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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165915
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】リバーシブル仕立ての衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20241121BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20241121BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20241121BHJP
   A41D 1/14 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A41D27/20 E
A41D27/00 A
A41D13/00 112
A41D1/14 501F
A41D1/14 501K
A41D1/14 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082505
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】秋田 祐作
(72)【発明者】
【氏名】永松 裕平
【テーマコード(参考)】
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B035AA16
3B035AA18
3B035AA19
3B035AA23
3B035AB09
3B035AC03
3B035AC15
3B211AB11
3B211AC21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1生地および第2生地のいずれを表側にして着用した場合においてもポケットの容量を確保できると共に、デザイン自由度を向上させることができる、リバーシブル衣服を提供する。
【解決手段】第1状態において表側に位置する第1生地20と裏側に位置する第2生地30とを有し、第2状態において第1生地20が裏側に位置すると共に第2生地30が表側に位置し、第1状態及び第2状態のいずれでも着用可能なリバーシブル仕立ての衣服1は、第1生地20と第2生地30との間で第1生地20側に配置される第1ポケット袋50と、第1生地20と第2生地30との間で第2生地30側に配置される第2ポケット袋60と、を備え、第1ポケット袋50は、第1生地20に設けられた第1ポケット口51に開口し、第2ポケット袋60は、第2生地30に設けられた第2ポケット口に開口する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1状態において表側に位置する第1生地と裏側に位置する第2生地とを有し、第2状態において第1生地が裏側に位置すると共に第2生地が表側に位置し、第1状態及び第2状態のいずれでも着用可能なリバーシブル仕立ての衣服であって、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第1生地側に配置される第1ポケット袋と、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第2生地側に配置される第2ポケット袋と、を備え、
前記第1ポケット袋は、前記第1生地に設けられた第1ポケット口に開口し、
前記第2ポケット袋は、前記第2生地に設けられた第2ポケット口に開口する
リバーシブル仕立ての衣服。
【請求項2】
前記第1生地側に配置される第1ポケット生地と、
前記第1ポケット生地に対向配置されると共に、前記第2生地側に配置される第2ポケット生地と、
前記第1ポケット生地と前記第2ポケット生地との間に配置される第3ポケット生地と、を備え、
前記第1ポケット生地と前記第2ポケット生地と前記第3生地とは、重ね合わされた状態で、周縁部の少なくとも一部が縫合されて、前記第1ポケット袋と、前記第2ポケット袋とを有するポケット袋体を形成する請求項1に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【請求項3】
前記ポケット袋体は、上縁部が前記衣服に備えられた水平方向に延びる縫い目部分に縫合されている請求項2に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【請求項4】
前記ポケット袋体の後縁部は、前記第1ポケット口および前記第2ポケット口を除いて、前記第1生地の第1脇線および前記第2生地の第2脇線に沿って縫合されている請求項3に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【請求項5】
前記ポケット袋体は、前記第1ポケット袋および/または前記第2ポケット袋に設けられた第1容量拡大部および/または第2容量拡大部を有する請求項2に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバーシブル仕立ての衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表生地を表側にして着用したときに表生地と裏生地との間に配置されたポケット袋で構成された第1ポケットと、裏生地を表側にして着用したときに裏生地の外側にポケット生地を追加したいわゆるパッチポケットで構成された第2ポケットとを有する、リバーシブル仕立ての上着が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-056709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、テニス等のスポーツのように複数のテニスボール等の収容物をポケットに収容する衣服をリバーシブル仕立てに構成する場合、ポケットは、表生地および裏生地のいずれを表側にして着用した際においても、ポケット袋の容量が必要となる。
【0005】
特許文献1に開示されている衣服のポケットでは裏生地のポケットがパッチポケットであるため、ポケット袋の容量が不足する場合がある。また、パッチポケットは、衣服の外表面に別生地が追加されるため、外観上目立ち易く、デザイン性の観点から改善の余地がある。
【0006】
本発明は、表生地および裏生地のいずれを表側にして着用した場合においてもポケットの容量を確保できると共に、デザイン自由度を向上させることができる、リバーシブル仕立ての衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
第1状態において表側に位置する第1生地と裏側に位置する第2生地とを有し、第2状態において第1生地が裏側に位置すると共に第2生地が裏側に位置し、第1状態及び第2状態のいずれでも着用可能なリバーシブル仕立ての衣服であって、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第1生地側に配置される第1ポケット袋と、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第2生地側に配置される第2ポケット袋と、を備え、
前記第1ポケット袋は、前記第1生地に設けられた第1ポケット口に開口し、
前記第2ポケット袋は、前記第2生地に設けられた第2ポケット口に開口する、リバーシブル仕立ての衣服。
【0008】
本発明によれば、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、ポケットを第1生地と第2生地との間に位置するポケット袋で構成できる。よって、第1状態及び第2状態のいずれかのポケットを、パッチポケットで構成する場合に比して、ポケットの容量を確保しやすく、さらにポケットが外観上目立ちにくいので、衣服の表面からはすっきり見せることができ、衣服のデザイン自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1生地および第2生地のいずれを表側にして着用した場合においてもポケットの容量確保できると共に、デザイン自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るリバーシブル仕立ての衣服の第1生地を表側にして平置きした場合の左側面図。
図2】本発明に係るリバーシブル仕立ての衣服の第2生地を表側にして平置きした場合の右側面図。
図3図1のポケットの構成を説明するためウエスト部を非表示にしたポケット周辺の説明図。
図4図3のIV-IV線に沿った端面図。
図5図3のV-V線に沿った端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るリバーシブル仕立ての衣服の一実施形態であるテニス用スコート(以下、「スコート」ともいう)1を図面に従って説明する。
【0012】
図1には、第1生地20を表側とした第1状態における、スコート1の左側面図が示されている。図2には、第2生地30を表側とした第2状態における、スコート1の右側面図が示されている。以下、スコート1についてスコート1を着用した着用者が直立した状態を基準にスコート1の上下、左右、及び前後を定める。また、生地の厚み方向の外表面から内部に向かう方向を内側、その逆を外側とし、身幅方向の外側に向かう方向を外側、身幅方向の中央側に向かう方向を内側とする。
【0013】
図1および図2を参照すると、スコート1は、第1生地20を表側とした第1状態と第2生地30を表側とした第2状態とのいずれでも着用可能なリバーシブル仕立ての衣服である。スコート1は、着用者の腰回りを包むスコート本体10と、着用者のウエスト周りに位置するウエスト部40と、スコート本体10側部にそれぞれ設けられており、第1状態で利用可能な第1ポケット袋50及び第2状態で利用可能な第2ポケット袋60とを有する。
【0014】
第1生地20は、着用者の腹側を覆う第1前身頃生地21と、着用者の臀部側を覆う第1後ろ身頃生地22とを有する。第2生地30は、着用者の腹側を覆う第2前身頃生地31と、着用者の臀部側を覆う第2後ろ身頃生地32とを有する。スコート本体10は、第1前身頃生地21と第1後ろ身頃生地22とが幅方向両外側で縫合され、第2前身頃生地31と第2後ろ身頃生地32とが幅方向両外側で縫合されることで、二重の筒状に形成されている。
【0015】
図3は、ポケット袋50,60の構成を説明するためウエスト部40を非表示にしたポケット袋50,60周辺の説明図である。図3では、説明の都合上、第1生地20、第2生地30、および、ポケット袋50,60を構成する各生地の端部をずらして示している。図4は、図3におけるIV-IV線に沿った端面図を示す。
【0016】
図3および図4に示すように、第1後ろ身頃生地22は、第1前身頃生地21の外側に重ね合わされた状態で、第1前身頃生地21の幅方向外側の第1前生地端部21aと第1後ろ身頃生地22の幅方向外側の第1後生地端部22aを縫合した後に外側に折り返されている。言い換えると、第1後ろ身頃生地22の折り返された部分の前縁部22bが、第1脇線23を構成する。これにより、第1後ろ身頃生地22は、第1脇線23から後方に向かって延びた状態で、第1前身頃生地21に縫合されている。本実施形態では、第1前生地端部21aおよび第1後生地端部22aは、内側に折り込まれている。
【0017】
ここでは、第1生地20について説明したが、第2生地30も同様の構成を有しているので、第2脇線33は第2後ろ身頃生地32の前縁部32bによって構成され、第2前生地端部31aおよび第2後生地端部32aも内側に折り込まれている。
【0018】
本実施形態において、第1前身頃生地21と第1後ろ身頃生地22とを縫合する表縫い目部分75aと、第2前身頃生地31と第2後ろ身頃生地32とを縫合する裏縫い目部分75bとは、一つの身頃縫合部75によって構成されている。
【0019】
図1および図2を参照すると、ウエスト部40は、展開状態で長尺な筒状のウエスト生地41と、ウエスト生地41よりも短く、ウエスト生地41に内包される伸縮自在なウエストゴム(図示せず)とを有する。ウエスト部40は、ウエスト生地41の両端部を縫合することで環状に形成されると共に、スコート本体10の上端部に縫合されている。ウエスト部40とスコート本体10とを縫合する縫い目部分42は、着用者のウエスト位置において、周方向に沿って延びている。言い換えると、縫い目部分42は、略水平に延びている。
【0020】
図1および図2に示すように、第1ポケット袋50は第1生地20と第2生地30との間で第1生地20側に配置され、第2ポケット袋60は第2生地20と第2生地30との間で第2生地30側に配置されている。第1状態において、第1生地20の腰回りの左側部には、第1ポケット袋50の第1ポケット口51が設けられている。第2状態において、第2生地30の腰回りの右側部には、第2ポケット袋60の第2ポケット口61が設けられている。第1状態において、第1ポケット袋50は、第1ポケット口51から前方に向かって延びている。第2状態において、第2ポケット袋60は、第2ポケット口61から前方に向かって延びている。
【0021】
着用者は、第1状態において、第1ポケット口51から第1ポケット袋50の第1収容空間S1にアクセス可能となり、第2状態において、第2ポケット口61から第2ポケット袋60の第2収容空間S2にアクセス可能となる。本実施形態において、第1ポケット袋50と第2ポケット袋60は、第1生地20と第2生地30との間に配置されるポケット袋体70によって構成されている。
【0022】
図3および図4に示すように、ポケット袋体70は、第1生地20側に配置される第1ポケット生地71と、第2生地30側に配置される第2ポケット生地72と、第1ポケット生地71と第2ポケット生地72との間に配置される第3ポケット生地73とを有する。第1ポケット生地71、第2ポケット生地72及び第3ポケット生地73は、略同形状である。ポケット袋体70は、第1ポケット生地71、第2ポケット生地72及び第3ポケット生地73を互いに重ね合わせた状態で、これらの周縁部の少なくとも一部を縫合することにより袋状に形成されている。第1収容空間S1は、第1ポケット生地71と第3ポケット生地73との間に構成され、第2収容空間S2は、第2ポケット生地72と第3ポケット生地73との間に構成される。
【0023】
図1および図2に示すように、ポケット袋体70は、前後方向に延びてウエスト部40に縫合される上縁部70aと、上縁部70aの前端から下方に向かうに連れて前方に延びる前縁部70bと、上縁部70aの後端から下方に延びる後縁部70cと、後縁部70cの下端から前方に延びる底縁部70dと、前縁部70bの下端部と底縁部70dの前端部に連続して前方かつ下方に円弧状に湾曲した湾曲部70eとを有する、略台形状である。ポケット袋体70は、湾曲部70eによって、前縁部70bと底縁部70dが滑らかに接続されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、上縁部70a、前縁部70b、後縁部70c、底縁部70d、および、湾曲部70eは、それぞれ、第1~3ポケット生地71,72,73の第1~3上縁部71a,72a,73a、第1~3前縁部71b,72b,73b、第1~3後縁部71c,72c,73c、第1~3底縁部71d,72d,73d、および、第1~3湾曲部71e,72e,73eによって構成されている。
【0025】
図1図3に示すように、第1~3上縁部71a,72a,73aは、ウエスト部40とスコート本体10の縫い目部分42に一体的に縫合されている。第1生地71、第2生地72、第3生地73が一体的に幅方向に重ね合わされた状態で、第1~3前縁部71b,72b,73b、第1~3底縁部71d,72d,73d、および、第1~3湾曲部71e,72e,73eが、それぞれ縫合されている。
【0026】
図3および図4に示すように、第1~3後縁部71c,72c,73cは、表前生地端部21aと、裏前生地端部31aとの間に位置しており、身頃縫合部75によって、表前身頃生地21、表後ろ身頃生地22、裏前身頃生地31及び裏後ろ身頃生地32に一体的に縫合されている。
【0027】
図3に示すように、第1ポケット口51は、第1前身頃生地21および第1ポケット生地71に設けられた第1切欠部21bおよび第1ポケット切欠部71fによって形成されている。
【0028】
第1切欠部21bは、第1前生地端部21aから前方に向かって延びる第1上辺部21cと、第1上辺部21cの前端から下方に向かって延びる第1縦辺部21dと、第1縦辺部21dの下端から後方に向かって延びる第1下辺部21eとを有する。第1上辺部21cおよび第1下辺部21eは、ウエスト部40に沿って第1前生地端部21aから第1脇線23の前側まで延びている。第1縦辺部21dは、第1脇線23よりも前方に位置して、第1脇線23に沿って上下方向に延びている。
【0029】
第1ポケット切欠部71fは、第1切欠部21bと概ね同一の形状を有する。第1ポケット切欠部71fは、第1上辺部21c、第1縦辺部21d、および、第1下辺部21eに、それぞれ対応する、第1ポケット上辺部71g、第1ポケット縦辺部71h、および、第1ポケット下辺部71iとを有する。
【0030】
図3および図5に示すように、第1縦辺部21dと第1ポケット縦辺部71hは、第1脇線23よりも前方に位置しているため、身頃縫合部75で縫合されていない。すなわち、第1縦辺部21dと第1ポケット縦辺部71hとによって第1ポケット口51が構成されている。
【0031】
図3および図5を参照しながら、第1ポケット口51の作り方について説明する。第1ポケット口51は、第1前身頃生地21と第1ポケット生地71とを重ね合わせた状態で、第1縦辺部21dおよび第1ポケット縦辺部71hに沿って縫合し、第1上辺部21c、第1ポケット上辺部71g、第1下辺部21e、および、第1ポケット下辺部71iに対応する位置にスリットを設け、スリット間に形成される第1折返し片21fおよび第1ポケット折返し片71jが第1前身頃生地21と第1ポケット生地71との間に配置されるように折り返されることで形成される。言い換えると、第1折返し片21fおよび第1ポケット折返し片71jが折返された後の後縁部が第1縦辺部21dおよび第1ポケット縦辺部71hを構成する。
【0032】
第2ポケット口61は、第1前身頃生地21と第1ポケット生地71と同様に、第2切欠部31bと第2ポケット切欠部72fによって形成されている。第2切欠部31bは、第2上辺部31c、第2縦辺部31d、第2下辺部31e、および、第2折返し片31fを有する。第2ポケット切欠部72fは、第2ポケット上辺部72g、第2ポケット縦辺部72h、および、第2ポケット下辺部72i、および、第2ポケット折返し片72fを有する。第2縦辺部31dと第2ポケット縦辺部72hは、第2脇線33よりも前方に位置しているため、身頃縫合部75で縫合されていない。すなわち、第2縦辺部31dと第2ポケット縦辺部72hとによって第2ポケット口61が構成されている。
【0033】
図3に示すように、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60には、第1容量拡大部52および第2容量拡大部62が設けられている。
【0034】
本実施形態において、第1容量拡大部52は、第1生地71に設けられた第1湾曲部71eから第1ポケット袋50の中心に向かって延びるひだ状のタック部によって形成されている。
【0035】
タック部52は、第1ポケット袋50の中心側に設けられた頂部52aから第1湾曲部71eの上側に位置する第1終着部52bまで延びる第1の折り目52cと、頂部52aから第1湾曲部71eで第1終着部52bよりも下側に位置する第2終着部52dまで延びる第2の折り目52eを有する。タック部52は、第1の折り目52cおよび第2の折り目52eで折り畳んだ状態で、第1湾曲部71eを縫合することで、ひだ状に形成される。
【0036】
タック部52は、第1収容空間S1に収容物が収容されることによって、縫合されていない部分のひだが展開されて、タック部52を備えていない場合よりも第1収容空間S1が拡大される。ここでは、第1容量拡大部52について説明したが、第2容量拡大部62についても同様の構成を有する。
【0037】
本実施形態に係るリバーシブル仕立ての衣服1は、次の効果を奏する。
【0038】
(1)第1状態において表側に位置する第1生地20と裏側に位置する第2生地30とを有し、第2状態において第1生地20が裏側に位置すると共に第2生地30が裏側に位置し、第1状態及び第2状態のいずれでも着用可能なリバーシブル仕立てのスコート1は、第1生地20と第2生地30との間で第1生地20側に配置される第1ポケット袋50と、第1生地20と第2生地30との間で第2生地30側に配置される第2ポケット袋60と、を備え、第1ポケット袋50は、第1生地20に設けられた第1ポケット口51に開口し、第2ポケット袋60は、第2生地30に設けられた第2ポケット口61に開口する。
【0039】
本構成によれば、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、ポケットを第1生地20と第2生地30との間に位置するポケット袋50,60で構成できる。よって、第1状態及び第2状態のいずれかのポケットを、パッチポケットで構成する場合に比して、ポケットの容量を確保しやすく、さらにポケットが外観上目立ちにくいので衣服のデザイン自由度を向上させることができる。より詳しくは、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、衣服の表側に位置する第1生地20及び第2生地30との間に、ポケット袋50,60が配置されているため、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、表面からは衣服をすっきりと見せることができる。
【0040】
(2)第1ポケット袋50と第2ポケット袋60は、第1生地20と第2生地30との間に配置されるポケット袋体70によって構成され、ポケット袋体70は、第1生地20側に配置される第1ポケット生地71と、第1ポケット生地71に対向配置されると共に第2生地30側に配置される第2ポケット生地72と、第1ポケット生地71と第2ポケット生地72との間に配置される第3ポケット生地73と、を重ね合わせた状態で、第1ポケット生地71と第2ポケット生地72と第3ポケット生地73の周縁部を縫合することで形成される。
【0041】
本構成によれば、第3ポケット生地73が第1ポケット袋50と第2ポケット袋60とで兼用されているので、第1ポケット袋50と第2ポケット袋60とを4枚の生地で構成する場合に比べて、体側方向に重複するポケット袋同士の厚みを抑制することができ、ポケット袋を構成する生地の嵩張りによる衣服へ影響を低減できる。ポケット袋体70は、3枚構成なので、生地を削減できる。
【0042】
(3)ポケット袋体70は、上縁部70aがスコート1に備えられた水平方向に延びる縫い目部分42で縫合されているので、剛性の高い水平方向に延びる縫い目部分でポケット袋体70を支持することができる。
【0043】
(4)ポケット袋体70の後縁部70cは、第1ポケット口51および第2ポケット口61を除いて、第1脇線23および第2脇線33に沿って縫合されている。
【0044】
この構成によれば、上縁部70aを縫合しつつ、後縁部70cに第1ポケット口51および第2ポケット口61が設けられているので、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60の延びる方向を固定できる。例えば、リバーシブルの裏返等によって、ポケットが後ろ方向に向くことがない。
【0045】
(5)ポケット袋体70は、第1ポケット袋50および/または第2ポケット袋60に設けられた第1容量拡大部52および/または第2容量拡大部62を有するので、ポケット袋体70の深さを深くすることなくポケット容量を拡大できる。
【0046】
本実施形態において、ポケット袋体70は、スコート1の左右一方側に設けられる例について説明したが、両側に設けられていてもよい。
【0047】
本実施形態において、容量拡大部は、タック部で構成される例について説明したが、これに限られるものではなく、ギャザー等によって構成されてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60の第1ポケット口51および第2ポケット口61が、脇線に沿って設けられた、いわゆる脇ポケットで構成されていることについて説明したが、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60のうち少なくとも一方がL字ポケットであってもよい。
【0049】
本実施形態では、第1ポケット袋50と第2ポケット袋60とが概ね同形状で形成されていることを説明したが、第1ポケット袋50と第2ポケット袋60とは形状が異なっていてもよく、例えば、一方が他方よりも小さく形成されていてもよい。
【0050】
本実施形態では、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60が、前方に延びる構成について説明したが、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60は、後方に延びてもよいし、前後両側に延びるように形成してもよい。
【0051】
本実施形態では、衣服がスコートで構成されていることについて説明したが、衣服は、通常のスカート、パンツ、ジャケット等であってもよい。例えば、ジャケットに適用する場合、第1ポケット袋50および第2ポケット袋60は、脇線のみで縫合されていてもよい。
【0052】
なお、本発明の衣服のポケットは、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0053】
[付記]本開示は以下の態様を包含する。
【0054】
[態様1]
第1状態において表側に位置する第1生地と裏側に位置する第2生地とを有し、第2状態において第1生地が裏側に位置すると共に第2生地が表側に位置し、第1状態及び第2状態のいずれでも着用可能なリバーシブル仕立ての衣服であって、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第1生地側に配置される第1ポケット袋と、
前記第1生地と前記第2生地との間で前記第2生地側に配置される第2ポケット袋と、を備え、
前記第1ポケット袋は、前記第1生地に設けられた第1ポケット口に開口し、
前記第2ポケット袋は、前記第2生地に設けられた第2ポケット口に開口する、リバーシブル仕立ての衣服。
【0055】
[態様2]
前記第1生地側に配置される第1ポケット生地と、
前記第1ポケット生地に対向配置されると共に、前記第2生地側に配置される第2ポケット生地と、
前記第1ポケット生地と前記第2ポケット生地との間に配置される第3ポケット生地と、を備え、
前記第1ポケット生地と前記第2ポケット生地と前記第3ポケット生地とは、重ね合わされた状態で、周縁部の少なくとも一部が縫合されて、前記第1ポケット袋と、前記第2ポケット袋とを有するポケット袋体を形成する態様1に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【0056】
[態様3]
前記ポケット袋体は、上縁部が前記衣服に備えられた水平方向に延びる縫い目部分に縫合されている態様2に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【0057】
[態様4]
前記ポケット袋体の後縁部は、前記第1ポケット口および前記第2ポケット口を除いて、前記第1生地の第1脇線および前記第2生地の第2脇線に沿って縫合されている態様2または3に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【0058】
[態様5]
前記ポケット袋体は、前記第1ポケット袋および/または前記第2ポケット袋に設けられた第1容量拡大部および/または第2容量拡大部を有する態様2から4のいずれか1態様に記載のリバーシブル仕立ての衣服。
【符号の説明】
【0059】
1 スコート(衣服)
20 第1生地
23 第1脇線
30 第2生地
33 第2脇線
42 縫い目部分
50 第1ポケット袋(ポケット)
51 第1ポケット口
52 第1容量拡大部
60 第2ポケット袋(ポケット)
61 第2ポケット口
62 第2容量拡大部
70 ポケット袋体
70d 後縁部
71 第1ポケット生地
72 第2ポケット生地
73 第3ポケット生地
図1
図2
図3
図4
図5