマ変調回路122の初期状態)に近づけられる。その結果、信号の不連続性が緩和される。
【0049】
信号の不連続性が緩和されると、出力信号OSの演算誤差が小さくなることは、上述したとおりである。このため、第2実施形態の信号処理装置1bは、デルタシグマ変調回路122のゲインが調整されない第2比較例の信号処理装置と比較して、出力信号OSの演算誤差を低減することができる。
【0050】
一例として、図10(a)は、第2比較例の信号処理装置が生成した出力信号OSの演算誤差を示すグラフであり、図10(b)は、第2実施形態の信号処理装置1bが生成した出力信号OSの演算誤差を示すグラフである。図10(a)及び図10(b)に示すように、第2比較例の信号処理装置が生成した出力信号OSの演算誤差と比較して、第2実施形態の信号処理装置1bが生成した出力信号OSの演算誤差が低減されていることが分かる。
【0051】
尚、第2実施形態の信号処理装置1bは、ゲインを調整することで、実質的には、一のデルタシグマ変調回路122が一の入力信号ブロックISBを処理した結果(つまり、一の出力信号ブロックOSB)と、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBを処理する他のデルタシグマ変調回路122の回路状態とが反映された一の出力信号ブロックOSBを生成していると言える。この観点において、第2実施形態の信号処理装置1bは、第1実施形態の信号処理装置1aと同じであるとみなしてもよい。つまり、第1実施形態の信号処理装置1a及び第2実施形態の信号処理装置1bは、いずれも、一のデルタシグマ変調回路122が一の入力信号ブロックISBを処理した結果(つまり、一の出力信号ブロックOSB)と、一の入力信号ブロックISBの直後に位置する他の入力信号ブロックISBを処理する他のデルタシグマ変調回路122の回路状態とが反映された一の出力信号ブロックOSBを生成することで、信号の不連続性を緩和しているとみなしてもよい。
【0052】
尚、ゲイン調整部123bは、図9に示すように、デルタシグマ変調回路122が末尾信号ブロック部分EISBを処理する場合に用いられるゲインが徐々に小さくなるように、ゲインを調整してもよい。例えば、ゲイン調整部123bは、ゲインが初期値の95%まで小さくなり、その後、ゲインが初期値の85%まで小さくなり、その後、ゲインが初期値の75%まで小さくなり、その後、ゲインが初期値の65%まで小さくなるように、ゲインを調整してもよい。この場合、信号の不連続性がより適切に緩和される。ここで、ゲインが調整される(つまり、変化する)と、出力信号OSの演算誤差(特に、末尾信号ブロックEISBに相当する信号成分)の演算誤差が大きくなる。このため、演算誤差につながる可能性があるゲインの調整を徐々に行うことで、演算誤差を極力小さくすることができるという利点がある。更には、演算誤差につながる可能性があるゲインの調整に上限を設けることで、大きな演算誤差が生ずることがなくなるという利点もある。
【0053】
<3>変形例
<3-1>第1変形例
上述したように、図3に示すデルタシグマ変調回路(二次のエラーフィードバック型のデルタシグマ変調回路)は、信号処理装置1で利用可能なデルタシグマ変調回路122の一例に過ぎない。しかしながら、デルタシグマ変調回路122が図3及び図8に示すデルタシグマ変調回路に限定されることはない。つまり、信号処理装置1は、図3及び図8に示すデルタシグマ変調回路とは異なるデルタシグマ変調回路122を備えていてもよい。
【0054】
例えば、デルタシグマ変調回路122の一変形例の構成を示す図11に示すように、デルタシグマ変調回路122は、1ビット量子化器1221と、減算器1222#2と、減算器1222#3と、遅延器1223#3と、遅延器1223#4と、遅延器1223#5と、加算器1225#3と、加算器1225#4と、増幅器1226#3と、増幅器1226#4と、増幅器1226#5とを備えていてもよい。減算器1222#2、減算器1222#3及び遅延器1223#5は、デルタシグマ変調回路122から出力される出力信号ブロックOSBを1クロックだけ遅延させて入力信号ブロックISBに反映する微分器(デルタ回路)として機能する。遅延器1223#3及び加算器1225#3は、信号を積算する一次の積分器(シグマ回路)として機能する。遅延器1223#4及び加算器1225#4は、信号を積算する二次の積分器(シグマ回路)として機能する。
【0055】
この場合においても、第2実施形態の信号処理装置2bは、ゲイン調整部123bを用いて、フィードバック経路FBRを介して入力にフィードバックされるフィードバック信号の大きさを調整してもよい。図11に示す例では、信号処理装置2bは、ゲイン調整部123bを用いて、遅延器1223#3に入力される(記憶される)信号の大きさを制御可能な増幅器1226#3のゲインD、遅延器1223#4に入力される(記憶される)信号の大きさを制御可能な増幅器1226#4のゲインE、及び、遅延器1223#5に入力される(記憶される)信号の大きさを制御可能な増幅器1226#5のゲインFの少なくとも一つを調整してもよい。つまり、第2実施形態の信号処理装置2bは、ゲイン調整部123bを用いて、フィードバック経路FBRを介して入力にフィードバックされるフィードバック信号の大きさを調整することができる限りは、上述した効果を享受することができる。
【0056】
<3-2>第2変形例
上述した信号処理装置1の機能は、ソフトウェアによって実現されてもよい。上述した信号処理装置1の機能は、ハードウェアによって実現されてもよい。上述した信号処理装置1の機能は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムコード(インストラクション)は、例えば、信号処理装置1の内部又は外部のコンピュータ読取可能な記録媒体において記憶されてもよい。プログラムコードは、その実行時にメモリへ読み込まれてプロセッサにより実行されてよい。また、プログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な非一時的記録媒体が提供されてもよい。
【0057】
例えば、図12は、信号処理装置1の機能を実現するソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを示す一例である。信号処理装置1は、非一時的記録媒体であるメモリ1001と、プロセッサ1002と、入力インタフェース1003と、出力インタフェース1004とを備えていてもい。メモリ1001と、プロセッサ1002と、入力インタフェース1003と、出力インタフェース1004とは、内部バス1005を介して互いに接続されていてもよい。メモリ1001は、信号処理装置1の機能ブロック(具体的には、分配部11、並列回路部12及び結合部13、又は、分配部11b、並列回路部12b及び結合部13b)を実現するプログラム(プログラムコード)1001を記録していてもよい。更に、メモリ1001は、入力インタフェース1003を介して信号処理装置1に入力される信号(例えば、入力信号IS)を一時的に記憶する入力信号記憶部1012と、出力インタフェース1004を介して信号処理装置1から出力される信号(例えば、出力信号OS)を一時的に記憶する出力信号記憶部1013とを含んでいてもよい。信号処理装置1の機能ブロックを実現するプログラムコードは、プロセッサ2003により実行される。その結果、信号処理装置1の機能ブロックが、プロセッサ1002内に実現されてもよい。
【0058】
<4>付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
入力信号から出力信号を生成する信号処理装置であって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割し、分割した前記複数の入力信号ブロックを複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配する分配部と、
前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する前記複数のデルタシグマ変調回路を含む並列回路部と、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成する結合部と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、
前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、
前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態と
が反映されるように、前記出力信号を生成する
信号処理装置。
[付記2]
前記分配部は、前記第2入力信号ブロックの末尾に、前記第2入力信号ブロックの直後に位置する第1入力信号ブロックのうちの先頭から所定の第1長さを有するオーバーラップデータを付加し、前記オーバーラップデータが付加された前記第2入力信号ブロックを前記第2のデルタシグマ変調回路に分配し、
前記結合部は、前記第1デルタシグマ変調回路が前記第1入力信号ブロックのうちの前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第2デルタシグマ変調回路が前記第2入力信号ブロックに付加されたオーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果とに基づいて、前記第1出力信号ブロックの少なくとも一部を算出することで、前記第2のデルタシグマ変調回路の状態が反映された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成する
付記1に記載の信号処理装置。
[付記3]
前記結合部は、前記第1デルタシグマ変調回路が前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第2デルタシグマ変調回路が前記オーバーラップデータにデルタシグマ変調を施した結果との平均値を、前記第1出力信号ブロックの少なくとも一部として算出する
付記2に記載の信号処理装置。
[付記4]
前記並列回路部は、前記第1入力信号ブロックのうちの末尾から所定の第2長さを有する信号ブロック部分にデルタシグマ変調を施す前記第1デルタシグマ変調回路の状態が、前記第2入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す前記第2デルタシグマ変調回路の初期状態に近づくように、前記第1デルタシグマ変調回路の状態を制御し、
前記結合部は、前記並列回路部によって状態が制御された前記第1デルタシグマ変調回路が第1入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施すことで生成された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成することで、前記第2のデルタシグマ変調回路の状態が反映された前記第1出力信号ブロックを含む前記出力信号を生成する
付記1から3のいずれか一項に記載の信号処理装置。
[付記5]
前記第1デルタシグマ変調回路は、前記第1デルタシグマ変調回路内でフィードバックされるフィードバック信号の大きさを制御するためのゲインを変更することで、前記第1デルタシグマ変調回路の状態を制御する
付記4に記載の信号処理装置。
[付記6]
入力信号から出力信号を生成する信号処理方法であって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、
分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することと
を備え、
前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する
信号処理方法。
[付記7]
入力信号から出力信号を生成する信号処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
入力信号を、それぞれが所定のデータ長を有する複数の入力信号ブロックに分割することと、
分割した前記複数の入力信号ブロックを、前記複数の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施して複数の出力信号ブロックを出力する複数のデルタシグマ変調回路に分割順に分配することと、
前記並列回路部から出力される前記複数の出力信号ブロックを結合して出力信号を生成することと
を備え、
前記情報処理方法は、前記出力信号に含まれる第1の出力信号ブロックに、前記第1の出力信号ブロックに対応する第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第1のデルタシグマ変調回路が前記第1の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施した結果と、前記第1の入力信号ブロックの直前又は直後に位置する第2の入力信号ブロックにデルタシグマ変調を施す第2のデルタシグマ変調回路の状態とが反映されるように、前記出力信号を生成する
コンピュータプログラム。
【0059】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラム
もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1、1a、1b 信号処理装置
11、11b 分配部
12、12b 並列回路部
123b ゲイン調整部
122 デルタシグマ変調回路
13、13b 結合部
IS 入力信号
ISB 入力信号ブロック
OS 出力信号
OSB 出力信号ブロック
OD オーバーラップデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12