(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165823
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】露光装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20241121BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
H04N1/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082348
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小川 公昭
【テーマコード(参考)】
2C162
5C051
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162AH75
2C162AH83
2C162FA15
2C162FA17
2C162FA44
2C162FA63
5C051AA02
5C051CA08
5C051DB02
5C051DB04
5C051DB08
5C051DB22
5C051DB23
5C051DB29
5C051DC03
5C051EA01
5C051FA01
(57)【要約】
【課題】複数種類の発光素子に対してドライバICの構成を共通化させつつ、ドライバICを小型化させる。
【解決手段】露光ヘッド16は、電流が流れることにより発光する複数の発光素子としてのLED74又は発光サイリスタ92と、それぞれの発光素子のカソードに接続され、ON状態となることにより発光素子に電流を流す複数のNMOS86と、複数のNMOS86と接続され、NMOS86の総数よりも少ない数が設けられるGND配線LGと、NMOS86を制御するドライバIC70とを設ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れることにより発光する複数の発光素子と、
それぞれの前記発光素子のカソードに接続され、ON状態となることにより前記発光素子に電流を流す複数のスイッチング素子と、
複数の前記スイッチング素子と接続され、前記スイッチング素子の総数よりも少ない数が設けられる共通カソード配線と、
前記スイッチング素子を制御するドライバICと
を有する露光装置。
【請求項2】
前記共通カソード配線は、1本のみが設けられる
請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記ドライバICは、
前記発光素子の種類に関わらず、発光させる前記発光素子に接続された前記スイッチング素子をON状態とすると共に該発光素子に電流を供給することにより該発光素子を発光させる一方、消灯させる前記発光素子に接続された前記スイッチング素子をOFF状態とすると共に該発光素子に供給する電流を遮断することにより該発光素子を消灯させる
請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記ドライバICは、
前記発光素子がLEDである場合、発光させる前記LEDに接続された前記スイッチング素子をON状態とすると共に該LEDに電流を供給することにより該LEDを発光させる
請求項2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記ドライバICは、
消灯させる前記LEDに接続された前記スイッチング素子をOFF状態とすることにより該LEDを消灯させる
請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記ドライバICは、
消灯させる前記LEDに接続された前記スイッチング素子をOFF状態とすると共に該LEDに供給する電流を遮断することにより該LEDを消灯させる
請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記ドライバICは、
前記発光素子が発光サイリスタである場合、発光させる前記発光サイリスタに接続された前記スイッチング素子をON状態とすると共に該発光サイリスタのゲートにゲート駆動信号を入力し該発光サイリスタをON状態とすることにより該発光サイリスタを発光させる
請求項2に記載の露光装置。
【請求項8】
前記ドライバICは、
発光させる前記発光サイリスタに接続された前記スイッチング素子に前記ゲート駆動信号を入力し該スイッチング素子をON状態とすると共に該発光サイリスタのゲートに前記ゲート駆動信号を入力し該発光サイリスタをON状態とすることにより該発光サイリスタを発光させる
請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記ドライバICは、
全ての前記スイッチング素子をON状態とすると共に発光させる前記発光サイリスタのゲートに前記ゲート駆動信号を入力し該発光サイリスタをON状態とすることにより該発光サイリスタを発光させる
請求項7に記載の露光装置。
【請求項10】
前記ドライバICは、
消灯させる前記発光サイリスタに接続された前記スイッチング素子をOFF状態とすると共に該発光サイリスタに供給する電流を遮断することにより該発光サイリスタを消灯させる
請求項7に記載の露光装置。
【請求項11】
前記スイッチング素子は、前記ドライバICの内部に設けられる
請求項1に記載の露光装置。
【請求項12】
前記スイッチング素子は、MOSFETにより構成される
請求項1に記載の露光装置。
【請求項13】
前記スイッチング素子は、N型MOSFETにより構成される
請求項12に記載の露光装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の露光装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は露光装置及び画像形成装置に関し、例えば電子写真式の画像形成装置に搭載される露光装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置としては、露光用の光を発光する露光装置から、感光体ドラムの表面に光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、さらにその静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を現像することにより、画像の印刷を行うものが広く普及している。この露光装置としては、例えば発光素子であるLED(Light Emitting Diode)や発光サイリスタから出射される光を利用する露光ヘッドがある。
【0003】
露光ヘッドは、例えば、複数の発光素子が直線状に配置された発光素子アレイと該発光素子を駆動するドライバICとが実装された基板と、各発光素子から出射される光をそれぞれ集光させる複数のレンズが整列されたレンズユニットと、基板及びレンズユニットを保持するホルダとを有するものがある。そして、基板に搭載された発光素子アレイから放射された光がレンズユニットを通過し収束され、そのレンズユニットの結像位置に配設された感光体ドラムの表面に露光することにより、静電潜像が形成される。そのような露光ヘッドにおいては、発光素子として基板にLEDが実装されているか又は発光サイリスタが実装されているかに応じて異なるドライバICが用いられるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、発光素子として基板にLED又は発光サイリスタの何れが実装されていてもドライバICを共通化する場合、発光素子がGNDと接続されるための互いに電気的に独立した配線パターンを、発光素子の発光及び消灯を切り替える素子の個数分だけ設ける必要があり、配線数が多く、ドライバICが大型化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、複数種類の発光素子に対してドライバICの構成を共通化させつつ、ドライバICを小型化させ得る露光装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の露光装置においては、電流が流れることにより発光する複数の発光素子と、それぞれの発光素子のカソードに接続され、ON状態となることにより発光素子に電流を流す複数のスイッチング素子と、複数のスイッチング素子と接続され、スイッチング素子の総数よりも少ない数が設けられる共通カソード配線と、スイッチング素子を制御するドライバICとを設けるようにした。
【0008】
また本発明の画像形成装置においては、上述した露光装置を設けるようにした。
【0009】
本発明は、複数種類の発光素子に対してドライバICの構成を共通化させつつ、発光素子のカソードがGNDと接続されるためのGND配線の本数をスイッチング素子の総数よりも少なくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数種類の発光素子に対してドライバICの構成を共通化させつつ、発光素子のカソードがGNDと接続されるためのGND配線の本数をスイッチング素子の総数よりも少なくすることができ、複数種類の発光素子に対してドライバICの構成を共通化させつつ、ドライバICを小型化させ得る露光装置及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カラープリンタの構成を示す左側面図である。
【
図3】露光ヘッドの構成を示し、
図2におけるX-X矢視断面図である。
【
図4】発光素子としてLEDが実装されている場合の基板の構成を示す回路図である。
【
図5】発光素子として発光サイリスタが実装されている場合の基板の構成を示す回路図である。
【
図6】発光素子としてLEDが実装されている場合の基板の構成を示す比較例の回路図である。
【
図7】発光素子として発光サイリスタが実装されている場合の基板の構成を示す比較例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0013】
[1.カラープリンタの構成]
図1に左側面図を示すように、画像形成装置としてのカラープリンタ1は、カラー用電子写真式プリンタであり、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる用紙に対し、所望のカラー画像を印刷する。カラープリンタ1は、略箱型に形成されたプリンタ筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分をカラープリンタ1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。カラープリンタ1は、制御部(図示せず)により全体を統括制御する。この制御部は、図示しない通信処理部を介して、パーソナルコンピュータのような上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部は、上位装置から印刷対象のカラー画像を表す画像データが与えられると共に該カラー画像の印刷が指示されると、用紙の表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0014】
プリンタ筐体2内の最下部には、用紙を収容する用紙収容カセット3が設けられている。ピックアップローラ5は、用紙収容カセット3の前端上側に位置しており、用紙収容カセット3内から用紙を引き出す。給紙ローラ6及び分離ローラ7は、ピックアップローラ5の前方において互いに接触した状態で対に配設されており、例えば、用紙が複数同時に引き出された場合に、一枚ずつこの用紙をその下流に位置する搬送ローラ対8へ向けて搬送部4に順次繰り出す。搬送部4は、上流から下流へ向けて順に配置された搬送ローラ対8及び9を有している。搬送ローラ対8及び9は、給紙ローラ6及び分離ローラ7から繰り出された用紙を挟持して搬送すると共に、その際に用紙の斜行を修正し転写ベルト10へ向けて搬送方向に沿って搬送する。
【0015】
プリンタ筐体2内における用紙収容カセット3の上方には、該プリンタ筐体2内を前後に大きく横切る転写ベルト10が設けられている。転写ベルト10は、中心軸を左右方向に向け前後に1個ずつ配置されたローラを周回するように張架されている。また転写ベルト10は、左右方向の幅が広く、且つ無端状のベルトとして形成されており、ローラの回転に伴って走行することにより、搬送ローラ対9から受け渡された用紙を上面に載せて後方向へ搬送する。
【0016】
一方、転写ベルト10の上側、すなわちプリンタ筐体2における中央よりも上寄りには、4個の画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12K(以下、これらをまとめて画像形成ユニット12と呼ぶ)が後側から前側へ向かって順に配置されている。すなわち各色の画像形成ユニット12は、いわゆるタンデム方式で配置されている。この画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色にそれぞれ対応している。また画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、互いに同様に構成されており、対応するトナーの色のみがそれぞれ相違する。画像形成ユニット12は、用紙の左右幅に対応するべく、左右方向に比較的長い略箱状に形成されている。
【0017】
またプリンタ筐体2内には、各画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kとそれぞれ対応するように、露光ヘッド16C、16M、16Y及び16K(以下、これらをまとめて露光ヘッド16と呼ぶ)が設けられている。この露光ヘッド16は、左右方向に細長い直方体状に構成されると共に、その内部に複数のLEDが左右方向に沿って並ぶように配置されており、制御部から供給される画像データに応じた発光パターンで各LEDを発光させる。画像形成ユニット12は、プリンタ筐体2に装着された際、この露光ヘッド16と極めて近接するようになっており、該露光ヘッド16からの光により露光処理が行われる。
【0018】
また各画像形成ユニット12C、12M、12Y及び12Kは、それぞれ上方にトナーカートリッジ18C、18M、18Y及び18K(以下、これらをまとめてトナーカートリッジ18と呼ぶ)が接続されている。トナーカートリッジ18は、左右方向に長い中空の容器であり、粉末状でなる各色のトナーがそれぞれ収容されると共に、所定の撹拌機構が組み込まれている。各画像形成ユニット12の真下となる4箇所には、それぞれ転写ローラ13C、13M、13Y及び13K(以下、これらをまとめて転写ローラ13と呼ぶ)が設けられている。すなわち各画像形成ユニット12は、各転写ローラ13との間に転写ベルト10の上側部分を挟んでいる。因みに転写ローラ13は、帯電し得るように構成されている。
【0019】
カラープリンタ1は、トナーカートリッジ18からトナーを画像形成ユニット12へ供給させる。これと共にカラープリンタ1は、上位装置(図示せず)から供給された画像データに応じた発光パターンを形成するように露光ヘッド16を発光させる。これに応じて各画像形成ユニット12は、トナーカートリッジ18から供給されるトナーを用い、露光ヘッド16の発光パターンに応じたトナー画像を形成し、このトナー画像を用紙にそれぞれ転写する。これにより、転写ベルト10によって搬送されている用紙上には、画像データに応じた4色のトナー画像が順次転写されていく。
【0020】
転写ベルト10の後方、すなわちプリンタ筐体2の後端近傍における上下の中央近傍には、定着器ユニット20が設けられている。定着器ユニット20は、搬送部4の上側に配置され内部にヒータを有し表面を弾性体で形成された加熱ローラと、搬送部4の下側に配置され上側の表面を加熱ローラに押し付けた加圧ローラとのローラ対からなり、転写ベルト10から送り出された用紙上のトナー画像に熱と圧力を印加して該トナー画像を用紙に定着させる。その後、用紙は、排出ローラ対21によって搬送され、やがてプリンタ筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出される。
【0021】
さらに、転写ベルト10の下側、すなわちプリンタ筐体2における中央よりも下寄りには、両面搬送ユニット22が設けられている。両面搬送ユニット22は、用紙の表裏を反転させてから該用紙を搬送ローラ対8へ再度搬送する。
【0022】
[2.露光ヘッドの構成]
次に、露光ヘッド16の構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、露光ヘッド16は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、ホルダ51に各種部品が取り付けられた構成となっている。
【0023】
[3.ホルダの構成]
図2及び
図3に示すようにホルダ51は、例えば板金プレス加工にて所定の肉厚を有するように作製されており、全体として、左右方向に沿って形成された内部空間であるホルダ内部空間51ISを有する中空の四角柱から反照射方向側の側面を取り除いたような形状となっており、その横断面が英大文字の「U」のような形状となっている。またホルダ51は、左右方向に細長く上下方向に薄い板状の底部51Bを中心に構成されている。さらにホルダ51は、底部51Bにおける前後両辺から該底部51Bに対し直交するように上方へ向けて、左右方向に細長く前後方向に薄い板状の側部51Wがそれぞれ互いに平行になるように延設されており、上端部において開放するホルダ開口部51Aが形成されている。底部51Bにおける前後方向のほぼ中央には、左右方向に細長いスリット状のレンズアレイ孔部51Hが上下方向に貫通するように穿設されている。
【0024】
前後一対の側部51Wにおけるホルダ内部空間51IS側の面、すなわち、前側の側部51Wにおける後面と、後側の側部51Wにおける前面とには、上下方向及び左右方向に沿って延びる平面であるホルダ内壁面51WSが形成されている。
【0025】
またレンズアレイ孔部51Hには、レンズアレイ53が挿入されて取り付けられている。これにより、レンズアレイ53はホルダ51に支持されている。レンズアレイ53は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、左右方向に沿って多数の微小なレンズを並べるように保持している。このレンズは、後述する発光素子アレイ56から放射された光を収束させるような光学特性を有している。レンズアレイ53は、該レンズアレイ53において光が入射される端面である上面と、発光素子アレイ56の表面である下面との入射距離が、レンズアレイ53の特性上最適な値になるような位置となるように、ホルダ51に固着されている。
【0026】
ホルダ51の底部51Bとレンズアレイ53との間隙には、接着剤62がこの隙間を埋めるように充填されている。接着剤62は、紫外光が照射されることにより硬化する紫外線硬化型接着剤である。これにより露光ヘッド16は、ホルダ51にレンズアレイ53を固定すると共に、ホルダ51とレンズアレイ53との間隙を封止し、ホルダ51の底部51B及び前後の側部51W並びに基板55の発光素子配置面55Sにより囲まれた空間をほぼ密閉して、この空間への光及び異物の侵入を防止している。
【0027】
またホルダ51には、レンズアレイ53の上方に、接着剤60に当接されるようにして長手方向を左右方向に沿わせた基板55が取り付けられている。基板55は、いわゆるガラスエポキシ基板でなり、左右方向に細長く上下方向に薄い板状に形成され、所定の配線パターンが形成された導電層が上下方向に複数積層された構成となっている。
【0028】
[4.基板の構成]
基板55の下面である発光素子配置面55Sには、前後方向のほぼ中央において、レンズアレイ53と対向するように発光素子アレイ56が基板55の長手方向に沿ってCOB(Chip On Board)で実装されている。この発光素子アレイ56は、下方へ向けて光を発光する発光点が左右方向に沿って所定の微小間隔毎に並ぶように、複数個の発光素子が左右方向に沿って配置されることにより構成されている。この発光素子は、カラープリンタ1の種類等に応じて、LED又は発光サイリスタの何れかが選択されて実装される。以下では、発光素子としてLEDが実装されている場合の基板55Lの構成と、発光素子として発光サイリスタが実装されている場合の基板55Tの構成とについて、説明する。以下では、基板55L及び55Tをまとめて、基板55とも呼ぶ。
【0029】
また基板55の発光素子配置面55Sには、ドライバIC(Integrated Circuit)70がCOBで実装されている。ドライバIC70は、発光素子アレイ56と例えばCFB(Crystal Film Bonding)(登録商標)により接続されており、発光素子アレイ56の発光及び消灯を制御する。
【0030】
基板55は、保護フィルム58が上面に貼り付けられ該保護フィルム58によって上面の全面が覆われることにより、外部への露出が防止されている。
【0031】
図3に示すように、保護フィルム58の上面と、基板55の短手方向の端面と、ホルダ51のホルダ内壁面51WSとには、接着剤60が塗布されている。このため、保護フィルム58の上面とホルダ内壁面51WSとの間には接着剤60が塗布されていると共に、基板55の短手方向の端面とホルダ内壁面51WSとの間隙には、接着剤60がこの隙間を埋めるように充填されている。これにより露光ヘッド16は、保護フィルム58が固定された基板55をホルダ51に接着させる。
【0032】
[5.発光素子としてLEDが実装されている場合の基板の構成]
図4に示すように、発光素子としてLED74が実装されている場合、基板55Lは、LEDアレイ72及びドライバIC70Lを有している。
【0033】
[5-1.LEDアレイの構成]
LEDアレイ72は、上述した発光素子アレイ56の一部を構成しており、複数個のLED74a1、74b1、74c1、74d1、74a2、74b2、74c2、74d2、……74a48、74b48、74c48及び74d48(以下ではまとめてLED74とも呼ぶ)が、左右方向に沿って、例えば600[dpi]となるように所定の微小間隔毎に並んで配置されている。これらLED74は、電源が供給され所定の電流がアノードからカソードに流れた場合は光を発する一方、所定の電流がアノードからカソードに流れない場合は光を発しない。なお、
図4においては、ドライバIC70Lと発光素子アレイ56を構成するLED74との一部分のみを図示している。
【0034】
[5-2.ドライバICの構成]
ドライバIC70Lは、その内部にアノード駆動回路部76L、PMOS部78L及びNMOS部80Lが設けられており、LED74を駆動する。このようなアノード駆動回路部76L、PMOS部78L及びNMOS部80Lにより、発光素子としてLED74が実装されている場合においてLED74を駆動する発光駆動部82Lが構成されている。
【0035】
本実施の形態においては、発光素子としてLED74が実装されている場合はドライバIC70L(
図4)を用い、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合はドライバIC70T(
図5)を用いる。しかしながら、ドライバIC70LとドライバIC70Tとは、外部との接続の状態は異なっている箇所があるものの、内部構成は同一となっている。以下ではドライバIC70L及び70TをまとめてドライバIC70とも呼ぶ。すなわち、発光素子としてLED74が実装されている場合と、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合との両方で、同一のドライバIC70が基板55に実装される。
【0036】
[5-3.アノード駆動回路部の構成]
アノード駆動回路部76Lは、アノード駆動回路ADC1L、ADC2L、……及びADC48L(以下ではまとめてアノード駆動回路ADCLとも呼ぶ)の、合計で48個のアノード駆動回路ADCLが設けられている。
【0037】
アノード駆動回路ADC1Lは、端子DOa1、DOb1、DOc1及びDOd1が設けられており、それぞれLED74a1、74b1、74c1及び74d1のアノードに接続されている。このアノード駆動回路ADC1Lは、それぞれLED74a1、74b1、74c1及び74d1を駆動し発光させるための電源を供給する。以下では全てのアノード駆動回路ADCLの端子DOa1、DOb1、DOc1、DOd1……及びDOd48をまとめて端子DOとも呼ぶ。
【0038】
アノード駆動回路ADC2Lからアノード駆動回路ADC48Lまでは、アノード駆動回路ADC1Lと同様に、それぞれの端子DOがLED74のアノードに接続されており、LED74を駆動し発光させるための電源を供給する。
【0039】
[5-4.PMOS部の構成]
PMOS部78Lは、PMOS84aL、84bL、84cL及び84dL(以下ではまとめてPMOS84Lとも呼ぶ)の合計で4個のPMOS84Lが設けられている。PMOS84Lは、P型のMOSFETである。
【0040】
PMOS84aLは、ドライバIC70Lの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gaが入力されているものの、ドレイン端子はドライバIC70Lの外部におけるLED74とは接続されていない。PMOS84bLは、ドライバIC70Lの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gbが入力されているものの、ドレイン端子はドライバIC70Lの外部におけるLED74とは接続されていない。PMOS84cLは、ドライバIC70Lの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gcが入力されているものの、ドレイン端子はドライバIC70Lの外部におけるLED74とは接続されていない。PMOS84dLは、ドライバIC70Lの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gdが入力されているものの、ドレイン端子はドライバIC70Lの外部におけるLED74とは接続されていない。
【0041】
このようにPMOS部78Lは、発光素子として発光サイリスタ92(
図5)が実装されている場合は使用されるものの(後述する)、発光素子としてLED74が実装されている場合は使用されない。以下では、ゲート駆動信号Ga、Gb、Gc及びGdをまとめてゲート駆動信号Gとも呼ぶ。
【0042】
[5-5.NMOS部の構成]
NMOS部80Lは、NMOS86aL、86bL、86cL及び86dL、(以下ではまとめてNMOS86Lとも呼ぶ)の合計で4個のNMOS86Lが設けられている。NMOS86Lは、N型のMOSFETである。
【0043】
NMOS86aLは、ドレイン端子がLED74a1、74a2、……及び74a48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gaが入力されている。NMOS86bLは、ドレイン端子がLED74b1、74b2、……及び74b48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gbが入力されている。NMOS86cLは、ドレイン端子がLED74c1、74c2、……及び74c48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gcが入力されている。NMOS86dLは、ドレイン端子がLED74d1、74d2、……及び74d48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gdが入力されている。
【0044】
このようにドライバIC70Lは、NMOS86aL、86bL、86cL及び86dLそれぞれのソース端子が、1本のGND配線LGのパターンに接続されている。
【0045】
[5-6.発光素子としてLEDが実装されている場合の動作]
発光素子としてLED74が実装されている場合、ドライバIC70Lは、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、NMOS86aLのゲート端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aLをONにすることにより端子DOa1からLED74a1に電流を流し、LED74a1を発光させる。一方、ドライバIC70Lは、例えばNMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aLをOFFにすると共に、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1からLED74a1に電流を流さないようにし、LED74a1を消灯させる。
【0046】
本来、ドライバIC70Lは、端子DOa1からの電源供給を断たなくとも、NMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力するだけで、端子DOa1からLED74a1に電流を流さないようにし、LED74a1を消灯させることができる。これに対しドライバIC70Lは、LED74a1を消灯させる際に、NMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することに加えて、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、発光素子としてLED74又は発光サイリスタ92の何れが実装されている場合であっても、発光及び消灯の制御を同一にすることができる。このためドライバIC70Lは、発光素子としてLED74が実装されている場合と発光サイリスタ92が実装されている場合とで異なる発光及び消灯の制御を行う必要性をなくし、制御をシンプルにすることができる。
【0047】
[6.発光素子としてサイリスタが実装されている場合の基板の構成]
図5に示すように、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合、基板55Tは、サイリスタアレイ90及びドライバIC70Tを有している。
【0048】
[6-1.サイリスタアレイの構成]
サイリスタアレイ90は、上述した発光素子アレイ56の一部を構成しており、複数個の発光サイリスタ92a1、92b1、92c1、92d1、92a2、92b2、92c2、92d2、……92a48、92b48、92c48及び92d48(以下ではまとめて発光サイリスタ92とも呼ぶ)が、左右方向に沿って、例えば600[dpi]となるように所定の微小間隔毎に並んで配置されている。これら発光サイリスタ92は、電源が供給されゲートにHighのゲート駆動信号Gが入力された場合は所定の電流がアノードからカソードに流れ光を発する一方、電源の供給が遮断されると所定の電流がアノードからカソードに流れなくなり光を発しなくなる。なお、
図5においては、ドライバIC70Tと発光素子アレイ56を構成する発光サイリスタ92との一部分のみを図示している。
【0049】
[6-2.ドライバICの構成]
ドライバIC70Tは、その内部に、アノード駆動回路部76L、PMOS部78L及びNMOS部80L(
図4)と同一構成であるアノード駆動回路部76T、PMOS部78T及びNMOS部80Tを有しており、発光サイリスタ92を駆動する。上述したように、ドライバIC70L(
図4)とドライバIC70T(
図5)とは、外部との接続の状態は異なっている箇所があるものの、内部構成は同一となっている。このようなアノード駆動回路部76T、PMOS部78T及びNMOS部80Tにより、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合において発光サイリスタ92を駆動する発光駆動部82Tが構成されている。
【0050】
[6-3.アノード駆動回路部の構成]
アノード駆動回路部76Tは、それぞれアノード駆動回路ADC1L、ADC2L、……及びADC48L(
図4)と同一構成であるアノード駆動回路ADC1T、ADC2T、……及びADC48T(以下ではまとめてアノード駆動回路ADCTとも呼ぶ)の、合計で48個のアノード駆動回路ADCTが設けられている。
【0051】
アノード駆動回路ADC1Tは、端子DOa1、DOb1、DOc1及びDOd1が設けられており、それぞれ発光サイリスタ92a1、92b1、92c1及び92d1のアノードに接続されている。このアノード駆動回路ADC1Tは、それぞれ発光サイリスタ92a1、92b1、92c1及び92d1を駆動し発光させるための電源を供給する。
【0052】
アノード駆動回路ADC2Tからアノード駆動回路ADC48Tまでは、アノード駆動回路ADC1Tと同様に、それぞれの端子DOが発光サイリスタ92のアノードに接続されており、発光サイリスタ92を駆動し発光させるための電源を供給する。以下では全てのアノード駆動回路ADCTの端子DOa1、DOb1、DOc1、DOd1……及びDOd48をまとめて端子DOとも呼ぶ。
【0053】
発光サイリスタ92a1、92a2、……及び92a48のゲートは、PMOS84aTのドレイン端子に接続されている。発光サイリスタ92b1、92b2、……及び92b48のゲートは、PMOS84bTのドレイン端子に接続されている。発光サイリスタ92c1、92c2、……及び92c48のゲートは、PMOS84cTのドレイン端子に接続されている。発光サイリスタ92d1、92d2、……及び92d48のゲートは、PMOS84dTのドレイン端子に接続されている。
【0054】
[6-4.PMOS部の構成]
PMOS部78Tは、それぞれPMOS84aL、84bL、84cL及び84dL(
図4)と同一構成であるPMOS84aT、84bT、84cT及び84dT(以下ではまとめてPMOS84Tとも呼ぶ)の合計で4個のPMOS84Tが設けられている。PMOS84Tは、P型のMOSFETである。
【0055】
PMOS84aTは、ドライバIC70Tの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gaが入力され、ドレイン端子が発光サイリスタ92a1、92a2、……及び発光サイリスタ92a48のゲートに接続されている。PMOS84bTは、ドライバIC70Tの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gbが入力され、ドレイン端子が発光サイリスタ92b1、92b2、……及び発光サイリスタ92b48のゲートに接続されている。PMOS84cTは、ドライバIC70Tの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gcが入力され、ドレイン端子が発光サイリスタ92c1、92c2、……及び発光サイリスタ92c48のゲートに接続されている。PMOS84dTは、ドライバIC70Tの内部においてゲート端子がGNDに接続され、ソース端子にゲート駆動信号Gdが入力され、ドレイン端子が発光サイリスタ92d1、92d2、……及び発光サイリスタ92d48のゲートに接続されている。
【0056】
このようにPMOS部78Tは、PMOS部78L(
図4)とは異なり、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合は使用される。
【0057】
[6-5.NMOS部の構成]
NMOS部80Tは、それぞれNMOS86aL、86bL、86cL及び86dL(
図4)と同一構成であるNMOS86aT、86bT、86cT及び86dT(以下ではまとめてNMOS86Tとも呼ぶ)の合計で4個のNMOS86Tが設けられている。NMOS86Tは、N型のMOSFETである。
【0058】
NMOS86aTは、ドレイン端子が発光サイリスタ92a1、92a2、……及び発光サイリスタ92a48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gaが入力されている。NMOS86bTは、ドレイン端子が発光サイリスタ92b1、92b2、……及び発光サイリスタ92b48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gbが入力されている。NMOS86cTは、ドレイン端子が発光サイリスタ92c1、92c2、……及び発光サイリスタ92c48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gcが入力されている。NMOS86dTは、ドレイン端子が発光サイリスタ92d1、92d2、……及び発光サイリスタ92d48のカソードに接続され、ソース端子がGND配線LGに接続され、ゲート端子にゲート駆動信号Gdが入力されている。
【0059】
このようにドライバIC70Tは、NMOS86aT、86bT、86cT及び86dTそれぞれのソース端子が、1本のGND配線LGのパターンに接続されている。
【0060】
[6-6.発光素子としてサイリスタが実装されている場合の動作]
発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合、ドライバIC70Tは、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、PMOS84aTのソース端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS184aTをONにし、発光サイリスタ92a1のゲートにHighのパルス信号を入力することにより、発光サイリスタ92a1をONにする。またこのときドライバIC70Tは、NMOS86aTのゲート端子にHighのパルス信号である上述したゲート駆動信号Gaを入力することによりNMOS86aTをONにする。これによりドライバIC70Tは、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流し、発光サイリスタ92a1を発光させる。
【0061】
一方、ドライバIC70Tは、例えばNMOS86aTのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aTをOFFにすると共に、PMOS84aTのソース端子にLowのパルス信号である上述したゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS84aTをOFFにし、発光サイリスタ92a1のゲートにLowのパルス信号を入力する。またこのときドライバIC70Tは、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流さないようにし、発光サイリスタ92a1を消灯させる。発光サイリスタ92は、端子DOからの電源が供給されている場合、ゲートにLowのパルス信号が入力されたとしても、発光してしまう。このためドライバIC70Tは、端子DOからの電源供給を断つことにより、端子DOから発光サイリスタ92に電流を流さないようにし、発光サイリスタ92を消灯させる。
【0062】
[7.ドライバICの構成及び制御の共通化について]
ドライバIC70L(
図4)とドライバIC70T(
図5)を比較すると、アノード駆動回路部76L(
図4)とアノード駆動回路部76T(
図5)とは、同一の回路構成となっている。
【0063】
またPMOS部78L(
図4)とPMOS部78T(
図5)とは同一の回路構成となっているものの、PMOS部78L(
図4)はPMOS84Lのドレイン端子がオープンしているのに対し、PMOS部78T(
図5)はPMOS84Tのドレイン端子がそれぞれの発光サイリスタ92のゲートに接続されている。
【0064】
さらにNMOS部80L(
図4)とNMOS部80T(
図5)とは、同一の回路構成となっているものの、NMOS部80L(
図4)はNMOS86Lのドレイン端子がそれぞれのLED74のカソードに接続されているのに対し、NMOS部80T(
図5)はNMOS86Tのドレイン端子がそれぞれの発光サイリスタ92のカソードに接続されている。
【0065】
これにより、ドライバIC70L(
図4)とドライバIC70T(
図5)とは、物理的な構成が共通化されている。以下では、PMOS部78L(
図4)とPMOS部78T(
図5)とをまとめてPMOS部78とも呼び、NMOS部80L(
図4)とNMOS部80T(
図5)とをまとめてNMOS部80とも呼ぶ。
【0066】
またドライバIC70L(
図4)は、端子DOからの電源供給を行うと共にゲート駆動信号GをHighとすることにより、該端子DOと接続されたLED74を発光させる。一方、ドライバIC70L(
図4)は、端子DOからの電源供給を遮断すると共にゲート駆動信号GをLowとすることにより、該端子DOと接続されたLED74を消灯させる。
【0067】
これに対しドライバIC70T(
図5)は、端子DOからの電源供給を行うと共にゲート駆動信号GをHighとすることにより、該端子DOと接続された発光サイリスタ92を発光させる。一方、ドライバIC70T(
図5)は、端子DOからの電源供給を遮断すると共にゲート駆動信号GをLowとすることにより、該端子DOと接続された発光サイリスタ92を消灯させる。
【0068】
このようにドライバIC70L(
図4)とドライバIC70T(
図5)とは、端子DOからの電源の供給及び遮断を互いに同一の制御方法とすると共に、ゲート駆動信号GのHigh及びLowの切り替えを互いに同一の制御方法とするようにした。このためドライバIC70LとドライバIC70Tとは、制御を共通化できる。
【0069】
[8.発光素子としてLEDが実装されている場合の比較例]
ここで、発光素子としてLED74が実装されている場合の比較例として、
図4と対応する部材に同一符号を付した
図6に示す、発光素子としてLED74が実装されている場合の基板155Lについて説明する。基板155Lは、基板55Lと比較して、ドライバIC70Lに代わるドライバIC170Lが実装されていると共に、NMOS部180LがドライバIC170Lの外部に設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。以下では、発光素子としてLED74が実装されている場合の基板155Lと、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合の基板155Tとをまとめて、基板155とも呼ぶ。
【0070】
[8-1.LEDアレイの構成]
LEDアレイ72は、基板55L(
図4)におけるLEDアレイ72と同一の構成になっている。
【0071】
[8-2.ドライバICの構成]
ドライバIC170Lは、ドライバIC70L(
図4)と比較して、NMOS部80Lが省略されており基板155LにおけるドライバIC170Lの外部にNMOS部180Lが設けられていると共に、GND配線LGに代えてカソード配線Ka、Kb、Kc及びKdが設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。発光素子としてLED74が実装されている場合の比較例においては、アノード駆動回路部76L、PMOS部178L及びNMOS部180Lにより、LED74を駆動する発光駆動部182Lが構成されている。
【0072】
本比較例においては、発光素子としてLED74が実装されている場合はドライバIC170L(
図6)を用い、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合はドライバIC170T(
図7)を用いる。しかしながら、ドライバIC170LとドライバIC170Tとは、外部との接続の状態は異なっている箇所があるものの、内部構成はほぼ同一となっている。以下ではドライバIC170L及び170TをまとめてドライバIC170とも呼ぶ。すなわち、発光素子としてLED74が実装されている場合と、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合との両方で、ほぼ同一の構成のドライバIC170が基板155に実装される。
【0073】
カソード配線Kaは、LED74a1、74a2、……及び74a48のカソード並びにNMOS186aLのドレイン端子に接続されている。カソード配線Kbは、LED74b1、74b2、……及び74b48のカソード並びにNMOS186bLのドレイン端子に接続されている。カソード配線Kcは、LED74c1、74c2、……及び74c48のカソード並びにNMOS186cLのドレイン端子に接続されている。カソード配線Kdは、LED74d1、74d2、……及び74d48のカソード並びにNMOS186dLのドレイン端子に接続されている。
【0074】
このようにドライバIC170Lは、4本のカソード配線Ka、Kb、Kc及びKd(以下ではまとめてカソード配線Kとも呼ぶ)が内部に設けられており、それぞれがLED74のカソードに接続されている。
【0075】
[8-3.NMOS部の構成]
NMOS部180Lは、ドライバIC170Lの外部において基板155Lの発光素子配置面55S(
図3)にCOBで実装されており、NMOS186aL、186bL、186cL及び186dL、(以下ではまとめてNMOS186Lとも呼ぶ)の合計で4個のNMOS186Lが設けられている。NMOS186Lは、N型のMOSFETである。
【0076】
NMOS186aLは、ソース端子が基板155L上のGNDに接続され、ドレイン端子がカソード配線Kaに接続され、ゲート端子にNMOS駆動信号Naが入力されている。NMOS186bLは、ソース端子が基板155L上のGNDに接続され、ドレイン端子がカソード配線Kbに接続され、ゲート端子にNMOS駆動信号Nbが入力されている。NMOS186cLは、ソース端子が基板155L上のGNDに接続され、ドレイン端子がカソード配線Kcに接続され、ゲート端子にNMOS駆動信号Ncが入力されている。NMOS186dLは、ソース端子が基板155L上のGNDに接続され、ドレイン端子がカソード配線Kdに接続され、ゲート端子にNMOS駆動信号Ndが入力されている。
【0077】
このようにドライバIC170Lは、NMOS186aL、186bL、186cL及び186dLそれぞれのドレイン端子が、4本のカソード配線Ka、Kb、Kc及びKdのパターンに接続されている。
【0078】
[8-4.発光素子としてLEDが実装されている比較例の動作]
発光素子としてLED74が実装されている場合、ドライバIC170Lは、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、NMOS186aLのゲート端子にHighのパルス信号であるNMOS駆動信号Naを入力してNMOS186aLをONにすることにより端子DOa1からLED74a1に電流を流し、LED74a1を発光させる。一方、ドライバIC170Lは、例えばNMOS186aLのゲート端子にLowのパルス信号であるNMOS駆動信号Naを入力してNMOS186aLをOFFにすることにより、端子DOa1からLED74a1に電流を流さないようにし、LED74a1を消灯させる。
【0079】
[9.発光素子として発光サイリスタが実装されている場合の比較例]
ここで、発光素子として発光サイリスタが実装されている場合の比較例として、
図5と対応する部材に同一符号を付した
図7に示す、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合の基板155Tについて説明する。基板155Tは、基板55T(
図5)と比較して、ドライバIC70Tに代わるドライバIC170Tが実装されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0080】
[9-1.サイリスタアレイの構成]
サイリスタアレイ90は、基板55T(
図5)におけるサイリスタアレイ90と同一の構成になっている。
【0081】
[9-2.ドライバICの構成]
ドライバIC170Tは、ドライバIC70T(
図5)と比較して、NMOS部80Tが省略されていると共に、GND配線LGに代えてカソード配線Ka、Kb、Kc及びKdが設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合の比較例においては、アノード駆動回路部76T及びPMOS部178Tにより、発光サイリスタ92を駆動する発光駆動部182Tが構成されている。
【0082】
カソード配線Kaは、発光サイリスタ92a1、92a2、……及び92a48のカソードに接続されている。カソード配線Kbは、発光サイリスタ92b1、92b2、……及び92b48のカソードに接続されている。カソード配線Kcは、発光サイリスタ92c1、92c2、……及び92c48のカソードに接続されている。カソード配線Kdは、発光サイリスタ92d1、92d2、……及び92d48のカソードに接続されている。
【0083】
このようにドライバIC170Tは、4本のカソード配線Ka、Kb、Kc及びKd(以下ではまとめてカソード配線Kとも呼ぶ)が内部に設けられており、それぞれが発光サイリスタ92のカソードに接続されている。カソード配線Ka、Kb、Kc及びKdは、製造プロセスにおいてショートされており、基板155T上でGNDに接続されている。これらカソード配線Ka、Kb、Kc及びKdは、発光サイリスタ92のアノードからカソードへ流れた電流がGNDへ流れるパターンである。
【0084】
[9-3.発光素子としてサイリスタが実装されている比較例の動作]
発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合、ドライバIC170Tは、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、PMOS184aTのソース端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS184aTをONにし、発光サイリスタ92a1のゲートにHighのパルス信号を入力することにより、発光サイリスタ92a1をONにする。これによりドライバIC170Tは、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流し、発光サイリスタ92a1を発光させる。
【0085】
一方、ドライバIC170Tは、例えばPMOS184aTのソース端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS184aTをOFFにし、発光サイリスタ92a1のゲートにLowのパルス信号を入力する。またこのときドライバIC170Tは、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流さないようにし、発光サイリスタ92a1を消灯させる。
【0086】
比較例では、このような構成及び動作により、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合はカソード配線Ka、Kb、Kc及びKdを製造プロセスにおいてショートさせる必要はあるものの、発光素子としてLED74が実装されている場合のドライバIC170L(
図6)と、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合のドライバIC170Tとを共通化させている。
【0087】
[10.効果等]
以上の構成において、発光素子としてLED74が実装されている場合、発光駆動部82L(
図4)は、1つのアノード駆動回路ADCLに接続されたLED74の個数と同一の個数である4つのNMOS86LをドライバIC70Lの内部に設け、これらNMOS86Lそれぞれのドレイン端子をLED74のカソードと接続するようにした。また発光駆動部82Lは、4つのNMOS86aL、86bL、86cL及び86dLそれぞれのソース端子を、共通の1本のGND配線LGに接続するようにした。すなわち発光駆動部82Lは、LED74をNMOS86Lを介して共通カソードであるGND配線LGにカスケード接続するようにした。
【0088】
一方、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合、発光駆動部82T(
図5)は、1つのアノード駆動回路ADCTに接続された発光サイリスタ92の個数と同一の個数である4つのNMOS86TをドライバIC70Tの内部に設け、これらNMOS86Tそれぞれのドレイン端子を発光サイリスタ92のカソードと接続するようにした。また発光駆動部82Tは、4つのNMOS86aT、86bT、86cT及び86dTそれぞれのソース端子を、共通の1本のGND配線LGに接続するようにした。すなわち発光駆動部82Tは、発光サイリスタ92をNMOS86Tを介して共通カソードであるGND配線LGにカスケード接続するようにした。またさらに発光駆動部82Tは、発光サイリスタ92のゲートに入力するゲート駆動信号GをNMOS86Tのゲート端子に入力するようにした。
【0089】
このためカラープリンタ1は、ドライバIC70L(
図4)とドライバIC70T(
図5)との物理的な構成を共通化させることができる。
【0090】
また発光駆動部82L(
図4)は、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、NMOS86aLのゲート端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aLをONにすることにより端子DOa1からLED74a1に電流を流し、LED74a1を発光させるようにした。一方、発光駆動部82Lは、例えばNMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aLをOFFにすると共に、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1からLED74a1に電流を流さないようにし、LED74a1を消灯させるようにした。
【0091】
一方、発光駆動部82T(
図5)は、例えば端子DOa1からの電源供給を行うと共に、PMOS84aTのソース端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS84aTをONにし、発光サイリスタ92a1のゲートにHighのパルス信号を入力することにより、発光サイリスタ92a1をONにする。また発光駆動部82Tは、NMOS86aTのゲート端子にHighのパルス信号である上述したゲート駆動信号Gaを入力することによりNMOS86aTをONにする。これによりドライバIC70Tは、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流し、発光サイリスタ92a1を発光させるようにした。
【0092】
一方、発光駆動部82Tは、例えばNMOS86aTのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力してNMOS86aTをOFFにすると共に、PMOS84aTのソース端子にLowのパルス信号である上述したゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS84aTをOFFにし、発光サイリスタ92a1のゲートにLowのパルス信号を入力する。またこのとき発光駆動部82Tは、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流さないようにし、発光サイリスタ92a1を消灯させるようにした。
【0093】
このようにカラープリンタ1は、例えばLED74a1を消灯させる際に、NMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することに加えて、端子DOa1からの電源供給を断つようにした。このためカラープリンタ1は、発光素子としてLED74又は発光サイリスタ92の何れが実装されている場合であっても、発光及び消灯の制御を同一にすることができる。これによりカラープリンタ1は、発光素子としてLED74が実装されている場合と発光サイリスタ92が実装されている場合とで異なる発光及び消灯の制御を行う必要性をなくし、制御をシンプルにすることができる。
【0094】
また発光駆動部82L(
図4)は、発光駆動部182L(
図6)と比較して、4本のカソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化できる。
【0095】
ここで、ドライバIC70L(
図4)は、ドライバIC170L(
図6)と比較して、内部に4つのNMOS86Lが追加されているため、ドライバIC70Lの内部において4つのNMOS86Lの分の回路パターンの面積が追加で必要となる。一方、ドライバIC70L(
図4)は、ドライバIC170L(
図6)と比較して、4本のカソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化しているため、その分の回路パターンの面積が削減されている。特に、カソード配線Kの配線パターンは、LED74を駆動する電流が流れるため、広い幅の配線となっている。このため、カソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化すると、ドライバIC70Lは、ドライバIC170Lと比較して、回路パターンの面積を大きく削減できる。これによりドライバIC70Lは、ドライバIC170Lと比較して、全体のサイズを小型化できる。またドライバIC170L(
図6)は、LED74のカソードがそれぞれカソード配線Kに接続される箇所のパッドが4つ必要となる。これに対しドライバIC70L(
図4)は、全てのNMOS86LがGND配線LGに接続される箇所のパッドが1つだけで済むため、ドライバIC170L(
図6)と比較して、このパッドを4つから1つに削減できる。
【0096】
また発光駆動部82L(
図4)は、発光駆動部182L(
図6)と比較して、ドライバIC170Lの外部である基板155L上のNMOS部180Lを削減できると共に、基板155L上におけるドライバIC170LとNMOS部180Lとの間の配線パターンと、NMOS部180L内部における配線パターンとを削減できる。このため発光駆動部82Lは、発光駆動部182Lと比較して、基板55Lを小型化することができる。
【0097】
一方、発光駆動部82T(
図5)は、発光駆動部182T(
図7)と比較して、4本のカソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化できる。
【0098】
ここで、ドライバIC70T(
図5)は、ドライバIC170T(
図7)と比較して、内部に4つのNMOS86Tが追加されているため、ドライバIC70Tの内部において4つのNMOS86Tの分の回路パターンの面積が追加で必要となる。一方、ドライバIC70T(
図5)は、ドライバIC170T(
図7)と比較して、4本のカソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化しているため、その分の回路パターンの面積が削減されている。特に、カソード配線Kの配線パターンは、発光サイリスタ92を駆動する電流が流れるため、広い幅の配線となっている。このため、カソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化すると、ドライバIC70Tは、ドライバIC170Tと比較して、回路パターンの面積を大きく削減できる。これによりドライバIC70Tは、ドライバIC170Tと比較して、全体のサイズを小型化できる。またドライバIC170T(
図7)は、発光サイリスタ92のカソードがそれぞれカソード配線Kに接続される箇所のパッドが4つ必要となる。これに対しドライバIC70T(
図5)は、全てのNMOS86TがGND配線LGに接続される箇所のパッドが1つだけで済むため、ドライバIC170T(
図7)と比較して、このパッドを4つから1つに削減できる。
【0099】
また発光駆動部82T(
図5)は、発光駆動部182T(
図7)と比較して、カソード配線Ka、Kb、Kc及びKdを製造プロセスにおいてショートさせることを不要とできる。
【0100】
このようにカラープリンタ1は、発光素子としてLED74又は発光サイリスタ92の何れが実装されているかに関わらず、互いに共通の構成のドライバIC70L及び70Tを利用できると共に、互いに同一の制御でLED74又は発光サイリスタ92を点灯及び消灯させることができる。またカラープリンタ1は、それぞれドライバIC170L及び170Tと比較して、4本のカソード配線Kの回路パターンを1本のGND配線LGの回路パターンに共通化でき、ドライバIC70L及び70Tを小型化できる。
【0101】
以上の構成によればカラープリンタ1の露光ヘッド16は、電流が流れることにより発光する複数の発光素子としてのLED74又は発光サイリスタ92と、それぞれの発光素子のカソードに接続され、ON状態となることにより発光素子に電流を流す複数のNMOS86と、複数のNMOS86と接続され、NMOS86の総数よりも少ない数が設けられるGND配線LGと、NMOS86を制御するドライバIC70とを設けるようにした。
【0102】
これによりカラープリンタ1の露光ヘッド16は、複数種類の発光素子に対してドライバIC70の構成を共通化させつつ、発光素子のカソードがGNDと接続されるためのGND配線LGの本数をNMOS86の総数よりも少なくすることができる。
【0103】
[11.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合(
図5)、例えばNMOS86aTのゲート端子に入力するゲート駆動信号Gaを、発光サイリスタ92a1を発光させる際はHighとし消灯させる際はLowとする場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、ゲート駆動信号Gaとは異なる信号であるNMOS駆動信号NaをNMOS86aTのゲート端子に入力し、発光サイリスタ92a1の発光又は消灯に関わらずNMOS駆動信号Naを常にHighとしても良い。その場合、カラープリンタ1は、端子DOa1からの電源供給を行うと共に、PMOS84aTのソース端子にHighのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS84aTをONにし、発光サイリスタ92a1のゲートにHighのパルス信号を入力することにより、発光サイリスタ92a1をONにする。またこのときカラープリンタ1は、NMOS86aTのゲート端子にHighのパルス信号であるNMOS駆動信号Naを入力することによりNMOS86aTをONにしている。これによりカラープリンタ1は、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流し、発光サイリスタ92a1を発光させる。一方、カラープリンタ1は、NMOS86aTのゲート端子にHighのパルス信号であるNMOS駆動信号Naを入力したまま、PMOS84aTのソース端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することによりPMOS84aTをOFFにし、発光サイリスタ92a1のゲートにLowのパルス信号を入力する。またこのときカラープリンタ1は、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、端子DOa1から発光サイリスタ92a1に電流を流さないようにし、発光サイリスタ92a1を消灯させる。
【0104】
また上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、例えばLED74a1(
図4)を消灯させる際に、NMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力することに加えて、端子DOa1からの電源供給を断つことにより、発光素子としてLED74又は発光サイリスタ92の何れが実装されている場合であっても、発光素子を消灯させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、発光素子としてLED74が実装されている場合と発光サイリスタ92が実装されている場合とで異なる消灯の制御を行う場合、LED74が実装されている場合は、端子DOa1からの電源供給を断たずに、NMOS86aLのゲート端子にLowのパルス信号であるゲート駆動信号Gaを入力するだけでも良い。
【0105】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、1つのアノード駆動回路ADCLに接続された4つのLED74それぞれのカソードにNMOS86Lのドレイン端子を接続し、全てのNMOS86Lのソース端子をGND配線LGに接続することにより(
図4)、比較例(
図6)と比較して、1つのアノード駆動回路ADCLに接続された4つのLED74と同数の4本のカソード配線Kを1本に削減する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、1つのアノード駆動回路ADCLに接続された4つのLED74のうちの2つ以上のLED74のカソードにNMOS86Lのドレイン端子を接続し、それらの全てのNMOS86Lのソース端子をGND配線LGに接続することにより、比較例と比較して、1つのアノード駆動回路ADCLに接続された4つのLED74と同数の4本のカソード配線Kを、3本以下に削減しても良い。これによりカラープリンタ1は、カソード配線Kの数を、スイッチング素子であるNMOS86の数よりも少なくすることができる。発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合(
図5及び
図7)においても同様である。
【0106】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、発光素子としてLED74が実装されている場合(
図4)、NMOS部80LをドライバIC70Lの内部に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、NMOS部80LをドライバIC70Lの外部に配置しても良い。発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合(
図5)においても同様である。
【0107】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、LED74(
図4)又は発光サイリスタ92(
図5)の点灯消灯を制御するスイッチング素子としてNMOS86L又は86Tを用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、例えばバイポーラトランジスタ等、他の種々のスイッチング素子を用いても良い。また、カラープリンタ1は、発光素子としてLED74を用いる場合、PMOS84Lに代えてNMOS86Lを配置し、それに合わせて回路構成を変更しても良い。さらに、カラープリンタ1は、発光素子として発光サイリスタ92を用いる場合、PMOS84TとNMOS86Tとを入れ替えて配置し、それに合わせて回路構成を変更しても良い。
【0108】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、発光素子としてLED74又は発光サイリスタ92を実装する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、発光素子として他の種々のデバイスを実装しても良い。
【0109】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、ドライバIC70と発光素子アレイ56とをCFBにより接続する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、ドライバIC70と発光素子アレイ56とを他の種々の接続方法により接続しても良い。
【0110】
さらに上述した実施の形態においてカラープリンタ1は、発光素子としてLED74が実装されている場合(
図4)、1つのアノード駆動回路ADCL毎に4つのLED74を接続し、比較例(
図6)と比較して、4本のカソード配線Kを1本に削減する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1は、例えばLEDアレイ72の解像度に応じて、1つのアノード駆動回路ADCL毎に他の種々のLED74を接続しても良い。その場合であってもカラープリンタ1は、比較例と比較してカソード配線Kを削減できる。発光素子として発光サイリスタ92が実装されている場合(
図5及び
図7)においても同様である。
【0111】
さらに上述した実施の形態においては、タンデム方式のカラープリンタ1において、前後方向に沿って直列に配置された各色の画像形成ユニット12とそれぞれ対応する各色の露光ヘッド16に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば4サイクル方式等、他の種々の方式のカラープリンタに搭載される露光ヘッドに適用しても良い。
【0112】
さらに上述した実施の形態においては、カラー印刷を行うカラープリンタ1のプリンタ筐体2に対し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応した4個の露光ヘッド16を取り付ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばカラープリンタにおいて使用されるトナーの色数に応じて、プリンタ筐体2に対し3個以下や5個以上の露光ヘッド16を取り付けるようにしても良く、またモノクロ印刷を行うモノクロプリンタにおいて1個の露光ヘッド16を取り付けるようにしても良い。
【0113】
さらに上述した実施の形態においては、カラープリンタ1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、カラープリンタ1と同様に露光ヘッド16を有する装置であれば、ファクシミリ、MFP(MultiFunction Printer:複合機)、複写機等の装置に本発明を適用しても良い。
【0114】
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0115】
さらに上述した形態においては、発光素子としてのLED74又は発光サイリスタ92と、スイッチング素子としてのNMOS86L又は86Tと、共通カソード配線としてのGND配線LGと、ドライバICとしてのドライバIC70L又は70Tとによって、露光装置としての露光ヘッド16を構成し、またこれを有する画像形成装置としてのカラープリンタ1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる発光素子と、スイッチング素子と、共通カソード配線と、ドライバICとによって、露光装置を構成し、またこれを有する画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、例えば電子写真式のプリンタに搭載する露光ヘッドで利用できる。
【符号の説明】
【0117】
1……カラープリンタ、2……プリンタ筐体、2T……排出トレイ、3……用紙収容カセット、4……搬送部、5……ピックアップローラ、6……給紙ローラ、7……分離ローラ、8、9……搬送ローラ対、10……転写ベルト、12……画像形成ユニット、16……露光ヘッド、18……トナーカートリッジ、20……定着器ユニット、21……排出ローラ対、22……両面搬送ユニット、51……ホルダ、51IS……ホルダ内部空間、51B……底部、51W……側部、51WS……ホルダ内壁面、51H……レンズアレイ孔部、51A……ホルダ開口部、53……レンズアレイ、55L、55T、155L、155T……基板、55S……発光素子配置面、56……発光素子アレイ、58……保護フィルム、60……接着剤、62……接着剤、70L、70T、170L、170T……ドライバIC、72……LEDアレイ、74……LED、76L、76T……、アノード駆動回路部、78L、78T……PMOS部、80L、80T、180L……NMOS部、82L、182L……発光駆動部、82T、182T……発光駆動部、ADCL、ADCT……アノード駆動回路、84L、84T……PMOS、86L、86T、186L……NMOS、Ga、Gb、Gc、Gd……ゲート駆動信号、Na、Nb、Nc、Nd……NMOS駆動信号、90……サイリスタアレイ、92……発光サイリスタ、LG……GND配線、Ka、Kb、Kc、Kd……カソード配線。