(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016588
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】飛翔体
(51)【国際特許分類】
B64B 1/58 20060101AFI20240131BHJP
B64B 1/40 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B64B1/58
B64B1/40
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118828
(22)【出願日】2022-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】520365229
【氏名又は名称】株式会社岩谷技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 圭介
(57)【要約】
【課題】飛翔体が備える球皮に取り付けられる部品を容易に交換可能とする技術を提供する。
【解決手段】飛翔体が備える球皮11に取り付けられているマウント15は、部品2が備える部品側連結機構21との間で連結状態と分離状態を切り替え可能な球皮側連結機構152を備える。球皮側連結機構152は、内面上にネジ谷の切られた円筒形状の部材である。部品側連結機構21は、球皮側連結機構152のネジ谷と係合するネジ山が外面上に切られた円柱形状又は円筒形状の部材である。作業者は、マウント15に部品2を押し当てて時計回りに回すことで、球皮11に対し部品2を容易に取り付けることができる。また、作業者は、マウント15に取り付けられた状態の部品2をマウント15に対し反時計回りに回転させることで、球皮11から部品2を容易に取り外すことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の空気より軽量な気体を収容する球皮と、
前記球皮に取り付けられたマウントと
を備え、
前記マウントは、前記球皮に取り付けられる部品が備える連結機構である部品側連結機構と連結された状態である連結状態と、当該部品側連結機構と分離された状態である分離状態とを切り替え可能な連結機構である球皮側連結機構を有する
飛翔体。
【請求項2】
前記球皮は開口部を有し、
前記マウントは前記球皮の開口部を塞ぐように前記球皮に取り付けられており、
前記マウントと前記球皮とが接する部分は気密に封止されており、
前記マウントは前記球皮の開口部と連通する開口部を有し、
前記球皮側連結機構が前記連結状態であるときに、前記マウントと前記球皮に取り付けられる部品とが接する部分は気密に封止される
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項3】
前記マウントは、第1の前記球皮側連結機構である第1球皮側連結機構と、第2の前記球皮側連結機構である第2球皮側連結機構とを有する
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項4】
前記マウントは、前記第1球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第1部品と、前記第2球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第2部品との間を電気的に接続する配線を有する
請求項3に記載の飛翔体。
【請求項5】
前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品と、前記飛翔体により搬送される物体を収容する容器に収容されている装置との間を電気的に接続する配線を備える
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項6】
前記球皮は、前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する投影機により前記球皮の内側に投影された画像を映し出す
請求項1に記載の飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛翔体に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の空気より軽量な気体(以下、「軽量ガス」という)を収容する袋体である球皮を備え、球皮に生じる浮力により上昇する気球、飛行船等の飛翔体において、球皮に部品が取り付けられる場合がある。
【0003】
例えば、球皮の多くには、球皮に収容されている軽量ガスを球皮外に排気するために設けられた排気孔を開閉する開閉機構(部品の一例)が取り付けられている。
【0004】
また、例えば上空の温度を測定するために飛翔体が上げられる場合、温度の測定環境の共通化の観点から、温度計(部品の一例)が球皮の天頂部分に取り付けられることが望ましい。
【0005】
飛翔体の球皮に部品を取り付ける技術を開示した特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、球皮の内側に配置される内側部材と、球皮の外側に配置される外側部材と、球皮を挟み込んだ状態の内側部材と外側部材を締め付ける締付部材とを備える球皮より剛性の高い部材(剛性部材)が記載されている。そして、特許文献1には、剛性部材の一例として、開閉機構を備える剛性部材や、電子機器等の装置を収容する収容空間を形成する剛性部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明においては、異なる機能を備える剛性部材は異なる構造を備える。従って、飛翔体のユーザは、飛翔体の飛翔の目的に不要な剛性部材を球皮にから取り外し、その目的に必要な剛性部材を球皮に取り付ける、という作業を行う必要がある。そのような剛性部材の交換作業には手間を要する。
【0008】
上記の事情に鑑み、本発明は、飛翔体が備える球皮に取り付けられる部品を容易に交換可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、周囲の空気より軽量な気体を収容する球皮と、前記球皮に取り付けられたマウントとを備え、前記マウントは、前記球皮に取り付けられる部品が備える連結機構である部品側連結機構と連結された状態である連結状態と、当該部品側連結機構と分離された状態である分離状態とを切り替え可能な連結機構である球皮側連結機構を有する飛翔体を第1の態様として提案する。
【0010】
第1の態様に係る飛翔体によれば、ユーザは、連結状態と分離状態とを切り替える操作を行うことで、同じ構造の部品側連結機構を有する異なる部品を球皮に容易に着脱できる。その結果、球皮に取り付けられる部品が容易に交換可能となる。
【0011】
第1の態様に係る飛翔体において、前記球皮は開口部を有し、前記マウントは前記球皮の開口部を塞ぐように前記球皮に取り付けられており、前記マウントと前記球皮とが接する部分は気密に封止されており、前記マウントは前記球皮の開口部と連通する開口部を有し、前記球皮側連結機構が前記連結状態であるときに、前記マウントと前記球皮に取り付けられる部品とが接する部分は気密に封止される、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0012】
第2の態様に係る飛翔体によれば、例えば、球皮内の気体を排気する排気機構のような球皮の内外を結ぶ気体の経路を形成する部品や、例えば、球皮内の温度等を測定する測定装置のような球皮の内側に露出することが望ましい部品が、球皮に容易に着脱可能となる。
【0013】
第1の態様に係る飛翔体において、前記マウントは、第1の前記球皮側連結機構である第1球皮側連結機構と、第2の前記球皮側連結機構である第2球皮側連結機構とを有する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0014】
第3の態様に係る飛翔体によれば、ユーザは、複数の部品を同時に球皮に取り付けることができる。
【0015】
第3の態様に係る飛翔体において、前記マウントは、前記第1球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第1部品と、前記第2球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第2部品との間を電気的に接続する配線を有する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0016】
第4の態様に係る飛翔体によれば、球皮に取り付けられた複数の部品間で電力や信号の受け渡しができる。
【0017】
第1の態様に係る飛翔体において、前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品と、前記飛翔体により搬送される物体を収容する容器に収容されている装置との間を電気的に接続する配線を備える、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0018】
第5の態様に係る飛翔体によれば、球皮に取り付けられた部品と飛翔体により搬送される容器内の装置との間で電力や信号の受け渡しができる。
【0019】
第1の態様に係る飛翔体において、前記球皮は、前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する投影機により前記球皮の内側に投影された画像を映し出す、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0020】
第6の態様に係る飛翔体によれば、上空に画像を映し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】一実施形態に係るマウントの外観を示した図。
【
図3】一実施形態に係るマウントに対し部品が着脱される様子を示した図。
【
図5】一変形例に係るマウントに対し部品が着脱される様子を示した図。
【
図6】一変形例に係るマウントに取り付けられる部品の例を示した図。
【
図7】一変形例に係るマウントに取り付けられる部品の例を示した図。
【
図9】一変形例に係るマウントに対し2つの部品が取り付けられた状態を示した図。
【
図12】一変形例に係るマウントの外観を示した図。
【
図13】一変形例に係るマウントに対し部品が着脱される様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る飛翔体1の外観を示した図である。飛翔体1はガス気球である。飛翔体1は、球皮11と、球皮11の天頂部付近から天底部に向かう所定角度の範囲において球皮11の表面に取り付けられた複数のロードケーブル12と、ロードケーブル12の下端に一方の端部が連結され他方の端部が容器14に連結された複数の吊索13と、吊索13を介して球皮11に吊り下げられて上空へと搬送されるキャビン14と、球皮11の天頂部において球皮11の外側面上に取り付けられているマウント15を備える。
【0023】
球皮11は、ヘリウム等の軽量ガスを収容する袋体であり、空気中で浮力を生じる。ロードケーブル12は、吊索13を介して球皮11にかかる負荷を分散する役割を果たす索体である。吊索13は、球皮11の下に容器14を吊る役割を果たす索体である。容器14は、球皮11の上昇に伴い上空へと搬送される物体を収容する容器である。容器14は、人間を収容してもよい。
【0024】
マウント15は、部品2を球皮11に取り付けるための部材である。
図2は、マウント15の外観を示した図である。
図2(A)はマウント15の平面図(
図1における上から下に見た図)であり、
図2(B)はマウント15を
図2(A)の二点鎖線において切断した場合の断面を矢印Aの方向に見た断面図である。
【0025】
マウント15は、本体部151と、球皮側連結機構152を備える。本体部151は、板状の部材であり、下面が球皮11に固着される。本体部151を平面視した形状はいずれの形状であってもよいが、球皮を破損する危険性が低い角のない形状(円形、楕円形等)が望ましい。
【0026】
球皮側連結機構152は、部品2が備える部品側連結機構との間で、連結された状態(以下、「連結状態」という)と、分離された状態(以下、「分離状態」という)とを切り替え可能な連結機構である。本実施形態においては、例として、球皮側連結機構152は、内側面上にネジ谷が切られた円筒形状の部材である。球皮側連結機構152は下端部において本体部151の上面に固着されている。
【0027】
本体部151と球皮側連結機構152は別の部材として製造され、熱溶着、溶接、接着、ネジ止め等により連結されてマウント15を構成してもよいし、本体部151と球皮側連結機構152が一体として製造されてもよい。例えば、本体部151と球皮側連結機構152の素材がプラスチックである場合、本体部151と球皮側連結機構152が別の部材として製造された後、熱溶着されてもよいし、それらが射出成形等により一つの部材として製造されてもよい。また、本体部151と球皮側連結機構152の素材が金属である場合、本体部151と球皮側連結機構152が別の部材として製造された後、それらが溶接されてもよいし、それらが切削加工等により一つの部材として製造されてもよい。また、本体部151と球皮側連結機構152が接着やネジ止めにより連結される場合、それらの素材が異なってもよい。
【0028】
図3は、球皮11に取り付けられたマウント15に対し、部品2が着脱される様子を示した図である。なお、本実施形態において、球皮11とマウント15は、例えば接着剤、両面テープ等により接着されている。
【0029】
部品2は、球皮側連結機構152との間で連結状態と分離状態を切り替え可能な連結機構である部品側連結機構21を備える。本実施形態において、部品側連結機構21は、外側面上にネジ山が切られた円柱形状又は円筒形状の部材である。
図3(A)は、球皮側連結機構152と部品側連結機構21が分離状態の球皮11、マウント15、及び、部品2を示した図である。
図3(B)は、球皮側連結機構152と部品側連結機構21が連結状態の球皮11、マウント15、及び、部品2を示した図である。
【0030】
作業者は、分離状態(
図3(A))の部品側連結機構21を球皮側連結機構152に対し、例えば時計回りにねじることによって、球皮11に部品2を取り付けることができる(
図3(B))。また、作業者は、連結状態(
図3(B))の部品側連結機構21を球皮側連結機構152に対し、例えば反時計回りにねじることによって、球皮11から部品2を取り外すことができる(
図3(A))。
【0031】
上述した飛翔体1によれば、作業者は容易な操作により、球皮11に対する部品2の着脱ができる。その結果、作業者は、同じ構造の部品側連結機構21を備える、異なる部品2を容易な操作により交換できる。例えば、作業者は、部品2Aが球皮11に取り付けられている場合、部品2Aをマウント15から取り外し、部品2Aとは異なる部品2Bをマウント15に取り付けることにより、球皮11に取り付けられていた部品2Aを部品2Bに変更できる。
【0032】
[変形例]
上述した気球1は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形されてよい。以下に変形の例を示す。以下の変形例の2以上が適宜、組み合わされてもよい。
【0033】
(1)上述した実施形態に係るマウント15による場合、球皮11に取り付けられた部品2はその一部が球皮11の外側に露出するが、球皮11の内側に露出することはない。これに代えて、球皮11に取り付けられた部品2の一部が球皮11の外側に露出するとともに、その部品2の一部が球皮11の内側に露出するように、マウント15が構成されてもよい。
【0034】
図4は、この変形例に係るマウント15の外観を示した図である。
図4(A)はマウント15の平面図であり、
図4(B)はマウント15を
図4(A)の二点鎖線において切断した場合の断面を矢印Aの方向に見た断面図である。
【0035】
この変形例において、本体部151は、平面視した形状がドーナツ形状であり、中央に開口部H1を有している。そして、球皮側連結機構152が、開口部H1の外縁部において本体部151と連結されている。
【0036】
また、この変形例において、球皮側連結機構152の上面に、ドーナツ形状の封止部材153が取り付けられている。封止部材153は、部品2がマウント15に取り付けられた状態において、部品2と球皮側連結機構152との間の隙間を塞ぐ。すなわち、封止部材153は、部品側連結機構21と球皮側連結機構152が連結状態であるときに、マウント15と部品2とが接する部分を気密に封止する部材である。封止部材153は、例えばゴム、スポンジ等の弾性体で構成され、接着等により球皮側連結機構152に取り付けられている。
【0037】
図5は、球皮11に取り付けられたマウント15に対し、部品2が着脱される様子を示した図である。
図5(A)は、球皮側連結機構152と部品側連結機構21が分離状態の球皮11、マウント15、及び、部品2を示した図である。
図5(B)は、球皮側連結機構152と部品側連結機構21が連結状態の球皮11、マウント15、及び、部品2を示した図である。
【0038】
この変形例において、球皮11は開口部H2を有している。そしてマウント15は、開口部H2を塞ぐように球皮11に取り付けられている。その結果、マウント15の開口部H1と球皮11の開口部H2は連通している。マウント15と球皮11とが接する部分は、例えば接着剤により、気密に封止されている。
【0039】
部品2がマウント15に取り付けられると、封止部材153によりマウント15と部品2とが接する部分が気密に封止される。従って、部品2がマウント15に取り付けられた状態においては、球皮11の開口部H2がマウント15と部品2により気密に封止されて、球皮11内の軽量ガスが開口部H2を通って球皮11外に漏れ出すことはない。
【0040】
なお、マウント15が封止部材153を備えず、部品2が封止部材153と同様の封止部材を備えてもよい。
【0041】
図5(B)に示される部品2は、センサ22により球皮11内の物理量(例えば、温度、圧力等)を測定する測定装置である。
【0042】
図6は、この変形例においてマウント15に取り付けられる部品2の他の例を示した図である。
図6に示される部品2は、連通した開口部H1と開口部H2を開閉する開閉機構である。
図6(A)は閉状態の部品2を示した図であり、
図6(B)は開状態の部品2を示した図である。また、
図6(C)はマウント15を介して球皮11に取り付けられた状態の部品2を示した図である。
図6に示される部品2は、上底から外側に突起するドーナツ形状の鍔部を有し外側面にネジ山の切られた円筒形状の本体部23と、本体部23の下側の開口部を塞ぐ円形の板状の部材である蓋部24と、本体部23と蓋部24に連結された複数の弦巻バネ25と、弦巻バネ25により本体部23に押圧される蓋部24と本体部23の間に挟まれるように本体部23の下面に取り付けられたドーナツ形状の封止部材26と、蓋部24の下面に一方の端部が取り付けられた操作索27を備える。なお、この変形例においては、本体部23のネジ山の切られた部分が部品側連結機構21の役割を果たす。
【0043】
マウント15の下面から下方へと伸びる操作索27は、球皮11の天底部に設けられた開口部と容器14に設けられた開口部を通って容器14内に至るように配置されている。なお、操作索27を通すために容器14に設けられた開口部には、気密を保ちつつ操作索27の移動を許容する封止機構(図示略)が設けられている。
【0044】
容器14内の乗員が操作索27を引き下げると、蓋部24が下方に移動し、本体部23と蓋部24の間に生じた隙間を通って、球皮11内の軽量ガスが球皮11外へと排気される。その後、乗員が操作索27の引き下げを止めると、蓋部24が本体部23の開口部を塞ぎ、軽量ガスの排気が停止される。
【0045】
なお、
図6に示す部品2が、排気される軽量ガスの流量を測定する流量計を備えてもよい。
【0046】
図7は、この変形例においてマウント15に取り付けられる部品2のさらに他の例を示した図である。
図7に示される部品2は、投光部28から球皮11の内側に画像Iを表す光を投影する投影機である。この変形例において、球皮11は部品2により内側に投影された画像Iを映し出すスクリーンの役割を果たす。
【0047】
なお、この変形例において、球皮11に対する特定の機能を備える部品2の取り付けが不要である場合、連通した開口部H1と開口部H2を塞ぐ蓋の機能のみを備える部品2がマウント15に取り付けられてもよい。
【0048】
(2)上述した実施形態に係る飛翔体1が備えるマウント15は、同時に取付可能な部品2の数が1つである。マウント15が、同時に複数の部品2を取付可能なように構成されてもよい。
【0049】
図8は、この変形例に係るマウント15の外観を示した図である。
図8(A)はマウント15の平面図であり、
図8(B)はマウント15を
図8(A)の二点鎖線において切断した場合の断面を矢印Aの方向に見た断面図である。
【0050】
図8に示すマウント15は、第1球皮側連結機構152Aと、第2球皮側連結機構152Bを備える。第1球皮側連結機構152Aと第2球皮側連結機構152Bの各々の構造は、上述した実施形態に係るマウント15が備える球皮側連結機構152と同様である。
【0051】
図8に示すマウント15は、第1球皮側連結機構152Aに取り付けられた部品2と、第2球皮側連結機構152Bに取り付けられた部品2との間を電気的に接続する配線154を備える。配線154は、第1球皮側連結機構152Aの内側に露出する端子1541Aと、第2球皮側連結機構152Bの内側に露出する端子1541Bと、端子1541Aと端子1541Bとの間を結ぶ細長い導体1542を備える。
【0052】
図9は、この変形例において、球皮11に取り付けられたマウント15に対し、2つの部品2、すなわち、部品2Aと部品2Bが取り付けられた状態を示した図である。部品2Aは、マウント15に取り付けられた状態において端子1541Aと電気的に接続されるように設けられた環状の端子29Aを備える。また、部品2Bは、マウント15に取り付けられた状態において端子1541Bと電気的に接続されるように設けられた環状の端子29Bを備える。従って、部品2Aと部品2Bは、マウント15に取り付けられた状態において、配線154を介して互いに電気的に接続される。
【0053】
例えば、部品2Aがバッテリを有し、部品2Bがバッテリを有さない場合、部品2Aから部品2Bに対し配線154を介した電力の供給が可能である。また、例えば、部品2Aが地上又は容器14内の装置との間で無線通信を行う通信装置を有し、部品2Bがそのような通信装置を有さない場合、部品2Bが部品2Aとの間で配線154を介したデータ通信を行い、部品2Aが部品2Bと地上又は容器14内の装置との間のデータ通信を中継することが可能である。
【0054】
なお、マウント15が備える球皮側連結機構152の数は3以上であってもよい。また、この変形例と上述した変形例(1)が組み合わされて、マウント15に取り付けられる複数の部品2の各々が球皮11の内側及び外側に露出するようにマウント15が構成されてもよい。
【0055】
また、マウント15が配線154を備えなくてもよい。
【0056】
上記のように、この変形例に係る飛翔体1によれば、球皮11に対し同時に複数の部品2を取り付けることができる。また、配線154を備える場合、それらの複数の部品2の間で、電力や信号の受け渡しができる。
【0057】
(3)飛翔体1が、マウント15に取り付けられた状態の部品2と、容器14に収容されている装置との間を電気的に接続する配線を備えてもよい。
【0058】
図10は、この変形例に係る飛翔体1の外観を示した図である。
図10に示される飛翔体1は、マウント15に一方の端部が接続され、容器14内の装置3に他方の端部が接続された配線16を備える。配線16は、複数のロードケーブル12のうちの1本と、そのロードケーブル12に連結された吊索13に取り付けられている。ただし、
図10においては、便宜的に配線16を、それが取り付けられているロードケーブル12及び吊索13から離して示している。もしくは、配線16が、複数のロードケーブル12のうちの1本と、そのロードケーブル12に連結された吊索13と一体に構成されてもよい。換言すれば、配線16が、複数のロードケーブル12のうちの1本と、そのロードケーブル12から容器14へと伸びる吊索13の役割を果たしてもよい。
【0059】
図11は、この変形例に係るマウント15の断面図である。
図11に示されるマウント15の球皮側連結機構152の内側には、配線16の一方の端部に設けられた端子161が配置されている。この変形例において、マウント15に取り付けられる部品2には、上述した変形例(2)における部品2と同様に、端子29が設けられている。従って、マウント15に部品2が取り付けられた状態において、部品2と装置3との間に、配線16を介した電気的な接続が実現される。
【0060】
この変形例に係る飛翔体1によれば、容器14内の装置と球皮11に取り付けられた部品との間で、電力や信号の受け渡しができる。
【0061】
(4)上述した実施形態において、球皮側連結機構152と部品側連結機構21はネジ谷とネジ山の係合(ねじ込み)とその解除により、連結状態と分離状態の切り替えが行われる構成を備えている。球皮側連結機構152と部品側連結機構21の連結及びその解除の構造はネジ谷及びネジ山によるものに限られない。
【0062】
図12は、この変形例の一例に係るマウント15の外観を示した図である。
図12(A)はマウント15の平面図であり、
図12(B)はマウント15を
図12(A)の二点鎖線において切断した場合の断面を矢印Aの方向に見た断面図である。
【0063】
図12に示されるマウント15の球皮側連結機構152は、上述した実施形態に係る球皮側連結機構152が備えるネジ谷に代えて、上面から下方に伸びる複数の切欠き部Nと、それらの切欠き部Nの各々から円周方向(時計回り方向)に所定角度だけ延伸するように内面上に設けられた複数の溝Gとを備える円筒形状の部材である。
【0064】
図13は、
図12に示されるマウント15に対し部品2が着脱される様子を示した図である。この変形例において、部品2の部品側連結機構21は、球皮側連結機構152の複数の切欠き部Nの各々に挿入されるように部品2の本体に対し配置された複数のフック状の部材である。
図13(A)は分離状態のマウント15と部品2を示した図であり、
図13(B)は連結状態のマウント15と部品2を示した図である。
【0065】
作業者は、分離状態の部品2の部品側連結機構21がマウント15の球皮側連結機構152の切欠き部Nに挿入されるように部品2をマウント15に押し当てた後、マウント15に対し部品2を時計回りに所定角度だけ回転させる。その結果、球皮側連結機構152と部品側連結機構21が係合し、連結状態(
図13(B))となる。
【0066】
作業者は、連結状態の部品2をマウント15に対し反時計回りに回転させた後、マウント15から部品2を引き離す。その結果、球皮側連結機構152と部品側連結機構21の係合が解除され、分離状態(
図13(A))となる。
【0067】
図12及び
図13に示した球皮側連結機構152と部品側連結機構21の構造の他、面ファスナを用いた連結機構等、様々な構造の連結機構が本発明に係る飛翔体において採用され得る。
【0068】
(5)上述した実施形態及び変形例において示した部品2の種類は例示であって、様々な種類の部品2がマウント15を介して球皮11に着脱され得る。例えば、球皮11の内部を撮影する撮影装置が部品2として、変形例(2)に係るマウント15に取り付けられてもよい。その場合、部品2はその撮影方向が球皮11の内部方向となるように、マウント15に取り付けられる。
【0069】
(6)上述した実施形態において、球皮11とマウント15の連結は接着によるものとしたが、球皮11とマウント15の連結が接着以外の方法により行われてもよい。例えば、マウント15が、球皮11の外側に配置される外側部材と、球皮11の内側に配置される内側部材と、外側部材と内側部材を締め付けるネジ及びナット等の締付部材とを備え、マウント15が球皮11を挟み込んだ状態で保持してもよい。その場合、ロードケーブル12の天頂部側の端部が球皮11と共にマウント15に挟み込まれた状態で保持されてもよい。また、ロードケーブル12が、挟み込み以外の方法でマウント15に連結されてもよい。
【0070】
(7)上述した実施形態において、マウント15は球皮11の天頂部付近に取り付けられるものとしたが、マウント15が取り付けられる位置は球皮11の天頂部付近に限られない。例えば、マウント15が球皮11の側面や天底部付近に取り付けられてもよい。例えば、球皮11から下方を撮影する撮影装置を部品2として球皮11に取り付けたい場合、マウント15は球皮11の天底部付近に取り付けられることが望ましい。
【0071】
(8)飛翔体1はガス気球に限られない。例えば、飛翔体1が熱気球であってもよい。その場合、球皮11はヘリウム等の気体に代えて、下方から継続的に供給される加熱された空気(周囲の空気より軽量な気体の一例)を収容する。また、飛翔体1の形態は、球皮11を備える限り気球に限られない。例えば、飛翔体1が飛行船の形態であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…飛翔体、2…部品、3…装置、11…球皮、12…ロードケーブル、13…吊索、14…容器、15…マウント、16…配線、21…部品側連結機構、22…センサ、23…本体部、24…蓋部、25…弦巻バネ、26…封止部材、27…操作索、28…投光部、29…端子、151…本体部、152…球皮側連結機構、153…封止部材、154…配線、1541…端子、1542…導体。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の空気より軽量な気体を収容する球皮と、
前記球皮に取り付けられたマウントと
を備え、
前記球皮に取り付けられた状態の前記マウントは、前記球皮に取り付けられる部品が備える連結機構である部品側連結機構と連結された状態である連結状態と、当該部品側連結機構と分離された状態である分離状態とを切り替え可能な連結機構である球皮側連結機構を有する
飛翔体。
【請求項2】
前記球皮は開口部を有し、
前記マウントは前記球皮の開口部を塞ぐように前記球皮に取り付けられており、
前記マウントと前記球皮とが接する部分は気密に封止されており、
前記マウントは前記球皮の開口部と連通する開口部を有し、
前記球皮側連結機構が前記連結状態であるときに、前記マウントと前記球皮に取り付けられる部品とが接する部分は気密に封止される
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項3】
前記マウントは、第1の前記球皮側連結機構である第1球皮側連結機構と、第2の前記球皮側連結機構である第2球皮側連結機構とを有する
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項4】
前記マウントは、前記第1球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第1部品と、前記第2球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品である第2部品との間を電気的に接続する配線を有する
請求項3に記載の飛翔体。
【請求項5】
前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する部品と、前記飛翔体により搬送される物体を収容する容器に収容されている装置との間を電気的に接続する配線を備える
請求項1に記載の飛翔体。
【請求項6】
前記球皮は、前記球皮側連結機構と連結される前記部品側連結機構を有する投影機により前記球皮の内側に投影された画像を映し出す
請求項1に記載の飛翔体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、周囲の空気より軽量な気体を収容する球皮と、前記球皮に取り付けられたマウントとを備え、前記球皮に取り付けられた状態の前記マウントは、前記球皮に取り付けられる部品が備える連結機構である部品側連結機構と連結された状態である連結状態と、当該部品側連結機構と分離された状態である分離状態とを切り替え可能な連結機構である球皮側連結機構を有する飛翔体を第1の態様として提案する。