(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165909
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電子レンジ用調理器具及び電子レンジ
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
F24C7/02 551B
F24C7/02 511N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082495
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雅一
(72)【発明者】
【氏名】坂口 洋一
(72)【発明者】
【氏名】椋田 朋訓
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 歩
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086BF01
3L086BF06
3L086BF08
3L086DA16
(57)【要約】
【課題】調理物の加熱性を向上しつつ、容器を配置するためのレール部の損傷を抑制する。
【解決手段】電子レンジ用調理器具40は、樹脂以外の非金属製で、マイクロ波を透過可能なトレイ本体42と、電子レンジ本体10の加熱室12の底面と間隔をあけて位置するように、トレイ本体42の下側に容器50を着脱可能に支持する一対のレール部45を有し、トレイ本体42を載置するようにトレイ本体42に取り付けられた樹脂製のカバー43と備え、加熱室12の両側壁から突出した一対のガイドレール17に着脱可能に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂以外の非金属製で、マイクロ波を透過可能なトレイ本体と、
電子レンジ本体の加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記トレイ本体の下側に容器を着脱可能に支持する一対のレール部を有し、前記トレイ本体に取り付けられた樹脂製のカバーと
を備え、前記加熱室の両側壁から突出した一対のガイドレールに着脱可能に配置される、電子レンジ用調理器具。
【請求項2】
前記カバーは、前記一対のガイドレールに載置するための一対の載置部を有する、請求項1に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項3】
前記レール部は、前記容器のフランジ部を位置決めするための位置決め部を有する、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項4】
前記位置決め部は下向きに窪む凹部によって構成されている、請求項3に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項5】
前記トレイ本体は、底壁と、前記底壁の外周から上向きに突出した外周壁と、前記外周壁の対向する壁部から外向きに突出して前記底壁に沿って延びる一対の突出部と、前記一対の突出部にそれぞれ設けられた貫通部とを有し、
前記貫通部の縁への当接によって前記トレイ本体からの前記カバーの離脱を防ぐための抜止部を更に備える、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項6】
前記カバーは、前記トレイ本体の前記底壁の下側に配置された底壁部と、前記貫通部の上側を覆うように設けられた板部とを有し、
前記底壁部には、前記貫通部の下側に位置する差込孔が設けられ、
前記板部には、前記貫通部の上側に位置するように係止孔が設けられており、
前記抜止部は、前記トレイ本体及び前記カバーとは別体の抜止部材によって構成され、
前記抜止部材は、前記差込孔及び前記貫通部を貫通して前記係止孔の縁に係止する、請求項5に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項7】
前記カバーは、前記加熱室の上部に配置されたヒータに対向する上部に、前記カバーとは別体の保護部材が配置されており、
前記保護部材は、前記カバーよりも耐熱性が高い樹脂によって成形されている、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項8】
前記カバーは、前記トレイ本体の両側にそれぞれ取り付けられ、前記レール部がそれぞれ形成された一対の分割体によって構成されており、
前記トレイ本体の底面のうち、前記一対の分割体がそれぞれ備える前記レール部間に位置する部分が露出している、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項9】
ガイドレールが設けられた加熱室を有する電子レンジ本体と、
樹脂以外の非金属製で、マイクロ波を透過可能なトレイ本体と、前記トレイ本体に取り付けられた樹脂製のカバーとを有し、前記ガイドレールに着脱可能に配置される電子レンジ用調理器具と
を備え、
前記カバーは、前記加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記トレイ本体の下側に容器を着脱可能に支持する一対のレール部を有する、電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ用調理器具及び電子レンジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に開示された電子レンジ用調理器具は、加熱室に着脱可能に配置されるトレイと、トレイに形成されたレール部に着脱可能に配置される容器とを備える。容器は、加熱室の底面上に間隔をあけて位置するように、トレイのレール部に吊り下げられる。特許文献1には、一例として金属等のマイクロ波反射体によって形成されたトレイが記載されている。特許文献2には、調理物の加熱性を向上するために、セラミック等のマイクロ波透過体によって形成されたトレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-110758号
【特許文献2】特願2022-080718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレイは、特許文献1のように金属等のマイクロ波反射体で成形するよりも、特許文献2のようにセラミック等のマイクロ波透過体で成形する方が、調理物の加熱性を向上できる点で好ましい。しかし、セラミック等で成形されたトレイは、金属等で成形されたトレイよりも耐衝撃性が低いため、落下等によってレール部に衝撃が加わると、レール部が損傷する可能性がある。
【0005】
本発明は、調理物の加熱性を向上しつつ、容器を配置するためのレール部の損傷を抑制できる電子レンジ用調理器具及び電子レンジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、樹脂以外の非金属製で、マイクロ波を透過可能なトレイ本体と、電子レンジ本体の加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記トレイ本体の下側に容器を着脱可能に支持する一対のレール部を有し、前記トレイ本体に取り付けられた樹脂製のカバーとを備え、前記加熱室の両側壁から突出した一対のガイドレールに着脱可能に配置される、電子レンジ用調理器具を提供する。
【0007】
電子レンジ本体の加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、容器を着脱可能に支持する一対のレール部を有するカバーが、樹脂によって形成され、マイクロ波を透過可能なトレイ本体に取り付けられている。トレイ本体がマイクロ波を透過可能なため、調理物の加熱性を向上できる。レール部は、熱伝導率が高い樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)よりも耐衝撃性が高い樹脂製であるため、落下等によって衝撃が加わっても簡単に損傷することはない。
【0008】
前記カバーは、前記一対のガイドレールに載置するための一対の載置部を有する。この構成により、金属製のガイドレール上に樹脂製の載置部が載置されることになるため、加熱室に電子レンジ用調理器具を出し入れするとき、ガイドレールと載置部が擦れたり干渉したりすることに伴う不快な音鳴りを防止できる。
【0009】
前記レール部は、前記容器のフランジ部を位置決めするための位置決め部を有する。レール部は、樹脂製であるため、樹脂以外の非金属製(例えばセラミックス製)と比較して位置決め部を高精度に形成できる。この構成により、電子レンジ用調理器具を介して容器を加熱室内の適切な位置に配置できる。また、容器には適切な配置を維持するために滑り止め用のパッキンが不要になるため、製造コストを低減できるうえ、洗浄時の紛失及び付け忘れ等の不都合が生じることを防止できる。
【0010】
前記位置決め部は下向きに窪む凹部によって構成されている。この構成により、電子レンジ用調理器具を介して容器を簡単かつ確実に加熱室内の適切な位置に配置できる。
【0011】
前記トレイ本体は、底壁と、前記底壁の外周から上向きに突出した外周壁と、前記外周壁の対向する壁部から外向きに突出して前記底壁に沿って延びる一対の突出部と、前記一対の突出部にそれぞれ設けられた貫通部とを有し、前記貫通部の縁への当接によって前記トレイ本体からの前記カバーの離脱を防ぐための抜止部を更に備える。この構成により、トレイ本体とは別体のカバーを確実に取り付けることができる。樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)は、樹脂と比較して公差が大きくて割れ易いが、抜止部を貫通部の縁に当接させる構成であれば、比較的簡素な構造で確実に取付状態を維持できる。
【0012】
前記カバーは、前記トレイ本体の前記底壁の下側に配置された底壁部と、前記貫通部の上側を覆うように設けられた板部とを有し、前記底壁部には、前記貫通部の下側に位置する差込孔が設けられ、前記板部には、前記貫通部の上側に位置するように係止孔が設けられており、前記抜止部は、前記トレイ本体及び前記カバーとは別体の抜止部材によって構成され、前記抜止部材は、前記差込孔及び前記貫通部を貫通して前記係止孔の縁に係止する。この構成により、抜止部材が樹脂製のカバーの差込孔の縁と係止孔の縁に係止するため、非金属製(例えばセラミックス)のトレイ本体に過度な負荷が加わることを抑制できる。よって、トレイ本体の損傷を効果的に抑制できる。
【0013】
前記カバーは、前記加熱室の上部に配置されたヒータに対向する上部に、前記カバーとは別体の保護部材が配置されており、前記保護部材は、前記カバーよりも耐熱性が高い樹脂によって成形されている。この構成により、加熱室の上部に配置されたヒータの熱によるカバーの溶損を抑制できる。その結果、トレイ本体をヒータに近づけて配置することも可能になるため、調理物の加熱性を向上できる。また、カバー全体を耐熱性が高い樹脂によって成形する場合と比較して製造コストを低減できる。
【0014】
前記カバーは、前記トレイ本体の両側にそれぞれ取り付けられ、前記レール部がそれぞれ形成された一対の分割体によって構成されており、前記トレイ本体の底面のうち、前記一対の分割体がそれぞれ備える前記レール部間に位置する部分が露出している。この構成により、カバーの成形に必要な樹脂量を低減できる。また、トレイ本体の底面のうち、一対の分割体がそれぞれ備えるレール部間に位置する部分が露出している。この構成により、マイクロ波の透過性を向上できるため、調理物の加熱性を向上できる。
【0015】
本発明の他の態様は、ガイドレールが設けられた加熱室を有する電子レンジ本体と、樹脂以外の非金属製で、マイクロ波を透過可能なトレイ本体と、前記トレイ本体に取り付けられた樹脂製のカバーとを有し、前記ガイドレールに着脱可能に配置される電子レンジ用調理器具とを備え、前記カバーは、前記加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記トレイ本体の下側に容器を着脱可能に支持する一対のレール部を有する、電子レンジを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、調理物の加熱性を向上しつつ、容器を配置するためのレール部の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子レンジの分解斜視図。
【
図2】電子レンジ本体内に調理器具を配置して
図1のII-II線で一部を破断した電子レンジの断面図。
【
図6】組み付けた調理器具における
図4のVI-VI線断面図。
【
図7】組み付けた調理器具における
図4のVII-VII線断面図。
【
図8】組み付けた調理器具における
図4のVIII-VIII線断面図。
【
図9】第2実施形態の調理器具の一部を拡大した分解斜視図。
【
図10】第2実施形態の調理器具の
図6と同様の断面図。
【
図11】第3実施形態の調理器具の一部を拡大した分解斜視図。
【
図12】第3実施形態の調理器具の
図6と同様の断面図。
【
図13】第4実施形態の調理器具の一部を拡大した分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具(以下「調理器具」と言う。)40を用いた電子レンジ1を示す。添付図面におけるX方向は電子レンジ1の幅方向であり、矢印で示す向きが左側で、矢印とは逆向きが右側である。Y方向は電子レンジ1の前後方向であり、矢印で示す向きが後側で、矢印とは逆向きが前側である。Z方向は電子レンジ1の高さ方向であり、矢印で示す向きが上側で、矢印とは逆向きが下側である。
【0020】
図1及び
図2を参照すると、電子レンジ1は、電子レンジ本体10と、電子レンジ本体10に開閉可能に取り付けられた扉20とを備える。電子レンジ本体10には、加熱室12が設けられ、マグネトロン(マイクロ波源)30、ヒータ32、及び制御部(図示せず)が配置されている。制御部は、操作パネルの操作によって設定された加熱処理を実行し、加熱室12内の調理物を加熱する。
【0021】
調理器具40は、
図1及び
図2に示す電子レンジ1の専用付属品であり、加熱室12内に着脱可能に配置されるトレイ41と、トレイ41に着脱可能に配置される容器50とを備える。そのうち、トレイ41はトレイ本体42とカバー43によって構成されており、これらはいずれもマイクロ波を透過可能な非金属製である。トレイ本体42は、カバー43よりも熱伝導率が高く耐衝撃性が低い材料によって成形されている。カバー43は、容器50を吊り下げた状態に支持する一対のレール部45を備え、トレイ本体42よりも熱伝導率が低く耐衝撃性が高い材料によって成形されている。これにより、調理物の加熱性向上と容器50を支持するレール部45の損傷抑制を図っている。
【0022】
以下、
図1及び
図2を参照して、電子レンジ1の概要を説明する。
【0023】
電子レンジ本体10は、筐体11内に加熱室12を備える。加熱室12は、前側が開口となっている直方体状の空間であり、底壁13、天壁14、一対の側壁15、後壁16、及び扉20によって画定されている。底壁13は、マイクロ波透過体であるセラミック、ガラス、又は樹脂等によって形成されている。天壁14、一対の側壁15、及び後壁16は、いずれもマイクロ波反射体である金属板によって形成されている。
【0024】
一対の側壁15には、トレイ41を配置するためのガイドレール17,18がそれぞれ設けられている。そのうち、上側ガイドレール17は、加熱室12の全高の中央よりも上側の領域に設けられ、下側ガイドレール18は、加熱室12の全高の中央よりも下側の領域に設けられている。ガイドレール17,18は、いずれもプレス加工によって直角三角形状をなすように側壁15の一部を加熱室12内に突出させ、前後方向に延びるように設けられている。
【0025】
扉20は、筐体11の前側に取り付けられ、加熱室12の開口を開放可能に塞ぐ。扉20は、マイクロ波反射体である金属製で不透明な枠体21と、加熱室12内を透視可能な窓22とを備える。窓22には、視認性確保のための孔を多数備えるパンチングメタルからなり、マイクロ波を反射可能な反射板(図示せず)が配置されている。本実施形態の扉20は、幅方向に延びる回転軸(図示せず)まわりに回動可能である。但し、扉20は、高さ方向に延びる回転軸まわりに回動可能であってもよく、加熱室12の開口を開閉できる構成であればよい。
【0026】
マグネトロン30は、筐体11と加熱室12の間に配置され、加熱室12内の底壁13上、トレイ41上、又は容器50内の調理物をマイクロ波によって加熱する。具体的には、加熱室12の底壁13の下面には金属製のダクト(導波管)31が配置され、このダクト31に端部にマグネトロン30が配置されている。マグネトロン30によるマイクロ波は、ダクト31内を通って概ね底壁13全体から加熱室12内に出力される。
【0027】
ヒータ32は、天壁14に近接して配置され、加熱室12内の底壁13上又はトレイ41上の調理物を輻射熱によって加熱する。ヒータ32は、前後方向に間隔をあけて2本配置されており、それぞれ一対の側壁15のうちの一方から他方にかけて幅方向に延びている。但し、ヒータ32は、前後方向の中央に位置するように1本のみ設けられてもよいし、3本以上設けられてもよい。
【0028】
制御部は、例えばマイクロコンピュータからなり、操作パネルの操作によって設定された加熱処理を、予め記憶されたプログラムに従って実行する。加熱処理には、加熱終了までマグネトロン30のみを制御するマイクロ波加熱モード、加熱終了までヒータ32のみを制御するヒータ加熱モード、及びマグネトロン30とヒータ32の両方を制御する複合加熱モードが含まれている。
【0029】
マイクロ波加熱モードには、レンジ及びうきレジが含まれている。レンジは、調理物を加熱室12の底壁13上に配置した状態で行われ、うきレジは、トレイ41を介して調理物を収容した容器50を加熱室12内に配置した状態で行われる。これらの処理では、
図2において右側に位置する側壁15の上側ガイドレール17の外側に配置された赤外線センサ34、及び天壁14と右側壁15と後壁16の角部に配置されたサーミスタ35それぞれの検出結果に基づいて、マグネトロン30を制御する。
【0030】
ヒータ加熱モードには、オーブン及びグリルが含まれている。これらの処理は、調理物を加熱室12内のトレイ41上に配置した状態で行われる。この処理では、赤外線センサ34は用いることなく、サーミスタ35の検出結果のみに基づいて、ヒータ32を制御する。
【0031】
複合加熱モードには、レジグリが含まれている。レジグリは、調理物を加熱室12内のトレイ41上に配置した状態で行われる。この処理では、赤外線センサ34は用いることなく、サーミスタ35の検出結果のみに基づいて、マグネトロン30とヒータ32を制御する。
【0032】
次に、電子レンジ1に用いられる専用の調理器具40について説明する。
【0033】
図2及び
図3を参照すると、調理器具40は、一対の上側ガイドレール17又は一対の下側ガイドレール18に着脱可能に配置されるトレイ41と、トレイ41が備える一対のレール部45に着脱可能に配置される容器50とを備える。
【0034】
トレイ41は、上方から見て矩形状であり、トレイ本体42とカバー43によって構成されている。カバー43は、一対の分割体44によって構成されている。一対の分割体44は、トレイ本体42の両側にそれぞれ取り付けられ、抜止部材(抜止部)46によって取付状態に維持されている。個々の分割体44には、トレイ41を加熱室12の上側ガイドレール17に配置した状態で、加熱室12の底壁(底面)13と間隔をあけて位置するように、容器50を支持するレール部45が設けられている。つまり、一対のレール部45は、一対の分割体44によって構成されたカバー43に一体に設けられており、トレイ本体42とは別体である。
【0035】
容器50は、円形状の底壁部44aと、円錐筒状の側壁部44bとを備える有底筒状で、上端にはレール部45に支持される外径のフランジ部50cを備える。この容器50は、マイクロ波を透過可能なガラスによって成形されている。但し、容器50は、セラミック製又は樹脂製であってもよく、マイクロ波を透過可能な非金属製であればよい。
【0036】
以下、トレイ41を構成するトレイ本体42、カバー43の分割体44、及び抜止部材46について、具体的に説明する。
【0037】
トレイ本体42、分割体44、及び抜止部材46は、いずれもマイクロ波を透過可能な非金属製である。トレイ本体42は、樹脂よりも耐熱性及び熱伝導率は高いが耐衝撃性は低い材料である、セラミックによって成形されている。分割体44と抜止部材46は、セラミックよりも耐衝撃性は高いが熱伝導率は低く耐熱性を有する樹脂である、ガラス繊維配合のPPS(ポリフェニレンサルファイド)によって成形されている。ガラス繊維配合のPPSは、ガラス繊維が配合されていないPPSよりも耐熱性が高い樹脂である。但し、トレイ本体42は、ガラス製であってもよく、マイクロ波を透過可能で樹脂以外の非金属製であればよい。分割体44と抜止部材46は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂製であってもよく、マイクロ波を透過可能で耐衝撃性が高く、250℃以上の耐熱性を有する樹脂製であればよい。
【0038】
図3及び
図4を参照すると、トレイ本体42は、幅方向の寸法が前後方向の寸法よりも大きい長方形状の底壁42aと、底壁42aの外周から上向きに突出した四角筒状の外周壁42bとを備える受皿状である。底壁42a(トレイ本体42の底面)のうち、一対の分割体44がそれぞれ備えるレール部45間に位置する部分は露出している。外周壁42bのうち幅方向に対向する一対の側壁部には、上端から外側へ突出して底壁42aに沿って延びる突出片42cがそれぞれ設けられている。但し、突出片42cは、外周壁42bの高さ方向の中間部分から突出する構成であってもよい。
【0039】
図4、
図5、及び
図8を参照すると、外周壁42bのうち前後方向に対向する一対の壁部(前壁部と後壁部)には、XZ平面に沿って延びる枠壁42dが設けられている。この枠壁42dには、外向きに突出して底壁42aに沿って延びる突出部42eが設けられている。この突出部42eは、一対の第1部分42f、1つの第2部分42g、及び一対の第3部分42hよって構成されている。一対の第1部分42fは、枠壁42dの幅方向の両端部分にそれぞれ設けられ、枠壁42dの下端に連なっている。第2部分42gは、一対の第1部分42f間に設けられ、第1部分42fに対して上側に間隔をあけて位置している。一対の第3部分42hはそれぞれ、第1部分42fの幅方向内端と第2部分42gの幅方向外端に連なっている。突出部42eの第1部分42fには、後に詳述する貫通部42iが設けられている。
【0040】
図5、
図6、及び
図8を参照すると、カバー43の分割体44は、底壁部44a、側壁部44b、及び一対の枠壁部44cを備える。底壁部44aは、トレイ本体42の底壁42aの下側に配置されている。この底壁部44aは、上向きに突出して幅方向に延びる複数のリブ44dを備え、隣り合うリブ44d間の断熱空間を隔ててトレイ本体42の底壁42aを載置する。側壁部44bは、底壁部44aの幅方向の外端から上向きに突出し、トレイ本体42の外周壁42bの幅方向外側を覆う。枠壁部44cは、底壁部44aの前後方向の両側からそれぞれ上向きに突出し、トレイ本体42の第1部分42fの外側を覆う。この枠壁部44cは、底壁部44aよりも幅方向内側に突出し、レール部45の幅方向の内端まで延びている。
【0041】
側壁部44bの上端には、幅方向外側へ突出してトレイ本体42の突出片42cの下側に位置し、
図2に示す加熱室12のガイドレール17,18に載置するための載置部44eが設けられている。この載置部44eには枠44fが設けられている。この枠44fの外面は、トレイ本体42の突出片42cの外側縁に対して面一に位置する。また、載置部44eは、上向きに突出して幅方向に延びる一対のリブ44gを備え、リブ44g間の断熱空間を隔ててトレイ本体42の突出片42cを載置する。
【0042】
枠壁部44cの上端には、トレイ本体42の第1部分42fの上方を覆う上壁部44hが設けられている。この枠壁部44cは、分割体44の前後方向の中央側へ突出し、トレイ本体42の枠壁42dまで延びている。また、枠壁部44cの幅方向の内端は、トレイ本体42の第2部分42gの近傍まで延びている。
【0043】
底壁部44aの幅方向の内端には、下向きに突出するように断面L字形状のレール部45が一体に設けられている。レール部45は、底壁部44aから下向きに突出する垂下部45aと、垂下部45aの下端から幅方向内向きに突出する支持部45bとを備える。支持部45bには、
図2に示す加熱室12の中央に容器50を位置決めするための凹部(位置決め部)45cと、この凹部45cに容器50のフランジ部50cを案内するガイド壁45dとが設けられている。
【0044】
図4及び
図5を参照すると、凹部45cは、容器50のフランジ部50cの外径よりも大径の円弧と弦よって囲まれた弓形状で下向きに窪んでいる。凹部45cの半径r1と深さDは、以下のように設定されている。
【0045】
凹部45cの半径r1は、過度に大きくすると
図2に示す加熱室12内への容器50の配置にバラツキが生じる一方、過度に小さくすると製造誤差によって大きく形成された容器50のフランジ部50cの配置が困難になる。これらの不都合を防ぐために、例えばフランジ部50cの半径r2が256mmの場合、凹部45cの半径r1は、259mm以上269mm以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では264mmに設定されている。言い換えれば、フランジ部50cの半径r2に対して凹部45cの半径r1は、101%以上105%以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では103%に設定されている。
【0046】
凹部45cの深さD(
図5参照)は、過度に深くすると容器50の取り外しが困難になる一方、過度に浅くすると容器50の位置決めが困難になる。これらの不都合を防ぐために、例えば容器50のフランジ部50cの厚さT(
図3参照)が6mmの場合、凹部45cの深さDは、1mm以上5mm以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では3mmに設定されている。言い換えれば、フランジ部50cの厚みTに対して凹部45cの深さDは、17%以上83%以下の範囲に設定することが好ましく、本実施形態では50%に設定されている。
【0047】
ガイド壁45dは、板状であり、支持部45bから上向きに突出している。このガイド壁45dは、第1部分45e、第2部分45f、及び第3部分45gによって構成されている。第1部分45eは、凹部45cの後半分の領域に設けられ、凹部45cの縁から突出している。第2部分45fは、第1部分45eの前端に連なり、前後方向に延びている。第3部分45gは、第1部分45eの後端に連なり、支持部45bの内端縁に沿って前後方向に延びている。ガイド壁45dの第2部分45fの上端前側には、幅方向内側に突出して枠壁部44cの下端に連なる板状の補助壁45hが設けられている。
【0048】
図5及び
図7を参照すると、抜止部材46は、トレイ本体42からの分割体44の離脱を防ぐために設けられている。この抜止部材46によってトレイ本体42への分割体44の取付状態を維持するために、トレイ本体42には貫通部42iを備える突出部42eが設けられ、カバー43の分割体44には差込孔44iと係止孔44kが設けられている。
【0049】
抜止部材46は、四角形状の基部46aと、基部46aの前後両側から上向きに突出した一対の側部46bと、基部46aから幅方向に間隔をあけて上向きに突出した一対の係止片46cとを備える。一対の側部46bは、一対の係止片46cの間を前後方向に延びる連続部46dを介して連続している。係止片46cは、弾性的に変形可能であり、上端に幅方向外向きに突出する係止爪46eを備える。
【0050】
トレイ本体42の貫通部42iは、突出部42eの第1部分42fに設けられ、第1部分42fを高さ方向に貫通している。この貫通部42iは、前後方向の外端から外周壁42bに向けて延びる切り欠きによって構成されている。貫通部42iの幅方向の寸法は、抜止部材46の幅方向の寸法よりも大きい。より具体的には、貫通部42iの幅は、貫通部42iの製造誤差を考慮したうえで、貫通部42iの縁と抜止部材46の間に、抜止部材46を差込可能な範囲で可能な限り小さい隙間が確保される寸法で形成されている。
【0051】
分割体44の差込孔44iは、トレイ本体42の底壁42aの下側に分割体44の底壁部44aを配置し、トレイ本体42の突出片42cの下側に分割体44の載置部44eを配置した状態で、貫通部42iの下側に位置するように底壁部44aに設けられている。この差込孔44iは、抜止部材46の基部46aよりも一回り大きい四角形状である。差込孔44iの孔縁と基部46aの間には、抜止部材46を差込可能な範囲で可能な限り小さい隙間が確保されている。
【0052】
図5、
図7、及び
図8を参照すると、分割体44の係止孔44kは、差込孔44i(貫通部42i)の上側に覆うように枠壁部44cに設けられた板部44jに形成されている。係止孔44kの幅方向の寸法は、一対の係止片46cの最大幅と概ね同一であり、一対の係止爪46eの最大幅よりも小さい。板部44jには、枠壁部44cと上壁部44hに連なる複数のリブ44mが設けられている。
【0053】
このように構成された一対の分割体44は、底壁42aの下側に底壁部44aが位置し、突出片42cの下側に載置部44eが位置するように、トレイ本体42に幅方向外側から差し込んで配置される。これにより、トレイ本体42の貫通部42iの上下に、分割体44の差込孔44iと係止孔44kが位置する。この状態で、分割体44とは別体の抜止部材46を差込孔44iに差し込む。これにより、抜止部材46の側部46bと係止片46cが、トレイ本体42の貫通部42iと分割体44の係止孔44kを貫通し、係止片46cの係止爪46eが係止孔44kの上縁に係止する。これにより、公差が大きくなりがちなトレイ本体42に、一対の分割体44からなるカバー43を確実に取り付けることができる。また、幅方向外側に移動する力が分割体44に加わると、抜止部材46がトレイ本体42の貫通部42iの縁に当接することによって、トレイ本体42から分割体44が離脱することを確実に防止できる。
【0054】
このように構成されたトレイ41(調理器具40)は、以下の特徴を有する。
【0055】
電子レンジ本体10の加熱室12の底面と間隔をあけて位置するように、容器50を着脱可能に支持する一対のレール部45を有するカバー43が、樹脂によって形成され、マイクロ波を透過可能なトレイ本体42に取り付けられている。トレイ本体42がマイクロ波を透過可能なため、調理物の加熱性を向上できる。レール部45は、熱伝導率が高い樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)よりも耐衝撃性が高い樹脂製であるため、落下等によって衝撃が加わっても簡単に損傷することはない。
【0056】
形状が複雑なレール部45を樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)によってトレイ本体42と一体に成形する場合、コスト高になるが、樹脂製のレール部45は、射出成形によって高精度かつ比較的安価に成形できるため、トレイ41の製造コストを低減できる。また、レール部45が樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)によって成形され、容器50が樹脂以外の非金属(例えばガラス)によって成形されている場合、容器50をレール部45に着脱する際、擦れたり干渉したりすることに伴う不快な音鳴りが生じ得るが、レール部45が樹脂製であるため、音鳴りに関する不都合を防止できる。
【0057】
カバー43は、加熱室12の一対のガイドレール17,18に載置するための一対の載置部44eを有する。この構成により、金属製のガイドレール17上に樹脂製の載置部44eが載置されることになるため、加熱室12にトレイ41を出し入れするとき、ガイドレール17と載置部44eが擦れたり干渉したりすることに伴う不快な音鳴りを防止できる。
【0058】
レール部45は容器50のフランジ部50cを位置決めするための凹部(位置決め部)45cを有する。レール部45は、樹脂製であるため、樹脂以外の非金属製(例えばセラミックス製)と比較して凹部45cを高精度に形成できる。この構成により、トレイ41を介して容器50を加熱室12内の適切な位置に配置できる。また、容器50には適切な配置を維持するために滑り止め用のパッキンが不要になるため、製造コストを低減できるうえ、洗浄時の紛失及び付け忘れ等の不都合が生じることを防止できる。
【0059】
容器50の位置決め部が下向きに窪む凹部45cによって構成されている。この構成により、トレイ41を介して容器50を簡単かつ確実に加熱室12内の適切な位置に配置できる。
【0060】
カバー43は、トレイ本体42の外周壁42bから突出した突出部42eの貫通部42iの縁に当接し、トレイ本体42からのカバー43の離脱を防ぐための抜止部材(抜止部)46を有する。この構成により、トレイ本体42とは別体のカバー43を確実に取り付けることができる。樹脂以外の非金属(例えばセラミックス)は、樹脂と比較して公差が大きくて割れ易いが、抜止部材46を貫通部42iに貫通させる構成であれば、比較的簡素な構造で確実に取付状態を維持できる。
【0061】
抜止部は、カバー43とは別体の抜止部材46によって構成され、カバー43の差込孔44i及びトレイ本体42の貫通部42iを貫通してカバー43の係止孔44kの縁に係止する。この構成により、抜止部材46が樹脂製のカバー43の差込孔44iの縁と係止孔44kの縁に係止するため、非金属製(例えばセラミックス)のトレイ本体42に過度な負荷が加わることを抑制できる。よって、トレイ本体42の損傷を効果的に抑制できる。
【0062】
カバー43は、トレイ本体42の両側にそれぞれ取り付けられ、レール部45がそれぞれ形成された一対の分割体44によって構成されている。この構成により、カバー43の成形に必要な樹脂量を低減できる。また、トレイ本体42の底面のうち、一対の分割体44がそれぞれ備えるレール部45間に位置する部分が露出している。この構成により、マイクロ波の透過性を向上できるため、調理物の加熱性を向上できる。
【0063】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0064】
(第2実施形態)
図9及び
図10を参照すると、第2実施形態の調理器具40は、カバー43を構成する分割体44が、それぞれ別体で一対の保護部材47を備える点で、第1実施形態の調理器具40と相違している。分割体44に対して保護部材47は、
図2に示す加熱室12の上部に配置されたヒータ32に対向する上部に配置されている。
【0065】
具体的には、第2実施形態の分割体44と抜止部材46は、ガラス繊維が配合されていないPPSによって成形されている。保護部材47は、ガラス繊維配合のPPSによって成形されている。このガラス繊維配合のPPSは、ガラス繊維が配合されていないPPSよりも耐熱性が高い樹脂である。
【0066】
第2実施形態の分割体44は、板部44jが幅方向に延びる長板状に形成され、
図5に示す上壁部44hの代わりに、板部44j上に断面T字形状の差込部44nが形成されている点で、第1実施形態の分割体44と相違している。
【0067】
保護部材47は、板部44j及び差込部44nの幅方向の長さと同じ長さのブロック状である。この保護部材47には、差込部44nに嵌め込み可能な断面T字形状の差込溝47aが形成されている。
図10に最も明瞭に示すように、保護部材47の下端面47bは板部44j上に載置され、保護部材47の差込溝47aよりも上側部分47cは差込部44nの上面に対して上側に間隔をあけて位置している。つまり、保護部材47の上側部分47cと差込部44nの間には断熱空間48が確保されている。
【0068】
このように構成されたカバー43は、分割体44の差込部44nに対して幅方向内側から一対の保護部材47を差し込んだ状態で、第1実施形態と同様に一対の分割体44をトレイ本体42の両側に差し込んで配置される。その後、分割体44の差込孔44i、トレイ本体42の貫通部42i、及び分割体44の係止孔44kに抜止部材46を貫通させることにより、トレイ本体42に、それぞれ一対の保護部材47を備える一対の分割体44からなるカバー43を取り付けることができる。
【0069】
トレイ41を
図2に示す電子レンジ1の加熱室12の上側ガイドレール17上に配置すると、保護部材47がヒータ32の両端部分の下方にそれぞれ位置する。電子レンジ1のヒータ32には、発熱部の両端に非発熱の低温引出部(コールドエンド)が設けられたシースヒータが用いられているが、発熱部の輻射熱によるカバー43の上部への影響は不可避である。
【0070】
これに対し、本実施形態のカバー43には、加熱室12のヒータ32に対向する上部に、カバー43よりも耐熱性が高い樹脂によって成形された別体の保護部材47が配置されている。しかも、カバー43の差込部44nと保護部材47の間には断熱空間48が確保されている。よって、加熱室12の上部に配置されたヒータ32の熱によるカバー43の溶損を抑制できる。その結果、トレイ本体42をヒータ32に近づけて配置することも可能になるため、調理物の加熱性を向上できる。しかも、カバー43の大部分を占める分割体44を、ガラス繊維配合のPPSよりも安価なガラス繊維非配合のPPSによって成形できるため、カバー43全体をガラス繊維配合のPPSによって成形する場合と比較して製造コストの低減を図できる。
【0071】
(第3実施形態)
図11及び
図12を参照すると、第3実施形態の調理器具40は、レール部45のガイド壁45dに設けた板状の補助壁45hを、凹部45cよりも後側まで前後に延ばした点で、第2実施形態の調理器具40と相違している。幅方向において、補助壁45hの内端は、支持部45bの内端の直上に位置している。
【0072】
このように構成された第3実施形態のトレイ41は、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえ、容器50のフランジ部50cの上側に補助壁45hが位置するため、レール部45に着脱する容器50のトレイ本体42への干渉を防止できる。よって、樹脂よりも耐衝撃性が低い非金属製のトレイ本体42と容器50の損傷を防止できる。
【0073】
(第4実施形態)
図13を参照すると、第4実施形態の調理器具40は、抜止部として
図5に示す抜止部材46の代わりに抜止突起44pを分割体44に一体に設けた点で、第1実施形態の調理器具40と相違している。この抜止突起44pは、幅方向の外側に向かうに従って上側へ傾斜した傾斜面を備える。底壁部44aからの抜止突起44pは、貫通部42iを貫通する突出量であってもよいし、トレイ本体42の貫通部42iの縁に当接可能であれば、貫通部42iを貫通しない突出量であってもよい。抜止部材46の代わりに抜止突起44pを用いる第4実施形態の連結構造は、第2実施形態及び第3実施形態の調理器具40に適用してもよい。
【0074】
このように構成された第4実施形態のトレイ41は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえ、カバー43を構成する一対の分割体44をトレイ本体42の外側から差し込むだけで、トレイ本体42への分割体44の取り付けが完了する。よって、トレイ41の製造時の作業性を向上できる。
【0075】
(第5実施形態)
図14を参照すると、第5実施形態の調理器具40は、位置決め部として
図5に示す凹部45cの代わりに凸部45iを分割体44のレール部45に一体に設けた点で、第1実施形態の調理器具40と相違している。この凸部45iは、容器50のフランジ部50cの外周に沿って延びる円弧状であり、後側に向かうに従って上側へ傾斜した傾斜面を備える。但し、凹部45cの代わりに凸部45iを用いる位置決め構造は、第2実施形態から第4実施形態の調理器具40に適用してもよい。
【0076】
このように構成された第5実施形態のトレイ41では、容器50を簡単かつ確実に加熱室12内の適切な位置に配置でき、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0077】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、カバー43を構成する分割体44は、トレイ本体42に対して幅方向外側から隙間なく嵌め込む構造としてもよい。また、カバー43は、一対の分割体44の底壁部44aをそれぞれ連結部によって連結した、一体構造としてもよい。この場合、カバー43は、トレイ本体42に対して下側から嵌め込む構造としてもよい。
【0079】
抜止部材46は、超音波溶接によってカバー43に溶着されてもよい。また、抜止部材46はネジによって構成されてもよく、トレイ本体42に別体のカバー43を取付可能な構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0080】
トレイ本体42の突出部42eは、貫通部42iが形成された第1部分42fのみによって構成されてもよい。貫通部42iを備える突出部42eは、外周壁42bのうち幅方向に対向する一対の横壁部に設けられてもよい。この場合、突出部として突出片42cが用いられてもよい。
【0081】
第1実施形態では、板部44jは、枠壁部44cに連なることなく、リブ44mを介して上壁部44hのみに連なっていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 電子レンジ
10 電子レンジ本体
11 筐体
12 加熱室
13 底壁
14 天壁
15 側壁
16 後壁
17 上側ガイドレール
18 下側ガイドレール
20 扉
21 枠体
22 窓
30 マグネトロン
31 ダクト
32 ヒータ
34 赤外線センサ
35 サーミスタ
40 調理器具(電子レンジ用調理器具)
41 トレイ
42 トレイ本体
42a 底壁
42b 外周壁
42c 突出片
42d 枠壁
42e 突出部
42f 第1部分
42g 第2部分
42h 第3部分
42i 貫通部
43 カバー
44 分割体
44a 底壁部
44b 側壁部
44c 枠壁部
44d リブ
44e 載置部
44f 枠
44g リブ
44h 上壁部
44i 差込孔
44j 板部
44k 係止孔
44m リブ
44n 差込部
44p 抜止突起(抜止部)
45 レール部
45a 垂下部
45b 支持部
45c 凹部(位置決め部)
45d ガイド壁
45e 第1部分
45f 第2部分
45g 第3部分
45h 補助壁
45i 凸部(位置決め部)
46 抜止部材(抜止部)
46a 基部
46b 側部
46c 係止片
46d 連続部
46e 係止爪
47 保護部材
47a 差込溝
47b 下端面
47c 上側部分
48 断熱空間
50 容器
50a 底壁部
50b 側壁部
50c フランジ部