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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165996
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】研削盤のワーク支持装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20241121BHJP
   B24B 5/04 20060101ALI20241121BHJP
   B23Q 1/76 20060101ALI20241121BHJP
   B23Q 1/64 20060101ALI20241121BHJP
   B23B 31/36 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B24B41/06 J
B24B5/04
B24B41/06 C
B23Q1/76 T
B23Q1/64 C
B23B31/36 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023092760
(22)【出願日】2023-05-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】523206895
【氏名又は名称】深瀬 知之
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 知之
【テーマコード(参考)】
3C032
3C034
3C043
3C048
【Fターム(参考)】
3C032NN08
3C034BB74
3C034BB77
3C034BB83
3C043AA01
3C043AB07
3C043CC03
3C043DD01
3C043DD03
3C043DD05
3C043DD11
3C048EE08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークの研削点における砥石切込み方向での変位量を少なくし、研削精度を向上させる支持装置を提供する。
【解決手段】本発明におけるワーク支持装置10は、断面円形の長尺のワークWの両端及び中途位置を回転可能に支持し、ワークWの外周面を砥石12で研削加工する研削盤1のワーク支持装置10であって、ワークWの両端をそれぞれ回転可能に支持する端部支持部14と、ワークWの中途位置を回転可能に支持する中間支持部13と、端部支持部14に設けられワークWの端部をワークWの長手方向と直交する方向に移動させるフローティング部17と、を備え、ワークWの両端をそれぞれ支持する端部支持部14と中間支持部13との間で芯ずれが生じワークWが一直線上に支持されず曲がりを生じている場合は、フローティング部17がワークWの長手方向と直交する方向に移動することにより芯ずれを吸収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の長尺のワークの両端及び中途位置を回転可能に支持し、ワークの外周面を砥石で研削加工する研削盤のワーク支持装置であって、
ワークの両端をそれぞれ回転可能に支持する端部支持部と、
ワークの中途位置を回転可能に支持する中間支持部と、
前記端部支持部に設けられワークの端部をワークの長手方向と直交する方向に移動させるフローティング部と、を備え、
ワークの両端をそれぞれ支持する前記端部支持部と前記中間支持部との間で芯ずれが生じワークが一直線上に支持されず曲がりを生じている場合は、前記フローティング部がワークの長手方向と直交する方向に移動することにより前記芯ずれを吸収するワーク支持装置。
【請求項2】
前記フローティング部は、
円筒状の内周面を有するハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されたカップリングと、
前記ハウジングの内周面と前記カップリングの外周面との間に配置された弾性部材と、を有する請求項1に記載のワーク支持装置。
【請求項3】
前記カップリングの外周面には円環状のリング部が装着され、前記リング部の外周面には円錐状の第1傾斜面が形成され、前記ハウジングの内周面には前記第1傾斜面と対向する第2傾斜面が形成され、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に前記弾性部材が配置され、前記リング部を前記カップリングの長手方向に移動するための移動部が設けられ、前記移動部により前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間隔を調整可能な請求項2に記載のワーク支持装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記カップリングの外周面に形成された雄ねじ部と、前記リング部の内周面に形成された雌ねじ部である請求項3に記載のワーク支持装置。
【請求項5】
断面円形の長尺のワークの中途位置を回転可能に支持し、ワークの外周面を砥石で研削加工する研削盤のワーク支持装置であって、
ワークの外周面をラジアル方向から3点支持し、
前記3点のうち、第1の支持点がワークの軸線よりも上方に位置し、
第2及び第3の支持点がワークの軸線よりも下方であって、ワークの軸線を通る鉛直線の両側にそれぞれ位置し、
前記第2の支持点及び前記第3の支持点の位置を可変とする支持位置可変部を備えるワーク支持装置。
【請求項6】
前記第1の支持点が含まれる平面を有する上部支持板と、
前記第2の支持点が含まれる曲面を有するワークWと平行に配置された下部第1棒体と、
前記第3の支持点が含まれる曲面を有するワークWと平行に配置された下部第2棒体と、を備え、
前記第1の支持点はワークの軸線を通る鉛直線上に位置する請求項5に記載のワーク支持装置。
【請求項7】
前記支持位置可変部は、
前記下部第1棒体と前記下部第2棒体とを支持する下部支持部と、
前記下部支持部のワーク側に向いた上面部と、
前記上面部に形成されたワークの長手方向と平行な複数の溝部と、
により構成され、
前記下部第1棒体及び前記下部第2棒体は前記複数の溝部の内の任意の溝部に配置できる請求項6に記載のワーク支持装置。
【請求項8】
前記溝部は断面形状がV字形状を有するV字溝として形成されている請求項7に記載のワーク支持装置。
【請求項9】
前記上面部が円弧の凹面形状に形成された請求項8に記載のワーク支持装置。
【請求項10】
前記支持位置可変部は、前記下部支持部のワーク側に向いた上面部に重ねて載置されワークの長手方向と平行な複数の長孔を有するケージにより構成され、前記下部第1棒体及び前記下部第2棒体は前記複数の長孔の内の任意の長孔に配置でき、前記上面部が円弧の凹面形状に形成された請求項6に記載のワーク支持装置。
【請求項11】
前記中間支持部は請求項8に記載のワーク支持装置である請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【請求項12】
前記中間支持部は請求項9に記載のワーク支持装置である請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【請求項13】
前記中間支持部は請求項10に記載のワーク支持装置である請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削加工中のワークの両端及び中途位置を回転可能に支持するワーク支持装置に関し、特にワークの外周面に螺旋状のねじ溝を研削加工する研削盤におけるワーク支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削盤で長尺丸棒状のワークの外周面を研削するには、砥石が圧接されるワークの研削点において、砥石切込み方向でのワークの変位量を少なくする必要がある。研削加工中にワークが砥石切込み方向において変位すると、研削加工後のワークの断面形状や断面寸法が、ワークの長手方向のところどころにおいて変化してしまい、研削精度に悪影響を与えるからである。この変位量を少なくするために各種支持装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、ワークを挟んで砥石と対向する位置に、砥石切込み方向へ移動可能な押圧子を設け、ワークに砥石が切り込まれ撓むことにより発生する砥石切込み方向における変位量を検出すると共に、検出した変位量に基づいて押圧子をワークに向けて移動させ、研削時のワークの撓み量を減少させる支持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-1656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された支持装置にあっては、ワークに砥石が切り込まれ撓むことにより発生するワークの変位の他に、ワークが砥石切込み方向において変位する原因が2つあると考えられる。まず、特許文献1の支持装置では、ワークを両端及び中央の合計3点で支持している。しかし、両端と中央との3点を完全な一直線上に設置することは困難であり、3点間において芯ずれが生じるおそれがある。3点間において芯ずれが生じている状態では、ワークにわずかながら曲がりが生じている。ワークが曲がった状態で、砥石に対してワークを相対的に長手方向へ平行移動させるトラバース研削を行うと、ワークが砥石の切込み方向で変位してしまい、研削精度が悪化する。
【0006】
次の要因としては、特許文献1の支持装置では、押圧子が砥石切込み方向において砥石と対向するようにワークと接触している点が挙げられる。ワークの外径部には、真円度や円筒度において形状誤差が存在するため、砥石切込み方向において砥石の反対側からワークと接触する構造では、ワークの外径部における形状誤差により、ワークが砥石の切込み方向で変位してしまうおそれがある。
【0007】
ワークが砥石切込み方向において変位するこれらの原因を解消するために、特許文献1に記載された支持装置にあっては、ワークの変位量を検出するセンサーや押圧子を駆動させるアクチュエータ、及び制御装置が必要となり、装置が複雑となっていると考えられる。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、ワークを両端部と中央部との3点で支持することによる芯ずれの影響及び押圧子がワークと砥石切込み方向において接触することによる、ワーク形状誤差の影響をなくすことにより、制御装置等を用いない簡単な構造で、ワークの研削点における砥石切込み方向での変位量を少なくし、研削精度を向上させる支持装置を提供する。なお、ワークに砥石が切り込まれ撓むことにより発生する砥石切込み方向の変位量は、ワークの研削点におけるワーク支持部に必要な剛性を持たせることで低減できるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のワーク支持装置は、断面円形の長尺のワークの両端及び中途位置を回転可能に支持し、ワークの外周面を砥石で研削加工する研削盤のワーク支持装置であって、ワークの両端をそれぞれ回転可能に支持する端部支持部と、ワークの中途位置を回転可能に支持する中間支持部と、端部支持部に設けられワークの端部をワークの長手方向と直交する方向に移動させるフローティング部と、を備え、ワークの両端をそれぞれ支持する端部支持部と中間支持部との間で芯ずれが生じワークが一直線上に支持されず曲がりを生じている場合は、フローティング部がワークの長手方向と直交する方向に移動することにより芯ずれを吸収する。
【0010】
また、本発明のワーク支持装置は、断面円形の長尺のワークの中途位置を回転可能に支持し、ワークの外周面を砥石で研削加工する研削盤のワーク支持装置であって、ワークの外周面をラジアル方向から3点支持し、3点のうち、第1の支持点がワークの軸線よりも上方に位置し、第2及び第3の支持点がワークの軸線よりも下方であって、ワークの軸線を通る鉛直線の両側にそれぞれ位置し、第2の支持点及び第3の支持点の位置を可変とする支持位置可変部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明のワーク支持装置によれば、端部支持部に設けられたフローティング部が、ワークの端部をワークの長手方向と直交する方向に移動させるので、ワークを両端部と中央部との3点で支持した場合であっても、3点間の芯ずれを吸収することが可能となり、ワークの研削点における砥石切込み方向での変位量を少なくして、研削精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明のワーク支持装置によれば、ワークの外周面をラジアル方向から3点で支持し、この3点のうち、第1の支持点がワークの軸線よりも上方にあるワークの外周面上の1点であり、第2及び第3の支持点がワークの軸線よりも下方にあるワークの外周面上の2点であるため、ワークを砥石切込み方向と略直交する方向で支持することができ、ワークの外径部における形状誤差によりワークが砥石切込み方向に押されることを防ぎ、ワークの砥石の切込み方向での変位を少なくして、研削精度を向上させることができる。さらに、第2の支持点及び第3の支持点の位置を変化させて、ワークの加工条件に応じた支持位置を選択することにより、ワークの砥石の切込み方向での変位を少なくして、研削精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施例に係るワーク支持装置を備えた研削盤の正面図である。
図2】(a)本発明の第1実施形態に係るワーク支持装置の主軸側端部支持部の断面図、(b)本発明の第1実施形態に係るワーク支持装置の芯押台側端部支持部の断面図、(c)図2(a)の弾性部材保持溝の拡大図である。
図3】(a)本発明の第2実施形態に係る主軸側端部支持部の断面図、(b)図3(a)の弾性部材保持溝の拡大図である。
図4】(a)本発明の第3実施形態に係るワーク支持装置を備えた研削盤の斜視図、(b)図4(a)の要部拡大図である。
図5】(a)本発明の第3実施形態に係るワーク支持装置の、棒体でワークWを支持した要部断面図、(b)本発明の第3実施形態に係るワーク支持装置の、棒体の位置を変更してワークWを支持した要部断面図である。
図6】本発明の第4実施形態に係るワーク支持装置の断面図である。
図7】本発明の第5実施形態に係るワーク支持装置の断面図である。
図8】上記実施形態に係るワーク支持装置の下部支持部及びケージの斜視図である。
図9】従来におけるワーク支持装置のワーク支持方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のワーク支持装置について、図面を参照しながら各実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、ワーク支持装置、ワーク支持装置の構成部材及びワーク支持装置の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実寸の寸法及び寸法比は、図面上の寸法及び寸法比と必ずしも一致していない。また、特に断らない限り、便宜上、図1に示すワーク支持装置の向きを基準に、上下などの方向を表わす。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0015】
(第1実施形態)
図1には、本発明のワーク支持装置10を備えたねじ研削盤1の一例が示されている。ねじ研削盤1は、床面2上に固定されたベッド3と、ベッド3上に移動可能に載置され、往復運動方向W1において往復運動するテーブル4と、テーブル4と一体となって往復運動する、主軸台5及び心押台8を備えている。主軸台5には、モータ(図示せず)の回転力が出力される主軸回転盤6が設けられている。主軸回転盤6の中心には、出力回転軸7が主軸回転盤6と同軸に形成されている。心押台8には、出力回転軸7と同軸に軸体9が形成されている。ワークWは、出力回転軸7及び軸体9の間で、回転可能に支持されている。
【0016】
ベッド3上には、砥石台11が設けられている。砥石台11は、ワークWの長手方向には移動しない。ワークWが、テーブル4上に設けられた主軸台5及び心押台8と共に往復運動方向W1に移動して研削加工される。このように、本実施形態では、砥石12に対してワークWを長手方向へ平行移動させるトラバース研削を行っている。
【0017】
砥石台11は、ワークWの長手方向と直交する方向に往復移動できる構造となっている。砥石台11には、円板状の砥石12が回転自在に支持されており、モータ(図示せず)により高速で回転される。砥石台11は、ワークWの長手方向に対して垂直方向に進退することにより、砥石12をワークWに接触させて研削加工を行う。
【0018】
ワークWを挟んで砥石12の反対側には、中間支持部13が設けられている。中間支持部13は、砥石12がワークWに切り込まれた際に、砥石切込み方向におけるワークWの移動を防止している。中間支持部13は、ベッド3に固定されており、移動することはない。本実施形態では、中間支持部13は、砥石12のワークWへの切込み位置にてワークWを支持している。
【0019】
主軸回転盤6及び心押台8には、ワークWを回転可能に支持する主軸側端部支持部14aと芯押台側端部支持部14bとがそれぞれ設けられている。図2(a)及び(b)に示されるように、主軸側端部支持部14a及び芯押台側端部支持部14bには、ワークWの端部をワークWの長手方向と直交する方向に移動させるフローティング部17が設けられている。
【0020】
フローティング部17は、円筒状の内周面36を有するハウジング35と、ハウジング35の内に配置されたカップリング18と、ハウジング35の内周面36とカップリング18の外周面との間に配置された弾性部材28とを有している。
【0021】
図2(a)に示されるように、ハウジング35にはワークWの長手方向に延びた筒部38と、筒部38の外周面から半径方向に突出したフランジ部37とが設けられている。筒部38は、断面視において円形状の内周面36を有しており、内周面36の内径は、カップリング18の外径よりも大きく設定されている。内周面36とカップリング18との間には、弾性部材28が配置されている。ワークWの一端W7が弾性部材28により支持されているため、ワークWが長尺の場合であっても、ワークWの一端W7が大きく振れ回ることなく、弾性部材28の弾性変形の範囲内で、内周面36の半径方向に動くことができる。このため、ワークWを、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及び中間支持部13の3点で支持した場合であっても、3点間の芯ずれを吸収することにより、ワークの研削点における砥石切込み方向での変位量を少なくし、研削精度を向上させることができる。
【0022】
内周面36の内径は、弾性部材28のつぶし率が略1~10%の範囲になるように設定されている。弾性部材28のつぶし率とは、弾性部材28を、直径に対してどれだけ圧縮させたかを表す値である。弾性部材28は、弾性部材28のつぶし率が大きくなるに従い剛性が増大し、変形しにくくなる。つぶし率を上記の値よりも大きくした場合は、弾性部材28の剛性が増加することにより、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及び中間支持部13の3点で支持した場合の3点間の芯ずれを吸収できない場合がある。しかし、弾性部材28のつぶし率を上記の範囲に設定することにより、弾性部材28を変形しやすい状態に保っている。弾性部材28の剛性を低く抑えることにより、ワークWの一端W7が、内周面36内において半径方向に移動しやすくなる。ワークWの一端W7を半径方向に移動しやすくすることにより、ワークWに砥石12が切り込まれる研削点における砥石切込み方向での変位量を少なくしている。内周面36は、少なくとも弾性部材28との接触位置において、出力回転軸7と同軸に形成されていることが好ましい。ワークWの一端W7が弾性部材28の弾性力により、出力回転軸7の中心位置に復元されるからである。
【0023】
フランジ部37には、複数の通し孔39が設けられている。主軸側端部支持部14aは、通し孔39にボルト41を通し、主軸回転盤6と締結される。主軸側端部支持部14aは、主軸回転盤6と共に回転し、ワークWの一端W7を支持しながら、ワークWに回転力を伝達している。芯押台側端部支持部14bは、通し孔39bにボルト41bを通し、心押台8に締結される。また、芯押台側端部支持部14bには、ワークWの他端W8を押圧支持するセンター104が設けられている。芯押台側端部支持部14bは、回転せずに、センター104を介してワークWの他端W8を支持している。
【0024】
図2(a)に示されるように、カップリング18は、円柱形状の出力回転軸7に取り付けられる本体側ハブ19と、出力回転軸7と本体側ハブ19とを締結させる本体側クランプ部21と、ワークWの一端W7に取り付けられるワーク側ハブ22と、ワークWの一端W7とワーク側ハブ22とを締結させるワーク側クランプ部23とを備えている。本体側クランプ部21をボルト26により締め付け、本体側ハブ19と出力回転軸7とが締結される。ワーク側クランプ部23をボルト27により締め付け、ワーク側ハブ22とワークWの一端W7とが締結される。
【0025】
図2(b)には、ワークWの他端W8を支持する芯押台側端部支持部14bが示されている。芯押台側端部支持部14bは、回転せずにセンター104を介してワークWの他端W8を支持している点を除き、主軸側端部支持部14aと同一構造を有している。
【0026】
図2(a)に示されるように、本体側ハブ19とワーク側ハブ22との間には、偏心や偏角を吸収するスペーサ24が設けられている。スペーサ24は、直交する2本のピン25を有している。2本のピン25は、それぞれが本体側ハブ19またはワーク側ハブ22に挿通されている。本体側ハブ19及びワーク側ハブ22は、挿通されているピン25の軸方向にスリップすることができる。このためカップリング18は主軸回転盤6とワークWとの芯ずれを吸収することができる。また、本体側ハブ19及びワーク側ハブ22は、挿通されているピン25を中心軸として回転することができる。このためカップリング18は、主軸回転盤6とワークWとの偏角も吸収することができる。
【0027】
ワーク側ハブ22は、本体側ハブ19よりも軸方向に長く形成された胴長部29を有している。胴長部29の外周面には、環状の溝である弾性部材保持溝31が形成されている。弾性部材保持溝31の深さは、弾性部材28の線径の略50%に設定されている。弾性部材保持溝31により弾性部材28がカップリング18の長手方向における所定の位置に保持されている。弾性部材保持溝31は、溝底32と、一対の側壁33、側壁34とを有している。溝底32の直径は、弾性部材28の内径と略同一径であり、溝底32が弾性部材28の内径部と接触している。このため、弾性部材28を内周面36に押圧させて弾性変形させることができる。側壁33と側壁34との間隔は、弾性部材28が弾性変形できるように、弾性部材28の線径よりも広く設定されている。
【0028】
本実施形態では弾性部材28は市販のOリングが用いられている。押しつぶされたOリングに適度な剛性を持たせるため、Oリングの材質は、ニトリルゴムやシリコンゴム等の合成ゴムが用いられている。なお、主軸側端部支持部14aを用いて説明したが、芯押台側端部支持部14bも同一構造を有している。
【0029】
前述のように、ワークWの両端をそれぞれ支持する主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及び中間支持部13との間で芯ずれが生じている場合であっても、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14bがワークWの長手方向と直交する方向に移動することにより、前記芯ずれを吸収することができる。このため、砥石12に対してワークWを相対的に長手方向へ平行移動させるトラバース研削を行っても、ワークWが砥石の切込み方向で変位しないため、研削精度を向上させることができる。なお、上述のカップリング18は、クロスジョイントカップリングを用いているが、芯ずれや偏角を吸収することのできるカップリングであれば特に構造は限定されない。
【0030】
以下の実施形態においては、以下に説明する点で第1実施形態に係るワーク支持装置10と相違し、その他の点では、第1実施形態に係るワーク支持装置10と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0031】
(第2実施形態)
図3(a)には、ワーク支持装置20が示されている。ワーク支持装置20に設けられたカップリング42の外周面には、ハウジング45の内周面46よりも大径なリング部43が装着されている。リング部43は、ハウジング45の奥側に位置する小径部52と、ハウジング45の口元側に位置し、小径部52よりも大径の大径部53と、小径部52と大径部53との間に形成されるの第1斜面44を有している。第1斜面44は、断面視において略45度傾いている。このためリング部43の外周面は、円錐形状をしている。なお、傾斜面の角度は、45度に限られず、45度より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0032】
ハウジング45の開口部54には、内周面46が面取りされ、第2傾斜面47が形成されている。第2傾斜面47は、断面視において略45度傾いており、第1斜面44に対して平行に対向している。このためハウジング45の開口部54は円錐形状に窪んだ形状をしている。
【0033】
後述するように、リング部43は、カップリング42の軸方向に移動可能である。このため、第1斜面44と第2傾斜面47とは、互いに接触可能な構造となっている。しかし、第1傾斜面33と第2傾斜面47との間には、弾性部材28が配置されている。第1斜面44が第2傾斜面47に接近すると、第1斜面44と第2傾斜面47とに挟まれた弾性部材28が弾性変形する。このため、第1斜面44と第2傾斜面47とが接触することはない。
【0034】
また、第1斜面44と第2傾斜面47とは、カップリング42の軸線に対して略45度傾いている。このため、弾性部材28は、カップリング42に連結されたワークWの軸端をラジアル方向においても支持することができる。なお、ラジアル方向とは、ワークWの半径方向を指す。なお、第1斜面44および第2傾斜面47の軸線に対する傾き角度は、特に限定されないが、傾斜面である第1斜面44および第2傾斜面47を用いてワークWの軸端をラジアル方向においても支持するため、傾き角度は30度から60度の範囲が好ましい。
【0035】
第1斜面44には、弾性部材28が保持される環状の溝である弾性部材保持溝55が設けられている。弾性部材保持溝55は、溝底56と一対の側壁57、側壁97とを有している。弾性部材保持溝55の深さは、弾性部材28の線径の略50%に設定されている。
【0036】
溝底56は、第2傾斜面47と平行に形成されている。側壁57、側壁97は、溝底56から直角方向に延びている。側壁57および側壁58の間隔は、弾性部材28が弾性変形できるように、弾性部材28の線径よりも広く設定されている。
【0037】
弾性部材保持溝55により、弾性部材28が第1斜面44上の所定の位置に保持されている。なお、弾性部材28の保持方法は、特に限定されることはない。第1斜面44上もしくは第2傾斜面47上に、弾性部材28を直接接着してもよい。
【0038】
図3(b)に示されるように、カップリング42およびリング部43には、リング部43をカップリング42の長手方向に移動するための移動部48が設けられている。移動部48は、カップリング42の外周
面の一部に形成された雄ねじ部49と、リング部43の内周面に形成された雌ねじ部51とから構成されている。リング部43の雌ねじ部51をカップリング42の雄ねじ部49にねじ込んだ状態で、リング部43を回転させることにより、リング部43をカップリング42の軸方向に前後させることができる。
【0039】
第1斜面44を軸方向に前後できるので、移動部48により第1傾斜面33と第2傾斜面47との間隔を調整することができる。第1斜面44と第2傾斜面47との間隔を調整することにより、第1斜面44と第2傾斜面47とにより挟まれている弾性部材28のつぶし率を調整することができる。なお、主軸側端部支持部45aを用いて説明したが、芯押台側端部支持部(図示せず)も同一構造を有している。
【0040】
(第3実施形態)
図4(a)には、ワークWの中途位置を回転可能に支持し、ワークWの外周面を砥石12で研削加工する研削盤のワーク支持装置30が示されている。ワークWの中途位置とは、砥石12がワークWに切り込まれる位置を指す。ワーク支持装置30は、砥石12がワークWに切り込まれた際に、砥石切込み方向におけるワークWの移動を防止している。
【0041】
図4(b)に示されるように、ワーク支持装置30は、L字状のスイング部59と、スイング部59をワーク支持装置30の本体に回転可能に軸支する軸部61と、スイング部59をワークWに押圧するねじ部62と、ワークWを下方から支持し、ワークWと平行に配置された複数の棒体72と、棒体72が載置される下部支持部69とを備えている。
【0042】
スイング部59は、軸部61を中心として回転することができる。ワークWを取り外す場合は、ねじ部62を緩め、スイング部59を図4(b)において時計回りに回転させて、ワークWを棒体72上から取り外す。ワークWの加工時には、スイング部59を反時計回りに回転させて、ねじ部62を締めることにより、棒体72上のワークWを押圧する。
【0043】
スイング部59の端部には、上部支持板67が設けられている。図5(a)に示されるように、上部支持板67は、ワークWと接触する平面部68を有している。平面部68は、第1の支持点75でワークWと点接触している。第1の支持点75はワークWの回転中心WOを通る鉛直線上に位置している。
【0044】
ねじ部62には、雄ねじ部63と、上部支持板67を押圧するフランジ部64と、雄ねじ部63を回転させる回転レバー65とが設けられている。雄ねじ部63は、上部支持板67に形成された長孔66を貫通して、ワーク支持装置30の本体上部に螺合されている。回転レバー65を締結方向に回転させることにより、フランジ部64が上部支持板67を下方に押圧する。下方に押圧された上部支持板67と棒体72とにより、ワークWをクランプする。
【0045】
ワークWは、出力回転軸7から出力される回転力により、ワーク支持装置30にクランプされたまま回転することができる。ねじ部62によるワークWのクランプ力は、ねじ部62の締め付け力により増減する。クランプ力は、出力回転軸7から出力される回転力を考慮して、ワークWが回転できるように調整されている。上部支持板67は、鋼材が用いられており、焼き入れ加工により硬度を増している。上部支持板67は、ワークWとの接触面である平面部68を研削加工して、摩擦抵抗を低減させることもできる。また、上部支持板67は、超硬材を用いることにより、耐摩耗性を向上させると共に、鋼材が用いられているワークWとの摩擦係数を低減させてもよい。
【0046】
棒体72は、ワークの軸線を通る鉛直線V1の両側にそれぞれ配置された下部第1棒体73と、下部第2棒体74と、から構成されている。下部第1棒体73は、ワークWの回転中心WOを通る鉛直線V1の反砥石側に位置している。下部第1棒体73は、直径が数ミリメートルから十数ミリメートルの円筒形である。本実施形態では、下部第1棒体73の長さを、50mmから60mmとしている。なお、棒体72の大きさは特に限定されず、これ以外の直径や長さを用いることも可能である。
【0047】
下部第1棒体73は、第2の支持点76においてワークWと点接触している。第2の支持点76は、ワークWの回転中心WOよりも下方であって、ワークWの回転中心WOを通る鉛直線V1の反砥石側に位置している。このように、下部第1棒体73は、砥石切込み方向Wtから下方に外れた第2の支持点76でワークWを支持している。
【0048】
同様に、下部第2棒体74は、第3の支持点77でワークWと点接触している。第3の支持点77は、ワークWの回転中心WOよりも下方であって、ワークWの回転中心WOを通る鉛直線V1の砥石側に位置している。下部第1棒体73と下部第2棒体74とは、鉛直線V1を基準に対象位置に配置されており、互いに同一な直径を有し、平行に配置されている。
【0049】
このように、ワーク支持装置50は、ワークWの外周面をラジアル方向から3点により支持するが、下部第1棒体73や下部第2棒体74及び上部支持板67によって、ワークWを上下方向から支持している。このため、ワークWの外周面に形状誤差がある場合は、ワークWが、矢印78の方向に変位するため、砥石切込み方向Wtでの変位を減少させることができる。ワークWの砥石切込み方向Wtでの変位を減ずることにより、研削加工後のワークの断面形状や断面寸法が、ワークの長手方向のところどころにおいて変化してしまうことを防止できるため、ワークWの研削精度が向上する。
【0050】
一方、図9の従来例に示されるように、砥石切込み方向Wtにおいて、砥石と対向するように、支持部86によりワークWを支持した場合は、ワークWの外周面の形状誤差により、ワークWが砥石切込み方向Wtで変位するため、ワークWの研削精度が悪化する。
【0051】
図5(b)に示されるように、下部支持部69には、ワークWの支持位置を任意に選択できる支持位置可変部79が設けられている。支持位置可変部79は、下部支持部69のワーク側に向いた上面部71と、上面部71に形成された、ワークWの長手方向と平行な複数の溝部81とから構成されている。
【0052】
上面部71は、ワークWの外周部と一定の間隔を設けて水平に形成されている。上面部71とワークWとの間には、棒体82を配置することができる。溝部81は、断面形状がV字形状を有する複数のV字溝を有している。図5(b)では、棒体72よりも内側に、棒体72よりも小径な棒体82が配置されている。このように、支持位置可変部79には、溝部81のうちの任意のV字溝に棒体を配置することができる。なお、棒体82は、溝部81に載置されてもよいし、ねじ止め(図示せず)等により溝部81に着脱自在に固定されてもよい。
【0053】
棒体82は、ワークの軸線を通る鉛直線V1の両側にそれぞれ配置された、下部第3棒体83と、下部第4棒体84と、から構成されている。ワークWの中心位置は、棒体72もしくは棒体82のどちらを用いても同一位置になるように設定されている。下部第3棒体83及び下部第4棒体84を用いた場合は、ワークWの外周部に形状誤差がある場合においても、変位方向が矢印85の方向となり、より鉛直線V1に近くなるこのため、棒体72で支持した場合と比較して、さらに砥石切込み方向における変位が少なくなり、研削精度を向上させことができる。
【0054】
図5(a)に示されるように、棒体72によりワークWを支持した場合は、棒体72によるワークWの支持深さがZ1となる。一方、図5(b)に示されるように、棒体82によりワークWを支持した場合は、棒体82によるワークWの支持深さがZ2となる。ワークWの加工時において、高い研削精度を要求されない粗加工時は、砥石12のワークWへの切込み量が多く、砥石12によりワークWが砥石切込み方向へ押される力が大きい。このため、棒体72により、支持深さZ1で支持することが好ましい。ワークWを強固に保持できるため、砥石12のワークWへの切込み量を増すことが可能となり、加工時間を短縮できるからである。ワークWの加工時において、高い研削精度を要求される仕上げ加工時は、砥石12のワークWへの切込み量が少なく、砥石12によりワークWが砥石切込み方向へ押される力が小さい。このため、棒体82により、支持深さZ2で支持することが可能となる。前述のように、棒体82でワークWを支持した場合は、棒体72による支持よりも、加工精度を向上させることが可能となる。
【0055】
(第4実施形態)
図6に示されるように、ワーク支持装置40は、棒体92を任意の位置に配置できる支持位置可変部89を備えている。支持位置可変部89には、円弧の凹面形状に形成された上面部88と、上面部88に形成されたワークWの長手方向と平行な複数の溝部91と、が設けられている。
【0056】
上面部88は、ワークWの外周部と一定の間隔を設けて、ワークWと同心円状に形成されている。上面部88とワークWとの間には、棒体92を配置することができる。
【0057】
溝部91は、断面形状がV字形状をしている。溝部91は、ワークWの回転中心WOに向けて開口しており、V字溝の中心線Vclが、ワークWの回転中心WOを通過するように設定されている。上面部88に同一形状のV字溝を形成することにより、同一直径の棒体92を用いて、ワークWの支持位置を変更することができる。
【0058】
(第5実施形態)
図7に示されるように、ワーク支持装置50は、棒体103を任意の位置に配置できる支持位置可変部80を備えている。支持位置可変部80には、ワーク側に向いた上面部95が円弧の凹面形状に形成された下部支持部94と、上面部95に重ねて載置されるケージ96とが設けられている。
【0059】
下部支持部94には、ケージ96のワークW円周方向での移動を規制する突起部97が形成されている。図8に示されるように、ケージ96には、上面部95と接する外周面98と、ワークW側に開口した内周面99と、突起部97と当接する当接面101と、棒体103が保持される長孔状の保持部102とが設けられている。
【0060】
外周面98は、曲率が上面部95と同一に形成されている。このため、ケージ96は、上面部95に隙間なく重なるように載置される。内周面99は、ワークWの外周面と間隔を有するように設定されており、内周面99がワークWの外周面と接触することがない。
【0061】
当接面101は、突起部97と当接することにより、ケージ96のワークWの円周方向への移動を防止している。当接面101の高さは、突起部97の高さと略同一に形成されている。
【0062】
保持部102は、ワークWの長手方向と平行に形成されている。長孔状の保持部102は、長さが棒体103よりも僅かに長く、幅が棒体103よりも僅かに広く形成されている。このため棒体103は、保持部102の中で回転することができる。また、保持部102は、長さ、幅共に棒体103と略同等に形成することもできる。この場合、棒体103は、回転せずに一定の場所に留まりワークWを支持する。
【0063】
ケージ96を用いた支持位置可変部80を用いることにより、下部支持部94の上面部95のV溝加工が不要になる。また、棒体103は、ワークWの加工条件に合わせて、複数の保持部102のうち、任意の保持部102に配置できる。さらに、複数の異なるサイズのケージを用意しておけば、異なるサイズの棒体の使用が可能となり、様々な直径のワークWの加工が可能となる。
【0064】
(第6実施形態)
図5に示される、第3実施形態のワーク支持装置30を、図2及び図3に示される、ワーク支持装置10もしくはワーク支持装置20と併用することもできる。ワークWの両端をそれぞれ支持する主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及びワーク支持装置30との間で芯ずれが生じている場合であっても、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14bがワークWの長手方向と直交する方向に移動することにより前記芯ずれを吸収することができる。さらに、ワークWの外周部に形状誤差がある場合においても、砥石切込み方向における変位が少なくなり、研削精度を向上させことができる。
【0065】
(第7実施形態)
図6に示される第4実施形態のワーク支持装置40を、図2及び図3に示される、ワーク支持装置10もしくはワーク支持装置20と併用することもできる。ワークWの両端をそれぞれ支持する主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及びワーク支持装置40との間で芯ずれが生じている場合であっても、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14bがワークWの長手方向と直交する方向に移動することにより前記芯ずれを吸収することができる。さらに、同一直径の棒体により、ワークWの支持位置を変更することができる。
【0066】
(第8実施形態)
図7に示される第5実施形態のワーク支持装置50を、図2及び図3に示される、ワーク支持装置10もしくはワーク支持装置20と併用することもできる。ワークWの両端をそれぞれ支持する主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14b及びワーク支持装置50との間で芯ずれが生じている場合であっても、主軸側端部支持部14aや芯押台側端部支持部14bがワークWの長手方向と直交する方向に移動することにより前記芯ずれを吸収することができる。さらに、異なるサイズの棒体を用いて、様々な直径のワークWの加工が可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 ねじ研削盤
2 床面
3 ベッド
4 テーブル
5 主軸台
6 主軸回転盤
7 出力回転軸
8 心押台
9 軸体
10 ワーク支持装置10
11 砥石台
12 砥石
13 中間支持部
14 端部支持部
14a 主軸側端部支持部
14b 芯押台側端部支持部
17 フローティング部
18 カップリング
19 本体側ハブ
20 ワーク支持装置20
21 本体側クランプ部
22 ワーク側ハブ
23 ワーク側クランプ部
24 スペーサ
25 ピン
26 ボルト
27 ボルト
28 弾性部材
29 胴長部
30 ワーク支持装置30
31 弾性部材保持溝
32 溝底
33 側壁
34 側壁
35 ハウジング
36 内周面
37 フランジ部
38 筒部
39 通し孔
39b 通し孔
40 ワーク支持装置40
41 ボルト
41b ボルト
42 カップリング
43 リング部
44 第1斜面
45 ハウジング
46 内周面
47 第2傾斜面
48 移動部
49 雄ねじ部
50 ワーク支持装置50
51 雌ねじ部
52 小径部
53 大径部
54 開口部
55 弾性部材保持溝
56 溝底
57 側壁
58 側壁
59 スイング部
61 軸部
62 ねじ部
63 雄ねじ部
64 フランジ部
65 回転レバー
66 長孔
67 上部支持板
68 平面部
69 下部支持部
71 上面部
72 棒体
73 下部第1棒体
74 下部第2棒体
75 第1の支持点
76 第2の支持点
77 第3の支持点
78 矢印
79 支持位置可変部
81 溝部
82 棒体
83 下部第3棒体
84 下部第4棒体
85 矢印
86 支持部
87 下部支持部
88 上面部
89 支持位置可変部
91 溝部
92 棒体
94 下部支持部
95 上面部
96 ケージ
97 突起部
98 外周面
99 内周面
101 当接面
102 保持部
103 棒体
104 センター
v1 鉛直線
vcl 中心線
W ワーク
W7 一端
W8 他端
W6 テーブルの往復運動方向
Wt 砥石切込み方向
z1 支持深さ
z2 支持深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(第2実施形態)
図3(a)には、ワーク支持装置20が示されている。ワーク支持装置20に設けられたカップリング42の外周面には、ハウジング45の内周面46よりも大径なリング部43が装着されている。リング部43は、ハウジング45の奥側に位置する小径部52と、ハウジング45の口元側に位置し、小径部52よりも大径の大径部53と、小径部52と大径部53との間に形成されるの第1斜面44を有している。第1斜面44は、断面視において略45度傾いている。このためリング部43の外周面は、円錐形状をしている。なお、傾斜面の角度は、45度に限られず、45度より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
ハウジング45の開口部54には、内周面46が面取りされ、第2傾斜面47が形成されている。第2傾斜面47は、断面視において略45度傾いており、第1斜面44に対して平行に対向している。このためハウジング45の開口部54は円錐形状に窪んだ形状をしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
後述するように、リング部43は、カップリング42の軸方向に移動可能である。このため、第1斜面44と第2傾斜面47とは、互いに接触可能な構造となっている。しかし、第1傾斜面44と第2傾斜面47との間には、弾性部材28が配置されている。第1斜面44が第2傾斜面47に接近すると、第1斜面44と第2傾斜面47とに挟まれた弾性部材28が弾性変形する。このため、第1斜面44と第2傾斜面47とが接触することはない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
また、第1斜面44と第2傾斜面47とは、カップリング42の軸線に対して略45度傾いている。このため、弾性部材28は、カップリング42に連結されたワークWの軸端をラジアル方向においても支持することができる。なお、ラジアル方向とは、ワークWの半径方向を指す。なお、第1斜面44および第2傾斜面47の軸線に対する傾き角度は、特に限定されないが、傾斜面である第1斜面44および第2傾斜面47を用いてワークWの軸端をラジアル方向においても支持するため、傾き角度は30度から60度の範囲が好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
第1斜面44には、弾性部材28が保持される環状の溝である弾性部材保持溝55が設けられている。弾性部材保持溝55は、溝底56と一対の側壁57、側壁97とを有している。弾性部材保持溝55の深さは、弾性部材28の線径の略50%に設定されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
弾性部材保持溝55により、弾性部材28が第1斜面44上の所定の位置に保持されている。なお、弾性部材28の保持方法は、特に限定されることはない。第1斜面44上もしくは第2傾斜面47上に、弾性部材28を直接接着してもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
第1斜面44を軸方向に前後できるので、移動部48により第1傾斜面44と第2傾斜面47との間隔を調整することができる。第1斜面44と第2傾斜面47との間隔を調整することにより、第1斜面44と第2傾斜面47とにより挟まれている弾性部材28のつぶし率を調整することができる。なお、主軸側端部支持部45aを用いて説明したが、芯押台側端部支持部(図示せず)も同一構造を有している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
1 ねじ研削盤
2 床面
3 ベッド
4 テーブル
5 主軸台
6 主軸回転盤
7 出力回転軸
8 心押台
9 軸体
10 ワーク支持装置10
11 砥石台
12 砥石
13 中間支持部
14 端部支持部
14a 主軸側端部支持部
14b 芯押台側端部支持部
17 フローティング部
18 カップリング
19 本体側ハブ
20 ワーク支持装置20
21 本体側クランプ部
22 ワーク側ハブ
23 ワーク側クランプ部
24 スペーサ
25 ピン
26 ボルト
27 ボルト
28 弾性部材
29 胴長部
30 ワーク支持装置30
31 弾性部材保持溝
32 溝底
33 側壁
34 側壁
35 ハウジング
36 内周面
37 フランジ部
38 筒部
39 通し孔
39b 通し孔
40 ワーク支持装置40
41 ボルト
41b ボルト
42 カップリング
43 リング部
44 第1斜面
45 ハウジング
46 内周面
47 第2傾斜面
48 移動部
49 雄ねじ部
50 ワーク支持装置50
51 雌ねじ部
52 小径部
53 大径部
54 開口部
55 弾性部材保持溝
56 溝底
57 側壁
58 側壁
59 スイング部
61 軸部
62 ねじ部
63 雄ねじ部
64 フランジ部
65 回転レバー
66 長孔
67 上部支持板
68 平面部
69 下部支持部
71 上面部
72 棒体
73 下部第1棒体
74 下部第2棒体
75 第1の支持点
76 第2の支持点
77 第3の支持点
78 矢印
79 支持位置可変部
81 溝部
82 棒体
83 下部第3棒体
84 下部第4棒体
85 矢印
86 支持部
87 下部支持部
88 上面部
89 支持位置可変部
91 溝部
92 棒体
94 下部支持部
95 上面部
96 ケージ
97 突起部
98 外周面
99 内周面
101 当接面
102 保持部
103 棒体
104 センター
v1 鉛直線
vcl 中心線
W ワーク
W7 一端
W8 他端
W6 テーブルの往復運動方向
Wt 砥石切込み方向
z1 支持深さ
z2 支持深さ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
前記支持位置可変部は、前記下部支持部のワーク側に向いた上面部に重ねて載置されワークの長手方向と平行な複数の長孔を有するケージにより構成され、前記下部第1棒体及び前記下部第2棒体は前記複数の長孔の内の任意の長孔に配置でき、前記上面部が円弧の凹面形状に形成された請求項に記載のワーク支持装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(第2実施形態)
図3(a)には、ワーク支持装置20が示されている。ワーク支持装置20に設けられたカップリング42の外周面には、ハウジング45の内周面46よりも大径なリング部43が装着されている。リング部43は、ハウジング45の奥側に位置する小径部52と、ハウジング45の口元側に位置し、小径部52よりも大径の大径部53と、小径部52と大径部53との間に形成される第1傾斜面44を有している。第1傾斜面44は、断面視において略45度傾いている。このためリング部43の外周面は、円錐形状をしている。なお、傾斜面の角度は、45度に限られず、45度より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
第1傾斜面44には、弾性部材28が保持される環状の溝である弾性部材保持溝55が設けられている。弾性部材保持溝55は、溝底56と一対の側壁57、側壁58とを有している。弾性部材保持溝55の深さは、弾性部材28の線径の略50%に設定されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
溝底56は、第2傾斜面47と平行に形成されている。側壁57、側壁58は、溝底56から直角方向に延びている。側壁57および側壁58の間隔は、弾性部材28が弾性変形できるように、弾性部材28の線径よりも広く設定されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
このように、ワーク支持装置30は、ワークWの外周面をラジアル方向から3点により支持するが、下部第1棒体73や下部第2棒体74及び上部支持板67によって、ワークWを上下方向から支持している。このため、ワークWの外周面に形状誤差がある場合は、ワークWが、矢印78の方向に変位するため、砥石切込み方向Wtでの変位を減少させることができる。ワークWの砥石切込み方向Wtでの変位を減ずることにより、研削加工後のワークの断面形状や断面寸法が、ワークの長手方向のところどころにおいて変化してしまうことを防止できるため、ワークWの研削精度が向上する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
1 ねじ研削盤
2 床面
3 ベッド
4 テーブル
5 主軸台
6 主軸回転盤
7 出力回転軸
8 心押台
9 軸体
10 ワーク支持装置
11 砥石台
12 砥石
13 中間支持部
14 端部支持部
14a 主軸側端部支持部
14b 芯押台側端部支持部
17 フローティング部
18 カップリング
19 本体側ハブ
20 ワーク支持装置
21 本体側クランプ部
22 ワーク側ハブ
23 ワーク側クランプ部
24 スペーサ
25 ピン
26 ボルト
27 ボルト
28 弾性部材
29 胴長部
30 ワーク支持装置
31 弾性部材保持溝
32 溝底
33 側壁
34 側壁
35 ハウジング
36 内周面
37 フランジ部
38 筒部
39 通し孔
39b 通し孔
40 ワーク支持装置
41 ボルト
41b ボルト
42 カップリング
43 リング部
44 第1傾斜面
45 ハウジング
46 内周面
47 第2傾斜面
48 移動部
49 雄ねじ部
50 ワーク支持装置
51 雌ねじ部
52 小径部
53 大径部
54 開口部
55 弾性部材保持溝
56 溝底
57 側壁
58 側壁
59 スイング部
61 軸部
62 ねじ部
63 雄ねじ部
64 フランジ部
65 回転レバー
66 長孔
67 上部支持板
68 平面部
69 下部支持部
71 上面部
72 棒体
73 下部第1棒体
74 下部第2棒体
75 第1の支持点
76 第2の支持点
77 第3の支持点
78 矢印
79 支持位置可変部
81 溝部
82 棒体
83 下部第3棒体
84 下部第4棒体
85 矢印
86 支持部
88 上面部
89 支持位置可変部
91 溝部
92 棒体
94 下部支持部
95 上面部
96 ケージ
97 突起部
98 外周面
99 内周面
101 当接面
102 保持部
103 棒体
104 センター
v1 鉛直線
vcl 中心線
W ワーク
W7 一端
W8 他端
Wt 砥石切込み方向
z1 支持深さ
z2 支持深さ