(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165913
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】回転ダンパー、および、ロック装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/16 20060101AFI20241121BHJP
F16F 1/02 20060101ALI20241121BHJP
F16F 9/12 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F16F15/16 E
F16F1/02 Z
F16F9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082501
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴志
【テーマコード(参考)】
3J059
3J069
【Fターム(参考)】
3J059BA02
3J059BB01
3J059CA03
3J059CB18
3J069AA41
(57)【要約】
【課題】スプリングの復元力を保持することを可能とした回転ダンパー、および、ロック装置を提供する。
【解決手段】回転ダンパー10は、粘性流体が充填された環状の充填部11Aと、充填部11A内に配置された軸支部11Bとを備えるハウジング11と、軸支部11Bの周方向に回転可能に軸支部11Bに軸支され、粘性流体による制動力を係合対象に伝える回転体10Rと、充填部11Aの外側に配置され、回転体10Rに周方向の付勢力を伝えるスプリング12と、を備える。ハウジング11と回転体10Rとは、付勢力によって回転する回転体10Rをハウジング11と回転体10Rとの当接によって所定位置に止める規制部を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体が充填された環状の充填部と、前記充填部内に配置された軸支部と、を備えるハウジングと、
前記軸支部の周方向に回転可能に前記軸支部に軸支され、前記粘性流体による制動力を係合対象に伝える回転体と、
前記充填部の外側に配置され、前記回転体に前記周方向の付勢力を伝えるスプリングと、
を備える回転ダンパーであって、
前記ハウジングと前記回転体とは、前記付勢力によって回転する前記回転体を前記ハウジングと前記回転体との当接によって所定位置に止める規制部を備える
回転ダンパー。
【請求項2】
前記回転体は、
前記軸支部の周方向に回転可能に前記軸支部に軸支されるローターと、
前記ローターに回転不能に連結されて前記係合対象に係合する係合部材と、を備える
請求項1に記載の回転ダンパー。
【請求項3】
前記ハウジングと前記回転体とのいずれか一方が第1規制部材であり、
前記ハウジングと前記回転体とのなかで前記第1規制部材以外が第2規制部材であり、
前記規制部は、
前記第1規制部材に備えられる突起と、
前記第2規制部材に備えられ、前記突起が嵌合する溝と、を備える
請求項1に記載の回転ダンパー。
【請求項4】
前記規制部は、
前記ハウジングのなかで前記回転体に覆われるストッパと、
前記回転体のなかで前記ハウジングに対向する下面に位置する当接部であって、前記ストッパに当接して前記回転体を所定位置に止める前記当接部と、を備える
請求項1に記載の回転ダンパー。
【請求項5】
前記周方向に並ぶ複数の前記規制部を備える
請求項1に記載の回転ダンパー。
【請求項6】
前記規制部は、前記回転体の第1部分と、前記ハウジングのなかで前記第1部分に係合する第2部分と、を備え、
各規制部の前記第1部分は、前記スプリングの巻き込みの変更によって他の前記規制部の前記第2部分に係合することが可能に構成される
請求項5に記載の回転ダンパー。
【請求項7】
前記スプリングは、前記周方向に巻かれた螺旋状のコイル部を備え、
前記コイル部は、前記ハウジングが備える座面と、前記回転体が備える天面とに挟まれ、
前記座面と前記天面とは、前記コイル部の外形に準じた螺旋面状を有する
請求項1に記載の回転ダンパー。
【請求項8】
ロッドと、
前記ロッドに係合する請求項1から7のいずれか一項に記載の回転ダンパーと、を備える
ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転ダンパー、および、ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ダンパーは、ハウジング、ハウジングに対して位置決めされた回転軸、ハウジング内に位置するぜんまいばね、ハウジングに係合されるキャップ、および、回転軸のうち、キャップの外部に突出した軸部に固定された歯車を備えている。ぜんまいばねは、外周端と内周端とを有している。外周端はハウジングに固定され、かつ、内周端は回転軸に固定されている。ハウジングとキャップとによって形成されるケージング内には、粘性流体が充填される。回転ダンパーは、クリップをさらに備えている。回転ダンパーによって所定の復元力を得るためには、ぜんまいばねが巻締められるように歯車を回した状態で、キャップにクリップを被せることによって、歯車の回転を拘束する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した回転ダンパーは、歯車の回転を拘束するクリップにぜんまいばねの復元力を保持させる。一方、例えば、回転ダンパーがロッドに組み付けられる場合など、クリップが取り外される場合、ぜんまいばねの復元力が保持されにくい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための回転ダンパーは、粘性流体が充填された環状の充填部と、前記充填部内に配置された軸支部と、を備えるハウジングと、前記軸支部の周方向に回転可能に前記軸支部に軸支され、前記粘性流体による制動力を係合対象に伝える回転体と、前記充填部の外側に配置され、前記回転体に前記周方向の付勢力を伝えるスプリングと、を備える。前記ハウジングと前記回転体とは、前記付勢力によって回転する前記回転体を前記ハウジングと前記回転体との当接によって所定位置に止める規制部を備える。
【0006】
上記課題を解決するためのロック装置は、ロッドと、前記ロッドに係合する上記回転ダンパーと、を備える。
【0007】
上記回転ダンパーおよびロック装置によれば、スプリングの復元力に基づく付勢力によって回転する回転体の位置が規制部によって所定位置に止められる。そして、所定位置に止められた回転体がスプリングに復元力を保持させることが可能である。
【0008】
上記回転ダンパーにおいて、前記回転体は、前記軸支部の周方向に回転可能に前記軸支部に軸支されるローターと、前記ローターに回転不能に連結されて前記係合対象に係合する係合部材と、を備えてもよい。
【0009】
上記回転ダンパーによれば、回転体がローターと係合部材とを別々に備えるから、ローターの位置に独立して係合部材の位置を調整することが可能である。
【0010】
上記回転ダンパーにおいて、前記ハウジングと前記回転体とのいずれか一方が第1規制部材であり、前記ハウジングと前記回転体とのなかで前記第1規制部材以外が第2規制部材であり、前記規制部は、前記第1規制部材に備えられる突起と、前記第2規制部材に備えられ、前記突起が嵌合する溝と、を備えてもよい。
【0011】
上記回転ダンパーによれば、規制部が突起と突起が嵌合する溝とを備えるから、第1規制部材が第2規制部材に当接するのみである場合に比べて、第1規制部材と第2規制部材との間における係合が解除されにくい。そのため、第1規制部材が第2規制部材に対して安定に係合することが可能である。
【0012】
上記回転ダンパーにおいて、前記規制部は、前記ハウジングのなかで前記回転体に覆われるストッパと、前記回転体のなかで前記ハウジングに対向する下面に位置する当接部であって、前記ストッパに当接して前記回転体を所定位置に止める前記当接部と、を備えてもよい。
【0013】
上記回転ダンパーによれば、規制部が回転ダンパーの外部に露出しないから、規制部が係合対象などに接することによって損傷することが抑えられる。
【0014】
上記回転ダンパーにおいて、前記回転ダンパーは、前記周方向に並ぶ複数の前記規制部を備えてもよい。
【0015】
上記回転ダンパーにおいて、回転ダンパーが規制部を1つのみ備える場合に比べて、周方向における回転体の位置を安定させることが可能である。
【0016】
上記回転ダンパーにおいて、前記規制部は、前記回転体の第1部分と、前記ハウジングのなかで前記第1部分に係合する第2部分と、を備え、各規制部の前記第1部分は、前記スプリングの巻き込みの変更によって他の前記規制部の前記第2部分に係合することが可能に構成されてもよい。
【0017】
上記回転ダンパーによれば、スプリングの巻き込みの変更によって回転トルクが変更される。そのため、互いに異なる複数の回転トルクが回転ダンパーに設定可能であって、かつ各回転トルクにおいて復元力が保持される。
【0018】
上記回転ダンパーにおいて、前記スプリングは、前記周方向に巻かれた螺旋状のコイル部を備え、前記コイル部は、前記ハウジングが備える座面と、前記回転体が備える天面とに挟まれ、前記座面と前記天面とは、前記コイル部の外形に準じた螺旋面状を有してもよい。
【0019】
上記回転ダンパーによれば、ハウジングと回転体との間に収容されたコイル部の形状が崩れにくい。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、スプリングの復元力を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、回転ダンパーを備えるロック装置の構造を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1が示す回転ダンパーの構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2が示す回転ダンパーの構造を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2が示すハウジングにスプリングを組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2が示すギアにスプリングを組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2が示す回転ダンパーの組立方法を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、
図2が示す回転ダンパーの組立方法を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、
図2が示す回転ダンパーの作用を説明するための作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から
図11を参照して、回転ダンパーおよびロック装置の一実施形態を説明する。
[ロック装置]
図1を参照してロック装置を説明する。
図1が示すように、ロック装置100は、第1ロッド101、第2ロッド102、基体103、および、回転ダンパー10を備えている。基体103は、ロック対象に取り付けられる。ロック対象は、ロック装置100によるロックの解除が可能な状態で、ロック装置100によってロックされた状態に維持される対象物である。ロック対象は、例えば車両に搭載されるグローブボックスのリッドであってよい。
【0023】
基体103は、第1面103F1を備えている。基体103は、第1支持片103A、第2支持片103B、第1嵌合片103C、および、第2嵌合片103Dを備えている。第1支持片103Aと第2支持片103Bとは、第1面103F1上においてX方向に沿って並んでいる。第1支持片103Aは、第1面103F1から突出し、かつ、先端部において第2支持片103Bに向けてX方向に沿って屈曲している。第2支持片103Bは、第1面103F1から突出し、かつ、先端部において第1支持片103Aに向けてX方向に沿って屈曲している。
【0024】
第1嵌合片103Cと第2嵌合片103Dとは、第1面103F1において、Y方向に沿って並んでいる。Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向において、第1嵌合片103Cおよび第2嵌合片103Dは、第1支持片103Aと第2支持片103Bとの間に位置している。Y方向において、第1支持片103Aおよび第2支持片103Bは、第1嵌合片103Cと第2嵌合片103Dとの間に位置している。
【0025】
第1嵌合片103Cは、第1面103F1から突出し、かつ、Y方向において第1嵌合片103Cを貫通する嵌合孔を有している。第2嵌合片103Dは、第1面103F1から突出し、かつ、Y方向において第2嵌合片103Dを貫通する貫通孔を有している。
【0026】
第1ロッド101は、Y方向に沿って延びる形状を有している。第2ロッド102は、Y方向に沿って延びる形状を有している。第1ロッド101と第2ロッド102とは、X方向に沿って並んでいる。第1ロッド101は、X方向において第2ロッド102に面する側面に第1係合部101Aを有している。第1係合部101Aは、Y方向における第1ロッド101の基端に位置している。第1係合部101Aは、Y方向に沿って並ぶ複数の歯を有している。第2ロッド102は、X方向において第1ロッド101に面する側面に第2係合部102Aを有している。第2係合部102Aは、Y方向における第2ロッド102の基端に位置している。第2係合部102Aは、Y方向に沿って並ぶ複数の歯を有している。
【0027】
回転ダンパー10は、X方向において第1ロッド101と第2ロッド102との間に位置している。回転ダンパー10は、ハウジング11とギア16とを備えている。ギア16は、係合部材の一例である。ハウジング11は、Y方向に沿って延びる形状を有している。ハウジング11は、Y方向における第1端部に第1の嵌合爪11D1(
図2および
図3参照)を備え、かつ、Y方向における第2端部に第2の嵌合爪11D1(
図2および
図3参照)を備えている。ギア16は、有底円筒状を有している。ギア16は、係合筒16Aを有している。係合筒16Aは、複数の歯を備える係合部16A1(
図2参照)を外周面に備えている。係合部16A1は、第1係合部101Aおよび第2係合部102Aに噛み合うことが可能に構成されている。すなわち、回転ダンパー10は、回転ダンパー10が備えるギア16の係合部16A1によって、各ロッド101,102の係合部101A,102Aに係合することが可能に構成されている。
【0028】
ロック装置100では、第1ロッド101が第1支持片103Aと第1面103F1の一部との間に支持され、かつ、第2ロッド102が第2支持片103Bと第1面103F1の一部との間に支持されている。また、回転ダンパー10の第1の嵌合爪11D1が第1嵌合片103Cの嵌合孔に嵌合し、かつ、第2の嵌合爪11D1が第2嵌合片103Dの嵌合孔に嵌合している。これにより、回転ダンパー10の係合部16A1が第1ロッド101の第1係合部101Aに噛み合い、かつ、係合部16A1が第2ロッド102の第2係合部102Aに噛み合う。
【0029】
それゆえに、Y方向に沿う各ロッド101,102の直動運動が、回転ダンパー10の回転運動に変換される。すなわち、Y方向において、第1ロッド101が第1嵌合片103Cから第2嵌合片103Dに向かう方向に沿って直動し、かつ、第2ロッド102が第2嵌合片103Dから第1嵌合片103Cに向かう方向に沿って直動する。これにより、回転ダンパー10が、第2嵌合片103Dを介して第1支持片103Aから第2支持片103Bに向かう方向に沿って回転する。
【0030】
図1が示すように、各ロッド101,102の係合部101A,102AにおけるY方向の端部がギア16の係合部16A1に係合している際に、ロック装置100は、ロック対象をロックされた状態に維持する。これに対して、第1ロッド101および第2ロッド102のいずれか一方がY方向に沿って基端から先端に向かう方向に押し込まれることによって、ロック装置100は、ロック対象がロックされた状態を解除する。
【0031】
[回転ダンパー]
図2から
図6を参照して、回転ダンパーの構造を説明する。
図2が示すように、回転ダンパー10は、ハウジング11、回転体10R、および、スプリング12を備えている。ハウジング11は、樹脂成形品である。ハウジング11は、充填部11Aと軸支部11Bとを備えている。充填部11Aには、粘性流体が充填される。粘性流体は、例えばシリコーンオイルであってよい。充填部11Aは、環状を有している。
図2が示す例では、充填部11Aは、Z方向に沿って延びる周壁を有した円環状を有している。Z方向は、X方向とY方向とによって定められる二次元平面に対して直交する方向である。軸支部11Bは、充填部11A内に配置されている。
図2が示す例では、軸支部11BはXY平面と対向する平面視において、充填部11Aの中央に位置し、かつ、Z方向に沿って延びる円筒状を有している。
【0032】
ハウジング11は、Y方向に沿って延びる形状を有した基部11Cを備えている。充填部11Aおよび軸支部11Bは、Z方向に沿って基部11Cから延びている。基部11Cは、充填部11Aを取り囲む環状を有したスプリング支持部11CSを含んでいる。スプリング支持部11CSは、直線部11CS1と、直線部11CS1に連なる螺旋部11CS2とを備えている。直線部11CS1は、充填部11Aの接線方向に沿って延び、かつ、Y方向に沿って延びる形状を有している。螺旋部11CS2は、充填部11Aの外周面に沿う円環状を有している。螺旋部11CS2は、スプリング12が配置される座面CS2Fを備えている。座面CS2Fは、直線部11CS1との接続部から離れるほど、Z方向において直線部11CS1から離れるような螺旋面状を有している。すなわち、ハウジング11が備える座面CS2Fは、スプリング12が備える後述するコイル部12Aの外形に準じた螺旋面状を有している。
【0033】
ハウジング11は、Y方向において充填部11Aを挟む一対の嵌合片11Dを備えている。各嵌合片11Dは、Z方向に沿って基部11Cから延びる形状を有している。各嵌合片11Dは、Z方向に沿って延びる途中に嵌合爪11D1を有している。各嵌合片11Dにおいて、嵌合爪11D1は、その嵌合爪11D1を含む嵌合片11Dが他の嵌合片11Dと向かい合う面とは反対側の面から突出している。
【0034】
ハウジング11は、充填部11A内に位置する複数のせん断片11Eを備えている。
図2が示す例では、4つのせん断片11Eを備えている。XY平面と対向する視点から見て、複数のせん断片11Eは、充填部11Aの径方向において、充填部11Aと軸支部11Bとの間に位置している。XY平面と対向する視点から見て、複数のせん断片11Eは、充填部11Aと同心の円上において等配され、かつ、各せん断片11Eは、当該円に沿う円弧状を有している。
【0035】
スプリング12は、充填部11A外に配置されている。スプリング12は、回転体10Rに軸支部11Bの周方向における付勢力を伝えるように構成されている。スプリング12は、コイル部12A、基端部12B、および、先端部12Cを備えている。コイル部12Aは、軸支部11Bの周方向に巻かれた螺旋状を有している。基端部12Bは、コイル部12Aにおける第1の端部に連なり、かつ、コイル部12Aの接線方向に延びる直線状を有している。先端部12Cは、コイル部12Aにおける第2の端部に連なっている。先端部12Cは、YZ平面に含まれるようにU字状に屈曲している。
【0036】
回転体10Rは、軸支部11Bの周方向に回転可能に軸支部11Bに軸支されている。回転体10Rは、粘性流体による制動力を係合対象に伝える。本実施形態では、ロック装置100が備える第1ロッド101および第2ロッド102が、係合対象の一例である。回転体10Rは、ローター13、シール部材14、キャップ15、および、ギア16を備えている。
【0037】
ローター13は、樹脂成形品である。ローター13は、軸部13Aと、Z方向において軸部13Aに連なるせん断部13Bとを備えている。軸部13Aは、Z方向に沿って延びる筒状を有している。軸部13Aは、第1部分13A1と第2部分13A2とを有している。Z方向において、第1部分13A1は第2部分13A2に連なっている。第1部分13A1は、ギア16に挿入される一方、第2部分13A2はキャップ15に挿入される。第1部分13A1において、XY平面に沿う矩形状の外形がZ方向に沿って連なっている。第2部分13A2において、XY平面に沿う円形状の外径がZ方向に沿って連なっている。回転ダンパー10が組み立てられた際に、軸部13Aはハウジング11の軸支部11Bに被せられる。すなわち、ローター13は、軸部13Aによって軸支部11Bの周方向に回転可能に軸支部11Bに軸支される。
【0038】
せん断部13Bは、軸部13Aよりも拡径され、かつ、軸部13Aと同心の有底円筒状を有している。せん断部13Bは、複数の外側せん断片13B1と、複数の内側せん断片13B2とを備えている。
図2が示す例では、せん断部13Bは、3つの外側せん断片13B1と、3つの内側せん断片13B2とを備えている。XY平面と対向する視点から見て、各外側せん断片13B1は、軸部13Aと同心の円上に位置し、かつ、当該円に沿う円弧状を有している。XY平面と対向する視点から見て、各内側せん断片13B2は、軸部13Aと同心の円上に位置し、かつ、当該円に沿う円弧状を有している。内側せん断片13B2は、軸部13Aの径方向において、外側せん断片13B1よりも内側に位置している。XY平面と対向する視点から見て、軸部13Aの径方向において、1つの外側せん断片13B1と1つの内側せん断片13B2とが間隔を空けて並んでいる。
【0039】
シール部材14は、環状を有している。シール部材14は、エラストマーなどの弾性材料から形成されてよい。シール部材14は、シール部材14が画定する孔内に軸部13Aが挿通可能であるように構成されている。
【0040】
キャップ15は、樹脂成形品である。キャップ15は、円板状を有している。キャップ15は、Z方向においてキャップ15を貫通する挿通孔15Aを有している。挿通孔15Aは、円形孔である。回転ダンパー10が組み立てられた際に、挿通孔15Aにはローター13の軸部13Aが挿通される。
【0041】
ギア16は、樹脂成形品である。ギア16は、ローター13に回転不能に連結され、かつ、第1ロッド101および第2ロッド102に係合することが可能に構成されている。回転体10Rがローター13とギア16とを別々に備えるから、ローター13の位置に独立してギア16の位置を調整することが可能である。
【0042】
上述したように、ギア16は、有底円筒状を有し、かつ、係合筒16Aが係合部16A1を外周面に有している。ギア16の係合部16A1が、各ロッド101,102の係合部101A,102Aに係合する。ギア16は、Z方向においてギア16を貫通する挿通孔16Bを備えている。挿通孔16Bは、矩形孔である。回転ダンパー10が組み立てられた際に、挿通孔16Bには、ローター13に対するギア16の回転が不可能な状態でローター13の軸部13Aが挿通される。すなわち、ギア16は、挿通孔16Bによってローター13に固定される。
【0043】
図3は、YZ平面であって、かつ、ハウジング11の軸支部11Bを通る平面に沿う回転ダンパー10の断面構造を示している。
図3が示すように、ローター13の軸部13Aは、Z方向において、せん断片13B1,13B2とは反対側に向けて延びる挿入溝13Cを有している。ハウジング11にローター13が取り付けられる際には、ハウジング11の軸支部11Bが挿入溝13Cに挿入され、これによって、ローター13がハウジング11に対する回転が可能な状態でハウジング11に軸支される。ローター13の外側せん断片13B1および内側せん断片13B2は、軸支部11Bの径方向において、内側せん断片13B2と外側せん断片13B1との間にハウジング11のせん断片11Eが位置するように、充填部11A内に配置される。これにより、ローター13がハウジング11に対して回転した際に、充填部11A内に充填された粘性流体が、ハウジング11のせん断片11Eと、ハウジング11のせん断片11Eに対して回転するローター13のせん断片13B1,13B2とによってせん断される。これにより、ローター13内において制動トルクが生じる。
【0044】
キャップ15は、上述した挿通孔15Aに加えて、Z方向においてハウジング11に対向する面に、固定溝15Bを備えている。固定溝15Bは、XY平面と対向する視点から見て、軸部13Aの周方向に沿う環状を有している。挿通孔15Aは、シール溝15A1を含んでいる。シール溝15A1は、Z方向においてハウジング11に対向する面に開口している。シール溝15A1は、XY平面と対向する視点から見て、軸部13Aの周方向に沿う環状を有している。
【0045】
キャップ15がハウジング11に取り付けられる前に、ローター13がハウジング11に取り付けられる。次いで、充填部11A内に粘性流体が充填され、かつ、シール溝15A1にシール部材14が嵌め込まれた状態で、充填部11Aの先端がキャップ15の固定溝15Bに嵌め込まれ、かつ、ローター13の軸部13Aがキャップ15の挿通孔15Aに挿通される。これにより、ローター13とキャップ15との間がシール部材14によってシールされ、かつ、キャップ15に対してローター13が回転することが可能な状態で、ハウジング11に対してローター13とキャップ15とが取り付けられる。
【0046】
ギア16は、挿通孔16Bに軸部13Aが挿通されることによって、ローター13に対する回転が不可能な状態でローター13に取り付けられる。上述したように、軸部13Aのうち、ギア16に挿通される第1部分13A1では、矩形状を有した断面がZ方向において連なり、かつ、挿通孔16Bは矩形孔である。そのため、軸部13Aに取り付けられたギア16は、ローター13に対して回転することができない。すなわち、ギア16が回転する際には、ローター13がギア16とともに回転する。
【0047】
図4は、ハウジング11に対してスプリング12が組み付けられた状態を示している。
図4が示すように、スプリング12のコイル部12Aがハウジング11におけるスプリング支持部11CSの螺旋部11CS2に位置し、かつ、基端部12Bが直線部11CS1に位置する。上述したように、螺旋部11CS2はコイル部12Aの外形に準じた形状を有した座面CS2Fを有するから、コイル部12Aのうち、座面CS2Fに接する部分は、座面CS2Fの形状に追従するように座面CS2F上に位置する。
【0048】
本開示の回転ダンパー10において、ハウジング11と回転体10Rとが、スプリング12の付勢力によって回転する回転体10Rをハウジング11と回転体10Rとの当接によって所定位置に止める規制部を備えている。ハウジング11と回転体10Rとのいずれか一方が第1規制部材であり、ハウジング11と回転体10Rとのなかで第1規制部材以外が第2規制部材である。規制部は、第1規制部材に備えられる突起と、第2規制部材に備えられ、かつ、突起が嵌合する溝とを備えてよい。
【0049】
規制部が突起と突起が嵌合する溝とを備えるから、第1規制部材が第2規制部材に当接するのみである場合に比べて、第1規制部材と第2規制部材との間における係合が解除されにくい。そのため、第1規制部材が第2規制部材に対して安定に係合することが可能である。
【0050】
本実施形態の回転ダンパー10では、ハウジング11が第1規制部材の一例であり、かつ、回転体10Rが第2規制部材の一例である。すなわち、ハウジング11は、規制部に含まれる規制突起11Fを備えている。規制突起11Fは、基部11CからZ方向に沿って突き出ている。
図4が示す例では、ハウジング11は2つの規制突起11Fを備えている。各規制突起11Fは、それぞれ別の規制部に属している。2つの規制突起11Fは、充填部11A外に位置し、かつ、軸支部11Bの周方向において、等間隔で並んでいる。すなわち、ハウジング11は、軸支部11Bの周方向に並ぶ複数の規制部を備えてもよい。回転ダンパーが規制部を1つのみ備える場合に比べて、周方向における回転体10Rの位置を安定させることが可能である。
【0051】
規制突起11Fは、回転ダンパー10が組み立てられた際に、ハウジング11のなかで回転体10Rに覆われる部分である。規制突起11Fは、ストッパの一例でもある。
各規制突起11Fは、YZ平面に沿う被当接面11FFを備えている。被当接面11FFは、第2規制部材が備える溝に当接する面である。
図4が示す例では、被当接面11FFはYZ平面に沿う平坦面である。
【0052】
図5および
図6は、ハウジング11からギア16に向かう方向からギア16を見た際のギア16の構造を示している。なお、
図6は、ギア16の構造とともにスプリング12の構造も示している。
【0053】
図5が示すように、ギア16は、係合筒16Aと環状部16Cとを備えている。Z方向において、環状部16Cは係合筒16Aに連なっている。係合筒16Aは有底筒状を有し、かつ、外周面に複数の歯を含む係合部16A1を備えている。上述した挿通孔16Bは、Z方向に沿って係合筒16Aの底を貫通している。係合筒16Aは、スプリング当接部16A2を内周面に有している。スプリング当接部16A2は、回転ダンパー10が組み立てられた際に、スプリング12のコイル部12Aに当接する面である天面16A2Fを含んでいる。天面16A2Fは、コイル部12Aの外形に準じた螺旋面状を有している。回転ダンパー10において、天面16A2Fは、ハウジング11が備える座面CS2FとともにZ方向においてコイル部12Aを挟む。
【0054】
係合筒16Aは、Z方向において係合筒16Aを貫通する係合孔16A3を備えている。係合孔16A3は、軸支部11Bの周方向において、スプリング当接部16A2における第1の端部と第2の端部とに挟まれている。回転ダンパー10が組み立てられた際に、スプリング12の先端部12Cが係合孔16A3内に挿入され、かつ、係合孔16A3を画定する壁部に係合する。壁部は、係合筒16Aの一部である。
【0055】
環状部16Cは、ハウジング11と対向する面に規制溝16C1を備えている。環状部16Cにおいて、ハウジング11に対向する面は、回転体10Rのなかでハウジング11に対向する下面の一例である。規制溝16C1は、下面に位置する当接部の一例である。規制部が回転ダンパーの外部に露出しないから、規制部が係合対象などに接することによって損傷することが抑えられる。
【0056】
図5が示す例では、環状部16Cは2つの規制溝16C1を備えている。2つの規制溝16C1は、軸支部11Bの周方向において間隔を空けて並んでいる。各規制溝16C1は、XY平面と対向する視点から見て、軸支部11Bの周方向に沿う円弧状を有している。規制溝16C1は、周方向における第1の端部と第2の端部とを含んでいる。規制溝16C1は、第1の端部において、YZ平面に沿う当接面16C1Fを含んでいる。当接面16C1Fは、XF平面に沿う平坦面である。
【0057】
環状部16Cは、複数の当接突起16C2を内周面に備えている。各当接突起16C2はZ方向に沿って延び、かつ、複数の当接突起16C2は軸支部11Bの周方向において間隔を空けて並んでいる。回転ダンパー10が組み立てられた際に、各当接突起16C2は、スプリング12のコイル部12Aに当接することが可能に構成されている。
【0058】
図6が示すように、回転ダンパー10が組み立てられた際には、スプリング12のコイル部12Aがスプリング当接部16A2の天面16A2Fに沿うように天面16A2Fに当接する。これにより、スプリング12のコイル部12Aが座面CS2Fと天面16A2Fとによって挟まれるから、ハウジング11と回転体10Rとの間に収容されたコイル部12Aの形状が崩れにくい。
【0059】
また、スプリング12のうち、先端部12Cは係合孔16A3を画定する壁部に係合し、かつ、係合孔16A3からギア16の外部に露出する。基端部12Bは、コイル部12Aの接線方向に沿って延び、これによって先端部12Cがギア16から露出する。
【0060】
[組立方法]
図7および
図8を参照して回転ダンパー10の組立方法を説明する。
図7および
図8では説明の便宜上、第1の規制突起11Fおよび第1の規制溝16C1を含む断面と、第2の規制突起11Fおよび第2の規制溝16C1を含む断面とが組み合わされている。
【0061】
図7が示すように、回転ダンパー10が組み立てられる際には、まず、ハウジング11の軸支部11Bがローター13の軸部13Aに取り付けられる。これにより、充填部11A内にローター13の外側せん断片13B1および内側せん断片13B2が位置する。次いで、充填部11A内に粘性流体が充填される。続いて、ローター13とキャップ15との間にシール部材14が挟まれるように、シール部材14がローター13に取り付けられ、かつ、キャップ15がハウジング11に取り付けられる。続いて、充填部11Aを取り囲むようにハウジング11にスプリング12が取り付ける。このとき、スプリング12のコイル部12Aは伸長した状態である。
【0062】
図8が示すように、ギア16の天面16A2F(
図5参照)によってスプリング12のコイル部12Aをハウジング11の基部11Cに向けて圧縮しながら、ギア16の挿通孔16Bに軸部13Aの第1部分13A1を嵌め込む。これにより、第1の規制突起11Fにおける被当接面11FF(
図4参照)が第1の規制溝16C1における当接面16C1F(
図5参照)に当接し、かつ、第2の規制突起11Fにおける被当接面11FF(
図4参照)が第1の規制溝16C1における当接面16C1F(
図5参照)に当接する。本実施形態の回転ダンパー10では、第1の規制突起11Fと第1の規制溝16C1とから第1の規制部が構成され、かつ、第2の規制突起11Fと第2の規制溝16C1とから第2の規制部が構成される。
【0063】
本実施形態の回転ダンパー10は、上述したように、軸支部11Bの周方向に沿って並ぶ第1の規制部と第2の規制部とを備えている。各規制部は、回転体10Rが含む規制溝16C1と、ハウジング11のなかで規制溝16C1に係合する規制突起11Fとを備えている。規制溝16C1が第1部分であり、かつ、規制突起11Fが第2部分である。
【0064】
上述したように、第1規制部における第1の規制溝16C1は、第1の規制部における第1の規制突起11Fに係合することが可能に構成されている。一方で、第1の規制部における規制溝16C1は、スプリング12の巻き込みの変更によって、第2の規制部における規制突起11Fに係合することが可能に構成されている。同様に、第2の規制部における規制溝16C1は、スプリング12の巻き込みの変更によって、第1の規制部における規制突起11Fに係合することが可能に構成されている。
【0065】
すなわち、回転ダンパー10は周方向において等配された2つの規制突起11Fを備えるから、ハウジング11に対するギア16の周方向における位置を、180°ずつ変更することが可能である。そのため、スプリング12のトルクも180°ずつ変更することが可能である。
【0066】
本実施形態の回転ダンパー10によれば、スプリング12の巻き込みの変更によって回転トルクが変更される。そのため、互いに異なる複数の回転トルクが回転ダンパー10に設定可能であって、かつ、各回転トルクにおいて復元力が保持される。
【0067】
[作用]
図9から
図11を参照して回転ダンパー10の作用を説明する。
図9から
図11では、各規制突起11Fに対する規制溝16C1の位置を説明する便宜上、XY平面に沿う断面であって、かつ、ギア16の環状部16Cを通る断面を示している。
【0068】
図9は、規制突起11Fに対する規制溝16C1の初期位置を示している。
図9が示すように、回転ダンパー10が組み立てられた状態では、各規制突起11Fの被当接面11FFがその規制突起11Fが位置する規制溝16C1の当接面16C1Fに当接している。これにより、回転体10Rの位置が、規制溝16C1が規制突起11Fに当たる位置に止められている。結果として、回転体10Rがスプリング12に復元力を保持させる。
【0069】
上述したように、規制溝16C1の当接面16C1Fと規制突起11Fの被当接面11FFとは、いずれも平坦面である。そのため、当接面16C1Fおよび被当接面11FFのいずれか一方が曲面である場合に比べて、当接面16C1Fと被当接面11FFとを面によって接触させることが可能である。
【0070】
図10が示すように、第1ロッド101および第2ロッド102のいずれかがY方向に沿って押し込まれると、付勢力に抗する力がギア16に作用する。これにより、例えば、規制突起11Fが周方向における規制溝16C1の中央に位置するように、回転体10Rが回転する。第1ロッド101および第2ロッド102を押し込む力が解除されることによって、ギア16に作用する力が解除された場合には、スプリング12の復元力によって、規制溝16C1の当接面16C1Fに規制突起11Fの被当接面11FFが当接するまで回転体10Rが回転する。
【0071】
この際に、ローター13によって充填部11A内の粘性流体がせん断されるから、ローター13において生じた制動トルクが、各ロッド101,102の直動運動を減衰させる。結果として、ギア16の係合部16A1と各ロッド101,102の係合部101A,102Aとの噛み合いによって生じる音やがたつきが抑えられる。
【0072】
また例えば、
図11が示すように、周方向における規制溝16C1の当接面16C1Fとは反対側の端部に規制突起11Fが位置するように、回転体10Rが回転する。この場合にも、ギア16に作用する力が解除された場合には、スプリング12の復元力によって、規制溝16C1の当接面16C1Fに規制突起11Fの被当接面11FFが当接するまで回転体10Rが回転する。この際にも、ギア16の係合部16A1と各ロッド101,102の係合部101A,102Aとの噛み合いによって生じる音やがたつきが抑えられる。
【0073】
なお、本実施形態の回転ダンパー10によれば、上述したように、回転ダンパー10に係合する部材の作動音や動作時のがたつきが抑えられる。これにより、回転ダンパー10を備える物品の操作性を高め、結果として、物品が搭載された環境の快適性を高めることが可能でもある。
【0074】
以上説明したように、回転ダンパーおよびロック装置の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)復元力に基づく付勢力によって回転する回転体10Rの位置が規制部によって所定位置に止められる。そして、所定位置に止められた回転体10Rがスプリング12に復元力を保持させることが可能である。
【0075】
(2)回転体10Rがローター13とギア16とを別々に備えるから、ローター13の位置に独立してギア16の位置を調整することが可能である。
(3)規制部が規制突起11Fと規制突起11Fが嵌合する規制溝16C1とを備えるから、第1規制部材が第2規制部材に当接するのみである場合に比べて、第1規制部材と第2規制部材との間における係合が解除されにくい。そのため、第1規制部材が第2規制部材に対して安定に係合することが可能である。
【0076】
(4)規制部が回転ダンパー10の外部に露出しないから、規制部が係合対象などに接することによって損傷することが抑えられる。
(5)回転ダンパー10が規制部を1つのみ備える場合に比べて、周方向における回転体10Rの位置を安定させることが可能である。
【0077】
(6)スプリング12のコイル部12Aが座面CS2Fと天面16A2Fとによって挟まれるから、ハウジング11と回転体10Rとの間に収容されたコイル部12Aの形状が崩れにくい。
【0078】
(7)スプリング12の巻き込みの変更によって回転トルクが変更される。そのため、互いに異なる複数の回転トルクが回転ダンパー10に設定可能であって、かつ、各回転トルクにおいて復元力が保持される。
【0079】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[規制部]
・回転ダンパー10は、規制部を1つのみ備えてもよい。あるいは、回転ダンパー10は3つ以上の規制部を備えてもよい。例えば、回転ダンパー10が3つの規制部を備え、かつ、3つの規制部が軸支部11Bの周方向において等配されている場合には、ハウジング11に対するギア16の周方向における位置を、120°ずつ変更することが可能である。そのため、スプリング12のトルクも120°ずつ変更することが可能である。
【0080】
・規制部が備えるストッパは、ハウジングのなかで回転体10Rに覆われていない部分に位置してもよい。この場合には、ストッパに当接する当接部は、例えば回転体10Rの側面に位置することによって、回転体10R外に露出したストッパに当接することが可能である。
【0081】
・ハウジング11と回転体10Rとは、ハウジング11の被当接部と回転体10Rの当接部とが当接することによって、回転体10Rを所定位置に止めることが可能であればよい。そのため、例えば、ハウジング11の被当接部と回転体10Rの当接部とは、互いに当接することが可能に構成された段差部であってもよい。あるいは、ハウジング11の被当接部と回転体10Rの当接部との両方が、互いに当接することが可能に構成された凸部であってもよい。またあるいは、ハウジング11の被当接部と回転体10Rの当接部のいずれかが凸部であり、かつ、被当接部と当接部のなかで凸部以外が、凸部が当接することが可能に構成された壁部であってもよい。
【0082】
[座面および座面]
・座面CS2Fおよび天面16A2Fの少なくとも一方が螺旋面状を有していなくてもよい。例えば、座面CS2Fおよび天面16A2Fの少なくとも一方が平坦面であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…回転ダンパー
10R…回転体
11…ハウジング
11A…充填部
11B…軸支部
11F…規制突起
12…スプリング
12A…コイル部
13…ローター
13A…軸部
14…シール部材
15…キャップ
16…ギア
16A…係合部
16C1…規制溝
100…ロック装置
101…第1ロッド
102…第2ロッド