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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165925
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電気機器収納ラック
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H05K7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082521
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝政
(57)【要約】
【課題】 サイドレールが取り付けられていても、排熱空間を狭くせずに電源コンセントを設置できる電気機器収納ラックを提供する。
【解決手段】 4隅に支柱4が立設され、当該支柱4で囲まれた空間に電気機器を収容する機器収容部Nを有し、前後関係にある支柱4間の適宜位置にサイドレール6が掛け渡されて成り、機器収容部Nの奥部には、収容された機器から放出される熱を排出するための排熱空間Dを具備し、サイドレール6の排熱空間D側に、複数の電源コンセント5aを備えてたコンセントバー5を収容する凹み63が形成され、凹み63に縦配置されたコンセントバー5の一部が収容されて成る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4隅に支柱が立設され、当該支柱で囲まれた空間に電気機器を収容する機器収容部を有し、前後関係にある前記支柱間の適宜位置にサイドレールが掛け渡されて成る電気機器収納ラックであって、
前記機器収容部の奥部には、収容された電気機器から放出される熱を排出するための排熱空間が形成されると共に、
前記サイドレールの前記排熱空間側に、複数の電源コンセントを備えたコンセントバーを収容するための凹みが形成され、
前記凹みを使用して縦配置された前記コンセントバーが設置されることを特徴とする電気機器収納ラック。
【請求項2】
前記凹みには、凹みの形状に合わせて鋼板を折り曲げて形成した補強部材が重ねて配置され、凹みに固着されて成ることを特徴とする請求項1記載の電気機器収納ラック。
【請求項3】
前記凹みを形成した前記サイドレールの裏面は、平坦であることを特徴とする請求項2記載の電気機器収納ラック。
【請求項4】
全ての前記支柱は、前記コンセントバーの全体或いは背部を収容可能な凹部或いは切り欠きが1側面に上下に亘り形成されてなり、
後部の左右に配置された前記支柱は、前記凹部が対峙するように配置され、前記凹部が前記コンセントバーの設置に使用されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電気機器収納ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器収納ラックに関し、特に側面にサイドレールを取り付けて補強した電気機器収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器収納ラックは、4隅に立設した支柱により底枠と天枠とが連結されたフレームを有し、フレームの周囲に側板、底板、天板、扉等が取り付けられて形成されている。また、サーバ等の重量のある電気機器が収納される場合、或いは高さのある形状の場合は、前後の支柱の間にサイドレールが掛け渡されて、強度を上げる工夫が成された(例えば、特許文献1参照)。
このような電気機器収納ラックは、収納した電気機器に電源を供給するための電源コンセントが内部に設置されているが、電源コンセントは後方に配置された支柱の長手方向に収容部を設けて支柱内に配置されたものが普及している。例えば、特許文献2では、後方に配置された2本の支柱を、前方の支柱より幅広に形成し、支柱内に複数の電源コンセントを備えたコンセントバーを配置可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-55981号公報
【特許文献2】特開2016-225543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気機器収納ラックは、上述したように支柱にコンセントバーが取り付けられたが、収容する電気機器の増加に伴い必要とする電源コンセントも増加し、支柱以外の場所にもコンセントバーを設置する必要がでてきた。
しかしながら、支柱以外に電源コンセントを設置できる場所は限られており、収容された機器の奥部に設けられた排熱空間を利用して設置された。
【0005】
ところが、サイドレールが取り付けられている電気機器収納ラックの場合、サイドレールの内側に取り付けなければならず、ラック内部への突出量が大きくなった。これでは、収容された電気機器から放出される排熱が直接当たる位置に配置される場合が発生し、サイドレールを有するラックに対しては、支柱以外の場所にコンセントバーを設置するのは問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、サイドレールが取り付けられていても、機器からの排熱を直接受けないよう電源コンセントを設置できる電気機器収納ラックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、本発明に係る電気機器収納ラックは、4隅に支柱が立設され、当該支柱で囲まれた空間に電気機器を収容する機器収容部を有し、前後関係にある支柱間の適宜位置にサイドレールが掛け渡されて成る電気機器収納ラックであって、機器収容部の奥部には、収容された電気機器から放出される熱を排出するための排熱空間が形成されると共に、サイドレールの排熱空間側に、複数の電源コンセントを備えたコンセントバーを収容するための凹みが形成され、凹みを使用して縦配置されたコンセントバーが設置されることを特徴とする。
この構成によれば、前後の支柱間に掛け渡されたサイドレールにコンセントバー収容のための凹みが設けられ、コンセントバーが凹みを利用して設置できるため、サイドレールからの突出量を小さく或いは無くすことができる。即ち、排熱空間である収容された電気機器の奥部への突出量を小さく或いは無くすことができる。
よって、ラック内の排熱空間を形成する部位にコンセントバーを配置しても、電気機器から放出される排熱が直接当たるのを防止でき、コンセントバーの設置エリアを拡張できる。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、凹みには、凹みの形状に合わせて鋼板を折り曲げて形成した補強部材が重ねて配置され、凹みに固着されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、凹みを形成しても補強されるため、サイドレールの強度低下を防止できる。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、凹みを形成したサイドレールの裏面は、平坦であることを特徴とする。
この構成によれば、凹みを設けても、電気機器収納ラックの外側に対しては突起部が無いため、側板等の取り付けに支障をきたさない。
【0010】
本発明の別の態様は、上記構成において、全ての支柱は、コンセントバーの全体或いは背部を収容可能な凹部或いは切り欠きが1側面に上下に亘り形成されてなり、後部の左右に配置された支柱は、凹部が対峙するように配置され、凹部がコンセントバーの設置に使用されることを特徴とする。
この構成によれば、サイドレールの凹みと支柱内とでコンセントバーを2本隣接させて設置でき、収容した電気機器に対して充分な数の電源コンセントを1ヶ所に配置できる。更に、支柱にコンセントバーの収容部を設けても、4本の支柱は同一形状であるため、部材の種類は増加しない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前後の支柱間に掛け渡されたサイドレールにコンセントバー収容のための凹みが設けられることで、コンセットバーを凹みを利用して取り付けることで、サイドレールからの突出量を小さく或いは無くすことができる。即ち、排熱空間である収容された電気機器の背部への突出量を小さく或いは無くすことができる。
よって、ラック内の排熱空間を形成する部位にコンセントバーを配置しても、電気機器から放出される排熱が直接当たるのを防止でき、コンセントバーの設置エリアを拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る電気機器収納ラックの一例を示し、周囲の閉塞部材を外して後方から見た斜視図である。
図2図1の状態で、コンセントバーを外した斜視図である。
図3】サイドレール単体を示し、(a)はラックの内側を向く面側から見た斜視図、(b)はラックの外側を向く面側から見た斜視図である。
図4】サイドレールの部分平面図で、凹み形成部の平面図である。
図5】サイドレールから補強部材を分離した図である。
図6】電気機器収納ラックの平面図で、サイドレール中央付近で切断した断面説明図である。
図7図6のB部拡大図である。
図8】電気機器収納ラックの変更例を示す部分拡大図である。
図9図1のA部拡大図である。
図10】コンセントバーを延伸した図1のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明に係る電気機器収納ラックの一例を示し、側板等の閉塞部材を外してラックフレームを露出させた状態を後方から見た斜視図であり、図1はコンセントバーが取り付けられた状態、図2はコンセントバーの無い状態を示している。
電気機器収納ラック(以下、単に「ラック」と称する。)1は、四角形の底枠2と天枠3とが4隅に立設された支柱4により連結されて形成されたラックフレームに、図示しない側板が左右側面に取り付けられ、前面及び背面に図示しない扉が取り付けられ、天枠3上に配置されている天板3aと合わせて周囲が閉塞されて構成されている。
【0014】
また、図1に示すコンセントバー5は、複数の電源コンセント5aを備えて棒状に形成され、ラック1の奥部に隣接して2本取り付けられている。
【0015】
そして、前後関係にある支柱4の間に、ラック1を補強するためのサイドレール6が取り付けられている。ここでは、上下2ヶ所にサイドレール6は取り付けられている。
尚、Mはラック1の機器収容部Nに収容した電気機器を示している。また、Dは電気機器Mから放出される熱を排熱する排熱空間(図6に示す)を示し、排熱空間Dはラック1の後部であって機器収容部Nの奥部に上下に亘り設けられている。
【0016】
図3はサイドレール6単体を示し、(a)はラック1の内側を向く面側から見た斜視図、(b)はラック外側を向く面側から見た斜視図である。以下、ラック1の内側を向く面を前面として説明する。
サイドレール6は鋼板を折り曲げて形成された長方形の板体で、図3に示すように上辺及び下辺には側部を折り曲げて形成した枠部6aを有し、一定の厚みを有している。前後端部が支柱4との連結部61,62を構成し、図示手前となる後端部の連結部62に連続する端部に前面側から見て凹み63が形成され、コンセント収容部を形成している。
凹み63は上下方向に一様に形成され、収容するコンセントバー5の形状に合わせて断面コ字状に形成されている。
【0017】
図4はサイドレール6の一部の平面図であり、後端部を拡大した平面図である。図4に示すように、凹み63には鋼板が別途取り付けられて2重に構成されている。この取り付けられた鋼板は補強部材7であり、枠部6aを無くすことで減少した強度を補うために取り付けられている。
図5はこの補強部材7を分離した説明図であり、補強部材7は凹み63の形状に合わせて折り曲げ形成したコ字状部を有し、凹み63の内側に配置されて溶接され固着されている。尚、支柱4との連結部62は補強部材7に形成されている。
こうして、凹み63は枠部6aの幅分の深さを有し、図4に示すようにサイドレール6の鋼板と補強部材7の鋼板との2枚の鋼板の厚みのみで底部は形成されている。
一方、凹み63を形成したサイドレール6の背部は、突起部位が無く他の部位と連続する平坦な面と成っている。
【0018】
図6はサイドレール6の中央付近で切断した図1に示すラック1の平面図であり、図示下側が前方である。図6に示すように、排熱空間Dは機器収容部Nの奥部に形成され、上下に亘り形成されている。
また支柱4は、略四角柱形状を成しているが、内側を向く面にコンセントバー5を収容するための凹部4aが形成され、コンセントバー5の背部を収容できるよう構成されている。よって、2本のコンセントバー5が隣接して配置されている。
【0019】
図7はコンセントバー5の収容部を拡大した図であり、図6に示すB部の拡大図である。図7に示すように、サイドレール6の凹み63に加えて支柱4の凹部4a内にもコンセントバー5が配置され、2本のコンセントバー5が隣接した状態で縦方向に配置されている。
尚、凹み63及び凹部4aにコンセントバー5が収容される際に、中央が支柱4に連結された保持金具8にコンセントバー5の背部がそれぞれ連結されることで、収容された状態で、コンセントバー5の前面が面一になるよう構成されている。
【0020】
尚、4本の支柱4は全て同一形状であり、左右の支柱4は上下を反転した構成であり、対角線上の支柱は長手方向を回転軸として180度回転した構成となっている。この結果、前方の支柱4のコンセントバー5の収容に使用されない凹部4aは、収容された機器に接続されたケーブルの収容路として活用できる。
【0021】
このように、前後の支柱4の間に掛け渡されたサイドレール6にコンセントバー5収容のための凹み63が設けられ、コンセントバー5はこの凹み63を利用して設置されるため、サイドレール6からの突出量を小さく或いは無くすことができる。即ち、排熱空間Dである収容された電気機器Mの背部への突出量を小さく或いは無くすことができる。
よって、ラック1内の排熱空間Dを形成する部位にコンセントバー5を配置しても、電気機器Mから放出される排熱が直接当たるのを防止でき、コンセントバー5の設置エリアを拡張できる。
また、凹み63を設けても、ラック1の外側に対しては突起部が無いため、側板等の取り付けに支障をきたすことがないし、凹み63を形成しても補強部材7により補強されるため、サイドレール6の強度低下を防止できる。
更に、サイドレール6の凹み63と支柱4内とでコンセントバー5を2本隣接させて設置でき、収容した電気機器Mに対して充分な数の電源コンセント5aを1ヶ所に配置できる。更に、支柱4にコンセントバー5の収容部を設けても、4本の支柱4は同一形状であるため、部材の種類は増えない。
【0022】
図8はラック1の変更例を示し、サイドレール6に取り付けたコンセントバー5を更に下方に延伸可能とするために、ラックフレームの形状を変更した構成を示している。
尚、図9、10は比較の為の図で、図1のA部を拡大した図であり、図9図1の状態の拡大図、図10図1の状態から2本のコンセントバー5を下方に延伸した場合の拡大図である。
図1に示すラック1は、図10に示すように底枠2に断面四角形のフレーム10が周囲に配置されているため、このフレーム10が障害となり、サイドレール6に配置したコンセントバー5は下方への延伸が制限された。
【0023】
図8はこのA部の図であり、底枠2の形状を図1の形状から一部変更している。図8に示すように、底枠2のフレーム10の横枠10aをラック1の内部方向へ移動して、支柱4に配置したコンセントバー5に加えてサイドレール6に配置したコンセントバー5も収容可能とする底部空間Cを形成した。そして更に、フレーム10の端部に切り欠き10bを設けることで、サイドレール6に取り付けたコンセントバー5の延伸を可能としている。
このように、底枠2の一部形状を変更することで、サイドレール6に取り付けたコンセントバー5を支柱4に取り付けたコンセントバー5と共に延伸でき、電源コンセント5aの数を更に増やすことが可能となる。
【0024】
尚、上記実施形態では、ラック1の左後部に2本のコンセントバー5を配置しているが、右後部に配置しても良いし、左右双方に配置して計4本のコンセントバーを配置しても良い。
また、サイドレール6の後端部に凹み63を形成しているが、コンセントバー5はラック1内の排熱空間D内に取り付けられれば良く、後端部でなくても良い。
更に、サイドレール6を片側2本備えたラック1を示しているが、サイドレール6の取り付け数は、ラック1の大きさやサイドレールの強度等で変更されるもので、前後の支柱4間の適宜位置に少なくとも1本設置されたものに対して本発明は良好に適用できるものである。
【符号の説明】
【0025】
1・・電気機器収納ラック、2・・底枠、3・・天枠、4・・支柱、4a・・凹部、5・・コンセントバー、5a・・電源コンセント、6・・サイドレール、7・・補強金具、63・・凹み、C・・底部空間、D・・排熱空間、M・・電気機器、N・・機器収容部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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