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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165826
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20241121BHJP
   B62B 3/04 20060101ALI20241121BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B62B3/02 Z
B62B3/04 Z
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082351
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 佑季
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG02
3D050KK11
(57)【要約】
【課題】荷崩れを防止できるとともに積み降ろし作業を容易に行うことが可能な台車を提供することにある。
【解決手段】実施形態によれば、台車は、載置面と、それぞれ前記載置面に開口した複数のシート収納部とを有する荷台と、前記荷台に取り付けられた複数のキャスタと、前記載置面に立設された一対の第1支柱を含むハンドルと、荷崩れ防止デバイスと、を備えている。荷崩れ防止デバイスは、前記載置面に立設され、前記一対の第1支柱に間隔を置いて対向する一対の第2支柱と、それぞれ前記シート収納部に収納される収納位置と前記シート収納部から引き出されて前記第1支柱と第2支柱との間、あるいは、前記一対の第2支柱の間、に延在する引出し位置とへ移動可能に設けられた複数の荷崩れ防止シートと、前記荷崩れ防止シートを前記引出し位置に保持する保持機構と、を含んでいる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面と、それぞれ前記載置面に開口した複数のシート収納部とを有する荷台と、
前記荷台に取り付けられた複数のキャスタと、
前記載置面に立設された一対の第1支柱を含むハンドルと、
前記載置面に立設され、前記一対の第1支柱に間隔を置いて対向する一対の第2支柱と、それぞれ前記シート収納部に収納される収納位置と前記シート収納部から引き出されて前記第1支柱と第2支柱との間、あるいは、前記一対の第2支柱の間、に延在する引出し位置とへ移動可能に設けられた複数の荷崩れ防止シートと、前記荷崩れ防止シートを前記引出し位置に保持する保持機構と、を含む荷崩れ防止デバイスと、
を備える台車。
【請求項2】
前記荷崩れ防止デバイスは、複数のシートアッセンブリを備え、
前記シートアッセンブリの各々は、前記シート収納部に回転自在に設けられ前記荷崩れ防止シートを巻取り可能な巻取り軸と、前記荷崩れ防止シートの一端に連結され、前記収納位置と引出し位置との間を前記第2支柱に沿って移動可能に設けられた引出し軸と、を備えている、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記第1支柱の各々は、支柱の軸方向に沿って設けられた第1ガイド溝を有し、前記第2支柱の各々は、支柱の軸方向に沿って設けられた第2ガイド溝を有し、
前記引出し軸は、軸方向の両端部に設けられ前記第1ガイド溝および第2ガイド溝にそれぞれ係合した一対のガイドピンを有している、
請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記保持機構は、前記第1支柱および前記第2支柱に設けられ前記ガイドピンを吸着する複数の磁石を含んでいる、
請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記一対の第2支柱は、前記荷台に取外し可能に立設され、
前記荷台は、取外された前記第2支柱を収納する支柱収納部を備えている、
請求項1に記載の台車。
【請求項6】
前記荷台の載置面は、矩形状を有し、
前記シート収納部は、前記載置面の一対の長辺に沿って設けられた一対の第1シート収納部と、前記載置面の一方の短辺に沿って設けられた第2シート収納部と、を含み、
前記ハンドルの一対の第1支柱は、前記載置面の他方の短辺の両角部に立設され、
前記一対の第2支柱は、前記一方の短辺の両角部に立設されている、
請求項1に記載の台車。
【請求項7】
前記荷崩れ防止デバイスは、前記第1シート収納部に配置された一対の第1シートアッセンブリと、前記第2シート収納部に配置された第2シートアッセンブリと、を含み、
前記第1シートアッセンブリの各々は、前記第1シート収納部内に回転自在に配置された巻取り軸と、前記第1支柱および第2支柱に沿って移動可能に支持された引出し軸と、巻取り軸に取り付けられた一端部と前記引出し軸に連結された他端部とを有し、前記巻取り軸に巻き取られ前記第1シート収納部に収納される巻取り位置と、前記巻取り軸から引き出されて前記第1支柱と第2支柱との間に延在する引出し位置との間を移動可能な前記荷崩れ防止シートと、を含み、
前記第2シートアッセンブリは、前記第2シート収納部内に回転自在に配置された巻取り軸と、一対の前記第2支柱に沿って移動可能に支持された引出し軸と、前記巻取り軸に取り付けられた一端部と前記引出し軸に連結された他端部とを有し、前記巻取り軸に巻き取られ前記第2シート収納部に収納される巻取り位置と、前記巻取り軸から引き出されて一対の前記第2支柱の間に延在する引出し位置との間を移動可能な前記荷崩れ防止シートと、を含んでいる、
請求項6に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、台車に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物搬送用の台車として、荷物の荷崩れ防止のためのネットを備えた台車が提案されている。このような台車では、荷物の積み降ろし時にネットが邪魔となる。そのため、ネットを台車から取外して荷物を積載した後、ネットを再度、台車に取付ける必要があり、積み降ろし作業が煩雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-23623号公報
【特許文献2】特開2020-157941号公報
【特許文献3】特開2022-134776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の課題は、荷崩れを防止できるとともに積み降ろし作業を容易に行うことが可能な台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、台車は、載置面と、それぞれ前記載置面に開口した複数のシート収納部とを有する荷台と、前記荷台に取り付けられた複数のキャスタと、前記載置面に立設された一対の第1支柱を含むハンドルと、前記載置面に立設され、前記一対の第1支柱に間隔を置いて対向する一対の第2支柱と、それぞれ前記シート収納部に収納される収納位置と前記シート収納部から引き出されて前記第1支柱と第2支柱との間、あるいは、前記一対の第2支柱の間、に延在する引出し位置とへ移動可能に設けられた複数の荷崩れ防止シートと、前記荷崩れ防止シートを前記引出し位置に保持する保持機構と、を含む荷崩れ防止デバイスと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る台車を示す斜視図である。
図2図2は、図1の線A-Aに沿った前記台車の断面図である。
図3図3は、前記台車の荷崩れ防止シートアッセンブリを示す斜視図。
図4図4は、引出し軸とともにシートを引き上げた状態における前記荷崩れ防止シートアッセンブリを示す斜視図。
図5図5は、支柱を立てた状態の前記台車を示す斜視図である。
図6図6は、前記台車の支柱およびハンドルに前記荷崩れ防止シートアッセンブリのガイドピンが係合した状態を模式的に示す平面図。
図7図7は、前記シートおよび引出し軸を引き上げた状態の前記台車を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態ついて、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。
【0008】
図1は、実施形態に係る台車100の斜視図である。
台車100は、荷台10と、キャスタ20A、20Bと、支柱30A、30Bと、ハンドル40と、シートアッセンブリ60A、60B、60Cとを備えている。なお、後述するハンドル40の支柱41A、41B、支柱30A、30B、およびシートアッセンブリ60A、60B、60Cは、荷崩れ防止デバイスを構成している。
以下に示す図において、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを定義する。第1方向X及び第2方向Yは、いずれも台車100に荷物等を積載する面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、鉛直方向に相当する。図面において、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。
【0009】
荷台10は、矩形の板状に形成され、第1方向Xに沿う一対の長辺と、第2方向Yに沿う一対の短辺と、を有している。荷台10の4つの角部は、滑らかな曲面状(R状)であってもよい。荷台10は、矩形状の上面10aと、下面10bと、長辺側の側面10c、10dと、短辺側の側面10e、10fと、を有している。上面10aは、段ボール箱等の荷物101が積載される載置面を構成している。下面10bは、上面10aの反対側の面である。側面10c、10dは、上面10a及び下面10bを繋ぐ面である。側面10c、10dは、第2方向Yに互いに対向している。
【0010】
荷台10は、載置面10aに設けられた支柱差込口11A、11Bおよびシート収納部12A、12B、12Cと、側面10c、10dに設けられた支柱収納部13A、13Bと、を有している。
支柱差込口11A、11Bは、載置面10aにおいて一方の短辺側の隣り合う角部にそれぞれ設けられている。支柱差込口11A、11Bは、第2方向Yに間隔を置いて互いに対向している。支柱差込口11A、11Bは、載置面10aに開口した有底の凹所であり、例えば、矩形状の断面形状を有している。なお、支柱差込口11A、11Bは、第3方向Zにおいて荷台10を貫通していない。また、図1の例ではX-Y平面における支柱差込口11A、11Bの断面形状は、正方形であるが、これに限らず、長方形や円形であってもよい。
【0011】
シート収納部12A、12Bは、載置面10aの一対の長辺に沿って第1方向Xに延びている。シート収納部12A、12Bの各々は、載置面10aにおいて、第1方向Xの一方の角部から他方の角部まで延びている。シート収納部12A、12Bは、第2方向Yに間隔を置いて互いに平行に対向している。シート収納部12A、12Bの各々は、載置面10aに開口した有底の凹所あるいは溝であり、例えば、矩形状の断面形状を有している。シート収納部12A、12Bの一端は、支柱差込口11A、11Bに開口している。シート収納部12A、12Bの第1方向Xそれぞれの長さはほぼ等しい。
【0012】
シート収納部12Cは、載置面10aにおいて、側面10e側の短辺に沿って第2方向Yに延びている。シート収納部12Cは、載置面10aにおいて、第2方向Yの一方の角部から他方の角部まで延びている。シート収納部12Cの第2方向Yの両端は、支柱差込口11A、11Bに開口している。シート収納部12Cは、載置面10aに開口した有底の凹所あるいは溝であり、例えば、矩形状の断面形状を有している。本実施形態において、シート収納部12Cの第2方向Yの長さは、シート収納部12A、12Bの第1方向Xの長さよりも短い。
なお、シート収納部12A、12Bは第1シート収納部に相当し、シート収納部12Cは、第2シート収納部に相当する。
【0013】
図2は、図1の線A-Aに沿った台車の断面図である。
図1および図2に示すように、支柱収納部13A、13Bは、荷台10の側面10c、10dにそれぞれ設けられている。支柱収納部13A、13Bは、第1方向Xに延在している。支柱収納部13A、13Bは、側面10c、10dに開口した有底の凹所あるいは溝であり、例えば、矩形状の断面形状を有している。支柱収納部13A、13Bは、支柱30A、30Bを収納可能な長さ、幅、深さに形成されている。
支柱収納部13A、13Bには、支柱30A、30Bがそれぞれ取出し可能に収納されている。支柱30A、30Bは、図示しない磁石、フック等の保持機構により、支柱収納部13A、13Bに取出し可能に保持されている。なお、支柱30A、30Bは、支柱収納部13A、13Bから取り出して荷台10の支柱差込口11A、11Bに差し込むことで、荷台10の載置面10aに立設することができる。
【0014】
キャスタ20A、20Bは、荷台10の下面10bの角部近傍に取付けられている。一例では、側面10f側の一対の角部に、一対の固定式のキャスタ20Aが取り付けられている。側面10e側の一対の角部に、一対の回転式のキャスタ20Bが取り付けられている。
【0015】
ハンドル40は、荷台10に取付けられている。ハンドル40は、支柱41A、41Bと、把持部42と、背板43と、磁石45A、45Bとを有している。支柱41A、41Bは、荷台10に対して第3方向Zに延出し、互い平行に位置している。支柱41A、41Bの軸方向の一端は、把持部42により互いに連結されている。把持部42は、第2方向Yに延出している。背板43は、Y-Z平面と平行な平板状に形成されている。背板43は、支柱41A、41Bに連結され、把持部42と荷台10との間に位置している。
なお、支柱41A、41Bは、第1支柱に相当している。
【0016】
支柱41A、41Bの軸方向の他端は、シート収納部12A、12Bの端部にそれぞれ対向している。支柱41A、41Bの他端部は、荷台10の載置面10aに取り付けられたブラケット46に回動可能に支持されている。これにより、ハンドル40は、図示の起立位置と、載置面10aと隣接対向する倒し位置との間を回動可能に支持されている。ハンドル40は、起立位置に回動された際、図示しないロック機構により、起立位置にロックされる。
【0017】
支柱41A、41Bは、それぞれガイド溝44A、44Bを有している。ガイド溝44Aは、支柱41Aの一端から他端まで軸方向に沿って延在している。ガイド溝44Bは、支柱41Bの一端から他端まで軸方向に沿って延在している。一例では、ガイド溝44A、44Bは、T字形状の断面形状を有している。支柱41A、41Bは、例えば、四角柱状に形成され、荷台10の載置面10aの側を向いた側面をそれぞれ有している。
ガイド溝44A、44Bは、支柱41Aの側面および支柱Bの側面にそれぞれ開口している。なお、ガイド溝44A、44Bは、第1ガイド溝に相当している。
【0018】
ハンドル40の起立位置において、支柱41A、41Bの他端は、シート収納部12A、12Bの端部にそれぞれ対向している。支柱41A、41Bのガイド溝44A、44Bの他端は、シート収納部12A、12Bに対向し、シート収納部12A、12Bに連通している。
磁石45A、45Bは、支柱41A、41Bの一端(上端)にそれぞれ固定され、ガイド溝44A、44Bの一端開口に対向している。後述するように、磁石45A、45Bは、シートアッセンブリの引出し軸を引出し位置に保持する保持機構の一部を構成している。磁石45A、45Bは、例えばネオジム磁石などを用いることができる。
ハンドル40は、回動可能なハンドルに限らず、荷台10に起立状態に固定された固定式のハンドルとしてもよい。
【0019】
シートアッセンブリ(第1シートアッセンブリ)60A、60Bは、荷台10のシート収納部12A、12B内にそれぞれ配置され、第1方向Xに延在している。シートアッセンブリ(第2シートアッセンブリ)60Cは、シート収納部12C内に配置され、第2方向Yに延在している。収納状態において、シートアッセンブリ60A、60B、60Cは、載置面10aよりも低い位置に設けられている。
【0020】
次に、荷崩れ防止デバイスのシートアッセンブリについて詳細に説明する。
図3は、シートを巻き取った状態のシートアッセンブリの斜視図である。また、図4は、シートを引き上げた状態のシートアッセンブリを示す斜視図である。
なお、シートアッセンブリ60A、60B、60Cは、同一の構成を有しているため、シートアッセンブリ60Aを代表して、その構成を説明する。
【0021】
図3および図4に示すように、シートアッセンブリ60Aは、巻取り軸64Aと、引出し軸61Aと、荷崩れ防止シート(以下、シートと称する)67Aと、を有している。
巻取り軸64Aは、第1方向Xに延びる筒状の軸本体64aと、軸本体64aの軸方向の両端からそれぞれ軸方向に突出した一対の枢軸64bと、軸本体64a内に設けられた付勢部材、例えば、ねじりばね64cと、を有している。
軸本体64aの軸方向の長さは、シート収納部12Aの第1方向Xの長さとほぼ等しく形成されている。一対の枢軸64bは、軸本体64aと同軸的に設けられている。巻取り軸64Aをシート収納部12Aに配置した状態において、一対の枢軸64bは、荷台10に回転自在に支持される。ねじりばね64cは、巻取り軸64Aを回転方向の一方向(巻取り方向)に回転させる付勢力を巻取り軸64Aに印加する。
【0022】
引出し軸61Aは、第1方向Xに延びる円柱状の軸本体61aと、軸本体61aの軸方向の両端からそれぞれ軸方向に突出した一対のガイドピン62A、63Aと、を有している。軸本体61aの軸方向の長さは、シート収納部12Aの第1方向Xの長さとほぼ等しく形成されている。一対のガイドピン62A、63Aは、軸本体61aと同軸的に設けられている。引出し軸61Aをシート収納部12Aに配置した状態において、軸本体61aは、巻取り軸64Aの軸本体64aに重なり、一対のガイドピン62A、63Aは、荷台10の支柱差込口11Aおよびシート収納部12Aの一端部内に位置する。
【0023】
ガイドピン62Aは、軸本体61aの一端から突出した軸部62aと軸部62aの延出端に設けられた頭部62bとを有している。軸部62a及び頭部62bは、それぞれ円柱状に形成され、頭部62bの径は軸部62aの径よりも大きい。ガイドピン62Aの縦断面はT字形状となっている。
同様に、ガイドピン63Aは、軸本体61aの他端から突出した軸部63aと軸部63aの延出端に設けられた頭部63bとを有している。軸部63a及び頭部63bは、それぞれ円柱状に形成され、頭部63bの径は軸部63aの径よりも大きい。ガイドピン63Aの縦断面はT字形状となっている。
【0024】
ガイドピン62A、63Aは、磁石に吸着可能な磁性体材料で形成されている。
なお、ガイドピン62A、63Aの軸部および頭部は、円柱形状に限らず、他の形状、例えば、直方体状に形成されていてもよい。また、ガイドピン62A、63Aは、頭部を省略し、軸部のみで構成してもよい。
【0025】
シート67は、例えば、矩形状に形成され、所定の幅Wおよび所定の長さを有している。幅Wは、シート収納部12Aの第1方向Xの長さとほぼ等しく形成されている。シート67の長さは、支柱41A、41BのZ方向の高さ以上に形成されている。
シート67の素材は、布状で柔らかく巻取り可能な素材、荷崩れに耐えうる程度に頑丈な素材、屋外使用のための耐水性を有する素材であることが望ましい。シート67の素材として、例えば、布、樹脂などを用いることができる。樹脂の例として、ポリエステル、ビニール系樹脂、♯5000程度のブルーシートなどを挙げることができる。
シート67は、布状に限らず、メッシュ状あるいはネット状のシートを用いてもよい。
【0026】
シート67の一端縁は、引出し軸61Aに固定され、シート67の他端縁は、巻取り軸64Aに固定されている。シート収納部12Aに収納する場合、巻取り軸64Aがねじりばね64cの付勢力により巻取り方向に回転され、シート67は巻取り軸64Aに巻き取られ、軸本体64aの回りに巻き付けられる。これに伴い、引出し軸61Aは、シート67が巻き付けられた巻取り軸64Aに接触する位置まで引き戻され、シート収納部12A内に収納される。
図4に示すように、引出し軸61Aを引き上げ位置まで引き上げると、巻取り軸64Aはシート67に引っ張られて巻取り方向と逆方向に回転され、シート67は巻取り軸64から巻き出されて引き上げ位置まで引き上げられる。
【0027】
シートアッセンブリ60B、60Cは、シートアッセンブリ60Aと同様に構成されている。但し、シートアッセンブリ60Cの巻取り軸、引出し軸、および荷崩れ防止シートは、シートアッセンブリ60Aの巻取り軸64A、引出し軸61A、およびシート67よりも短く形成され、シート収納部12Cの第2方向Yの長さとほぼ等しく形成されている。
【0028】
図5は、支柱30A、30Bを荷台10に立設した状態の台車100を示す斜視図である。
図示のように、支柱30A、30Bは、支柱収納部13A、13Bから取り出され、支柱30A、30Bの一端は、荷台10の支柱差込口11A、11Bにそれぞれ差し込まれている。支柱30Aは、支柱差込口11Aに差し込むことができ、支柱30Bは、支柱差込口11Bに差し込むことができる。立設した状態において、支柱30A、30Bは、第2方向Yに互いに平行に対向している。また、支柱30Aは、第1方向Xにハンドル40の支柱41Aと平行に対向している。更に、支柱30Bは、第1方向Xにハンドル40の支柱41Bと平行に対向している。なお、支柱30A、30Bは、第2支柱に相当している。
支柱30A、30Bの他端(端部)には、磁石35A、35Bが取付けられている。磁石35A、35Bは、例えばネオジム磁石などである。なお、磁石45A、45Bは、シートアッセンブリの引出し軸を引出し位置に保持する保持機構の一部を構成している。
【0029】
図6は、各シートアッセンブリ60A、60B、60Cのガイドピンと支柱30A、30B、41A、41Bのガイド溝との係合状態を模式的に示す平面図である。なお、図において、磁石35A、35B、45A、45Bは省略している。
図6に示すように、支柱30Aは、ガイド溝33A、34Aを有している。ガイド溝33Aは、支柱30AにおいてX-Z平面と平行な面、すなわち、ハンドル40の支柱41Aと対向する面、に形成されている。ガイド溝34Aは、支柱30Aにおいて、Y-Z平面と平行な面、すなわち、支柱30Bと対向する面、に形成されている。ガイド溝33A、34Aは、第3方向Zにそれぞれ延出している。ガイド溝33A、34Aは、支柱30Aの軸方向に沿って、支柱の一端から他端まで延びている。ガイド溝33A、34Aは、断面がT字型の溝状にそれぞれ形成されている。
【0030】
支柱30Bは、ガイド溝33B、34Bを有している。
ガイド溝33Bは、支柱30Bにおいて、X-Z平面と平行な面、すなわち、ハンドル40の支柱41Bと対向する面、に形成されている。ガイド溝34Bは、支柱30Bにおいて、Y-Z平面と平行な面、すなわち、支柱40Aと対向する面、に形成されている。ガイド溝33B、34Bは、第3方向Zにそれぞれ延出している。ガイド溝33B、34Bは、支柱30Bの軸方向に沿って、支柱の一端から他端まで延びている。ガイド溝33B、34Bは、断面がT字型の溝状にそれぞれ形成されている。なお、ガイド溝34A、34B、33A、33Bは、第2ガイド溝に相当する。
【0031】
支柱30Aのガイド溝33Aは、ハンドル40のガイド溝44Aと対向している。支柱30Bのガイド溝33Bは、ハンドル40のガイド溝44Bと対向している。支柱30Aのガイド溝34Aは、支柱30Bのガイド溝34Bと対向している。
【0032】
シートアッセンブリ60Aのガイドピン62Aは、支柱30Aのガイド溝33Aに係合し、シートアッセンブリ60Aのガイドピン63Aは、ハンドル40のガイド溝44Aに係合している。シートアッセンブリ60Bのガイドピン62Bは、支柱30Bのガイド溝33Bに係合し、シートアッセンブリ60Bのガイドピン63Bは、ハンドル40のガイド溝44Bに係合している。
シートアッセンブリ60Cのガイドピン62Cは、支柱30Aのガイド溝34Aに係合し、シートアッセンブリ60Cのガイドピン63Cは、支柱30Bのガイド溝34Bに係合している。
【0033】
X-Y平面において、ガイドピン62A、62B、62C、63A、63B、63Cの径は、それぞれガイド溝33A、33B、34A、34B、44A、44Bの幅よりも小さい。そのため、ガイドピン62A、62B、62C、63A、63B、63Cは、ガイド溝33A、33B、34A、34B、44A、44Bを第3方向Zに往復移動(摺動)することができる。
【0034】
図7は、シートアッセンブリ60A、60B、60Cの引出し軸61A、61B、61Cを引き上げた状態の台車100を示す斜視図である。
図示のように、シートアッセンブリ60Aの引出し軸61Aが第3方向Zに引き上げられ、ガイドピン62A、63Aが磁石35A、45Aに吸着された状態で引上げ位置に保持されている。シート67Aが巻取り軸64Aから引き出され、一対の支柱30A、41Aの間に張架される。
シートアッセンブリ60Bの引出し軸61Bが第3方向Zに引き上げられ、ガイドピン62B、63Bが磁石35B、45Aに吸着された状態で引上げ位置に保持されている。シート67Bが巻取り軸64Bから引き出され、一対の支柱30B、41Bの間に張架される。
【0035】
同様に、シートアッセンブリ60Cの引出し軸61Cが第3方向Zに引き上げられ、ガイドピン62C、63Cが磁石35A、35Bに吸着された状態で引上げ位置に保持されている。シート67Cが巻取り軸64Cから引き出され、一対の支柱30A、30Bの間に張架される。
これにより、荷台10に載置された荷物101は、荷崩れ防止シート67A、67B、67Cおよびハンドル40の背板43により囲まれ、これらにより、荷崩れが防止される。
【0036】
次に、本実施形態に係る台車100の使用方法について説明する。
まず、図1に示すように、シートアッセンブリ60A、60B、60Cがそれぞれシート収納部12A、12B、12Cに収納され、更に、支柱30A、30Bが支柱収納部13A、13Bに収納された状態で、荷物101を荷台10の載置面10aに積載する。
次に、支柱30A、30Bをそれぞれ支柱収納部13A、13Bから取り出し、荷台10の支柱差込口11A、11Bにそれぞれ差し込む。この際、図5および図6に示すように、支柱30Aは、ガイド溝33Aがハンドル40のガイド溝44Aと対向し、ガイド溝34Aが支柱30Bのガイド溝34Bと対向するように、支柱差込口11Aに差し込む。支柱30Bは、ガイド溝33Bがハンドル40のガイド溝44Bと対向し、ガイド溝34Bが支柱30Aのガイド溝34Aと対向するように、支柱差込口11Bに差し込む。またこの際、ガイド溝33A、34Aがガイドピン62A、62Cに係合し、ガイド溝33B、34Bがガイドピン62B、63Cに係合するように、支柱30A、30Bを支柱差込口11A、11Bにそれぞれ差し込む。
【0037】
次いで、シートアッセンブリ60Aの引出し軸61Aを第3方向Zに引き上げ、一対のガイドピン62A、63Aは支柱30A、41Aのガイド溝33A、44Aに係合した状態で第3方向Zに移動する。これにより、シート67Aが巻取り軸64Aから引き出され、一対の支柱30A、41Aの間に張架される。引出し軸61Aを支柱30A、41Aの上端まで引き上げると、一対のガイドピン62A、63Aが磁石35A、45Aに当接および吸着される。これにより、引出し軸61Aは、支柱30A、41Aの上端まで引き上げられた引き上げ位置に保持される。同時に、シート67Aは、支柱30A、41A間の領域を覆った状態に保持される。
【0038】
同様に、シートアッセンブリ60Bの引出し軸61Bを第3方向Zに引き上げ、シート67Bを巻取り軸64Bから引き出す。そして、ガイドピン62B、63Bを磁石35B、45Bに吸着し、引出し軸61Bを引上げ位置に保持する。これにより、シート67Bを支柱30B、41A間の領域を覆った状態に保持する。
同様に、シートアッセンブリ60Cの引出し軸61Cを第3方向Zに引き上げ、シート67Cを巻取り軸64Cから引き出す。そして、ガイドピン62C、63Cを磁石35A、35Bに吸着し、引出し軸61Cを引上げ位置に保持する。これにより、シート67Cを支柱30A、30B間の領域を覆った状態に保持する。
上記のように、荷台10に載置された荷物101を荷崩れ防止シート67A、67B、67Cおよびハンドル40の背板43により囲んだ状態で、ハンドル40を押して台車100を移動する。
【0039】
荷物101を降ろすときは、上記手順とは逆の手順を行う。まず、引出し軸61Aを押し下げて、ガイドピン62A、63Aを磁石35A、45Aからそれぞれ外す。すると、シート67Aは、自動的に巻取り軸64Aに巻き取られる。これにより、引出し軸61Aおよびシート67Aは支柱30A、41Aに沿って下降し、シート収納部12Aに収納される。
同様に、引出し軸61Bを押し下げて、ガイドピン62B、63Bを磁石35B、45Bからそれぞれ外す。すると、シート67Bは、自動的に巻取り軸64Bに巻き取られる。これにより、引出し軸61Bおよびシート67Bは支柱30B、41Bに沿って下降し、シート収納部12Bに収納される。
【0040】
同様に、引出し軸61Cを押し下げて、ガイドピン62C、63Cを磁石35A、35Bからそれぞれ外す。すると、シート67Cは、自動的に巻取り軸64Cに巻き取られる。これにより、引出し軸61Cおよびシート67Cは支柱30A、30Bに沿って下降し、シート収納部12Cに収納される。
次に、支柱30A、30Bをそれぞれ支柱差込口11A、11Bから引き抜く。その後、支柱30A、30Bを支柱収納部13A、13Bにそれぞれ収納する。その後、荷物101を荷台10から降ろす。
【0041】
以上のように構成された本実施形態に係る台車100によれば、図5に示すように、荷物101を搬送する際、荷物101の周りは、荷崩れ防止シート67A、67B、67Cおよびハンドル40の背板43により囲われている。これにより、荷物101を運搬中に振動等で荷物101が崩れかけたとしても、荷崩れ防止シート67A、67B、67Cおよび背板43が壁となり、荷物101の荷崩れ、台車の外への落下を防止することができる。
【0042】
また、シートアッセンブリ60A、60B、60Cは、台車100に備え付けられ、不使用時には、台車100のシート収納部12A、12B、12Cにそれぞれ収納されている。そのため、荷物積載前にシートアッセンブリを台車から取り外し、荷物積載後にシートアッセンブリを台車に取付けるという作業が不要となる。本実施形態では、シートアッセンブリ60A、60B、60Cの引出し軸61A、61B、61Cを支柱に沿って昇降させるだけの簡単な作業で、荷崩れ防止シート67A、67B、67Cを所望の位置に設置あるいはシート収納部への収納を行うことができ、作業性向上を図ることが可能となる。
【0043】
図1に示したように、シートアッセンブリ60A、60B、60Cは、シート収納部12A、12B、12Cにそれぞれ収納され、荷台10の載置面10aよりも低い位置に設けられている。これにより、載置面10aに荷物101を積み降ろしする際、シートアッセンブリ60A、60B、60Cが邪魔にならない。よって、荷物101の積み降ろし作業の効率化を図ることができる。
【0044】
図1に示したように、支柱30A、30Bは荷台10から取外し支柱収納部13A、13Bに収納することができる。これにより、台車100を不使用時、支柱30A、30Bを台車100と別に保管する必要がなくなるため、支柱の紛失を防ぐことができる。
【0045】
また、支柱30A、30Bの上端には、磁石35A、35Bがそれぞれ設けられ、ハンドル40の支柱41A、41Bの上端には、磁石45A、45Bそれぞれ設けられている。これにより、引出し軸61A、61B、61Cを引き上げたときに、自動的にガイドピン62A、62B、63A、63B、63Cが磁石に吸着、固定されるため、煩雑な固定作業が不要となる。よって、荷物101の積載作業の効率化を図ることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、荷崩れを防止できるとともに積み降ろし作業を容易に行うことが可能な台車を提供することができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、支柱30A、30Bは、脱着可能な構成に限らず、荷台に常設されても良い。荷台に設けられた支柱収納部は、上記実施形態で示した溝あるいは凹所に限定されることなく、荷台に設けた孔としてもよい。
引出し軸を引出し位置に保持する保持機構は、磁石に限らず、フック、ロック爪等の他の機構を用いてもよい。更に、シートアッセンブリは、シートを巻取り軸により巻き取る構成に限らず、シートを蛇腹状に折り畳んでシート収納部に収納可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…荷台、11A、11B…支柱差込口、12A~C…シート収納部、
13A、13B…支柱収納部、20A、20B…キャスタ、30A、30B…支柱、
33A、33B、34A、34B…ガイド溝、35A、35B…磁石、40…ハンドル、
41A、41B…ハンドルの支柱、42…把持部、46…ブラケット、43…背板、
44A、44B…ガイド溝、45A、45B…磁石、
60A、60B、60C…シートアッセンブリ、61A、61B、61C…引出し軸、
62A、62B、62C、63A、63B、63C…ガイドピン、
64A、64B、64C…巻取り軸、
67A、67B、67C…荷崩れ防止シート(シート)、100…台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7