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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165911
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20241121BHJP
【FI】
H05B45/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082499
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安川 龍永
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA34
3K273BA36
3K273CA02
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA44
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA30
3K273GA14
3K273GA28
3K273GA29
3K273HA12
3K273HA15
(57)【要約】
【課題】本開示は、LEDに過電流が流れてLEDが出射する紫外線の光量が正常時よりも大きくなる可能性を低減させることを目的とする。
【解決手段】照明装置1は、入力端子P1と、出力端子Q1と、LED101と、電源回路5と、検知回路K1と、保護回路4と、を備える。LED101は、出力端子Q1に接続され、ピーク波長が200nm以上400nm以下の紫外光を出射する。電源回路5は、入力端子P1に入力された入力電流I1を変換して、LED101に供給する出力電流I2を生成する。検知回路K1は、電源回路5が生成する出力電流I2が過電流となる過電流異常を検知する。保護回路4は、検知回路K1が過電流異常を検知すると、電源回路5からLED101への出力電流I2の供給を継続させつつ、出力電流I2を低下させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、
出力端子と、
前記出力端子に接続され、ピーク波長が200nm以上400nm以下の紫外光を出射するLEDと、
前記入力端子に入力された入力電流を変換して、前記LEDに供給する出力電流を生成する電源回路と、
前記電源回路が生成する前記出力電流が過電流となる過電流異常を検知する検知回路と、
前記検知回路が前記過電流異常を検知すると、前記電源回路から前記LEDへの前記出力電流の供給を継続させつつ、前記出力電流を低下させる保護回路と、を備える、
照明装置。
【請求項2】
前記保護回路は、前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、
前記検知回路が前記過電流異常を検知すると、前記保護回路は、前記保護回路のインピーダンスを増加させることにより前記出力電流の絶対値を低下させる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記保護回路は、導通状態と非導通状態とを切り替え可能な切替部材と、インピーダンス素子と、の並列回路を含み、
前記照明装置は、前記検知回路が前記過電流異常を検知していないとき前記切替部材を前記導通状態にし、前記検知回路が前記過電流異常を検知すると前記切替部材を前記非導通状態にする制御回路を更に備える、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記検知回路が前記過電流異常を検知すると、前記保護回路は、単位時間のうち、前記LEDに前記出力電流が供給される時間の割合を低下させる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記検知回路が前記過電流異常を検知していないとき、前記電源回路は、前記LEDに前記出力電流を供給し続けるスタティック点灯を行う、
請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記検知回路が前記過電流異常を検知するとユーザに対して報知する報知部を更に備える、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記電源回路と前記保護回路とを収容する筐体を更に備える、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記電源回路と前記保護回路とが実装された基板を更に備える、
請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に照明装置に関し、より詳細には、紫外光を出射するLED(Light Emitting Diode)を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のLED駆動装置は、ドライバーと、第1コントローラと、を備える。ドライバーは、電源電圧をLEDへ供給する。第1コントローラは、ドライバーに第1時間間隔で所定の信号を送信する。ドライバーは、第1コントローラから最後に所定の信号を受け取ってから第1時間以上の第2時間が過ぎると、LEDへの電源電圧の供給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-167952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、LEDに過電流が流れてLEDが出射する紫外線の光量が正常時よりも大きくなる可能性を低減させることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る照明装置は、入力端子と、出力端子と、LEDと、電源回路と、検知回路と、保護回路と、を備える。前記LEDは、前記出力端子に接続され、ピーク波長が200nm以上400nm以下の紫外光を出射する。前記電源回路は、前記入力端子に入力された入力電流を変換して、前記LEDに供給する出力電流を生成する。前記検知回路は、前記電源回路が生成する前記出力電流が過電流となる過電流異常を検知する。前記保護回路は、前記検知回路が前記過電流異常を検知すると、前記電源回路から前記LEDへの前記出力電流の供給を継続させつつ、前記出力電流を低下させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示には、LEDに過電流が流れてLEDが出射する紫外線の光量が正常時よりも大きくなる可能性を低減させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係る照明装置の概略的な回路図である。
図2図2は、同上の照明装置を模式的に表した斜視図である。
図3図3は、同上の照明装置の動作を表すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2に係る照明装置の概略的な回路図である。
図5図5は、実施形態3に係る照明装置の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記の各実施形態においては、本開示の照明装置について、図面を用いて説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態は、変形例も含めて、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、図2は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0009】
(実施形態1)
(概要)
図1に示すように、本実施形態の照明装置1は、入力端子P1と、出力端子Q1と、LED101と、電源回路5と、検知回路K1と、保護回路4と、を備える。LED101は、出力端子Q1に接続され、ピーク波長が200nm以上400nm以下の紫外光を出射する。電源回路5は、入力端子P1に入力された入力電流I1を変換して、LED101に供給する出力電流I2を生成する。検知回路K1は、電源回路5が生成する出力電流I2が過電流となる過電流異常を検知する。保護回路4は、検知回路K1が過電流異常を検知すると、電源回路5からLED101への出力電流I2の供給を継続させつつ、出力電流I2を低下させる。
【0010】
上記の構成によれば、LED101に過電流が流れてLED101が出射する紫外線の光量が正常時よりも大きくなる可能性を低減させることができる。また、LED101が過電流により故障する可能性を低減させることができる。
【0011】
また、LED101に過電流が流れたとしても、LED101に過電流が流れる時間の長さを短くすることができる。
【0012】
また、保護回路4は、過電流異常の発生時に、電源回路5からLED101への出力電流I2の供給を停止するのではなく、出力電流I2を低下させつつ、電源回路5からLED101への出力電流I2の供給を継続させる。そのため、過電流異常が発生してもLED101が点灯し続けることができる。例えば、過電流異常の発生時にはLED101は、正常時よりも小さい光量の紫外光を出射する。
【0013】
出力電流I2を低下させるとは、後で本実施形態において説明するように、出力電流I2の絶対値を低下させることであってもよい。
【0014】
あるいは、出力電流I2を低下させるとは、後で実施形態3において説明するように、単位時間のうち、LED101に出力電流I2が供給される時間の割合を低下させることであってもよい。つまり、出力電流I2を低下させるとは、出力電流I2の絶対値の時間平均を低下させることであってもよい。
【0015】
(詳細)
(1)全体構成
図1に示すように、照明装置1は、点灯装置2と、LEDモジュール10と、を備える。
【0016】
点灯装置2は、一対の入力端子P1と、一対の出力端子Q1と、整流回路3と、保護回路4と、電源回路5と、制御回路6と、基板8(図2参照)と、を有する。制御回路6は、検知回路K1を兼ねている。
【0017】
LEDモジュール10は、複数のLED101を備える。
【0018】
また、図2に示すように、照明装置1は、筐体7と、アームA1と、を更に備える。
【0019】
(2)筐体及びアーム
筐体7は、点灯装置2及びLEDモジュール10を収容している。すなわち、単一の筐体7に、点灯装置2の電源回路5と保護回路4とが収容されている。
【0020】
筐体7は、ボディ71と、カバー72と、を有する。カバー72は、ボディ71を覆っている。カバー72は、ボディ71に結合されている。ボディ71の底面と、カバー72の底面とは、互いに対向している。ボディ71の底面と、カバー72の底面との間に、点灯装置2及びLEDモジュール10を収容するための空間が存在する。
【0021】
カバー72の少なくとも一部は、紫外光に対する透光性を有し、LEDモジュール10に対向している。LEDモジュール10の複数のLED101は、カバー72を通して筐体7の外部へ紫外光を出射する。
【0022】
アームA1は、筐体7から突出している。筐体7は、アームA1を介して、ポール等の取付対象に取り付けられる。
【0023】
(3)基板
図2に示すように、点灯装置2の基板8は、筐体7に収容されている。基板8は、リジッド基板であってもよいし、フレキシブル基板であってもよい。
【0024】
基板8には、整流回路3と、保護回路4と、電源回路5と、制御回路6と、LEDモジュール10と、が実装されている。すなわち、単一の基板8に、電源回路5と保護回路4とが実装されている。
【0025】
図2では、基板8、整流回路3、保護回路4、電源回路5、制御回路6及びLEDモジュール10を細線で図示している。ただし、実際にはこれらは、筐体7の外部からは不可視である。
【0026】
(4)一対の入力端子
図1に示すように、点灯装置2は、一対の入力端子P1を有する。本開示では、一対の入力端子P1をそれぞれ、入力端子P11、P12とも呼ぶ。
【0027】
本開示で言う「端子」は、他の部材との電気的な接続が可能な部材であればよい。「端子」は、電線を接続するためのコネクタ等の部材であってもよいし、基板8に形成されるプリント配線等の導体の一部であってもよい。
【0028】
一対の入力端子P1は、電源S1に接続される。電源S1は、一対の入力端子P1に入力電流I1を入力する。本実施形態では、入力電流I1は、交流電流である。電源S1は、例えば、商用電源又は分散型電源である。また、電源S1は、自家発電システムを含んでいてもよい。電源S1は、蓄電システムを含んでいてもよい。
【0029】
一対の入力端子P11、P12は、整流回路3の一対の入力端子31、32にそれぞれ接続されている。
【0030】
(5)一対の出力端子
本開示では、一対の一対の出力端子Q1をそれぞれ、一対の出力端子Q11、Q12とも呼ぶ。
【0031】
一対の出力端子Q1は、LEDモジュール10に接続される。
【0032】
(6)整流回路
整流回路3は、ダイオードブリッジ回路30を有する。ダイオードブリッジ回路30は、一対の入力端子31、32と、一対の出力端子33、34と、を有する。
【0033】
整流回路3は、一対の入力端子31、32から入力された入力電流I1(交流電流)を整流して、一対の出力端子33、34から出力する。
【0034】
本実施形態の整流回路3は、全波整流回路である。整流回路3の出力波形は、周期的に存在するゼロクロス点を含む全波整流波形である。
【0035】
出力端子33の電位は、出力端子34の電位に対して高電位である。
【0036】
(7)保護回路
保護回路4は、入力端子P11と出力端子Q11との間に接続されている。また、保護回路4は、整流回路3と電源回路5との間に接続されている。
【0037】
保護回路4は、サイリスタ41と、正特性サーミスタ42と、の並列回路を含む。
【0038】
サイリスタ41のアノードは、整流回路3の出力端子33に接続されている。さらに、サイリスタ41のアノードは、正特性サーミスタ42の第1端に接続されている。
【0039】
サイリスタ41のカソードは、電源回路5に接続されている。さらに、サイリスタ41のカソードは、正特性サーミスタ42の第2端に接続されている。
【0040】
サイリスタ41のゲート端子は、制御回路6のマイクロコントローラ62に接続されている。
【0041】
(8)電源回路
本実施形態の電源回路5は、降圧チョッパ回路である。電源回路5は、スイッチ素子51と、ダイオード52と、インダクタ53と、コンデンサ54と、を含む。
【0042】
一例として、スイッチ素子51は、nチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチ素子51は、第1主端子(ドレイン端子)と、第2主端子(ソース端子)と、制御端子(ゲート端子)と、を備える。
【0043】
ドレイン端子は、保護回路4のサイリスタ41のカソードに接続されている。ソース端子は、インダクタ53の第1端に接続されている。ゲート端子は、制御回路6のマイクロコントローラ62に接続されている。
【0044】
ダイオード52のアノードは、整流回路3の出力端子34に接続されている。ダイオード52のカソードは、スイッチ素子51とインダクタ53との間の電路に接続されている。
【0045】
インダクタ53の第2端は、出力端子Q11に接続されている。
【0046】
コンデンサ54の第1端は、インダクタ53と出力端子Q11との間の電路に接続されている。コンデンサ54の第2端は、ダイオード52のアノードと出力端子Q12との間の電路に接続されている。
【0047】
(9)LEDモジュール
図1に示すように、LEDモジュール10は、複数のLED101を備える。
【0048】
複数のLED101は、例えば、直列に接続されている。なお、複数のLED101は、並列又は直並列に接続されていてもよい。
【0049】
(10)制御回路
制御回路6(検知回路K1)は、検知インダクタ61と、マイクロコントローラ62と、を備える。
【0050】
マイクロコントローラ62は、1以上のプロセッサ(処理部621)及びメモリ(記憶部622)を有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、マイクロコントローラ62の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体(メモリカード等)に記録されて提供されてもよい。
【0051】
検知インダクタ61は、電源回路5のインダクタ53に磁気的に結合されている。検知インダクタ61は、インダクタ53に流れる電流の変化に応じた電流をマイクロコントローラ62へ出力する。マイクロコントローラ62は、検知インダクタ61から入力された電流に基づいて、過電流異常の有無を判断する。
【0052】
過電流異常は、例えば、電源回路5のスイッチ素子51の故障により発生する。具体的には、過電流異常は、スイッチ素子51が短絡故障した場合等に発生する。スイッチ素子51の短絡故障とは、スイッチ素子51のゲート端子にゲート電圧が印加されているか否かに関わらず、ドレイン端子とソース端子との間が短絡した状態を意味する。
【0053】
スイッチ素子51が短絡故障していないときは、スイッチ素子51の開閉に応じて、検知インダクタ61に電流が発生する。スイッチ素子51が短絡故障すると、検知インダクタ61に電流が発生しなくなる。
【0054】
検知インダクタ61からマイクロコントローラ62に電流が入力されない状態が所定時間(例えば、数ミリ秒)以上続くと、処理部621は、電源回路5に過電流異常が発生したと判断する。言い換えると、このとき処理部621は、電源回路5の過電流異常を検知する。
【0055】
処理部621は、過電流異常を検知していないときは、保護回路4のサイリスタ41のゲート端子にゲート電圧を印加している(図3のステップST1)。これにより、サイリスタ41のアノードからカソードに電流が流れる。処理部621は、過電流異常を検知すると(図3のステップST2:Yes)、サイリスタ41のゲート端子へのゲート電圧の印加を停止する(図3のステップST3)。そして、整流回路3の出力波形に周期的に存在するゼロクロス点において、サイリスタ41のアノードからカソードに電流が流れなくなる。そのため、整流回路3の出力端子33から出力された電流は、正特性サーミスタ42を通ってスイッチ素子51へ流れる。
【0056】
サイリスタ41は、導通状態と非導通状態とを切り替え可能な切替部材の一例である。サイリスタ41のゲート端子にゲート電圧が印加されている状態が、導通状態に相当する。サイリスタ41のゲート端子にゲート電圧が印加されていない状態が、非導通状態に相当する。
【0057】
正特性サーミスタ42は、インピーダンス素子の一例である。
【0058】
サイリスタ41が非導通状態のときは、導通状態のときと比較して、保護回路4のインピーダンスが大きい。つまり、検知回路K1の処理部621が過電流異常を検知すると、保護回路4は、保護回路4のインピーダンスを増加させる。これにより、出力電流I2の絶対値が低下する。電源回路5は、LEDモジュール10の順方向電圧以上の電圧をLEDモジュール10に印加し続けるため、LEDモジュール10は点灯し続ける。
【0059】
サイリスタ41が導通状態から非導通状態になったときの出力電流I2の絶対値の低下の程度は、正特性サーミスタ42の特性値に応じて変化する。そのため、正特性サーミスタ42の選定により、出力電流I2の絶対値の低下の程度を調整できる。LEDモジュール10の放射照度が、電気用品安全法に規定されている放射照度の上限以下となるように、正特性サーミスタ42を選定するとよい。一例として、サイリスタ41が非導通状態のときは、導通状態のときと比較して、出力電流I2の絶対値が10分の1倍となる。
【0060】
上記のように、保護回路4は、切替部材と、インピーダンス素子と、の並列回路を含む。制御回路6は、検知回路K1が過電流異常を検知していないとき切替部材を導通状態にし、検知回路K1が過電流異常を検知すると切替部材を非導通状態にする。
【0061】
検知回路K1が過電流異常を検知した後は、処理部621は、サイリスタ41のゲート端子にゲート電圧を印加しない状態を維持する。所定の復帰条件が満たされた場合、例えば、マイクロコントローラ62に、制御をリセットするための信号が入力された場合に、処理部621は、サイリスタ41のゲート端子へのゲート電圧の印加を再開する。
【0062】
あるいは、検知回路K1が過電流異常を検知した後、検知インダクタ61からマイクロコントローラ62に電流が入力されると、処理部621は、サイリスタ41のゲート端子にゲート電圧を印加してもよい。
【0063】
(実施形態1の変形例)
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0064】
照明装置1が複数のLED101を備えることは、必須ではない。照明装置1は、LED101を1つのみ備えていてもよい。
【0065】
制御回路6のマイクロコントローラ62が、複数のディスクリート部品により代替されてもよい。
【0066】
保護回路4は、導通状態と非導通状態とを切り替え可能な切替部材として、サイリスタ41に代えて、スイッチ素子を備えていてもよい。スイッチ素子は、例えば、トランジスタ又はMOSFET等の半導体スイッチ素子である。
【0067】
保護回路4は、インピーダンス素子として、正特性サーミスタ42に代えて、例えば、固定抵抗器を備えていてもよい。
【0068】
検知回路K1は、検知インダクタ61に代えて、シャント抵抗又はホール素子電流センサ等を備えた電流センサを用いて、過電流異常を検知してもよい。例えば、検知回路K1は、電流センサを用いて検出された電流の大きさが閾値よりも大きいことをもって、過電流異常が発生していると判断してもよい。
【0069】
電源回路5は、降圧チョッパ回路に限定されず、例えば、昇圧チョッパ回路、又は、昇降圧チョッパ回路であってもよい。
【0070】
整流回路3は、半波整流回路であってもよい。
【0071】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る照明装置1Aについて、図4を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施形態の照明装置1Aは、報知部43を更に備える点で、実施形態1の照明装置1と相違する。
【0073】
一例として、報知部43は、可視光を出射する光源(例えば、LED)を含む。また、一例として、報知部43は、保護回路4Aの構成である。より詳細には、保護回路4Aは、正特性サーミスタ42と報知部43との直列回路と、サイリスタ41と、を含み、正特性サーミスタ42と報知部43との直列回路が、サイリスタ41と並列に接続されている。
【0074】
検知回路K1が過電流異常を検知すると、報知部43は、ユーザに対して報知する。より詳細には、検知回路K1が過電流異常を検知すると、処理部621は、サイリスタ41のゲート端子へのゲート電圧の印加を停止するので、サイリスタ41が非導通状態となる。よって、正特性サーミスタ42と報知部43との直列回路に電流が流れる。このとき、報知部43の光源が点灯する。このように、報知部43は、報知部43の光源を点灯させることで、過電流異常を報知する。
【0075】
検知回路K1が過電流異常を検知すると出力電流I2の絶対値が低下し、LEDモジュール10のLED101の光量が低下する。しかしながら、LED101が出射する光は、不可視の紫外光であるため、ユーザがLED101の光量から過電流異常の発生を知ることは、困難である場合がある。そこで、本実施形態では、報知部43が過電流異常を報知する。これにより、ユーザが過電流異常の発生を知ることができる。
【0076】
報知部43は、光源に代えて、音を発生することにより報知を行う音響装置を含んでいてもよい。音響装置は、例えば、ブザーである。サイリスタ41が非導通状態となると、報知部43のブザーに電流が流れ、ブザーが音を発生する。
【0077】
報知部43は、光源と、音響装置と、を含んでいてもよい。
【0078】
報知部43が保護回路4Aの構成であることは、必須ではない。報知部43は、マイクロコントローラ62に接続されていて、マイクロコントローラ62による制御に応じて、報知を行ってもよい。
【0079】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る照明装置1Bについて、図5を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
照明装置1Bは、保護回路4(図1参照)を備えていない。制御回路6Bが、保護回路を兼ねている。制御回路6Bは、検知インダクタ61と、マイクロコントローラ62と、スイッチ素子63と、を備える。
【0081】
一例として、スイッチ素子63は、nチャネルMOSFETである。スイッチ素子63は、第1主端子(ドレイン端子)と、第2主端子(ソース端子)と、制御端子(ゲート端子)と、を備える。
【0082】
スイッチ素子63は、電源回路5と出力端子Q12との間に接続されている。より詳細には、スイッチ素子63のソース端子は、電源回路5のコンデンサ54の第2端に接続されている。スイッチ素子63のドレイン端子は、出力端子Q12に接続されている。
【0083】
スイッチ素子63のゲート端子は、マイクロコントローラ62に接続されている。
【0084】
検知回路K1が過電流異常を検知していないときは、マイクロコントローラ62の処理部621は、スイッチ素子63をオンに維持する。つまり、処理部621は、スイッチ素子63のドレイン端子とソース端子との間を導通させる。これにより、電源回路5は、LED101に出力電流I2を供給し続けるスタティック点灯を行う。スタティック点灯において、出力電流I2は、連続的な直流電流である。
【0085】
検知回路K1が過電流異常を検知すると、処理部621は、電源回路5にダイナミック点灯を行わせる。ダイナミック点灯は、LED101に出力電流I2を間欠的に供給する点灯方式である。より詳細には、検知回路K1が過電流異常を検知すると、処理部621は、スイッチ素子63を周期的にオンオフすることにより、電源回路5からLED101に出力電流I2を間欠的に供給させる。このとき、LED101に印加される出力電流I2の波形は、矩形波状となる。LED101は、点滅する。
【0086】
このように、検知回路K1が過電流異常を検知すると、制御回路6B(保護回路)の処理部621は、単位時間のうち、LED101に出力電流I2が供給される時間の割合を低下させる。
【0087】
スイッチ素子63のオフ期間がオン期間に対して長いほど、LED101の光量の時間平均が小さくなる。そのため、スイッチ素子63のオフ期間の長さを調整することにより、検知回路K1が過電流異常を検知したときのLED101の光量の時間平均の低下の程度を調整できる。
【0088】
検知回路K1が過電流異常を検知した後は、処理部621は、ダイナミック点灯を維持する。所定の復帰条件が満たされた場合、例えば、マイクロコントローラ62に、制御をリセットするための信号が入力された場合に、処理部621は、スタティック点灯を再開する。
【0089】
本実施形態では、電源S1は直流電源であってもよい。電源S1が直流電源である場合は、整流回路3は省略される。
【0090】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0091】
第1の態様に係る照明装置(1;1A;1B)は、入力端子(P1)と、出力端子(Q1)と、LED(101)と、電源回路(5)と、検知回路(K1)と、保護回路(4;4A;6B)と、を備える。LED(101)は、出力端子(Q1)に接続され、ピーク波長が200nm以上400nm以下の紫外光を出射する。電源回路(5)は、入力端子(P1)に入力された入力電流(I1)を変換して、LED(101)に供給する出力電流(I2)を生成する。検知回路(K1)は、電源回路(5)が生成する出力電流(I2)が過電流となる過電流異常を検知する。保護回路(4;4A;6B)は、検知回路(K1)が過電流異常を検知すると、電源回路(5)からLED(101)への出力電流(I2)の供給を継続させつつ、出力電流(I2)を低下させる。
【0092】
上記の構成によれば、LED(101)に過電流が流れてLED(101)が出射する紫外線の光量が正常時よりも大きくなる可能性を低減させることができる。また、保護回路(4;4A;6B)は、過電流異常の発生時に、電源回路(5)からLED(101)への出力電流(I2)の供給を停止するのではなく、出力電流(I2)を低下させつつ、電源回路(5)からLED(101)への出力電流(I2)の供給を継続させるので、過電流異常が発生してもLED(101)が点灯し続けることができる。
【0093】
また、第2の態様に係る照明装置(1;1A)では、第1の態様において、保護回路(4;4A)は、入力端子(P1)と出力端子(Q1)との間に接続される。検知回路(K1)が過電流異常を検知すると、保護回路(4;4A)は、保護回路(4;4A)のインピーダンスを増加させることにより出力電流(I2)の絶対値を低下させる。
【0094】
上記の構成によれば、保護回路(4;4A)のインピーダンス特性を適宜選択することで、過電流異常の発生時における出力電流(I2)の絶対値の低下量を調整できる。
【0095】
また、第3の態様に係る照明装置(1;1A)では、第2の態様において、保護回路(4;4A)は、切替部材(サイリスタ41)と、インピーダンス素子(正特性サーミスタ42)と、の並列回路を含む。切替部材は、導通状態と非導通状態とを切り替え可能である。照明装置(1;1A)は、制御回路(6)を更に備える。制御回路(6)は、検知回路(K1)が過電流異常を検知していないとき切替部材を導通状態にし、検知回路(K1)が過電流異常を検知すると切替部材を非導通状態にする。
【0096】
上記の構成によれば、比較的少数の部材により保護回路(4;4A)を実現できる。
【0097】
また、第4の態様に係る照明装置(1B)では、第1の態様において、検知回路(K1)が過電流異常を検知すると、保護回路(6B)は、単位時間のうち、LED(101)に出力電流(I2)が供給される時間の割合を低下させる。
【0098】
上記の構成によれば、過電流異常の発生時における出力電流(I2)の絶対値の時間平均の低下量を容易に変更できる。
【0099】
また、第5の態様に係る照明装置(1B)では、第4の態様において、検知回路(K1)が過電流異常を検知していないとき、電源回路(5)は、LED(101)に出力電流(I2)を供給し続けるスタティック点灯を行う。
【0100】
上記の構成によれば、過電流異常の発生時に、出力電流(I2)の絶対値の時間平均の低下量を比較的大きくすることができる。
【0101】
また、第6の態様に係る照明装置(1A)は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、報知部(43)を更に備える。報知部(43)は、検知回路(K1)が過電流異常を検知するとユーザに対して報知する。
【0102】
上記の構成によれば、ユーザが過電流異常の発生を知ることができる。
【0103】
また、第7の態様に係る照明装置(1;1A;1B)は、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、筐体(7)を更に備える。筐体(7)は、電源回路(5)と保護回路(4;4A;6B)とを収容する。
【0104】
上記の構成によれば、電源回路(5)と保護回路(4;4A;6B)とが別々の筐体(7)に収容されている場合と比較して、部材点数を減らすことができる。
【0105】
また、第8の態様に係る照明装置(1;1A;1B)は、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、基板(8)を更に備える。基板(8)には、電源回路(5)と保護回路(4;4A;6B)とが実装されている。
【0106】
上記の構成によれば、電源回路(5)と保護回路(4;4A;6B)とが別々の基板に実装されている場合と比較して、電源回路(5)と保護回路(4;4A;6B)とをコンパクトに実装できる。
【0107】
第1の態様以外の構成については、照明装置(1;1A;1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0108】
1;1A;1B 照明装置
5 電源回路
4;4A 保護回路
6;6B 制御回路
7 筐体
8 基板
41 サイリスタ(切替部材)
42 正特性サーミスタ(インピーダンス素子)
43 報知部
101 LED
I1 入力電流
I2 出力電流
K1 検知回路
P1 入力端子
Q1 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5