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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165912
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光源ユニット及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241121BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241121BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20241121BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20241121BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241121BHJP
   F21W 131/105 20060101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241121BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21S2/00 612
F21V29/503
F21V29/76
F21V31/00 100
F21V31/00 200
F21S2/00 375
F21S2/00 380
F21V5/04 350
F21W131:105
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082500
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久米 嶺
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 秀昌
(72)【発明者】
【氏名】江口 菜々子
(72)【発明者】
【氏名】雀部 啓太
(72)【発明者】
【氏名】亀井 律雄
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014NA02
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、配光性能の低下を抑制することである。
【解決手段】光源ユニット1は、平板状の基板101の前面1010に複数の発光素子100を実装した光源モジュール10と、透光性を有する合成樹脂製であり、光源モジュール10を前方から覆うように配置されたカバーと、を備える。カバーの第1中心部C1は、前方から見たときに、前面1010の第2中心部C10と一致している。カバーは、複数の発光素子100と一対一に対応する複数のレンズLSを有する。複数のレンズLSのうち任意のレンズLSと第1中心部C1との第1距離L1は、カバーの温度が所定の温度範囲内である場合、複数の発光素子100のうち任意のレンズLSに対応する発光素子100と第2中心部C10との第2距離L2よりも短い。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板の前面に複数の発光素子を実装した光源モジュールと、
透光性を有する合成樹脂製であり、前記光源モジュールを前方から覆うように配置されたカバーと、を備え、
前記カバーの第1中心部は、前記前方から見たときに、前記前面の第2中心部と一致しており、
前記カバーは、前記複数の発光素子と一対一に対応する複数のレンズを有し、
前記複数のレンズのうち任意のレンズと前記第1中心部との第1距離は、前記カバーの温度が所定の温度範囲内である場合、前記複数の発光素子のうち前記任意のレンズに対応する発光素子と前記第2中心部との第2距離よりも短い
光源ユニット。
【請求項2】
前記カバーの温度が前記所定の温度範囲である第1温度範囲より高い温度範囲である第2温度範囲内である場合、前記第1距離と前記第2距離とは等しい
請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記光源モジュールと前記カバーとは、前記前方から見たときに、前記第1中心部と前記第2中心部とが一致した状態で互いに固定される
請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
シール部材と、
少なくとも一部に雄ねじ部が設けられた軸部及び前記軸部の一端に設けられたねじ頭を有するねじと、
点灯中の前記複数の発光素子で発生する熱を放熱する放熱ブロックと、を更に備え、
前記光源モジュールと前記カバーとは、前記ねじを、前記第1中心部に設けられる第1貫通孔及び前記第2中心部に設けられる第2貫通孔を介して、前記放熱ブロックに設けられるねじ穴に前記前方からねじ止めすることにより固定され、
前記ねじ頭と前記第1貫通孔の周縁部とは前記シール部材を介して接触している
請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記シール部材の形状は、前記周縁部に沿った円環状に形成される
請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記軸部は、前記ねじ頭から突出し、前記雄ねじ部が設けられていない胴部を有し、
前記シール部材は、前記胴部の少なくとも一部と接触している
請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットを支持する支持部材と、を備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源ユニット及び光源ユニットを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の照明装置は、光源と、光源に対し光の出射側に対向して固定配置され、光源から出射される光を透過および偏向させる液晶レンズと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-169435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来知られているような照明装置(特許文献1参照)において、光源が発光する際に放熱される熱によって液晶レンズが膨張し、照明装置の配光性能が低下する可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、配光性能の低下を抑制できる光源ユニット及び照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光源ユニットは、平板状の基板の前面に複数の発光素子を実装した光源モジュールと、透光性を有する合成樹脂製であり、前記光源モジュールを前方から覆うように配置されたカバーと、を備える。前記カバーの第1中心部は、前記前方から見たときに、前記前面の第2中心部と一致している。前記カバーは、前記複数の発光素子と一対一に対応する複数のレンズを有する。前記複数のレンズのうち任意のレンズと前記第1中心部との第1距離は、前記カバーの温度が所定の温度範囲内である場合、前記複数の発光素子のうち前記任意のレンズに対応する発光素子と前記第2中心部との第2距離よりも短い。
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、前記光源ユニットと、前記光源ユニットを支持する支持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の光源ユニット及び照明器具は、配光性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
図3図3は、同上の照明器具の左側面図である。
図4図4は、同上の照明器具の背面図である。
図5図5は、同上の照明器具が備える光源ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、同上の照明器具が備える光源ユニットから枠体及びカバーを取り除いた状態の正面図である。
図7図7は、同上の照明器具が備える光源ユニットの正面図である。
図8図8は、図7のY1-Y1線断面図である。
図9図9は、同上の照明器具が消灯状態のときの図8のA部の拡大図である。
図10図10は、同上の照明器具が点灯状態のときの図8のA部の拡大図である。
図11図11は、図8のB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る照明器具A1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
実施形態に係る光源ユニット1は、図5及び図6に示すように、平板状の基板101の前面1010に複数の発光素子100を実装した光源モジュール(LEDモジュール10)と、透光性を有する合成樹脂製であり、光源モジュールを前方から覆うように配置されたカバー11と、を備える。
【0012】
カバー11の第1中心部C1は、図6図8に示すように、前方から見たときに、前面1010の第2中心部C10と一致している。
【0013】
カバー11は、図7及び図8に示すように、複数の発光素子100と一対一に対応する複数のレンズLSを有する。
【0014】
複数のレンズLSのうち任意のレンズLSと第1中心部C1との第1距離L1は、カバー11の温度が所定の温度範囲内である場合、複数の発光素子100のうち任意のレンズLSに対応する発光素子100と第2中心部C10との第2距離L2よりも短い。
【0015】
ここにおいて、第1中心部C1は、カバー11の長手方向(左右方向)の中心線と、カバー11の短手方向(上下方向)の中心線との交点を含む。第2中心部C10は、基板101の長手方向(左右方向)の中心線と、基板101の短手方向(上下方向)の中心線との交点を含む。
【0016】
また、任意のレンズLSと第1中心部C1との第1距離L1は、任意のレンズLSを前方から見た場合の幾何学的な中心位置(中心軸)と第1中心部C1との距離である。また、発光素子100と第2中心部C10との第2距離L2は、発光素子100を前方から見た場合の幾何学的な中心位置(中心軸)と第2中心部C10との距離である。
【0017】
また、所定の温度範囲は、照明器具A1(が有する複数の発光素子100)が消灯状態のときにカバー11が取り得る温度範囲であり、例えば、-20℃~35℃である。なお、「消灯状態」とは、照明器具A1が消灯されてから十分な冷却時間が経過した後の状態とする。
【0018】
上記の構成によれば、複数の発光素子100が点灯する際に放熱する熱によってカバー11の温度が上昇した場合に、カバー11が膨張するため、第1距離L1は第2距離L2に近づく。ここで、任意のレンズLSは第1距離L1と第2距離L2が等しくなるときに発光素子100から出力された光の取り込み効率が最も高くなるように設計されている。したがって、カバー11の温度が上昇した場合に、任意のレンズLSの光の取り込み効率が向上するため、光源ユニット1の配光性能の低下を抑制できる。
【0019】
(2)詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、主に、サッカースタジアムや各種の競技場、学校の運動場などを照明(投光照明)する用途に用いられる投光器である。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図1等に矢印で示す上下、前後、左右の各方向を照明器具A1の上下、前後、左右の各方向と定義する。
【0020】
照明器具A1は、例えば2台の光源ユニット1と、2台の光源ユニット1を支持する支持部材3と、を備える(図1図4参照)。照明器具A1は、2台の光源ユニット1を連結する一対の連結部材4と、2台の光源ユニット1に点灯用の電力を供給する電源ユニット2と、を更に備える。
【0021】
(2-1)光源ユニット
2台の光源ユニット1は同一の構成を有している。各光源ユニット1は、光源モジュールと、カバー11と、放熱ブロック12と、枠体13と、シール部材14と、を有する(図5参照)。また、各光源ユニット1は、図11に示すように、シール部材17と、ねじ16と、を備える。
【0022】
(2-1-1)光源モジュール
光源モジュールは、平板状の基板101の前面(表面)1010に複数の発光素子(LED)100を実装したLEDモジュール10である(図5及び図6参照)。各LED100は、例えば、パッケージ型の照明用白色LEDである。ただし、発光素子はLEDに限定されず、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザ素子等でも構わない。基板101は、例えば、アルミ板をベースとする金属ベース基板である。以下に、基板101における複数のLED100の実装状態について詳細に説明する。
【0023】
基板101の表面1010は、図6に示すように、第1領域AR1と、第2領域AR2とを含む。
【0024】
第1領域AR1は、表面1010の第2中心部C10を含む領域である。第2中心部C10には、後述するカバー11を介してねじ16(図5参照)が貫通する貫通孔1011が設けられている。
【0025】
また、第2領域AR2は、表面1010における第1領域AR1の周囲の領域である。さらに詳細には、第2領域AR2は、表面1010の周縁部R1を含む領域である。周縁部R1は、後述する枠体13(図5参照)のフランジ部132と、フランジ部132に設けられた複数の固定部133と、に沿った形状に形成されている。
【0026】
ここで、表面1010に実装される複数のLED100のうち、第1領域AR1に実装される複数のLED100は第1グループG1に属するとし、第2領域AR2に実装される複数のLED100は第2グループG2に属するとする。
【0027】
まず、第1グループG1に属する複数のLED100の配置について説明する。第1グループG1に属する複数のLED100は、図6に示すように、互いに平行でない三つの方向(第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3)に沿って等間隔に並んでいる。本実施形態では、一例として、第1方向D1は左右方向であり、第1方向D1と第2方向D2との交差角度(鋭角)は60°であり、第2方向D2と第3方向D3との交差角度(鋭角)は60°である。より詳細には、第1領域AR1においては、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3の各方向において、複数のLED100が第1間隔S1で並んでいる。換言すると、第1グループG1に属する複数のLED100のうち隣接する任意の一対のLED100の間隔は、第1間隔S1である。
【0028】
次に、第2グループG2に属する複数のLED100の配置について説明する。
【0029】
第2グループG2に属する複数のLED100が実装される第2領域AR2は、図6に示すように、上端領域AR21、下端領域AR22、左端領域AR23及び右端領域AR24を含み、各領域には、複数のLED100が実装されている。
【0030】
上端領域AR21に実装される複数のLED100のうち、隣接する任意の一対のLED100の間隔は、第1間隔S1、又は、第1間隔S1よりも狭い第2間隔S2に等しい。具体的には、上端領域AR21に実装される複数のLED100のうち、第1方向D1に沿って隣接する任意の一対のLED100の間隔は第1間隔S1に等しい。また、上端領域AR21に実装される複数のLED100のうち、第2方向D2又は第3方向D3に沿って隣接する任意の一対のLED100の間隔は第1間隔S1よりも狭い第2間隔S2に等しい。なお、第2間隔S2は、第1グループG1に属する複数のLED100のうち隣接する任意の一対のLED100の間隔である第1間隔S1よりも狭い間隔であればよく、複数の値(長さ)を含んでもよい。
【0031】
下端領域AR22に実装される複数のLED100のうち、隣接する任意の一対のLED100の間隔は、第1間隔S1又は第2間隔S2に等しい。具体的には、下端領域AR22に実装される複数のLED100のうち、第1方向D1に沿って隣接する任意の一対のLED100の間隔は第1間隔S1に等しい。また、下端領域AR22に実装される複数のLED100のうち、第2方向D2又は第3方向D3に沿って隣接する任意の一対のLED100の間隔は第2間隔S2に等しい。
【0032】
左端領域AR23に実装される複数のLED100のうち、隣接する任意の一対のLED100の間隔は、第1間隔S1又は第2間隔S2に等しい。例えば、図6に示すように、第1方向D1に沿って隣接する一対のLED100であるLED101、LED102の間隔は第1間隔S1に等しい。また、第1方向D1に沿って隣接する一対のLED100であるLED103、LED104の間隔は第2間隔S2に等しい。
【0033】
右端領域AR24に実装される複数のLED100のうち、隣接する任意の一対のLED100の間隔は、第1間隔S1又は第2間隔S2に等しい。例えば、図6に示すように、第1方向D1に沿って隣接する一対のLED100であるLED105、LED106の間隔は第1間隔S1に等しい。また、第1方向D1に沿って隣接する一対のLED100であるLED107、LED108の間隔は第2間隔S2に等しい。
【0034】
このように、表面1010上において、複数のLED100を第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3に沿って並べることで、例えば複数のLED100を上下方向及び左右方向の二つの方向に沿って並べた場合と比較して、複数のLED100を密に配置することができる。また、周縁部R1を含む領域である第2領域AR2において、隣接する一対のLED100が第1間隔S1よりも狭い第2間隔S2で配置される部分を設けることで、複数のLED100を更に密に配置することができる。これらによって、基板101の大型化を抑制しつつ、照明器具A1に求められる照度を実現するために必要な数のLED100を表面1010に実装することができる。
【0035】
(2-1-2)カバー
カバー11は、図5及び図8に示すように、LEDモジュール10を前方から覆うように配置される。
【0036】
カバー11は、ベース部110と、複数のレンズLSと、周縁部112と、を有する(図5及び図7参照)。なお、ベース部110、複数のレンズLS及び周縁部112は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成される。
【0037】
ベース部110は、基板101と前後方向に対向して配置される板状の部材である。より詳細には、ベース部110は、図5に示すように、長方形の平板状に形成された前板部1100と、前板部1100の周囲から後方に立ち上がる側板部1101と、を有する。
【0038】
また、前板部1100の中心部(第1中心部)C1を含む領域にボス1102(図8参照)が設けられている。
【0039】
ボス1102は、円すい台状に形成されて前板部1100の後面から後方に突出しており、その底面にねじ挿通穴が貫通している。
【0040】
側板部1101の後端に周縁部112が設けられる。周縁部112は、側板部1101の後端から全周に渡って外向きに突出する(図5参照)。なお、周縁部112は、前板部1100とほぼ平行である。
【0041】
ベース部110及び周縁部112は、複数の凹部113を有する(図5参照)。複数の凹部113は、ベース部110及び周縁部112の上部及び下部にそれぞれ二つずつ設けられるとともに、ベース部110及び周縁部112の左右両端部にそれぞれ一つずつ設けられる。
【0042】
複数のレンズLSは、図8に示すように、前板部1100の後面に、基板101の表面1010に対向して設けられる。複数のレンズLSは、円すい台状に形成されて前板部1100の後面から後方に突出している。
【0043】
複数のレンズLSは、第1グループG1に属する複数の発光素子(LED)100及び第2グループG2に属する複数の発光素子(LED)100と一対一に対応するように設けられる。
【0044】
本実施形態では、複数のレンズLSの各々(以下、単にレンズLSと記載する)は、対応するLED100から出力された光を平行光に近づけるコリメート機能を有している。すなわち、レンズLSは、LED100から放射状に広がる光が入射すると、この光を出射面に向けて集光することで、平行光に近づけるコリメートレンズである。ここで、LED100から出射される光は、レンズLSを通して出射面から出射される。そのため、LED100からの光は、コリメート機能を有するレンズLSにて広がり角を狭めるように制御され、出射面に向けて出射される。
【0045】
複数のレンズLSのうち任意のレンズLSと前板部1100の第1中心部C1との第1距離L1は、カバー11の温度が所定の温度範囲(第1温度範囲)内である場合、複数のLED100のうち任意のレンズLSに対応するLED100と表面1010の第2中心部C10との第2距離L2よりも短い。
【0046】
具体的には、LEDモジュール10は、第1距離L1が、カバー11の温度が第1温度範囲内である場合、第2距離L2の0.998倍~0.9995倍となるように構成される。例えば、LEDモジュール10は、第1距離L1が、カバー11の温度が第1温度範囲内である場合、第2距離L2の0.998倍となるように構成される。
【0047】
上述のように、カバー11は合成樹脂製であり、金属、ガラス等と比較して熱膨張率が大きいため、複数のLED100が発光する際に放熱する熱によってカバー11の温度が上昇した場合に、カバー11は第1中心部C1を中心に外側に膨張する。これにより、カバー11の温度が上昇するに従って第1距離L1は第2距離L2に近づき、カバー11の温度が第1温度範囲より高い温度範囲である第2温度範囲内である場合、第1距離L1と第2距離L2とは等しくなる。ここで、第2温度範囲は、例えば、照明器具A1(が有する複数のLED100)が定格電流で点灯された場合に、カバー11が取り得る温度範囲であり、例えば、60℃を含む温度範囲である。なお、第2温度範囲はカバー11の材質によって変化し得る。
【0048】
以下に、一例として、カバー11が熱膨張した場合の複数のレンズLSのうちのレンズLS1、LS2(図7図10参照)の変化について説明する。なお、図9は、カバー11が第1温度範囲内である場合の、レンズLS1、LS2周辺の拡大図である。また、図10は、カバー11が第2温度範囲内である場合の、レンズLS1、LS2周辺の拡大図である。
【0049】
カバー11が第1温度範囲内である場合、レンズLS1の中心軸Ax11と第1中心部C1との第1距離L1(L11)(図8参照)は、複数のLED100のうちレンズLS1に対応するLED1001の中心軸Ax21と第2中心部C10との第2距離L2(L21)よりも短い。このとき、図9に示すように、レンズLS1の中心軸Ax11と、LED1001の中心軸Ax21とがずれた状態となっている。ここで、レンズLS1は、第1距離L11と第2距離L21が等しくなり、中心軸Ax11と中心軸Ax21が一致した場合にLED1001から出力された光の取り込み効率が最も高くなるように設計されている。すなわち、レンズLS1からの出射光の照度は、中心軸Ax11と中心軸Ax21が一致した場合に最も高くなる。
【0050】
複数のLED100が発光し、カバー11の温度が第2温度範囲内となった場合、第1距離L11と第2距離L21とは等しくなる。このとき、図10に示すように、レンズLS1の中心軸Ax11と、LED1001の中心軸Ax21とが一致する。このとき、レンズLS1からの出射光の照度は最も高くなる。
【0051】
レンズLS1と同様に、複数のレンズLSのうちレンズLS1以外のレンズLSについても、カバー11が第1温度範囲内である場合、第1距離L1は第2距離L2よりも短く、カバー11が第2温度範囲内である場合、第1距離L1と第2距離L2とが等しくなるように構成される。例えば、レンズLS1の下方に設けられたレンズLS2(図8参照)についても、カバー11が第1温度範囲内である場合、第1距離L1(L12)は第2距離L2(L22)よりも短く、カバー11が第2温度範囲内である場合、第1距離L12と第2距離L22とが等しくなるように構成される。ここで、第1距離L12は、レンズLS2の中心軸Ax12と第1中心部C1との距離である。また、第2距離L22は、複数のLED100のうちレンズLS2に対応するLED1002の中心軸Ax22と第2中心部C10との距離である。
【0052】
ここにおいて、カバー11が第1温度範囲内である場合の、中心軸Ax11と中心軸Ax21とのずれ量gp1(図9参照)は、第1距離L11と第2距離L21との差である。つまり、第1距離L1が、カバー11の温度が第1温度範囲内である場合、第2距離L2の0.998倍となるため、ずれ量gp1は第2距離L21の0.002倍となる。同様に、中心軸Ax12と中心軸Ax22とのずれ量gp2(第1距離L12と第2距離L22との差)(図9参照)は、第2距離L22の0.002倍となる。ここで、図8に示すように、レンズLS1はレンズLS2よりも第1中心部C1から離れた場所に設けられており、第2距離L21は第2距離L22よりも長い。したがって、ずれ量gp1はずれ量gp2よりも大きくなる。このように、第1距離L1と第2距離L2との差は、第1中心部C1から離れたレンズLSほど大きくなる。
【0053】
このように、予めカバー11の熱膨張による第1距離L1の伸長を考慮して、複数のLED100が点灯されているときに複数のレンズLSからの出射光の照度が最大となるように光源ユニット1を構成することにより、光源ユニット1の配光性能の低下を抑制できる。
【0054】
(2-1-3)放熱ブロック
放熱ブロック12は、ベース部120と、複数の放熱板121と、を有する(図5参照)。ベース部120は、例えば、アルミ合金によって長方形の平板状に形成される。ベース部120の前面に、複数本のねじ122を用いてLEDモジュール10が取り付けられることにより、LEDモジュール10の基板101とベース部120が機械的及び熱的に接続される。また、ベース部120の後面における四隅に角柱状の突部1202が設けられている(図5参照)。これら四つの突部1202の左右方向の外側面に、二つのねじ穴1200、1201が設けられている。さらに、ベース部120の左右両側面には、それぞれ一対のねじ穴1200が設けられている(図5参照)。
【0055】
複数の放熱板121は、例えば、アルミ合金によって平板状に形成される。これら複数の放熱板121は、一定の間隔を空けて、ベース部120の後面に取り付けられる(図4及び図5参照)。放熱ブロック12は、点灯中の複数のLED100で発生する熱を効率的に放熱することにより、LEDモジュール10の温度上昇を抑制して発光効率の向上などを図ることができる。
【0056】
(2-1-4)枠体
枠体13は、長方形の筒状に形成された周壁131と、周壁131の内周面から全周に渡って内向きに突出するフランジ部132と、フランジ部132に設けられた複数の固定部133と、フランジ部132の前端に設けられた突壁135と、を有する。なお、周壁131、フランジ部132、複数の固定部133及び突壁135は、アルミダイカストなどで一体に形成される。また、フランジ部132の四隅に貫通穴136が設けられている(図5参照)。
【0057】
複数の固定部133は、前後方向において、複数の凹部113と対向する位置に設けられる。各固定部133は、台形状に形成される(図5参照)。各固定部133は、前後方向に貫通する貫通穴134が設けられる。
【0058】
突壁135は、周壁131の四隅を除いた前端から前方へ突出している(図5及び図6参照)。ただし、突壁135の外周面と周壁131の外周面は面一である。
【0059】
(2-1-5)シール部材
シール部材14は、長方形の筒状に形成された本体140と、本体140の外周面に設けられた複数の突部142と、本体140の内周面に設けられた複数の固定片143と、を有する(図5参照)。なお、本体140の四隅は面取りされている。本体140、複数の突部142及び複数の固定片143は、シリコーンゴムによって一体に形成される。ただし、シール部材14は、シリコーンゴム以外の弾性材料で形成されても構わない。
【0060】
本体140の内部には、本体140の内周面に開口する溝141が全周に渡って形成されている(図5参照)。
【0061】
複数の固定片143は、前後方向において、カバー11の複数の凹部113と対向する位置に設けられる。各固定片143は、台形状に形成される(図5参照)。
【0062】
(2-1-6)光源ユニットの組立手順
次に、光源ユニット1の組立手順を説明する。ただし、以下に説明する組立手順は一例であり、幾つかの手順の順番を入れ替えても構わない。
【0063】
まず、組立作業を行う作業者は、放熱ブロック12のベース部120の前面にLEDモジュール10を取り付ける。LEDモジュール10は、複数本のねじ122でベース部120にねじ止めされる。
【0064】
続いて、作業者は、カバー11の外側にシール部材14を被せ、シール部材14の本体140の溝141にカバー11の周縁部112を挿入することでカバー11にシール部材14を装着する。このとき、カバー11の複数の凹部113とシール部材14の複数の固定片143が一対一で重なる。
【0065】
それから、作業者は、シール部材14を装着したカバー11に、前方から枠体13を被せ、枠体13の複数の固定部133をシール部材14の複数の固定片143と前後方向に重ねるようにして、ベース部120の前面にカバー11、シール部材14及び枠体13を配置する。
【0066】
続いて、作業者は、LEDモジュール10とカバー11とを、前方から見たときに、第1中心部C1と第2中心部C10とが一致した状態で互いに固定する。より詳細には、作業者は、段付きねじであるねじ16を用いてLEDモジュール10とカバー11とを互いに固定する。ここで、ねじ(段付きねじ)16は、少なくとも一部に雄ねじ部161が設けられた軸部160及び軸部160の一端に設けられたねじ頭162を有する。また、ねじ16の軸部160は、ねじ頭162から突出し、雄ねじ部161が設けられていない胴部163を有する。
【0067】
具体的には作業者は、ねじ16を、第1中心部C1に設けられる貫通孔(第1貫通孔)1103及び第2中心部C10に設けられる貫通孔(第2貫通孔)1011を介して、放熱ブロック12に設けられるねじ穴1204に前方からねじ止めする。これにより、光源モジュール10とカバー11とは、第1中心部C1と第2中心部C10とが一致した状態で互いに固定される。このとき、図11に示すように、ねじ16のねじ頭162と第1貫通孔1103の周縁部1105(ボス1102の底面)との間には、シール部材17が配置される。ねじ頭162と周縁部1105とはシール部材17を介して接触している。ここで、シール部材17は例えばゴム等の粘弾性体からなるOリングである。つまり、シール部材17の形状は、図7及び図11に示すように、周縁部1105に沿った円環状に形成される。シール部材(Oリング)17の内周部は、ねじ16の胴部163の前後方向における少なくとも一部と全周に亘って接触している。これらにより、ねじ16と第1貫通孔1103との間の隙間がシール部材(Oリング)17でシールされるため、外部からLEDモジュール10へ雨等の水分が進入する可能性を低減することができる。
【0068】
それから、作業者は、各固定部133の貫通穴134から各固定片143の貫通穴144にねじ15を挿通し、ベース部120に設けられた複数のねじ穴1203にねじ15を1本ずつねじ込む。その結果、枠体13とベース部120の間でシール部材14とカバー11を挟み込むようにしてカバー11及びシール部材14がベース部120に取り付けられる(図6参照)。
【0069】
以上の手順で光源ユニット1の組立が完了する。
【0070】
(2-2)連結部材
一対の連結部材4は同一の構成を有している。各連結部材4は、主片40と、前側片41と、後側片42と、を有する(図1図4参照)。主片40は、長方形の平板状に形成される。前側片41は、平板状に形成され、主片40の長手方向に沿った一端(前端)から主片40の厚み方向に突出する。後側片42は、台形の平板状に形成され、主片40の長手方向に沿った他端(後端)から主片40の厚み方向に突出する(図4参照)。ただし、主片40と前側片41と後側片42は、1枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。
【0071】
主片40は、円形の第1穴401、長円形の第2穴402、同じく長円形の挿通穴403を、それぞれ二つずつ有している(図1及び図3参照)。二つの第1穴401は、主片40の長手方向の中央において、主片40の長手方向に沿って並ぶように設けられる。二つの第2穴402は、主片40の長手方向の両端に一つずつ設けられる。二つの挿通穴403は、主片40の長手方向において、第1穴401と第2穴402の間の位置に一つずつ設けられる。
【0072】
前側片41は、長手方向の中央部分が台形状に形成されている(図1参照)。また、後側片42は、二つの嵌合部420を有している(図4参照)。二つの嵌合部420は、それぞれ長円形の貫通穴で構成される。これら二つの嵌合部420は、後側片42の長手方向に沿って並んでいる。
【0073】
一つの連結部材4は、上下に並べた2台の光源ユニット1のそれぞれのベース部120の左側面に、各々2本(合計4本)の締結部品(六角ボルト)46で締結される。4本の締結部品46は、主片40の二つの第1穴401と二つの第2穴402にそれぞれ1本ずつ挿通される。長手方向の一方側(上側)の第1穴401と第2穴402にそれぞれ1本ずつ挿通された2本の締結部品46は、上側の光源ユニット1のベース部120に設けられた二つのねじ穴1200に1本ずつねじ込まれる。同様に、長手方向の他方側(下側)の第1穴401と第2穴402にそれぞれ1本ずつ挿通された2本の締結部品46は、下側の光源ユニット1のベース部120に設けられた二つのねじ穴1200に1本ずつねじ込まれる。もう一つの連結部材4についても同様に、上下に並べた2台の光源ユニット1のそれぞれのベース部120の右側面に、各々2本(合計4本)の締結部品(六角ボルト)46で締結される。なお、後側片42に設けられた二つの嵌合部420は、2台の光源ユニット1のそれぞれのベース部120に設けられた突部1202と嵌合する(図4参照)。
【0074】
また、各連結部材4の二つの挿通穴403に固定部品47が1本ずつ挿通される。固定部品47は、いわゆる段付ねじである。固定部品47は、主片40の各挿通穴403に挿通され、ベース部120において二つのねじ穴1200の間に設けられたねじ穴にねじ込まれる。
【0075】
これにより、2台の光源ユニット1は、上下2段に並んだ状態で、一対の連結部材4によって連結される(図1参照)。
【0076】
(2-3)電源ユニット
電源ユニット2は、電源装置(不図示)と、電源装置を収容する電源ケース20と、を備える。
【0077】
電源装置は、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換するとともに、光源ユニット1のLEDモジュール10に供給する直流電流を目標値(例えば、LEDモジュール10の定格電流値)に一致させるように動作する。ただし、電源装置は、LEDモジュール10に供給する直流電流の目標値を定格電流値よりも低い値に調整する機能(調光機能)を有しても構わない。
【0078】
電源ケース20は、一面(後面)が開口した箱状のケース本体21と、ケース本体21の開口面(後面)を塞ぐケース蓋22と、を有する。ケース本体21及びケース蓋22は、いずれもアルミ合金で形成されている。
【0079】
ケース本体21の左右両側面にケース側取付部23が一つずつ設けられている(図2及び図4参照)。各ケース側取付部23は、円柱状に形成され、ケース本体21の左右両側面における上下方向のほぼ中央から左右方向に突出するようにケース本体21と一体に形成されている。
【0080】
各ケース側取付部23の底面の中心にねじ穴230が設けられている(図2参照)。また、片方(左側)のケース側取付部23の底面において、ねじ穴230の周囲に三つの突部231が設けられている。これら三つの突部231は、いずれも円柱状に形成され、ねじ穴230を中心とする同心円上に等間隔に並ぶように配置されている。また、片方(左側)のケース側取付部23の底面において、二つの突部231の間にめねじ部234が設けられている(図2参照)。なお、電源ケース20の底面から2本の給電線P2が導出されている(図4参照)。1本の給電線P2は、下側の光源ユニット1と電気的に接続されて電源装置から出力する直流電流を下側の光源ユニット1に供給する。もう1本の給電線P2は、上側の光源ユニット1と電気的に接続されて電源装置から出力する直流電流を上側の光源ユニット1に供給する。
【0081】
ケース蓋22は、長方形の平板状に形成される(図4参照)。ケース蓋22は、ケース本体21の後端面と重ねてケース本体21の開口面に被せられ、複数のねじ221でケース本体21にねじ止めされる(図4参照)。なお、ケース本体21の開口面とケース蓋22の間の隙間は、シール部材でシールされる。
【0082】
電源ユニット2は、一対の固定台6によって2台の光源ユニット1に固定される(図1図4参照)。各固定台6は、固定板60と、一対の側板61と、を有する。固定板60は、おおよそ四角形の平板状に形成されている(図4参照)。ただし、固定板60には、複数(図示例では四つ)の通気穴600が設けられている(図4参照)。固定板60は、その後端部を複数本(図示例では4本)のねじ601でケース本体21にねじ止めすることで電源ユニット2と機械的に接続される(図4参照)。
【0083】
一対の側板61は、それぞれ固定板60の上端縁及び下端縁から左右方向に突出するように固定板60と一体に形成されている。各側板61は、その前端部を複数本(図示例では2本)のねじ602で放熱ブロック12のベース部120にねじ止めすることで光源ユニット1と機械的に接続される(図4参照)。これにより、電源ユニット2は、一対の固定台6によって一つの光源ユニット1(の放熱ブロック12)に固定される。
【0084】
(2-4)表示部材
表示部材5は、金属板によって円板状に形成されている(図2参照)。表示部材5の中央に円筒状の凹所53が設けられている。凹所53は、表示部材5の表面(表示面50)から裏面に向かって凹んでいる。凹所53の底面における円の中心に円形の挿通穴530が貫通している。また、凹所53の底面における挿通穴530の周囲に、三つの位置決め穴531が等間隔に並ぶように貫通している。さらに、凹所53の底面における二つの位置決め穴531の間に円形の取付穴532が貫通している。
【0085】
表示部材5の表示面50に複数の第1目盛り51と複数の第2目盛り52が印されている。複数の第1目盛り51及び複数の第2目盛り52は、表示面50の径方向に沿った線分で表され、例えば、表示面50に刻印されている。ただし、表示部材5は、複数の第1目盛り51及び複数の第2目盛り52を表示面50に印刷しても構わない。あるいは、表示部材5は、複数の第1目盛り51と複数の第2目盛り52が印刷されたシールを表示面50に貼付しても構わない。
【0086】
また、表示部材5の周縁部分にストッパ54が設けられている(図2参照)。ストッパ54は、表示部材5の表示面50から裏面に向かって突出するように切り起こされている。
【0087】
(2-5)支持部材
支持部材3は、アームとも呼ばれ、固定部30と、固定部30の左右両端から斜め上向きに立ち上がる一対の腕部31と、一対の腕部31の先端(上端)に設けられた取付部32と、左側の腕部31に設けられた指示部33と、を有する(図2参照)。ただし、支持部材3は、金属板を加工することによって、固定部30、一対の腕部31、一対の取付部32、及び指示部33を一体に形成している。
【0088】
固定部30は、第1挿通穴301、第2挿通穴302、複数の第3目盛り303、及び複数の第4目盛り304を有する(図2参照)。第1挿通穴301は、固定部30のほぼ中心を、固定部30の厚み方向(上下方向)に貫通する円形の穴である。第2挿通穴302は、第1挿通穴301を中心とし、固定部30の厚み方向に貫通する半円弧状の長穴である。なお、第2挿通穴302は、その両端を除く部分が第1挿通穴301の後方に位置している(図2参照)。固定部30は、第1挿通穴301に挿通されるボルト及び第2挿通穴302に挿通されるボルトを用いて、被固定面である架台Z1(図1参照)に固定される。また、固定部30は、各ボルトに締め付けるナットをそれぞれ緩めた状態で、第1挿通穴301に挿通されたボルトを支点(回転軸)として回転可能である。
【0089】
固定部30の表示面300に複数の第3目盛り303と複数の第4目盛り304が印されている。複数の第3目盛り303及び複数の第4目盛り304は、表示面300における回転軸(第1挿通穴301に挿通されたボルト)の径方向に沿った線分で表され、例えば、表示面300に刻印されている。ただし、固定部30は、複数の第3目盛り303及び複数の第4目盛り304を表示面300に印刷しても構わない。あるいは、固定部30は、複数の第3目盛り303と複数の第4目盛り304が印刷されたシールを表示面300に貼付しても構わない。複数の第3目盛り303及び複数の第4目盛り304は、固定部30の回転方向(第1挿通穴301の周方向)に沿って表示面300に等間隔に印される。
【0090】
一対の腕部31は、固定部30の左右両端から、前方かつ斜め上向きに立ち上がっている(図3参照)。各腕部31の先端に取付部32が一体に設けられる。各取付部32は、半円形状であり、その中心に丸穴320が貫通している(図2参照)。
【0091】
指示部33は、左右方向から見て略台形状に形成され、左側の腕部31の先端(左側の取付部32の下方)における後端縁から後方に突出している(図3参照)。指示部33の上端縁は、左方向からの平面視で表示部材5の表示面50と重なる(図3参照)。つまり、指示部33は、支持部材3に対して光源ユニット1が回転した角度を、指示部33の上端縁と重なる表示部材5の目盛り(第1目盛り51及び第2目盛り52)によって指示できる。なお、指示部33は、表示部材5の目盛り(第1目盛り51及び第2目盛り52)と合わすべき上端縁を明示するため、その表面に目印330を印している(図2参照)。
【0092】
ところで、支持部材3は、表示部材5の回転をロックするためのロック機構34を有する。ロック機構34は、ハンドル340と固定金具341を有する(図4参照)。ハンドル340は、金属棒をL字状に折り曲げて形成されている。ハンドル340の先端部分に雄ねじ342が一体に形成されている(図4参照)。
【0093】
固定金具341は、金属板によって角とい状に形成される(図4参照)。また、固定金具341は、底面における長手方向の一端に貫通穴を有し、長手方向の他端に回り止め用の突起3410を有する。
【0094】
ロック機構34は、固定金具341の内側にナットを収容し、指示部33に設けられた穴331に突起3410を挿入して引っ掛けた後、ハンドル340の雄ねじ342を、指示部33に設けられた穴を通して固定金具341の貫通穴に挿通する。そして、ロック機構34は、固定金具341の内側に突出する雄ねじ342にナットを締め付けて指示部33(支持部材3)に取り付けられる。なお、ナットは、固定金具341の内側面に当たることで回り止めされている。また、固定金具341と指示部33の間の隙間に表示部材5が挿入される(図4参照)。
【0095】
これにより、ロック機構34は、ハンドル340が時計回り(右回り)に回転すると、ナット及び固定金具341を回り止めしているために固定金具341が指示部33に近付く向きに移動し、固定金具341と指示部33とで表示部材5を挟んで固定する。これにより、ロック機構34は、表示部材5の回転、すなわち、電源ケース20及び光源ユニット1の回転をロックできる。一方、ロック機構34は、ハンドル340が反時計回り(左回り)に回転すると、固定金具341が指示部33から離れる向きに移動するので、表示部材5(電源ケース20及び光源ユニット1)が回転可能となる。
【0096】
(2-6)照明器具の組立手順
次に、照明器具A1の組立手順を説明する。ただし、以下に説明する組立手順は一例であり、幾つかの手順の順番を入れ替えても構わない。
【0097】
まず、組立作業を行う作業者は、2台の光源ユニット1を短手方向に並べ、二つの連結部材4を用いて連結する。それから、作業者は、1台の光源ユニット1の背面に、一対の固定台6によって電源ユニット2を取り付ける。
【0098】
続いて、作業者は、凹所53の底面に貫通する三つの位置決め穴531に、片方(左側)のケース側取付部23に設けられた三つの突部231を一つずつ挿入して表示部材5をケース側取付部23に位置決めする。それから、作業者は、表示部材5の取付穴532に挿通したねじ55を、ケース側取付部23のめねじ部234にねじ込むことにより、表示部材5を電源ケース20のケース側取付部23に取り付ける。
【0099】
次に、作業者は、円筒形のスペーサ232(図2参照)に挿通した取付ねじ233を、支持部材3の一対の取付部32の丸穴320に挿通し、電源ケース20のケース側取付部23に設けられているねじ穴230にねじ込む。これにより、支持部材3は、取付ねじ233の頭部とケース側取付部23の底面の間にスペーサ232を挟み込むことにより、電源ケース20及び一対の固定台6を介して、2台の光源ユニット1を回転可能に支持できる。
【0100】
以上の手順で照明器具A1の組立が完了する。
【0101】
(2-7)照明器具の施工
照明器具A1は、例えば、コンクリート製の支柱の先端部分に設置された架台Z1に取り付けられる。照明器具A1は、支持部材3の固定部30を架台Z1にねじ締結することで架台Z1に固定される(図1参照)。ただし、図1では固定部30を架台Z1に固定するためのねじの図示を省略している。
【0102】
また、照明器具A1は、落下防止用のワイヤ70と落下防止金具71を有する。落下防止金具71は、架台Z1にねじ締結される。ワイヤ70は、落下防止金具71のリングに挿通される(図1及び図3参照)。ワイヤ70の両端は、各固定板60の通気穴600に挿通された後、下側の電源ケース20の左右の側壁にそれぞれ設けられているワイヤ固定部218に固定される。各ワイヤ固定部218には、ワイヤ70の両端に形成されている2つのループが一つずつ固定される。これにより、支持部材3の固定部30が照明台から外れた場合、あるいは、支持部材3の取付部32が電源ケース20のケース側取付部23から外れた場合、ワイヤ70が電源ケース20を支持することで照明器具A1の落下が防止される。また、固定台6が光源ユニット1とともに電源ケース20から外れた場合、ワイヤ70が固定台6を支持することで光源ユニット1の落下が防止される。
【0103】
照明器具A1は、ロック機構34のロックを解除した状態において、取付ねじ233を支点(回転軸)として表示部材5(光源ユニット1及び電源ユニット2)を支持部材3に対して回転可能である。施工作業を行う作業者は、所望の角度の第1目盛り51又は第2目盛り52を指示部33の上端縁に重ねるように表示部材5を回転させる(図3参照)。これにより、作業者は、照明器具A1の鉛直方向の角度、すなわち、照明器具A1から放射される照明光の鉛直方向における向きを調整できる。ただし、照明器具A1において、表示部材5(光源ユニット1及び電源ユニット2)を時計回りに回転させる場合、表示部材5に設けたストッパ54がロック機構34の固定金具341に当たることで表示部材5の回転角度が規制される。
【0104】
(3)実施形態の変形例
次に、実施形態に係る照明器具A1の変形例を説明する。ただし、以下に説明する変形例の照明器具A1の基本構成は、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通である。したがって、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通する構成及び実質的に共通する構成については、同一の符号を付して図示及び説明を適宜省略する。なお、以下の説明において「実質的に共通する構成」とは、形状・大きさなどは多少相違しているが機能は共通している構成を意味する。
【0105】
実施形態に係る照明器具A1は、同一構造の2台の光源ユニット1を備えているが、光源ユニット1の台数は1台でもよいし、3台以上でも構わない。
【0106】
ねじ16は、雄ねじ部161が設けられていない胴部163を有する段付きねじに限定されず、胴部163を有しないねじでもよい。
【0107】
シール部材17の形状は円環状に限定されず、三角形、四角形等の多角形の環状であってもよい。
【0108】
(4)まとめ
本開示の第1の態様の光源ユニット(1)は、平板状の基板(101)の前面(1010)に複数の発光素子(100)を実装した光源モジュール(10)と、透光性を有する合成樹脂製であり、光源モジュール(10)を前方から覆うように配置されたカバー(11)と、を備える。カバー(11)の第1中心部(C1)は、前方から見たときに、前面(1010)の第2中心部(C10)と一致している。カバー(11)は、複数の発光素子(100)と一対一に対応する複数のレンズ(LS)を有する。複数のレンズ(LS)のうち任意のレンズ(LS)と第1中心部(C1)との第1距離(L1)は、カバー(11)の温度が所定の温度範囲内である場合、複数の発光素子(100)のうち任意のレンズ(LS)に対応する発光素子(100)と第2中心部(C10)との第2距離(L2)よりも短い。
【0109】
この態様によれば、カバー(11)の温度が上昇した場合に、第1距離(L1)は第2距離(L2)に近づく。このとき、任意のレンズ(LS)の光の取り込み効率が向上するため、カバー(11)の温度が上昇した場合に、光源ユニット(1)の配光性能の低下を抑制できる。
【0110】
第2の態様の光源ユニット(1)では、第1の態様において、カバー(11)の温度が所定の温度範囲である第1温度範囲より高い温度範囲である第2温度範囲内である場合、第1距離(L1)と第2距離(L2)とは等しい。
【0111】
この態様によれば、カバー(11)の温度が第2温度範囲内にある場合に、任意のレンズ(LS)の光の取り込み効率を最大化することができる。
【0112】
第3の態様の光源ユニット(1)では、第1又は第2の態様において、光源モジュール(10)とカバー(11)とは、前方から見たときに、第1中心部(C1)と第2中心部(C10)とが一致した状態で互いに固定される。
【0113】
この態様によれば、カバー(11)の温度が上昇した場合に、カバー(11)を第1中心部(C1)及び第2中心部(C10)を中心に外側に膨張させることができる。
【0114】
第4の態様の光源ユニット(1)は、第1~第3のいずれかの態様において、シール部材(17)と、少なくとも一部に雄ねじ部(161)が設けられた軸部(160)及び軸部(160)の一端に設けられたねじ頭(162)を有するねじ(16)と、点灯中の複数の発光素子(100)で発生する熱を放熱する放熱ブロック(12)と、を更に備える。光源モジュール(10)とカバー(11)とは、ねじ(16)を、第1中心部(C1)に設けられる第1貫通孔(1103)及び第2中心部(C10)に設けられる第2貫通孔(1011)を介して、放熱ブロック(12)に設けられるねじ穴(1204)に前方からねじ止めすることにより固定される。ねじ頭(162)と第1貫通孔(1103)の周縁部(1105)とはシール部材(17)を介して接触している。
【0115】
この態様によれば、ねじ(16)と第1貫通孔(1103)との間の隙間がシール部材(17)でシールされるため、外部から光源モジュール(10)へ雨等の水分が進入する可能性を低減することができる。
【0116】
第5の態様の光源ユニット(1)では、第4の態様において、シール部材(17)の形状は、周縁部(1105)に沿った円環状に形成される。
【0117】
この状態によれば、シール部材(17)のシール性能を向上することができる。
【0118】
第6の態様の光源ユニット(1)では、第4又は第5の態様において、軸部(160)は、ねじ頭(162)から突出し、雄ねじ部(161)が設けられていない胴部(163)を有する。シール部材(17)は、胴部(163)の少なくとも一部と接触している。
【0119】
この態様によれば、シール部材(17)のシール性能を向上することができる。
【0120】
第7の態様の照明器具(A1)は、第1~第6のいずれかの態様の光源ユニット(1)と、光源ユニット(1)を支持する支持部材(3)と、を備える。
【0121】
この態様によれば、カバー(11)の温度が上昇した場合に、第1距離(L1)は第2距離(L2)に近づく。このとき、任意のレンズ(LS)の光の取り込み効率が向上するため、カバー(11)の温度が上昇した場合に、照明器具(A1)の配光性能の低下を抑制できる。
【0122】
なお、第2~第6の態様は、光源ユニット(1)に必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 光源ユニット
3 支持部材
10 光源モジュール
11 カバー
12 放熱ブロック
16 ねじ
17 シール部材
100 発光素子
101 基板
160 軸部
161 雄ねじ部
162 ねじ頭
163 胴部
1010 前面
1011 第2貫通孔
1103 第1貫通孔
1105 周縁部
1204 ねじ穴
A1 照明器具
C1 第1中心部
C10 第2中心部
L1 第1距離
L2 第2距離
LS レンズ
図1
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