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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165985
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】巻物の張設接着方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20241121BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20241121BHJP
   D06M 17/10 20060101ALI20241121BHJP
   D06M 17/04 20060101ALI20241121BHJP
   D06M 17/00 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C09J5/00
C09J175/04
C09J201/10
D06M17/10
D06M17/04
D06M17/00 G
C09J183/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082635
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000105648
【氏名又は名称】コニシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】内匠 美智子
【テーマコード(参考)】
4J040
4L032
【Fターム(参考)】
4J040DF022
4J040EE021
4J040EF001
4J040EK031
4J040GA31
4J040HD30
4J040HD35
4J040HD36
4J040JA12
4J040KA14
4J040KA24
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA01
4J040MA10
4J040MB02
4J040PA00
4L032AA07
4L032AB04
4L032AC01
4L032BA05
4L032BB03
4L032BD05
4L032CA00
4L032CA03
4L032DA02
4L032EA06
(57)【要約】
【課題】 巻物を巻き戻し裁断した裁断物を加熱及び加圧しなくても、裁断物の巻き癖による対象物への接着不良が生じにくい接着方法を提供する。
【解決手段】 不織布又は合成樹脂製シートの巻物を巻き戻し、裁断して裁断物を得る。この裁断物を対象物に対して張設する。対象物の角で裁断物を曲げ、この曲げた端部を一液型マスチック接着剤で接着する。この一液型マスチック接着剤は、粘度が600~1200Pa・sと高粘度であり、またB型粘度計の回転速度による粘度比が高く、高粘性である。したがって、対象物の角で曲げた裁断物に強い巻き癖があっても、この端部は対象物に沿って接着され、接着初期において端部が対象物から剥がれにくい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻物を巻き戻し裁断して得られた裁断物を、対象物に対して張設接着する方法であって、少なくとも該裁断物の端部を一液型マスチック接着剤を用いて該対象物に対し接着する方法であり、該一液型マスチック接着剤は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするものであり、下記の粘度及び粘性を有するものであることを特徴とする巻物の張設接着方法。
粘度:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度が600~1200Pa・sであること。
粘性:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度に対する、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い1r/minの条件で測定したときの粘度の比が6~8であること。
【請求項2】
対象物が角を持ち、張設した裁断物を該角で折り曲げて、折り曲げた該裁断物の端部を接着する請求項1記載の巻物の張設接着方法。
【請求項3】
対象物が曲面を持ち、該曲面に沿って裁断物を張設し、該裁断物の端部を接着する請求項1記載の巻物の張設接着方法。
【請求項4】
巻物が、不織布又は合成樹脂製シートである請求項1記載の巻物の張設接着方法。
【請求項5】
土木工事又は建設工事で使用される請求項1記載の巻物の張設接着方法。
【請求項6】
請求項1記載の巻物の張設接着方法に用いる一液型マスチック接着剤であって、該一液型マスチック接着剤は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするものであり、下記の粘度及び粘性を有するものであることを特徴とする一液型マスチック接着剤。
粘度:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度が600~1200Pa・sであること。
粘性:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度に対する、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い1r/minの条件で測定したときの粘度の比が6~8であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻物の張設接着方法に関し、特に巻き癖の強い巻物の張設接着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不織布、紙、編織物、合成樹脂製フィルム又は合成樹脂製シート等の長尺物は、巻物の形態で供給されている。そして、供給された巻物を巻き戻し所定の寸法に裁断し、対象物に対して張設し接着して、製品を製造したり、工事現場での施工が行われている。しかるに、巻物を巻き戻し所定の寸法に裁断した裁断物は、巻き方向に巻き癖が付いている。この巻き癖が付いている裁断物を対象物に張設し接着する場合、巻き癖を手で押さえ矯正しながら張設接着することになる。しかしながら、接着初期において、手を離すと巻き癖の付いている部分が浮いて、接着が剥がれてしまい接着不良を起こすということがあった。具体的に、図1に基づいて説明すると以下のとおりである。
【0003】
巻物を巻き戻し所定の寸法に裁断した裁断物1は、長さ方向(巻き方向)の両端において巻き癖が付いている。したがって、この裁断物1を対象物2の表面に張設接着しようとしても、対象物2の両端において、裁断物1が浮いている。このため、対象物2の角近傍又は裁断物1の端部に接着剤を塗布し、巻き癖の付いた裁断物1の端縁を手で押さえ、対象物2の角に沿うように矢印方向に矯正しながら、接着することになる。しかしながら、接着初期において、手を離すと、巻き癖の付いた方向に裁断物1の両端が浮き、接着が剥がれてしまい接着不良を起こすのである。これを防止するためには、巻き癖の付いた裁断物1の箇所を長時間手で押さえていなくてはならない。これでは、裁断物1を対象物2に張設接着する作業効率が悪いという欠点がある。
【0004】
このため、特許文献1記載の技術では、巻物を巻き戻した後、加熱及び加圧することにより、巻き癖を治す(取り除く)ことが行われている。しかしながら、かかる方法は、裁断物を対象物に対して張設接着する前に、新たな工程を必要とし、前述の場合と同様に作業効率が悪いという欠点があった。また、工事現場等で巻物を巻き戻し裁断して張設接着する場合は、加熱及び加圧工程が行いにくいという欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開2011-79301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、巻物を巻き戻し裁断した巻き癖の付いた裁断物を対象物に張設接着する際、長時間手で押さえる必要はなく、また裁断物を加熱及び加圧しなくても、巻き癖による接着不良を起こしにくく、裁断物を速やかに対象物に張設接着しうる接着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象物に対して裁断物を張設接着する際に用いる接着剤を工夫することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、巻物を巻き戻し裁断して得られた裁断物を、対象物に対して張設接着する方法であって、少なくとも該裁断物の端部を一液型マスチック接着剤を用いて該対象物に対し接着する方法であり、該一液型マスチック接着剤は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするものであり、下記の粘度及び粘性を有するものであることを特徴とする巻物の張設接着方法に関するものである。
粘度:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度が600~1200Pa・sであること。
粘性:温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度に対する、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い1r/minの条件で測定したときの粘度の比が6~8であること。
【0008】
本発明に係る方法で用いる巻物は、不織布、紙、編織物、合成樹脂製フィルム又は合成樹脂製シート等の長尺物が長さ方向に巻回されてなるものである。特に、本発明は、巻き癖が付きやすい高剛性の不織布又は合成樹脂製シートよりなる巻物に好適に使用しうる方法である。高剛性のものほど巻き癖が付きやすく、また張設接着する際に、接着初期に巻き癖の付いた箇所が浮きやすいからである。巻き癖が付きやすい長尺物は、JIS L 1913 6.7.4で規定するガーレー法で測定して、3mN~150mN程度の剛軟度を持つものであり、本明細書ではこの程度の剛軟度を持つものを高剛性であると表現している。長尺物の幅は任意であるが、一般的に、50cm~2m程度である。また、長尺物の長さも任意であるが、一般的に、数十メートルから数百メートル程度であり、これが巻回されて巻物となる。
【0009】
本発明に係る方法では、まず、巻物を巻き戻し長尺物を所定の寸法に裁断して裁断物1を得る。裁断物1の寸法は任意であるが、土木工事や建築工事で使用する場合、長さが数メートルから数十メートルに至る。この裁断物1は、長尺物が高剛性であるので長尺方向に巻き癖が付きやすくなっている。そして、裁断物1の裏面に一液型マスチック接着剤を塗布して、対象物2に張設接着する。一液型マスチック接着剤は、裁断物1の少なくとも端部に塗布するが、端部を含む裏面全面に塗布してもよい。また、裁断物1に塗布せずに、対象物2に塗布してもよいし、裁断物1及び対象物2の両方に塗布してもよい。対象物2が角を持つものであれば、裁断物1を角に沿うように折り曲げて張設接着するのが好ましい。また、対象物2が曲面を持つものであれば、裁断物1が曲面に沿うようにして張設接着するのが好ましい。
【0010】
本発明の方法で使用する接着剤は、一液型マスチック接着剤である。一液タイプとしたのは、二液タイプであると接着時に混合攪拌の工程が必要となるが、一液タイプであると混合攪拌の工程は必要なく、作業効率が良いからである。かかる一液型マスチック接着剤は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするものである。変成シリコーン樹脂は従来公知のものであり、加水分解性ケイ素官能基を末端に有し、主鎖がポリオキシアルキレンエーテル系重合体及び/又はアクリル系重合体となっているものである。また、ウレタン樹脂も従来公知のものであり、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られたイソシアネート基を末端に有する重合体である。
【0011】
変成シリコーン樹脂を主成分とする一液型マスチック接着剤には、硬化触媒が含まれている。硬化触媒としては従来公知のものが採用され、たとえば、オクチル酸錫、ステアリン酸錫、ナフテン酸鉄又はオクチル酸鉛などの金属有機カルボン酸塩、ジ-n-ブチル錫-ジラウレート又はジ-n-ブチル錫-ジフタレートなどの有機錫、アルキルチタン酸塩等を単独でもしくは混合して使用できる。また、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主成分とする一液型マスチック接着剤には、重質炭酸カルシウム,表面処理炭酸カルシウム,カオリン,クレー,タルク,珪砂又はシリカ等の充填剤、酸化チタン又はカーボンブラック等の染顔料、イソパラフィン等の希釈剤、アクリルオリゴマー又はポリプロピレングリコール等の可塑剤、エポキシシラン、ビニルシラン又はアミノシラン等のシランカップリング剤、顔料分散剤、消泡剤、チタンカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤が配合されていても良い。なお、一液型マスチック接着剤には有機溶剤等の溶剤を全く含んでいないのが好ましい。溶剤を含むと臭気を生じることが多く(臭気の殆どない溶剤であれば問題はないが)、作業環境が悪化するからである。
【0012】
一液型マスチック接着剤は、特定の粘度及び特定の粘性を有している。特定の粘度は、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度が600~1200Pa・sであるというものである。すなわち、所定のずり応力を与えた場合の粘りの絶対値が600~1200Pa・sというものである。この値が600Pa・s未満であると、接着初期において流動しやすく、裁断物の巻き癖の付いた箇所が浮きやすくなるので好ましくない。一方、この値が1200Pa・sを超えると、手動式ガン等で与えられるずり応力では流動しにくく、接着剤の塗布作業が行いにくくなるので好ましくない。特定の粘性は、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い10r/minの条件で測定したときの粘度に対する、温度23℃で湿度50%の環境下において、B型粘度計を用い1r/minの条件で測定したときの粘度の比(この比をTI値という。)が6~8であるというものである。TI値が6未満であると、低いずり応力で流動しやすく、裁断物の巻き癖の付いた箇所が浮きやすくなるので好ましくない。TI値が8を超えると、接着剤を均一に塗布することが困難であり、また、裁断物となじみにくくなるので好ましくない。
【0013】
本発明に係る方法は、巻物から得られた裁断物を対象物に張設接着するのに用いられるものであり、具体的には、種々の態様で用いられる。たとえば、地盤に防草シートを張設接着する場合は、地盤が対象物となり、防草シートが巻物を巻き戻し裁断して得られた裁断物になる。地盤は平面であったり傾斜面(法面)であったりするが、境界が角となっていることが多い。したがって、裁断物の端部を角で折り曲げ、一液型マスチック接着剤で張設接着することになる。また、壁に壁材を張設接着する場合は、壁が対象物となり、壁材が巻物を巻き戻し裁断して得られた裁断物となる。壁は一般的には平面であるが、境界が角となっていることが多い。したがって、裁断物の端部を角で折り曲げ、一液型マスチック接着剤で張設接着することになる。以上のとおり、本発明に係る方法は、土木工事や建築工事等の工事で用いられることが多いが、その他、種々の対象物に裁断物を張設接着して製品を得る場合にも用いられるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る方法は、特定の粘度及び粘性を持つ一液型マスチック接着剤を用いて、巻物を巻き戻し所定の寸法に裁断された裁断物を対象物に張設接着する方法である。したがって、裁断物に巻き癖が付いていても、接着初期の収まりが良好で、巻き癖による浮きが生じにくく、張設接着の作業効率が向上するという効果を奏する。
【実施例0015】
[一液型マスチック接着剤1]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤1を準備した。
変成シリコーン樹脂 100質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S3630」)
変成シリコーン樹脂 30質量部
(株式会社カネカ製「SAT030」)
アクリルオリゴマー 80質量部
(東亞合成株式会社製「ARUFON UP-1110」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 150質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「カルファイン N-40」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0016】
[一液型マスチック接着剤2]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤2を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(株式会社カネカ製「S303」)
ポリプロピレングリコール 80質量部
(三洋化成工業株式会社製「PP-2000」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 120質量部
(白石工業株式会社製「viscoexcel 30」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 35質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0017】
[一液型マスチック接着剤3]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤3を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S3630」)
アクリルオリゴマー 80質量部
(東亞合成株式会社製「ARUFON UP-1110」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 120質量部
(白石工業株式会社製「viscoexcel 30」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
可塑剤*1 20質量部
(新日本理化株式会社製「サンソサイザー E-PS」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 3質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM602」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
注)可塑剤*1は、4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ2-エチルヘキシルである。以下の可塑剤*1も同様である。
【0018】
[一液型マスチック接着剤4]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤4を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(株式会社カネカ製「S203H」)
アクリルオリゴマー 80質量部
(東亞合成株式会社製「ARUFON UP-1110」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「viscoexcel 30」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
可塑剤*1 20質量部
(新日本理化株式会社製「サンソサイザー E-PS」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0019】
[一液型マスチック接着剤5]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤5を準備した。
ウレタン樹脂*2 150質量部
表面処理炭酸カルシウム 200質量部
(丸尾カルシウム株式会社製「シーレッツ200」)
重質炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
親水性シリカ 10質量部
(日本アエロジル株式会社製「アエロジル♯200」)
p-トルエンスルホニルイソシアネート 2.5質量部
(BASFジャパン株式会社製「PTSI」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
フタル酸ジイソノニル 30質量部
(大八化学工業株式会社製「DINP」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
注)ウレタン樹脂*2は、ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製「ミリオネートMT)230質量部、ポリエーテルポリオール(三洋化成株式会社製「サンニックスPP4000」)600質量部及びポリエーテルポリオール(AGC株式会社製「エクセノール3030」)250質量部を混合し、90℃で2時間反応させた得られたものである。
【0020】
[一液型マスチック接着剤6]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤6を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(株式会社カネカ製「EST280」)
ポリプロピレングリコール 100質量部
(三洋化成工業株式会社製「PP-2000」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 250質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 35質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0021】
[一液型マスチック接着剤7]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤7を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(AGC株式会社製「EXCESTAR S3630」)
アクリルオリゴマー 80質量部
(東亞合成株式会社製「ARUFON UP-1110」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 50質量部
(白石工業株式会社製「viscoexcel 30」)
重質炭酸カルシウム 200質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
可塑剤*1 20質量部
(新日本理化株式会社製「サンソサイザー E-PS」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 3質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM602」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0022】
[一液型マスチック接着剤8]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤8を準備した。
変成シリコーン樹脂 100質量部
(株式会社カネカ製「S203H」)
変成シリコーン樹脂 30質量部
(株式会社カネカ製「SAT030」)
ポリプロピレングリコール 100質量部
(三洋化成工業株式会社製「PP-2000」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 250質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 30質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0023】
[一液型マスチック接着剤9]
以下の組成よりなる一液型マスチック接着剤9を準備した。
変成シリコーン樹脂 140質量部
(株式会社カネカ製「EST280」)
ポリプロピレングリコール 100質量部
(三洋化成工業株式会社製「PP-2000」)
光安定剤 0.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN292」)
酸化防止剤 0.3質量部
(BASFジャパン株式会社製「Irganox1076」)
表面処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製「白艶華CCR-B」)
表面処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「viscoexcel 30」)
重質炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製「ホワイトンSB」)
イソパラフィン 50質量部
(出光興産株式会社製「メルベイユ30」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM1003」)
アミノシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製「KBM603」)
錫触媒 1.5質量部
(日東化成株式会社製「ネオスタン S-1」)
【0024】
一液型マスチック接着剤1~9の粘度(Pa・s)及びTI値(粘性)は、以下の表1のとおりであった。
[表1]
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粘度 TI値
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一液型マスチック接着剤1 1120 7.1
一液型マスチック接着剤2 853 7.8
一液型マスチック接着剤3 729 7.2
一液型マスチック接着剤4 715 6.6
一液型マスチック接着剤5 850 6.7
一液型マスチック接着剤6 410 5.4
一液型マスチック接着剤7 810 5.0
一液型マスチック接着剤8 602 5.2
一液型マスチック接着剤9 200 6.8
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0025】
[巻物]
一方、目付約300g/m2のポリエステル長繊維不織布の巻物を準備した。この巻物は、幅1mで長さ25mであった。この巻物から、長さ方向89mmで幅方向25mmの短冊片MD及び長さ方向25mmで幅方向89mmの短冊片TDを採取し、短冊片MDの長さ方向及び短冊片TDの幅方向の剛軟度(mN)を測定した。剛軟度は、JIS L 1913 6.7.4で規定するガーレー法で測定した。その結果を表2に示した。
[表2]
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表 裏
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短冊片MD 50.3 12.8
短冊片TD 36.5 17.3
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【0026】
実施例1
準備した巻物から、ポリエステル長繊維不織布を巻き戻し、長さ方向に190mm裁断し、幅方向に230mm裁断して、図2に示す裁断物を得た。この裁断物の裏面に、図2の濃墨で示した箇所に一液型マスチック接着剤1を塗布した。この塗布は、320mlの樹脂製カートリッジ(株式会社昭和丸筒製「ハイバリアカートリッジ」)に充填された一液型マスチック接着剤1を手動式吐出ガン[山本製作所社製「YCG-2300HC(330ml)」]を用いて、ビード径が約7mmになるようにして行った。塗布後、対象物であるコンクリートブロック(縦190mm×横190mm×厚さ100mm)に、図3に示す態様で裁断物を張設接着すると共に、裁断物の端部をハンドローラーで押圧した。なお、図3中、薄墨で示した部分が裁断物の表面である。
押圧直後(接着初期)において、裁断物の端部が浮くことはなく、収まりは良好であって、接着不良を起こさなかった。
【0027】
実施例2~5
一液型接着剤2~5を用いて、実施例1と同様に、コンクリートブロックに裁断物を張設接着し、ハンドローラーで押圧した。押圧直後(接着初期)において、裁断物の端部が浮くことはなく、収まりは良好であって、接着不良を起こさなかった。なお、一液型接着剤2を用いた場合を実施例2とし、一液型接着剤3を用いた場合を実施例3とし、一液型接着剤4を用いた場合を実施例4とし、一液型接着剤5を用いた場合を実施例5とした。
【0028】
比較例1~4 一液型接着剤6~9を用いて、実施例1と同様に、コンクリートブロックに裁断物を張設接着し、ハンドローラーで押圧した。押圧直後(接着初期)において、裁断物の端部に浮きが見られ、収まりが悪く、裁断物が対象物から剥がれて接着不良を起こした。なお、一液型接着剤6を用いた場合を比較例1とし、一液型接着剤7を用いた場合を比較例2とし、一液型接着剤8を用いた場合を比較例3とし、一液型接着剤9を用いた場合を比較例4とした。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】巻き癖が付いている裁断物と、この裁断物を張設接着する対象物との関係を示した模式的側面図である。
図2】実施例及び比較例で裁断した裁断物と、この裁断物裏面に塗布された一液型マスチック接着剤とを示した模式的平面図である。
図3】実施例及び比較例で裁断した裁断物が、コンクリートブロックに張設接着された状態を示した模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 裁断物
2 対象物
図1
図2
図3