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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165891
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241121BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20241121BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G03G21/00 398
G03G15/06 101
G03G15/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082469
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵太
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山城 準
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
【テーマコード(参考)】
2H073
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H073BA02
2H073BA13
2H073BA21
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA56
2H200GA60
2H200HA02
2H200HA29
2H200HA30
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB48
2H200NA02
2H200NA11
2H200NA14
2H200NA15
2H200NA17
2H200NA23
2H200NA24
2H200NA25
2H200PA03
2H200PA09
2H200PA29
2H200PB05
2H270KA46
2H270LA04
2H270LA05
2H270MA02
2H270MA15
2H270MG01
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】本願は、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】CPU101は、画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式を予め決定し、画像形成実行時において帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と関係式とから現像電圧印加回路190側に流れる現像電流値を推定し、推定した現像電流I_DEV値と、帰還電流検出回路180により検出された帰還電流I_Returnの値とに基づいて帯電電流I_CHGを取得し、取得した帯電電流I_CHG値が設定範囲内となるように、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧を変更する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電ローラと、
前記帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、
一端から電圧を発生するトランスを有し、前記電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した前記帯電電圧を前記帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、
前記現像ローラに現像電圧を印加する、前記グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、前記帯電電圧印加回路により生成された前記帯電電圧を、前記グランドの電位を基準として分圧して、前記現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、
前記帯電ローラに流れる帯電電流と前記現像電圧印加回路側に流れる現像電流との和電流を検出電流として検出する電流検出回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における前記現像電圧と前記現像電流との関係式を予め決定し、
画像形成実行時において前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と前記関係式とから前記現像電圧印加回路側に流れる現像電流値を推定し、推定した前記現像電流値と、前記電流検出回路により検出された前記検出電流の値とに基づいて帯電電流値を取得し、取得した前記帯電電流値が第1帯電電流値となるように、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
画像形成実行前に、
前記帯電電圧印加回路が所定の帯電電圧値を生成するような制御信号を出力した状態で、前記現像電圧印加回路に対して所定の現像電圧値を生成させる印加制御を行って、前記電流検出回路から検出電流を取得し、取得した前記検出電流の値から現像電流値を算出する処理を、前記所定の現像電圧値を変更しながら複数回実行し、前記現像電圧と前記現像電流との関係式を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記画像形成装置への電源オン時に、前記現像電圧と前記現像電流との関係式の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電流検出回路は、
前記トランスの他端と電気的に接続され、前記グランドから前記トランスの前記他端に向けて流れる帰還電流を前記検出電流として検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電流検出回路は、
前記帯電電圧印加回路の出力側に流れる電流を前記検出電流として検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記現像電圧印加回路が生成する前記現像電圧を変更するときに、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
各ページの画像形成が終了後、前記現像電圧印加回路が生成する前記現像電圧を変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像ローラの状態を、前記現像ローラが前記感光体ドラムに圧接した状態と、前記現像ローラが前記感光体ドラムから離間した離間状態とに切り替える切替機構、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記切替機構により前記現像ローラを前記離間状態に切り替えた後、前記現像電圧と前記現像電流との関係式の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記現像電圧印加回路が生成する前記現像電圧を変更するときに、前記切替機構により前記現像ローラを前記離間状態に切り替えた後、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
各ページの画像形成が終了後、前記現像電圧印加回路が生成する前記現像電圧を変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、前記切替機構により前記現像ローラを前記離間状態に切り替えた後、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
帯電ローラと、
前記帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、
一端から電圧を発生するトランスを有し、前記電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した前記帯電電圧を前記帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、
前記現像ローラに現像電圧を印加する、前記グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、前記帯電電圧印加回路により生成された前記帯電電圧を、前記グランドの電位を基準として分圧して、前記現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、
前記帯電ローラに流れる帯電電流と前記現像電圧印加回路側に流れる現像電流との和電流を検出電流として検出する電流検出回路と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における前記現像電圧と前記現像電流との関係を予め決定し、
画像形成実行時において前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と現像電流値との関係から前記現像電圧印加回路側に流れる現像電流値を推定し、推定した前記現像電流値と、前記電流検出回路により検出された前記検出電流の値とに基づいて帯電電流値を取得し、取得した前記帯電電流値が第1帯電電流値となるように、前記帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、帯電ローラにより感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スコロトロン型帯電器を用いて感光体ドラムの表面を帯電するようにした画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、スコロトロン型帯電器を構成するグリッドに流れるグリッド電流を測定することで、その帯電器から感光体ドラムに向けて流れる帯電電流に相当する物理量を取得するようにしている。さらに、この画像形成装置は、昇圧・平滑整流回路により生成された帯電電圧を分圧して現像電圧を生成し、現像ローラに印加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-250232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置において、スコロトロン型帯電器に替えて帯電ローラを用いて感光体ドラムの表面を帯電するようにした場合、帯電ローラにはスコロトロン型帯電器のようなグリッドが存在しないので、帯電ローラに流れる帯電電流と現像ローラに流れる現像電流との和電流の値しか測定できない。このため、帯電ローラが正常に帯電されているか否かを示す帯電電流のみを検出することができない。
【0005】
本願は、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、帯電ローラと、帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、一端から電圧を発生するトランスを有し、電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、現像ローラに現像電圧を印加する、グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、帯電電圧印加回路により生成された帯電電圧を、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、帯電ローラに流れる帯電電流と現像電圧印加回路側に流れる現像電流との和電流を検出電流として検出する電流検出回路と、制御部と、を備え、制御部は、画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における現像電圧と現像電流との関係式を予め決定し、画像形成実行時において帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と関係式とから現像電圧印加回路側に流れる現像電流値を推定し、推定した現像電流値と、電流検出回路により検出された検出電流の値とに基づいて帯電電流値を取得し、取得した帯電電流値が第1帯電電流値となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更する、ことを特徴とする。
【0007】
本願の画像形成装置では、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる。そして、取得した帯電電流値が第1帯電電流値となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更するようにしたので、帯電ローラを正常に帯電された状態に維持することができる。
【0008】
また、制御部は、画像形成実行前に、帯電電圧印加回路が所定の帯電電圧値を生成するような制御信号を出力した状態で、現像電圧印加回路に対して所定の現像電圧値を生成させる印加制御を行って、電流検出回路から検出電流を取得し、取得した検出電流の値から現像電流値を算出する処理を、所定の現像電圧値を変更しながら複数回実行し、現像電圧と現像電流との関係式を決定する、ことを特徴とする。
【0009】
このように、取得した値から現像電流値を算出する処理を、所定の現像電圧値を変更しながら複数回実行し、現像電圧と現像電流との関係式を決定するようにしたので、現像電圧と現像電流との関係式をより正確に決定することができる。
【0010】
また、制御部は、画像形成装置への電源オン時に、現像電圧と現像電流との関係式の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、現像電圧と現像電流との関係式を、画像形成装置への電源オンを契機として更新して決定することができる。
【0012】
また、電流検出回路は、トランスの他端と電気的に接続され、グランドからトランスの他端に向けて流れる帰還電流を検出電流として検出する、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、検出電流として、グランドを介して、帯電電流と現像電流とを含む帰還電流が検出されるので、現像電流を推定すれば、検出電流から帯電電流を取得することができる。
【0014】
また、電流検出回路は、帯電電圧印加回路の出力側に流れる電流を検出電流として検出する、ことを特徴とする。
【0015】
このように、電流検出回路を、帯電電圧印加回路の出力側に流れる電流を検出電流として検出するように構成したとしても、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる。そして、取得した帯電電流値が第1帯電電流値となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更するようにしたので、帯電ローラを正常に帯電された状態に維持することができる。
【0016】
また、制御部は、現像電圧印加回路が生成する現像電圧を変更するときに、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0017】
現像電圧を変更すると、帯電電流も変動し、帯電電流の値が第1帯電電流値に収まらない場合が生ずるので、帯電電流の値が第1帯電電流値に収まるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行している。
【0018】
また、制御部は、各ページの画像形成が終了後、現像電圧印加回路が生成する現像電圧を変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0019】
現像電圧を変更すると、帯電電流も変動し、帯電電流の値が第1帯電電流値に収まらない場合が生ずるので、帯電電流の値が第1帯電電流値に収まるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行している。
【0020】
また、画像形成装置は、現像ローラの状態を、現像ローラが感光体ドラムに圧接した状態と、現像ローラが感光体ドラムから離間した離間状態とに切り替える切替機構、をさらに備え、制御部は、切替機構により現像ローラを離間状態に切り替えた後、現像電圧と現像電流との関係式の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、画像形成を行わないとき等は、現像ローラを感光体ドラムから離間させ、画像形成を行うときに、現像ローラを感光体ドラムに圧接することができるので、感光体ドラムの寿命を長くすることができる。
【0022】
また、制御部は、現像電圧印加回路が生成する現像電圧を変更するときに、切替機構により現像ローラを離間状態に切り替えた後、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、検出電流は、帯電電流と現像電流との和に正確に一致するので、帯電電流を正確に取得することができる。
【0024】
また、制御部は、各ページの画像形成が終了後、現像電圧印加回路が生成する現像電圧を変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、切替機構により現像ローラを離間状態に切り替えた後、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0025】
これにより、検出電流は、帯電電流と現像電流との和に正確に一致するので、帯電電流を正確に取得することができる。
【0026】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、帯電ローラと、帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、一端から電圧を発生するトランスを有し、電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、現像ローラに現像電圧を印加する、グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、帯電電圧印加回路により生成された帯電電圧を、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、帯電ローラに流れる帯電電流と現像電圧印加回路側に流れる現像電流との和電流を検出電流として検出する電流検出回路と、制御部と、を備え、制御部は、画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における現像電圧と現像電流との関係を予め決定し、画像形成実行時において帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と現像電流値との関係から現像電圧印加回路側に流れる現像電流値を推定し、推定した現像電流値と、電流検出回路により検出された検出電流の値とに基づいて帯電電流値を取得し、取得した帯電電流値が第1帯電電流値となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更する、ことを特徴とする。
【0027】
本願の画像形成装置では、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる。そして、取得した帯電電流値が第1帯電電流値となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更するようにしたので、帯電ローラを正常に帯電された状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
図2図1のモノクロレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
図3図1のモノクロレーザプリンタの高圧電源基板の概略構成及び高圧電源基板に関連する接続構成を示す図である。
図4図1のモノクロレーザプリンタに含まれるASIC、特にCPUが実行するテーブル作成処理の手順を示すフローチャートである。
図5図4のテーブル作成処理に含まれるI_DEV推定用テーブル作成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図6図1のモノクロレーザプリンタに含まれるASIC、特にCPUが実行する画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
図7図6の画像形成処理に含まれるPWM信号Sp1制御処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図8】具体的に算出された現像電流I_DEVを、縦軸を電流値とし、横軸を電圧値とした2次平面上にプロットした様子を示す図である。
図9】本願の第2実施形態に係るモノクロレーザプリンタの高圧電源基板の概略構成及び高圧電源基板に関連する接続構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。モノクロレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、モノクロレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。プリンタ1は、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器6と、操作パネルPAとを備えている。以下、説明の便宜上、図1の矢印で示されるように、プリンタ1の上下方向、及び前後方向を定義する。また、紙面のこちら側を左と、紙面の向こう側を右と定義する。
【0031】
装置本体2は、フロントカバー21と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。フロントカバー21は、装置本体2の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートSが載置される。シートSは、A4サイズ等の定型シートである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、装置本体2の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートSが載置される。
【0032】
搬送経路201は、供給トレイ31に載置されたシートSを、画像形成部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートSを、搬送方向とは逆方向に搬送して、再び画像形成部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、合流位置Cにおいて搬送経路201から分岐し、レジ前センサSE1の付近で搬送経路201に合流している。
【0033】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、搬送ローラ36、排出ローラ85、再搬送ローラ38,39、及びメインモータ108(図2参照)を有している。
【0034】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートSをピックアップして、搬送経路201に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートSを1枚ずつ分離する。
【0035】
レジストレーションローラ35は、搬送経路201において画像形成部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートSの前端の方向を揃えた後、シートSを画像形成部4へ向けて搬送する。搬送ローラ36は、定着器6を通過後のシートSを、排出ローラ85へ搬送する。
【0036】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38,39が配置されている。再搬送ローラ38,39は、再搬送経路202に搬送されたシートSを、画像形成部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38,39によって、一方の面に画像形成が行われたシートSを、再搬送経路202を経由して画像形成部4へ向けて再搬送することで、シートSの両面に画像形成を行うことが可能となっている。
【0037】
画像形成部4は、シートSに画像を形成するものであり、装置本体2内に収容されている。画像形成部4は、ドラムカートリッジ5及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ5は、感光体ドラム51と、トナー収容部57と、供給ローラ56と、現像ローラ55と、帯電ローラ52と、転写ローラ53と、ピンチローラ54とを有している。ドラムカートリッジ5は、フロントカバー21を開けることにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ5のピンチローラ54は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ54は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートSを搬送する。
【0038】
感光体ドラム51は、メインモータ108(図2参照)から伝達される駆動力により、回転することで、シートSを搬送方向に搬送する。トナー収容部57には、トナーが収容されている。供給ローラ56は、トナー収容部57内のトナーを現像ローラ55に供給する。帯電ローラ52は、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。
【0039】
感光体ドラム51に対向する位置には、転写ローラ53が配置されている。転写ローラ53は、搬送経路201における感光体ドラム51との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラ53の代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0040】
装置本体2は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131(図2参照)、レーザ発光部132(図2参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(図1の二点鎖線参照)が、感光体ドラム51の表面で高速走査されることで、感光体ドラム51の表面を露光する。
【0041】
感光体ドラム51の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ55は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。
【0042】
転写ローラ53には、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラ53は、感光体ドラム51との間でシートSを搬送することで、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートSに転写する。このようにして、シートSへの画像形成が行われる。
【0043】
搬送経路201において画像形成部4よりも下流側には、定着器6が配置されている。定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63と、温度センサ64(図2参照)とを有している。加熱ローラ61は、シートSを加熱する。加圧ローラ62は、加熱ローラ61との間でニップNを形成し、シートSを加圧する。加圧ローラ62は、メインモータ108の駆動力により、回転する。
【0044】
ヒータ63は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ61を加熱する。温度センサ64は、加熱ローラ61の近傍に設けられ、加熱ローラ61の温度を検出する。温度センサ64は、検出した温度に応じた信号を、CPU101へ出力する。
【0045】
定着器6は、加熱ローラ61によりシートSを加熱して、加圧ローラ62を回転させることにより、加熱ローラ61及び加圧ローラ62によりシートSを加圧しながら搬送することで、画像形成部4によりシートSに形成された画像をシートSに定着させる。
【0046】
なお、定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器6は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。
【0047】
また、定着器6は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器6は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0048】
さらに、プリンタ1は、現像ローラ55の状態を、現像ローラ55が感光体ドラム51に圧接した状態と、現像ローラ55が感光体ドラム51から離間した離間状態とに切り替える現像ローラ移動機構77を備えている。この現像ローラ移動機構77により、シートSに画像形成を行わないとき等は、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させ、シートSに画像形成を行うときに、現像ローラ55を感光体ドラム51に圧接することができ、これにより、感光体ドラム51の寿命を長くすることができる。なお、現像ローラ移動機構77は、公知のものを用いればよいので、その構成の図示と説明は省略する。
【0049】
次に、プリンタ1の制御構成について、図2を参照して説明する。図2に示すように、プリンタ1は、ASIC105、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、通信インターフェース(I/F)130と、高圧電源基板162と、現像ローラ移動機構77と、を更に備えている。
【0050】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、プリンタ1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、電磁クラッチ107、メインモータ108、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、操作パネルPA、通信I/F130、ドラムカートリッジ5、定着器6、及びレーザユニット7と電気的に接続されている。
【0051】
ROM102には、プリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。なお、図4図7を用いて後述するテーブル作成処理及び画像形成処理は、制御プログラムに含まれる。
【0052】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、プリンタ1の各部を制御する。
【0053】
メインモータ108は、搬送部3、加圧ローラ62、及びドラムカートリッジ5に駆動力を伝達する。CPU101がメインモータ108を駆動させると、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35、再搬送ローラ38、39、排出ローラ85にメインモータ108から駆動力が伝達される。そして、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35は、シートSを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0054】
電磁クラッチ107は、CPU101により制御される。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されない状態にする。
【0055】
レジ前センサSE1は、搬送経路201においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE1としては、シートSが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサSE1は、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサSE1による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0056】
レジ後センサSE2は、搬送経路201において定着器6よりも上流側、具体的には、レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE2は、レジ前センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE2による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0057】
排出センサSE3は、搬送経路201において定着器6と搬送ローラ36との間に配置され、シートSが通過することを検知する。排出センサSE3は、レジ前センサSE1と同様の構成である。排出センサSE3による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0058】
操作パネルPAは、装置本体2の上面に配置されている。操作パネルPAは、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネルPAは、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をCPU101へ出力する。
【0059】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、プリンタ1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートSのサイズ及び種類等、シートSに画像を形成するために必要な各種情報が含まれている。
【0060】
高圧電源基板162は、帯電ローラ52、転写ローラ53、現像ローラ55にそれぞれ電圧を印加するための電源基板である。
【0061】
また、現像ローラ移動機構77は、ASIC105の制御に基づいて、現像ローラ55を、感光体ドラム51に対して接触させる又は感光体ドラム51から離間させる機構である。現像ローラ移動機構77の構成は、特に限定されない。
【0062】
図3は、プリンタ1に内蔵される高圧電源基板162の概略的なブロック図及び高圧電源基板162に関連する接続構成を示している。
【0063】
プリンタ1は、上記ASIC105に接続された高圧電源基板162を有している。高圧電源基板162は、帯電電圧印加回路170と、帰還電流検出回路180と、現像電圧印加回路190とを有している。帯電電圧印加回路170には上記帯電ローラ52が接続され、現像電圧印加回路190には上記現像ローラ55が接続されている。
【0064】
帯電電圧印加回路170は、PWM信号制御回路171、トランスドライブ回路172、昇圧回路173、及び出力電圧検出回路178を有している。帯電電圧印加回路170は、帯電ローラ52に印加する帯電電圧CHGを生成する。
【0065】
PWM信号制御回路171は、例えば、抵抗及びコンデンサ(図示略)を含み、ASIC105のポートPWM1から出力されたPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号Sp1を平滑化し、平滑化したPWM信号Sp1をトランスドライブ回路172に供給する。トランスドライブ回路172は、例えば、PWM信号制御回路171から供給された平滑化後のPWM信号Sp1をドライブ用のトランジスタ(図示略)に供給し、昇圧回路173に発振電流を供給する。
【0066】
昇圧回路173のトランス174は、1次巻線174a、2次巻線174b、及び補助巻線174cを備えている。トランスドライブ回路172は、ドライブ用のトランジスタからトランス174の1次巻線174aに発振電流を供給する。トランス174は、発振電流のデューティ比に応じて、2次巻線174bから出力される出力電圧(帯電電圧V_CHG)の電圧値を変更する。例えば、トランス174は、PWM信号Sp1のデューティ比が大きくなればなるほど電圧値の大きな帯電電圧V_CHGを生成する。2次巻線174bには、整流ダイオード175、平滑コンデンサ176、及び出力抵抗177が接続されている。これにより、昇圧回路173は、トランス174の1次巻線174aに発生する電圧を昇圧及び整流し、帯電ローラ52に帯電電圧V_CHGとして印加する。
【0067】
また、出力電圧検出回路178は、トランス174の補助巻線174cと、トランスドライブ回路172との間に接続されている。出力電圧検出回路178は、例えば、平滑回路及び分圧抵抗(図示略)を有している。出力電圧検出回路178は、帯電電圧V_CHGの生成にともなって補助巻線174cに発生する出力電圧v1を検出する。出力電圧検出回路178は、出力電圧v1を平滑及び分圧して出力電圧検出信号Sv1としてトランスドライブ回路172に供給する。トランスドライブ回路172は、供給された出力電圧検出信号Sv1に基づいてトランス174の1次巻線174aに供給する発振電流を制御し、帯電電圧V_CHGを定電圧制御する。したがって、帯電電圧印加回路170は、定電圧制御で駆動される。
【0068】
帰還電流検出回路180は、電源Vcc、抵抗R1、抵抗R2及びコンデンサC1を有している。抵抗R1と抵抗R2は、直列接続され、電源Vccとグランドとの間に挿入されている。また、コンデンサC1は、抵抗R2と並列に接続されることによって、RCフィルタを構成している。抵抗R1と抵抗R2との接続点P1は、2次巻線174bの一端T1及び他端T2のうちの他端T2に接続されるとともに、ASIC105のポートA/D1に接続される。ASIC105は、ポートA/D1に入力されたアナログ信号Sir1をアナログ・デジタル変換することによって得られたデジタル値により、帰還電流検出回路180の抵抗R1と抵抗R2との接続点P1に印加されている電圧値を取得することができる。
【0069】
また、現像電圧印加回路190は、PWM信号制御回路191及び演算増幅器OP1を有している。現像電圧印加回路190は、現像ローラ55に印加する現像電圧V_DEVを生成する。なお、PWM信号制御回路191は、上記PWM信号制御回路171と同様の構成であるので、その構成の説明は省略する。
【0070】
PWM信号制御回路191は、ASIC105のポートPWM2から出力されたPWM信号Sp2を平滑化し、平滑化したPWM信号Sp2を演算増幅器OP1の非反転入力(+)に供給する。そして、演算増幅器OP1の反転入力(-)には、現像電圧V_DEVを分圧抵抗R16,R17で分圧した電圧と、演算増幅器OP1の出力を抵抗R15とコンデンサC12とからなるRC回路で帰還した電圧とが、閾値電圧Vthとして供給される。演算増幅器OP1は、PWM信号制御回路191からの平滑化したPWM信号Sp2と閾値電圧Vthとの差分が“0”になるような電圧を出力する。したがって、ASIC105は、演算増幅器OP1の基準電圧等を変更することができる。また、コンデンサC13は、抵抗R17と並列に接続されることによって、RCフィルタを構成している。
【0071】
演算増幅器OP1の出力は、抵抗R14を介して、例えばNPNトランジスタからなるトランジスタQ1のベースに供給されている。トランジスタQ1のベースにはさらに、抵抗R12と抵抗R13とにより分圧された現像電圧V_DEVが供給されている。また、トランジスタQ1のコレクタには、抵抗R11を介して現像電圧V_DEVが供給され、そのエミッタは、接地されている。なお、トランジスタQ1はバイポーラトランジスタに限られず、例えば、FETであってもよい。
【0072】
トランジスタQ1のベース電流は、演算増幅器OP1の出力によってその大きさが制御される。そして、トランジスタQ1のコレクタ抵抗の値は、ベース電流の大きさによって変化するので、トランジスタQ1は、可変抵抗として機能する。ここでいうコレクタ抵抗とは、コレクタ-エミッタ間電圧をコレクタ電流で割った抵抗値である。例えば、ベース電流を大きくすることで抵抗値が下がり、反対にベース電流を小さくすることで、抵抗値が上がる。これにより、コレクタ・エミッタ間電圧が変更される。
【0073】
このようにASIC105は、PWM信号Sp2のデューティ比を変更することによって、現像電圧V_DEVの値を所定の目標電圧値に変更することが可能となっている。なお、コンデンサC11は、現像電圧V_DEVにより充電される。
【0074】
現像電圧印加回路190は、上述のように現像ローラ55と接続され、さらに2次巻線174bの上記一端T1と抵抗R3を介して接続されている。そして、2次巻線174bの一端T1には、帯電電圧V_CHGが印加されるので、現像電圧V_DEVは、帯電電圧V_CHGをグランドの電位を基準として、抵抗R3とトランジスタQ1の可変抵抗とにより分圧したものとなる。
【0075】
ASIC105のポートA/D1に入力される信号Sir1は、上述のように帰還電流検出回路180の抵抗R1と抵抗R2との接続点P1に印加されている電圧値を示している。そして、昇圧回路173から流れる電流は、2次巻線174bの一端T1で分岐し、2次巻線174bの一端T1から帯電ローラ52に流れ、感光体ドラム51を介してグランドに流れる帯電電流I_CHGと、2次巻線174bの一端T1から抵抗R3に流れる現像電流I_DEVとに分岐する。更に、抵抗R3に流れる現像電流I_DEVは、現像電圧印加回路190を介してグランドに流れる現像電流I_DEV1と、現像ローラ55に流れ感光体ドラム51を介してグランドに流れる現像電流I_DEV2とに分岐する。電源Vccから接続点P1に向けて抵抗R1を流れる電流I_Returnは、帯電電流I_CHGと、現像電流I_DEV1と、現像電流I_DEV2との和に一致する。
しかし、上述のように現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させた場合、現像電流I_DEV2は、ゼロとなる。したがって、電流I_Returnは、次式(1)で表される。
I_Return =I_CHG + I_DEV1+I_DEV2
I_Return =I_CHG + I_DEV(≒I_DEV1) …(1)
なお、電流I_Returnは、昇圧回路173から流れる電流がグランドを介して昇圧回路173に帰還する帰還電流を示しているので、以下、電流I_Returnを帰還電流I_Returnと言う。そして、信号Sir1は、電源Vccから抵抗R1×電流I_Returnにより示される電圧分だけ降下した電圧を示すので、ASIC105は、信号Sir1に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得することができる。
【0076】
本願の目的は、[発明が解決しようとする課題]欄で上述したように、帯電ローラ52から感光体ドラム51に流れる帯電電流I_CHGを取得することである。上述のように、ASIC105は、ポートA/D1に入力された信号Sir1を読み取ることにより、帰還電流I_Returnの値を常時取得できるので、現像電流I_DEVが分かれば、上記式(1)を変形した次式(2)により、現在の、つまり、帰還電流I_Returnを取得したときの帯電電流I_CHGを取得することができる。
I_CHG = I_Return - I_DEV …(2)
【0077】
しかし、ASIC105は、現像電流I_DEVを取得することができないので、現在の現像電圧V_DEVの値に基づいて、現在の現像電流I_DEVを推定するようにしている。具体的には、まずASIC105は、帯電電圧V_CHGを、例えば1.1kVに固定した状態で、現像電圧V_DEVの離散値と、その各離散値に応じた現像電流I_DEVの各値とを対応付けた、以下に示す表1の現像電流I_DEVの推定用テーブル(以下「I_DEV推定用テーブル」という)を事前に、具体的には、画像形成実行前に作成する。I_DEV推定用テーブルは、NVRAM104に記憶される。
【表1】
【0078】
以上のように構成されたプリンタ1が実行する制御処理を、図4図7に基づいて詳細に説明する。
【0079】
<テーブル作成処理>
図4は、ASIC105、特にCPU101が実行する、I_DEV推定用テーブルのテーブル作成処理の手順を示している。このテーブル作成処理は、プリンタ1の電源がオンされたときなどに開始される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0080】
図4において、まずCPU101は、上記現像ローラ移動機構77に指示し、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させる(S10)。このように、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させるのは、上述のように、現像電流I_DEV2をゼロとして、上記式(1)の状態を成立させるためである。
【0081】
次にCPU101は、帯電電圧V_CHGが、初期値として1kVとなるようなPWM信号Sp1をASIC105の上記ポートPWM1から出力する(S12)。これにより、帯電電圧印加回路170は、1kVの帯電電圧V_CHGを生成し、帯電ローラ52に印加する。
【0082】
次にCPU101は、現像電圧V_DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力する(S14)。これにより、現像電圧印加回路190は、現像電圧V_DEVとして0Vを出力する。
【0083】
そして、CPU101は、例えば100msec間待機する(S16)。ここで、“100msec”は、CPU101がPWM信号Sp1,Sp2を出力してから、実際に帯電電圧印加回路170及び現像電圧印加回路190がそれぞれ、PWM信号Sp1,Sp2に応じた帯電電圧V_CHG及び現像電圧V_DEVを出力するまでの時間差以上の時間として設定されたものである。つまり、PWM信号Sp1,Sp2の出力後100msec間待機すれば、帯電電圧印加回路170は、1kVの帯電電圧V_CHGを生成し、現像電圧印加回路190は、0Vの現像電圧V_DEVを生成する。なお、“100msec”は、上記時間差に応じてより短い時間を用いるようにしてもよいし、より長い時間を用いるようにしてもよい。
【0084】
次にCPU101は、ASIC105の上記ポートA/D1から上記信号Sir1の値を読み取り、この値に基づいて帰還電流I_Returnを取得する(S18)。なお、信号Sir1に基づいて帰還電流I_Returnを取得する方法については、上述したので、繰り返さない。
【0085】
次にCPU101は、帰還電流I_Returnから帯電電流I_CHGを算出する(S20)。上記式(2)により、帯電電流I_CHGは、帰還電流I_Returnから現像電流I_DEVを減算した値となる。図3に示す回路から分かるように、現像電流I_DEVは、次式(3)により算出される。
I_DEV =(V_CHG - V_DEV)/R3 …(3)
ここで、S14にて、現像電圧V_DEV=0であるため、帯電電流I_CHGは、次式(4)により算出される。
I_CHG = I_Return -V_CHG /R3 …(4)
【0086】
次にCPU101は、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まっているか否かを判断する(S22)。設定範囲とは、帯電ローラ52が感光体ドラム51全体を帯電させるのに必要な目安の電流量から決定され、画像形成を適正に行うのに必要な帯電電流I_CHGの値の範囲として、予め設定した範囲のことである。具体的には、100μA±5%の範囲が設定範囲となる。プリンタ1は、帯電ローラ52に流れる帯電電流I_CHGの値が設定範囲内となる帯電電圧V_CHGを帯電ローラ52に印加する必要がある。
【0087】
この判断において、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まっていない場合(S22:NO)、CPU101は、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に近づくようにPWM信号Sp1のデューティ比を変更する(S24)。具体的には、帯電電流I_CHGの値が設定範囲を下回っているときには、CPU101は、PWM信号Sp1のデューティ比を大きくする方向に変更し、帯電電流I_CHGの値が設定範囲を上回っているときには、CPU101は、PWM信号Sp1のデューティ比を小さくする方向に変更する。CPU101は、PWM信号Sp1を変更することで帯電電圧V_CHGの値を変更し、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内となるように制御している。その後、CPU101は、処理をS18に戻す。
【0088】
一方、S22の判断において、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まっている場合(S22:YES)、CPU101は、I_DEV推定用テーブル作成処理を実行する(S30)。ここで、処理がS22からS24に進んだ後、S18に戻って再度S22に進み、S22でYESと判断されたとすると、CPU101は、NVRAM104のI_DEV推定用テーブルに、現像電圧V_DEV=0Vに対応する値であって、S22、S24による調整結果として、S22をYESと判断したときのPWM信号Sp1のデューティ比に対応した帯電電圧V_ CHGの値 、現像電圧帰還電流I_Returnの値、現像電流I_DEVの値を、それぞれ記憶する。
具体的には、S22、S24による調整結果であって、現像電圧V_DEV=0Vに対応する値として、帯電電圧V_CHG=1.1kV、帰還電流I_Returnが650μA、現像電流I_DEVが500μAの各値がNVRAM104のI_DEV推定用テーブルに記憶される。
【0089】
図5は、現像電圧V_DEV=300V、400V、500Vのときの帰還電流I_Return、現像電流I_DEVの値を算出するI_DEV推定用テーブル作成処理の詳細な手順を示している。CPU101は、S22、S24による調整結果として得られたPWM信号Sp1のデューティ比に対応した帯電電圧V_CHG、すなわち、帯電電圧V_CHG=1.1kVを帯電ローラ52に印加した状態を、図5のI_DEV推定用テーブル作成処理の実行中、維持する。
【0090】
図5において、まずCPU101は、現像電圧V_DEVが300VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力する(S40)。これにより、現像電圧印加回路190は、現像電圧V_DEVとして300Vを出力する。
【0091】
次にCPU101は、帰還電流I_Returnの値を取得し、その値から現像電流I_DEVの値を算出する(S42)。帰還電流I_Returnの値の取得は、上記S18(図4参照)と同様にして、ポートA/D1から信号Sir1の値を読み取り、この値に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得する。そして、現像電流I_DEVの値の算出は、上記式(1)を変形した次式(5)に基づいて行う。
I_DEV = I_Return - I_CHG …(5)
ここで、帰還電流I_Returnは、S42で取得したものである。帯電電流I_CHGは、S22、S24による調整結果として、設定範囲内の値、具体的には100μAとなる。
なお、帯電電流I_CHGは、帯電電圧V_CHG=1.1kVを帯電ローラ52に印加した状態で、現像電圧V_DEVの値を0Vから300Vに変更したとしても、帯電電流I_CHGの値は100μAを維持する。
【0092】
このようにして算出した現像電流I_DEVは、帯電電圧V_CHGとして1.1kV、及び、現像電圧V_DEVとして300Vを出力したときのものである。
CPU101は、S42の結果であって、現像電圧V_DEV=300Vに対応する値として、帯電電圧V_CHG=1.1kV、帰還電流I_Returnが325μA、現像電流I_DEVが225μAの各値をNVRAM104のI_DEV推定用テーブルに記憶する。
【0093】
次にCPU101は、現像電圧V_DEVを400Vに変更して、S40と同様の処理を実行した(S44)後、S42と同様の処理を実行する(S46)。これにより、CPU101は、現像電圧V_DEVとして400Vを出力したときの現像電流I_DEVを算出する。
CPU101は、S46の結果であって、現像電圧V_DEV=400Vに対応する値として、帯電電圧V_CHG=1.1kV、帰還電流I_Returnが217μA、現像電流I_DEVが117μAの各値をNVRAM104のI_DEV推定用テーブルに記憶する。
【0094】
次にCPU101は、現像電圧V_DEVを500Vに変更して、S40と同様の処理を実行した(S48)後、S42と同様の処理を実行する(S50)。これにより、CPU101は、現像電圧V_DEVとして500Vを出力したときの現像電流I_DEVを算出する。
CPU101は、S48の結果であって、現像電圧V_DEV=500Vに対応する値として、帯電電圧V_CHG=1.1kV、帰還電流I_Returnが109μA、現像電流I_DEVが9μAの値をNVRAM104のI_DEV推定用テーブルに記憶する。
【0095】
CPU101は、S22、S24による調整結果として帯電電流I_CHGが100μA流れている帯電電圧印加回路170が帯電電圧V_CHGとして1.1kVを生成している状態で、図4図5のテーブル作成処理によって、表1で例示する I_DEV推定用テーブルを作成する。
【0096】
図8は、表1で例示するI_DEV推定用テーブルにおいて、現像電流I_DEVを、縦軸を電流値とし、横軸を電圧値とした2次平面上にプロットした様子を示している。図8中、“X”が算出された現像電流I_DEVの各値を示し、現像電流I_DEVの各値を結ぶ直線式Cが現像電流I_DEVを補間するための関係式である。なお、この直線式Cの使い方については、後述する。
【0097】
CPU101は、S50の処理を終了すると、処理を図4のS32に進める。S32では、CPU101は、上記S10で感光体ドラム51から離間させた現像ローラ55を感光体ドラム51に圧接させる。そして、CPU101は、上記S14と同様にして、現像電圧V_DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力し(S34)、さらに、帯電電圧V_CHGが0VとなるようなPWM信号Sp1をASIC105のポートPWM1から出力した(S36)後、テーブル作成処理を終了する。
【0098】
<画像形成処理>
上述したように、プリンタ1の電源オンタイミングなどにおいて、CPU101は、表1にて例示するI_DEV推定用テーブルを図4図5のテーブル作成処理によって作成した。そして、CPU101は、NVRAM104に記憶されるI_DEV推定用テーブルを用いて、帯電電流I_CHGを取得し、帯電電流I_CHGが設定範囲となるように帯電電圧V_CHGを調整することで、帯電ローラ52に適切な帯電電圧V_CHGを印加するように制御する。
【0099】
図6は、ASIC105、特にCPU101が実行する画像形成処理の手順を示している。この画像形成処理は、プリンタ1が印刷ジョブや印刷命令を受信したときなどに開始される。
【0100】
図6において、まずCPU101は、上記S10(図4参照)と同様にして、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させる(S60)。
【0101】
次にCPU101は、帯電電圧V_CHGの初期値を決定する(S62)。帯電電圧V_CHGの初期値として1.1kVとする。帯電電圧V_CHGの初期値の1.1kVは、図4のテーブル作成処理のS22にて決定した帯電電圧V_CHGの値を初期値とする。
【0102】
次にCPU101は、帯電電圧V_CHGが初期値となるPWM信号Sp1をASIC105の上記ポートPWM1から出力する(S64)。これにより、帯電電圧印加回路170は、帯電電圧V_CHGの初期値を生成し、帯電ローラ52に印加する。
【0103】
次にCPU101は、PWM信号Sp1制御処理を実行する(S66)。図7は、PWM信号Sp1制御処理の詳細な手順を示している。図7において、まずCPU101は、現像電圧V_DEVを決定する(S90)。現像電圧V_DEVの値は、プリンタ1が置かれている周囲の環境、例えば温度や湿度等に基づいての画像形成条件に応じて決定される。
【0104】
次にCPU101は、決定された現像電圧V_DEVとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力する(S92)。これにより、現像電圧印加回路190は、現像電圧V_DEVとして決定された電圧値を出力する。
【0105】
次にCPU101は、上記S18(図4参照)と同様にして、ASIC105の上記ポートA/D1から上記信号Sir1の値を読み取り、この値に基づいて帰還電流I_Returnを取得する(S94)。そして、CPU101は、帰還電流I_Returnと表1で例示するI_DEV推定用テーブルに基づく直線式Cとに基づいて、S90で決定された現像電圧V_DEVに対応する帯電電流I_CHGを算出する(S96)。直線式C及び更新された直線式C1に基づいて帯電電流I_CHGを算出する方法については、後述する。
【0106】
次にCPU101は、上記S22(図4参照)と同様にして、算出された帯電電流I_CHGの値が設定範囲内(100μA±5%)に収まっているか否かを判断する(S98)。この判断において、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まっていない場合(S98:NO)、CPU101は、上記S24(図4参照)と同様にして、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に近づく方向にPWM信号Sp1のデューティ比を変更した後(S100)、処理をS94に戻す。
【0107】
一方、S98の判断において、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内(100μA±5%)に収まっている場合(S98:YES)、CPU101は、PWM信号Sp1制御処理を終了する。CPU101は、PWM信号Sp1のデューティ比を固定し、PWM信号Sp1に対応する帯電電圧V_CHGを帯電ローラ52に印加するように制御する。
【0108】
図6に戻り、CPU101は、上記S32(図4参照)と同様にして、現像ローラ55を感光体ドラム51に圧接させる(S68)。
【0109】
次にCPU101は、上述のようにしてシートSに画像形成を実行する(S70)。そして、シートSへの画像形成が終了すると、CPU101は、画像形成を終了するか否かを判断する(S72)。この判断は、次ページの画像形成があるか否かに基づいて行う。この判断において、次ページの画像形成がある場合(S72:NO)、CPU101は、処理をS74に進め、上記S60と同様にして、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させ、PWM信号Sp1制御処理を実行した(S76)後、処理をS68に戻す。
【0110】
一方、S72の判断において、次ページの画像形成がない場合(S72:YES)、CPU101は、現像電圧V_DEVと帯電電圧V_CHGの印加を停止するために、上記S34(図4参照)と同様にして、現像電圧V_DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力し(S78)、上記S36(図4参照)と同様にして、帯電電圧V_CHGが0VとなるようなPWM信号Sp1をASIC105のポートPWM1から出力した(S80)後、画像形成処理を終了する。
【0111】
<I_DEV推定用テーブルによる帯電電流I_CHGの算出方法について>
図7のS96におけるI_DEV推定用テーブルによる帯電電流I_CHGの算出方法について、以下で説明する。
S90にて決定された現像電圧V_DEVの値が350Vであれば、S96にて算出される現像電流I_DEVは、直線式Cにおける現像電圧V_DEVの値が350Vに対応する現像電流I_DEV=171μAの値に決定する。
そして、CPU101は、I_Return=I_CHG+I_DEVの関係式から、S94にて取得したI_Returnの値と、直線式Cによって決定される現像電流I_DEVの値から帯電電流I_CHGを算出する(S96)。
次に、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内でない場合は、S98でNOに移行し、S100にてPWM信号Sp1のデューティ比を変更する(S100)。
直線式Cは、帯電電圧V_CHG=1.1kVのときの現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVの関係式であるため、S100にて帯電電圧V_CHGを変更すると、直線式Cをそのまま使用することができない。S100にて変更後の帯電電圧V_CHGに対応した直線式C1に更新する必要がある。
【0112】
S100によるPWM信号Sp1のデューティ比変更後の帯電電圧V_CHGは、S100によるPWM信号Sp1のデューティ比変更前の帯電電圧V_CHGに対して、変動量ΔV_CHGを足した値となる。なお、変動量ΔV_CHGは、50V程度の値である。

PWM信号Sp1のデューティ比変更後の帯電電圧V_CHG =
PWM信号Sp1のデューティ比変更前の帯電電圧V_CHG + 変動量ΔV_CHG
となる。
S100による帯電電圧V_CHGの変更に伴い、現像電流I_DEVもS100の前後で変動するため、S100の前後の現像電流I_DEVの変化量は、以下の式となる。

ΔI_DEV = PWM信号Sp1のデューティ比変更後の現像電流I_DEV
-PWM信号Sp1による変更前の現像電流I_DEV
=変動量ΔV_CHG/抵抗R3
となる。
【0113】
図8に示される直線式Cを、現像電流の変動分ΔI_DEVの分、平行移動させることによって更新された直線式C1となり(図8参照)、直線式C1の更新に伴い、CPU101は、NVRAM104に記憶されるI_DEV推定用テーブルも更新する。
【0114】
すると、CPU101は、再度、S96を実行する際、I_Return=I_CHG+I_DEVの関係式から、S94にて取得したI_Returnの値と、更新された直線式C1によって決定される現像電流I_DEVの値から帯電電流I_CHGを算出する(S96)。
【0115】
CPU101は、S100によって帯電電圧V_CHGを変更する毎に複数回、現像電圧V_DEV(I_DEV推定用テーブル)と直線式Cとを更新するため、帯電電流I_CHGを精度よく算出することができる。
【0116】
特に、S72でNO、すなわち、1ページの画像形成が終了し、次の画像形成を開始するまでの間において、CPU101は、S76のPWM信号Sp1制御処理を実行し、帯電電流I_CHGが設定範囲(100μA±5%)となるように、帯電電圧V_CHGを変更する制御を行っている。
【0117】
プリンタ1が複数ページ、画像形成した場合など、現像電圧I_DEVを変更する場合があるが、現像電圧I_DEVが変更された場合の帯電電流I_CHGを、S76のPWM信号Sp1制御処理によって取得し、設定範囲(100μA±5%)となるようにCPU101が制御しているため、帯電ローラ52に適切な帯電電圧V_CHGが印加されることになる。
【0118】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、帯電ローラ52と、帯電ローラ52により帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラム51であって、グランドに電気的に接続された感光体ドラム51と、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラ55と、一端から電圧を発生するトランス174を有し、電圧に基づいて帯電電圧V_CHGを生成し、生成した帯電電圧V_CHGを帯電ローラ52に印加する帯電電圧印加回路170と、現像ローラ55に現像電圧V_DEVを印加する、グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路190であって、帯電電圧印加回路170により生成された帯電電圧V_CHGを、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧V_DEVを生成する現像電圧印加回路190と、帯電ローラ52に流れる帯電電流I_CHGと現像電圧印加回路190側に流れる現像電流I_DEVとの和電流を帰還電流I_Returnとして検出する帰還電流検出回路180と、CPU101と、を備えている。
【0119】
そして、CPU101は、画像形成実行前に、所定の帯電電圧値における現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式を予め決定し(S30)、画像形成実行時において帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値を決定する際、画像形成条件によって決定された現像電圧値と関係式とから現像電圧印加回路190側に流れる現像電流値を推定し、推定した現像電流I_DEV値と、帰還電流検出回路180により検出された帰還電流I_Returnの値とに基づいて帯電電流I_CHGを取得し(S96)、取得した帯電電流I_CHG値が設定範囲内となるように、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧を変更する、ことを特徴とする。
【0120】
このように、本実施形態のプリンタ1では、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる。そして、取得した帯電電流I_CHG値が設定範囲内となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更するようにしたので、帯電ローラを正常に帯電された状態に維持することができる。
【0121】
また、CPU101は、画像形成実行前に、帯電電圧印加回路170が所定の帯電電圧値を生成するような制御信号を出力した状態で、現像電圧印加回路190に対して所定の現像電圧値を生成させる印加制御を行って、帰還電流検出回路180から帰還電流I_Returnを取得し、取得した帰還電流I_Returnの値から現像電流I_DEV値を算出する処理を、所定の現像電圧V_DEV値を変更しながら複数回実行し、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式を決定する、ことを特徴とする。
【0122】
このように、取得した帰還電流I_Returnの値から現像電流I_DEV値を算出する処理を、所定の現像電圧V_DEV値を変更しながら複数回実行し、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式を決定するようにしたので、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式をより正確に決定することができる。
【0123】
また、CPU101は、プリンタ1への電源オン時に、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0124】
これにより、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式を、プリンタ1への電源オンを契機として更新して決定することができる。
【0125】
また、帰還電流検出回路180は、トランス174の他端T2と電気的に接続され、グランドからトランス174の他端T2に向けて流れる帰還電流を帰還電流I_Returnとして検出する、ことを特徴とする。
【0126】
これにより、グランドを介して、帯電電流I_CHGと現像電流I_DEVとを含む帰還電流I_Returnが検出されるので、現像電流I_DEVを推定すれば、帰還電流I_Returnから帯電電流I_CHGを取得することができる。
【0127】
また、CPU101は、現像電圧印加回路190が生成する現像電圧V_DEVを変更するときに、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行する(S66)、ことを特徴とする。
【0128】
現像電圧V_DEVを変更すると、帯電電流I_CHGも変動し、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まらない場合が生ずるので、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まるように、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行している。
【0129】
また、CPU101は、各ページの画像形成が終了後、現像電圧印加回路190が生成する現像電圧V_DEVを変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行する(S76)、ことを特徴とする。
【0130】
現像電圧V_DEVを変更すると、帯電電流I_CHGも変動し、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まらない場合が生ずるので、帯電電流I_CHGの値が設定範囲内に収まるように、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行している。
【0131】
また、プリンタ1は、現像ローラ55の状態を、現像ローラ55が感光体ドラム51に圧接した状態と、現像ローラ55が感光体ドラム51から離間した離間状態とに切り替える現像ローラ移動機構77、をさらに備え、CPU101は、現像ローラ移動機構77により現像ローラ55を離間状態に切り替えた後、現像電圧V_DEVと現像電流I_DEVとの関係式の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0132】
これにより、シートSに画像形成を行わないとき等は、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させ、シートSに画像形成を行うときに、現像ローラ55を感光体ドラム51に圧接することができるので、感光体ドラム51の寿命を長くすることができる。
【0133】
また、CPU101は、現像電圧印加回路190が生成する現像電圧V_DEVを変更するときに、現像ローラ移動機構77により現像ローラ55を離間状態に切り替えた後、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0134】
これにより、帰還電流I_Returnは、帯電電流I_CHGと現像電流I_DEVとの和に正確に一致するので、帯電電流I_CHGを正確に取得することができる。
【0135】
また、CPU101は、各ページの画像形成が終了後、現像電圧印加回路190が生成する現像電圧V_DEVを変更する場合、その次のページの画像形成実行前に、現像ローラ移動機構77により現像ローラ55を離間状態に切り替えた後、帯電電圧印加回路170が生成する帯電電圧の値の決定を実行する、ことを特徴とする。
【0136】
これにより、帰還電流I_Returnは、帯電電流I_CHGと現像電流I_DEVとの和に正確に一致するので、帯電電流I_CHGを正確に取得することができる。
【0137】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、高圧電源基板162の一部が異なるのみであるので、相違する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。また、本実施形態のハードウェアは、上記図1及び図2に記載のハードウェアをそのまま用いるものとし、本実施形態のテーブル作成処理及び画像形成処理も、上記図4図7に記載のテーブル作成処理及び画像形成処理をほぼそのまま用いるものとする。
【0138】
図9は、本実施形態の高圧電源基板162Aの概略構成及び高圧電源基板162Aに関連する接続構成を示し、上記第1実施形態における図3と対応するものである。図9図3とを見比べれば分かるように、図9では、図3の帰還電流検出回路180に代えて電流検出回路200を加えている。
【0139】
電流検出回路200は、帯電電圧印加回路170の出力側に流れる電流を検出電流として検出する回路である。
【0140】
電流検出回路200は、4つの抵抗Rs及びR21~R23と、1つの演算増幅器OP2と、1つのPチャネルMOSFET201とにより構成されている。抵抗Rsは、整流ダイオード175のカソード側と2次巻線174bの一端T1との間に接続されている。そして、抵抗R21は、抵抗Rsの入力側と演算増幅器OP2の反転入力(-)との間に接続され、抵抗R22は、抵抗Rsの出力側と演算増幅器OP2の非反転入力(+)との間に接続されている。さらに、演算増幅器OP2の出力側は、FET201のゲートと接続されている。また、FET201のソースは、演算増幅器OP2の反転入力(-)と接続され、FET201のドレインは、抵抗R23を介してグランドに接続されるとともに、ASIC105のポートA/D1に接続される。
【0141】
帯電電圧印加回路170からの出力電流をI_outとすると、抵抗Rsでの電圧降下Vsは、I_out×Rsとなるので、抵抗Rsの出力側の印加電圧、つまり、演算増幅器OP2の非反転入力(+)の印加電圧は、V_CHG - Vsである。一方、FET201がオン状態で、ソースからドレインに流れる電流をI_senseとすると、演算増幅器OP2の反転入力(-)に印加される電圧は、V_CHG - I_sense×R21となる。
【0142】
そして、電流検出回路200の回路構成では、演算増幅器OP2の反転入力(-)と非反転入力(+)とが同電位(バーチャルショート)になるので、
V_CHG - Vs= V_CHG - I_sense×R21 …(6)
となる。さらに、
Sir2 = I_sense×R23
である。したがって、式(6)により、
I_sense = Vs/R21
= I_out×Rs/R21
であるので、
Sir2 = I_out×Rs×R23/R21
となる。よって、CPU101は、信号Sir2を読み取り、
I_out = Sir2×R21/(Rs×R23)
の左辺の演算を行うことで、帯電電圧印加回路170からの出力電流I_outを取得することができる。
【0143】
この出力電流I_outは、帯電電流I_CHGと現像電流I_DEVとを加算したものである。つまり、出力電流I_outは、上記第1実施形態における帰還電流I_Returnと等価なものであるので、第1実施形態で説明したテーブル作成処理及び画像形成処理において、帰還電流I_Returnに代えて出力電流I_outを用いることで、帯電電流I_CHGを取得することが可能となる。
【0144】
なお、電流検出回路200の回路構成は公知であり、演算増幅器OP2の反転入力(-)と非反転入力(+)とが同電位(バーチャルショート)になる動作原理も公知であるので、その動作原理の説明は省略する。
【0145】
以上説明したように、電流検出回路200は、帯電電圧印加回路170の出力側に流れる電流を検出電流として検出する、ことを特徴とする。
【0146】
このように、本実施形態のプリンタ1でも、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流を取得することが可能となる。そして、取得した帯電電流I_CHG値が設定範囲内となるように、帯電電圧印加回路が生成する帯電電圧を変更するようにしたので、帯電ローラを正常に帯電された状態に維持することができる。
【0147】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0148】
(1)上記各実施形態では、画像形成装置の一例として、モノクロレーザプリンタ1を挙げて説明したが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。また、プリンタに限らず、複合機やコピー機などでもよい。
【0149】
(2)上記各実施形態では、I_DEV推定用テーブルとして、ある1つの帯電電圧V_CHGの値(=1.1kV)に対して、現像電圧V_DEVの値を変動させたときの現像電流I_DEVの値を算出してテーブル化するようにしたが、これに限らず、複数の帯電電圧V_CHGの各値に対して、現像電圧V_DEVの値を変動させたときの現像電流I_DEVの値を算出してテーブル化するようにしてもよい。
【0150】
(3)上記各実施形態では、I_DEV推定用テーブルを用いて現像電流I_DEVを補間する場合、線形補間を用いたが、他の補間方法を用いるようにしてもよい。また、上記各実施形態では、I_DEV推定用テーブルに基づいた関係式C,C1を予め決定し、この関係式C,C1を用いて現像電流I_DEVを補間して推定するようにしたが、関係式C,C1を決定せずに、I_DEV推定用テーブルに含まれる各値を、例えば演算により補間して、現像電流I_DEVを推定するようにしてもよい。
【0151】
(4)上記各実施形態では、現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させて図4のテーブル作成処理、図7のPWM信号Sp1制御処理を実行していたが、必ずしも現像ローラ55を感光体ドラム51から離間させる必要はない。現像電流IDEV2の値は、現像ローラ55を感光体ドラム51に接触させていた場合でも、ほぼゼロの値であるためである。
【符号の説明】
【0152】
1…モノクロレーザプリンタ(画像形成装置)、51…感光体ドラム、52…帯電ローラ、55…現像ローラ、77…現像ローラ移動機構(切替機構)、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…NVRAM、105…ASIC、162,162A…高圧電源基板、170…帯電電圧印加回路、174…トランス、180…帰還電流検出回路(電流検出回路)、190…現像電圧印加回路、200…電流検出回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9