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  • 特開-経口組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165973
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20241121BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241121BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20241121BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20241121BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20241121BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20241121BHJP
   A61K 31/717 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/135
A23L33/125
A23L33/175
A61K36/48
A61K35/742
A61K35/744
A61K31/717
A61K31/198
A61P1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082609
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 栞
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C087
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD61
4B018MD85
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA20
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA69
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC62
4C087BC64
4C087BC68
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA69
4C088AB59
4C088AC01
4C088BA06
4C088MA02
4C088MA04
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA69
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA69
(57)【要約】
【課題】腸細胞を賦活化させることができる有効かつ安全に摂取可能な剤を提供する。
【解決手段】本発明は、下記(A)及び(B)を含有する、経口組成物を提供するものである。下記(C)を含有することが好ましく、下記(D)を含有することが更に好ましい。
(A)センナ属の植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
(C)セルロース
(D)リジン
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属の植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
【請求項2】
下記(A)、(B)及び(C)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属の植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
(C)セルロース
【請求項3】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属の植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
(C)セルロース
(D)リジン


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センナ属植物を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センナ等のセンナ属植物は、センノシド等の下剤成分を含有することで知られている。センノシドは腸内細菌により代謝されることが知られており、例えば、Bifidobacterium属(ビフィズス菌)のβ-グルコシダーゼによりセニジンに代謝され、さらにPeptostreptococcus属のレダクターゼにより活性本体のレインアンスロンに代謝されることが知られている。また、このような代謝作用を利用した、経口剤として、センナ属植物をビフィズス菌などと組み合わせた経口剤が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、腸管上皮細胞は栄養や水分の吸収という機能とともに,堅牢なタイトジャンクションを形成し,外来微生物に対する物理的なバリアとして機能するのみならず,分厚いムチン層の形成や抗菌ペプチドの分泌などを介して,宿主防御の役割を果たしている。従って、腸管上皮細胞を賦活化することで腸内免疫を調整し、整腸作用や腸管免疫の賦活に繋がることが期待される。また、近年腸管上皮細胞における免疫応答と肥満との関係が知られるようになってきている。高脂肪食が腸管上皮細胞に炎症をもたらし、それが耐糖異常やインスリン抵抗性化等の肥満症病態の悪化に繋がることが知られている(非特許文献1)。従って、腸管上皮細胞を賦活化することで肥満に起因した炎症や耐糖異常等の病態の予防や改善の効果も期待される。
【0004】
しかしながら、特許文献1を始め、従来、センナ属植物と細菌を組み合わせて用いる技術は専ら下剤として、不要物の排出促進に作用するものであり、腸管上皮細胞等の腸細胞へ直接働きかけて、腸細胞を賦活化することは十分に検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-158561号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本糖尿病学会誌、第61巻第3号、p100-103、https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/61/3/61_100/_pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、腸細胞を賦活化することができる経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の〔1〕~〔3〕を提供する。
〔1〕下記(A)及び(B)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
〔2〕下記(A)、(B)及び(C)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
(C)セルロース
〔3〕下記(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する、経口組成物。
(A)センナ属植物
(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌
(C)セルロース
(D)リジン
【発明の効果】
【0009】
本発明は腸細胞を賦活化させることができる有効かつ安全に摂取可能な剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例及び比較例におけるCaco-2細胞の賦活活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明についてその好適な形態を説明する。以下の説明では、「経口組成物」という場合、〔1〕~〔3〕の経口組成物を全て指すものとする。
【0012】
(A)センナ属植物
センナ属とはラテン名のCassiaに該当し、英名ではSennaと呼ばれることもある。日本名でセンナ属はカワラケツメイ属と呼ばれることがある。
(A)センナ属植物の具体例としては、センナ(Cassia angustifolia、Senna alexandrinaと呼ばれることもある。)、キャンドルブッシュ(ハネセンナ、Cassia alata、ゴールデンキャンドルと呼ばれることもある。)、コバノセンナ(Cassia coluteoides)、ハナセンナ (Cassia corymbosa Lam.)、コヤシセンナ(Cassia didymobotrya)、ナンバンサイカチ(Cssia Fistula)、ジャワセンナ (Cassia javanica) 、カワラケツメイ(Cassia mimosoides ssp. Nomame)、エビスグサ(Cassia obtusifoliaLinn.)、ハブソウ (Cassia occidentalis L.)、タガヤサン(Cassia siamea Lam.)、オオバノセンナ(Cassia sophera Linn.)、モクセンナ(Cassia surattensis)、キャシア-チモレンシス(Cassia timorensis)等が挙げられる。中でも、腸細胞を賦活化する効果が高いとして、センナ及びキャンドルブッシュから選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、センナ及びキャンドルブッシュを組み合わせて用いることが最も好ましい。
【0013】
センナ及びキャンドルブッシュを組み合わせる場合、腸細胞を賦活化する効果を高める観点からセンナ:キャンドルブッシュの質量比(前者:後者)が100:0.1~1000000が好ましく、100:1~100000がより好ましく、100:10~1000が更に好ましい。
【0014】
(A)センナ属植物の部位としては、植物体全体、または、茎、小葉、葉柄、葉軸、果実及び花から選択される画分が挙げられる。(A)センナ属植物は、どの部分を使用してもよいが、使用部位が、茎、果実、花から選択されることが好ましく、とりわけ、茎、葉、果実から選択されることがより好ましく、茎又は葉が特に好ましい。例えばセンナについては、茎を用いることが好ましい。キャンドルブッシュは、葉を用いることが好ましい。ここで、葉とは、小葉、葉柄、葉軸を含む。
【0015】
本発明で使用する(A)センナ属植物としては、センナ属植物より得られる各種の加工物を用いることができる。加工物としては、植物体の発酵物;植物体を粉砕して乾燥粉末化したもの(粉砕末);植物体の搾汁若しくはそれを乾燥粉末化したもの(搾汁末);植物体の抽出物及び乾燥粉末化したもの(エキス末(「抽出物末」と記載されることもある。))等が挙げられるが、これらに限定されない。搾汁物や抽出物を粉末化する際は、必要に応じて賦形剤を使用できる。なお以下では抽出物を「エキス」と記載し、抽出物を乾燥粉末化したものをエキス末と記載する。本明細書で特に断りがない場合、「エキス」はその形態を問わず抽出物全般を含み、エキス末も含まれる。
【0016】
本発明の(A)センナ属植物としては、本発明の効果が特に優れる観点から、(A)センナ属植物のエキス又は粉砕末を用いることが特に好ましく、腸細胞を賦活化する効果が高い点から、エキスを用いることがより好ましく、とりわけ、エキスと粉砕物を組み合わせて用いることが好ましく、中でも1種のセンナ属植物のエキスと、別種のセンナ属植物の粉砕末を組み合わせることがより好ましい。ここでエキスがエキス末であることが特に好ましい。
【0017】
エキスは、(A)センナ属植物の抽出対象部位を、そのまま或いは必要に応じて、乾燥、細切、破砕、圧搾または煮沸処理したものを抽出溶媒で抽出することにより取得することができる。
抽出に使用される溶媒としては、冷水、熱水若しくは有機溶媒、あるいは水と有機溶媒の混合液等が挙げられる。
【0018】
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素原子数1~5の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール等を包含するアルコール;アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル;クロロホルム;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類から選ばれる単独或いは2種以上の組み合わせを挙げることができる。腸細胞を賦活化する効果が高い点から、上記抽出溶媒の中で、好ましくは水、アルコール又は水及びアルコールの混合溶媒であり、とりわけアルコール又は水及びアルコールの混合溶媒が特に好ましく、低級アルコール又は水及び低級アルコールの混合溶媒が特に好ましく、エタノール又は水及びエタノールの混合溶媒が最も好ましい。
【0019】
また、抽出温度としては、室温以上であることが好ましく、例えば室温~100℃程度 、とりわけ50~80℃程度の高温で行うことがより好ましい。
【0020】
例えば抽出時間は1~300分程度、好ましくは10~90分程度抽出を行う方法を挙げることができる。
【0021】
上記で得られるエキスは、(A)センナ属植物に含まれる可溶性成分が抽出溶媒に溶解した液状物である。液状物は、濃縮液としてもよいし、また乾燥物(エキス末)としてもよい。上記で得られた液状物を乾燥してエキス末を得る方法としては、減圧蒸留等により抽出溶媒を除去する方法、または減圧乾燥や凍結乾燥等の乾燥処理を施して抽出溶媒を除去する方法、ドライスプレーや噴霧乾燥処理などを挙げることができる。
【0022】
また粉砕末については、(A)センナ属植物を乾燥及び粉砕する方法であれば、いずれの方法であってもよい。
【0023】
(A)センナ属植物のエキスや粉砕末としては、市販のものを用いることができる。
【0024】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(A)センナ属植物は、本発明の経口組成物の一日摂取量中に1mg~10000mg含有されていることが好ましく、5mg~5000mg含有されていることがより好ましく、10mg~2000mg含有されていることが更に好ましい。
【0025】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(A)センナ属植物は、本発明の経口組成物の固形分中、0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~80質量%含有されていることがより好ましく、1~70質量%含有されていることが更に好ましい。
【0026】
本明細書中、固形分とは、経口組成物が固形状である場合は、経口組成物中の含有量を指し、経口組成物が非固形状である場合には、経口組成物中の溶媒を除いた全成分の合計量を指す。
ここで溶媒とは、水、25℃で液状の油脂、エタノール等、経口組成物に用いられるものが挙げられる。
固形状としては、粉末状、顆粒状、粒状、固体状等が挙げられる。
非固形状とは、上記固形状に該当しないものであり、液状、流動状、ペースト状が挙げられ、水等の溶媒に固形状成分が分散又は溶解しているものをいう。
なお、本明細書において、組成物がカプセル剤の形態である場合、組成物とはカプセル剤の内容物を指し、カプセル自体の重量は組成物の重量に含めないものとする
【0027】
(B)特定細菌
本発明では、(B)Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上の細菌(以下、「(B)特定細菌」ともいう。)を用いる。
【0028】
本形態で用いる(B)特定細菌は、人間や動物の体によい働きをする微生物である。(B)特定細菌は、生菌であっても、死菌であっても良いが、腸細胞を賦活化する効果が高い点から、生菌を用いることが好ましい。
【0029】
Bacillus属菌は芽胞菌であり、通常好気性のグラム陽性桿菌である。胞子を形成する乳酸菌であることから、有胞子性乳酸菌とも称される。Bacillus属菌の好適なものとしては、Bacillus coagulans(Weizmannia coagulansとも称される)、及びBacillus mesentericus、Bacillus subtilis、Bacillus megaterium、Bacillus cereus var toyoi、Bacillus licheniformis等が挙げられる。なかでも、Bacillus coagulans、Bacillus subtilisから選ばれる1種以上が腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましく、Bacillus coagulansが特に好ましい。
【0030】
Enterococcus属菌において、好適なものとしては、Enterococcus faecalis(Streptococcus faecalis と称されることもある)、Enterococcus faesium(Streptococcus faesiumと称されることもある)、Enterococcus avium、Enterococcus casseliflavus、Enterococcus gallinarum、Enterococcus flavescenなどが挙げられる。なかでもEnterococcus faecalis、Enterococcus faesiumから選ばれる1種以上が腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましく、Enterococcus faecalisが特に好ましい。
【0031】
Clostridium属菌としてはClostridium butyricum、Clostridium acetobutyricum、Clostridium multifermentus、Clostridium bifermentans,Clostridium pasteurianum、Clostridium toanum、Clostridium perfringens、Clostridium tetanomorphum、Clostridium flavum、Clostridium tertiumなどが挙げられる。これらは酪酸を産生する細菌であり、酪酸菌とも称される。中でも、Clostridium butyricumが腸細胞を賦活化する効果が高い点から特に好ましい。
【0032】
本発明では、腸細胞を賦活化する効果が高い点から、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌のなかでも、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される1種以上を用いることが好ましい。また腸細胞を賦活化する効果が高い点から、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される2種以上を組み合わせることも好ましい。この場合、Bacillus属菌とEnterococcus属菌とを組み合わせることが好ましく、Bacillus属菌とClostridium属菌を組み合わせることも好ましく、Enterococcus属菌とClostridium属菌を組み合わせることも好ましい。とりわけ腸細胞を賦活化する効果が高い点から、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌を全て含有することが最も好ましい。
【0033】
Bacillus属菌とEnterococcus属菌とを組み合わせる場合、腸細胞を賦活化する効果を高める観点からBacillus属菌:Enterococcus属菌の個数比(前者:後者)が100:0.1~100000が好ましく、100:1~10000がより好ましく、100:10~1000が更に好ましい。
【0034】
Bacillus属菌とClostridium属菌を組み合わせる場合、腸細胞を賦活化する効果を高める観点からBacillus属菌:Clostridium属菌の個数比(前者:後者)が100:0.002~2000が好ましく、100:0.02~200がより好ましく、100:0.2~20が更に好ましい。
【0035】
Enterococcus属菌とClostridium属菌を組み合わせる場合、腸細胞を賦活化する効果を高める観点からEnterococcus属菌:Clostridium属菌の個数比(前者:後者)が100:0.002~2000が好ましく、100:0.02~200がより好ましく、100:0.2~20が更に好ましい。
【0036】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌としては、本発明の経口組成物の一日摂取量中に1万個~1兆個含有されていることが好ましく、100万個~1000億個含有されていることがより好ましく、1000万個~100億個含有されていることが特に好ましい。
【0037】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、本発明の経口組成物の固形分中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~50質量%含有されていることがより好ましく、1~25質量%含有されていることが更に好ましい。
【0038】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(A)センナ属植物に対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、10~1000質量%含有されていることが更に好ましい。
【0039】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(A)センナ属植物1gに対し、1万個~1兆個含有されていることが好ましく、100万個~1000億個含有されていることがより好ましく、200万個~500億個含有されていることが更に好ましく、1億個~100億個含有されていることが特に好ましい。
【0040】
(C)セルロース
セルロースとは、分子式(C10)nで表され、β-グルコースがグルコシド結合にて重合した多糖類である。本発明の経口組成物は、(C)セルロースを含有することで、腸細胞を賦活化する効果を一層高めることができるため好ましい。特に、(B)特定細菌として、Enterococcus属菌を含有し、(C)セルロースと組み合わせることが好ましい。また、(B)特定細菌として、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される2種以上と(C)セルロースとを組み合わせることも好ましく、とりわけ、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌と、(C)セルロースとを組み合わせることが腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましい。
【0041】
(C)セルロースとしては、粉末セルロース又は結晶セルロースが好ましく挙げられる。腸細胞を賦活化する効果が高い点から、粉末セルロースを使用することが特に好ましい。
一般に入手できるセルロースとしては、粉末形態である通常のセルロース(以下、「粉末セルロース」という。)、例えばセルロースフロックや、結晶形態である通常のセルロース(以下、「結晶セルロース」という。)が挙げられる。
【0042】
粉末セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα-セルロースを処理した後、精製し、機械的に粉砕したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、粉末セルロースに該当するものである。当該粉末セルロースの平均重合度は、440より大きいことが好ましい。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従い、測定することができる。当該粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)のKCフロックシリーズ、例えばKC-フロック W-50、KC-フロック W-100(G) 、KCフロック W-200(G)、KCフロック W-250、KCフロック W-300G、KCフロック W-400Gなどが挙げられる。セルロースの平均重合度は好ましくは1500以下であり、より好ましくは1000以下である。
【0043】
結晶セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα-セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、結晶セルロースに該当するものである。結晶セルロースの平均重合度は、350以下であることが好ましい。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の、結晶セルロースの確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従い、測定することができる。当該結晶セルロースとしては、例えば、旭化成(株)のセオラスSTシリーズなどが挙げられる。
【0044】
セルロースの均粒子径は好ましくは100μm以下であり、より好ましくは70μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。本明細書でいう平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径を指す。
【0045】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースとしては、本発明の経口組成物の一日摂取量中に1mg~10000mg含有されていることが好ましく、5mg~5000mg含有されていることがより好ましく、10mg~2000mg含有されていることが更に好ましい。
【0046】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースは、本発明の経口組成物の固形分中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~50質量%含有されていることがより好ましく、1~25質量%含有されていることが更に好ましい。
【0047】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースは、(A)センナ属植物に対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、10~1000質量%含有されていることが更に好ましい。
【0048】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースは、(B)特定細菌に対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、5~5000質量%含有されていることが更に好ましく、10~1000質量%含有されていることが特に好ましい。
【0049】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(C)セルロース1gに対し、1万個~1兆個含有されていることが好ましく、100万個~1000億個含有されていることがより好ましく、200万個~500億個含有されていることが更に好ましく、1億個~100億個含有されていることが特に好ましい。
【0050】
(D)リジン
リジンとは、塩基性アミノ酸の1つであり、リシンとも呼ばれる。本発明の経口組成物は、(D)リジンを含有することで、腸細胞を賦活化する効果を一層高めることができるため好ましい。特に、(D)リジンは(C)セルロースと組み合わせることが腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましい。また(D)リジンは、複数属の菌を組み合わせた(B)特定細菌に組み合わせて用いることが、腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましい。とりわけ、(B)特定細菌として、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌から選択される2種以上と(D)リジンとを組み合わせることも好ましく、とりわけ、Bacillus属菌、Enterococcus属菌、及び、Clostridium属菌と、(D)リジンとを組み合わせることが腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましい。
【0051】
(D)本発明で使用される(D)リジンは、動物あるいは植物由来の天然タンパク質の加水分解から得られたもの、発酵法あるいは化学合成法によって得られたものいずれでも良い。(D)リジンは光学異性体として、D体とL体が存在するが、本発明に使用するには、生体タンパク質の成分であるL体が望ましい。(D)リジンは種々の塩の形で用いても良い。(D)リジンとしては、これらのアミノ酸が塩基性を示すために主に酸との塩が用いられる。酸としては、無機酸、有機酸いずれでも良い。無機酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等があげられる。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ガンマリノレン酸、コハク酸トコフェロールモノエステル、トコフェロール燐酸、アスコルビン酸、アスコルビン燐酸、トコフェロールアスコルビル燐酸、チオクト酸、N-アセチルシステイン、N,N´-ジアセチルシステイン、リポ酸(lipoic acid)等が挙げられる。
【0052】
本発明の経口組成物において、(D)リジンは、ペプチドの形態や蛋白質中に含有されるものではなく、アミノ酸単体又はその塩として含有されていることが腸細胞を賦活化する効果が高い点から好ましい。とりわけ好ましいのは(D)リジンが塩として含有されていることであり、とりわけ好ましくはリジン塩酸塩である。
【0053】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンとしては、本発明の経口組成物の一日摂取量中に1mg~10000mg含有されていることが好ましく、5mg~5000mg含有されていることがより好ましく、10mg~2000mg含有されていることが更に好ましい。
【0054】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、本発明の経口組成物の固形分中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~50質量%含有されていることがより好ましく、1~25質量%含有されていることが更に好ましい。
【0055】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、(A)センナ属植物に対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、10~1000質量%含有されていることが更に好ましい。
【0056】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、(B)特定細菌に対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、5~5000質量%含有されていることが更に好ましく、10~1000質量%含有されていることが特に好ましい。
【0057】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(D)リジン1gに対し、1万個~1兆個含有されていることが好ましく、100万個~1000億個含有されていることがより好ましく、200万個~500億個含有されていることが更に好ましく、1億個~100億個含有されていることが特に好ましい。
【0058】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、(C)セルロースに対し0.1~100000質量%含有されていることが好ましく、1~10000質量%含有されていることがより好ましく、10~1000質量%含有されていることが更に好ましい。
【0059】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(A)センナ属植物は、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~80質量%含有されていることがより好ましく、1~70質量%含有されていることが更に好ましい。
【0060】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(A)センナ属植物は、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~80質量%含有されていることがより好ましく、1~70質量%含有されていることが更に好ましい。
【0061】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~50質量%含有されていることがより好ましく、1~25質量%含有されていることが更に好ましい。
【0062】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~50質量%含有されていることがより好ましく、1~25質量%含有されていることが更に好ましい。
【0063】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(B)特定細菌は、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量1gに対し、1万個~1兆個含有されていることが好ましく、100万個~1000億個含有されていることがより好ましく、1億個~100億個含有されていることが特に好ましい。
【0064】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースは、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~60質量%含有されていることがより好ましく、1~40質量%含有されていることが更に好ましい。
【0065】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(C)セルロースは、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~60質量%含有されていることがより好ましく、1~40質量%含有されていることが更に好ましい。
【0066】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~60質量%含有されていることがより好ましく、1~40質量%含有されていることが更に好ましい。
【0067】
腸細胞を賦活化する効果が高い点から、(D)リジンは、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量中に0.01~90質量%含有されていることが好ましく、0.1~60質量%含有されていることがより好ましく、1~40質量%含有されていることが更に好ましい。
【0068】
本発明の経口組成物において、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量の下限は特に限定はないが、腸細胞を賦活化する効果が高い点から、固形分中、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
【0069】
本発明の経口組成物において、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量の下限は特に限定はないが、腸細胞を賦活化する効果が高い点から、固形分中、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
【0070】
本発明の経口組成物において、(A)センナ属植物、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量の上限は特に限定はなく、100質量%であっても良いが、製剤性の良さの点から、組成物中、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
本発明の経口組成物において、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計量の上限は特に限定はなく、100質量%であっても良いが、製剤性の良さの点から、組成物中、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
【0071】
本発明において(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの合計の摂取量としては、その効果をより効果的に享受できる点から、成人の1日当たり、4mg以上となるように摂取することが好ましく、20mg以上となるように摂取することがより好ましく、40mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、40000mgであることが好ましく、より好ましくは20000mgであり、特に好ましくは8000mgである。
【0072】
本発明の剤は、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リ02ジン以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。経口摂取する場合、このような成分としては、水、セルロース以外の賦形剤や結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の剤の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0073】
経口組成物の形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が好ましく、腸に菌を届けやすいほか、服用しやすさの利点があり、本発明の効果が特に優れたものとなる点で錠剤、カプセル剤、顆粒剤がより好ましく、錠剤が特に好ましい。錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤として用いられる経口用組成物の例としては、サプリメント、食品添加剤、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料、水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲むための粉末飲料等を例示することができる。
【0074】
また経口組成物の具体例としては、飲食用組成物として食品を含めることができる。食品としては、ティーバッグ、パン・菓子類、麺類などの各種食品、調理品等も挙げることができる。パン・菓子類としては、食パン、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、マフィン、蒸しパン、ドーナツ、ワッフル等のパン類や、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキ等のケーキ類、チョコ、シャーベット、アイス等の冷菓、ゼリー、クッキー等を挙げることができる。麺類としては、うどんや素麺等が挙げられる。調理品としては、カレー、シチュー、味噌汁、野菜スープ等のスープやそれらのもと、調味料等を挙げることができる。
【0075】
本発明の経口組成物の利用形態としては、具体的には、医薬品(医薬部外品を含む)、一般食品、栄養機能食品、所定機関により効能の表示が認められた特定保健用食品、機能性表示食品等のいわゆる健康食品を挙げることができる。効能を表示した食品は「機能性食品」と総称されることがある。
【0076】
本発明の経口組成物は、後述する実施例に記載の通り、腸管上皮細胞を賦活化することができる。これにより、腸内免疫を調整し、整腸作用や腸管免疫の賦活に繋がる。また、肥満に起因した炎症や耐糖異常等の病態の予防や改善の効果も期待されることから、ダイエット効果が期待できる。
【0077】
本発明の経口組成物は、整腸用組成物、免疫改善用組成物、ダイエット用組成物として用いることもできる。
【0078】
本発明の経口組成物を整腸用組成物、免疫改善用組成物、ダイエット用組成物として用いる場合、整腸、免疫改善、ダイエットに用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであればよい。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、整腸、免疫改善、ダイエットに関わる機能がある旨を表示したものが本発明の整腸用組成物、免疫改善用組成物、ダイエット用組成物の範囲に含まれる。なお、本発明の整腸用組成物、免疫改善用組成物、ダイエット用組成物は、製品の包装等に、(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、整腸、免疫改善、ダイエットの用途を示唆して製造販売されるものは本発明の抗肥満組成物の範囲に含まれる。
【0079】
具体的に、整腸用組成物においては、例えば、「(大腸等の)腸細胞を賦活化する」、「(大腸等の)腸細胞を賦活化する」、「腸を賦活化する」「腸内環境を改善する」、「腸内環境の改善に役立つ」、「腸内環境の改善を助ける」、「腸内フローラの改善に役立つ」、「便通改善」、「便秘改善」、「お通じを良くする」、「すっきりサポート」、「便秘気味の方へ」、等を表示したものを例示することができる。
【0080】
免疫改善用組成物においては、例えば、「正常な免疫機能を維持する」、「正常な免疫機能の維持に役立つ」、「正常な免疫機能の維持を助ける」、「身体のバリア機能の増強」、「身体のバリア機能の増強に役立つ」、「身体のバリア機能の増強を助ける」、「身体のバリア機能の維持」、「腸管バリア機能の増強」、「腸管バリア機能の増強に役立つ」、「腸管バリア機能の増強を助ける」、「腸管バリア機能の維持」、「腸管バリア機能の維持に役立つ」、「腸管バリア機能の維持を助ける」、「腸のバリア機能の増強」、「腸のバリア機能の増強に役立つ」、「腸のバリア機能の増強を助ける」、「腸のバリア機能の維持」、「腸のバリア機能の維持に役立つ」、「腸のバリア機能の維持を助ける」、「免疫力アップ」等を表示したものを例示することができる。
【0081】
ダイエット用組成物においては、例えば、「ダイエット」、「スタイルをサポート」、「代謝促進」、「体脂肪が気になる方へ」、「肥満気味な方へ」、「体重(BMI)が気になる方へ」、「体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)を減らす」、「ウエスト周囲長を減らす」等を表示したものを例示することができる。
【0082】
本発明の剤は(A)センナ属植物、(B)特定細菌、(C)セルロース及び(D)リジンの1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0083】
本発明の剤は、ヒト等の哺乳類に適用されることが好ましく、とりわけヒト対象であることが好ましい。ヒトに適用されることにより、ヒトの腸内において、本発明の剤による大腸などの腸細胞の賦活化効果、特に腸管上皮細胞の賦活化効果が期待でき、これにより、腸内免疫を調整したり、腸管バリア機能を高めたり、腸内環境を整えたり、腸管免疫の賦活に繋がることが期待される。また、肥満に起因した炎症や耐糖異常等の病態の予防や改善、更に、消化器感染症や呼吸器感染症などの感染症の予防にもつながることが期待される。
【0084】
本発明は、個体に(A)センナ属植物及び(B)特定細菌、並びに必要に応じて(C)セルロース及び(D)リジンを経口摂取させるステップを含む、当該個体の腸細胞を賦活化する方法を提供する。本発明では、個体の腸細胞を賦活化することで、腸管上皮細胞の賦活化効果が期待でき、これにより、腸内免疫を調整したり、腸内環境を整えたり、腸管バリア機能を高めたり、腸管免疫の賦活に繋がることが期待される。個体としては、ヒト、猫、犬等の哺乳類が好ましく、ヒトがより好ましい。これらの方法では、2週間以上連続して(A)センナ属植物及び(B)特定細菌、並びに必要に応じて(C)セルロース及び(D)リジンを摂取させることが好ましく、3週間以上連続して(A)センナ属植物及び(B)特定細菌、並びに必要に応じて(C)セルロース及び(D)リジンを摂取させることがより好ましく、4週間以上連続して(A)センナ属植物及び(B)特定細菌、並びに必要に応じて(C)セルロース及び(D)リジンを摂取させることが更に好ましい。2週間以上連続して(A)センナ属植物及び(B)特定細菌、並びに必要に応じて(C)セルロース及び(D)リジンを摂取させる場合、毎日摂取しても、摂取しない日があってもよく、1週間に2日以上摂取すればよいが、1週間に3日以上摂取することがより好ましい。
【実施例0085】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0086】
被験物質として、以下を用いた。いずれも市販されているものを用いた。
(A)センナ属植物
センナ:センナの茎の含水エタノール抽出物末(エキス末)を用いた。
キャンドルブッシュ:キャンドルブッシュの葉を乾燥及び粉砕してなる粉末(粉砕末)を用いた。
(B)特定細菌
Bacillus属菌:Bacillus coagulans菌末を用いた。1g当たり、Bacillus coagulansの生菌が50億個含まれている。
Enterococcus属菌:Enterococcus faecalis菌末を用いた。1g当たり、Enterococcus faecalisの生菌が50億個含まれている。
Clostridium属菌:Clostridium butyricum菌末を用いた。1g当たり、Clostridium butyricumの生菌が1億個含まれている。
(C)セルロース:平均粒子径が45μmである、粉末セルロースを用いた。
(D)リジン:L-リジン塩酸塩を用いた。
比較例:Bifidobacterium属菌:Bifidobacterium lactisとマルトデキストリンの混合物を用いた。1g当たり、Bifidobacterium lactisの生菌が1億個含まれている。
【0087】
(試験方法)
(1)細胞培養
(1-1)細胞
ヒト腸管上皮のモデル細胞として、ヒト大腸癌由来細胞(Caco-2)を使用した。
【0088】
(1-2)培養
37℃、5%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、Caco-2細胞を培養した。培地として、DMEMに10%ウシ胎児血清(FBS)、1%非必須アミノ酸、1%ペニシリン‐ストレプトマイシンを添加した培地(以下、「培養培地」ともいう。)を使用した。
【0089】
(1-3)前培養
トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコから96ウェルプレートに5.0×10cells/ウェルの細胞密度となるように100μL播種した。37℃、5%COインキュベーター内で24時間前培養した。
【0090】
(2)Caco-2細胞の増殖試験
培地を除去後、被験物質含有培地を100μL/ウェル添加し、37℃、5%COインキュベーター内で24時間培養した。
被験物質としては、下記表1に示す組成の比較例1~8および実施例1~6の組成物を使用した。被験物質含有培地は、培養培地において、組成物の各成分の培地中合計濃度が100μg/mLとなるように調製した。
また、コントロールとして、被験物質を含まない培養培地を添加した。
【0091】
【表1】
【0092】
培養後、培地を除去して各ウェルを200μLのPBSで1回洗浄した後、無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting Kit-8(同仁化学製)を各ウェルに150μLずつ添加した。37℃、5%COインキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。
【0093】
また空のウェルに無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting-8 Kitを入れたものを用意し(バックグラウンド用)、同様に保温して吸光度を測定した。
【0094】
吸光度の測定としては、プレートリーダー(SpectraMax i3x、モレキュラーデバイス社製)を用い、得られたデータを元に、% of control(コントロールの生細胞数を100%とする相対的な生細胞数)を算出し、各実施例および比較例について細胞賦活活性を評価した。結果を図1に示す。吸光度の比率とCaco-2細胞数の比率とは正比例の関係にあるので、吸光度の比率は、Caco-2細胞数の比率を示す。
% of control=(Data sample-Data blank)/(Data control-Data blank)×100
【0095】
(試験結果)
図1において、実施例1~6は比較例1~8に比して、Caco-2細胞数の比率が増加した。
図1の実施例1~実施例6について検討すると、(A)センナ属植物及び(B)特定細菌に(C)セルロースを組み合わせた実施例4で効果が高く、更に実施例4と実施例5との比較から、3つの属の菌を組み合わせることで効果が高くなることが判る。とりわけ、実施例5と実施例6との比較から、(A)~(D)の4成分を組み合わせることで、優れた効果が得られることが判る。実施例と比較例で添加したサンプルの総量が同量であるところ、相加効果の範囲内では比較例の細胞賦活活性を上回ることは通常ない。しかしながら、各実施例の細胞賦活活性は、比較例と比較して明らかに高い値を示しており、相乗効果であることは明らかである。
【0096】
以上の結果から、本発明の経口組成物は、腸細胞賦活化作用として優れた腸管上皮細胞賦活効果を示すことから、整腸効果、免疫改善効果、ダイエット効果が期待できる。
【0097】
以下に、本発明の経口組成物の製造例を示す。なお、以下において、(A)センナエキス末は上記実施例1~6で用いた「センナ」と同様のものを用いた。また、(A)キャンドルブッシュ粉砕末としては、上記実施例1~6で用いた「キャンドルブッシュ」と同様のものを用いた。(B)Bacillus coagulans、(B)Enterococcus faecalis、(B)Clostridium butyricum、及び(D)粉末セルロースとしても、上記の実施例で用いた「Bacillus属菌」「Enterococcus属菌」「Clostridium属菌」及び「セルロース」と同様のものを用いた。
【0098】
[錠剤]
表2の配合にて、錠剤を製造した。錠剤は、1粒300mgで製造した。得られた錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。いずれの錠剤も整腸、免疫改善、ダイエットに有効である。
【0099】
【表2】
【0100】
[顆粒剤]
表3の配合にて、顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などに溶かして摂取することができる。いずれの顆粒剤も整腸、免疫改善、ダイエットに有効である。
【0101】
【表3】
【0102】
[ハードカプセル]
表4の配合の内容物をゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、ハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒400mgで製造した。1日あたり1~2粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。いずれのハードカプセルも製造性が良好で、服用感に優れた。また、いずれのハードカプセルも整腸、免疫改善、ダイエットに有効である。
【0103】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の組成物は、腸細胞賦活化作用があり、健康食品等として用いることができることから、産業上有用である。

図1