IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧

特開2024-165858位置検出装置の据付調整具及び据付方法
<>
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図1
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図2
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図3
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図4
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図5
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図6
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図7
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図8
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図9
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図10
  • 特開-位置検出装置の据付調整具及び据付方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165858
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】位置検出装置の据付調整具及び据付方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20241121BHJP
   B66B 3/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B66B7/00 M
B66B3/02 V
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082406
(22)【出願日】2023-05-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 将太郎
【テーマコード(参考)】
3F303
3F305
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303CB04
3F303CB15
3F305DA09
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】被検出体が検出センサのU字溝と対向したときに乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業において、複数種類のU字溝の幅寸法に適用させつつ、据付け作業を容易且つ高精度に行うこと。
【解決手段】据付調整具は、被検出体が検出センサのU字溝と対向したときに乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業に利用される。据付調整具は、基準面がU字溝の内底面に接触し、基準面と共通の辺を有する一対の側面のそれぞれがU字溝の内側面に接触するようにU字溝に挿入される弾性体と、弾性体の基準面の反対面に形成され、弾性体がU字溝に挿入された状態において被検出体を挟持するための挟持溝と、を備える。弾性体は、挟持溝の底面部と弾性体の基準面とによって挟まれた第一領域の弾性率が、第一領域を挟んだ両側に隣接する第二領域の弾性率よりも大きくなるように構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路又は乗りかごに設置され、前記乗りかごの移動方向に沿ったU字溝が形成された検出センサと、前記乗りかごの移動によって前記検出センサの前記U字溝の間を通過するように配置された板状の被検出体と、を有し、前記被検出体が前記検出センサの前記U字溝と対向したときに前記乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業に利用される位置検出装置の据付調整具であって、
前記据付調整具は、
基準面が前記U字溝の内底面に接触し、前記基準面と共通の辺を有する一対の側面のそれぞれが前記U字溝の内側面に接触するように前記U字溝に挿入される弾性体と、
前記弾性体の前記基準面の反対面に形成され、前記弾性体が前記U字溝に挿入された状態において、前記被検出体を挟持するための挟持溝と、を備え、
前記弾性体は、前記挟持溝の底面部と前記弾性体の前記基準面とによって挟まれた第一領域の弾性率が、前記第一領域を挟んだ両側に隣接する第二領域の弾性率よりも大きいことを特徴とする位置検出装置の据付調整具。
【請求項2】
前記第二領域は、前記弾性体の全領域から前記第一領域を除いた領域である請求項1に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項3】
前記弾性体は、前記乗りかごの移動方向から見た断面において、前記反対面を下底とし前記基準面を上底とした台形形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項4】
前記挟持溝は、前記底面部の溝幅が前記反対面に開口した開口部の溝幅よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項5】
前記据付調整具は、
前記弾性体から前記乗りかごの移動方向に向かって延びる取っ手部を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項6】
前記弾性体の前記一対の側面の間の最大幅寸法は、前記検出センサの前記U字溝の幅寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項7】
前記弾性体が前記U字溝に挿入された状態において、前記挟持溝の最小溝幅は、前記被検出体の板厚よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位置検出装置の据付調整具。
【請求項8】
請求項1に記載の据付調整具を用いて前記位置検出装置の据付け作業を行う位置検出装置の据付方法であって、
前記被検出体を前記据付調整具の前記挟持溝に挟んだ状態で前記弾性体を前記検出センサの前記U字溝に挿入する挿入ステップと、
前記検出センサを前記乗りかご及び前記昇降路の一方に設置する第一設置ステップと、
前記検出センサに検出させる位置に前記乗りかごを移動させる移動ステップと、
前記被検出体を前記乗りかご及び前記昇降路の他方に固定する第二設置ステップと、
前記据付調整具を取り外す取り外しステップと、
を備える位置検出装置の据付方法。
【請求項9】
前記第一設置ステップは、前記検出センサを前記乗りかごに設置し、
前記第二設置ステップは、
前記被検出体の位置に合わせて支持体を昇降路に固定し、
前記被検出体と前記支持体とを固定する
請求項8に記載の位置検出装置の据付方法。
【請求項10】
前記挿入ステップは、
前記弾性体の前記一対の側面のそれぞれが前記U字溝の内側面に接触し、前記基準面が前記U字溝の内底面に接触するように、前記弾性体を前記U字溝に挿入する請求項8又は請求項9に記載の位置検出装置の据付方法。
【請求項11】
前記据付調整具は、
前記弾性体から前記乗りかごの移動方向に向かって延びる取っ手部を更に備え、
前記取り外しステップは、前記取っ手部を把持して前記据付調整具を取り外す請求項8又は請求項9に記載の位置検出装置の据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、昇降路内の乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付調整具及び据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エレベーターの位置検出装置の据付け時に好適な技術が開示されている。この従来技術の位置検出装置は、乗りかごの側に設置される検出器と、昇降路の側に設置される遮断部材とを備えている。位置検出装置の据付け調整について、遮断部材に挿入し得るようにした調整部材が設けられる。図11は、従来技術において位置検出装置の据付け時に使用する調整部材の構成を示す正面図である。この図に示す調整部材11は、一端11Aから他端11Bに向けて取付溝11Cが形成されている。位置検出装置の据付け時において、調整部材11の取付溝11Cが遮断部材に乗りかご側から挿入される。そして、遮断部材が挿入された調整部材11が検出器の本体の一対の延在部の間に挿入されることにより、位置の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-41679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検出体が検出センサのU字溝と対向したときに乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業では、特許文献1の調整部材をU字溝に挿入して被検出体の位置調整を行うことが考えられる。その際、調整部材を弾性部材により構成して複数種類の幅のU字溝に対応させることとした場合、図11中の領域11Dにおける弾性変形の影響によって、取付溝に挿入された被検出体の位置決めを正確に行うことができないおそれがある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、被検出体が検出センサのU字溝と対向したときに乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業において、複数種類のU字溝の幅寸法に適用させつつ、据付け作業を容易且つ高精度に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、昇降路又は乗りかごに設置され、乗りかごの移動方向に沿ったU字溝が形成された検出センサと、乗りかごの移動によって検出センサのU字溝の間を通過するように配置された板状の被検出体と、を有し、被検出体が検出センサのU字溝と対向したときに乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業に利用される位置検出装置の据付調整具であって、据付調整具は、基準面がU字溝の内底面に接触し、基準面と共通の辺を有する一対の側面のそれぞれがU字溝の内側面に接触するようにU字溝に挿入される弾性体と、弾性体の基準面の反対面に形成され、弾性体がU字溝に挿入された状態において、被検出体を挟持するための挟持溝と、を備え、弾性体は、挟持溝の底面部と弾性体の基準面とによって挟まれた第一領域の弾性率が、第一領域を挟んだ両側に隣接する第二領域の弾性率よりも大きいことを特徴とするものである。
【0007】
また、本開示は、上記の据付調整具を用いて位置検出装置の据付け作業を行う位置検出装置の据付方法であって、被検出体を据付調整具の挟持溝に挟んだ状態で弾性体を検出センサのU字溝に挿入する挿入ステップと、検出センサを乗りかご及び昇降路の一方に設置する第一設置ステップと、検出センサに検出させる位置に乗りかごを移動させる移動ステップと、被検出体を乗りかご及び昇降路の他方に固定する第二設置ステップと、据付調整具を取り外す取り外しステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、位置検出装置の据付け作業において、複数種類のU字溝の幅寸法に適用させつつ、容易且つ高精度な据付け作業を行うことを補助する据付調整具の技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】位置検出装置が適用されるエレベーターの構造の一例を示す模式図である。
図2】位置検出装置の検出センサ及び被検出体を移動方向から見た模式図である。
図3】実施の形態に係る据付調整具の構成の平面図である。
図4】実施の形態に係る据付調整具の構成の側面図である。
図5】位置検出装置に設置された状態の据付調整具を示す平面図である。
図6】据付調整具の特徴的構造を説明するための平面図である。
図7】据付調整具の特徴的構造を説明するための平面図である。
図8】据付調整具を用いた位置検出装置の据付け作業手順のうち、挿入ステップを説明するための図である。
図9】据付調整具を用いた位置検出装置の据付け作業手順のうち、第二設置ステップを説明するための図である。
図10】据付調整具を用いた位置検出装置の据付け作業手順のうち、取り外しステップを説明するための図である。
図11】従来技術において位置検出装置の据付け時に使用する調整部材の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態.
1.エレベーターの構造
まず、図1を用いて位置検出装置が適用されるエレベーターの構造の一例を説明する。図1は、位置検出装置が適用されるエレベーターの構造の一例を示す模式図である。なお、図1は、昇降路内をエレベーターの乗りかごの移動方向から見た断面を示している。
【0012】
エレベーターの乗りかご2は、昇降路1内に配置されている。乗りかご2は、昇降路1内を走行して各階床間を移動する。以下の説明では、乗りかご2が昇降路1内を移動する方向を「移動方向」と称する。エレベーターは図示しない種々の駆動系の構成を備えている。これらの構成については、本開示の要部ではないため説明を省略する。
【0013】
エレベーターは、乗りかご2を各階床に着床させるための構成として、位置検出装置6を備えている。位置検出装置6は、乗りかご2に設置された検出センサ7と、昇降路1内に設置された被検出体8と、を備えている。検出センサ7は、被検出体8と対向したときに当該被検出体8を検出し得るように配置されたセンサである。被検出体8は、複数の階床のそれぞれの着床位置に対応して設置された板状の部材である。被検出体8は、支持体9を用いて昇降路1内に固定されているガイドレールに固定される。
【0014】
2.位置検出装置の構造
図2は、位置検出装置の検出センサ及び被検出体を移動方向から見た模式図である。この図に示すように、検出センサ7は、被検出体8の側に向かって開口した断面U型のU字溝72を備える。U字溝72の溝内部は、一対の内側面74と内底面76とによって構成される。
【0015】
被検出体8は、乗りかご2の着床位置に対応する移動方向の位置において、乗りかご2の移動によって検出センサ7のU字溝72の間を通過するように配置される。このため、位置検出装置6の据付け作業において、被検出体8がU字溝72の一対の内側面74と内底面76に接触しないように位置決めすることが求められる。特に、支持体9を介して被検出体8を昇降路1内に設置する場合、支持体9の寸法誤差或いは取付け誤差の影響により、検出センサ7に対する被検出体8の位置決め作業に時間を要するという問題がある。
【0016】
本実施の形態では、位置検出装置6の据付け作業において、検出センサ7に対する被検出体8の位置を高精度で行うための補助具として、据付調整具が利用される。以下、本実施の形態の据付調整具の構成について詳細に説明する。
【0017】
3.据付調整具の構成
3-1.据付調整具の基本的構造
図3は、本実施の形態に係る据付調整具の構成の平面図である。また、図4は、本実施の形態に係る据付調整具の構成の側面図である。図3及び図4に示すように、据付調整具10は、本体を構成する弾性体12と、取っ手部30と、を備えている。弾性体12は、平面視が台形の四角柱形状を呈している。典型的には、弾性体12の柱表面は、一対の台形形状の底面13と、台形の上底を構成する基準面14と、基準面14の反対側において台形の下底を構成する反対面16と、基準面14及び反対面16と共通の辺を有する一対の側面18と、により構成されている。反対面16と一対の側面18との共通の辺には、丸みを帯びた角R面20がそれぞれ形成されている。以下の説明では、平面視における基準面14の延在方向を弾性体12の「幅方向」と称し、平面視における基準面14に垂直な方向を弾性体12の「厚さ方向」と称し、底面13に垂直な方向を弾性体12の「高さ方向」と称する。
【0018】
弾性体12の反対面16には、幅方向の中央部から高さ方向に沿って挟持溝22が形成されている。挟持溝22は、底面部24と、一対の側面部26と、により構成され、反対面16の側が開口している。挟持溝22は、底面部24から弾性体12の基準面14までの厚さ方向の距離が、被検出体8の端部からU字溝72の内底面76迄の距離となるように、溝深さが設定されている。
【0019】
取っ手部30は、一対の底面13のそれぞれにおいて、挟持溝22の底面部24と基準面14との間の位置から高さ方向に沿って延びた柱状の突起である。ここでは、六角柱形状の取っ手部30が例示されているが、把持し易い形状であれば他の形状でもよい。
【0020】
据付調整具10は、位置検出装置6の据付け作業において、検出センサ7に対する被検出体8の相対位置を決定する際に利用される。図5は、位置検出装置に設置された状態の据付調整具を示す平面図である。この図に示すように、据付調整具10は、被検出体8の端部が挟持溝22の底面部24に接触する位置で当該被検出体8を挟持した状態で、検出センサ7のU字溝72に挿入されて使用される。この際、据付調整具10は、弾性体12を弾性変形させて基準面14がU字溝72の内底面76に接触する位置まで挿入される。これにより、据付調整具10は、被検出体8を挟んだ状態で検出センサ7に対する位置が固定される。
【0021】
ここで、据付け作業において、弾性体12を弾性変形させて検出センサ7のU字溝72へ挿入する構成では、据付調整具10をU字溝72に簡易に固定することができる。しかしながら、弾性体12を弾性変形させると、挟持溝22に挟んだ被検出体8と検出センサ7との位置関係にズレが生じるおそれがある。
【0022】
そこで、本実施の形態の据付調整具10は、弾性体12を弾性変形させて検出センサ7に挿入したとしても、挟持溝22に挟んだ被検出体8に対する検出センサ7の相対位置にズレを生じ難くするための以下の特徴を有している。
【0023】
3-2.据付調整具の特徴的構造
図6は、据付調整具の特徴的構造を説明するための平面図である。本実施の形態の据付調整具10は、弾性率の異なる2つの部材によって弾性体12が構成されている。具体的には、挟持溝22の底面部24と弾性体12の基準面14との間に位置する第一領域R1は、第一弾性部材121によって構成されている。第一弾性部材121は、例えば硬度70のクロロプレンゴムである。また、弾性体12において第一領域R1を挟んだ両側に隣接する第二領域R2は、第一弾性部材121よりも弾性率の小さい第二弾性部材122によって構成されている。第二弾性部材122は、例えば硬度50のポリブタジエンゴムである。第一弾性部材121と第二弾性部材122は、例えば熱溶着又はリベット等の機械的接着により接合される。なお、図6に示す例では、弾性体12の全領域から第一領域R1を除いた領域を第二領域R2としているが、第二領域R2は、第一領域R1を挟んだ幅方向の両側に隣接する一部領域でもよい。
【0024】
このように、据付調整具10は、弾性体12の基準面14と挟持溝22の底面部24との間の第一弾性部材121の弾性率が第二弾性部材122の弾性率よりも大きい。このため、弾性体12がU字溝72に挿入されたときに、第二弾性部材122が弾性変形することで第一弾性部材121の弾性変形が抑えられる。その結果、挟持溝22の底面部24と弾性体12の基準面14との間の第一弾性部材121の厚さT1が弾性変形により変化することが抑えられる。これにより、弾性体12を弾性変形させて検出センサ7に挿入する構成を採用しつつも、被検出体8に対する検出センサ7の相対位置が弾性変形によってずれることが防げる。
【0025】
図7は、据付調整具の特徴的構造を説明するための平面図である。図7に示すように、据付調整具10の弾性体12は、平面視において台形形状を有している。このような形状によれば、弾性体12を下底側の基準面14から検出センサ7のU字溝72に挿入し易い。
【0026】
また、弾性体12の幅方向の最小幅寸法W1はU字溝72の幅寸法よりも小さくなるように構成され、弾性体12の幅方向の最大幅寸法W2はU字溝72の幅寸法よりも大きくなるように構成されている。これにより、弾性体12を弾性変形させることにより、弾性体12の幅方向の最小幅寸法W1から最大幅寸法W2の間の開口幅を有するU字溝72に対して、弾性体12を挿入して固定することができる。最小幅寸法W1は例えば14mmであり、最大幅寸法W2は例えば26mmである。これにより、U字溝72の開口幅が異なる種々の検出センサ7に対して、共通の据付調整具10を使用することが可能となる。
【0027】
さらに、図7に示すように、据付調整具10の弾性体12の挟持溝22は、底面部24の溝幅W3が反対面16に開口した開口部の溝幅W4よりも狭くなるように構成されている。溝幅W3は例えば3.2mmであり、溝幅W4は、例えば4.3mmである。このような構成によれば、被検出体8を挟持溝22に容易に挿入することができる。また、据付調整具10は、弾性体12はU字溝72に挿入されることによる弾性変形によって、挟持溝22の溝幅の最小溝幅が被検出体8の板厚よりも小さくなるように構成されている。このような構成によれば、U字溝72に挿入された据付調整具10によって被検出体8が強固に挟持される。
【0028】
据付調整具10の取っ手部30は、検出センサ7のU字溝72に挿入された据付調整具10を取り外す際に、作業員によって把持される。これにより、据付調整具10の取外し作業が容易になる。また、据付調整具10は、取っ手部30をかごドア又は乗場ドアの敷居に挿し込むことにより、ドアストッパーとして機能させることもできる。
【0029】
4.据付調整具10を用いた位置検出装置6の据付け作業手順
次に、据付調整具10を用いた位置検出装置6の据付方法を、作業手順に沿って説明する。
【0030】
4-1.挿入ステップ
図8は、据付調整具10を用いた位置検出装置6の据付け作業手順のうち、挿入ステップを説明するための図である。挿入ステップでは、先ず、被検出体8の端部が据付調整具10の挟持溝22の底面部24に接触する位置まで被検出体8を挿し込む。次に、被検出体8を挟持溝22に挟んだ状態で、弾性体12の基準面14が検出センサ7のU字溝72の内底面76に接触する位置まで据付調整具10を挿入する。これにより、据付調整具10は、弾性体12の弾性力によって被検出体8を挟持しつつU字溝72に保持される。
【0031】
4-2.第一設置ステップ
第一設置ステップでは、据付調整具10が保持された検出センサ7を乗りかご2における規定の位置に設置する。
【0032】
4-3.移動ステップ
移動ステップでは、検出センサ7に検出させる位置に乗りかご2を移動する。ここでの位置は、例えば階床に対応した乗りかご2の着床位置として予め定められた位置である。
【0033】
4-4.第二設置ステップ
図9は、据付調整具10を用いた位置検出装置6の据付け作業手順のうち、第二設置ステップを説明するための図である。第二設置ステップでは、被検出体8を昇降路1内に固定する。ここでは、据付調整具10に挟持されている被検出体8の位置に合わせて、支持体9の基端側を昇降路1のガイドレール40にボルト等の締結部材42を用いて固定する。そして、支持体9の先端側を被検出体8にボルト等の締結部材44を用いて固定する。
【0034】
4-5.取り外しステップ
図10は、据付調整具10を用いた位置検出装置6の据付け作業手順のうち、取り外しステップを説明するための図である。取り外しステップでは、取っ手部30を把持して、検出センサ7のU字溝72に挿入された据付調整具10を取り外す。
【0035】
以上説明した据付け作業手順によれば、被検出体8を設置する際に、被検出体8に対する相対位置を個別に調整する手間が省ける。
【0036】
5.変形例
本実施の形態の据付調整具10は、以下のように変形した態様を採用してもよい。
【0037】
据付調整具10が利用される位置検出装置6は、検出センサ7及び被検出体8の一方を乗りかご2に設置し、検出センサ7及び被検出体8の他方を昇降路1に設置する構成であればよい。つまり、位置検出装置6は、被検出体8を乗りかご2に設置し、検出センサ7を昇降路1に設置する構成でもよい。この場合、据付け作業手順は、第一設置ステップにおいて、据付調整具10が保持された検出センサ7を昇降路1に設置し、第二設置ステップにおいて、被検出体8を乗りかご2に固定すればよい。
【0038】
据付調整具10の弾性体12は、第一弾性部材121の弾性率が第二弾性部材122の弾性率よりも大きくなるように構成されるのであれば、その材質及び弾性率に限定はない。
【0039】
弾性体12の底面13が台形の四角柱形状に限らず、底面13が長方形の四角柱形状でもよい。
【0040】
6.その他
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、本開示は上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0041】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0042】
(付記1)
昇降路又は乗りかごに設置され、前記乗りかごの移動方向に沿ったU字溝が形成された検出センサと、前記乗りかごの移動によって前記検出センサの前記U字溝の間を通過するように配置された板状の被検出体と、を有し、前記被検出体が前記検出センサの前記U字溝と対向したときに前記乗りかごの位置を検出する位置検出装置の据付け作業に利用される位置検出装置の据付調整具であって、
前記据付調整具は、
基準面が前記U字溝の内底面に接触し、前記基準面と共通の辺を有する一対の側面のそれぞれが前記U字溝の内側面に接触するように前記U字溝に挿入される弾性体と、
前記弾性体の前記基準面の反対面に形成され、前記弾性体が前記U字溝に挿入された状態において、前記被検出体を挟持するための挟持溝と、を備え、
前記弾性体は、前記挟持溝の底面部と前記弾性体の前記基準面とによって挟まれた第一領域の弾性率が、前記第一領域を挟んだ両側に隣接する第二領域の弾性率よりも大きいことを特徴とする位置検出装置の据付調整具。
(付記2)
前記第二領域は、前記弾性体の全領域から前記第一領域を除いた領域である付記1に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記3)
前記弾性体は、前記乗りかごの移動方向から見た断面において、前記反対面を下底とし前記基準面を上底とした台形形状を有することを特徴とする付記1又は付記2に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記4)
前記挟持溝は、前記底面部の溝幅が前記反対面に開口した開口部の溝幅よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする付記1から付記3の何れか1項に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記5)
前記据付調整具は、
前記弾性体から前記乗りかごの移動方向に向かって延びる取っ手部を更に備えることを特徴とする付記1から付記4の何れか1項に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記6)
前記弾性体の前記一対の側面の間の最大幅寸法は、前記検出センサの前記U字溝の幅寸法よりも大きいことを特徴とする付記1から付記5の何れか1項に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記7)
前記弾性体が前記U字溝に挿入された状態において、前記挟持溝の最小溝幅は、前記被検出体の板厚よりも小さいことを特徴とする付記1から付記6の何れか1項に記載の位置検出装置の据付調整具。
(付記8)
付記1から付記7の何れか1項に記載の据付調整具を用いて前記位置検出装置の据付け作業を行う位置検出装置の据付方法であって、
前記被検出体を前記据付調整具の前記挟持溝に挟んだ状態で前記弾性体を前記検出センサの前記U字溝に挿入する挿入ステップと、
前記検出センサを前記乗りかご及び前記昇降路の一方に設置する第一設置ステップと、
前記検出センサに検出させる位置に前記乗りかごを移動させる移動ステップと、
前記被検出体を前記乗りかご及び前記昇降路の他方に固定する第二設置ステップと、
前記据付調整具を取り外す取り外しステップと、
を備える位置検出装置の据付方法。
(付記9)
前記第一設置ステップは、前記検出センサを前記乗りかごに設置し、
前記第二設置ステップは、
前記被検出体の位置に合わせて支持体を昇降路に固定し、
前記被検出体と前記支持体とを固定する
付記8に記載の位置検出装置の据付方法。
(付記10)
前記挿入ステップは、
前記弾性体の前記一対の側面のそれぞれが前記U字溝の内側面に接触し、前記基準面が前記U字溝の内底面に接触するように、前記弾性体を前記U字溝に挿入する付記8又は付記9に記載の位置検出装置の据付方法。
(付記11)
前記据付調整具は、
前記弾性体から前記乗りかごの移動方向に向かって延びる取っ手部を更に備え、
前記取り外しステップは、前記取っ手部を把持して前記据付調整具を取り外す付記8から付記10の何れか1項に記載の位置検出装置の据付方法。
【符号の説明】
【0043】
1 昇降路、 2 乗りかご、 6 位置検出装置、 7 検出センサ、 8 被検出体、 9 支持体、 10 据付調整具、 12 弾性体、 13 底面、 14 基準面、 16 反対面、 18 側面、 20 角R面、 22 挟持溝、 24 底面部、 26 側面部、 30 取っ手部、42,44 締結部材、 72 U字溝、 74 内側面、 76 内底面、 121 第一弾性部材、 122 第二弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11