(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165997
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】アダティブラーニングシステム、その学習プログラム。
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20241121BHJP
G09B 5/12 20060101ALI20241121BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20241121BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B5/12
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023093547
(22)【出願日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】523208372
【氏名又は名称】小玉 英明
(72)【発明者】
【氏名】小玉 英明
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028BC05
2C028BD03
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】先生の業務負担を軽減し、かつ生徒の学習意欲を高め、まるで生徒一人ひとりに寄り添った専門の家庭教師がいるかのようなアダプティブラーニングシステム、その学習プログラムを提供する。
【解決手段】学習者からの問いに対して、適切な回答を自動返答する大規模言語モデルを備えた対話型AiシステムSにおいて、この対話型AiシステムSに搭載されたAi先生に対し、所定の指示内容が設定されたプロンプトPが連携されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者1人ひとりに最適化された学習内容を提供することで、より効率的・効果的な学びを実現するアダプティブラーニングシステムであって、
学習者からの問いに対して、適切な回答を自動返答する大規模言語モデルを備えた対話型AiシステムSにおいて、
この対話型AiシステムSに搭載されたAi先生に対し、所定の指示内容が設定されたプロンプトPが連携されている、アダプティブラーニングシステム。
【請求項2】
プロンプトPの指示内容には、Ai先生の「役割の設定」、「回答の設定」、「回答条件の設定」が明示されている請求項1に記載のアダティブラーニングシステム
【請求項3】
学習者からの問いに対して、自動返答するAi先生の回答は、人間であるリアル先生の監修を介して、学習者に返答される請求項1または請求項2の何れかに記載のアダティブラーニングシステム。
【請求項4】
学習者からの問いは、人間であるリアル先生に対して行われ、Ai先生の回答は、人間であるリアル先生の監修を介して、学習者に返答されるようにしている請求項1~請求項3の何れか1項に記載のアダティブラーニングシステム。
【請求項5】
「回答条件の設定」には、少なくとも学習者の呼び名が明示されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載のアダティブラーニングシステム。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載のアダティブラーニングシステムに用いられる学習プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相談者(生徒)1人ひとりに最適化された学習内容を提供することで、より効率的・効果的な学びを実現するアダプティブラーニング(「適応型学習」、「アクティブラーニング」とも呼ばれる。)システム、その学習プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
教育の理想形とも言える「アダプティブラーニング」は、教師の負担を軽減し、相談者(生徒)の個別能力や進捗に合わせた個別指導ができる可能性を秘めており、従来のE-ラーニングに比べてより効率的で、より効果的な学習を促進できるものと期待され、全国の学校等で運用が実施された。
【0003】
しかし、実際の運用後には、下記の参照文献に示される通り、一部の生徒には学習成果が見られたが、反面、学習意欲の低下や途中脱落者が見られたなど、様々な問題点が報告されており、また初期導入コストが高いなどの理由も伴って、アダティブラーニングに移行することを躊躇する学校施設が多いのが現状である。
【0004】
(参照文献)
▲1▼マスあくありうむ:『[高校数学]アクティブ・ラーニングの問題点(2017年2月)』
▲2▼文部科学省:『アクティブラーニング失敗事例 ハンドブック』
▲3▼大学ジャーナルオンライン『何故、アクティブラーニングがうまくいかないか』等々
【0005】
そのような試行錯誤の中、2022年11月頃、大規模言語モデルを備えた対話型Aiシステム(例えば、ChatGPT4など)が公表され、世界的な話題となった。
この最新のAi(ChatGPT4など)は、それ以前のAi言語モデルに比べ、言語理解能力や文章生成力などが大きく進歩したことによって、もはや人間のような言語で応答できるものとして、我が国においても注目され、産・官・学ともに研究開発が動き出し、医療、教育、ロボット産業等への利用開発も期待されている。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-7770号公報
【特許文献2】特表2023-513095号公報
【特許文献3】特開2023-63444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに最新のAiモデル(ChatGPT4など)の登場によって、Ai(人工知能)は、飛躍的な技術的進歩を成し遂げたと言える。
しかし、Ai(人工知能)がどれだけ技術的に進歩しようとも、どれだけ人間のような言語で応答できたとしても、生命体ではない無機質な機械(ロボット)である。
そのため、豊かな感情を持った生物である人間にはなり得ない。
これは、最新のAiモデルが人間よりも劣っているという意味ではなく、情報の処理能力や分析能力において、もはや人間よりも優れていると言える。
ただ、Ai(人工知能)と人間とは、そもそも違うものだという意味である。
ところが、AI技術の進歩によって、人間は、本来人間が行う役割までもAiに任せようとした為に、上記問題が生じたものと本件発明者は推察する。
つまり、いくら人間的な言語をAiモデルが真似しても、人間である生徒の感情を動かして自発的な学習意欲を高めるほどには、至らなかったのである。(上記参照文献、ご参照。)
本件発明者は、Aiと人間が共創して、生徒の学習意欲を高め、まるで生徒一人ひとりに寄り添った専門の家庭教師がいるようなアダプティブラーニングシステム、その学習プログラムを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
すなわち、本発明にかかるアダプティブラーニングシステムは、相談者(生徒)1人ひとりに最適化された学習内容を提供することで、より効率的・効果的な学びを実現するアダプティブラーニングシステムであって、
相談者(生徒)からの問いに対して、適切な回答を自動返答する大規模言語モデルを備えた対話型AiシステムSにおいて、
この対話型AiシステムSに搭載されたAi先生に対し、所定の指示内容が設定されたプロンプトPが連携されている。
【0010】
ここで、「所定の指示内容」とは、人間のような言語で応答するという広義の意味ではなく、特定の先生(例えば、担任の先生)のような言語で応答するという意味である。
【0011】
本件発明者は、最新のAi(ChatGPT4など)と本件発明の所定の指示内容が設定されたプロンプトPが連携されたAi先生との回答比較を行った結果、相談者(生徒)の学習意欲が高まるという客観的な意見が多く得られた。
したがって、当該構成に係るアダプティブラーニングによれば、既設のE-ラーニング等の学習システムに連携(内部的又は外部的連携を含む。)するだけで、その効果が得られるので、既設の学習システムを無駄にすることがなく、投資コストを抑えることができる。
【0012】
プロンプトPの指示内容には、Ai先生の「役割の設定」、「回答の設定」、「回答条件の設定」が明示されている。
「役割の設定」とは、Ai先生が○○先生のように主体的に回答するという意味ではない。
Ai先生は、○○先生の黒子役(アシスタント)であって、決して会話相手の相談者(生徒)にはAi先生の存在が解らない黒子役に徹するという役割設定、換言すれば、明確な業務範囲の設定を意味している。
「回答条件の設定」には、本発明のアダプティブラーニングに応じた具体的な回答条件が設定される。
例えば、リアルな○○先生の情報(氏名、性別、スキル等)の職歴(履歴)的情報が設定されている。
また、指定の教育指導要綱を逸脱した回答をしてはならない、パワハラ、セクハラ、モラハラ的な回答をしてはならない、という禁止的な情報も設定されている。
また、心理学、人間行動学、脳科学などに裏付けされた「共感」、「同調」、「賞賛」、「オウム返し」などの技術的手法を取り入れた設定も可能である。
一方、相談者(生徒)の情報(氏名、普段の呼び名、性別、スキル等)も設定されている。
「回答の設定」とは、Ai先生が回答を行うタイミングの設定を意味している。
例えば、相談者(生徒)からの入力後に回答する、などの「時」の設定である。
【0013】
したがって、当該構成に係るアダプティブラーニングによれば、相談者(生徒)は、自分だけの専門の家庭教師がいるように感じることができ、生徒の学習意欲を高めることができる。
また、リアル先生や新人教師に多い誤った回答(パワハラ、セクハラ、モラハラ等)を行うことも防止できる。
【0014】
本発明のアダプティブラーニングシステムでは、相談者(生徒)からの問いに対して、自動返答するAi先生の回答は、人間であるリアル先生の監修を介して、相談者(生徒)に返答される。
最新のAi(ChatGPT4など)であっても、まだまだ誤回答や記載ミスが散見される。
しかし、未熟な生徒が多い教育学習現場では、生徒は先生の回答、指導を信じて新たな知識を習得することが多い。
そのため、当該構成に係る発明では、人間であるリアル先生の監修を介して、相談者(生徒)に返答されるようにしている。
【0015】
ここで「監修」とは、Ai先生が自動回答したテキスト文を、目視によるチェック作業だけでなく、簡単な文字訂正作業も含む意味である。
また、「監修」を行うリアル先生は、必ずしも実際の担任の先生でなくてもよく、担任の先生と同等以上のスキル、経験を有する専門家であれば構わない。
この「監修」を行うと、相談者の問いに対して瞬時に自動応答できるAi先生に比べて、応答スピードは多少遅くなるかもしれない。
しかし、教育学習現場においては、上記の通り、応答スピードが多少遅れたとしても、生徒に対する誤った回答は避けるべきだと発明者は考えたからである。
もっとも応答スピードが遅くなるとは言っても、Ai先生に比したことであり、生徒の問いに対してリアル先生だけで最初から応答することに比べれば、応答スピードは相当早い時間(おそらく1/10以下の作業時間)で回答できる。
【0016】
これは、本発明のコンセプトに関わるので、図を使ってもう少し詳しく説明する。
図7は、初期モデルのAi先生の概略図である。
この初期モデルのAi先生は、相談者(生徒)Xからの質問に対して即答できる点で期待されたが、その応答がロボットのような(機械的、無機質)言語であった為、上記のアクティブラーニングでの(参照文献)からも解るとおり、人間味が全くなく、賛否両論であった。
【0017】
図8は、最新モデルのAi先生の概略図である。
この最新モデルのAi先生は、上述のとおり、人間のような言語で応答するほどに処理能力が高められた(例えばChatGPT等)。
比喩的に言えば、最新モデルのAi先生は、顔面(丸い部分)だけが、まるで人間のようなものと言える。
【0018】
図9、
図10は、最新モデルのAi先生(以下、単にAi先生と呼ぶ。)と、人間であるリアル先生とを比較した概略図である。
これらの概略図からも理解できるとおり、Ai先生とリアル先生では、それぞれの回答(回答Ai、回答A)が同じにはならない。その理由は、Ai先生は生き物ではなく、人間の喜怒哀楽のような感情(換言すれば「心」)を持ち得ないからである。
特に、日本語のように「思いやり」、「気遣い」、「感謝」、「おもてなし」のような感情表現が豊かな言語ともなれば、両者の違いはより顕著である。
本発明は、全てのAiを否定するものではなく、情報交換(文字、音声、画像含む。)される対象を、人間等の生き物に限定している。
つまり、言語対象が、産業機械のようなロボット間同士で行われるものは、本発明では除外される。
そのため、本発明にかかるアダプティブラーニングシステムは、対象者が人間のような「心」を持つ生き物(動物、植物も含む)に限定されるのである。
【0019】
図10に示すとおり、Ai先生とリアル先生とは、それぞれの回答において「心」の有無という点が異なる。
しかし、この「心」の有無は、夫々の個性として特徴がある。
【0020】
すなわち、「心」を持たないAi先生は、回答に対するストレスを生じることがない。
また、Ai先生は、2次元ないし3次元的なものであって感情に左右されないため、安定的な回答ができる。
なお、次元の説明は、心の専門家である発明者の捉え方であり、技術的文章としての本明細書では詳細を省略するが、簡単に言えば、平面的なものを2次元、立体的なものを3次元と捉えた場合には、「心」は4次元以上のものという意味である。
Ai先生の回答は、所定の指示内容(教科書、教育指導要綱など)が設定されているので、リアル先生のような教育者としてのスキル、経験値などに左右されることがなく、安定的な回答ができる。
言うまでもないが、Ai先生の回答は、人間の数十倍のスピードで文章生成まで自動的に処理できる。
以上がAi先生の主な長所と呼べるものである。
【0021】
逆に、Ai先生の短所と呼べるものとしては、本出願時においては、言語翻訳に時々誤りが生じる、計算問題の回答に誤りが生じやすい、直近の情報、例えば今、目の前に起きている事象に対しての具体的な回答はできない、などが散見された。
只、これらの短所は、Ai技術の進歩と共に今後改善されると期待している。
【0022】
一方、「心」が内在されたリアル先生の長所、短所と呼べるものは、Ai先生のほぼ真逆と言える。
つまり、「心」があるから、ストレスを感じ、感情に左右されやすく、安定的な回答がしずらいということが短所となりえる。
逆に、「心」があるから、「思いやり」、「気遣い」、「感謝」、「おもてなし」のような愛がある感情表現ができることが長所となる。
この点は、後述する。
【0023】
ところで、本発明のアダプティブラーニングシステムにおける相談者(生徒)Xは、4次元以上の「心」を持った人間である。
そのため、どれほど優れたAi先生であっても、相談者(生徒)Xと直接対話したところで、両者間の次元が異なるので、不具合が生じるのである。
この点、解りやすく例えて説明する。
【0024】
今、一枚の白紙にリンゴの絵が鉛筆で書かれているとする。
このリンゴの絵を見た人は、「平面に書かれたリンゴの絵」だと、認識するでしょう。
ところが、このリンゴの絵に陰影などを着色し、まるで立体のリンゴと見間違う程の絵に仕上げられたとする。
すると、このリンゴの絵を見た人は、2次元に書かれた絵とは思わずに「実在する本物のリンゴ」だと、錯覚して認識するでしょう。
俗に「トリック画」、「だまし絵」と呼ばれているものです。
つまり、2次元で書かれた絵は、どれだけ3次元的に似せて書いても、3次元にはなれないということです。
したがって、どれほど優れたAi先生であっても、4次元以上の「心」を持った人間である相談者(生徒)Xと直接対話したところで、両者の次元が異なるので、違和感、不信感等の信頼関係の崩壊という不具合が生じるのである。
繰り返すが、本発明では、同一次元間で情報交換が行われるロボットAiについては除外しており、学習対象が「心」を持った人間(生き物)に限定されるアダプティブラーニングシステムとしているのは、上述の理由によるものである。
【0025】
一方、リアル先生について考えてみる。
上記のとおり、リアル先生の長所、短所と呼べるものは、Ai先生のほぼ真逆と言える。
では、リアル先生が回答する意義は何か?と言えば、「心」がある回答である。
ここで、「心がある回答」とは、換言すれば「愛情のある回答」である。
相談者(生徒)Xの今の状況を知ったうえで、相談者(生徒)Xに対して、どのような回答をするのが良いのか?ということを考えた回答をすることである。
その回答は、時には相談者(生徒)Xに対して厳しい言葉かもしれないし、寄り添った優しい言葉かもしれない。しかしどのような言葉であっても、根底には相談者(生徒)Xに対する「愛情のある言葉」だということである。
【0026】
そのため、本発明の構成では、Ai先生の回答は、人間であるリアル先生の監修を介して、相談者(生徒)に返答されるようにしている。
本発明によれば、「Ai先生」と「リアル先生」との「共創」によって、相談者(生徒)に対する「心のある回答」が成される。
例えば、Ai先生の回答に加えて、リアル先生が「○○さん、よくできましたね」「すごく良いですね」「おしい、もう一度考えてみて」「この調子で次の問題も頑張ってね」
等々、生徒の学習能力段階に応じた一言を付け足すだけでも、生徒の学習意欲は高まるのである。
【0027】
ここで、「心」についてのリテラシーがない方からすれば、「プロンプトに予め設定してAi先生に学習させれば良いじゃないですか?」というご意見がありそうなので、あえて解説しておきます。
上述の「紙に書かれたリンゴの絵の話」を思い出して下さい。
紙に書かれたリアルな絵は、どれほど立体的(3次元的)に見えたとしても、実際は2次元(平面上に書いた絵)であるので、不具合が生じることは理解できたはずです。
ところが、この絵を見ている人間には、3次元的に誤解して認識されているため、実際には「美味しそう」「食べたい」等、心の感情が生じます。
これが「心」を備えた人間の特性です。
【0028】
つまり、Ai先生が誤った回答(単なる間違いだけではなく、生徒の学習レベルに沿わない回答や学習指導要綱に沿わない回答も含む。)であっても、生徒には「難しくてわからない」「無理だ」などのような心の感情が生じてしまうのです。
この生徒の感情は、学習意欲の低下や学習離脱の要因に直結するため、Ai先生の回答だけに頼るのは、危険すぎるのです。
特に、新たな知識を学習する初心者には、Ai先生の回答に疑問を持つことすらできず、鵜呑みにして信じる危険性が高くなります。
もちろん、この危険性はリアル先生であっても同様です。
だから、Ai先生とリアル先生とが、お互いの特性を生かしながら「共創」することで、リアル先生の作業時間を短縮し、同時に生徒に対する心ある回答を安定して行うことができるようになるのです。
【0029】
本発明の「回答条件の設定」には、少なくとも相談者(生徒)の呼び名が明示されている。
人間(生き物)は、自分を特定する名前、ニックネームなどの呼び名を呼ばれると、無意識に注目する。
一見、当たり前のようであるが、実はリアル先生であっても、丁寧に呼び名を呼ぶことを忘れることが多いはずである。
逆に、毎回の回答の度に、生徒の呼び名を呼ぶのも却って不自然である。
そのため、回答の適度なタイミングで呼び名を呼ぶことで、相談者に意識を向けさせ、学習意識を高めることができるうえ、自分だけに回答している家庭教師のような感覚を得ることができる。
また、心理学、人間行動学、脳科学などに裏付けされた「共感」、「同調」、「賞賛」、「オウム返し」などの技術的手法を取り入れた回答を適所に入れれば更に学習意欲を高めることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、以下の効果がある。
Aiと人間が共創して、生徒の学習意欲を高め、まるで生徒一人ひとりに寄り添った専門の家庭教師がいるようなアダプティブラーニングシステム、その学習プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明がE-ラーニング(自主学習システム)に適用された一例を示す概要図である。
【
図2】
図1で示したE-ラーニング(自主学習システム)の裏側で行われている動作状態の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明に用いる学習プログラムSの一例を示すチャートである。
【
図4】学習プログラムSに連携されたプロンプトPの一例を示す概略図である。
【
図5】
図2の相談者Xが複数の場合を示した一実施例を示す模式図である。
【
図6】
図1~
図5で示されたリアル先生役が、リアル先生本人である場合を示したアダプティブラーニングシステムSの一実施例を示す模式図である。
【
図9】最新モデルのAi先生と、人間のリアル先生とを比較した概略図である。
【
図10】最新モデルのAi先生と、人間のリアル先生とを比較した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る一実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明がE-ラーニング(自主学習システム)に適用された一例を示す概要図である。
100は、PC、タブレット等の画面であり、画面100の上段部分には、E-ラーニング(自主学習システム)の表示面110が表示されている。
この表示面110の指示に従い、同表示面110内に示された回答欄(省略)に選択、記載するなどして、生徒等は学習内容を段階的に進め、新たな知識等を習得するものである。
なお、表示面110は、学習内容(科目)に応じて、段階的に学習タスクが提供されるステップ方式や、どの学習タスクから進めても構わない無段階方式がある。
また、表示面110には、テキスト表示だけでなく、写真、音声、動画、イラストなどが複合された表示が用いられる。
120は、相談者(生徒)(生徒)が学習途中で生じた疑問等に対して質疑応答がなされるチャット画面である。
相談者(生徒)(生徒)からの質問は、基本的にはテキスト文章で入力されるが、音声入力、或いは予め設定されたプルダウンによる選択方式でも可能である。
本実施例では、一般的なテキスト文章で入力される場合を例示している。
チャット画面120横には、先生(例えば、担任の先生)の顔写真、動画等が表示されたスナップ画面130が表示されている。
140は、学習時間を計測するための時間表示部である。
時間表示部140には、回答までの時間を指定するタイマー機能だけでなく、学習累計時間を表示するストップウォッチ機能なども表示される。
【0033】
図2は、
図1で示したE-ラーニング(自主学習システム)の裏側で行われている動作状態の一例を示す模式図、
図3は、その学習プログラムS、
図4は学習プログラムSに連携されたプロンプトPの一例を示す概略図である。
なお、
図1と共通する部位には同一番号を付し、その説明は省略する。
相談者(生徒)Xは、表示面110を見ながら学習を進めていくが、途中で問題に対する疑問等が生じたときには、質問をチャット画面120からテキストで書き込んで送信する▲1▼。
受信された質問文は、黒子役Ai先生が自動回答するのであるが、このときの回答Ai▲2▼は、リアル先生(例えば、担任の先生)が使うような言語で応答するように所定の指示がプロンプトPに設定されている。
少しでも、リアル先生の文章訂正作業を減らすためである。
また、回答Ai▲2▼は、相談者(生徒)Xには直ぐには返答されずに、一度、スクリーニング部Kに表示され、リアル先生の監修を受ける。▲3▼
リアル先生が、問題なしと判断して最終チェックされた回答Ai▲3▼は、そのまま相談者Xのチャット画面120に回答Aとして返答する。▲4▼
一方、リアル先生が、問題ありと判断した回答Ai▲3▼’は、リアル先生が回答Ai▲3▼’を訂正したうえで、再び監修され、最終チェックされた回答Aだけが相談者Xのチャット画面120に返答される。▲4▼
本発明によれば、黒子役としての「役割の設定」がされたAi先生は、その存在を相談者(生徒)Xに知られることがない。
また、リアル先生の監修後に返答される回答Aは、リアル先生の愛情がこもった心のある回答Aであるので、相談者(生徒)Xの心に響く回答Aとなり、相談者(生徒)Xの学習意欲を高めることができる。
一方、監修前の回答Ai▲2▼は、Ai先生が「回答条件の設定」に基づいて瞬時にテキスト文章として仕上げられている。
しかも、Ai先生は、感情に左右されないので、均一的な回答ができる。
そのため、リアル先生は、回答Ai▲2▼されるまでにストレスを一切感じることがない。
リアル先生は、回答Ai▲2▼を監修するだけなので、最小限の作業だけで、相談者(生徒)Xに心のある回答Aを返答できる。
すなわち、心を持つリアル先生は、心を持つ相談者に対して、同じ心の次元を持つ者同士として、心のあるコミュニケーションを図ることができるのである。
この人間同士のコミュニケーションは、相互間に徐々に信頼が構築され、相談者は、信頼感のある家庭教師と同じような「私の先生」として、学習からの離脱が防止され、「勉強することは楽しい」という生徒の学習能力を引き出して、その学習意欲を高めることができるのである。
そのためにも、Ai先生は、黒子役としての「役割」を厳守し、その存在を相談者(生徒)Xに知られてはならないのである。
なお、今後のAi技術の進歩によって、Ai先生が出す回答Aiは、一層リアル先生の回答に近似することは予想されるが、それはリアル先生の訂正作業が減るだけであって、人間であるリアル先生の監修が不要になるわけではないことを付言しておく。
【0034】
図5は、
図2の相談者Xが複数の場合を示した一実施例を示す模式図である。
なお、
図2と共通する部位には同一番号を付し、その説明は省略し、
図5の特徴のみ説明する。
相談者(X1,X2,X3...)には、夫々が特定されるアカウントを通じて、質問がテキストで送信される▲1▼。
黒子役Ai先生には、制御部(不図示)が設けられ、各相談者(X1,X2,X3...)に対応する「所定の指示内容」が設定された夫々のAi先生(X1,X2,X3...)に連携されている。
そのため、生徒数が多いクラスの相談者(X1,X2,X3...)であっても、リアル先生の監修後に返答される回答Aは、リアル先生の愛情がこもった心のある回答Aであるので、生徒ひとり一人(X1,X2,X3...)の心に響く回答Aを行うことができ、各相談者(生徒)(X1,X2,X3...)の学習意欲を高めることができる。
【0035】
図6は、
図1~
図5で示されたリアル先生役が、リアル先生本人である場合を示したアダプティブラーニングシステムSの一実施例を示す模式図である。
なお、図中番号は
図1~
図5と共通するため、その説明は省略し、
図6の特徴のみ説明する。
図6の実施例は、リアル先生と直接チャットで会話する場合を示している。
例えば、Zoom等のオンラインミーティングなどを用いたアダプティブラーニングシステムにおいては、リアル先生本人が相談者(生徒)Xと面談の必要が生じる場合がある。
相談者Xから受信された質問文▲1▼は、黒子役Ai先生に自動回答され、その回答Ai▲2▼が、リアル先生のスクリーニング部Kに表示される。
そのため、リアル先生はスクリーニング部Kを見ながら監修をしたうえで、テキスト文章だけでなく、そのときの状況によっては口頭で言語(ことば)によって、心がある回答Aを相談者Xに返答できるのである。▲4▼
なお、
図1~
図6の実施例では、リアル先生がテキスト文章で応答する場合を例示したが、音声変換されたものや、テキスト文章を見ながらリアル先生が音声にて返答することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0036】
▲1▼…(相談者X)の送信
▲2▼…(Ai先生)の回答Ai
▲3▼…(監修前)の回答Ai
▲4▼…(監修後)の回答A
100…PC画面
110…表示面
120…チャット画面
130…スナップ画面
140…時間表示部
S…アダプティブラーニングシステム
K…スクリーニング部