(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165986
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】管理装置、管理装置の制御方法、及び、管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20241121BHJP
G06Q 30/0283 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06Q30/0283
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082636
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】523185958
【氏名又は名称】株式会社HKSK
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 謙太
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
5L049CC16
5L050CC16
(57)【要約】
【課題】二次利用商品を管理することができる管理装置、管理装置の制御方法、及び、管理システムを提供する。
【解決手段】管理装置1は、分散型管理システム10に記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品11を管理する。管理装置1は、管理装置1と通信可能であり、二次利用商品11の販売者により操作される販売者端末2から、一次コンテンツに関する情報と、二次利用商品11に関する設定情報と、を含み、二次利用商品11に対応する非代替性トークンの発行要求を受信し、販売者端末2からの発行要求に応じて、販売者を二次利用商品11の所有者とした、非代替性トークンを分散型管理システム4に発行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する管理装置であって、
前記管理装置と通信可能であり、前記二次利用商品の販売者により操作される販売者端末から、前記一次コンテンツに関する情報と、前記二次利用商品に関する設定情報と、を含み、前記二次利用商品に対応する前記非代替性トークンの発行要求を受信し、
前記販売者端末からの前記発行要求に応じて、前記販売者を前記二次利用商品の所有者とした、前記非代替性トークンを前記分散型管理システムに発行する、管理装置。
【請求項2】
前記設定情報に基づいて前記二次利用商品の参考価格を算出し、前記算出した参考価格を、前記販売者端末に対して提供する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記二次利用商品の取引価格に関する価格情報を含み、
前記価格情報を基準として、前記参考価格を算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記設定情報は、前記二次利用商品の流通量に関する数量情報を含み、
前記数量情報から前記二次利用商品の流通量が少ないと判断する場合には、前記二次利用商品の流通量が多いと判断する場合よりも、前記参考価格をより高く算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記設定情報は、前記二次利用商品の流通量に関する数量情報を含み、
前記数量情報から前記二次利用商品の流通量が多いと判断する場合には、前記二次利用商品の流通量が少ないと判断する場合よりも、前記参考価格をより低く算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項6】
前記設定情報は、前記二次利用商品の特徴を示す特徴情報を含み、
前記参考価格の算出対象の前記二次利用商品の特徴情報に、過去に高価格で取引された前記二次利用商品に含まれる高価格特徴情報が含まれる場合には、前記二次利用商品の特徴情報に、前記高価格特徴情報が含まれない場合よりも、前記参考価格をより高く算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項7】
前記設定情報は、前記二次利用商品の特徴を示す特徴情報を含み、
前記参考価格の算出対象の前記二次利用商品の特徴情報に、過去に高価格で取引された前記二次利用商品に含まれる高価格特徴情報が含まれない場合には、前記二次利用商品の特徴情報に、前記高価格特徴情報が含まれる場合よりも、前記参考価格をより低く算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項8】
前記設定情報に加えて、前記分散型管理システムに記録されている分散型管理システム情報に基づいて参考価格を算出する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項9】
前記二次利用商品は、現実世界で流通する商品である、請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
前記二次利用商品は、その所有者が仮想世界で自身のアバターに付随させるアイテムである、請求項7に記載の管理装置。
【請求項11】
前記仮想世界の提供サーバからの要求に応じて、前記分散型管理システムにおいて前記仮想世界の利用者が所有者として記録されている前記非代替性トークンに対応付けられた前記二次利用商品の表示データを、前記仮想世界の表示フォーマットに応じたデータ形式で、前記仮想世界の前記提供サーバに提供する、請求項10に記載の管理装置。
【請求項12】
前記二次利用商品の販売及び販売後の流通時において、前記二次利用商品の譲渡対価の一部を、前記一次コンテンツの制作者に対して還元する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項13】
N(N=2以上)次利用商品が素材として利用されて作製されたN+1次利用商品を管理可能であって、
前記販売者端末から、前記一次コンテンツ、及び、前記二~N次利用商品に関する情報と、前記N+1次利用商品に関する設定情報と、を含み、前記N+1次利用商品に対応する前記非代替性トークンの発行要求を受信し、
前記販売者端末からの前記N+1次利用商品に対応する前記非代替性トークンの前記発行要求に応じて、前記販売者を前記N+1次利用商品の所有者とした、前記非代替性トークンを前記分散型管理システムに発行する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項14】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する管理装置の制御方法であって、
前記管理装置は、
前記管理装置と通信可能であり、前記二次利用商品の販売者により操作される販売者端末から、前記一次コンテンツに関する情報と、前記二次利用商品に関する設定情報と、を含み、前記二次利用商品に対応する前記非代替性トークンの発行要求を受信し、
前記販売者端末からの前記発行要求に応じて、前記販売者を前記二次利用商品の所有者とした、前記非代替性トークンを前記分散型管理システムに発行する、管理装置の制御方法。
【請求項15】
分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する管理装置と、前記管理装置と通信可能であり、前記二次利用商品の販売者により操作される販売者端末と、を有する管理システムであって、
前記販売者端末は、前記一次コンテンツに関する情報と、前記二次利用商品に関する設定情報と、を含み、前記二次利用商品に対応する前記非代替性トークンの発行要求を、前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記販売者端末からの前記発行要求に応じて、前記販売者を前記二次利用商品の所有者とした、前記非代替性トークンを前記分散型管理システムに発行する、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理装置の制御方法、及び、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造や改ざんが難しい分散型管理システムの一例であるブロックチェーン技術においては、暗号資産(仮想通貨)に用いられる代替性トークン(FT:Fungible Token)に加えて、一意かつ代替不可能な非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)が注目されている。例えば、デジタルアートをNFTと紐づけることで、デジタルアートの流通過程における正当な所有者の確認が容易になり、不正規な複製の流通を防止することができる(例えば、特許文献1)。このようなNFT技術は汎用性が高く、デジタルアートに限らず幅広いコンテンツに対して適用できるため、注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルアートに限らず、漫画等の任意のコンテンツは二次利用される場合があり、例えば、NFTを用いて管理されるコンテンツ(一次コンテンツ)についても、衣服等のデザインの素材として利用され、二次利用商品が製造販売されることも考えられる。さらに、近年、メタバースと称される三次元の仮想世界におけるサービスが注目されており、現実世界に加えてメタバース内でも、一次コンテンツを衣服等のアイテムのデザインの素材として利用した二次利用商品が流通することも考えられる。そのため、NFTを用いて管理される一次コンテンツと同様に、二次利用商品についても不正規な複製の流通を防止することが望ましく、二次利用商品を管理可能な技術の開発が期待されている。
【0005】
本願はこのような課題を鑑みてなされたものであり、二次利用商品を管理することができる管理装置、管理装置の制御方法、及び、管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の管理装置は、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する。管理装置は、管理装置と通信可能であり、二次利用商品の販売者により操作される販売者端末から、一次コンテンツに関する情報と、二次利用商品に関する設定情報と、を含み、二次利用商品に対応する非代替性トークンの発行要求を受信し、販売者端末からの発行要求に応じて、販売者を二次利用商品の所有者とした、非代替性トークンを分散型管理システムに発行する。
【0007】
本発明の一態様の管理装置の制御方法は、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する方法である。管理装置は、管理装置と通信可能であり、二次利用商品の販売者により操作される販売者端末から、一次コンテンツに関する情報と、二次利用商品に関する設定情報と、を含み、二次利用商品に対応する非代替性トークンの発行要求を受信し、販売者端末からの発行要求に応じて、販売者を二次利用商品の所有者とした、非代替性トークンを分散型管理システムに発行する。
【0008】
本発明の一態様の管理システムは、分散型管理システムに記録される非代替性トークンを用いて、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品を管理する管理装置と、管理装置と通信可能であり、二次利用商品の販売者により操作される販売者端末と、を有するシステムである。販売者端末は、一次コンテンツに関する情報と、二次利用商品に関する設定情報と、を含み、二次利用商品に対応する非代替性トークンの発行要求を、管理装置に送信する。管理装置は、販売者端末からの発行要求に応じて、販売者を二次利用商品の所有者とした、非代替性トークンを分散型管理システムに発行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様の管理装置、管理装置の制御方法、及び、管理システムによれば、一次コンテンツが素材として利用されて作製された二次利用商品が対応付けられ、販売者を二次利用商品の所有者とした非代替性トークンが分散型管理システムに発行される。非代替性トークンは分散型管理システムで非代替的に記録されているという特徴を有するため、二次利用商品の売買に伴って非代替性トークンの所有者の変更を分散型管理システム上に記録することができる。これにより、非代替性トークンを用いて分散型管理システムに二次利用商品の所有者の変更が記録されるので、二次利用商品の流通を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】二次利用商品の管理システムの概略構成図である。
【
図2】一次コンテンツ及び二次利用商品の概略図である。
【
図3A】ウォレットサーバへの購入者の事前登録の処理を示すフローチャートである。
【
図3B】購入者端末が購入者の所有するNFTを参照する処理を示すフローチャートである。
【
図4】二次利用商品と関連付けた二次NFTの発行処理を示すフローチャートである。
【
図6】一次NFT及び二次NFTに含まれる情報を示す図である。
【
図7】参考価格の算出に用いられる情報を示す表である。
【
図8】二次利用商品の販売処理を示すフローチャートである。
【
図9】メタバースでの二次利用商品の利用処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る二次利用商品の管理システムの概略構成図である。本実施形態では、管理システム10において、管理装置1が主体となって二次利用商品11の管理が行われる。二次利用商品11は、一次コンテンツを二次利用した商品であって、現実世界で流通する商品であるものとする。
【0013】
管理システム10は、管理装置1と、二次利用商品11の販売者によって操作される販売者端末2と、二次利用商品11の購入者によって操作される購入者端末3と、二次利用商品11の管理に用いられるNFT(非代替性トークン(Non-Fungible Token)、以下、このNFTを二次NFTと称する)が記録されるブロックチェーン4と、ブロックチェーン4上のNFT(二次NFTを含む任意のNFT)を管理するウォレットサーバ5と、メタバース(非現実の仮想世界)のサービスを提供するメタバースサーバ6と、を備える。
【0014】
管理装置1、販売者端末2、購入者端末3、ブロックチェーン4、ウォレットサーバ5、及び、メタバースサーバ6は、インターネット7を介して相互に通信できる。メタバースサーバ6により実現されるメタバースでは、利用者はアバターと称される自身の分身を用いてメタバースに参加し、相互交流や商品購入等の経済活動を行うことができる。なお、以下においては、非現実の仮想世界の一例がメタバースであるものとして説明するが、ゲームを含む任意のソーシャルネットワークサービスを含む任意の仮想的な態様であり得る。また、仮想世界は、非現実仮想世界、バーチャルワールド、バーチャルリアリティ空間というように称されることもある。
【0015】
図2は、一次コンテンツ及び二次利用商品11の概略の説明図である。
【0016】
管理システム10により管理される二次利用商品11は、一次コンテンツ12を利用したものであり、利用者13が実際に着用可能な現実世界で流通する商品である。さらに、二次利用商品11は、二次利用商品11の所有者がメタバースサーバ6により提供されるメタバースに参加する場合にアバターに付随させるアイテムともなり得る。二次利用商品11は、例えば、アバターが着用する衣服や、アバターが所持するカバン等である。以下の例においては、二次利用商品11は、現実世界で流通するものであって、さらに、所有者がメタバースでアバターに付随可能なものであるものとする。なお、二次利用商品11は、現実世界で流通せずに、メタバースでアバターが着用する着用可能なものであってもよい。
【0017】
また、以下の例においては、デジタルアートである一次コンテンツ12を表示した衣服のアイテムを管理対象の二次利用商品11とした例を用いて説明するが、これに限らない。管理対象の二次利用商品11は衣服等のアイテムに限られずに、アバターに付随可能な任意のアイテム(商品)でもよい。
【0018】
二次利用商品11は、衣服を含む任意の製品であってもよく、例えば、衣類(上衣、下衣等)、靴類(革靴、スニーカー、サンダル、ブーツ等)、装身具類(ブローチ、ネックレス、イヤリング、腕時計、スカーフ、手袋、ベルト、ネクタイ等)、バック類(セカンドバッグ、バッグインバッグ、ポシェット、ボディーバッグ等)、スポーツ用品類(スポーツの用に供される機械器具、用具、服装、靴その他のスポーツ関連用品)、及び、アウトドア用品類(バーベキュー用品、その他の調理器具、テント、寝袋、シェラカップ等)等であり、上衣としては、例えば、Tシャツ、トレーナ、パーカ等である。
【0019】
二次利用商品11は、販売者が販売者端末2を操作することによって、販売者が所有する、または、販売者が二次利用権(一次コンテンツ12を利用して二次利用商品11を商業的に販売する権利)を有する一次コンテンツ12を利用して製造され、インターネット上の売買サイト等で販売される。販売される二次利用商品11は、購入者が購入者端末3を操作することにより購入される。
【0020】
これにより、購入者は、メタバースで利用者13のアバターに二次利用商品11を付随(着用)させることができる。また、二次利用商品11は、管理システム10においてブロックチェーン4に記録される二次NFTを利用して管理される。
【0021】
以下においては、二次利用商品11に利用される一次コンテンツ12は、ブロックチェーン4に記録されるNFTを用いて管理されるデジタルアート(NFTアートとも称される)として説明する。なお、一次コンテンツ12は、NFTアートに限らず、漫画のキャラクター等の著作権コンテンツであって、NFTと関連付けられていなくてもよい。また、一次コンテンツ12と対応付けられたNFTが発行され、一次コンテンツ12の管理にそのNFTが用いられる場合には、一次コンテンツ12の管理に用いられるNFTを一次NFTと称するものとする。
【0022】
再び
図1を参照して、管理システム10の各構成について説明する。
【0023】
管理装置1は、パソコンやサーバ等の情報通信機器である。管理装置1は、販売者が二次利用商品11を販売する際に、ブロックチェーン4に、その二次利用商品11と対応付けられた二次NFTを発行する。この発行された二次NFTを用いて、二次利用商品11がブロックチェーン4で管理可能となる。あわせて、管理装置1は、二次利用商品11の現在における参考価格を算出し、算出した参考価格を任意の装置に通知する。これにより、当該装置の操作者は、参考価格が参照可能となる。さらに、管理装置1は、メタバースサービスの提供サーバであるメタバースサーバ6に対して、二次利用商品11の購入者がメタバースでアバターに付随させて表示するためのアセットデータを提供する。
【0024】
販売者端末2は、二次利用商品11の販売者により操作される情報通信端末であり、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ(パソコン)である。販売者端末2は、販売者端末2の操作者から受け付けた操作に基づいて、ブロックチェーン4に販売者が所有者として登録されているNFT(一次NFT)と対応付けられた一次コンテンツ12を利用した二次利用商品11の製造販売を行う。
【0025】
購入者端末3は、二次利用商品11の購入者により操作される情報通信端末であり、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ(パソコン)である。購入者端末3は、購入者端末3の操作者から受け付けた操作に基づいて、販売者の販売する二次利用商品11の購入処理を行う。さらに、購入者端末3は、メタバースサーバ6の提供するメタバースサービスの提供を受け、購入者は自身の分身であるアバターを用いてメタバースに参加する。
【0026】
ブロックチェーン4は、複数の情報通信機器(ノード)により構成されており、暗号技術を用いた複数のノードの分散処理によって、取引情報を記録したブロックが連続してチェーン状に連結されることで、トークンと称される情報単位の所有者の変更履歴を管理することができる。ブロックチェーン4は、スマートコントラクトと称される機能を備え、スマートコントラクトにより任意のプログラム処理をブロックチェーン4で実行可能である。このスマートコントラクトによって、ブロックチェーン4においてNFTに関する機能が実現される。このように、複数のノードによって構成されるブロックチェーン4において管理されるトークンが、各ノードに記録されてブロックチェーン4の全体において管理可能となることを、トークンの発行と称し、トークンの所有者の変更が記録されることを、トークンの取引と称するものとする。また、ブロックチェーン4は、分散型管理システムの一例であって、複数の機器により構築される非中央集権的な管理システムに代替され得る。
【0027】
NFTは、例えば、NFTの発行処理を行ったプログラムの所在を示すコントラクトアドレスと、トークン毎に異なるトークンIDを有しており、これらの情報を用いてブロックチェーン4が個々に識別可能となる。そのため、スマートコントラクトを特定するコントラクトアドレス、及び、トークンID(以下、これらの情報をトークン情報と称する)を用いてNFTを一意に特定できる。
【0028】
さらに、NFTの所有者の変更履歴はブロックチェーン4に記録可能となる。NFTには、所有者を示す所有者IDが記録されており、取引処理によって所有者IDの変更がブロックチェーン4で記録される。また、一般に、NFTの所有者として記録されることは、NFTの所有と称されている。
【0029】
NFTの所有者IDには、ユーザを識別可能なユーザ識別情報が記録される。ユーザ識別情報は、例えば、公開鍵等の種々の態様があり得るが、以下では、ウォレットアドレスを用いてブロックチェーン4でユーザが識別されるものとして説明する。
【0030】
ブロックチェーン4に記録された任意のNFTは、管理装置1、販売者端末2、購入者端末3、ウォレットサーバ5、及び、メタバースサーバ6を含む任意の機器から参照が可能である。さらに、NFTは、その所有者として記録されている者の操作する端末(販売者が所有している場合には、販売者端末2)から、その所有者の秘密鍵を用いることで取引可能である。
【0031】
なお、販売者は、一次コンテンツ12を利用して二次利用商品11を商業的に販売する権利、すなわち、二次利用権を有することが前提となる。販売者は、一次コンテンツ12の所有者としてブロックチェーン4に記録されていたとしても、一次コンテンツ12の二次利用権を有するとは限らない。二次利用権は、一次コンテンツ12の所有権とは別であり、一次コンテンツ12の原作者が別途許諾するのが一般的である。このような二次利用権は、一般に公開される場合もあれば、特定の管理業者に限定的に公開される場合もある。管理装置1は、予め二次利用権に関する情報、すなわち、二次利用可能な一次コンテンツ12の情報、及び、対応する二次利用権者に関する情報を取得してテーブルに記憶しており、販売者が二次利用権を有するか否かを判定する。
【0032】
ウォレットサーバ5は、予め、NFTの利用者(販売者・購入者)による入力や登録等により取得した購入者のウォレットアドレスを記憶している。ウォレットサーバ5は、ブロックチェーン4を参照し、利用者のウォレットアドレスが所有者として記録されたNFTの情報を取得してウォレットに記憶する。そのため、利用者の操作する端末(販売者端末2、購入者端末3)は、ウォレットサーバ5にアクセスすることで、購入者が所有するNFTの一覧が参照可能となる。
【0033】
メタバースサーバ6は、パソコンやサーバ等の情報通信機器である。メタバースサーバ6は、管理装置1とは異なる主体により運営されていてもよく、購入者端末3を含む任意の情報通信端末に対してメタバースサービスを提供し、アバターでのメタバースの参加が可能となる。具体的には、購入者は、アバターと称される自身の分身を用いてメタバースに参加し、相互交流や商品購入等の経済活動を行うが、後述の処理により、アバターに対して購入した二次利用商品11と同等のデザインの衣服を着用させることができる。これは、メタバースサーバ6が、管理装置1から受信するアセットデータを用いて、メタバース内において購入者のアバターに二次利用商品11を付随して表示することにより行われる。
【0034】
次に、事前処理を示す
図3A~3B、NFT発行処理を示す
図4、二次利用商品11の販売処理を示す
図8、及び、二次利用商品11のメタバースでの利用処理を示す
図9を用いて、管理システム10で行われる種々の処理について説明する。
【0035】
図3Aは、ウォレットサーバ5への販売者の事前登録の処理を示すフローチャートである。この処理により、販売者端末2からの要求に応じて、ウォレットサーバ5においてウォレットが開設されるものとする。販売者と対応付けられて開設されたウォレットには、販売者が所有するNFTが記録され、販売者端末2から参照可能となる。
【0036】
ステップS301において、販売者端末2は、販売者からのウォレット開設要求を受け付ける。販売者は、ウォレット開設要求を行う際に、例えば、ウォレットサーバ5にログインするためのユーザIDやパスワードとともに、販売者の住所や氏名等を入力してもよい。販売者端末2は、入力された情報を用いてウォレットサーバ5に販売者のウォレットの開設を要求する。
【0037】
ステップS302において、ウォレットサーバ5は、ステップS301のウォレット開設要求に応じて、販売者のNFTを管理可能なウォレットを開設する。例えば、ウォレットサーバ5は、ウォレット毎にウォレットアドレスを生成する。生成されたウォレットアドレスはブロックチェーン4でのトークンの発行や取引に用いられる。そして、ウォレットサーバ5により作成されたウォレットには、ブロックチェーン4で記録されたNFTのうち、当該ウォレットアドレスを所有者IDとするNFTが記録される。
【0038】
ステップS303において、ウォレットサーバ5は、生成したウォレットアドレスを販売者端末2に通知する。これにより、販売者端末2は、販売者と対応付けられたウォレットアドレスを取得し、ウォレットサーバ5に対して当該ウォレットアドレスを用いてアクセスすることで、販売者が所有するNFTの一覧の参照が可能となる。なお、ウォレットアドレスはブロックチェーン4での処理に利用される公開鍵と一致するまたは対応付けられる場合が多く、販売者は、ウォレットサーバ5を介し、公開鍵と対応する秘密鍵を用いて、自身の所有するNFTの取引を行うこともできる。
【0039】
なお、ウォレットサーバ5への販売者の登録は、
図3Aに示した例に限らずに種々の態様がありえる。例えば、販売者端末2は、ステップS301のウォレット開設要求の際に、予め販売者が取得したウォレットアドレスをウォレットサーバ5に送信し、ウォレットサーバ5は受信したウォレットアドレスを用いてウォレットを作成してもよい。ウォレットサーバ5は種々の態様で実装し得るが、ウォレットサーバ5は、販売者端末2の所有者と、その所有者をブロックチェーン4で識別可能なユーザ識別情報(本実施形態では、ウォレットアドレス)とを対応付けて記録しておき、販売者が所有するNFTの一覧をウォレットに記録して、販売者端末2に提供できればよい。
【0040】
図3Bは、販売者端末2が販売者の所有するNFTを参照する処理を示すフローチャートである。販売者端末2は、ウォレットサーバ5を介して販売者の所有するNFTの一覧を取得する。なお、販売者端末2は、ウォレットサーバ5にログインした状態であれば、ウォレットアドレスの入力等をすることなく、ウォレットサーバ5にアクセスできる。
【0041】
ステップS311において、販売者端末2は、ウォレットサーバ5に対して販売者のウォレットに記録されている情報、すなわち、販売者が所有するNFTの一覧の取得を要求する。ウォレットサーバ5の販売者のウォレットには、販売者が所有者として記録されているNFTの一覧が記録されており、このNFTの一覧の参照が、販売者端末2から要求される。
【0042】
ステップS312において、ウォレットサーバ5、販売者のウォレットアドレスを用いて、ブロックチェーン4で記憶されているNFTの中から、販売者が所有者として記録されているNFTを参照する。
【0043】
ステップS313において、ウォレットサーバ5は、ブロックチェーン4を参照することにより得た、販売者が所有者として記録されているNFTの一覧を取得する。
【0044】
ステップS314において、ウォレットサーバ5は、ステップS313において取得した販売者のウォレット情報、すなわち、販売者が所有者として記録されているNFTの一覧を、販売者端末2に通知する。これにより、販売者端末2は、管理者が所有するNFTの情報を取得することができる。
【0045】
このように、販売者端末2は、ウォレットサーバ5を介して、ブロックチェーン4において販売者が所有者として記録されているNFTの情報を取得する。ウォレットサーバ5は、ブロックチェーン4から、販売者が所有者として記録されているNFTの情報を取得し、これらのNFTに関する情報は、販売者端末2の画面に表示可能となる。
【0046】
なお、
図3A、3Bに示した処理は、販売者端末2に限らず、購入者端末3を含む任意の端末で行われてもよい。そのため、任意の端末の操作者と対応付けられたウォレットが開設されていれば、任意の端末でウォレットに記録されている操作者が所有者となるNFTが参照可能となる。
【0047】
図4では、管理システム10において行われる二次NFTの発行処理について説明する。この例においては、管理システム10による管理対象の一次コンテンツ12はNFTアートであり、一次コンテンツ12と対応する一次NFTがブロックチェーン4上に記録されている。そして、一次コンテンツ12が二次利用された二次利用商品11が生成される。二次利用商品11は、二次利用商品11に対応付けて発行される二次NFTを用いて管理される。
【0048】
ステップS401において、販売者端末2は、予め、ウォレットサーバ5(不図示)を介して、販売者が所有者として記録されている一次コンテンツ12の一覧を取得しており、その一覧を二次利用の候補として販売者端末2の画面に表示する。
【0049】
なお、販売者は、ブロックチェーン4において自身が所有者として登録されていない一次コンテンツ12の二次利用権を有している場合もある。そのため、自身が所有者として登録されていない一次コンテンツ12を二次利用する場合には、販売者端末2は、ブロックチェーン4にアクセスし、販売者の操作に応じて、二次利用権を有する一次コンテンツ12を検索し、検索した一次コンテンツ12を二次利用の候補の一覧に追加する。
【0050】
その後、販売者端末2は、販売者からの操作に応じて、二次利用の対象となる一次コンテンツ12の選択を受け付けると、選択された一次コンテンツ12の二次利用の要求を管理装置1に送信する。この例においては、一次コンテンツ12がNFTアートであるため、二次利用要求には、一次コンテンツ12と対応付けられた一次NFTのトークン情報が含まれる。
【0051】
ステップS402において、管理装置1は、販売者端末2から一次コンテンツ12に関する情報、すなわち、一次コンテンツ12と対応する一次NFTのトークン情報と、販売者の識別情報とを受信する。販売者の識別情報は、ウォレットアドレス等のブロックチェーン4で利用される情報に限らず、販売者を特定可能な情報であればよい。管理装置1は、予め、二次利用権が設定された一次コンテンツ12について、一次NFTのトークン情報とその二次利用権者の識別情報(例えば、ウォレットアドレス)とを対応付けたテーブルを記憶している。管理装置1は、販売者端末2から受信したトークン情報と販売者の識別情報とが、当該テーブル内に対応して記憶されているか否かを判定することで、販売者が二次利用権を有するか否かを判断する。管理装置1は、販売者が一次コンテンツ12の二次利用権を有すると判断する場合には、二次利用可能である通知を販売者端末2に送信する。管理装置1は、販売者が一次コンテンツ12の二次利用権を有さないと判断する場合には、二次NFTの発行処理を終了する。
【0052】
ステップS403において、販売者端末2は、管理装置1から二次利用可能であると通知された一次コンテンツ12を利用して、二次利用商品11のプレビューを作成して販売者端末2の画面に表示する。二次利用商品11のプレビューに用いる表示データは、販売者端末2により生成されてもよいし、管理装置1によって生成されてもよい。
【0053】
その後、販売者端末2は、販売者からの二次利用商品11のアイテム設定に関する情報を受け付けると、受け付けたアイテム設定に関する情報を管理装置1に送信する。アイテム設定に関する情報の詳細については後述する。販売者端末2の画面に表示される二次利用商品11のプレビューは、本ステップS403で入力されるアイテム設定の情報や、後続のステップS404、S405において入力される設定の情報に応じて変化してもよい。
【0054】
ステップS404において、販売者端末2は、プロパティ設定の入力を販売者に促す旨を画面に表示し、その後、販売者からのプロパティ設定の入力を受け付けると、受け付けたプロパティ設定に関する情報を管理装置1に送信する。プロパティとして設定される情報の詳細については後述する。
【0055】
ステップS405において、販売者端末2は、販売情報の入力を販売者に促す画面を表示部に表示し、その後、販売者からの販売情報の入力を受け付けると、受け付けた販売情報に関する情報を管理装置1に送信する。設定される販売情報の詳細については後述する。
【0056】
なお、販売者端末2は、ステップS403~S405において販売者から受け付けた各種設定について、各ステップで送信せずに、ステップS405において、まとめて送信してもよい。
【0057】
ステップS406において、管理装置1は、ステップS401で選択された一次コンテンツ12を二次利用する二次利用商品11の参考価格を計算し、参考価格を販売者端末2に送信する。このような参考価格が販売者端末2に表示されることにより、販売者は、販売しようとしている二次利用商品11の値段の妥当性を判断できる。管理装置1における参考価格の算出処理は、ステップS403~S405の設定の入力に応じて都度行われてもよい。また、参考価格の算出処理の詳細については後述する。
【0058】
ステップS407において、販売者端末2は、販売者による操作に応じて、ステップS401において選択された一次コンテンツ12を二次利用し、ステップS403~S405にて入力された設定に基づいた二次利用商品11の製造を決定する。そして、販売者端末2は、二次利用商品11と対応付けて発行される二次NFTの発行を、管理装置1に対して要求する。なお、販売者は、ステップS406の参考価格の通知後に、再度ステップS403~S405の処理によって各種設定を入力可能である。再度、各種設定が入力される場合には、ステップS403~S406の処理が繰り返される。
【0059】
ステップS408において、管理装置1は、販売者端末2から設定データを受け付けると、ブロックチェーン4に対して、これらの設定データの一部または全部を含むような二次NFTの発行を指示する。詳細には、管理装置1は、予めスマートコントラクトと称される実行可能プログラムをブロックチェーン4に登録しており、当該スマートコントラクトを用いて二次NFTを発行する。このように発行された二次NFTは、二次利用商品11に対応付けられたものとなる。
【0060】
なお、ステップS404において入力されたプロパティ情報には販売数が含まれており、この販売数だけ、個々に異なるトークンIDが付与された二次NFTが発行される。例えば、販売数が100である場合には、個々の異なるトークンID(例えば、351~450)を有する二次NFTが100個生成される。
【0061】
ステップS409において、ブロックチェーン4で二次NFTが発行される。これにより、二次利用商品11の販売数と同数の二次NFTが、販売者を所有者としてブロックチェーン4に新たに記録される。発行された二次NFTは、ウォレットサーバ5を介して、販売者端末2において参照可能となる。なお、管理装置1は、ブロックチェーン4からの二次NFTの発行完了通知を受信すると、二次NFTが発行された旨を販売者端末2に送信してもよい。
【0062】
図5は、ステップS403~S405においてユーザから受け付ける各種設定を示す図である。この図には、アイテム情報、プロパティ情報、及び、販売情報に含まれる詳細情報が示されている。また、図示された詳細情報は一例であり、他の情報が含まれてもよい。
【0063】
アイテム情報には、販売する二次利用商品11の種類と色が含まれる。二次利用商品11の種類は、上述のように、Tシャツやパーカ等の衣服だけに限らず、種々の商品が含まれ得る。また、販売する二次利用商品11の色について各種の設定が可能である。これらのアイテム情報は、二次利用商品11の特徴を示すものであるため、原則として二次NFTに含まれる。
【0064】
プロパティ情報には、ブランド情報、コラボ情報、権利、ロットナンバー、及び、販売数が含まれる。以下の例では、これらの情報のうち、販売数以外の情報が二次NFTに含まれる。
【0065】
ブランド情報には、二次利用を許諾した一次コンテンツ12の原作者が利用しているブランド名称が設定される。例えば、一次コンテンツ12の制作者が複数のシリーズをブランディングして使い分けて使用している場合には、そのシリーズ名がブランド情報となる。また、一次コンテンツ12がアニメ等のコンテンツである場合には、そのタイトルやシリーズがブランド情報として登録されてもよい。このように、一次コンテンツ12に含まれていないブランド情報を、二次NFTに追加的に含めることができる。
【0066】
コラボ情報には、二次利用商品11が一次コンテンツ12の関係者とは異なる事業者とコラボレーションして生成される商品となる場合に、コラボレーション相手の事業者の情報が設定される。このようなコラボ情報が二次NFTに含まれることで、複数の事業者が共同して二次NFTを発行しやすくなる。
【0067】
権利には、二次利用商品11の購入者に付与される権利が設定される。例えば、権利としてイベントの参加権が設定され、このような参加権が設定されたトークンの所有により、NFTの所有者はイベントへの参加が許可される。参加権の対象となるイベントは、メタバース内のイベントに限らず、現実世界のイベントでもよい。他の例としては、別途、新たなNFTが配布される権利が設定されてもよい。また、設定される権利は、二次利用商品11を用いた興行権等の商用権であってもよい。
【0068】
ロットナンバーには、同じ一次コンテンツ12を利用した二次利用商品11を複数回販売する場合に、その販売回数が設定される。ロットナンバーの設定は、管理装置1により自動で行われてもよいし、販売者の操作に応じて行われてもよい。管理装置1において自動で設定される場合には、過去に発行済みの二次利用商品11のロットナンバーに対して1を加えた数が、新たなロットナンバーとして設定される。
【0069】
販売数には、生成予定の二次利用商品11の数が設定される。上述のように、販売数だけの二次NFTが発行される。
【0070】
また、管理装置1により管理される二次利用商品11は、現実世界において流通する衣服等の商品であるため、現実世界において流通する商品に対して識別タグを付し、その識別タグに、プロパティ情報を含めることで、二次NFTを用いて現実世界で流通する二次利用商品11を管理することが可能となる。
【0071】
販売情報には、二次利用商品11の販売日、及び、二次利用商品11の販売価格が含まれる。二次利用商品11の販売日は、販売者が生成し、二次NFTに対応付けられた二次利用商品11の販売予定日が設定される。販売価格は、二次利用商品11の販売予定価格が設定される。なお、販売情報については、一部の情報が発行される二次NFTに含まれればよい。例えば、二次NFTには、販売日が記録されるが、販売価格は記録されなくてもよい。
【0072】
図6は、一次コンテンツ12に対応する一次NFT、及び、二次利用商品11に対応する二次NFTに含まれる情報を示す。一次NFT、及び、二次NFTは、ともに所定の規格(例えばERC721)に沿ったものであり、トークンID、保有者ID、及び、トークンURI(Uniform Resource Identifier)が含まれる。なお、図示された一次NFT及び二次NFTのフォーマットや含まれる情報は一例である。そのため、一次NFT及び二次NFTは、図示されたフォーマットとは異なるものであり、任意の非代替性トークンの規格に沿ったものであってもよい。また、一次NFT及び二次NFTは、これらの情報の一部を含んでいればよく、他の情報をさらに含んでいてもよい。
【0073】
一次NFT、及び、二次NFTの両者において、トークンIDは、所定のコントラクトにより発行されるトークンを個々に識別可能な識別子である。発行元のコントラクトを示すコントラクトアドレス、及び、コントラクトから発行されるトークンを識別するトークンIDの情報を用いて、ブロックチェーン4においてトークンが一意に特定される。
【0074】
保有者IDは、NFTの所有者を示す識別子であり、当該NFTの所有者のウォレットアドレスが記録される。保有者IDの変更履歴がブロックチェーン4に記録されるので、この変更履歴を用いることでNFTの所有権の移転履歴を確認できる。
【0075】
トークンURIは、所定のインターネット上のアドレスを示すものであって、このアドレスの場所には複数の情報がメタデータのフォーマットで記録されている。一次NFTのトークンURIには、一次コンテンツ12の名称、一次コンテンツ12の説明、及び、一次コンテンツ12の画像等のコンテンツ情報が含まれる。コンテンツ情報は、画像データの格納場所をさらに参照するウェブ上の情報であってもよいし、画像データそのものであってもよい。一次NFTに含まれるトークンURIは、一般的なNFTアートにおいて利用されているフォーマットに沿って設定される。
【0076】
二次NFTのトークンURIには、二次利用商品11の名称、及び、二次利用商品11の説明に加えて、一次NFT情報、及び、設定情報が含まれる。
【0077】
一次NFT情報は、二次利用商品11に利用される一次コンテンツ12に対応付けられた一次NFTに関する情報であり、一次NFTのトークン情報(コントラクトアドレス、及び、トークンID)が含まれる。なお、一次コンテンツ12がNFTアートでなく、対応する一次NFTが存在しない場合には、その一次コンテンツ12を特定する情報が一次NFT情報に含まれる。例えば、一次コンテンツ12が漫画のキャラクター等である場合には、一次コンテンツ名称にはそのキャラクター名称が設定される。そして、説明には、キャラクターに関する説明、例えば、作者や著作権者が示される。
【0078】
設定情報は、アイテム情報、プロパティ情報、及び、販売情報を含み、詳細には、
図4に示されたステップS403~S405において設定された情報が含まれる。
【0079】
ただし、アイテム情報には、さらに、販売者特定情報が含まれる。販売者特定情報は、二次利用商品11の販売者を特定する情報である。例えば、販売者特定情報は、所有者IDに用いられる販売者のウォレットアドレスであってもよいし、管理装置1に予め登録されているユーザIDであってもよいし、他のSNSプラットフォームにおいて販売者を特定する情報(プラットフォーム名称、及び、ユーザID)であってもよい。
【0080】
また、プロパティ情報には、ステップS404において入力される情報のうち、販売数に替えてナンバリングが含まれている。ナンバリングは、同じロットナンバーにおいて個々に付与されるものであって、例えば、販売数が100である場合には、1~100の番号が付与される。なお、ロットナンバー及びナンバリングは、二次利用商品名称に含めてもよく、二次利用商品名称が、商品名とロットナンバー及びナンバリングとを用いて示されてもよい。
【0081】
なお、
図6に示された一次NFT、及び、二次NFTのフォーマットは一例であって、図示した例に限られない。また、図示した情報も一例であって、図示した情報の一部が含まれてもよいし、他の情報が含まれていてもよい。
【0082】
図7は、
図4のステップS406の参考価格の算出に用いられる情報の説明図である。この説明図においては、ステップS403~S405で入力される設定情報等が横軸に示され、参考価格の算出への寄与の仕方に応じた価格算出情報が縦軸に示されている。
【0083】
横軸には、設定情報に含まれるアイテム情報、プロパティ情報、及び、販売情報に加えて、ブロックチェーン4に記録されたブロックチェーン情報が示されている。ブロックチェーン情報には、販売価格履歴、及び、購入者履歴が含まれており、ブロックチェーン4における取引履歴やNFTの売買サイトを参照することで取得できる。ブロックチェーン情報は、分散型管理システム情報の一例である。
【0084】
縦軸には、価格情報、数量情報、及び、特徴情報の3種類の参考価格の算出に寄与する価格算出情報が示されている。そして、横軸に示された設定情報、及び、ブロックチェーン情報に含まれる情報は、これらの3種類の価格算出情報に分類される。
【0085】
価格情報は、参考価格の算出の際に基準価格として用いられるものである。ブロックチェーン情報である販売価格履歴に示される最新の販売価格が基準となって参考価格が算出される。販売価格履歴が存在しない場合には、販売情報に含まれる販売価格が基準価格となる。
【0086】
数量情報は、参考価格の算出対象の二次利用商品11の流通量が少ないと判断される場合には、流通量が多いと判断される場合よりも、参考価格はより高く算出される。例えば、プロパティ情報の販売数がより少ないほど、参考価格はより高く算出される。また、販売情報の販売日がより古いほど、購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより少ないと判断されるため、参考価格はより高く算出される。プロパティ情報内のロットナンバーは、小さいほど購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより少ないと判断されるため、参考価格はより高く算出される。販売日については、ロットナンバーと同様に、より古いほど購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより少ないと判断されるため、参考価格はより高く算出される。
【0087】
なお、数量情報に応じて参考価格が低く算出される場合もある。例えば、算出対象の二次利用商品11の流通量が多いと判断される場合には、流通量が少ないと判断される場合よりも、参考価格はより低く算出される。例えば、プロパティ情報の販売数がより多いほど、参考価格はより低く算出される。また、販売情報の販売日がより新しいほど、購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより多いと判断されるため、参考価格はより低く算出される。プロパティ情報内のロットナンバーは、大きいほど購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより多いと判断されるため、参考価格はより低く算出される。販売日については、ロットナンバーと同様に、より新しいほど購入可能な状態で流通する二次利用商品11はより多いと判断されるため、参考価格はより低く算出される。
【0088】
特徴情報は、アイテム情報であるアイテムの種類、色、及び、販売者特定情報と、プロパティ情報であるブランド情報、権利、及び、コラボ情報、並びに、ブロックチェーン情報である購入者履歴が含まれる。これらの特徴情報に、価格上昇に寄与する特定の高価格特徴情報が含まれることで、特異的に取引値段が上がることがある。管理装置1は、他の二次利用商品11の取引価格を記憶しており、予め、設定情報が略同じである二次利用商品11のうち、特異的に価格上昇した二次利用商品11に含まれる特徴情報を取得し、高価格特徴情報として記憶している。
【0089】
例えば、高価格特徴情報は特定の人物を示すものである。購入者履歴に特定の人物(例えば、著名人)が含まれている場合には、二次利用商品11の価格が特異的に上昇することがある。管理装置1は、そのように価格上昇した二次利用商品11の購入者履歴に共通している特定の人物を示す高価格特徴情報を求めておき、その高価格特徴情報を含む二次利用商品11の参考価格を他の二次利用商品11よりも高く算出する。なお、管理装置1は、高価格特徴情報とともに、その高価格特徴情報が含まれていた場合の上昇度や上昇割合を記憶しておき、参考価格の算出時に利用してもよい。
【0090】
逆に、管理装置1は、高価格特徴情報を含まない二次利用商品11の参考価格を他の二次利用商品11よりも低く算出してもよい。他の形態として、管理装置1は、他の二次利用商品11の取引価格を記憶しており、予め、設定情報が略同じである二次利用商品11のうち、特異的に価格下落した二次利用商品11に含まれる特徴情報を取得し、低価格特徴情報として記憶してもよい。例えば、人気のない色等は低価格特徴情報となり得る。そして、低価格特徴情報を含む二次利用商品11の参考価格を他の二次利用商品11よりも低く算出する。
【0091】
高価格特徴情報は、アイテム情報内の販売者特定情報、プロパティ情報のブランド情報、及び、コラボ情報にも含まれている場合があり、特定の販売者、ブランド情報、及び、コラボ情報は高価格特徴情報となり得る。販売者特定情報、プロパティ情報のブランド情報、及び、コラボ情報に高価格特徴情報が含まれる場合には、これらの情報が含まれない場合よりも、参考価格が高く算出される。また、高価格特徴情報は、アイテムの種類及び色の組み合わせであってもよい。
【0092】
他の一例としては、
図7には示されていないが、
図6に示される二次NFTに含まれるナンバリングは高価格特徴情報となりえる。例えば、ナンバリングが特定の数字(1、3、777等の特徴的な数字)である場合には、二次利用商品11の価格が特異的に上昇することがある。そのため、二次NFTに含まれるナンバリングを高価格特徴情報とすることができる。
【0093】
このように、ステップS406の参考価格の算出処理においては、管理装置1は、価格情報をベースにして、数量情報を統計的に用いて予想価格を概算した上で、特徴情報に高価格特徴情報が含まれている場合にはその情報を考慮して参考価格を決定する。なお、管理装置1は、機械学習により得られた学習済みモデルを備えており、この学習済みモデルを利用して参考価格を算出してもよい。具体的には、機械学習は、販売価格履歴に示される価格を出力とし、他のパラメータを入力として行われてもよい。
【0094】
なお、
図7に示された参考価格の算出に寄与する価格算出情報(価格情報、数量情報、及び、特徴情報)に含まれる情報は一例であって、図示した例に限られない。また、不図示の他の情報が含まれていてもよい。
【0095】
図8は、二次利用商品11の販売処理を示すフローチャートである。この処理の前提として、
図4に示された処理によって、二次利用商品11に対応し、販売者が所有者として記憶されている二次NFTが発行されているものとする。
【0096】
ステップS801において、購入者端末3は、マーケットプレイス等のインターネット上の売買サイトを介して、ブロックチェーン4に対して購入希望の二次利用商品11の情報を要求する。
【0097】
ステップS802において、ブロックチェーン4から二次利用商品11に関する情報を取得する。購入者端末3は、ブロックチェーン4から、二次NFTに含まれる情報に加えて、売買サイトにおいて蓄積されたデータ(例えば、二次利用商品11のデザイン等)等を取得してもよい。そして、購入者端末3は、購入可能な二次利用商品11を画面に表示し、購入者の選択操作に応じて、購入希望の二次利用商品11に対応するトークン情報を選択、取得する。
【0098】
ステップS803において、購入者端末3は、選択された購入希望の二次利用商品11の参考価格を取得するために、参考価格取得要求を管理装置1に送信する。参考価格取得要求には、購入希望の二次利用商品11に対応付けられた二次NFTのトークン情報が含まれる。
【0099】
ステップS804において、管理装置1は、二次NFTに対応付けられた二次利用商品11の参考価格を計算すると、計算した参考価格を購入者端末3に送信する。なお、ステップS804における参考価格の算出処理は、
図4のステップS406の参考価格の算出処理と同等である。このような参考情報が購入者端末3に表示されることにより、購入者は、購入しようとしている二次利用商品11の価値を判断できる。
【0100】
ステップS805において、購入者による購入操作に応じて、購入者端末3は売買サイトに対して、購入を希望する一次コンテンツ12と関連付けられた二次NFTのトークン情報を含む購入要求を送信する。
【0101】
ステップS806において、ブロックチェーン4を用いたNFTの売買サイトにおいて商品購入処理が行われる。商品購入処理により、購入する二次利用商品11に対応付けられた二次NFTの所有者IDが購入者のウォレットアドレスに変更される。このような、所有者IDの変更とともに、購入者から販売者に対して所定の対価が支払われてもよい。
【0102】
ステップS807において、購入処理が完了すると、ウォレットサーバ5における販売者及び購入者のウォレットの情報が更新され、販売者端末2には、販売済みの二次利用商品11に対応付けられた二次NFTが表示されなくなり、購入者端末3には、購入された二次利用商品11に対応付けられた二次NFTが表示されるようになる。
【0103】
このように、ステップS801~S807の処理によって、二次利用商品11の販売が行われ、その結果、二次利用商品11に対応付けられた二次NFTの所有者の変更がブロックチェーン4に記録される。
【0104】
図9は、二次利用商品11がメタバース内のアイテムである場合において、購入した二次利用商品11のメタバースでの利用処理を示すフローチャートである。この図に示される利用処理によって、購入者が購入した二次利用商品11を、メタバースサーバ6により提供されているメタバースにおいて自身のアバターに着用させることが可能となる。
【0105】
ステップS901において、購入者端末3は、購入者からの操作に応じて、購入済みの二次利用商品11のメタバース内での利用開始要求の操作を受け付ける。購入者端末3は、ウォレットサーバ5を介して、または、ブロックチェーン4に直接アクセスすることにより、購入者が所有する二次利用商品11を取得し、所有する二次利用商品11の一覧を表示する。その後、購入者は、一覧のうちの1つの二次利用商品11をメタバースにおいてアバターに着用させるために選択する。購入者端末3は、購入者からの当該選択を受け付けると、利用開始要求をメタバースサーバ6に送信する。利用開始要求には、購入者のメタバースサービスにおける利用者ID、及び、メタバースで利用する二次利用商品11に対応する二次NFTのトークン情報が含まれる。
【0106】
ステップS902において、メタバースサーバ6は、購入者端末3から利用開始要求を受信すると、管理装置1に対してアセットデータ取得要求を送信する。アセットデータ取得要求には、利用開始要求に含まれる二次利用商品11の二次NFTのトークン情報が含まれる。
【0107】
ステップS903において、管理装置1は、アセットデータ取得要求を受信すると、二次NFTの確認処理を開始する。具体的には、管理装置1は、アセットデータ取得要求に含まれるトークン情報を用いて、ブロックチェーン4に記録されている二次NFTを参照する。
【0108】
ステップS904において、管理装置1は、参照した二次NFTに示された情報を、ブロックチェーン4から取得する。
【0109】
ステップS905において、管理装置1は、ステップS904において取得した二次NFTに示された情報から、当該二次NFTが管理装置1により発行されたものであるか否かを確認する。なお、ステップS902にメタバースサーバ6から送信されるアセットデータ取得要求に、ブロックチェーン4における購入者のウォレットアドレスが含まれていてもよい。このような場合には、管理装置1は、二次NFTの所有者IDに示された情報と、メタバースサーバ6から受信した購入者のウォレットアドレスとが一致する場合に、購入者端末3の操作者である購入者が正当な二次NFTの所有者であると判定する。
【0110】
ステップS906において、管理装置1は、参照した二次NFTに含まれる一次NFT情報を用いて一次コンテンツ12のコンテンツ情報を取得し、アイテム情報の種類や色等に応じて、メタバースの表示フォーマットのデータ形式の、二次利用商品11の表示データに変換する。なお、メタバースのサービスは複数の事業者が行っている可能性があり、各社でアバターに関する表示データのフォーマットが異なり得る。そこで、管理装置1は、アセットデータ取得要求の送信元のメタバースサーバ6で利用可能なフォーマットの二次利用商品11の表示データを生成する。その後、管理装置1は、生成した表示データを、アセットデータとしてメタバースサーバ6に送信する。
【0111】
ステップS907において、メタバースサーバ6は、管理装置1から受信したアセットデータの表示データを用いて、購入者のアバターの着用する衣服を二次利用商品11のデザインに変更する。以降、メタバースの購入者のアバターの衣服は二次利用商品11となる。メタバースサーバ6は、アバターの衣服等の付随物の変更が完了したことを購入者端末3に通知する。
【0112】
ステップS908において、購入者端末3は、メタバースサーバ6からの利用設定完了通知に応じてメタバースのアバターに付随する衣服等の表示が変更されるため、二次利用商品11を着用したアバターが購入者端末3で表示される。
【0113】
このような処理を経て、購入者のアバターが二次利用商品11を着用できる。なお、二次利用商品11の表示データは、メタバースサーバ6で作成してもよい。そのような場合には、ステップS903~S906の処理が管理装置1に替えてメタバースサーバ6により行われる。
【0114】
なお、メタバースサーバ6における二次利用商品11の表示に用いられる表示データは、管理装置1にて生成されたが、メタバースサーバ6において生成されてもよい。メタバースのサービスを提供する複数の事業者において表示データのフォーマットが統一される場合には、管理装置1及びメタバースサーバ6以外の第3者によって、二次利用商品11を利用した所定のフォーマットの表示データが生成されてもよい。
【0115】
また、本実施形態の参考価格の算出は任意のタイミングで行うことができ、
図4のステップS406、及び、
図8のステップS804に限らず、任意の端末に対して任意のタイミングで参考価格を提供してもよい。また、算出された参考価格は任意の端末に提供するだけでなく、ブロックチェーン4に記録してもよい。ブロックチェーン4に記録されることによって、参考価格の履歴が任意の端末から参照可能となるので、参考価格を活用したサービスの発展が期待される。
【0116】
このような管理システム10によれば、管理装置1は、一次コンテンツ12を二次利用する二次利用商品11の販売者により操作される販売者端末2からのNFTの発行要求に応じて、所有者IDに販売者の識別情報が記録され、二次利用商品11に関する設定情報が含まれ、二次利用商品11に対応する二次NFTを発行する。このような二次NFTは二次利用商品11に対応付けられているため、二次NFTを用いることで二次利用商品11の流通を管理することができる。
【0117】
さらに、管理システム10によれば、設定情報に基づいて参考価格が算出され、算出した参考価格を、販売者により操作される販売者端末2に対して提供する。このように、設定情報に基づいて求められた参考価格を提供することで、販売者は、販売を意図する二次利用商品11の参考価格を参照できるようになり、販売処理における価格設定において、ユーザ利便性の向上を図ることができる。
【0118】
なお、本実施形態においては、一次コンテンツ12がオリジナルの絵であり、二次利用商品11がTシャツ等の衣類である例を用いて説明されたが、二次利用商品11をさらに利用した三次以降の利用商品であってもよい。例えば、三次利用商品としては、二次利用商品11のTシャツを着用した人物を描いた画像や、二次利用商品11のTシャツを他の態様の商品に流用したもの等がありえる。
【0119】
このような三次利用商品については、二次利用商品11と同様に三次NFTを発行することで、三次NFTを用いて流通の管理が可能となる。具体的には、二次利用商品11を本実施形態の一次コンテンツ12のような二次利用元のコンテンツとして扱うことにより、三次利用商品を管理する三次NFTを生成できる。例えば、さらに、二次NFT情報を含む三次NFTを生成し、当該三次NFTを三次利用商品の管理に用いる。
【0120】
また、四次以降の利用商品についても、対応するNFTを用いて管理可能である。例えば、四次利用商品の管理に用いられる四次NFTには、一次コンテンツ12、二次利用商品11、及び、三次利用商品に関する情報が含まれてもよい。そのため、管理装置1は、N(N=2以上)次利用商品が素材として作成されたN+1次利用商品を管理可能である。管理システム10は、一次コンテンツ12、及び、二~N次利用商品に関する情報と、N+1次利用商品に関する設定情報と、を含み、N+1次利用商品に対応するNFTを、N+1次利用商品の管理に用いることができる。
【0121】
(その他の実施形態)
NFTにおいてはスマートコントラクトの機能により、売買契約の成立を条件として所有者IDの変更が実行されるという取引を設計することができる。この実施形態においては、所有者IDの変更の実行のための条件として、売買契約の成立に伴う対価の譲渡に加えて、その譲渡対価の一部を、販売者以外の任意の還元先に還元することを含めるように設計した例について説明する。還元先としては、例えば、一次コンテンツ12の原作者や、二次利用商品11の制作時の一次コンテンツ12の所有者、または、二次利用商品11の制作者などである。
【0122】
このような譲渡対価の一部を還元する場合には、
図6に示される二次NFTには、還元先を指定する情報(例えば、還元先のウォレットアドレス)と譲渡対価の還元割合(還元率)を示す情報が含まれる。二次NFTが発行される際には、譲渡対価の還元率に応じた一部を任意の還元先に還元するようにコントラクトが設計され、還元先や還元率の情報はトークン内に設定される。そのため、これらの情報は書き換えることができず、NFTの流通時において将来的にも不変となる。
【0123】
例えば、
図8に示された商品購入処理がビットコイン等の代替性トークン(FT)を用いて行われる場合には、還元率に応じたFTが還元先に送信される。また、商品購入処理が売買サイトで行われ、現金やクレジッドカード等の手段で行われる場合には、売買サイトが主体となって、売買代金の一部に相当するFTを、還元先のウォレットアドレスに送信してもよい。
【0124】
このようにすることで、例えば、還元先と設定される人は、自身が介在せずに二次利用商品11の売買が行われる場合であっても、還元率に応じて譲渡対価の一部を受け取ることができる。具体的には、還元先が一次コンテンツ12の制作者(最初の所有者としてブロックチェーン上に記録されている者)である場合には、製作者は二次利用権の対価を二次利用商品11の制作時だけでなく二次利用商品11の流通時にも取得できることになる。
【0125】
商品の中には販売の数年後に価値が認められて価格が上昇することがあるが、このような後年における価格の上昇に対する対価を、一次コンテンツ12の制作者が直接的に得ることが難しかった。これに対して、このような還元の仕組みを二次NFTに含めておくことで、還元先に設定される人が介在しない取引が行われる場合であっても、還元先に設定される一次コンテンツ12の製作者は二次利用商品11の流通時に譲渡対価の一部の還元を受けることができるので、一次コンテンツ12の製作意欲を促進することができる。
【0126】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0127】
1 管理装置
2 販売者端末
3 購入者端末
4 ブロックチェーン(分散型管理システム)
5 ウォレットサーバ
6 メタバースサーバ
7 インターネット
10 管理システム
11 二次利用商品
12 一次コンテンツ
13 利用者