(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165896
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20241121BHJP
H02K 15/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02K15/12 E
H02K15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082479
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】片桐 慶大
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP13
5H615QQ02
5H615RR07
5H615SS10
5H615SS44
(57)【要約】
【課題】ステータの磁気特性を低下させることなく、ヨークの周方向においてティースに対するコイルの位置を固定できるステータの製造方法を提供する。
【解決手段】拘束部材40によってコイル13のコイルエンド32を拘束する。ステータコア12とコイルエンド32が拘束部材40によって拘束されたコイル13とをモールド型60内に配置する。拘束部材40をステータコア12とは別の部材である固定部材70に固定することによって、コイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の周方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定する。ティース22に対するコイル13の周方向の位置が固定された状態でモールド型60内に樹脂を充填することにより、ステータコア12及びコイル13を樹脂モールドする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から延びるとともに前記ヨークの周方向に並ぶ複数のティースを有するステータコアと、
前記ティースが挿入される環状のコイルと、
前記ステータコア及び前記コイルをモールドするモールド樹脂と、
を備え、
前記コイルは、前記ヨークの周方向において前記ティースの両側に位置する一対の主部と、前記ヨークの軸方向において前記ティースの両側に位置する一対のコイルエンドとを有するステータの製造方法であって、
拘束部材によって前記コイルエンドを拘束し、
前記ステータコアと前記コイルエンドが前記拘束部材によって拘束された前記コイルとをモールド型内に配置し、
前記拘束部材を前記ステータコアとは別の部材である固定部材に固定することによって、前記コイルと前記ティースとの間に隙間を設けた状態で前記ヨークの周方向において前記ティースに対する前記コイルの位置を固定し、
前記ティースに対する前記コイルの前記周方向の位置が固定された状態で前記モールド型内に樹脂を充填することを特徴とするステータの製造方法。
【請求項2】
前記拘束部材を前記固定部材に固定することによって、前記コイルと前記ティースとの間に前記隙間を設けた状態で前記ヨークの軸方向及び径方向においても前記ティースに対する前記コイルの位置を固定し、
前記拘束部材が前記固定部材に固定されることにより、前記ティースに対する前記コイルの前記周方向、前記軸方向、及び前記径方向の位置が固定された状態で前記モールド型内に前記樹脂を充填する請求項1に記載のステータの製造方法。
【請求項3】
前記拘束部材は、紐状であり、
前記拘束部材は、前記コイルエンドを拘束する拘束部と、前記拘束部から延びる延出部とを有し、
前記ステータコア及び前記コイルを前記モールド型内に配置する際、前記モールド型に設けられた貫通孔に前記延出部を挿通することによって前記延出部を前記モールド型外に引き出し、
前記モールド型外に引き出された前記延出部を前記モールド型外に配置された前記固定部材に固定するとともに前記延出部に張力を付与することによって、前記コイルと前記ティースとの間に前記隙間を設けた状態で前記ティースに対する前記コイルの前記周方向、前記軸方向、及び前記径方向の位置を固定する請求項2に記載のステータの製造方法。
【請求項4】
前記一対のコイルエンドのうち、一方の前記コイルエンドを第1コイルエンドとし、他方の前記コイルエンドを第2コイルエンドとしたとき、
前記拘束部材としての第1拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第1コイルエンドの第1端部を拘束し、
前記拘束部材としての第2拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第1コイルエンドの第2端部を拘束し、
前記拘束部材としての第3拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第2コイルエンドの第1端部を拘束し、
前記拘束部材としての第4拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第2コイルエンドの第2端部を拘束し、
前記第1拘束部材及び前記第2拘束部材の前記延出部には、前記ヨークの軸方向の一方側への張力を付与し、前記第3拘束部材及び前記第4拘束部材の前記延出部には、前記ヨークの軸方向の他方側への張力を付与する請求項3に記載のステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒状のステータが周方向に分割された分割ステータが開示されている。分割ステータは、分割コアとコイルユニットとが樹脂モールドされることによって形成されている。分割コアは、ヨーク部と、ヨーク部から延出するティース部とを有している。コイルユニットは、コイルと、コイルの一部を樹脂モールドする部分モールド部とを有している。ティース部は、コイルに挿入されている。コイルは、ステータの軸方向においてティース部の両側に位置する一対のコイルエンドを有している。部分モールド部は、コイルエンドを樹脂モールドしている。部分モールド部とティース部とが嵌め合わされることによって、ステータの軸方向においてティース部に対するコイルの位置が固定されている。
【0003】
部分モールド部は、ティース部と対向する面から突出する係合凸部を有している。ティース部における部分モールド部と対向する面には、係合溝が形成されている。係合凸部は、係合溝に係合されている。これにより、ステータの周方向においてティース部とコイルとの間に隙間が設けられた状態で、ステータの周方向においてティース部に対するコイルの位置が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ティース部に係合溝が形成されているため、ステータの磁気特性が低下する。かといって、ティース部に係合溝を形成しない場合、ステータの周方向においてティース部に対するコイルの位置が固定されない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのステータの製造方法は、円筒状のヨーク、及び前記ヨークの内周面から延びるとともに前記ヨークの周方向に並ぶ複数のティースを有するステータコアと、前記ティースが挿入される環状のコイルと、前記ステータコア及び前記コイルをモールドするモールド樹脂と、を備え、前記コイルは、前記ヨークの周方向において前記ティースの両側に位置する一対の主部と、前記ヨークの軸方向において前記ティースの両側に位置する一対のコイルエンドとを有するステータの製造方法であって、拘束部材によって前記コイルエンドを拘束し、前記ステータコアと前記コイルエンドが前記拘束部材によって拘束された前記コイルとをモールド型内に配置し、前記拘束部材を前記ステータコアとは別の部材である固定部材に固定することによって、前記コイルと前記ティースとの間に隙間を設けた状態で前記ヨークの周方向において前記ティースに対する前記コイルの位置を固定し、前記ティースに対する前記コイルの前記周方向の位置が固定された状態で前記モールド型内に樹脂を充填することを要旨とする。
【0007】
上記方法によれば、コイルエンドを拘束する拘束部材をステータコアとは別部材である固定部材に固定することにより、コイルとティースとの間に隙間を設けた状態でヨークの周方向においてティースに対するコイルの位置を固定する。このように拘束部材の固定先をステータコアとは別の部材にすることによって、ティースに溝を設けなくても、ヨークの周方向においてティースに対するコイルの位置を固定することができる。したがって、ステータの磁気特性を低下させることなく、ヨークの周方向においてティースに対するコイルの位置を固定することができる。
【0008】
上記ステータの製造方法において、前記拘束部材を前記固定部材に固定することによって、前記コイルと前記ティースとの間に前記隙間を設けた状態で前記ヨークの軸方向及び径方向においても前記ティースに対する前記コイルの位置を固定し、前記拘束部材が前記固定部材に固定されることにより、前記ティースに対する前記コイルの前記周方向、前記軸方向、及び前記径方向の位置が固定された状態で前記モールド型内に前記樹脂を充填してもよい。
【0009】
上記方法によれば、拘束部材を固定部材に固定することにより、コイルとティースとの間に隙間を設けた状態でヨークの軸方向及び径方向にもティースに対するコイルの位置を固定する。つまり、拘束部材を固定部材に固定することにより、コイルとティースとの間に隙間を設けた状態でヨークの周方向、軸方向、及び径方向の3方向においてティースに対するコイルの位置を固定する。したがって、従来技術の部分モールド部のような別部材を設けなくても、ヨークの軸方向及び径方向においてティースに対するコイルの位置を固定することができる。
【0010】
上記ステータの製造方法において、前記拘束部材は、紐状であり、前記拘束部材は、前記コイルエンドを拘束する拘束部と、前記拘束部から延びる延出部とを有し、前記ステータコア及び前記コイルを前記モールド型内に配置する際、前記モールド型に設けられた貫通孔に前記延出部を挿通することによって前記延出部を前記モールド型外に引き出し、前記モールド型外に引き出された前記延出部を前記モールド型外に配置された前記固定部材に固定するとともに前記延出部に張力を付与することによって、前記コイルと前記ティースとの間に前記隙間を設けた状態で前記ティースに対する前記コイルの前記周方向、前記軸方向、及び前記径方向の位置を固定してもよい。
【0011】
上記方法によれば、例えば、拘束部材をモールド型内においてモールド型に固定する場合、すなわち固定部材がモールド型である場合と比較して、固定部材に対する拘束部材の固定作業を行いやすい。
【0012】
上記ステータの製造方法において、前記一対のコイルエンドのうち、一方の前記コイルエンドを第1コイルエンドとし、他方の前記コイルエンドを第2コイルエンドとしたとき、前記拘束部材としての第1拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第1コイルエンドの第1端部を拘束し、前記拘束部材としての第2拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第1コイルエンドの第2端部を拘束し、前記拘束部材としての第3拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第2コイルエンドの第1端部を拘束し、前記拘束部材としての第4拘束部材によって、前記ヨークの周方向における前記第2コイルエンドの第2端部を拘束し、前記第1拘束部材及び前記第2拘束部材の前記延出部には、前記ヨークの軸方向の一方側への張力を付与し、前記第3拘束部材及び前記第4拘束部材の前記延出部には、前記ヨークの軸方向の他方側への張力を付与してもよい。
【0013】
上記方法によれば、例えば、拘束部材によってヨークの周方向における各コイルエンドの中央部のみを拘束する場合と比較して、延出部に張力を付与した際に、一対の主部同士が近づくようなコイルの変形が生じにくい。したがって、ヨークの周方向においてコイルの主部とティースとの間の隙間を確保しやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ステータの磁気特性を低下させることなく、ヨークの周方向においてティースに対するコイルの位置を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態におけるステータを示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるステータを内周側から見た側面図である。
【
図4】
図4は、モールド前のステータ及びモールド型を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ステータの製造方法を示す底面図である。
【
図8】
図8は、ステータの製造方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ステータの製造方法を具体化した一実施形態を
図1~
図8にしたがって説明する。
<ステータの構成>
まず、本実施形態のステータの製造方法によって製造されたステータ10の構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、ステータ10は、ステータコア12と、複数のコイル13とを備えている。
ステータコア12は、円環状のヨーク21と、複数のティース22とを有している。各ティース22は、ヨーク21の内周面からヨーク21の中心に向かって延出している。複数のティース22は、ヨーク21の周方向において等間隔で並んでいる。
【0018】
図2に示すように、コイル13は、導線130が環状に巻回されることによって形成されている。本実施形態のコイル13は、四角環状である。コイル13の内側には、ティース22が挿入されている。コイル13は、ヨーク21の周方向においてティース22の両側に位置する一対の主部31と、ヨーク21の軸方向においてティース22の両側に位置する一対のコイルエンド32とを有している。以下の説明において、一対のコイルエンド32を区別する場合には、一方のコイルエンド32を第1コイルエンド321といい、他方のコイルエンド32を第2コイルエンド322という。
【0019】
各コイルエンド32には、拘束部材40が取り付けられている。本実施形態の拘束部材40は、紐状である。本実施形態の拘束部材40は、糸400である。本実施形態では、1つのコイルエンド32に対し、2つの拘束部材40が取り付けられている。したがって、1つのコイル13には、4つの拘束部材40が取り付けられている。以下の説明において、拘束部材40を区別する場合には、第1コイルエンド321に取り付けられた2つの拘束部材40のうち、一方の拘束部材40を第1拘束部材40aといい、他方の拘束部材40を第2拘束部材40bという。また、第2コイルエンド322に取り付けられた2つの拘束部材40のうち、一方の拘束部材40を第3拘束部材40cといい、他方の拘束部材40を第4拘束部材40dという。
【0020】
図3に示すように、拘束部材40は、コイルエンド32を拘束する環状の拘束部41を有している。本実施形態の拘束部41は、コイルエンド32に糸400が巻きつけられることによって形成されている。また、拘束部材40は、拘束部41から延出する延出部42を有している。本実施形態の拘束部材40では、拘束部41から2本の延出部42が延出している。2本の延出部42のうち、一方の延出部42は、ヨーク21の径方向における拘束部41の内側端部から延出する内側延出部42aである。また、2本の延出部42のうち、他方の延出部42は、ヨーク21の径方向における拘束部41の外側端部から延出する外側延出部42bである。
【0021】
図2に示すように、第1拘束部材40aの拘束部41は、ヨーク21の周方向における第1コイルエンド321の第1端部321aを拘束している。第1拘束部材40aの内側延出部42aは、拘束部41からヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の一方側に向かって延出している。第1拘束部材40aの外側延出部42bは、拘束部41からヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の一方側に向かって延出している。
【0022】
第2拘束部材40bの拘束部41は、ヨーク21の周方向における第1コイルエンド321の第2端部321bを拘束している。第2拘束部材40bの内側延出部42aは、拘束部41からヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の他方側に向かって延出している。第2拘束部材40bの外側延出部42bは、拘束部41からヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の他方側に向かって延出している。
【0023】
第3拘束部材40cの拘束部41は、ヨーク21の周方向における第2コイルエンド322の第1端部322aを拘束している。第3拘束部材40cの内側延出部42aは、拘束部41からヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の一方側に向かって延出している。第3拘束部材40cの外側延出部42bは、拘束部41からヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の一方側に向かって延出している。
【0024】
第4拘束部材40dの拘束部41は、ヨーク21の周方向における第2コイルエンド322の第2端部322bを拘束している。第4拘束部材40dの内側延出部42aは、拘束部41からヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の他方側に向かって延出している。第4拘束部材40dの外側延出部42bは、拘束部41からヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の他方側に向かって延出している。
【0025】
ステータ10は、ステータコア12及びコイル13を樹脂モールドするモールド樹脂50を備えている。
モールド樹脂50は、ヨーク21の軸方向におけるステータコア12の第1端面12aを覆う円環状の第1樹脂部51を有している。コイル13の第1コイルエンド321、第1拘束部材40a、及び第2拘束部材40bは、第1樹脂部51内に位置している。第1樹脂部51は、第1コイルエンド321とティース22との間に介在している。
【0026】
モールド樹脂50は、ヨーク21の軸方向におけるステータコア12の第2端面12bを覆う円環状の第2樹脂部52を有している。コイル13の第2コイルエンド322、第3拘束部材40c、及び第4拘束部材40dは、第2樹脂部52内に位置している。第2樹脂部52は、第2コイルエンド322とティース22との間に介在している。
【0027】
モールド樹脂50は、ヨーク21の周方向に隣り合うティース22の間に設けられた第3樹脂部53を有している。コイル13の主部31は、第3樹脂部53内に位置している。第3樹脂部53は、主部31とティース22との間に介在している。したがって、モールド樹脂50は、コイル13とティース22との間に介在している。第1樹脂部51、第2樹脂部52、及び第3樹脂部53は、一体成形されている。
【0028】
<ステータの製造方法>
次に、ステータ10の製造方法について説明する。
まず、導線130を環状に巻回することによってコイル13を形成する。次に、ステータコア12の各ティース22をコイル13に挿入する。次に、各コイル13に拘束部材40を取り付ける。
【0029】
具体的には、第1コイルエンド321の第1端部321aに糸400を巻きつけることより、第1拘束部材40aの拘束部41を形成する。これにより、第1コイルエンド321の第1端部321aは、第1拘束部材40aの拘束部41によって拘束される。
【0030】
第1コイルエンド321の第2端部321bに糸400を巻きつけることにより、第2拘束部材40bの拘束部41を形成する。これにより、第1コイルエンド321の第2端部321bは、第2拘束部材40bの拘束部41によって拘束される。
【0031】
第2コイルエンド322の第1端部322aに糸400を巻きつけることにより、第3拘束部材40cの拘束部41を形成する。これにより、第2コイルエンド322の第1端部322aは、第3拘束部材40cの拘束部41によって拘束される。
【0032】
第2コイルエンド322の第2端部322bに糸400を巻きつけることにより、第4拘束部材40dの拘束部41を形成する。これにより、第2コイルエンド322の第2端部322bは、第4拘束部材40dの拘束部41によって拘束される。
【0033】
上述したコイルエンド32に対する糸400の巻き付け作業において、糸400の両端部は、コイルエンド32に巻きつけない。糸400の一端側の部位をヨーク21の径方向における拘束部41の内側端部から引き出すことにより、内側延出部42aを形成する。また、糸400の他端側の部位をヨーク21の径方向における拘束部41の外側端部から引き出すことにより、外側延出部42bを形成する。
【0034】
図4に示すように、ステータコア12及びコイル13の樹脂モールドには、モールド型60が用いられる。モールド型60は、下型61及び上型62によって構成されている。下型61は、円板状の底壁63と、底壁63の外周縁から円筒状に延びる周壁64とを有する有底円筒状である。下型61は、底壁63の内面の中央部から突出する円柱部65を有している。上型62は、円板状である。上型62は、下型61の開口61aを閉塞可能である。
【0035】
下型61の底壁63及び上型62にはそれぞれ、拘束部材40の延出部42が挿通される複数の貫通孔66が形成されている。上型62には、モールド型60内に樹脂を注入するための図示しない注入口が形成されている。下型61の底壁63及び上型62にはそれぞれ、モールド型60内に充填された樹脂が貫通孔66を区画する面と延出部42との隙間からモールド型60外に流出しないようにシールする図示しないシール部材が設けられている。
【0036】
図5~
図7に示すように、ステータコア12と、コイルエンド32が拘束部材40によって拘束されたコイル13とをモールド型60内に配置する。具体的には、ヨーク21の軸方向が下型61の軸方向と一致するようにステータコア12を下型61内に収容する。ステータコア12の第2端面12bは、底壁63の内面と対向する。ヨーク21の外周面は、周壁64の内周面と対向する。各ティース22の先端面は、円柱部65の外周面と対向する。
【0037】
このとき、第3拘束部材40cの内側延出部42aは、下型61の貫通孔66に挿通されることによって、下型61外に引き出される。第3拘束部材40cの外側延出部42bは、下型61の貫通孔66に挿通されることによって、下型61外に引き出される。第4拘束部材40dの内側延出部42aは、下型61の貫通孔66に挿通されることによって、下型61外に引き出される。第4拘束部材40dの外側延出部42bは、下型61の貫通孔66に挿通されることによって、下型61外に引き出される。
【0038】
その後、上型62によって、下型61の開口61aを閉塞する。ステータコア12の第1端面12aは、上型62の内面と対向する。
このとき、
図5、
図6、及び
図8に示すように、第1拘束部材40aの内側延出部42aは、上型62の貫通孔66に挿通されることによって、上型62外に引き出される。第1拘束部材40aの外側延出部42bは、上型62の貫通孔66に挿通されることによって、上型62外に引き出される。第2拘束部材40bの内側延出部42aは、上型62の貫通孔66に挿通されることによって、上型62外に引き出される。第2拘束部材40bの外側延出部42bは、上型62の貫通孔66に挿通されることによって、上型62外に引き出される。
【0039】
これにより、ステータコア12と、コイル13と、拘束部材40の拘束部41及び延出部42の一部は、モールド型60内に配置された状態となる。また、拘束部材40の延出部42の一部は、モールド型60外に引き出された状態となる。
【0040】
次に、モールド型60外に引き出された延出部42をモールド型60外に配置された固定部材70に固定する。このとき、延出部42を所定の方向に引っ張りながら固定部材70に固定する。これにより、延出部42には張力が付与される。
【0041】
具体的には、第1拘束部材40aの内側延出部42aは、ヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の一方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。第1拘束部材40aの外側延出部42bは、ヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の一方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。
【0042】
第2拘束部材40bの内側延出部42aは、ヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の他方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。第2拘束部材40bの外側延出部42bは、ヨーク21の軸方向の一方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の他方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。
【0043】
第3拘束部材40cの内側延出部42aは、ヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の一方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。第3拘束部材40cの外側延出部42bは、ヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の一方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。
【0044】
第4拘束部材40dの内側延出部42aは、ヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の内側、かつヨーク21の周方向の他方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。第4拘束部材40dの外側延出部42bは、ヨーク21の軸方向の他方側、かつヨーク21の径方向の外側、かつヨーク21の周方向の他方側に引っ張られながら、固定部材70に固定される。
【0045】
コイル13は、第1拘束部材40a及び第2拘束部材40bによって、ヨーク21の軸方向の一方側に引っ張られる。これにより、ヨーク21の軸方向においてティース22と第1コイルエンド321との間には隙間Sが設けられる。また、コイル13は、第3拘束部材40c及び第4拘束部材40dによって、ヨーク21の軸方向の他方側に引っ張られる。これにより、ヨーク21の軸方向においてティース22と第2コイルエンド322との間には隙間Sが設けられる。さらに、第1拘束部材40a及び第2拘束部材40bがコイル13をヨーク21の軸方向の一方側に引っ張る力と、第3拘束部材40c及び第4拘束部材40dがコイル13をヨーク21の軸方向の他方側に引っ張る力とは、同じ大きさに設定される。したがって、ヨーク21の軸方向においてティース22に対するコイル13の位置が固定される。
【0046】
コイル13は、第1拘束部材40a及び第3拘束部材40cによって、ヨーク21の周方向の一方側に引っ張られる。これにより、ヨーク21の周方向においてティース22と一方の主部31との間には隙間Sが設けられる。また、コイル13は、第2拘束部材40b及び第4拘束部材40dによって、ヨーク21の周方向の他方側に引っ張られる。したがって、ヨーク21の周方向においてティース22と他方の主部31との間には隙間Sが設けられる。さらに、第1拘束部材40a及び第3拘束部材40cがコイル13をヨーク21の周方向の一方側に引っ張る力と、第2拘束部材40b及び第4拘束部材40dがコイル13をヨーク21の周方向の他方側に引っ張る力とは、同じ大きさに設定される。したがって、ヨーク21の周方向においてティース22に対するコイル13の位置が固定される。
【0047】
コイル13は、第1~第4拘束部材40a~40dの内側延出部42aによって、ヨーク21の径方向の内側に引っ張られる。また、コイル13は、第1~第4拘束部材40a~40dの外側延出部42bによって、ヨーク21の径方向の外側に引っ張られる。第1~第4拘束部材40a~40dの内側延出部42aがコイル13をヨーク21の径方向の内側に引っ張る力と、第1~第4拘束部材40a~40dの外側延出部42bがコイル13をヨーク21の径方向の外側に引っ張る力は、同じ大きさに設定される。したがって、ヨーク21の径方向においてティース22に対するコイル13の位置が固定される。
【0048】
つまり、拘束部材40が固定部材70に固定されることにより、コイル13とティース22との間に隙間Sが設けられた状態で、ヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置が固定される。
【0049】
次に、ティース22に対するコイル13の位置を固定した状態で、モールド型60の注入口からモールド型60内に樹脂を注入する。このとき、ティース22とコイル13との間には隙間Sが設けられているため、注入された樹脂は、ティース22とコイル13との間にも充填される。そして、モールド型60内に充填された樹脂が硬化することにより、ステータコア12及びコイル13は樹脂モールドされる。つまり、モールド型60内に充填された樹脂がモールド樹脂50となる。
【0050】
詳しくは、モールド型60内に注入された樹脂は、底壁63の内面と、ステータコア12の第2端面12bと、周壁64の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填される。このとき、ティース22と第2コイルエンド322との間には隙間Sが設けられているため、ティース22と第2コイルエンド322との間にも樹脂が充填される。そして、底壁63の内面と、ステータコア12の第2端面12bと、周壁64の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填された樹脂が硬化することにより、第2樹脂部52が形成される。
【0051】
モールド型60内に注入された樹脂は、ヨーク21の周方向に隣り合うティース22と、ヨーク21の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填される。このとき、ティース22と主部31との間には隙間Sが設けられているため、ティース22と主部31との間にも樹脂が充填される。そして、ヨーク21の周方向に隣り合うティース22と、ヨーク21の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填された樹脂が硬化することにより、第3樹脂部53が形成される。
【0052】
モールド型60内に注入された樹脂は、上型62の内面と、ステータコア12の第1端面12aと、周壁64の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填される。このとき、ティース22と第1コイルエンド321との間には隙間Sが設けられているため、ティース22と第1コイルエンド321との間にも樹脂が充填される。そして、上型62の内面と、ステータコア12の第1端面12aと、周壁64の内周面と、円柱部65の外周面とによって区画された空間に充填された樹脂が硬化することにより、第1樹脂部51が形成される。
【0053】
拘束部材40の拘束部41及び延出部42のうちモールド型60内に位置する部分は、ステータコア12及びコイル13とともにモールド樹脂50によって樹脂モールドされる。一方、拘束部材40の延出部42のうちモールド型60外に引き出されていた部分は、樹脂モールドされない。
【0054】
次に、モールド型60からモールド樹脂50によって樹脂モールドされたステータコア12及びコイル13を取り出す。延出部42における樹脂モールドされていない部分は、モールド樹脂50から飛び出している。延出部42におけるモールド樹脂50から飛び出した部分が切り落とされることにより、ステータ10が完成する。
【0055】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)コイルエンド32を拘束する拘束部材40をステータコア12とは別部材である固定部材70に固定することにより、コイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の周方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定する。このように拘束部材40の固定先をステータコア12とは別の部材にすることにより、従来技術のようにティース22に溝を設けなくても、ヨーク21の周方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定することができる。したがって、ステータ10の磁気特性を低下させることなく、ヨーク21の周方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定することができる。
【0056】
(2)本実施形態では、拘束部材40を固定部材70に固定することにより、コイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の軸方向及び径方向においてもティース22に対するコイル13の位置を固定する。つまり、拘束部材40を固定部材70に固定することにより、コイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の周方向、軸方向、及び径方向の3方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定する。したがって、従来技術の部分モールド部のような別部材を設けなくても、ヨーク21の軸方向及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定することができる。
【0057】
(3)本実施形態では、拘束部材40は、糸400である。拘束部材40は、コイルエンド32を拘束する拘束部41と、拘束部41から延出する延出部42とを有している。ステータコア12及びコイル13をモールド型60内に配置する際、モールド型60に設けられた貫通孔66に延出部42を挿通することによって、モールド型60外に延出部42を引き出す。そして、モールド型60外に引き出された延出部42をモールド型60外に設けられた固定部材70に固定するとともに張力を付与する。これにより、コイル13とティース22との間に隙間Sが設けられた状態でヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置が固定される。
【0058】
この場合、例えば、拘束部材40をモールド型60内においてモールド型60に固定する場合、すなわち固定部材70がモールド型60である場合と比較して、固定部材70に対する拘束部材40の固定作業を行いやすい。
【0059】
(4)本実施形態では、第1拘束部材40aによって、第1コイルエンド321の第1端部321aを拘束する。第2拘束部材40bによって、第1コイルエンド321の第2端部321bを拘束する。第3拘束部材40cによって、第2コイルエンド322の第1端部322aを拘束する。第4拘束部材40dによって、第2コイルエンド322の第2端部322bを拘束する。第1拘束部材40a及び第2拘束部材40bの延出部42には、ヨーク21の軸方向の一方側への張力を付与する。第3拘束部材40c及び第4拘束部材40dの延出部42には、ヨーク21の軸方向の他方側への張力を付与する。
【0060】
この方法によれば、例えば、拘束部材40によってヨーク21の周方向における各コイルエンド32の中央部を拘束する場合と比較して、延出部42に張力を付与した際、一対の主部31同士が近づくようなコイル13の変形が生じにくい。したがって、ヨーク21の周方向においてコイル13の主部31とティース22との間の隙間Sを確保しやすい。
【0061】
(5)ステータコア12及びコイル13をモールドする方法として、例えば、コイル13のみを樹脂モールドした後で、樹脂モールドされたコイル13とステータコア12とを再度樹脂モールドする方法が考えられる。この場合、コイル13のみを樹脂モールドするモールド樹脂と、樹脂モールドされたコイル13とステータコア12とを樹脂モールドするモールド樹脂との間に継ぎ目が生じるため、強度が低下する。また、樹脂モールドを2回に分けて行う必要があるため、生産性が低下する。これに対し、本実施形態では、モールド樹脂50には継ぎ目が生じないため、強度の低下を回避できる。また、1回のモールドで済むため、生産性を向上できる。
【0062】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0063】
○ 上記実施形態では、1つのコイルエンド32に対して、2つの拘束部材40が取り付けられていたが、これに限定されない。1つのコイルエンド32に対して、1つの拘束部材40が取り付けられていてもよいし、3つ以上の拘束部材40が取り付けられていてもよい。
【0064】
○ 上記実施形態では、拘束部41から延出する延出部42の本数は、2本であったが、これに限定されない。拘束部41から延出する延出部42の本数は、1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0065】
○ 上記実施形態では、拘束部材40を固定部材70に固定することにより、コイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の周方向、軸方向、及び径方向の3方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定していたが、これに限定されない。
【0066】
例えば、コイル13に従来技術の部分モールド部を設けるとともに部分モールド部とティース22とを嵌め合わせることによって、ヨーク21の軸方向及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定してもよい。この場合、拘束部材40を固定部材70に固定することにより、ヨーク21の周方向のみにおいてティース22に対するコイル13の位置を固定すればよい。つまり、拘束部材40とは別部材により、ティース22に対するコイル13の軸方向及び径方向の位置の固定を行う場合、拘束部材40は、ティース22に対するコイル13の周方向の位置の固定のみを行ってもよい。
【0067】
○ 例えば、次のようにしてコイル13とティース22との間に隙間Sを設けた状態でヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定してもよい。
【0068】
まず、各コイルエンド32に対して1つの拘束部材40を取り付ける。各拘束部材40の拘束部41は、ヨーク21の周方向におけるコイルエンド32の中央部を拘束する。また、拘束部41から1本の延出部42を延出させる。そして、第1コイルエンド321を拘束する拘束部材40の延出部42をヨーク21の軸方向の一方側に引っ張りながら固定部材70に固定する。また、第2コイルエンド322を拘束する拘束部材40の延出部42をヨーク21の軸方向の他方側に引っ張りながら固定部材70に固定する。このとき、各延出部42には、拘束部材40がヨーク21の周方向及び径方向に移動しない程度の張力が付与される。この場合、延出部42をヨーク21の周方向及び径方向に引っ張らなくても、ヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向においてティース22に対するコイル13の位置を固定できる。
【0069】
○ 拘束部材40は、紐状でなくてもよい。例えば、拘束部材40は、剛体であってもよい。この場合、拘束部材40は、モールド型60に固定されてもよい。つまり、モールド型60が、拘束部材40が固定される固定部材であってもよい。具体的には、拘束部材40及びモールド型60のうちの一方に設けられたピンが、拘束部材40及びモールド型60のうちの他方に設けられた孔に挿入されることによって、拘束部材40はモールド型60に固定される。拘束部材40が剛体である場合、拘束部材40は、ヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向に変形したり移動したりしない。したがって、拘束部材40によって拘束されたコイル13は、ヨーク21の軸方向、周方向、及び径方向においてティース22に対する位置が固定される。
【0070】
なお、剛体である拘束部材40は、上記実施形態のように、モールド型60外に配置された固定部材70に固定されてもよい。固定部材70は、ステータコア12とは別部材であればよい。
【0071】
○ 上記実施形態では、拘束部41、内側延出部42a、及び外側延出部42bは、1本の糸400によって構成されていたが、拘束部41を構成する糸、内側延出部42aを構成する糸、及び外側延出部42bを構成する糸は、それぞれ別の糸であってもよい。
【0072】
○ 上記実施形態では、ティース22をコイル13に挿入した後で、コイルエンド32に拘束部材40を取り付けていたが、コイル13を形成した際にコイルエンド32に拘束部材40を取り付けてもよい。つまり、ティース22をコイル13に挿入する前に、コイルエンド32に拘束部材40を取り付けてもよい。
【0073】
○ 上記実施形態では、モールド型60から引き出された延出部42は、所定の方向に引っ張られながら固定部材70に固定されていたが、これに限定されない。例えば、モールド型60から引き出された延出部42を固定部材70に固定した後で、固定部材70を所定の方向に移動させることによって、延出部42に張力を付与してもよい。
【0074】
[付記]
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記拘束部材は、紐状であり、前記拘束部材は、前記コイルエンドを拘束する拘束部と、前記拘束部から延びる延出部とを有し、前記ステータコア及び前記コイルを前記モールド型内に配置する際、前記モールド型に設けられた貫通孔に前記延出部を挿通することによって前記延出部を前記モールド型外に引き出し、前記モールド型外に引き出された前記延出部を前記モールド型外に配置された前記固定部材に固定するとともに前記延出部に張力を付与することによって、前記コイルと前記ティースとの間に前記隙間を設けた状態で前記ティースに対する前記コイルの前記周方向の位置を固定する請求項1に記載のステータの製造方法。
【0075】
上記方法によれば、上記実施形態の効果(3)と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0076】
10…ステータ、12…ステータコア、13…コイル、21…ヨーク、22…ティース、31…主部、32…コイルエンド、40…拘束部材、40a…第1拘束部材、40b…第2拘束部材、40c…第3拘束部材、40d…第4拘束部材、41…拘束部、42…延出部、50…モールド樹脂、60…モールド型、66…貫通孔、70…固定部材、321…第1コイルエンド、321a…第1端部、321b…第2端部、322…第2コイルエンド、322a…第1端部、322b…第2端部、S…隙間。