(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165894
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】放射線モニタおよび放射線の測定方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G01T1/20 J
G01T1/20 C
G01T1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082472
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 湧希
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 敬介
(72)【発明者】
【氏名】畠山 修一
(72)【発明者】
【氏名】上野 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA19
2G188BB04
2G188BB17
2G188CC13
2G188CC21
2G188CC23
2G188EE14
2G188EE25
2G188FF04
2G188FF30
(57)【要約】
【課題】放射線検出素子または光ケーブルが劣化した際、放射線検出素子の劣化程度を判断可能な放射線モニタおよび放射線の測定方法を提供する。
【解決手段】光ファイバ式放射線モニタ100は、放射線または光の入射により発光する放射線検出素子11aを有する放射線検出部11と、放射線検出部11から光を伝送する測定用光ファイバ10と、校正時に用いられて、放射線検出部11から光を伝送する校正用光ファイバ20と、測定用光ファイバ10または校正用光ファイバ20を伝送した光信号の強度に応じて電気信号を出力する光検出部15と、電気信号を解析して放射線量に換算する解析・校正装置16と、換算された放射線量を表示する表示装置17と、を備え、表示装置17は、測定用光ファイバ10を接続して測定された放射線量と、校正用光ファイバ20を接続して測定された放射線量と、を比較して表示し、放射線検出部11の劣化程度を確認させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線および光に感度を有し、放射線または光の入射により発光する放射線検出素子を有する放射線検出部と、
測定時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する測定用光ファイバと、
校正時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する校正用光ファイバと、
前記測定用光ファイバまたは前記校正用光ファイバを伝送した光信号の強度に応じて電気信号を出力する光検出部と、
前記電気信号を解析して放射線量に換算する解析部と、
換算された前記放射線量を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、
前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、を比較して表示し、前記放射線検出部の劣化程度を確認させる
ことを特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
前記表示部は、
劣化していないことが既知である前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、劣化していないことが既知である前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、を比較して表示し、前記測定用光ファイバの劣化程度を確認させる
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記放射線検出部にレーザ光を照射するレーザ装置を備え、
前記表示部は、
前記校正用光ファイバを用いてあらかじめ測定して、劣化していないことが既知である前記放射線検出部に前記レーザ光を照射したときに測定された前記放射線量と、劣化程度が分からない前記放射線検出部に前記レーザ光を照射したときに測定された前記放射線量と、を比較して表示し、前記放射線検出部の劣化程度を確認させる
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記解析部は、
前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、に基づいて前記放射線検出部を校正する補正定数を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線モニタ。
【請求項5】
前記解析部は、
前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続し、所定強度の前記レーザ光を照射したときに測定された前記電気信号のパルスの計数率と、前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続し、所定強度と同一の強度の前記レーザ光を照射したときに測定された前記電気信号のパルスの計数率との比較に基づいて前記測定用光ファイバの劣化程度を測定する
ことを特徴とする請求項3に記載の放射線モニタ。
【請求項6】
前記解析部は、
前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続し、所定強度の前記レーザ光を照射したときに測定された前記電気信号のパルスの計数率と、前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続し、所定強度と同一の強度の前記レーザ光を照射したときに測定された前記電気信号のパルスの計数率と、に基づいて前記測定用光ファイバを校正する補正定数を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の放射線モニタ。
【請求項7】
放射線および光に感度を有し、放射線または光の入射により発光する放射線検出素子を有する放射線検出部と、
測定時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する測定用光ファイバと、
校正時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する校正用光ファイバと、
前記測定用光ファイバまたは前記校正用光ファイバを伝送した光信号の強度に応じて電気信号を出力する光検出部と、
前記電気信号を解析して放射線量に換算する解析部と、
換算された前記放射線量を表示する表示部と、を有する放射線モニタの放射線の測定方法であって、
前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、を比較して表示し、前記放射線検出部の劣化程度を確認させる
ことを特徴とする放射線の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線モニタおよび放射線の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線モニタは、原子力発電プラントなど放射性同位元素を使用する環境において、必須の計測装置である。原子力発電プラントの過酷環境下で放射線量を計測する場合、放射線検出部設置場所の制約などから、検出部(検知部)の小型化や電圧印加が不要な検出部とすることが重要である。
原子力発電プラントの過酷環境下で放射線量を計測する場合に使用する放射線モニタには、高信頼の計測が要求されるため、放射線検出部の経年劣化等を考慮した補正をするため定期的な校正が必要である。
【0003】
小型で電圧印加が不要な放射線モニタとして、光信号を使用した光ファイバ式放射線モニタが知られている。光ファイバ式放射線モニタは、過酷環境での使用を想定している。
【0004】
特許文献1には、所定の波長の光を発生する放射線検出素子を有する放射線検知部と、所定の波長と相違する波長の光を発生する発光部と、所定の波長の光を透過させ、所定の波長の光と相違する波長の光を遮断する波長選択部と、光を伝送する光ファイバと、波長選択部を透過した光を電気パルスに変換する光検出部と、電気パルスの計数率を計数する計数装置と、計数率と発光部の光の強度に基づいて、少なくとも発光部の劣化の有無を判定する解析表示装置と、を有する放射線モニタが記載されている。
【0005】
特許文献2には、入射する放射線の放射線量に依存するフォトンを発生する放射線検知部と、フォトンを伝送する光ファイバと、フォトンを電気信号に変換する光電変換器と、光電変換器が変換する電気信号を計数し、電気信号の計数値を出力する計数装置と、放射線検知部に、光ファイバを介して、レーザ光を照射する発光部と、発光部が照射するレーザ光のレーザ光照射タイミングを制御し、レーザ光照射タイミング信号を出力する発光タイミング制御部と、レーザ光照射タイミング信号と電気信号の計数値とに基づいて、補正データを作成し、電気信号の計数値と補正データとに基づいて補正処理を実施し、放射線量または放射線の線量率を算出する補正装置と、放射線量または放射線の線量率を表示する表示装置とを有する光ファイバ式放射線モニタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-36204号公報
【特許文献2】特開2021-156583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2のような手法では、放射線検出素子や光ファイバの劣化程度を反映した補正は困難である。このため、長期間の放射線照射により検出素子や光ファイバが劣化した場合には、当該の機器を劣化していない新品に交換する必要があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、放射線検出素子または光ケーブルが劣化した際、放射線検出素子の劣化程度を判断可能な放射線モニタおよび放射線の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、一観点に係る放射線モニタは、放射線および光に感度を有し、放射線または光の入射により発光する放射線検出素子を有する放射線検出部と、測定時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する測定用光ファイバと、校正時に用いられて、前記放射線検出部から光を伝送する校正用光ファイバと、前記測定用光ファイバまたは前記校正用光ファイバを伝送した光信号の強度に応じて電気信号を出力する光検出部と、前記電気信号を解析して放射線量に換算する解析部と、換算された前記放射線量を表示する表示部と、を備え、前記表示部は、前記放射線検出部に前記測定用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、前記放射線検出部に前記校正用光ファイバを接続して測定された前記放射線量と、を比較して表示し、前記放射線検出部の劣化程度を確認させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放射線検出素子または光ケーブルが劣化した際、放射線検出素子の劣化程度を判断することができる。放射線検出素子の劣化程度に合わせて校正をすることで継続して使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバ式放射線モニタの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る放射線モニタの放射線照射による放射線検出部の校正時の構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る放射線モニタの校正用光ファイバ20に接続された放射線検出部に放射線を照射し、放射線検出部の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
【
図4A】本発明の第2実施形態に係る光ファイバ式放射線モニタの構成図である。
【
図4B】本発明の第2実施形態に係る光ファイバ式放射線モニタの構成図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの校正用光ファイバに接続された放射線検出部に放射線を照射し、放射線検出部の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの劣化した測定用光ファイバまたは劣化していない校正用光ファイバに接続した放射線検出部にレーザ光を照射したとき、表示装置に表示される放射線量を比較して示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの校正用光ファイバに接続された放射線検出部に放射線を照射し、放射線検出部の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る放射線モニタの放射線検出部にレーザ光を照射したとき、表示装置に表示される放射線量を比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光ファイバ式放射線モニタの構成図である。
光ファイバ式放射線モニタ100(放射線モニタ)は、放射線を検出する機器である。また、光ファイバ式放射線モニタ100は、自身の健全性の有無(つまり、放射線検出部11や測定用光ファイバ10が劣化しているか否か)を判断する機能等も有している。
図1に示すように、光ファイバ式放射線モニタ100は、放射線検出素子11aを有する放射線検出部11と、測定用光ファイバ10と、校正用光ファイバ20と、光ファイバ接続用コネクタ12と、レーザ接続用コネクタ13と、光検出部接続用光ファイバ14と、光検出部15と、解析・校正装置16(解析部)と、表示装置17(表示部)と、を備える。
【0013】
<放射線検出部11>
放射線検出部11は、自身に入射する放射線や光を検出(検知)するものであり、例えば、原子力プラントの所定箇所に配置される。
放射線検出部11は、シンチレータなど、放射線を受けることによって発光する放射線検出素子11aを有する。放射線検出素子11aは、放射線に感度を有するとともに、光にも感度を有し、放射線または光の入射によって所定の発光波長で発光する素子である。このような放射線検出素子11aとして、ルミネッセンスを示す組成物であれば特に限定されず、紫外線などの光による光ルミネッセンス、放射線によるラジオルミネッセンス、電子ビームによるカソードルミネッセンス、電場によるエレクトロルミネッセンス、化学反応による化学ルミネッセンスなどが挙げられる。具体的には、例えば、母材としてNaI、CsI、LiI、SrI2、Bi4Ge3O12、Bi4Si3O12、CdWO4、PbWO4、ZnS、CaF2、LuAG、LuAP、Lu2O3、Y3Al5O12、YAlO3、Lu2SiO5、LYSO(Y2SiO5とLu2SiO5の混晶組成の単結晶)、Y2SiO5、Gd2SiO5、BaF2、CeF3、CeBr3、CsF、LiF、Gd2O2S、LaBr3、CeBr3、Gd3Al2Ga3O12、Cs2LiYCl6、Cs2HfI6、ScTaO4、LaTaO4、LuTaO4、GdTaO4、YTaO4、サイアロン蛍光体などの光透過性材料、あるいは、この光透過性材料中にLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yなどの希土類元素またはTl、Na、Ag、W、CO3などの元素や、粉末状の蛍光材料が含有されたシンチレーション素子を用いることができる。
【0014】
放射線検出部11は、通常測定時には、現場1に設置されており、校正時には、校正室2に移設される。現場1は、放射線の過酷環境下であり、放射線検出部11の劣化がある測定場所である。校正室2は、放射線の影響のない環境であり、放射線検出部11の劣化がない区画である。
【0015】
放射線検出部11は、放射線検出素子11aと、測定用光ファイバ接続用コネクタ12に接続される第1接続用光ファイバ11bと、レーザ接続用コネクタ13に接続される第2接続用光ファイバ11cと、を有する。
放射線検出部11は、測定用光ファイバ10に、第1接続用光ファイバ11bおよび光ファイバ接続用コネクタ12を介して接続されている。
【0016】
放射線検出部11の劣化は、放射線検出素子11aの劣化が主要因であるが、第1接続用光ファイバ11bの劣化もある。ただし、一般に放射線検出部11の劣化といった場合、放射線検出素子11aの劣化を示す場合が殆どである(放射線検出素子11aの劣化要因が支配的であること、第1接続用光ファイバ11bのケーブル長は短いこと等による)。
【0017】
なお、放射線検出部11は、放射線検出素子11aを収容するハウジング(図示省略)を備えている。このハウジングは、外部から入射する放射線を透過させるとともに、外部から入射する光を遮断する。
【0018】
<測定用光ファイバ10>
測定用光ファイバ10は、放射線の過酷環境下に設置され、放射線検出部11で生じた発光を光検出部15に伝送する。
測定用光ファイバ10は、現場1に敷設(埋設等)されており、取り外しは困難である。測定用光ファイバ10は、両端に接続用コネクタ10a,10bを有する。接続用コネクタ10aは、通常測定時、測定用光ファイバ接続用コネクタ12に取付けられ、接続用コネクタ10bは、接続用コネクタ14aに取付けられる。
【0019】
<校正用光ファイバ20>
校正用光ファイバ20は、劣化していない光ファイバであり、測定用光ファイバ10と同様の光伝送特性を有する。
校正用光ファイバ20は、放射線の影響のない校正室2に設置され、またケーブル全長は測定用光ファイバ10の長さに比べて格段に短い。校正用光ファイバ20は、校正時に、測定用光ファイバ10に代えて用いられる。
校正用光ファイバ20は、両端に接続用コネクタ20a,20bを有する。接続用コネクタ20aは、校正時、校正室2に移設された放射線検出部11の光ファイバ接続用コネクタ12に取付けられ、接続用コネクタ20bは、校正室2まで延ばされた光検出部接続用光ファイバ14の接続用コネクタ14aに取付けられる(後記
図2)。
【0020】
上記、第1接続用光ファイバ11bおよび測定用光ファイバ10は、通常測定時、放射線検出部11で生成された光子を光検出部15に導く光伝送路である。また、第1接続用光ファイバ11bおよび校正用光ファイバ20は、校正時、放射線検出部11で生成された光子を光検出部15に導く光伝送路である。
【0021】
上記、第2接続用光ファイバ11cは、校正時、レーザ照射装置30から入射する光を放射線検出部11に導く光伝送路である。
【0022】
<光検出部15>
光検出部15は、光検出部接続用光ファイバ14から伝送された光信号の強度に応じて電気信号を出力する。光検出部15は、伝送された光を電気パルスに変換する機器である。詳細には、光検出部15に1つの光子が入射すると、光電変換によって1つの電気パルスが生成されるようになっている。このような光検出部15として、例えば、光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードを用いることができる。
【0023】
<解析・校正装置16>
解析・校正装置16は、光検出部15から出力された電気信号(例えば、電気パルスの計数率)を解析し、放射線量に換算する。また、解析・校正装置16は、校正時には電気信号と放射線量の換算計数を調整する機能を有する。
解析・校正装置16は、図示はしないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成される。そして、解析・校正装置16は、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。なお、解析・校正装置16が実行する処理については後記する。
【0024】
<表示装置17>
表示装置17は、解析・校正装置16が換算した放射線量を表示するディスプレイである。
【0025】
なお、光検出部15、解析・校正装置16、および表示装置17は、例えば、原子力プラントの制御ルーム(図示せず)に配置される。光検出部接続用光ファイバ14は、制御ルームの付近に配置される。また、放射線検出部11は、原子炉格納容器等の所定箇所に配置され、測定用光ファイバ10は、原子炉格納容器等の近傍から制御ルームまで敷設される。放射線検出部11と光検出部15とを接続する測定用光ファイバ10は、その長さが数百mに及ぶことが多く、また、放射線の影響で徐々に劣化する。
【0026】
以下、上述のように構成された光ファイバ式放射線モニタ100の動作について説明する。
<放射線検出部11の劣化判断の手順>
図2は、光ファイバ式放射線モニタ100の放射線照射による放射線検出部11の校正時の構成図である。
図1と同じ箇所については、同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図2に示す校正室2は、放射線劣化による影響を受けず、かつ放射線検出部11に放射線照射が可能な場所である。校正用光ファイバ20は、放射線の影響のない校正室2に設置されている。また、校正室2には、放射線源(図示省略)が備えられている。
【0027】
放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続する手順を説明する。
測定用光ファイバ10(
図1)から放射線検出部11を取り外し、取り外した放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続する(
図2)。なお、以下の説明において、「放射線検出部11を校正用光ファイバ20に接続する」とは、放射線検出部11の第1接続用光ファイバ11bの測定用光ファイバ接続用コネクタ12に、校正用光ファイバ20の接続用コネクタ20aを接続し、かつ校正用光ファイバ20の接続用コネクタ20bを光検出部接続用光ファイバ14の接続用コネクタ14aに接続することをいう。
【0028】
校正用光ファイバ20に接続された放射線検出部11に放射線源を使用して放射線を照射する。なお、以下の説明において、「校正用光ファイバ20に接続された放射線検出部11」とは、校正用光ファイバ20の接続用コネクタ20aに放射線検出部11の第1接続用光ファイバ11bの測定用光ファイバ接続用コネクタ12が接続されたことをいう。
【0029】
解析・校正装置16、放射線検出部11に照射した放射線量と表示装置17に表示された放射線量の違いから放射線検出部11の劣化程度を確認する。
【0030】
このように放射線モニタを校正室等の放射線照射施設に持ち込み校正する方法は原子力発電プラントで使用されている方法である。
【0031】
<フローチャート>
図3は、校正用光ファイバ20に接続された放射線検出部11に放射線を照射し、放射線検出部11の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
ステップS11で放射線検出部11を、劣化していない校正用光ファイバ20に接続する。
【0032】
ステップS12で放射線検出部11に放射線源を使用して放射線を照射する。放射線検出部11に外部から放射線(例えば、γ線)が入射すると、この放射線のエネルギによって、放射線検出部11の放射線検出素子11aで光子が生成される。単位時間当たりに生成される光子の個数は、放射線の線量率に比例する。
【0033】
ステップS13で光検出部15は、校正用光ファイバ20から伝送された光を検出する。なお、以下の説明において、「光検出部15が校正用光ファイバ20から伝送された光を検出」とは、光検出部15が放射線検出部11の第1接続用光ファイバ11b、校正用光ファイバ20および光検出部接続用光ファイバ14から伝送された光を検出することをいう。
【0034】
光検出部15は、光検出部接続用光ファイバ14から伝送された光信号の強度に応じて電気信号を出力する。
【0035】
ステップS14で解析・校正装置16は、放射線照射による出力と照射した放射線量が異なるか否かを解析する。すなわち、解析・校正装置16は、校正用光ファイバ20から伝送された光信号の強度が、照射した放射線量を基準としてあらかじめ想定された設定値より低下しているか否かを解析する。
【0036】
照射した放射線量と表示装置17に表示されている放射線量が異なっている場合、放射線検出部11は劣化していると判断する。照射した放射線量と表示装置17に表示されている放射線量が同じ場合、放射線検出部11が劣化していないと判断する。校正用光ファイバ20を用いているので、劣化がある場合、放射線検出部11の劣化であると判断できる。
【0037】
ステップS15で解析・校正装置16は、解析結果をもとに、劣化程度による補正定数を算出する。
ステップS16で解析・校正装置16は、補正定数に応じて換算計数を修正して本フローの処理を終了する。
【0038】
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、光ファイバ式放射線モニタ100(放射線モニタ)は、放射線および光に感度を有し、放射線または光の入射により発光する放射線検出素子11aを有する放射線検出部11と、測定時に用いられて、放射線検出部11から光を伝送する測定用光ファイバ10と、校正時に用いられて、放射線検出部11から光を伝送する校正用光ファイバ20と、測定用光ファイバ10または校正用光ファイバ20を伝送した光信号の強度に応じて電気信号を出力する光検出部15と、電気信号を解析して放射線量に換算する解析・校正装置16と、換算された放射線量を表示する表示装置17と、を備え、表示装置17は、放射線検出部11に測定用光ファイバ10を接続して測定された放射線量と、放射線検出部11に校正用光ファイバ20を接続して測定された放射線量と、を比較して表示し、放射線検出部11の劣化程度を確認させる。
【0039】
このように、光ファイバ式放射線モニタ100は、測定用光ファイバ10から放射線検出部11を取り外し、取り外した放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続する。放射線検出部11に校正室2にある放射線源を使用し、放射線検出部11に放射線を照射する。
照射した放射線量と表示装置17に表示されている放射線量を比較し、照射した放射線量と表示装置17に表示されている放射線量が異なっている場合、放射線検出部11は劣化していると判断する。照射した放射線量と表示装置17に表示されている放射線量が同じ場合は放射線検出部11が劣化していないと判断できる。
【0040】
解析・校正装置16は、放射線検出部11が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
このように放射線モニタを校正室等の放射線照射施設に持ち込み校正する方法は原子力発電プラントで使用されている方法である。
【0041】
本実施形態によれば、放射線検出部11(主として、放射線検出素子11a)の劣化程度を確認することができる。放射線検出素子11aや測定用光ファイバ10が劣化した場合には、該当の機器を劣化していない新品に交換する必要があるが、放射線検出素子11aの劣化程度を確認できるので、無駄な機器の交換(例えば、放射線検出素子11aの劣化が進んでいないのに放射線検出素子11aを交換してしまう、あるいは測定用光ファイバ10を交換する)を抑制することができる。また、放射線検出素子11aの劣化程度によっては、放射線検出素子11aの交換をすることなく校正に依って対応することができる。放射線検出素子11aが劣化した際、劣化程度に合わせて校正をすることで、放射線検出部11を継続して使用が可能になる。
【0042】
光ファイバ式放射線モニタ100(
図1、
図2)において、表示装置17は、劣化していないことが既知である放射線検出部11に測定用光ファイバ10を接続して測定された放射線量と、劣化していないことが既知である放射線検出部11に校正用光ファイバ20を接続して測定された放射線量と、を比較して表示し、測定用光ファイバ10の劣化程度を確認させる。
【0043】
このようにすることにより、測定用光ファイバ10の劣化程度を確認することができる。測定用光ファイバ10は、施設内に敷設されているので、交換には手間とコストがかかる。測定用光ファイバ10の劣化程度が確認できるので、無駄な機器の交換(測定用光ファイバ10の交換)を抑制することができる。また、測定用光ファイバ10の劣化程度によっては、測定用光ファイバ10の交換をすることなく校正に依って対応することができる。測定用光ファイバ10が劣化した際、測定用光ファイバ10の劣化程度に合わせて校正をすることで測定用光ファイバ10を継続して使用が可能になる。
【0044】
光ファイバ式放射線モニタ100(
図1、
図2)において、解析・校正装置16は、放射線検出部11に測定用光ファイバ10を接続して測定された放射線量と、放射線検出部11に校正用光ファイバ20を接続して測定された放射線量と、に基づいて放射線検出部11を校正する補正定数を算出する。
【0045】
このようにすることにより、放射線検出部11を校正する補正定数を算出することで、放射線検出素子11aの交換を特にすることなく、放射線検出部11を継続して使用が可能になる。
【0046】
(第2実施形態)
図4Aおよび
図4Bは、本発明の第2実施形態に係る光ファイバ式放射線モニタの構成図である。
図4Aは、放射線検出部11とレーザ照射装置30が校正室側に接続された構成を示し、
図4Bは、放射線検出部11とレーザ照射装置30が現場側に接続された構成を示す。
図1と同じ箇所については、同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
図4Aおよび
図4Bに示すように、光ファイバ式放射線モニタ100Aは、放射線検出素子11aを有する放射線検出部11と、測定用光ファイバ10と、校正用光ファイバ20と、光ファイバ接続用コネクタ12と、レーザ接続用コネクタ13と、光検出部接続用光ファイバ14と、光検出部15と、解析・校正装置16と、表示装置17と、レーザ照射装置30と、を備える。
【0047】
放射線検出部11は、校正時、レーザ接続用光ファイバ31に、第2接続用光ファイバ11cおよびレーザ接続用コネクタ13を介して接続される。
【0048】
<校正用光ファイバ20>
校正用光ファイバ20は、両端に接続用コネクタ20a,20bを有する。接続用コネクタ20aは、校正時、校正室2に移設された放射線検出部11の光ファイバ接続用コネクタ12に取付けられ、接続用コネクタ20bは、校正室2まで延ばされた光検出部接続用光ファイバ14の接続用コネクタ14aに取付けられる。
【0049】
上記、第1接続用光ファイバ11bおよび測定用光ファイバ10は、通常測定時、放射線検出部11で生成された光子を光検出部15に導く光伝送路である。また、第1接続用光ファイバ11bおよび校正用光ファイバ20は、校正時、放射線検出部11で生成された光子を光検出部15に導く光伝送路である。
【0050】
<レーザ照射装置30>
レーザ照射装置30は、放射線検出部11や測定用光ファイバ10の校正を行う際に用いられる半導体レーザである。
レーザ照射装置30は、校正時、レーザ接続用光ファイバ31を介してレーザ接続用コネクタ13に接続される。詳細には、レーザ照射装置30は、レーザ接続用光ファイバ31の接続用コネクタ31aに接続され、レーザ接続用光ファイバ31および接続用コネクタ31bを介してレーザ接続用コネクタ13に接続される。
【0051】
上記、第2接続用光ファイバ11cおよびレーザ接続用光ファイバ31は、校正時、レーザ照射装置30から入射する光を放射線検出部11に導く光伝送路である。
【0052】
以下、上述のように構成された光ファイバ式放射線モニタ100Aの動作について説明する。
[方法1]
まず、放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続する手順を説明する。
測定用光ファイバ10から放射線検出部11を取り外し、取り外した放射線検出部11を校正用光ファイバ20に接続する。
【0053】
次に、放射線検出部11にレーザを照射する手順を説明する。
放射線検出部11のレーザ接続用コネクタ13にレーザ照射装置30を接続し、1つまたは複数の強度のレーザを照射する。なお、以下の説明において、「放射線検出部11のレーザ接続用コネクタ13にレーザ照射装置30を接続」とは、放射線検出部11の第2接続用光ファイバ11cのレーザ接続用コネクタ13に、レーザ照射装置30のレーザ接続用光ファイバ31の接続用コネクタ31bを接続することをいう。
【0054】
次に、測定用光ファイバが劣化しているか判断する手順について説明する。
放射線検出部11を測定用光ファイバに接続し、校正用光ファイバ20に接続した際に照射したレーザ光と同強度のレーザ光を照射する。照射したレーザ強度に対して表示装置17に表示される放射線量が放射線検出部11の接続している光ファイバが変わったことで変化がない場合、測定用光ファイバ10は劣化していないと判断できる。接続している光ファイバによって、表示装置17に表示される放射線量が異なる場合は測定用光ファイバ10が劣化していると判断できる。
【0055】
最後に、解析・校正装置にて放射線検出部劣化程度に合わせて補正する手順について説明する。
放射線検出部が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、解析・校正装置にて補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
このように放射線モニタを校正室等の放射線照射施設に持ち込み校正する方法は原子力発電プラントで使用されている方法である。
【0056】
<フローチャート1>
図5は、校正用光ファイバ20に接続された放射線検出部11に放射線を照射し、放射線検出部11の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
ステップS21~ステップS23は、
図4Aに示すように、放射線検出部11とレーザ照射装置30が校正室側に接続された状態で実行される。
ステップS21で放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続するとともに、レーザ照射装置30に接続する。
【0057】
ステップS22で放射線検出部11にレーザ照射装置30を使用して所定強度のレーザ光を照射する。すなわち、
図4に示すように、レーザ照射装置30は、レーザ用光ファイバ31を介して放射線検出部11にレーザ光を照射する。
放射線検出部11にレーザ光を照射することにより、放射線が照射された時と同様に放射線検出素子11aが発光する。
ステップS23で光検出部15は、校正用光ファイバ20から伝送された光を検出する。
【0058】
ステップS24~ステップS26は、
図4Bに示すように、放射線検出部11とレーザ照射装置30が現場側に接続された状態で実行される。
ステップS24で放射線検出部11を測定用光ファイバ10に接続するとともに、レーザ照射装置30に接続する。
ステップS25で放射線検出部11にレーザ照射装置30を使用して所定強度のレーザ光を照射する。
放射線検出部11にレーザ光を照射することにより、放射線が照射された時と同様に放射線検出素子11aが発光する。
【0059】
ステップS26で光検出部15は、測定用光ファイバ10から伝送された光を検出する。
ステップS27で解析・校正装置16は、レーザ照射による出力が測定用光ファイバ10と校正用光ファイバ20とで異なるか否かを解析する。
ステップS28で解析・校正装置16は、解析結果をもとに、劣化程度による補正定数を算出する。
ステップS29で解析・校正装置16は、補正定数に応じて換算計数を修正して本フローの処理を終了する。
【0060】
図6は、劣化した測定用光ファイバ10または劣化していない校正用光ファイバ20に接続した放射線検出部11にレーザ光を照射したとき、表示装置17に表示される放射線量を比較して示す図である。横軸にレーザ照射装置30から発出されるレーザ強度を表わし、縦軸に表示装置17に表示される放射線量を表す。
図6に示すように、放射線検出部11を校正用光ファイバ20に接続したとき、表示装置17には白丸(〇印)の値が表示される。しかしながら、測定用光ファイバ10が劣化していると、黒丸(●印)のように同じレーザ強度を照射しても校正用光ファイバ20を接続したときに表示される値よりも低い放射線量が表示される。なお、
図6に示すL1は、校正用光ファイバ20の各放射線量を直線補間した線、L2は、測定用光ファイバ100の各放射線量を直線補間した線である。
光ファイバ式放射線モニタ100Aは、
図6白丸(〇印)のようにレーザ強度における、放射線量率を測定しておく。放射線検出部11が劣化していた場合には
図6黒丸(●印)のように、劣化前の計数率よりも低い値が表示される。
【0061】
このように、光ファイバ式放射線モニタ100Aは、放射線検出部11を測定用光ファイバ10に接続し、校正用光ファイバ20に接続した際に照射したレーザ光と同強度のレーザ光を照射する。
照射したレーザ強度に対して表示装置17に表示される放射線量が放射線検出部11の接続している光ファイバが変わったことで変化がない場合、測定用光ファイバ10は劣化していないと判断できる。接続している光ファイバによって、表示装置17に表示される放射線量が異なる場合は、測定用光ファイバ10が劣化していると判断できる。
測定用光ファイバ10が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、解析・校正装置16にて補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
【0062】
[方法2]
方法2では、劣化していない放射線検出部11と校正用光ファイバ20とを接続し、各レーザ強度における表示装置に表示される放射線量をあらかじめ記録しておく。
まず、
図4のように放射線検出部11を校正用光ファイバ20とレーザ照射装置30に接続する。
次に、放射線検出部11が劣化しているか判断する手順を説明する。
レーザ照射装置30を使用して放射線検出部11にレーザ光を照射し、表示装置17に表示される放射線量とあらかじめ記録しておいたレーザ強度における表示装置17に表示される放射線量を比較する。
【0063】
あらかじめ記録した放射線量と比べて表示装置17に表示される放射線量が変化していた場合は、放射線検出部11は劣化していると判断できる。
表示装置17に表示される放射線量があらかじめ記録していた放射線量と相違ない場合、放射線検出部11は劣化していないと判断できるため、校正は不要である。
最後に、放射線検出部劣化程度に合わせて補正する手順について説明する。
解析・校正装置16は、放射線検出部が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、解析・校正装置にて補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
【0064】
<フローチャート2>
図7は、放射線検出部11を校正用光ファイバ20とレーザ照射装置30に接続し、放射線検出部11の劣化程度による校正を行う手順を示すフローチャートである。
ステップS31で放射線検出部11を劣化していない校正用光ファイバ20に接続するとともに、レーザ照射装置30に接続する。
【0065】
ステップS32で放射線検出部11にレーザ照射装置30を使用してレーザ光を照射する。
図4に示すように、レーザ照射装置30は、レーザ用光ファイバ31を介して放射線検出部11にレーザ光を照射する。
放射線検出部11にレーザ光を照射することにより、放射線が照射された時と同様に放射線検出素子11aが発光する。レーザ接続用光ファイバ31は、放射線劣化の影響を受けない。
【0066】
ステップS33で光検出部15は、校正用光ファイバ20から伝送された光を検出する。
ステップS34で解析・校正装置16は、レーザ照射による出力とあらかじめ記録した出力が異なるか否かを解析する。
ステップS35で解析・校正装置16は、解析結果をもとに、劣化程度による補正定数を算出する。
ステップS36で解析・校正装置16は、補正定数に応じて換算計数を修正して本フローの処理を終了する。
【0067】
図8は、放射線検出部11にレーザ光を照射したとき、表示装置17に表示される放射線量を比較して示す図である。横軸にレーザ照射装置30から発出されるレーザ強度を表わし、縦軸に表示装置17に表示される放射線量を表す。
あらかじめ記録した放射線量と比べて表示装置17に表示される放射線量が変化していた場合は、放射線検出部11は劣化していると判断できる。
【0068】
図8に示すように、放射線検出部11にレーザ光を照射したとき、劣化がない場合は、表示装置17には劣化前の放射線量は白四角(□印)の値が表示される。しかしながら、放射線検出部11や測定用光ファイバ10が劣化していると、黒四角(■印)のように同じレーザ強度を照射しても低い放射線量が表示される。
光ファイバ式放射線モニタ100Aは、あらかじめ
図8白四角(□印)のようにレーザ強度における、放射線量を測定しておく。放射線検出部11が劣化していた場合には
図8黒四角(■印)のように、劣化前の放射線量よりも低い値が表示される。なお、
図8に示すL3は、劣化前の各放射線量を直線補間した線、L4は、劣化後の各放射線量を直線補間した線である。
【0069】
光ファイバ式放射線モニタ100Aは、放射線検出部11を測定用光ファイバ10に接続し、校正用光ファイバ20に接続した際に照射したレーザ光と同強度のレーザ光を照射する。
照射したレーザ強度に対して表示装置17に表示される放射線量が放射線検出部11の接続している光ファイバが変わったことで変化がない場合、測定用光ファイバ10は劣化していないと判断できる。接続している光ファイバによって、表示装置17に表示される放射線量が異なる場合は、測定用光ファイバ10が劣化していると判断できる。
測定用光ファイバ10が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、解析・校正装置16にて補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
【0070】
[第2実施形態の効果]
光ファイバ式放射線モニタ100Aは、放射線検出部11にレーザ光を照射するレーザ照射装置30を備え、表示装置17は、校正用光ファイバ20を用いてあらかじめ測定して、劣化していないことが既知である放射線検出部11にレーザ光を照射したときに測定された放射線量と、劣化程度が分からない放射線検出部11にレーザ光を照射したときに測定された放射線量と、を比較して表示し、放射線検出部11の劣化程度を確認させる。
【0071】
このようにすることにより、放射線検出部11の劣化程度を確認することができる。また、測定用光ファイバ10が劣化していた場合、劣化程度に合わせて補正定数を算出し、解析・校正装置16にて補正定数に応じて換算計数を修正することにより、校正ができる。
【0072】
光ファイバ式放射線モニタ100Aにおいて、解析・校正装置16は、放射線検出部11に校正用光ファイバ20を接続し、所定強度のレーザ光を照射したときに測定された電気信号のパルスの計数率と、放射線検出部11に測定用光ファイバ10を接続し、所定強度と同一の強度のレーザ光を照射したときに測定された電気信号のパルスの計数率との比較に基づいて測定用光ファイバ10の劣化程度を測定する。
【0073】
このようにすることにより、測定用光ファイバ10の劣化程度を測定することができる。
【0074】
光ファイバ式放射線モニタ100Aにおいて、解析・校正装置16は、放射線検出部11に校正用光ファイバ20を接続し、所定強度のレーザ光を照射したときに測定された電気信号のパルスの計数率と、放射線検出部11に測定用光ファイバ10を接続し、所定強度と同一の強度のレーザ光を照射したときに測定された電気信号のパルスの計数率と、に基づいて測定用光ファイバ10を校正する補正定数を算出する。
【0075】
このようにすることにより、測定用光ファイバ10を校正する補正定数を算出することができ、補正定数をもとに換算計数を修正することにより、校正ができる。
【0076】
なお、各実施形態では、光ファイバ式放射線モニタ100,100Aが原子力プラントに設置される構成について説明したが、光ファイバ式放射線モニタ100,100Aの設置箇所として、例えば、次の箇所が挙げられる。すなわち、原子力発電所内の使用済み燃料貯蔵プール、原子炉圧力容器の内・外、原子炉格納容器の内・外、サプレッションプールの内・外、原子炉建屋の内・外、再処理施設等である。その他、光ファイバ式放射線モニタ100,100Aを放射線医療設備に設置してもよいし、また、燃料デブリ(溶融した原子炉燃料が冷えて固まったもの)の検出(検知)に用いてもよい。
【0077】
また、各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0078】
10 測定用光ファイバ
11 放射線検出部
11a 放射線検出素子
15 光検出部
16 解析・校正装置(解析部)
17 表示装置(表示部)
20 校正用光ファイバ
100,100A 光ファイバ式放射線モニタ(放射線モニタ)