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特開2024-165917シート剥離装置およびシート剥離方法
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  • 特開-シート剥離装置およびシート剥離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165917
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】シート剥離装置およびシート剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082508
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】荒井 善男
(72)【発明者】
【氏名】高野 健
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA11
5F131AA12
5F131AA13
5F131AA15
5F131AA21
5F131AA22
5F131AA23
5F131BA53
5F131CA09
5F131CA53
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131DD22
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD94
5F131EA07
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA22
5F131EB01
5F131EB11
5F131EB31
5F131EB81
5F131EC32
5F131EC33
5F131EC34
5F131EC35
5F131EC37
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC68
5F131EC69
5F131EC72
5F131EC76
5F131EC77
5F131HA43
5F131KA40
5F131KB45
5F131KB46
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】剥離している接着シートの異常を検知することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供する。
【解決手段】シート剥離装置EAは、被着体WKに貼付された接着シートASを当該被着体WKから剥離する剥離手段20と、被着体WKから剥離している接着シートASの剥離不良を検知する検知手段30とを備え、剥離手段20は、接着シートASの既剥離部APを当該接着シートASの未剥離部ANに対向するように折り曲げた接着シートASの折曲姿勢を維持する折曲姿勢維持手段21と、当該折曲姿勢維持手段21にトルクを付与して被着体WKから接着シートASを剥離する剥離力を付与する剥離力付与手段22とを備え、検知手段30は、剥離力付与手段22が付与するトルクの変化を検出することで、接着シートASの剥離不良を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼付された接着シートを当該被着体から剥離する剥離手段と、
前記被着体から剥離している前記接着シートの剥離不良を検知する検知手段とを備え、
前記剥離手段は、前記接着シートの既剥離部を当該接着シートの未剥離部に対向するように折り曲げた前記接着シートの折曲姿勢を維持する折曲姿勢維持手段と、当該折曲姿勢維持手段にトルクを付与して前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離力を付与する剥離力付与手段とを備え、
前記検知手段は、前記剥離力付与手段が付与するトルクの変化を検出することで、前記接着シートの剥離不良を検知することを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記トルクの変化を検出することで、前記接着シートの折曲姿勢に異常があることを検知することを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
被着体に貼付された接着シートを当該被着体から剥離する剥離工程と、
前記被着体から剥離している前記接着シートの剥離不良を検知する検知工程とを実施し、
前記剥離工程では、前記接着シートの既剥離部を当該接着シートの未剥離部に対向するように折り曲げた前記接着シートの折曲姿勢を折曲姿勢維持手段で維持する折曲姿勢維持工程と、当該折曲姿勢維持手段にトルクを付与して前記被着体から前記接着シートを剥離する剥離力を付与する剥離力付与工程とを実施し、
前記検知工程では、前記剥離力付与工程で付与するトルクの変化を検出することで、前記接着シートの剥離不良を検知することを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置およびシート剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被着体に貼付された接着シートを当該被着体から剥離するシート剥離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート剥離装置1(シート剥離装置)では、被着体W(被着体)から剥離している保護シートS(接着シート)に異常があっても、当該異常を検知することができないという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、剥離している接着シートの異常を検知することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、剥離力付与手段が付与するトルクの変化を検出することで、接着シートの剥離不良を検知するので、剥離している接着シートの異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は、本発明の一実施形態に係るシート剥離装置の説明図。(B)、(C)は、シート剥離装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1(A)の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
シート剥離装置EAは、被着体WKに貼付された接着シートASに剥離用テープPTを貼付する貼付工程を実施する貼付手段10と、被着体WKに貼付された接着シートASを当該被着体WKから剥離する剥離工程を実施する剥離手段20と、被着体WKから剥離している接着シートASの剥離不良を検知する検知工程を実施する検知手段30とを備え、被着体WKを支持する支持手段40の近傍に配置されている。なお、本実施形態の場合、接着シートASは、基材ABと、基材ABに積層された接着剤層ADとを備えている。
【0011】
貼付手段10は、感熱接着性の剥離用テープPTを繰り出す繰出手段11と、接着シートASに剥離用テープPTを押圧して貼付する押圧手段12と、剥離用テープPTを所定長さに切断する切断手段13と、駆動機器としての直動モータ14の出力軸14Aに支持され、当該貼付手段10を構成する前述の各手段を直接的または間接的に支持するフレーム15とを備えている。
繰出手段11は、剥離用テープPTを支持する支持ローラ11Aと、駆動機器としての回動モータ11Bの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ11Cとで剥離用テープPTを挟み込む駆動ローラ11Dと、剥離用テープPTを案内するガイドローラ11Eと、駆動機器としてのリニアモータ11Fのスライダ11Gに支持されたスライドプレート11Hと、駆動機器としての直動モータ11Jの出力軸11Kに回転可能に支持された押えローラ11Lと、駆動機器としてのリニアモータ11Mのスライダ11Nに支持され、一対の把持爪11Pを有する保持手段であって駆動機器としてのチャックシリンダ11Qとを備えている。
押圧手段12は、駆動機器としての直動モータ12Aと、直動モータ12Aの出力軸12Bに支持されたコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段12Cと、加熱手段12Cに支持された押圧部材12Dとを備えている。
切断手段13は、駆動機器としての直動モータ13Aと、直動モータ13Aの出力軸13Bに支持された切断刃13Cと、切断刃13Cを受ける受け板13Dとを備えている。
【0012】
剥離手段20は、接着シートASの既剥離部APを当該接着シートASの未剥離部ANに対向するように折り曲げた接着シートASの折曲姿勢を維持する折曲姿勢維持工程を実施する折曲姿勢維持手段21と、当該折曲姿勢維持手段21にトルクを付与して被着体WKから接着シートASを剥離する剥離力を付与する剥離力付与工程を実施する剥離力付与手段22とを備えている。
折曲姿勢維持手段21は、駆動機器としてのリニアモータ21Aと、リニアモータ21Aのスライダ21Bに剥離力付与手段22を介して支持された剥離ローラ21Cとを備えている。
剥離力付与手段22は、スライダ21Bに支持され、出力軸22Bで剥離ローラ21Cを支持する駆動機器としての回動モータ22Aと、駆動機器としての直動モータ22Cと、直動モータ22Cの出力軸22Dに回転自在に支持され、剥離ローラ21Cとで接着シートASの既剥離部APを挟み込むピンチローラ22Eとを備えている。
【0013】
検知手段30は、回動モータ22Aのトルクを検出するトルクセンサやカレントセンサ等のトルク検出手段31を備え、剥離力付与手段22が付与するトルクの変化を検出することで、接着シートASの剥離不良を検知する構成となっている。
【0014】
支持手段40は、駆動機器としてのリニアモータ41と、リニアモータ41のスライダ41Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な支持面42Aを有するテーブル42とを備えている。
【0015】
以上のシート剥離装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート剥離装置EAに対し、当該シート剥離装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように剥離用テープPTをセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。なお、検知手段30には、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離動作中に、接着シートASの基材ABが接着剤層ADから剥離してしまったり、接着シートASが切断してしまったりする剥離不良が発生しないときに検知する回動モータ22Aのトルクの範囲が、正常トルク範囲として記憶されている。次いで、貼付手段10が加熱手段12Cを駆動し、シート剥離装置EAの自動運転が行われている間、押圧部材12Dを所定の温度に加熱してその温度を維持する。その後、使用者またはベルトコンベアや多関節ロボット等の図示しない搬送手段が、図1(A)に示すように、支持面42A上の所定の位置に被着体WKを載置すると、支持手段40が図示しない減圧手段を駆動し、支持面42Aでの吸着保持を開始する。
【0016】
次に、貼付手段10がリニアモータ11Fを駆動し、スライドプレート11Hを右方に移動させ、図1(A)中二点鎖線で示すように、一対の把持爪11P間に剥離用テープPTを繰り出す。そして、貼付手段10が直動モータ11Jを駆動し、押えローラ11Lを上方に退避させた後、リニアモータ11Fを駆動し、一対の把持爪11P間に剥離用テープPTを置き去りにしてスライドプレート11Hを初期位置に復帰させる。次いで、貼付手段10がチャックシリンダ11Qを駆動し、把持爪11Pで剥離用テープPTを把持した後、リニアモータ11Mを駆動し、チャックシリンダ11Qを右方に移動させ、剥離用テープPTを引き出す。その後、貼付手段10が直動モータ12Aを駆動し、押圧部材12Dを下降させ、図1(B)に示すように、当該押圧部材12Dで剥離用テープPTを接着シートASの剥離開始部である右端部に押圧して貼付する。次に、貼付手段10が直動モータ11Jを駆動し、押えローラ11Lを初期位置に復帰させた後、直動モータ13Aを駆動し、切断刃13Cを下降させて剥離用テープPTを切断する。そして、貼付手段10が直動モータ12A、13Aを駆動し、押圧部材12Dおよび切断刃13Cを初期位置に復帰させる。次いで、剥離手段20が直動モータ22Cを駆動し、切断された剥離用テープPTを剥離ローラ21Cとピンチローラ22Eとで挟み込む。その後、支持手段40がリニアモータ41を駆動し、接着シートASの右端部を剥離ローラ21Cの最下部直下に位置させると、剥離手段20がリニアモータ21Aを駆動し、剥離ローラ21Cで剥離用テープPTを押さえ付けて当該剥離用テープPTを所定の折曲姿勢に形成する。
【0017】
次に、貼付手段10が直動モータ14を駆動し、フレーム15を上方に退避させた後、剥離手段20および支持手段40が回動モータ22Aおよびリニアモータ41を駆動し、図1(C)に示すように、剥離ローラ21CをRD方向に回転させるとともに、テーブル42を右方に移動させる。この際、剥離手段20は、テーブル42の移動速度に合わせて剥離ローラ21Cの回転速度を制御し、図1(C)に示すように、剥離ローラ21Cの下部に接着シートASの折り曲げ部が位置し、且つ、接着シートASの既剥離部APが当該接着シートASの未剥離部ANに対向した折曲姿勢を維持するように、回動モータ22Aからトルクを出力して剥離ローラ21Cに付与する。また、被着体WKから接着シートASが剥離される剥離動作中は、貼付手段10がリニアモータ11Mを駆動し、ピンチローラ22Eと把持爪11Pとの間に位置する接着シートASが弛まない程度に、当該接着シートASに張力を付与するようになっている。
【0018】
ここで、剥離動作中は、検知手段30がトルク検出手段31を駆動し、回動モータ22Aのトルクを検知する。そして、剥離動作中において、検知手段30が検知する回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲から外れることがなく、被着体WKから接着シートAS全体が剥離されると、貼付手段10、剥離手段20および支持手段40がリニアモータ11M、回動モータ22Aおよびリニアモータ41の駆動を停止した後、支持手段40が図示しない減圧手段の駆動を停止し、支持面42Aでの吸着保持を解除する。次いで、貼付手段10がチャックシリンダ11Qを駆動し、把持爪11Pによる剥離用テープPTの把持を解除して、剥離した接着シートASを回収する箱や袋等の図示しない回収手段や使用者に接着シートASを受け渡す。その後、図示しない搬送手段が被着体WKを保持して次工程に搬送すると、各手段がそれぞれの駆動機器を駆動し、それぞれの部材を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0019】
一方、剥離動作中において、検知手段30が検知する回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲から外れると、検知手段30は、表示器やスピーカ等の図示しない警告手段やシート剥離装置EAの動作を制御するコンピュータやシーケンサ等の図示しない制御手段等に対し、電気信号や電波信号等の異常検知信号を出力する。次に、図示しない警告手段や図示しない制御手段等が異常検知信号を受信すると、当該警告手段が表示器やスピーカ等を介して光や音等の警告シグナルを発することで、剥離不良が発生したことを使用者に伝えたり、シート剥離装置EAの動作を停止したりするトラブル対応を行う。
【0020】
以上のような実施形態によれば、剥離力付与手段22が付与するトルクの変化を検出することで、接着シートASの剥離不良を検知するので、剥離している接着シートASの異常を検知することができる。
【0021】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0022】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、検知手段は、被着体から剥離している接着シートの剥離不良を検知するものであって、剥離力付与手段が付与するトルクの変化を検出することで、接着シートの剥離不良を検知可能なものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0023】
貼付手段10は、帯状の剥離用テープPTを切断することなく接着シートASに貼付してもよいし、枚葉の剥離用テープPTを接着シートASに貼付してもよく、枚葉の剥離用テープPTを接着シートASに貼付する場合、切断手段13が備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
貼付手段10は、感圧接着性の剥離用テープPTを接着シートASに貼付してもよく、この場合、加熱手段12Cが備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
繰出手段11は、支持ローラ11Aやガイドローラ11E等の各ローラの代わりに板状部材やシャフト部材等で剥離用テープPTを支持したり案内したりしてもよいし、剥離用テープPTを巻回することなく例えばファンフォールド折りにして支持してもよい。
押圧手段12は、放電加熱器、マイクロ波照射装置、温風吹付装置等の加熱手段を備えてもよいし、加熱手段に代えてまたは併用して、押圧部材12Dを振動させる超音波振動装置やバイブレータ等の振動手段を備えてもよい。
貼付手段10は、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合、他の装置で接着シートASに剥離用テープPTを貼付してもよい。
【0024】
剥離手段20は、剥離力付与手段22に直動モータ22Cと、ピンチローラ22Eとが備わっていなくてもよいし、折曲姿勢維持手段21にリニアモータ21Aが備わっていなくてもよく、リニアモータ21Aが備わっていない場合、リニアモータ41のスライダ41Aに支持された駆動機器としての直動モータの出力軸でテーブル42を支持し、テーブル42を上昇させて剥離ローラ21Cで剥離用テープPTや接着シートASの既剥離部APを押さえ付けることで、各々の折曲姿勢を形成してもよい。
【0025】
検知手段30は、トルクの変化を検出することで、接着シートASの既剥離部APの折曲姿勢に異常があることを検知してもよい。既剥離部APの折曲姿勢に異常がある場合、回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲よりも小さくなったり、大きくなったりして正常トルク範囲から外れるため、検知手段30は、トルクの変化を検出することで、接着シートASの既剥離部APの折曲姿勢に異常があることを検知することができる。
検知手段30は、トルクの変化を検出することで、剥離している接着シートASから剥離用テープPTが離脱したことを検知してもよいし、接着シートASが切断してしまったり、裂けてしまったりしてその一部が被着体WKに貼付されたままになっていることを検知してもよい。これらの接着シートASの剥離不良が発生する場合、回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲よりも小さくなって正常トルク範囲から外れるため、検知手段30は、トルクの変化を検出することで、剥離不良を検知することができる。
検知手段30は、トルクの変化を検出することで、被着体WKから接着シートASを剥離する剥離速度に異常があることを検知してもよい。操作手段を介したシート情報の誤入力や、装置の不具合等によって、被着体WKからの接着シートASの剥離速度が所定の速度範囲よりも速くなると、回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲よりも大きくなり、接着シートASの剥離速度が遅くなると、回動モータ22Aのトルクが正常トルク範囲よりも小さくなる。そのため、検知手段30は、トルクの変化を検出することで、接着シートASの剥離速度に異常があることを検知することができる。
トルク検出手段31は、回動モータ22Aに内蔵されてもよいし、回動モータ22Aの出力軸22Bに設けられてもよいし、回動モータ22Aのトルクを直接検出してもよいし、回動モータ22Aの回転数や電圧等の回動モータ22Aの運転状態を示す状態量を用いて、回動モータ22Aのトルクを演算によって検出してもよい。
【0026】
支持手段40は、本発明のシート剥離装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、備わっていない場合、他の装置で被着体WKを支持したり、移動したりしてもよい。
【0027】
シート剥離装置EAは、接着シートASが剥離された被着体WKを検査するカメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等で構成された被着体検査手段を備え、検知手段30が接着シートASの状態に異常があることを検知したときに、被着体検査手段で被着体WKを検査してもよい。この場合、被着体検査手段は、被着体WKの検査として、例えば、被着体WKが損傷しているかを検査してもよいし、接着剤層ADの接着剤が被着体WKに残ったままになっているかを検査してもよい。
シート剥離装置EAは、天地反転して配置したり横置きに配置したりして、被着体WKの下面や側面等に貼付された接着シートASを剥離するように構成してもよい。
【0028】
被着体WKは、シート部材を介してフレーム部材としてのリングフレームと一体化されていてもよいし、リングフレームと一体化されていなくてもよい。
フレーム部材は、リングフレーム以外に、環状でない(外周が繋がっていない)ものや、円形、楕円形、多角形、その他の形状であってもよい。
【0029】
本発明における接着シートASおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASおよび被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASが採用された場合は、当該接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASは、例えば、接着剤層ADだけの単層のもの、基材ABと接着剤層ADとが積層された2層のもの、基材ABと接着剤層ADとの間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材ABの上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材AB、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層ADのみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層ADが積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASは、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0030】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた所謂多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等が単体で採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等が直接的又は間接的に組み合わされたものが採用されてもよいし、それら電動機器やアクチュエータ等の出力部に対するトルク制御や速度制御等が可能なものや不能なものが採用されてもよい。
【0031】
前記実施形態において、何らかの物体(以下「物体A」という)および当該物体Aに対して移動する物体(以下「物体B」という)すなわち、相対移動する物体Aおよび物体Bは、移動することのない物体Aに対して物体Bが移動してもよいし、移動することのない物体Bに対して物体Aが移動してもよいし、物体Aおよび物体Bの両方が移動してもよいく、移動によって達成される結果が同じであれば、物体Aおよび物体Bの何れが移動してもよいし、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ブラシ状部材の他、大気やガス等の気体の吹き付けによるものを採用してもよいし、押圧するものをゴム、樹脂、スポンジ等の変形可能な部材で構成してもよいし、金属や硝子等の変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
EA…シート剥離装置
20…剥離手段
21…折曲姿勢維持手段
22…剥離力付与手段
30…検知手段
AN…未剥離部
AP…既剥離部
AS…接着シート
WK…被着体
図1