(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165975
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】バッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A45C11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082623
(22)【出願日】2023-05-18
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】595054213
【氏名又は名称】株式会社オルセン
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】植田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 伸行
(72)【発明者】
【氏名】小林 倫祥
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA41
3B045CE07
3B045CE08
3B045DA41
3B045EA02
3B045EA03
3B045EB10
3B045FC04
3B045FC06
3B045FC09
3B045GB02
3B045GC02
3B045GD01
3B045KB02
(57)【要約】
【課題】一つのバッグでサイズの異なる運搬対象物を運搬し、届け先でスムースに、しかも、失敗することなく取り出して相手に届けることでができるバッグを提供する。
【解決手段】
バッグ100は、内部に収容空間を形成するように、底面部200と、天面部300と、底面部200と天面部300とをつなぐ側面部400と、を有し、底面部200を下とし、天面部300を上とした正姿勢を保って運搬される。側面部400に、運搬対象物を出し入れする第一の出し入れ口としての側面出入口部411を有し、天面部300に、運搬対象物を出し入れする第二の出し入れ口としての天面出入口部310を有する。天面開口部320の縁の少なくとも一部は天面部300の上面から起立するように設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間を形成するように、底面部と、天面部と、底面部と天面部とをつなぐ側面部と、を有し、底面部を下とし、天面部を上とした正姿勢を保って運搬されるバッグであって、
前記側面部に、運搬対象物を出し入れする第一の出し入れ口としての側面出入口部を有し、
前記天面部に、運搬対象物を出し入れする第二の出し入れ口としての天面出入口部を有する
ことを特徴とするバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載のバッグにおいて、
前記天面出入口部は、
前記天面部に設けられた天面開口部と、
前記天面開口部を開閉する蓋シート体と、
前記天面開口部の縁と前記蓋シート体との縁とを留め外しする第一留め具と、を備える
ことを特徴とするバッグ。
【請求項3】
請求項2に記載のバッグにおいて、
前記天面開口部の縁の一部は前記天面部に面一であり、前記天面開口部の縁の他の一部は前記天面部の上面から起立するように設けられている
ことを特徴とするバッグ。
【請求項4】
請求項3に記載のバッグにおいて、
前記天面開口部の縁のなかで前記側面出入口に近い側の辺が前記天面部の上面から起立するように設けられている
ことを特徴とするバッグ。
【請求項5】
請求項3に記載のバッグにおいて、
前記天面開口部および前記蓋シート体の一方は長方形で、前記天面開口部および蓋シート体の他方は台形であり、台形の斜辺と長方形の辺との間の隙間で前記第一留め具が前記天面部と面一に収まり、
前記天面開口部および前記蓋シート体の互いの辺が平行になるところで前記天面開口部の縁が立ち上がっている
ことを特徴とするバッグ。
【請求項6】
請求項2に記載のバッグにおいて、
前記天面開口部は略矩形であって、第一辺と、前記第一辺に隣接する第二辺および第三辺と、前記第一辺の対向辺である第四辺を有し、
前記第一留め具は、テープと、エレメントと、スライダーと、を有する線ファスナーであり、
前記第二辺と前記第三辺とに取り付けられる前記テープは前記天面部の上面と面一であり、
前記第一辺に取り付けられる前記テープが前記天面部の上面から立ち上がることによって、前記天面開口部の前記第一辺に相当する縁が立ち上がる
ことを特徴とするバッグ。
【請求項7】
請求項1に記載のバッグにおいて、
前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態を保つように留める第二留め具を有し、
前記収容空間に運搬対象物を収容した状態で前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態を保つことで、当該収容空間内における当該運搬対象物の位置を固定することができる
ことを特徴とするバッグ。
【請求項8】
請求項7に記載のバッグにおいて、
前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態のとき、さらに、前記側面部が前記収容空間の内側に向けて折れ曲がるようになることで、当該収容空間内における当該運搬対象物の位置を固定することができる
ことを特徴とするバッグ。
【請求項9】
請求項1に記載のバッグにおいて、
前記収容空間に収容される運搬対象物には、
平面視の面積が比較的大きい第一容器と、
前記第一容器よりも平面視の面積が小さい第二容器が含まれる
ことを特徴とするバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばピザを注文する注文主は、ピザだけではなくて、サイドメニューも注文することが多い。したがって、運搬者は、ピザの容器(箱)とサイドメニュー容器とのように大きさが異なる複数の容器を運搬しなければならない。運搬者は、複数の容器をまとめて一つの食品運搬用バッグにいれて運び、注文主の玄関先でバッグから食品容器を順番に取り出して手渡す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バッグのなかには、偏平で比較的大きなピザ箱と、比較的小さなサイドメニュー容器と、が重ねて収容されることになる。さらに、食品を温かく保つために、保温用蓄熱プレートもバッグのなかに併せて収容される。この状態で、運搬者が注文主の玄関先でバッグを開いて食品を取り出そうとしたとき、ピザ箱の上あるいは蓄熱プレートの上に載ったサイドメニュー容器が滑り落ちて床や地面に落下してしまうという事故が起きることがあった。
【0004】
本発明の目的は、一つのバッグでサイズの異なる運搬対象物を運搬し、届け先でスムースに、しかも、失敗することなく取り出して相手に届けることでができるバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のバッグは、
内部に収容空間を形成するように、底面部と、天面部と、底面部と天面部とをつなぐ側面部と、を有し、底面部を下とし、天面部を上とした正姿勢を保って運搬されるバッグであって、
前記側面部に、運搬対象物を出し入れする第一の出し入れ口としての側面出入口部を有し、
前記天面部に、運搬対象物を出し入れする第二の出し入れ口としての天面出入口部を有する
ことを特徴とする。
【0006】
本発明の一実施形態では、
前記天面出入口部は、
前記天面部に設けられた天面開口部と、
前記天面開口部を開閉する蓋シート体と、
前記天面開口部の縁と前記蓋シート体との縁とを留め外しする第一留め具と、を備える
ことが好ましい。
【0007】
本発明の一実施形態では、
前記天面開口部の縁の一部は前記天面部に面一であり、前記天面開口部の縁の他の一部は前記天面部の上面から起立するように設けられている
ことが好ましい。
【0008】
本発明の一実施形態では、
前記天面開口部の縁のなかで前記側面出入口に近い側の辺が前記天面部の上面から起立するように設けられている
ことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記天面開口部および前記蓋シート体の一方は長方形で、前記天面開口部および蓋シート体の他方は台形であり、台形の斜辺と長方形の辺との間の隙間で前記第一留め具が前記天面部と面一に収まり、
前記天面開口部および前記蓋シート体の互いの辺が平行になるところで前記天面開口部の縁が立ち上がっている
ことが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態では、
前記天面開口部は略矩形であって、第一辺と、前記第一辺に隣接する第二辺および第三辺と、前記第一辺の対向辺である第四辺を有し、
前記第一留め具は、テープと、エレメントと、スライダ、とを有する線ファスナーであり、
前記第二辺と前記第三辺とに取り付けられる前記テープは前記天面部の上面と面一であり、
前記第一辺に取り付けられる前記テープが前記天面部の上面から立ち上がることによって、前記天面開口部の前記第一辺に相当する縁が立ち上がる
ことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態では、
前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態を保つように留める第二留め具を有し、
前記収容空間に運搬対象物を収容した状態で前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態を保つことで、当該収容空間内における当該運搬対象物の位置を固定することができる
ことが好ましい。
【0012】
本発明の一実施形態では、
前記天面部と前記底面部とを近づけた形状状態のとき、さらに、前記側面部が前記収容空間の内側に向けて折れ曲がるようになることで、当該収容空間内における当該運搬対象物の位置を固定することができる
ことが好ましい。
【0013】
本発明の一実施形態では、
前記収容空間に収容される運搬対象物には、
平面視の面積が比較的大きい第一容器と、
前記第一容器よりも平面視の面積が小さい第二容器が含まれる
ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、側面蓋シートを開いた状態のバッグの斜視図である。
【
図3】
図3は、側面蓋シートおよび天面蓋シートを開いた状態のバッグの斜視図である。
【
図5】
図5は、バッグの外観斜視図を示す図である。
【
図6】
図6は、バッグの天面部の天面ファスナーを開閉する様子を示す図である。
【
図7】
図7は、バッグ縫製前の展開図を底面側からみた図である。
【
図8】
図8は、バッグに運搬対象物を収容する様子を例示する図である。
【
図9】
図9は、運搬対象物を収容した状態で天面蓋シートを開いた状態を例示する図である。
【
図10】
図10は、天面蓋シートを開いて天面出入口部からサイドメニュー容器を取り出す様子を例示した図である。
【
図11】
図11は、側面蓋シートを開いて側面出入口部からピザ箱を取り出す様子を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、バッグ100の斜視図である。
図2は、側面蓋シート210を開いた状態のバッグ100の斜視図である。
図3は、側面蓋シート210および天面蓋シート340を開いた状態のバッグ100の斜視図である。
図4は、うら面を示す図である。
図5は、バッグ100の外観斜視図を示す図である。
図6は、バッグ100の天面部300の天面ファスナー360を開閉する様子を示す図である。
図7は、バッグ縫製前の展開図を底面側からみた図である。
図8は、バッグ100に運搬対象物を収容する様子を例示する図である。
図9は、運搬対象物を収容した状態で天面蓋シート340を開いた状態を例示する図である。
図10は、天面蓋シート340を開いて天面出入口部310からサイドメニュー容器920を取り出す様子を例示した図である。
図11は、側面蓋シート210を開いて側面出入口部411からピザ箱910を取り出す様子を例示した図である。
【0016】
本発明の第一実施形態に係るバッグ100は、
図1や
図5に表れるように、全体的に比較的平たい偏平な直方体形状である。
本実施形態形態のバッグ100は、食品の宅配に使用される食品運搬用のバッグ100として好適である。例えば、ピザの容器910のような偏平であって水平を保たなければならない幅広かつ偏平な容器(第一容器)910と、サイドメニューを入れる比較的小さな容器(第二容器)920と、を併せて運搬するのに好適なバッグ100である。
【0017】
バッグ100は、直方体形状であって、平面視したときに矩形で、その縦方向長さと横幅とが比較的大きく、側方視したときの高さが比較的低い。バッグ100は、直方体形状の内部に収容空間110を形成するように、底面部200と、天面部300と、側面部400と、を有する。バッグ100を構成する素材としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、などのファイバーで織った生地(布)である。保温性を保つように生地(布)を二重に重ねたり、その間に発泡樹脂を挟んだり、内側にアルミ箔を貼ったり蒸着したりしてもよい。また、形状を保つように、必要な箇所に芯材として、厚紙、ボール紙、金属板、ベニヤ板(薄い木材合板)、樹脂板、発泡ポリエチレン材(例えば製品名ベルポーレン)など、を挟んだり、貼り付けたりしてもよい。
【0018】
直方体の側面は四つあるので、四つの側面を、第一側面部410と、第二側面部420と、第三側面部430と、第四側面部440と、する。例えば
図5を参照されたい。第二側面部420と第三側面部430とは、第一側面部410に隣接する側面である。第四側面部440は、第一側面部410の対向面である。
【0019】
第一側面部410は、開口しており、運搬対象物を収容空間110に出し入れする第一の出し入れ口となっている。この第一の出し入れ口を側面出入口部411とする。
【0020】
側面出入口部411は、側面蓋シート210によって開閉される。側面蓋シート210は、第一側面部410の側で底面部200を構成するシートが延長されることによって形成されている。第一側面部410の開口(側面出入口部411)を覆うように下から上に側面蓋シート210を折り返して、側面蓋シート210の端を天面部300に重ねて留める。これにより、側面出入口部411が側面蓋シート210によって閉塞される。側面蓋シート210の端部には、例えば
図2、
図3、
図5に表れるように、留め具としてのファスナー(面ファスナー)221が設けられている。同じく、天面部300において、やや第一側面(側面出入口部411)に近位する側の所定の領域に留め具としてのファスナー(面ファスナー)222が設けられている。このファスナーをフラップファスナーと称することとする。留め具(フラップファスナー)としては、面ファスナー221、222に代えて、ボタンとボタンホールでもよいし、スナップボタンでもよい。ただし、バッグ100の厚みの変化に柔軟に対応して側面蓋シート210をしっかり留められるという点で面ファスナーが望ましい。
【0021】
次に、第二側面部420および第三側面部430の外側面に注目すると、例えば
図5、
図7に表れるように、第二側面部420および第三側面部430の外側面には高さ方向に留め具(第二留め具)としてのファスナー(面ファスナー421、431)が設けられている。また、第二側面部420、第三側面部430および第四側面部440に注目すると、高さ方向のほぼ中間において水平面にほぼ平行な折れ曲がり部(422)がある。この折れ曲がり部(422)は、例えば
図2や
図11に表れるように、収容空間の内側に向けてくの字に突き出るように折れるようになっている。すなわち、天面部300を上から押さえてバッグ100の厚み(高さ)を薄くしようとしたとき、第二側面部420、第三側面部430および第四側面部440は、この折れ曲がり部(422)で内側に向けて折れ曲がる。そして、面ファスナー(421、431)同士が連結することにより、天面部300と底面部200とが接近し、かつ、側面部420、430、440が内側に折れた形状が保たれる。
【0022】
留め具(第二留め具)は、面ファスナー421、431に限らず、紐やベルトでもよい。
【0023】
次に、天面部300には、運搬対象物を収容空間110に出し入れする第二の出し入れ口としての天面出入口部310を有する。
天面出入口部310は、天面部300に設けられた天面開口部320と、天面開口部320を開閉する天面蓋シート340と、天面開口部320の縁と天面蓋シート340との縁とを留め外しする第一留め具(天面ファスナー360)と、を備える。
【0024】
天面開口部320は、天面部300において第四側面部440に近位する側の領域に形成されている。言い換えると、天面開口部320は、天面部300において側面出入口部411が設けられている側から遠い側の領域に形成されている。天面開口部320は略矩形に形成されている。天面開口部320を構成する四つの辺を、
図3に表れるように、第一辺321、第二辺322、第三辺323、第四辺324とする。第一辺321は、天面開口部320のうちで第一側面部410(側面出入口部411)に近い辺である。第二辺322と第三辺323とは、第一辺321に隣接する辺である。第四辺324は、第一辺321に対向する辺である。
【0025】
ここで、第一辺321と第二辺322との接続部であるコーナー部と、第一辺321と第三辺323との接続部であるコーナー部と、に着目すると、コーナー部は、直角というわけではなくて、曲率をもった円弧である。そして、コーナー部の曲率は比較的大きい(曲率半径が小さい)。例えば、第一辺321のうちの直線部分の長さをLsとし、曲率をもったコーナー部の長さをLcとするとき、Ls>Lcである。さらに、Ls>2Lcであるようにするのが好ましい。さらには、Ls>3Lcであるようにするのが好ましい。つまり、コーナー部は直角ではないが、曲率が大きい(曲率半径が小さい)、比較的急なカーブである。なお、コーナー部は直角ではないので、例えば、コーナー部の曲率半径を5mmなどとするが、これはバッグ100のサイズにもよっても変わってくるので曲率半径(曲率)は限定されるものではない。
【0026】
コーナー部を直角にしないでアールを付けるのは、コーナー部におけるファスナー(線ファスナー)360の操作性(スライダ361の滑り)をよくするためである。また、天面開口部320の全体を大きな円弧(第二辺322~第一辺321~第三辺323に相当する部分が一連に連続する一つの円弧)にしてもよいかもしれないが、本実施形態では、天面開口部320は、曲率が大きいコーナー部を持った略矩形としている。全体を円弧にしないで、コーナー部に曲率を持った略矩形とする理由は後述する。
【0027】
天面開口部320は、天面蓋シート340によって開閉される。天面蓋シート340は、第四辺324において天面部300を構成するシートが延長されることによって形成されている。天面蓋シート340の縁と天面開口部320の縁(辺)とが留め具(第一留め具)で留められる。したがって、天面蓋シート340の縁と天面開口部320の縁(辺)とが合うように、曲率をもったコーナー部を有する点も含めて、天面蓋シート340の形状や大きさは天面開口部320に対応している。天面蓋シート340を天面開口部320の縁(辺)に着け外しする留め具(第一留め具)を天面ファスナー360と称することにする。
【0028】
天面ファスナー360は、いわゆる線ファスナーである。線ファスナーは、二本で一対のファスナーテープ370、380と、ファスナーテープ370、380を開閉するスライダ361と、を有する。各ファスナーテープ370、380は、直線状の細幅テープと、このテープに設けられた務歯列(エレメント列)と、を有する。いま、天面開口部320、すなわち、第二辺322、第一辺321および第三辺323に渡って取り付けられる(縫い付けられる)ファスナーテープを第一ファスナーテープ370とする。天面蓋シート340の縁に取り付けられる(縫い付けられる)ファスナーテープを第二ファスナーテープ380とする。
【0029】
第一ファスナーテープ370を天面開口部320、すなわち、第二辺322、第一辺321および第三辺323に取り付ける。このとき、第一ファスナーテープ370は直線的なテープであるが、第二辺322と第一辺321との接続部(第一コーナー部)は曲率を持って曲がり、第一辺321と第三辺323との接続部(第二コーナー部)は曲率を持って曲がっていることを思い出して頂きたい。第一ファスナーテープ370を天面開口部320に取り付ける際に第二辺322と第三辺323とに対しては、第一ファスナーテープ370と天面部300とは面一になるようにする。一方、第一ファスナーテープ370を第一辺321に取り付ける際には、第一辺321に取り付けられた第一ファスナーテープ370が天面部300に対して起立して立ち上がるようにする。
これは次のように考えて頂きたい。
第一ファスナーテープ370は天面開口部320の内側に着くから、もし、第二辺322、第一辺321および第三辺323のすべてにわたって第一ファスナーテープ370を天面部300に面一に取り付けたければ、第一ファスナーテープ370の長さは天面開口部320の縁の長さよりもコーナー部で円の内側に入る分だけ短くしなければならない。逆に、例えば、第一ファスナーテープ370の長さが天面開口部320の縁の長さとほぼ同じになっていると、第一ファスナーテープ370は少し長いので天面開口部320の縁の内側に収まりきらず、余計な分が外に逃げる必要がある。いま、第二辺322と第三辺323においては、第一ファスナーテープ370を直線的に面一に取り付け(縫い付け)、そして、コーナー部ではコーナーの内側に必要な分よりも少し余計な長さのテープを取り付ける(縫い付ける)。第一辺321の直線部分については、普通に同じ長さの第一ファスナーテープ370を縫い付ければよい。このようにすると、自然と、コーナー部で第一ファスナーテープ370は徐々に立ち上がり、第一辺321の第一ファスナーテープ370は天面部300に対して立ち上がった状態になる。このことは、例えば、バッグ100の裏面を示す
図4、
図7を除いて、
図1-
図3、
図5、
図6、
図8-
図10の天面出入口に表れている。
【0030】
天面蓋シート340の縁に第二ファスナーテープ380を取り付けるにあたっては、天面蓋シート340の縁と天面開口部320の辺とが合うように、つまり、第二ファスナーテープ380と第一ファスナーテープ370とが噛み合うように、天面蓋シート340の縁に対して第二ファスナーテープ380を上記と同様の様式で取り付けておく。天面蓋シート340の縁において、天面開口部320の第一辺321に対応する辺を天面蓋シート340の第一辺とすると、天面蓋シート340の第一辺に取り付けられる第二ファスナーテープ380は天面蓋シート340に対して下を向くように下がるようにする。天面蓋シート340の縁において、天面開口部320の第二辺322、第三辺323に対応する辺を天面蓋シート340の第二辺、第三辺とすると、天面蓋シート340の第二辺、第三辺に取り付けられる第二ファスナーテープ380は天面蓋シート340に面一である。
ここで、
図7は、バッグ縫製前の展開図を底面側からみた図である。
図7に表れるように、天面蓋シート340の形状は、詳細には台形であり、天面蓋シート340の第一辺に対して天面蓋シート340の第四辺は少し短くなっていて、第二辺および第三辺は斜辺である。これにより、天面蓋シート340を閉じたとき、天面開口部の第二辺と天面蓋シートの第二辺との間のスペース、天面開口部の第三辺と天面蓋シートの第三辺との間のスペースにおいて、第一ファスナーテープ370と第二ファスナーテープ380とを面一で収め、その一方、天面開口部の第一辺321では天面ファスナー360(第一ファスナーテープ370)は立ち上がるようにできる。
【0031】
ファスナーを開閉するスライダ361は二つ設けられていて、いわゆるダブルファスナーである。ここでは、ファスナーを閉めたときに頭合わせになるようにしている。ファスナーを閉めたときに頭合わせになるようにするか、ファスナーを開いたときに頭合わせになるようにするかは、ユーザの要望に応じて決めればよい。
【0032】
本実施形態のバッグ100では、天面出入口部310の第二辺322と第三辺323において天面ファスナー360は天面部300と面一になっているから、どこから見てもスライダ361を見つけやすいし、操作し易い。例えば、線ファスナー全体が天面部300から立ち上がるようにファスナーテープを天面開口部320に取り付ける様式もあるが、線ファスナー全体が天面部300から立ち上がっていると、見る方向によってはスライダ361が線ファスナーに隠れてしまって見つからなかったり、スライダ361を手でつまみにくかったり、という場合が往々にして生じやすい。
【0033】
本実施形態では、第一、第二ファスナーテープ370、380そのものはもともと直線状のテープであって、務歯(エレメント)は全て一定のピッチでもうけられていればよい。したがって、スライダ361を移動させるとき、コーナー部でもスライダ361が引っかかるようなことはない。例えば、線ファスナー全体が天面部300と面一になるようにすることもできるが、その場合は、コーナー部で務歯(エレメント)のピッチを少し調整する必要があるだろう。すると、スライダ361が引っかかりやすく、操作性がやや悪くなる。
【0034】
あるいは、天面開口部320の全体を円弧(第二辺322~第一辺321~第三辺323に相当する部分の全体が連続する円弧)にすれば、曲率が一定であるから、務歯(エレメント)のピッチが一定であって、かつ、ファスナーテープと天面部300とを面一にできるかもしれない。しかし、これでは、第一辺321における第一ファスナーテープ370の立ち上がりが生じない。本実施形態では、第一辺321における第一ファスナーテープ370が立ち上がるようにしておくことで、これが壁になる。これにより、天面開口部320を開けたときでもサイドメニュー容器920が天面開口部320の縁(第一辺321)を乗り越えて簡単には落ちないようになっている。
【0035】
天面蓋シート340の表面(上面)側には、透明樹脂シートで形成されたポケット350が設けられている。
【0036】
空になったバッグ100を持ち運びするときの便利を考えて、持手ベルト450が取り付けられている。本実施形態では、持手ベルト450の一端は第二側面部420に取り付けられ、持手ベルト450の他端は第三側面部430に取り付けられている。
【0037】
底面部200には、バッグ100の形状を保つように、厚手のボール紙や金属板などが組み合わされている。これにより、底面部200の中央部を下から片手で支えた状態でバッグ100を水平に保持できるようにしている。底面部200のうら面には、手を通す輪をつくるベルト(裏面ベルト230)が取り付けられている。すなわち、裏面ベルト230の両端が底面部200に縫い付けられている。裏面ベルト230の輪に手を通すと、手の平でバッグ100の底面部200を支え、かつ、片手でもバッグ100が手から落ちないように安定して支えることができる。
【0038】
このような構成を有する本実施形態のバッグ100の使用例を説明する。
まず、運搬するものをバッグ100の収容空間110に収容する。ここでは、
図8に例示するように、二つのピザの箱(第一容器)910と、二つのサイドメニュー容器(第二容器)920と、二枚の保温用蓄熱プレート930と、をバッグ100で運搬する場合を考える。保温用蓄熱プレート930は、樹脂、金属、あるいは、それらの混合で形成された蓄熱材で、電熱ヒータや電子レンジで加熱され、熱を蓄熱(保温)するものである。保温用蓄熱プレート930を食品と一緒にバッグ100に入れておくことで食品が温かいまま保温される。ここでは、二枚の保温用蓄熱プレート930で二つのピザの箱910を上下から挟み、さらに、上の保温用蓄熱プレート930の上に二つのサイドメニュー容器920を載せる。食品をバッグ100に収容する作業は店舗内の机の上でできる。机の上にバッグ100を水平に置いた状態で、側面蓋シート210を開いて、側面出入口部411から、下の保温用蓄熱プレート930、二つのピザ箱910、上の保温用蓄熱プレート930、二つのサイドメニュー用の容器920、の順にバッグ100内に収容していけばよい。
【0039】
あるいは次のような手順でもよい。
まず、二枚の保温用蓄熱プレート930と二つのピザ箱910は、側面出入口部411からバッグ100のなかにいれる。次に、
図9に例示のように、天面蓋シート340を開いて、二つのサイドメニュー容器920を天面出入口部310から入れる。このとき、二つのサイドメニュー容器920は上の保温用蓄熱プレート930に載る。
【0040】
このように運搬対象物をバッグ100のなかにいれたら、側面蓋シート210と天面蓋シート340を閉じる。そして、天面部300を上から軽く押して余計な厚みを薄くしていって、さらに、第二側面部420と第三側面部430の面ファスナー431(第二留め具)をできる限り貼り合わせる。このとき、第二側面部420、第三側面部430、第四側面部440は収容空間110の内側に折れ曲がり、サイドメニュー用の容器920をバッグ100の中央部に向けて押し、サイドメニュー用の容器920が天面開口部320のちょうど下あたりにくる状態で天面部300と底面部200とで運搬対象物(ピザ容器910、サイドメニュー容器920)を挟んで動きにくくする。天面開口部320の第一辺321のところで第一ファスナーテープ370が立ち上がっていて、収容空間110のなかで天面開口部320の第一辺321に近いところに空間的な余裕が少しあるので、サイドメニュー容器920はこのあたりに来やすいし、第一辺321の立ちがりに当たったところで位置が決まりやすい。
【0041】
運搬対象物を収容したバッグ100をなるべく水平に保って運搬し、ピザの注文主のお宅まで運ぶ。そして、玄関先でバッグ100からピザ箱910およびサイドメニュー容器920を取り出して、手渡すということになる。このとき、運搬対象物は食品であるから、玄関にバッグ100を置くというわけにはいかない。
【0042】
運搬者は、まず、
図10に例示のように、天面蓋シート340を開いて、天面開口部320からサイドメニュー容器920を取り出して、注文主に手渡す。次に、
図11に例示のように、側面蓋シート210を開いて、側面出入口部411からピザの箱910を取り出す。側面出入口部411から手を入れて、二枚の保温用蓄熱プレート930の間のピザ箱910二つを掴んで引き出し、注文主に渡す。ピザ箱910を引き出す際に、バッグ100が傾いて側面出入口部411が若干下に向くことがあるかもしれないが、サイドメニュー容器920は既に取り出しているのだから、サイドメニュー容器920が側面出入口部411から床に滑り落ちるなどという事故が起きることはもはやない。
【0043】
このように本実施形態のバッグ100によれば、一つのバッグ100でサイズの異なる食品容器を保温した状態で運搬し、注文主の玄関先でスムースに、しかも、絶対に失敗することなく、美しく食品を手渡しできるのである。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
100 バッグ
110 収容空間
200 底面部
210 側面蓋シート
221 フラップファスナー
222 フラップファスナー
230 裏面ベルト
300 天面部
310 天面出入口部(第二の出し入れ口)
320 天面開口部
321 第一辺
322 第二辺
323 第三辺
324 第四辺
340 天面蓋シート
350 ポケット
360 天面ファスナー(第一留め具)
361 スライダ
370 第一ファスナーテープ
380 第二ファスナーテープ
400 側面部
410 第一側面部
411 側面出入口部(第一の出し入れ口)
420 第二側面部
421 面ファスナー(第二留め具)
422 折れ曲がり部
430 第三側面部
431 面ファスナー(第二留め具)
432 折れ曲がり部
440 第四側面部
450 持手ベルト
910 ピザ箱(第一容器)
920 サイドメニュー容器(第二容器)
930 蓄熱プレート