(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165818
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20241121BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F04D29/42 A
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082337
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】雫 修通
(72)【発明者】
【氏名】レ ティ タン タオ
(72)【発明者】
【氏名】古川 知史
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA95A
3H130BA95G
3H130CA21
3H130DD01X
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EB01A
3H130EB01G
3H130EC17A
3H130ED02A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産性を向上できる構造を有するポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ100は、中心軸線Jを中心として回転可能なロータ10と、軸方向に延び、ロータを回転可能に支持する固定シャフトと、ロータの径方向外側に位置し、ロータを囲むステータ20と、ロータの軸方向一方側に繋がるポンプ部40と、ロータを内部に収容し軸方向一方側に開口するロータ収容部64を有する樹脂製の第1ハウジング60と、第1ハウジングの軸方向一方側に位置する第2ハウジング70と、を備える。ステータは、少なくとも一部が第1ハウジングに埋め込まれて保持されたステータコア21と、ステータコアに取り付けられた複数のコイル23と、を有する。第1ハウジングは、第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第1凹部66aを有する。ステータコアは、軸方向一方側を向き第1凹部の内部に露出する第1露出面を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータと、
軸方向に延び、前記ロータを回転可能に支持する固定シャフトと、
前記ロータの径方向外側に位置し、前記ロータを囲むステータと、
前記ロータの軸方向一方側に繋がるポンプ部と、
前記ロータを内部に収容し軸方向一方側に開口するロータ収容部を有する樹脂製の第1ハウジングと、
前記第1ハウジングの軸方向一方側に位置する第2ハウジングと、
を備え、
前記ステータは、
少なくとも一部が前記第1ハウジングに埋め込まれて保持されたステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、
を有し、
前記ロータ収容部は、前記ロータを軸方向他方側から覆う軸方向壁部を有し、
前記固定シャフトの軸方向他方側の端部は、前記軸方向壁部に埋め込まれて保持され、
前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第1凹部を有し、
前記ステータコアは、軸方向一方側を向き前記第1凹部の内部に露出する第1露出面を有する、ポンプ。
【請求項2】
前記ステータコアは、径方向外側を向き前記第1凹部の内部に露出する第2露出面を有する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記ステータコアは、
前記ロータを囲む環状のコアバックと、
前記コアバックから径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティースと、
前記コアバックから径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記第1露出面および前記第2露出面は、前記突出部に設けられている、請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記突出部は、前記突出部の径方向外側の面から径方向内側に窪むコア凹部を有し、
前記第1露出面は、前記突出部の軸方向一方側の端面に設けられ、
前記第2露出面は、前記コア凹部の内面のうち径方向内側に位置する部分に設けられている、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ステータコアは、
前記ロータを囲む環状のコアバックと、
前記コアバックから径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティースと、
前記コアバックから径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記第1露出面は、前記突出部に設けられている、請求項1に記載のポンプ。
【請求項6】
前記突出部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記ティース同士の間に位置する部分に繋がっている、請求項3に記載のポンプ。
【請求項7】
前記突出部は、周方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項3に記載のポンプ。
【請求項8】
前記第2ハウジングは、前記ポンプ部の径方向外側に位置する流路部を有し、
前記第1凹部は、前記流路部よりも径方向外側に位置する、請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
前記第2ハウジングは、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞いでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記第2ハウジングは、樹脂製であり、前記第1ハウジングと溶着によって固定された溶着固定部を有し、
前記溶着固定部は、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞いでいる、請求項9に記載のポンプ。
【請求項11】
前記第1ハウジングは、
前記ステータコアの少なくとも一部が埋め込まれて保持された大径部と、
前記大径部の軸方向他方側に繋がり、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、
を有し、
前記第1ハウジングの径方向外側の面における前記大径部と前記小径部との軸方向の間には、軸方向他方側を向く段差面を有する段差部が設けられ、
前記第1凹部は、前記大径部の軸方向一方側の面に設けられている、請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第2凹部を有し、
前記第2凹部は、前記第1凹部よりも径方向内側に位置し、
前記第2ハウジングは、前記溶着固定部の径方向内側に位置する凸部を有し、
前記凸部は、軸方向他方側に突出し、前記第2凹部の内部に挿入されている、請求項10に記載のポンプ。
【請求項13】
前記第2凹部の内面のうち軸方向他方側に位置する部分と前記凸部の軸方向他方側の端部との間の軸方向の距離は、前記第2凹部の内面のうち径方向内側に位置する部分と前記凸部の径方向内側の端部との間の径方向の距離よりも大きい、請求項12に記載のポンプ。
【請求項14】
前記第1ハウジングに設けられ、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞ぐ閉塞部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項15】
前記閉塞部は、前記第1凹部の内部に充填されている、請求項14に記載のポンプ。
【請求項16】
前記閉塞部を構成する材料は、前記第1ハウジングを構成する材料と同じである、請求項14に記載のポンプ。
【請求項17】
前記閉塞部は、前記第1ハウジングの一部が前記第1凹部の内面に溶着された溶着部である、請求項16に記載のポンプ。
【請求項18】
前記閉塞部を構成する材料は、前記第1ハウジングを構成する材料と異なる材料である、請求項14に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部材およびステータをインサート部材として樹脂製のケーシングがインサート成形された構造を有する電動ポンプが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動ポンプにおいては、軸部材とステータとの両方を金型に対して保持させてケーシングのインサート成形を行う必要がある。そのため、ケーシングのインサート成形を行いにくい場合があり、ポンプの生産性が低下する場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、生産性を向上できる構造を有するポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポンプの一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータと、軸方向に延び、前記ロータを回転可能に支持する固定シャフトと、前記ロータの径方向外側に位置し、前記ロータを囲むステータと、前記ロータの軸方向一方側に繋がるポンプ部と、前記ロータを内部に収容し軸方向一方側に開口するロータ収容部を有する樹脂製の第1ハウジングと、前記第1ハウジングの軸方向一方側に位置する第2ハウジングと、を備える。前記ステータは、少なくとも一部が前記第1ハウジングに埋め込まれて保持されたステータコアと、前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、を有する。前記ロータ収容部は、前記ロータを軸方向他方側から覆う軸方向壁部を有する。前記固定シャフトの軸方向他方側の端部は、前記軸方向壁部に埋め込まれて保持されている。前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第1凹部を有する。前記ステータコアは、軸方向一方側を向き前記第1凹部の内部に露出する第1露出面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、ポンプの生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるポンプを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるポンプを示す断面図であって、
図3におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるポンプを示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態におけるステータコアを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における第1ハウジングを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における第1凹部を下側から見た図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態におけるポンプの一部を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態における第2ハウジングを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態における第2ハウジングおよびポンプ部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態における第1ハウジングをインサート成形する手順の一部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態におけるステータコアの突出部を支持ピン部によって支持する状態を示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態における第1ハウジングと第2ハウジングとを溶着によって互いに固定する手順の一部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態におけるポンプの一部を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態におけるポンプの一部を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態における第1凹部の下側の開口を塞ぐ手順の一部を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態におけるポンプの一部を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態におけるポンプの一部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図には、以下に説明する実施形態のポンプにおける中心軸線Jを仮想的に示している。以下の説明においては、中心軸線Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図に示すZ軸は、中心軸線Jが延びる方向を示している。以下の説明においては、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。
【0010】
以下の実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。また、
図2では、説明のために、中心軸線Jを挟んだ左右両側のそれぞれにおいて異なる周方向位置の断面を示している。
【0011】
<第1実施形態>
図1および
図2に示す本実施形態のポンプ100は、水を送るウォータポンプである。
図2に示すように、本実施形態のポンプ100は、ロータ10と、ステータ20と、固定シャフト30と、ポンプ部40と、ハウジング50と、基板90と、を備える。ハウジング50は、樹脂製の第1ハウジング60と、第2ハウジング70と、蓋部材80と、を有する。つまり、ポンプ100は、第1ハウジング60と、第2ハウジング70と、蓋部材80と、を備える。
【0012】
ロータ10は、中心軸線Jを中心として回転可能である。ロータ10は、ロータコア11と、マグネット12と、第1樹脂部13と、第2樹脂部14と、ガイド部材15と、を有する。
図3に示すように、ロータコア11は、中心軸線Jを囲む環状である。マグネット12は、ロータコア11の径方向外側の面に固定されている。マグネット12は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態においてマグネット12は、8つ設けられている。
【0013】
第1樹脂部13は、中心軸線Jを囲み、軸方向に延びる略円筒状である。
図2に示すように、第1樹脂部13は、ロータコア11および複数のマグネット12を径方向外側および軸方向両側から覆っている。ロータコア11および複数のマグネット12は、第1樹脂部13に埋め込まれている。本実施形態において第1樹脂部13は、ロータコア11および複数のマグネット12をインサート部材としたインサート成形によって作られている。
【0014】
第2樹脂部14は、中心軸線Jを囲み、軸方向に延びる略円筒状である。第2樹脂部14は、ロータコア11の径方向内側に位置する。第2樹脂部14は、ロータコア11の径方向内側の面を覆っている。第2樹脂部14は、第1樹脂部13を軸方向に挟む部分を有する。第2樹脂部14は、第1樹脂部13に固定されている。本実施形態において第2樹脂部14は、インサート成形によって一体的に成形されたロータコア11、複数のマグネット12、および第1樹脂部13からなる成形体と、ガイド部材15とをインサート部材としたインサート成形によって作られている。
【0015】
ガイド部材15は、中心軸線Jを囲み、軸方向に延びる略円筒状である。ガイド部材15は、第2樹脂部14の径方向内側に位置する。ガイド部材15の外周面は、第2樹脂部14の内周面に固定されている。ガイド部材15は、例えば、樹脂製である。
【0016】
ステータ20は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ20は、ロータ10を囲んでいる。ステータ20は、ステータコア21と、ステータコア21に取り付けられたインシュレータ22と、インシュレータ22を介してステータコア21に取り付けられた複数のコイル23と、を有する。
【0017】
ステータコア21は、ロータコア11および複数のマグネット12の径方向外側に位置し、ロータコア11および複数のマグネット12を囲んでいる。ステータコア21は、例えば、複数の板部材が軸方向に積層されて構成されている。ステータコア21を構成する複数の板部材は、例えば、電磁鋼板である。ステータコア21の少なくとも一部は、樹脂製の第1ハウジング60に埋め込まれている保持されている。本実施形態においてステータコア21は、全体が第1ハウジング60に埋め込まれている。
図3に示すように、ステータコア21は、ロータ10を囲む環状のコアバック24と、コアバック24から径方向内側に延びる複数のティース25と、コアバック24から径方向外側に突出する突出部26と、を有する。
【0018】
コアバック24は、中心軸線Jを中心とする略円環状である。コアバック24の内周面と外周面との間の径方向の寸法、すなわちコアバック24の径方向の厚さは、ティース25のうちコアバック24に繋がる部分、すなわちティース25の径方向外側の端部における周方向の寸法よりも小さい。複数のティース25は、周方向に間隔を空けて配置されている。より詳細には、複数のティース25は、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態においてティース25は、6つ設けられている。
【0019】
突出部26は、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなる略台形状である。
図4に示すように、本実施形態において突出部26の軸方向の寸法は、コアバック24の軸方向の寸法およびティース25の軸方向の寸法と同じである。突出部26は、突出部26の径方向外側の面から径方向内側に窪むコア凹部26aを有する。本実施形態においてコア凹部26aは、軸方向に延び、軸方向の両側に開口する溝である。コア凹部26aの内部は、軸方向に見て、略矩形状である。コア凹部26aは、突出部26の径方向外側の面における周方向の中央部に設けられている。
図1に示すように、コア凹部26aの内部における上側部分には、第1ハウジング60を構成する樹脂が充填されている。コア凹部26aの内部における下側部分は、樹脂が充填されていない空隙部となっている。
【0020】
図4に示すように、突出部26は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態において突出部26は、4つ設けられている。各突出部26は、コアバック24のうち周方向に隣り合うティース25同士の間に位置する部分にそれぞれ繋がっている。そのため、突出部26を設けても、コアバック24とティース25との間における磁束の流れが阻害されにくくできる。各突出部26は、コアバック24のうち周方向に隣り合うティース25同士の間に位置する部分のそれぞれにおける周方向の中央部に繋がっている。4つの突出部26は、周方向において1つのティース25を挟んで配置された一対の突出部26と、周方向において他の1つのティース25を挟んで配置された一対の突出部26と、を含む。周方向において一方の一対の突出部26同士の間に位置するティース25と、周方向において他方の一対の突出部26同士の間に位置するティース25とは、中心軸線Jを径方向に挟んで配置されている。複数のコイル23は、インシュレータ22を介して、複数のティース25にそれぞれ取り付けられている。複数のコイル23は、図示しない導電部材を介して基板90と電気的に接続されている。
【0021】
図2に示すように、固定シャフト30は、軸方向に延びている。より詳細には、固定シャフト30は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる略円柱状である。固定シャフト30は、ロータ10におけるガイド部材15の径方向内側に位置する。固定シャフト30は、ガイド部材15の径方向内側に軸方向に通されている。固定シャフト30は、ガイド部材15よりも軸方向両側に突出している。固定シャフト30は、ガイド部材15の径方向内側に隙間嵌めされている。固定シャフト30は、ガイド部材15の内周面を支持することで、ロータ10を回転可能に支持している。
【0022】
固定シャフト30の上側の端部は、第1ハウジング60における後述する軸方向壁部64aに埋め込まれて保持されている。固定シャフト30は、軸方向壁部64aから下側に延びている。固定シャフト30の下側の端部は、後述するロータ収容部64よりも下側に位置する。固定シャフト30のうち軸方向壁部64aに埋め込まれた部分には、中心軸線Jを径方向に挟んで配置された一対のシャフト凹部31が設けられている。一対のシャフト凹部31内に軸方向壁部64aを構成する樹脂の一部が位置することで、固定シャフト30が軸方向壁部64aから外れることが抑制されている。
【0023】
ポンプ部40は、ロータ10の下側に繋がっている。本実施形態においてポンプ部40は、インペラである。ポンプ部40は、ロータ10が中心軸線J回りに回転すると、中心軸線J回りに回転する。ポンプ部40は、樹脂製である。ポンプ部40は、インペラ本体部41と、シュラウド部42と、複数の羽根部43と、を有する。本実施形態においてインペラ本体部41は、第2樹脂部14の下側の端部に繋がっている。第2樹脂部14とインペラ本体部41とは、同一の単一部材の一部である。インペラ本体部41は、第2樹脂部14がインサート成形で作られる際に同時に作られる。インペラ本体部41は、中心軸線Jを中心とする略円板状である。インペラ本体部41の外径は、第2樹脂部14の下端部における外径よりも大きい。
【0024】
シュラウド部42は、インペラ本体部41と別体である。シュラウド部42は、インペラ本体部41の下側に間隔を空けて配置されている。シュラウド部42は、中心軸線Jを中心とする円環状である。複数の羽根部43は、インペラ本体部41とシュラウド部42との軸方向の間に位置する。複数の羽根部43は、周方向に間隔を空けて配置されている。複数の羽根部43の下側の端部は、シュラウド部42に繋がっている。本実施形態においてシュラウド部42と複数の羽根部43とは、同一の単一部材の一部である。複数の羽根部43の上側の端部は、インペラ本体部41に接触している。
【0025】
図1および
図5に示すように、本実施形態において第1ハウジング60は、中心軸線Jを中心とする略円柱状の部材である。
図2に示すように、第1ハウジング60は、ロータ10を内部に収容するロータ収容部64と、基板90を内部に収容する基板収容部65と、を有する。
【0026】
ロータ収容部64は、中心軸線Jを囲み、下側に開口する筒状である。本実施形態においてロータ収容部64は、中心軸線Jを中心とし、下側に開口する略円筒状である。ロータ収容部64は、軸方向壁部64aと、周壁部64bと、を有する。軸方向壁部64aは、ロータ収容部64を構成する壁部のうち上側に位置する壁部である。本実施形態において軸方向壁部64aは、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円形状である。軸方向壁部64aは、ロータ10を上側から覆っている。本実施形態において軸方向壁部64aは、ロータ収容部64の内部と基板収容部65の内部とを軸方向に隔てる隔壁部である。軸方向壁部64aには、固定シャフト30の上側の端部が埋め込まれている。軸方向壁部64aは、固定シャフト30の上側に位置する被覆部64cを有する。被覆部64cは、固定シャフト30の上側の端面の全体を覆っている。固定シャフト30のうち軸方向壁部64aに埋め込まれた部分よりも下側の部分は、下側の端部を除いてロータ収容部64の内部に位置する。
【0027】
周壁部64bは、ロータ収容部64を構成する壁部のうちロータ10の径方向外側に位置する部分である。周壁部64bは、軸方向壁部64aの径方向外周縁部から下側に延びている。周壁部64bは、中心軸線Jを囲み、下側に開口する筒状である。より詳細には、周壁部64bは、中心軸線Jを中心とし、下側に開口する略円筒状である。周壁部64bには、ステータ20が埋め込まれている。本実施形態において周壁部64bの径方向内側面と径方向外側面との間の径方向の寸法は、軸方向壁部64aの軸方向の寸法よりも大きい。
【0028】
基板収容部65は、ロータ収容部64の上側に位置する。基板収容部65は、中心軸線Jを囲み、上側に開口する筒状である。基板収容部65を構成する壁部のうち下側に位置する壁部は、軸方向壁部64aである。基板収容部65の上側の端部には、蓋部材80が固定されている。蓋部材80は、基板収容部65の上側の開口を塞いでいる。
図1に示すように、蓋部材80には、上側に突出するコネクタ部81が設けられている。
【0029】
第1ハウジング60は、大径部61と、大径部61の上側に繋がる小径部62と、を有する。大径部61の下側の端部は、第1ハウジング60の下側の端部である。
図2に示すように、大径部61の上側の端部は、ステータコア21の上側の端部よりも上側に位置する。大径部61は、周壁部64bの一部によって構成されている。大径部61の下側の端部は、周壁部64bの下側の端部である。大径部61には、ステータコア21の少なくとも一部が埋め込まれて保持されている。本実施形態において大径部61には、ステータコア21の全体が埋め込まれている。小径部62の上側の端部は、第1ハウジング60の上側の端部である。小径部62の外径は、大径部61の外径よりも小さい。小径部62は、周壁部64bの一部と基板収容部65とによって構成されている。
【0030】
図1に示すように、第1ハウジング60の径方向外側の面における大径部61と小径部62との軸方向の間には、上側を向く段差面63aを有する段差部63が設けられている。本実施形態において段差面63aは、軸方向と直交する平面である。段差面63aは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。段差面63aは、大径部61の上側の端部のうち小径部62よりも径方向外側に位置する部分における上側の端面である。
【0031】
図5に示すように、第1ハウジング60の下側の面における径方向外縁部は、第1溶着固定部67である。第1溶着固定部67は、溶着によって第2ハウジング70と固定された部分である。第1溶着固定部67は、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第1溶着固定部67は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0032】
第1ハウジング60は、第1ハウジング60の下側の面から上側に窪む第1凹部66aを有する。第1ハウジング60の下側の面は、大径部61の下側の面である。つまり、本実施形態において第1凹部66aは、大径部61の下側の面に設けられている。第1ハウジング60の下側の面は、中心軸線Jを中心とする円環状である。第1凹部66aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態において第1凹部66aは、4つ設けられている。本実施形態において各第1凹部66aは、第1溶着固定部67に設けられている。各第1凹部66aの下側の端部は、第1溶着固定部67に開口している。
【0033】
図6および
図7に示すように、各第1凹部66aは、各突出部26の径方向外側部分と軸方向に見て重なる位置にそれぞれ配置されている。
図6に示すように、第1凹部66aは、軸方向に見て、周方向に延びている。本実施形態において第1凹部66aは、軸方向に見て、略長方形状である。第1凹部66aは、軸方向に見て、突出部26に設けられたコア凹部26aの内部と突出部26のうちコア凹部26aの周方向両側に位置する部分とに重なっている。本実施形態において第1凹部66aの径方向の寸法は、コア凹部26aの径方向の寸法と同じである。第1凹部66aの周方向の寸法は、コア凹部26aの周方向の寸法よりも大きい。
【0034】
図2に示すように、第1凹部66aの上側の端部は、突出部26の上側の端部よりも下側で、かつ、突出部26の下側の端部よりも上側に位置する。第1凹部66aの上側部分における内部には、突出部26の径方向外側の部分における下側部分が位置する。第1凹部66aの内部は、コア凹部26aの内部における下側部分を含む。
【0035】
図7に示すように、第1凹部66aの内部には、ステータコア21の外面の一部が露出している。本実施形態においてステータコア21は、第1凹部66aの内部に露出する面として、第1露出面21aと、第2露出面21bと、第3露出面21cと、を有する。本実施形態において第1露出面21a、第2露出面21b、および第3露出面21cは、突出部26に設けられている。本実施形態においてステータ20の外面のうち第1露出面21a、第2露出面21b、および第3露出面21cを除く部分は、全体が第1ハウジング60を構成する樹脂によって覆われている。
【0036】
第1露出面21aは、下側を向く面である。本実施形態において第1露出面21aは、突出部26の下側の端面に設けられている。より詳細には、
図6に示すように、本実施形態において第1露出面21aは、突出部26の下側の端面のうちコア凹部26aの周方向両側に位置する部分である。本実施形態において第1露出面21aは、軸方向と直交する平面である。
【0037】
第2露出面21bは、径方向外側を向く面である。本実施形態において第2露出面21bは、コア凹部26aの内面のうち径方向内側に位置する部分に設けられている。より詳細には、第2露出面21bは、コア凹部26aの内面のうち径方向内側に位置する部分における下側部分である。
【0038】
第3露出面21cは、周方向を向く面である。本実施形態において第3露出面21cは、コア凹部26aの内面のうち周方向両側に位置する部分にそれぞれ設けられている。一対の第3露出面21cは、周方向に間隔を空けて対向している。一対の第3露出面21cは、それぞれ、コア凹部26aの内面のうち周方向両側に位置する部分における下側部分である。
【0039】
図5に示すように、第1ハウジング60は、第1ハウジング60の下側の面から上側に窪む第2凹部66bを有する。本実施形態において第2凹部66bは、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第2凹部66bは、中心軸線Jを中心とする円環状である。第2凹部66bは、第1凹部66aよりも径方向内側に位置する。第2凹部66bは、第1溶着固定部67の径方向内側に隣り合って配置されている。
図7に示すように、第2凹部66bの上側の端部は、第1凹部66aの上側の端部よりも下側に位置する。
【0040】
図5に示すように、第1ハウジング60は、第1ハウジング60の下側の面から上側に窪む第3凹部66cを有する。第3凹部66cは、第2凹部66bよりも径方向内側に位置する。第3凹部66cは、第1ハウジング60の下側の面における径方向内縁部に設けられている。第3凹部66cは、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第3凹部66cは、中心軸線Jを中心とする円環状である。第3凹部66cは、径方向内側に開口する。第1ハウジング60の下側の面のうち第2凹部66bと第3凹部66cとの径方向の間に位置する部分は、第1溶着固定部67よりも上側に位置する。
【0041】
第1ハウジング60は、第1ハウジング60の径方向外側の面から径方向内側に窪む第4凹部61aを有する。第4凹部61aは、径方向外側から見て矩形状である。第4凹部61aの上側の端部は、大径部61の上側の端部に設けられ、上側に開口している。第4凹部61aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の第4凹部61aは、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。
図3に示すように、第4凹部61aは、周方向において突出部26と異なる位置に設けられている。コアバック24のうち周方向に隣り合う突出部26同士の間に位置する部分の径方向外側には、少なくとも1つの第4凹部61aが設けられている。第4凹部61aを設けることによって、第1ハウジング60のうち、突出部26と周方向に異なる位置に設けられたコアバック24の部分を径方向外側から覆う部分における径方向の肉厚を小さくできる。これにより、第1ハウジング60をインサート成形する際に、ヒケが生じにくくできる。また、第4凹部61aを設けることによって、第1ハウジング60を軽量化できる。
【0042】
図2に示すように、第2ハウジング70は、第1ハウジング60の下側に位置する。第2ハウジング70は、第1ハウジング60に固定されている。本実施形態において第2ハウジング70は、樹脂製である。第2ハウジング70は、中心軸線Jを囲む環状の底壁部71と、底壁部71の径方向外縁部から上側に突出する環状壁部72と、を有する。底壁部71は、ポンプ部40の下側に位置する。底壁部71の径方向外側の端部は、ポンプ部40よりも径方向外側に位置する。環状壁部72は、第1ハウジング60と固定されている。環状壁部72の径方向内側には、ポンプ部40が収容されている。
【0043】
図8に示すように、第2ハウジング70は、環状壁部72から径方向外側に突出する複数の固定部73を有する。複数の固定部73は、周方向に間隔を空けて配置されている。複数の固定部73は、ポンプ100が取り付けられる機器に対して固定される部分である。各固定部73は、例えば、各固定部73を軸方向に貫通するボルトによって、ポンプ100が取り付けられる機器に固定される。
【0044】
図2に示すように、第2ハウジング70は、吸入口74aと、流路部76と、を有する。吸入口74aは、底壁部71の径方向内縁部から下側に突出している。本実施形態において吸入口74aは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。吸入口74aは、下側に開口している。流路部76は、ポンプ部40の径方向外側に位置する。流路部76は、ポンプ部40と環状壁部72との径方向の間に設けられている。流路部76は、第1凹部66aよりも径方向内側に位置する。つまり、本実施形態において第1凹部66aは、流路部76よりも径方向外側に位置する。第1凹部66aは、軸方向に見て、流路部76と重ならない位置に配置されている。
【0045】
図9に示すように、流路部76は、周方向に延びている。
図9に示す矢印θは、ロータ10と共にポンプ部40が回転する向きを示している。本実施形態においてロータ10およびポンプ部40は、上側から見て中心軸線Jを中心として反時計回りに進む向きに回転する。流路部76の流路幅、すなわち流路部76の径方向の寸法は、ポンプ部40の回転方向における前方側(+θ側)に向かうに従って、大きくなっている。
【0046】
第2ハウジング70は、吐出口74bを有する。吐出口74bは、環状壁部72から軸方向と直交する方向に延びる筒状である。吐出口74bの内径は、吐出口74bの先端部に向かうに従って大きくなっている。吐出口74bの基端部には、流路部76の下流側(+θ側)の端部が繋がっている。ロータ10が回転してポンプ部40が回転すると、吸入口74aからポンプ部40内に水が吸入される。ポンプ部40に吸入された水は、ポンプ部40から径方向外側に吐出され、流路部76に沿って周方向に流れて吐出口74bからポンプ100の外部に吐出される。なお、吸入口74aから吸入された水の一部は、ロータ収容部64内にも流入する。
【0047】
図2に示すように、第2ハウジング70は、ロータ10を下側から支持する支持部75を有する。支持部75は、支持本体部75aと、複数の脚部75bと、を有する。支持本体部75aは、ワッシャ32を介してロータ10を下側から支持している。ワッシャ32の内側には、固定シャフト30が軸方向に通されている。ワッシャ32は、支持本体部75aの上側の端部とガイド部材15の下側の端部とに接触している。複数の脚部75bは、吸入口74aの内周面から上側に延びている。複数の脚部75bの上側の端部は、支持本体部75aに繋がっている。
【0048】
図8に示すように、第2ハウジング70は、第2ハウジング70の上側の面に設けられた第2溶着固定部77を有する。本実施形態において第2溶着固定部77は、環状壁部72の上側の面に設けられた環状の溝72aの溝底面である。第2溶着固定部77は、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第2溶着固定部77は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
図7に示すように、第2溶着固定部77は、第1溶着固定部67と接触している。第2溶着固定部77は、溶着によって第1溶着固定部67と固定されている。つまり、第2溶着固定部77は、第1ハウジング60と溶着によって固定された溶着固定部である。本実施形態において第2溶着固定部77は、第1凹部66aの下側の開口を塞いでいる。これにより、本実施形態において第2ハウジング70は、第1凹部66aの下側の開口を塞いでいる。
【0049】
第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを互いに固定する溶着方法は、特に限定されない。第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを互いに固定する溶着方法としては、例えば、赤外線溶着、超音波溶着、レーザー溶着、スピン溶着などを採用できる。
【0050】
図8に示すように、第2ハウジング70は、第2溶着固定部77の径方向内側に位置する凸部として第1凸部72bを有する。第1凸部72bは、第2溶着固定部77の径方向内縁部から上側に突出している。本実施形態において第1凸部72bは、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第1凸部72bは、中心軸線Jを中心とする円環状である。第1凸部72bは、溝72aの径方向内側の側壁部を構成している。
【0051】
図7に示すように、第1凸部72bは、第2凹部66b内に挿入されている。そのため、第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを溶着する際に、溶融した樹脂が各溶着固定部より径方向内側に漏れ出しても、漏れ出した樹脂を第1凸部72bによって堰き止めやすくでき、かつ、第1凸部72bによって樹脂を堰き止めきれない場合であっても第2凹部66b内に樹脂を逃がしておくことができる。また、第1溶着固定部67および第2溶着固定部77と流路部76との間に、第2凹部66bと第1凸部72bとによってラビリンス構造を設けることができる。これらにより、漏れ出した樹脂が第2凹部66bよりも径方向内側に流れることを抑制でき、漏れ出した樹脂が流路部76内へと流れることを抑制できる。
【0052】
第1凸部72bは、第2凹部66bの内面と隙間を空けて配置されている。第2凹部66bの内面のうち上側に位置する部分と第1凸部72bの上側の端部との間の軸方向の距離L1は、第2凹部66bの内面のうち径方向内側に位置する部分と第1凸部72bの径方向内側の端部との間の径方向の距離L2よりも大きい。そのため、第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを溶着する際において溶融した樹脂が径方向内側に流れた場合に、当該樹脂を第2凹部66bの内面のうち上側に位置する部分と第1凸部72bの上側の端部との間に逃がしやすくできる。また、第2凹部66bの内面のうち径方向内側に位置する部分と第1凸部72bの径方向内側の端部との隙間を相対的に狭くできるため、第2凹部66b内に流れた樹脂が当該隙間から流路部76内に流れることを好適に抑制できる。本実施形態において距離L1は、距離L2の2倍以上である。
【0053】
第2ハウジング70は、第2溶着固定部77の径方向外側に位置する第2凸部72cを有する。第2凸部72cは、第2溶着固定部77の径方向外縁部から上側に突出している。
図8に示すように、本実施形態において第2凸部72cは、中心軸線Jを囲む環状である。より詳細には、第2凸部72cは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。第2凸部72cは、溝72aの径方向外側の側壁部を構成している。第2凸部72cが設けられることによって、第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを溶着する際に、溶融した樹脂が各溶着固定部より径方向外側に漏れ出しても、漏れ出した樹脂を第2凸部72cによって堰き止めやすくできる。
【0054】
上述した本実施形態のポンプ100の製造方法は、第1ハウジング60をインサート成形によって製造する工程を含む。
図10に示すように、第1ハウジング60をインサート成形によって製造する際には、2つの金型M1,M2を用いる。2つの金型M1,M2が軸方向に連結されることによって、金型M1,M2の内部に第1ハウジング60を成形するためのキャビティCが作られる。
【0055】
金型M2は、金型M1の下側に位置する。金型M2は、基部M2aと、基部M2aの径方向の中央部から上側に突出するシャフト支持部M2bと、基部M2aの径方向外縁部から上側に突出する側壁部M2cと、基部M2aから上側に突出する支持ピン部Pと、を有する。シャフト支持部M2bには、シャフト支持部M2bの上側の面から下側に窪む穴部M2dが設けられている。穴部M2dには、固定シャフト30が嵌め合わされて保持される。これにより、第1ハウジング60をインサート成形する際に、金型M2に固定シャフト30を支持させることができる。
【0056】
支持ピン部Pは、基部M2aのうちシャフト支持部M2bと側壁部M2cとの径方向の間に位置する部分から上側に突出している。支持ピン部Pは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態において支持ピン部Pは、4つ設けられている。各支持ピン部Pは、各突出部26を下側から支持する部分である。複数の支持ピン部Pによって、複数の突出部26を下側から支持することで、ステータコア21を金型M2に対して支持させることができる。これにより、第1ハウジング60をインサート成形する際に、金型M2にステータ20を支持させることができる。
【0057】
図4および
図11に示すように、支持ピン部Pは、例えば、軸方向に延び、板面が径方向を向く板状である。支持ピン部Pは、第1部分P1と、第2部分P2と、を有する。第1部分P1の周方向の寸法は、第2部分P2の周方向の寸法よりも大きい。第2部分P2は、第1部分P1の上側の端部における周方向の中央部から上側に突出している。
【0058】
第1部分P1の上側の端部は、突出部26の下側の面に接触する。これにより、支持ピン部Pによって突出部26を下側から支持できる。突出部26の下側の面のうち第1部分P1の上側の端部が接触している部分は、第1露出面21aとなる。第2部分P2は、コア凹部26a内に嵌め合わされる。第2部分P2の軸方向の寸法は、コア凹部26aの軸方向の寸法よりも小さい。第2部分P2の径方向内側の面は、コア凹部26aの内面のうち径方向内側に位置する部分に接触する。これにより、支持ピン部Pによって突出部26を径方向外側から支持できる。コア凹部26aの内面のうち第2部分P2の径方向内側の面が接触する部分は、第2露出面21bとなる。第2部分P2の周方向両側の面は、コア凹部26aの内面のうち周方向両側に位置する部分にそれぞれ接触する。これにより、支持ピン部Pによって突出部26を周方向に支持できる。コア凹部26aの内面のうち第2部分P2の周方向両側の面が接触する部分は、第3露出面21cとなる。
【0059】
支持ピン部Pによって突出部26を軸方向、径方向、および周方向に支持できることで、金型M2に対して、ステータ20を軸方向、径方向、および周方向に位置決めしつつ支持させることができる。これにより、第1ハウジング60を成形する際に、ステータ20の位置がずれることを好適に抑制できる。
【0060】
金型M2に固定シャフト30とステータ20とを支持させた状態で金型M1と金型M2とを軸方向に連結してキャビティCを作り、キャビティC内に樹脂を流し込むことによって第1ハウジング60を成形できる。支持ピン部Pが設けられていた箇所は、第1ハウジング60における第1凹部66aとなる。また、上述したように、支持ピン部Pのうち突出部26と接触していた部分は、第1凹部66aの内部に露出する各露出面となる。
【0061】
第1ハウジング60を成形した後、作業者等は、
図12に示すように、第1ハウジング60に対してロータ10およびポンプ部40を組み付け、第1ハウジング60と第2ハウジング70とを溶着によって互いに固定する。本実施形態では、第1ハウジング60と第2ハウジング70とを接触させる前に、第1ハウジング60における第1溶着固定部67と第2ハウジング70における第2溶着固定部77とを熱Hによって溶融させる。溶融させた第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを軸方向に互いに接触させることで、第1ハウジング60と第2ハウジング70とを溶着によって固定できる。
【0062】
なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0063】
本実施形態によれば、固定シャフト30の上側の端部は、軸方向壁部64aに埋め込まれて保持されている。第1ハウジング60は、第1ハウジング60の下側の面から上側に窪む第1凹部66aを有する。ステータコア21は、下側を向き第1凹部66aの内部に露出する第1露出面21aを有する。そのため、上述したように、第1ハウジング60をインサート成形する際に、固定シャフト30が金型M2に支持される側と同じ側、すなわち下側から支持ピン部Pによってステータコア21を支持することができる。これにより、固定シャフト30とステータ20とを同一の金型M2に支持させることができる。したがって、例えば、固定シャフト30とステータ20とを互いに異なる金型に支持させる場合に比べて、固定シャフト30とステータ20とを金型M2に設置しやすくできる。そのため、第1ハウジング60をインサート成形によって製造する作業に要する工数および時間を削減できる。これにより、第1ハウジング60を製造しやすくでき、ポンプ100の生産性を向上できる。また、上側に位置する金型M1にステータ20を保持させる場合に比べて、ステータコア21を支持ピン部Pによって下側から支持させることでステータ20を容易に金型M2に設置できるため、金型M1,M2の形状が複雑化することを抑制できる。また、同一の金型M2に対して固定シャフト30とステータ20とを支持させた状態で第1ハウジング60を成形できるため、固定シャフト30とステータ20とを別々の金型に支持させる場合に比べて、固定シャフト30とステータ20との相対位置精度を向上できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ステータコア21は、径方向外側を向き第1凹部66aの内部に露出する第2露出面21bを有する。そのため、上述したように、ステータコア21を径方向外側から支持した状態で第1ハウジング60をインサート成形できる。これにり、第1ハウジング60に対するステータ20の径方向の位置精度を向上できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、ステータコア21は、周方向を向き第1凹部66aの内部に露出する第3露出面21cを有する。そのため、上述したように、ステータコア21を周方向に位置決めした状態で第1ハウジング60をインサート成形できる。これにより、第1ハウジング60に対するステータ20の周方向の位置精度を向上できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、ステータコア21は、コアバック24から径方向外側に突出する突出部26を有する。第1露出面21aおよび第2露出面21bは、突出部26に設けられている。そのため、ステータ20のうち第1ハウジング60をインサート成形する際に支持ピン部Pに支持される部分を、コアバック24よりも径方向外側にできる。これにより、支持ピン部Pが設けられることで作られる第1凹部66aの位置をコアバック24よりも径方向外側にすることができる。したがって、第1凹部66aを第2ハウジング70に設けられた流路部76よりも径方向外側に配置しやすい。そのため、第1凹部66aの下側の開口が流路部76に対して開口することを抑制できる。これにより、第1凹部66a内に流路部76内を流れる水が流入することを抑制できる。また、ステータ20を樹脂製の第1ハウジング60に埋め込んで保持する場合、コアバック24を焼き嵌め、または圧入などによってハウジング50に固定する必要がないため、コアバック24の径方向の厚さを小さくしやすい。コアバック24の径方向の厚さを小さくする場合、コアバック24に対して溝などを設けてコアバック24を支持ピン部Pに支持させる構造とすると、コアバック24における磁束の流れが阻害されやすくなる。これに対して、本実施形態では、コアバック24から径方向外側に突出する突出部26を設けて、突出部26を支持ピン部Pに支持させる構造であるため、コアバック24に支持ピン部Pに支持させるための溝などを設ける必要がない。これにより、コアバック24における磁束の流れが阻害されることを抑制できる。
【0067】
また、突出部26は、突出部26の径方向外側の面から径方向内側に窪むコア凹部26aを有する。第1露出面21aは、突出部26の下側の端面に設けられている。第2露出面21bは、コア凹部26aの内面のうち径方向内側に位置する部分に設けられている。そのため、上述したように、コア凹部26a内に支持ピン部Pの第2部分P2を嵌め合わせつつ第1部分P1によって突出部26を下側から支持させて、金型M2にステータ20を支持させることができる。これにより、ステータ20を金型M2によって軸方向および径方向に位置決めしつつ、第1ハウジング60を成形できる。また、コア凹部26a内に第2部分P2が位置することで、金型M2に支持されたステータ20が周方向に移動することも抑制できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、突出部26は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。そのため、複数の支持ピン部Pによって、ステータコア21を安定して金型M2に支持させることができる。これにより、第1ハウジング60をインサート成形する際に、キャビティC内に流し込まれた樹脂によってステータコア21が動くことを好適に抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第2ハウジング70は、ポンプ部40の径方向外側に位置する流路部76を有する。第1凹部66aは、流路部76よりも径方向外側に位置する。そのため、第1凹部66aの下側の開口が流路部76内に開口することがなく、第1凹部66a内に流路部76内を流れる水が流入することをより好適に抑制できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、第2ハウジング70は、第1凹部66aの下側の開口を塞いでいる。そのため、第1凹部66aの内部に水が入ることを好適に抑制できる。また、第2ハウジング70を第1ハウジング60に固定することで第1凹部66aの下側の開口を塞ぐことができるため、第1凹部66aの下側の開口を塞ぐ部材を別途設ける必要がない。これにより、ポンプ100の部品点数を少なくでき、ポンプ100の生産性をより向上できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、第2ハウジング70は、樹脂製であり、第1ハウジング60と溶着によって固定された第2溶着固定部77を有する。第2溶着固定部77は、第1凹部66aの下側の開口を塞いでいる。そのため、第2ハウジング70によって第1凹部66aの下側の開口をより好適に塞ぐことができる。これにより、第1凹部66a内に水が入ることをより好適に抑制できる。
【0072】
また、本実施形態によれば、第1ハウジング60は、ステータコア21の少なくとも一部が埋め込まれて保持された大径部61と、大径部61の上側に繋がり、大径部61よりも外径が小さい小径部62と、を有する。第1ハウジング60の径方向外側の面における大径部61と小径部62との軸方向の間には、上側を向く段差面63aを有する段差部63が設けられている。第1凹部66aは、大径部61の下側の面に設けられている。そのため、第2溶着固定部77を第1ハウジング60に溶着する際に、段差部63の段差面63aに治具を接触させて第1ハウジング60を保持することで、第1ハウジング60と第2ハウジング70とを溶着させる作業を安定して行うことができる。これにより、第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを好適に溶着することができ、第2溶着固定部77によって第1凹部66aの下側の開口をより好適に塞ぐことができる。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態では、ステータコア21に突出部26を設けることで、第1ハウジング60を成形する際に金型M2によって支持されるステータ20の部分を流路部76よりも径方向外側にして第1凹部66aを流路部76と軸方向に重ならない位置に配置しつつ、第2ハウジング70を第1ハウジング60に溶着することによって第1凹部66aの下側の開口を塞ぐことができる。そのため、ステータ20に対して流路部76が位置する側、すなわち下側に第1凹部66aを開口させても第1凹部66a内に流路部76内の水が入ることを抑制できるとともに、第1凹部66aを塞ぐために別途工程を設ける必要がない。これにより、第1凹部66a内に水が入ることを好適に抑制しつつ、ポンプ100の生産性を好適に向上させることができる。
【0074】
以下、上述した実施形態と異なる実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明においては、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、以下の各実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、各実施形態よりも上段において説明した構成と同様の構成を採用できる。
【0075】
<第2実施形態>
図13では、本実施形態におけるポンプ200を模式的に示している。
図13では、ロータ10およびポンプ部40の図示を省略している。
図13に示すように、本実施形態のポンプ200において、第1ハウジング260の第1凹部266aは、下側および径方向外側に開口している。第2ハウジング270は、第1凹部266aを径方向外側から塞ぐ閉塞壁部279を有する。閉塞壁部279は、環状壁部72の径方向外縁部から上側に突出している。閉塞壁部279は、中心軸線Jを中心とする円環状である。
【0076】
第1ハウジング260は、第1溶着固定部67に加えて、第3溶着固定部267を有する。第2ハウジング270は、第2溶着固定部77に加えて、第4溶着固定部277を有する。第3溶着固定部267と第4溶着固定部277とは、互いに溶着によって固定されている。第3溶着固定部267と第4溶着固定部277とを溶着する方法は、特に限定されない。第3溶着固定部267と第4溶着固定部277とを溶着する方法は、例えば、第1溶着固定部67と第2溶着固定部77とを溶着する方法と同様にできる。第3溶着固定部267は、第1ハウジング260のうちステータコア21の径方向外側に位置する部分に設けられている。第4溶着固定部277は、閉塞壁部279の上側の端部に設けられている。ポンプ200のその他の構成は、第1実施形態におけるポンプ100のその他の構成と同様である。
【0077】
<第3実施形態>
図14および
図15では、本実施形態におけるポンプ300を模式的に示している。
図14では、ロータ10およびポンプ部40の図示を省略している。
図14に示すように、本実施形態のポンプ300において、第1ハウジング360の第1凹部366aは、軸方向に見て、流路部76と重なる位置に設けられている。ポンプ300は、第1凹部366aの下側の開口を塞ぐ閉塞部369を備える。そのため、第1凹部366aの下側の開口を好適に塞ぐことができる。これにより、第1凹部366aを流路部76と軸方向に重なる位置に配置しても、第1凹部366a内に水が入ることを抑制できる。
【0078】
本実施形態において閉塞部369は、第1凹部366aの下側の端部における内部に位置する。閉塞部369は、第1凹部366aの内面に、例えば溶着によって固定されている。本実施形態において閉塞部369を構成する材料は、第1ハウジング360を構成する材料と同じである。そのため、閉塞部369を第1凹部366aの内面に溶着によって固定する場合に、閉塞部369を好適に溶着できる。また、閉塞部369を構成する材料を別途用意する必要がないため、ポンプ300の生産性をより向上できる。また、第1ハウジング360の一部を溶融して閉塞部369を作ることもできる。
【0079】
図15に示すように、本実施形態において閉塞部369は、第1ハウジング360に設けられた突起部369aを溶融することによって作ることができる。突起部369aは、第1ハウジング360の下側の面のうち第1凹部366aの開口の周縁部から下側に突出する筒状である。突起部369aに熱Hを加えて溶融させ、溶融した突起部369aを
図15において二点鎖線で示すように第1凹部366aの下側の開口内に入れることで、第1凹部366aの下側の開口を塞ぐ閉塞部369を作ることができる。このように、本実施形態において閉塞部369は、第1ハウジング360の一部が第1凹部366aの内面に溶着された溶着部である。そのため、閉塞部369を作るための別部材を用意する必要がなく、ポンプ300の生産性をより向上できる。
【0080】
第1ハウジング360をインサート成形する際には、例えば、ステータ320におけるステータコア321のうちコアバック24またはティース25が金型によって下側から支持される。この場合、ステータコア321のうち第1凹部366a内に露出する第1露出面321aは、コアバック24の下側の面またはティース25の下側の面である。ステータコア321は、突出部26を有しない点を除いて、第1実施形態におけるステータコア21と同様である。ポンプ300のその他の構成は、第1実施形態におけるポンプ100のその他の構成と同様である。
【0081】
なお、閉塞部369は、第1ハウジング360とは別体の樹脂製の部材であってもよい。この場合、閉塞部369を第1凹部366aの下側の開口内に嵌め込んだ状態で、閉塞部369と第1凹部366aの内面との間を溶着することで、閉塞部369によって第1凹部366aの下側の開口を塞ぐことができる。
【0082】
<第4実施形態>
図16では、本実施形態におけるポンプ400を模式的に示している。
図16に示すように、ポンプ400において閉塞部469は、第1凹部366aの内部に充填されている。そのため、第1凹部366a内に水が入ることをより好適に抑制できる。本実施形態において閉塞部469を構成する材料は、第1ハウジング360を構成する材料と異なる材料である。そのため、閉塞部469を構成する材料を選択する自由度を向上できる。これにより、閉塞部469を構成する材料として、第1凹部366aの下側の開口を塞ぐために好適な材料を選択しやすい。また、例えば、閉塞部469を構成する材料として、硬化するまでの時間が短い材料を用いることで、ポンプ400を製造する際の時間を短くしやすい。これにより、ポンプ400の生産性をより向上できる。閉塞部469は、例えば、ポッティング剤によって構成されている。閉塞部469は、第1凹部366aの内部全体に充填されている。ポンプ400のその他の構成は、第3実施形態のポンプ300のその他の構成と同様である。
【0083】
<第5実施形態>
図17では、本実施形態におけるポンプ500を模式的に示している。ポンプ500において、閉塞部569は、第1ハウジング360の下側の面に固定された板状の部材である。閉塞部569の板面は、軸方向を向いている。閉塞部569は、中心軸線Jを囲む板状である。閉塞部569の上側の面は、例えば、第1ハウジング360の下側の面の全体に接触している。閉塞部569を第1ハウジング360に固定する方法は、特に限定されない。閉塞部569は、例えば、溶着によって第1ハウジング360に固定できる。ポンプ500のその他の構成は、第3実施形態のポンプ300のその他の構成と同様である。
【0084】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および方法を採用することもできる。第1凹部は、第1ハウジングの軸方向一方側(下側)の面から軸方向他方側(上側)に窪むならば、どのような構成であってもよい。第1凹部は、第2ハウジングのうち第1ハウジングと溶着によって固定される溶着固定部よりも径方向外側に位置してもよい。この場合においても、第1凹部の軸方向一方側の開口が第2ハウジングに設けられた流路部内に開口することを抑制でき、第1凹部内に水が入ることを抑制できる。第1凹部の軸方向一方側の開口は、塞がれていなくてもよい。特に、第1凹部が第2ハウジングにおける溶着固定部よりも径方向外側に位置する場合には、第1凹部の軸方向一方側の開口を塞がなくても、第2ハウジングに設けられた流路部内を流れる水が第1凹部内に入ることを抑制できる。
【0085】
ステータコアは、軸方向一方側を向き第1凹部の内部に露出する第1露出面を有するならば、どのような構成であってもよい。ステータコアは、径方向外側を向く第2露出面を有しなくてもよいし、周方向を向く第3露出面を有しなくてもよい。ステータコアに設けられた露出面は、ステータコアのいずれの部分に設けられてもよい。ステータコアに突出部が設けられる場合、突出部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。
【0086】
本発明が適用されるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプは、どのような機器に搭載されてもよい。ポンプは、例えば、車両に搭載されてもよい。ポンプは、どのような流体を送るポンプであってもよい。ポンプは、オイルを送るオイルポンプであってもよい。
【0087】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータと、軸方向に延び、前記ロータを回転可能に支持する固定シャフトと、前記ロータの径方向外側に位置し、前記ロータを囲むステータと、前記ロータの軸方向一方側に繋がるポンプ部と、前記ロータを内部に収容し軸方向一方側に開口するロータ収容部を有する樹脂製の第1ハウジングと、前記第1ハウジングの軸方向一方側に位置する第2ハウジングと、を備え、前記ステータは、少なくとも一部が前記第1ハウジングに埋め込まれて保持されたステータコアと、前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、を有し、前記ロータ収容部は、前記ロータを軸方向他方側から覆う軸方向壁部を有し、前記固定シャフトの軸方向他方側の端部は、前記軸方向壁部に埋め込まれて保持され、前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第1凹部を有し、前記ステータコアは、軸方向一方側を向き前記第1凹部の内部に露出する第1露出面を有する、ポンプ。
(2) 前記ステータコアは、径方向外側を向き前記第1凹部の内部に露出する第2露出面を有する、(1)に記載のポンプ。
(3) 前記ステータコアは、前記ロータを囲む環状のコアバックと、前記コアバックから径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティースと、前記コアバックから径方向外側に突出する突出部と、を有し、前記第1露出面および前記第2露出面は、前記突出部に設けられている、(2)に記載のポンプ。
(4) 前記突出部は、前記突出部の径方向外側の面から径方向内側に窪むコア凹部を有し、前記第1露出面は、前記突出部の軸方向一方側の端面に設けられ、前記第2露出面は、前記コア凹部の内面のうち径方向内側に位置する部分に設けられている、(3)に記載のポンプ。
(5) 前記ステータコアは、前記ロータを囲む環状のコアバックと、前記コアバックから径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティースと、前記コアバックから径方向外側に突出する突出部と、を有し、前記第1露出面は、前記突出部に設けられている、(1)または(2)に記載のポンプ。
(6) 前記突出部は、前記コアバックのうち周方向に隣り合う前記ティース同士の間に位置する部分に繋がっている、(3)から(5)のいずれか一項に記載のポンプ。
(7) 前記突出部は、周方向に間隔を空けて複数設けられている、(3)から(6)のいずれか一項に記載のポンプ。
(8) 前記第2ハウジングは、前記ポンプ部の径方向外側に位置する流路部を有し、前記第1凹部は、前記流路部よりも径方向外側に位置する、(1)から(7)のいずれか一項に記載のポンプ。
(9) 前記第2ハウジングは、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞いでいる、(1)から(8)のいずれか一項に記載のポンプ。
(10) 前記第2ハウジングは、樹脂製であり、前記第1ハウジングと溶着によって固定された溶着固定部を有し、前記溶着固定部は、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞いでいる、(9)に記載のポンプ。
(11) 前記第1ハウジングは、前記ステータコアの少なくとも一部が埋め込まれて保持された大径部と、前記大径部の軸方向他方側に繋がり、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、前記第1ハウジングの径方向外側の面における前記大径部と前記小径部との軸方向の間には、軸方向他方側を向く段差面を有する段差部が設けられ、前記第1凹部は、前記大径部の軸方向一方側の面に設けられている、(10)に記載のポンプ。
(12) 前記第1ハウジングは、前記第1ハウジングの軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む第2凹部を有し、前記第2凹部は、前記第1凹部よりも径方向内側に位置し、前記第2ハウジングは、前記溶着固定部の径方向内側に位置する凸部を有し、前記凸部は、軸方向他方側に突出し、前記第2凹部の内部に挿入されている、(10)または(11)に記載のポンプ。
(13) 前記第2凹部の内面のうち軸方向他方側に位置する部分と前記凸部の軸方向他方側の端部との間の軸方向の距離は、前記第2凹部の内面のうち径方向内側に位置する部分と前記凸部の径方向内側の端部との間の径方向の距離よりも大きい、(12)に記載のポンプ。
(14) 前記第1ハウジングに設けられ、前記第1凹部の軸方向一方側の開口を塞ぐ閉塞部を備える、(1)から(8)のいずれか一項に記載のポンプ。
(15) 前記閉塞部は、前記第1凹部の内部に充填されている、(14)に記載のポンプ。
(16) 前記閉塞部を構成する材料は、前記第1ハウジングを構成する材料と同じである、(14)または(15)に記載のポンプ。
(17) 前記閉塞部は、前記第1ハウジングの一部が前記第1凹部の内面に溶着された溶着部である、(16)に記載のポンプ。
(18) 前記閉塞部を構成する材料は、前記第1ハウジングを構成する材料と異なる材料である、(14)または(15)に記載のポンプ。
【0088】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
10…ロータ、20,320…ステータ、21,321…ステータコア、21a,321a…第1露出面、21b…第2露出面、23…コイル、24…コアバック、25…ティース、26…突出部、26a…コア凹部、30…固定シャフト、40…ポンプ部、60,260,360…第1ハウジング、61…大径部、62…小径部、63…段差部、63a…段差面、64…ロータ収容部、64a…軸方向壁部、66a,266a,366a…第1凹部、66b…第2凹部、70,270…第2ハウジング、72b…第1凸部(凸部)、73…固定部、76…流路部、77…第2溶着固定部(溶着固定部)、100,200,300,400,500…ポンプ、369,469,569…閉塞部、J…中心軸線、L1,L2…距離