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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165841
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光演出システム、及び、光演出方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20241121BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20241121BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20241121BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B45/20
H05B47/19
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082377
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 瑠璃亜
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA15
3K273QA24
3K273QA29
3K273QA39
3K273SA18
3K273SA35
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA54
3K273TA57
3K273UA02
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA23
(57)【要約】
【課題】設置位置が変更され得る発光端末を発光させることで、光による演出を実現することができる光演出システムを提供する。
【解決手段】光演出システム10は、実空間のマッピング情報、及び、マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部33と、発光端末20の実空間における現在位置情報を受信する通信部31と、受信された現在位置情報に基づいて、発光端末20の実空間における位置を特定し、マッピング情報及び演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で発光端末20を発光させる情報処理部32とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間のマッピング情報、及び、前記マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部と、
発光端末の前記実空間における現在位置情報を受信する通信部と、
受信された前記現在位置情報に基づいて、前記発光端末の前記実空間における位置を特定し、前記マッピング情報及び前記演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で前記発光端末を発光させる情報処理部とを備える
光演出システム。
【請求項2】
前記演出情報は、既存の動画または静止画の画素の色を前記演出用の発光色として設定する情報である
請求項1に記載の光演出システム。
【請求項3】
前記実空間は、建物内の空間であり、
前記マッピング情報は、前記建物を外側から見た画像の画像情報である
請求項1または2に記載の光演出システム。
【請求項4】
前記実空間は、建物内のフロアに相当する空間であり、
前記マッピング情報は、前記フロアの間取りを示す画像情報である
請求項1または2に記載の光演出システム。
【請求項5】
前記実空間は、建物内のフロアの一部に相当する空間であり、
前記マッピング情報は、前記フロアの一部の間取りを示す画像情報である
請求項1または2に記載の光演出システム。
【請求項6】
前記発光端末は、携帯端末であり、
前記情報処理部は、特定した位置に対して設定された発光色で、前記携帯端末が備えるディスプレイを発光させる
請求項1または2に記載の光演出システム。
【請求項7】
コンピュータによって実行される光演出方法であって、
実空間のマッピング情報、及び、前記マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部を参照する参照ステップと、
発光端末の前記実空間における現在位置情報を受信する受信ステップと、
受信された前記現在位置情報に基づいて、前記発光端末の前記実空間における位置を特定し、前記マッピング情報及び前記演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で前記発光端末を発光させる制御ステップとを含む
光演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光演出システム、及び、光演出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の照明器具を設置場所に設置する際の設定作業者の手間を従来に比べ大幅に低減できる照明システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-77004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置位置が変更され得る発光端末を発光させることで、光による演出を実現することができる、光演出システム及び光演出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る光演出システムは、実空間のマッピング情報、及び、前記マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部と、発光端末の前記実空間における現在位置情報を受信する通信部と、受信された前記現在位置情報に基づいて、前記発光端末の前記実空間における位置を特定し、前記マッピング情報及び前記演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で前記発光端末を発光させる情報処理部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る光演出方法は、コンピュータによって実行される光演出方法であって、実空間のマッピング情報、及び、前記マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部を参照する参照ステップと、発光端末の前記実空間における現在位置情報を受信する受信ステップと、受信された前記現在位置情報に基づいて、前記発光端末の前記実空間における位置を特定し、前記マッピング情報及び前記演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で前記発光端末を発光させる制御ステップとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光演出システム及び光演出方法は、設置位置が変更され得る発光端末を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る光演出システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、マッピング情報の一例を示す図である。
図3図3は、演出情報の一例を示す図である。
図4図4は、演出情報が設定されたマッピング情報を示す図である。
図5図5は、演出動作のシーケンス図である。
図6図6は、光による演出を説明するための図である。
図7図7は、変形例に係るマッピング情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る光演出システムの概要について説明する。図1は、実施の形態に係る光演出システムの機能構成を示すブロック図である。
【0012】
光演出システム10は、複数の発光端末20を発光させることにより、光による演出を行うことができるシステムである。複数の発光端末20のそれぞれは、あらかじめ演出用に固定設置された装置ではなく、一般ユーザが所持する携帯端末、または、仮設の照明機器などである。一般的な光演出システムにおいては、演出用の照明機器を設置するための設備投資費用が膨らみ、体験価値に訴える演出を断念するような場合がある。これに対し、光演出システム10は、ユーザが所持する携帯端末等を演出用の機材として使用することで、設備投資費用を抑制しつつ、ユーザの体験価値を向上するような、光による演出を実現することができる。
【0013】
図1に示されるように、光演出システム10は、複数の発光端末20と、クラウドサーバ30と、情報端末40とを備える。なお、光演出システム10は、少なくとも1つの発光端末20を備えていればよい。
【0014】
発光端末20は、例えば、一般ユーザが所持する、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末であるが、仮設の照明機器であってもよい。なお、発光端末20は、専用端末であってもよく、発光端末20が専用端末である場合、ペンライトまたはサイリウムのような長尺の棒状であってもよいし、うちわ状であってもよい。発光端末20は、移動自在な発光装置(照明機器)であると考えることができる。発光端末20は、発光部21と、通信部22と、制御部23と、記憶部24と、位置計測部25とを備える。
【0015】
発光部21は、発光色の変更が可能な発光デバイスである。発光端末20が携帯端末である場合、発光部21は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現されるディスプレイ(表示部)である。発光端末20が仮設の照明機器、または、専用端末である場合、発光部21は、例えば、互いに独立して調光が可能な、赤色LED(Light Emitting Diode)素子、緑色LED素子、及び、青色LED素子によって実現される発光モジュールなどである。
【0016】
通信部22は、発光端末20がクラウドサーバ30と広域通信ネットワーク50を通じて通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。広域通信ネットワーク50には、移動体通信ネットワーク、及び、インターネットなどが含まれる。通信部22は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部22が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0017】
制御部23は、発光部21の発光制御などの制御処理を行う。制御部23は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。制御部23の機能は、制御部23を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部24に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0018】
記憶部24は、制御部23が制御処理を行うために必要な情報(コンピュータプログラムなど)が記憶される記憶装置である。記憶部24は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0019】
位置計測部25は、発光端末20の現在位置を計測する。位置計測部25は、例えば、GPS(Global Positioning System)モジュールなどのGNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールである。
【0020】
クラウドサーバ30は、複数の発光端末20へ演出指令を送信することにより、光による演出を行うサーバ装置である。クラウドサーバ30は、通信部31と、情報処理部32と、記憶部33とを備える。
【0021】
通信部31は、クラウドサーバ30が、発光端末20及び情報端末40と広域通信ネットワーク50を通じて通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部31は、例えば、有線通信を行う有線通信回路であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。通信部31が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0022】
情報処理部32は、光演出を実現するために、複数の発光端末20をどのように発光させるかを決定するための情報処理などを行う。情報処理部32は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部32の機能は、情報処理部32を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部33に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0023】
記憶部33は、情報処理部32が情報処理を行うために必要な情報(コンピュータプログラムなど)が記憶される記憶装置である。記憶部33は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよい。
【0024】
情報端末40は、光による演出の管理者(運営者)が演出の内容の設定などを行うためのユーザインターフェース装置である。情報端末40は、具体的には、パーソナルコンピュータ、または、タブレット端末などである。
【0025】
[光による演出の内容の決定]
次に、複数の発光端末20を用いた、光による演出の内容の決定方法について説明する。管理者等は、光による演出の内容を決定するために、事前にマッピング情報、及び、演出情報をクラウドサーバ30の記憶部33に登録する。情報処理部32は、マッピング情報、及び、演出情報を参照することにより、以下のように光による演出の内容(言い換えれば、発光端末20に割り当てる演出データ)を決定することができる。
【0026】
まず、マッピング情報について説明する。マッピング情報は、光演出システム10の制御対象となる複数の発光端末20が位置する実在の空間(以下、実空間と記載される)を示す画像情報である。図2は、マッピング情報の一例を示す図である。
【0027】
図2に示されるように、マッピング情報としては、例えば、実在の建物の3次元CADデータなどから得られる図面(実在の建物の設計図)が使用される。図2の例では、3つのビルを外側(具体的には側方)から見た図面(画像)であり、このようなマッピング情報が使用される場合、3つのビルの内部の実空間に位置する複数の発光端末20が、光による演出における制御対象となる。
【0028】
管理者等は、例えば、情報端末40へ所定の操作を行うことで、図2のようなマッピング情報を含むオリジナルデータ(3次元CADデータ)を情報端末40からクラウドサーバ30へアップロードする。この結果、クラウドサーバ30の記憶部33にマッピング情報が記憶(登録)される。
【0029】
次に、演出情報について説明する。演出情報は、マッピング情報に対して演出用の発光色を設定するための情報である。図3は、演出情報の一例を示す図である。
【0030】
演出情報は、マッピング情報と同じサイズの画像情報であり、図3の例では、演出情報に対応する画像は、3種類の演出データに対応する3つの領域に分割されている。領域Aには、演出データAが割り当てられ、領域Bには演出データBが割り当てられ、領域Cには、演出データCが割り当てられる。演出データは、発光端末20に対して指示する発光色の時系列データであり、演出の内容を示すデータである。
【0031】
管理者等は、例えば、情報端末40へ所定の操作を行うことで、図3のような演出情報をマッピング情報に対して設定する。つまり、クラウドサーバ30の記憶部33には、マッピング情報に加えて演出情報が記憶(登録)される。
【0032】
図4は、演出情報が設定されたマッピング情報を示す図である。マッピング情報に演出情報が設定される(重ね合わされる)と、クラウドサーバ30の情報処理部32は、演出情報が設定されたマッピング情報に基づいて、実空間の座標範囲と、当該座標範囲に位置する発光端末20に送信される演出データとを対応付ける。実空間が直方体形状であるとした場合、実空間の座標範囲とは、直方体の8つの頂点の3次元座標によって定まる範囲を意味する。
【0033】
図4の例では、左側のビルの上側フロアは、領域Aと重なっていることから、上側フロア内の実空間aに位置する発光端末20には、演出データAが送信される。上述のように、マッピング情報のオリジナルデータは、3次元CADデータなどであることから、情報処理部32は、マッピング情報、及び、そのオリジナルデータに基づいて、領域Aと重なっている実空間aの座標範囲を特定することができる。
【0034】
また、左側のビルの下側フロア、及び、右側のビルの全体は、領域Bと重なっていることから、左側のビルの下側フロア内、及び、右側のビル内の実空間bに位置する発光端末20には、演出データBが送信される。情報処理部32は、マッピング情報、及び、そのオリジナルデータに基づいて、領域Bと重なっている実空間bの座標範囲を特定することができる。同様に、中央のビルの全体は、領域Cと重なっていることから、中央のビル内の実空間cに位置する発光端末20には、演出データCが送信される。情報処理部32は、マッピング情報、及び、そのオリジナルデータに基づいて、領域Cと重なっている実空間cの座標範囲を特定することができる。特定された、実空間a、実空間b、及び、実空間cの座標範囲は、記憶部33に記憶される。
【0035】
[演出動作]
次に、演出動作(光による演出が行われるときの発光端末の制御動作)について説明す
る。図5は、演出動作のシーケンス図である。なお、発光端末20の記憶部24には、光演出システム10に対応する所定のアプリケーションプログラムがインストールされている。制御部23により所定のアプリケーションプログラムが実行されることで、発光端末20は、以下で説明される処理を実行することができる。
【0036】
光による演出の開始時刻が到来すると、クラウドサーバ30の情報処理部32は、通信部31を用いて、複数の発光端末20のそれぞれへ要求情報を送信する(S11)。要求情報は、発光端末20に対して現在位置情報の送信を要求する情報である。
【0037】
発光端末20の通信部22は、要求情報を受信する。制御部23は、受信された要求情報に基づいて、位置計測部25に現在位置(3次元座標)を計測させ(S12)、計測された現在位置を示す現在位置情報を、通信部22を用いてクラウドサーバ30へ送信する(S13)。
【0038】
クラウドサーバ30の通信部31は、複数の発光端末20のそれぞれから現在位置情報を受信する。情報処理部32は、受信した現在位置情報に基づいて複数の発光端末20の現在位置(3次元座標)を特定する(S14)。情報処理部32は、特定した現在位置と、記憶部33に記憶された実空間a、実空間b、及び、実空間cの座標範囲とに基づいて、複数の発光端末20のそれぞれに送信する演出データを決定する(S15)。情報処理部32は、実空間aに位置する発光端末20には、演出データAを送信すると決定し、実空間bに位置する発光端末20には、演出データBを送信すると決定し、実空間cに位置する発光端末20には、演出データCを送信すると決定する。上述のように、実空間a、実空間b、及び、実空間cの座標範囲は、マッピング情報及び演出情報に基づいて決定することができる。
【0039】
情報処理部32は、通信部31を用いて、複数の発光端末20のそれぞれへ当該発光端末20に対して決定された演出データを送信する(S16)。
【0040】
発光端末20の通信部22は、演出データを受信する。制御部23は、受信された演出データに基づいて、発光部21を発光させる(S17)。例えば、演出データAを受信した発光端末20の発光部21は、演出データAにしたがって発光色が経時変化し、演出データBを受信した発光端末20の発光部21は、演出データBにしたがって発光色が経時変化し、演出データCを受信した発光端末20の発光部21は、演出データCにしたがって発光色が経時変化する。
【0041】
図6は、光による演出を説明するための図である。ステップS17の処理の結果、図6に示されるように、上述のマッピング情報に示されている3つのビルの実物を外側から見ると、実空間aに設けられた窓からは演出データAによって指示される色の光が出射され、実空間bに設けられた窓からは演出データBによって指示される色の光が出射され、実空間cに設けられた窓からは演出データCによって指示される色の光が出射される。つまり、3つのビルの窓から出射される光の色により、光による演出が実現される。
【0042】
なお、ステップS16において送信される演出データは、光による演出が行われる全期間(例えば、1時間)に相当する発光色の時系列データであってもよいし、単位時間(例えば、数秒程度の時間)における発光色を示すデータ(例えば、データを受信してから単位時間経過後までの間の1つの発光色を示すデータ)であってもよい。ステップS16において送信される演出データが単位時間における1つの発光色を示すデータである場合、ステップS16及びステップS17の処理は単位時間ごとに繰り返される。
【0043】
以上説明したように、光演出システム10(クラウドサーバ30)は、実空間のマッピ
ング情報、及び、マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部33と、発光端末20の実空間における現在位置情報を受信する通信部31と、受信された現在位置情報に基づいて発光端末20の位置を特定し、マッピング情報及び演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で発光端末20を発光させる情報処理部32とを備える。
【0044】
例えば、発光端末20が一般ユーザが所持する携帯端末である場合、光演出システム10は、光による演出のために照明機器を準備する必要がないため、設備投資費用を抑制しつつ、光による演出を行うことができる。また、発光端末20が仮設の照明機器である場合、照明機器の設置位置についてシビアな設計が不要であるため、照明機器の施工に関する費用を抑制することができる。
【0045】
また、光演出システム10においては、建物への来訪者が所持する携帯端末が光による演出の機材となるため、来訪者は、光による演出に参加する感覚を味わうことができる。つまり、光演出システム10は、来訪者の体験価値を高めることができる。
【0046】
[演出情報の具体例]
演出情報に含まれる演出データ(発光端末20に対して指示する発光色の時系列データ)は、例えば、光演出システム10の管理者等が情報端末40への操作によって定義(生成)する。ここで、演出データとして、既存の動画の画素値が用いられてもよい。動画においては、画素値、つまり、画素の色が経時変化することから、例えば、ある動画の特定の画素の画素値を演出データとして使用することができる。
【0047】
また、演出情報として、動画がそのまま使用されてもよい。つまり、演出情報は、動画がm×nピクセルであれば、マッピング情報をm×nの領域に分割し、各領域の演出データとして、対応する画素の画素値を設定する情報であってもよい。
【0048】
また、発光色を経時変化させない演出を行う場合には、演出情報によって規定される発光色として静止画の画素の色が用いられてもよい。このように、演出情報は、既存の動画または静止画の画素の色を演出用の発光色として設定する情報であってもよい。
【0049】
[マッピング情報の変形例]
上記実施の形態では、マッピング情報は、実空間を内包する建物を外側から見た画像の画像情報であると説明されたが、建物内のフロアの間取りを示す画像情報であってもよい。図7は、変形例に係るマッピング情報を示す図である。また、マッピング情報が建物内のフロアの全部の間取りを示す画像情報であることは必須ではなく、マッピング情報は、建物内のフロアの一部の間取りを示す画像情報であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、複数の発光端末20が位置する空間(実空間)は、ビルの内部の空間であると説明されたが、コンサートホール内の空間、または、競技場などの空間であってもよい。この場合、観客が所持する携帯端末が光による演出の機材となるため、観客は、光による演出に参加する感覚を味わうことができる。つまり、光演出システム10は、観客の体験価値を高めることができる。
【0051】
[現在位置情報の変形例]
上記実施の形態では、発光端末20の現在位置情報は、発光端末20が備えるGNSSモジュールによって計測され、発光端末20からクラウドサーバ30へ提供されると説明された。しかしながら、発光端末20の現在位置情報は、LPS(Local Positioning System)などと呼ばれる測位システムによって計測され、測位システム(測位サーバまたは発光端末20)からクラウドサーバ30へ提供されてもよい。
【0052】
測位システムは、例えば、実空間に設置された複数の発信機が発するビーコン信号の発光端末20における受信信号強度に基づいて、実空間における発光端末20の現在位置を計測するシステムである。測位システムは、発光端末20が発するビーコン信号の、実空間に設置された複数の受信機における受信信号強度に基づいて、発光端末20の実空間における現在位置を計測するシステムであってもよい。また、測位システムは、発光端末20に内蔵される無線タグを、実空間に設置された複数の無線タグリーダによって検出するシステムであってもよい。
【0053】
[その他の変形例]
上記実施の形態では、実空間aに位置する複数の発光端末20は、演出データAに基づいて同じ発光色で発光した。しかしながら、光による演出においては、実空間aを遠くから見たときに、実空間aから出射される光の色が演出データAで規定された色に見えればよい。そこで、例えば、演出データAで規定された色を、赤色成分、緑色成分、及び、青色成分に分離し、実空間aに位置する複数の発光端末20には、赤色成分に相当する色で発光する発光端末20と、緑色成分に相当する色で発光する発光端末20と、青色成分に相当する色で発光する発光端末20とが含まれてもよい。
【0054】
これにより、実空間aを遠くから見たときには、赤色成分、緑色成分、及び、青色成分が混ざることで、実空間aから出射される光の色が演出データAで規定された色に見える効果が得られる。実空間b及び実空間cにおいても同様である。
【0055】
[効果等]
本明細書の開示内容から導き出される発明は、例えば以下のような発明である。以下、本明細書の開示内容から導き出される発明について、当該発明によって得られる効果等と合わせて説明する。
【0056】
発明1は、実空間のマッピング情報、及び、マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部33と、発光端末20の実空間における現在位置情報を受信する通信部31と、受信された現在位置情報に基づいて、発光端末20の実空間における位置を特定し、マッピング情報及び演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で発光端末20を発光させる情報処理部32とを備える、光演出システム10である。
【0057】
このような光演出システム10は、設置位置が変更され得る発光端末20を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0058】
発明2は、演出情報は、既存の動画または静止画の画素の色を演出用の発光色として設定する情報である、発明1の光演出システム10である。
【0059】
このような光演出システム10は、既存の動画または静止画を利用して、発光端末20に対する演出用の発光色を設定することができる。
【0060】
発明3は、実空間は、建物内の空間であり、マッピング情報は、建物を外側から見た画像の画像情報である、発明1または2の光演出システム10である。
【0061】
このような光演出システム10は、建物内に位置する発光端末20を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0062】
発明4は、実空間は、建物内のフロアに相当する空間であり、マッピング情報は、フロ
アの間取りを示す画像情報である、発明1または2の光演出システム10である。
【0063】
このような光演出システム10は、建物内のフロアに位置する発光端末20を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0064】
発明5は、実空間は、建物内のフロアの一部に相当する空間であり、マッピング情報は、フロアの一部の間取りを示す画像情報である、発明1または2の光演出システム10である。
【0065】
このような光演出システム10は、建物内のフロアの一部に位置する発光端末20を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0066】
発明6は、発光端末20は、携帯端末であり、情報処理部32は、特定した位置に対して設定された発光色で、携帯端末が備えるディスプレイを発光させる、発明1~5のいずれかの光演出システム10である。
【0067】
このような光演出システム10は、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末のディスプレイを発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0068】
発明7は、光演出システム10(クラウドサーバ30)などのコンピュータによって実行される光演出方法であって、実空間のマッピング情報、及び、マッピング情報に対して演出用の発光色を設定する演出情報が記憶される記憶部33を参照する参照ステップと、発光端末20の実空間における現在位置情報を受信する受信ステップと、受信された現在位置情報に基づいて、発光端末20の実空間における位置を特定し、マッピング情報及び演出情報に基づいて、特定した位置に対して設定された発光色で発光端末20を発光させる制御ステップとを含む、光演出方法である。
【0069】
このような光演出方法は、設置位置が変更され得る発光端末20を発光させることで、光による演出を実現することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、光演出システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、光演出システムは、クラウドサーバに相当する単一の装置として実現されてもよい。光演出システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された光演出システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0074】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(
または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0075】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0076】
例えば、本発明は、上記実施の形態の光演出システムなどのコンピュータによって実行される光演出方法として実現されてもよい。また、本発明は、このような光演出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、発光端末にインストールされる所定のアプリケーションプログラムとして実現されてもよい。これらのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0077】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10 光演出システム
20 発光端末
21 発光部
22、31 通信部
23 制御部
24、33 記憶部
25 位置計測部
30 クラウドサーバ
32 情報処理部
40 情報端末
50 広域通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7