(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001660
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231227BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231227BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231227BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231227BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20231227BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231227BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K5/02 L
H02J7/00 301B
H01M50/204 401H
H01M50/204 101
H01M50/291
H01M50/298
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100461
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】沼野 正禎
(72)【発明者】
【氏名】鵜殿 直嗣
【テーマコード(参考)】
4E360
5G503
5H040
5H770
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB33
4E360AB54
4E360BD03
4E360CA02
4E360EA12
4E360ED02
4E360ED07
4E360GA29
4E360GB91
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC14
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503GB06
5H040AA28
5H040AA32
5H040AS01
5H040AT06
5H040AY05
5H040NN01
5H770AA21
5H770AA28
5H770BA11
5H770CA06
5H770DA10
5H770PA02
5H770PA05
5H770PA07
5H770PA21
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA25
5H770QA27
5H770QA37
(57)【要約】
【課題】発熱部品の冷却と、防水及び防湿とを両立できる蓄電システムを提供する。
【解決手段】蓄電システムは、第1筐体に収容される電力変換器と、電力変換器により充放電が制御される蓄電池と、第1筐体及び蓄電池を収容する第2筐体と、第2筐体の内部を上下に仕切り、2つの空間を形成する仕切り板とを含み、仕切り板は、2つの空間をつなぐ第1開口を持ち、蓄電池は、仕切り板の下側に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体に収容される電力変換器と、
前記電力変換器により充放電が制御される蓄電池と、
前記第1筐体及び前記蓄電池を収容する第2筐体と、
前記第2筐体の内部を上下に仕切り、2つの空間を形成する仕切り板とを含み、
前記仕切り板は、前記2つの空間をつなぐ第1開口を持ち、
前記蓄電池は、前記仕切り板の下側に配置される、蓄電システム。
【請求項2】
前記仕切り板は、前記第1筐体を支持する平坦部を持ち、
前記第1開口は、前記平坦部よりも前記第1筐体の側に位置している、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記第1開口を画定する縁部は、前記平坦部に連続に接続されている、請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記第1開口は、前記平坦部から5mm以上離隔している、請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
シール部材をさらに含み、
前記第1筐体は、底面に第2開口を持ち、
前記第1開口を画定する第1縁部は、前記第1筐体が前記第2筐体に収容された状態において、前記シール部材を介して前記第2開口の第2縁部に接続される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記シール部材は、前記第1筐体が前記第2筐体に収容された状態において、前記第1筐体により加圧される、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記仕切り板は、左右の両端部の各々にガイド部を持ち、
前記シール部材は、前記第1縁部に固定され、
前記ガイド部は、前記第2筐体内部において前記第1筐体を、前記第1筐体の底面が前記シール部材から離隔されたまま移動可能に支持する、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記仕切り板は、左右の両端部の各々にガイド部を持ち、
前記シール部材は、前記第2縁部に固定され、
前記ガイド部は、前記第2筐体内部において前記第1筐体を、前記シール部材が前記第1縁部から離隔されたまま移動可能に支持する、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項9】
前記ガイド部は、前記第1筐体が、前記移動後に前記第2筐体内における所定位置に位置したときに、前記第1筐体を前記仕切り板に接近させる機構を含む、請求項7に記載の蓄電システム。
【請求項10】
前記第1開口は、前記電力変換器と前記蓄電池とが前記第1開口を通る配線により接続された状態において、前記2つの空間の間に空気の流路を形成する、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項11】
前記配線が接続される基板をさらに含み、
前記基板は、
前記第1筐体に収容され、
前記第2開口よりも大きく、
前記第2開口に対向して、前記第2開口から所定距離離隔して配置されている、請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項12】
前記仕切り板は、水をせき止める止水部と、水を前記第2筐体の外部に排出する水抜き部とを持ち、
前記止水部は、前記仕切り板の周縁部に配置され、
前記水抜き部は、前記仕切り板の周縁部のうち、前記止水部が配置されている部分以外の部分に配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項13】
前記第2筐体は、前面パネルを含み、
前記前面パネルの上端部に形成され、前記仕切り板からの水を前記前面パネルの前記上端部に沿って流す第1流路と、
前記前面パネルの左右の両端部の各々に形成され、前記第1流路を流れた後の水を前記前面パネルの前記左右の両端部の各々に沿って流して前記第2筐体の外部に排出する第2流路とをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項14】
前記第2筐体は、
前面パネルと、
遮蔽プレートとを含み、
前記遮蔽プレートは、前記前面パネル及び前記蓄電池の間に配置される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に接続され、一旦蓄電池に蓄えた電力を、停電時等に電力変換器を介して負荷に供給できる蓄電システムが知られている。太陽光発電システムにも接続され、負荷に供給される電力を超えた発電電力(例えば余剰電力)を蓄える蓄電システムも知られている。そのような蓄電システムに含まれる電力変換器においては、使用される半導体スイッチング素子及びリアクトル等による発熱を冷却する構造が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、発熱部品から電力変換回路の他の部品への熱的影響を低減できる電力変換装置と、その電力変換装置及び蓄電池モジュールを含む蓄電システムとが開示されている。発熱部品は、具体的にはスイッチング素子及びリアクトルであり、それらは、電力変換回路を構成する他の部品よりも発熱量が大きく、冷却することが好ましい。この蓄電システムは、前面部、上面部、底面部、左右の側面部、及び背面部を有する筐体の上部領域に、電力変換装置を収容し、下部領域に蓄電池モジュールを収容している。電力変換装置は、電力変換部と、電力変換部が有する発熱部品を冷却する冷却装置とを備えている。蓄電システムは、主ケースと、主ケースの前面側に配置される前面カバーと、主ケースの背面側に配置される背面ケースとを備えている。主ケースは、前面側が開口した箱状であり、電力変換部の電力変換回路を収容している。背面ケースも、前面側が開口した箱状であり、複数の発熱部品(リアクトル)を収容している。
【0004】
特許文献1に開示された冷却装置は、リアクトル用の冷却ユニットと、スイッチング素子の冷却ユニットとを個別に備えている。リアクトル用の冷却ユニットは、複数のリアクトルを収容する通気路部材と、その左右端部の一方に配置された吸気用のファンとを有する。このファンにより、背面ケースの側面に形成されたスリット状の通気口から吸気された空気が、通気路部材を流れることにより、リアクトルが冷却される。スイッチング素子の冷却ユニットは、放熱部品(即ちフィン部)、通気路部材及びファンを備えている。このファンにより、背面ケースの側面に形成されたスリット状の通気口から吸気された空気が、通気路部材を流れることにより、スイッチング素子が装着された放熱部品が冷却され、スイッチング素子が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された電力変換装置及び蓄電システムにおいては、冷却装置は背面ケースに収容されており、空気の流れは背面に限定されるので、冷却能力が十分でない問題がある。即ち、発熱部品の熱が蓄電池に伝達され、蓄電池モジュールが高温になり、損傷を受ける可能性がある。また、蓄電システムは屋外に設置されることが多く、例えば、蓄電システムが日射を直接受けると、太陽熱により蓄電システムの表面温度が上昇し、その熱は蓄電システムに侵入する。特許文献1に開示された蓄電システムにおいては、上部領域に配置される主ケースは、前面側が開口しており、筐体の前面部に直接対向して配置されている。また、下部領域に配置された蓄電池モジュールも、筐体の前面部に直接対向して配置されている。したがって、筐体の前面部が日射により高温になると、その熱は筐体内に伝わり、蓄電池モジュール及び電力変換回路の発熱部品(即ち、スイッチング素子及びリアクトル)が十分に冷却されない。
【0007】
また、屋外に設置され得る蓄電システムには、水及び湿気への対策、即ち防水及び防湿が重要である。そのために蓄電システム全体の防水性及び防湿性を高くすることが考えられるが、費用が高くなり、修理時の対応が難しくなる問題がある。
【0008】
したがって、本開示は、発熱部品の冷却と、防水及び防湿とを両立できる蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に係る蓄電システムは、第1筐体に収容される電力変換器と、電力変換器により充放電が制御される蓄電池と、第1筐体及び蓄電池を収容する第2筐体と、第2筐体の内部を上下に仕切り、2つの空間を形成する仕切り板とを含み、仕切り板は、2つの空間をつなぐ第1開口を持ち、蓄電池は、仕切り板の下側に配置される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、発熱部品の冷却と、防水及び防湿とを両立できる蓄電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る蓄電システムを前面から見た外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した蓄電システムを背面から見た外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した蓄電システムの右側面パネルを取外した状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した蓄電システムのフード及び背面パネルを取外した状態を示す背面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した蓄電システムの内部におけるファンによる空気の流れを示す水平断面図(即ち
図1のV-V断面)である。
【
図6】
図6は、
図1に示した蓄電システムの内部においてファンによる空気の流れを示す鉛直断面図(即ち
図1のVI-VI断面)である。
【
図7】
図7は、
図1に示した蓄電システムの設置後に着脱可能な部分を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、仕切り板を後方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した仕切り板のIX-IX断面を示す鉛直断面図である。
【
図10】
図10は、第1筐体を後方下から見た外観を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、仕切り板の開口部と第1筐体の開口部との接続状態を拡大して示す鉛直断面図である。
【
図12】
図12は、
図1に示した蓄電システムの背面における排水経路を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図1に示した蓄電システムの前面における排水経路を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、第1筐体を第2筐体に配置する作業を示す正面図である。
【
図15】
図15は、
図14に示した状態における第1筐体と仕切り板との位置関係を示す、
図1の蓄電システムの左側面から見た断面図である。
【
図16】
図16は、第1筐体の第2筐体への配置が完了した状態を示す、
図1の蓄電システムの左側面から見た断面図である。
【
図17】
図17は、第1筐体の第2筐体への配置が完了した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の第1の局面に係る蓄電システムは、第1筐体に収容される電力変換器と、電力変換器により充放電が制御される蓄電池と、第1筐体及び蓄電池を収容する第2筐体と、第2筐体の内部を上下に仕切り、2つの空間を形成する仕切り板とを含み、仕切り板は、2つの空間をつなぐ第1開口を持ち、蓄電池は、仕切り板の下側に配置される。これにより、電力変換器(例えばパワーコンディショナ)の発熱部品による発熱が蓄電池に伝達されることを回避できる。また、第2筐体の外部から第2筐体内部に浸入した雨水等が、仕切り板の下方の空間(例えば、切替器及びバッテリマネジメントシステムが配置され得る)に流入することを抑制できる。即ち、発熱部品の冷却と、防水及び防湿とを両立できる。電力変換器の防水には、例えば第1筐体を密閉型にしておけばよく、第2筐体全体の防水性を高くする必要はない。
【0014】
(2)上記(1)において、仕切り板は、第1筐体を支持する平坦部を持つことができ、第1開口は、平坦部よりも第1筐体の側に位置していることができる。これにより、第2筐体の外部から第2筐体内部に浸入し、仕切り板に滞留した雨水等が、第1開口から仕切り板の下方の空間に流入することを抑制でき、高い防水性を実現できる。
【0015】
(3)上記(2)において、第1開口を画定する縁部は、平坦部に連続に接続されていてもよい。これにより、第2筐体の外部から第2筐体内部に浸入し、仕切り板に滞留した雨水等が、第1開口から仕切り板の下方の空間に流入することをより一層抑制できる。
【0016】
(4)上記(3)において、第1開口は、平坦部から5mm以上離隔していてもよい。これにより、蓄電システムが鉛直から傾いて設置された場合にも、第2筐体の外部から第2筐体内部に浸入し、仕切り板に滞留した雨水等が、第1開口から仕切り板の下方の空間に流入することをより確実に抑制できる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、蓄電システムは、シール部材をさらに含み、第1筐体は、底面に第2開口を持っていてもよく、第1開口を画定する第1縁部は、第1筐体が第2筐体に収容された状態において、シール部材を介して第2開口の第2縁部に接続されてもよい。これにより、第1開口と第2開口との接続部の密閉性を向上し、仕切り板の下方の空間の防水性及び防湿性を向上できる。
【0018】
(6)上記(5)において、シール部材は、第1筐体が第2筐体に収容された状態において、第1筐体により加圧されてもよい。これにより、第1開口と第2開口との接続部の密閉性をより向上でき、仕切り板の下方の空間の防水性及び防湿性をより向上できる。
【0019】
(7)上記(5)又は(6)において、仕切り板は、左右の両端部の各々にガイド部を持っていてもよく、シール部材は、第1縁部に固定されていてもよく、ガイド部は、第2筐体内部において第1筐体を、第1筐体の底面がシール部材から離隔されたまま移動可能に支持してもよい。これにより、第1筐体を第2筐体内部に配置するときに、位置合わせが容易であり、シール部材の損傷を回避できる。
【0020】
(8)上記(5)又は(6)において、仕切り板は、左右の両端部の各々にガイド部を持っていてもよく、シール部材は、第2縁部に固定されていてもよく、ガイド部は、第2筐体内部において第1筐体を、シール部材が第1縁部から離隔されたまま移動可能に支持してもよい。これにより、第1筐体を第2筐体内部に配置するときに、位置合わせが容易であり、シール部材の損傷を回避できる。
【0021】
(9)上記(7)又は(8)において、ガイド部は、第1筐体が、移動後に第2筐体内における所定位置に位置したときに、第1筐体を仕切り板に接近させる機構を含んでいてもよい。これにより、第1筐体を第2筐体内部に配置するときに、第1筐体を移動させる際には第1筐体をシール部材と非接触にでき、さらに位置合わせが不要になり作業が容易になる。
【0022】
(10)上記(5)から(9)のいずれか1つにおいて、第1開口は、電力変換器と蓄電池とが第1開口を通る配線により接続された状態において、2つの空間の間に空気の流路を形成してもよい。これにより、仕切り板の下方の空間に発生した熱を第1筐体内に伝達でき、第1筐体の表面から放熱できる。例えば、仕切り板の下方の空間に切替器及びバッテリマネジメントシステム等が配置される場合、それらによる発熱を、第1筐体の表面から放熱できる。
【0023】
(11)上記(10)において、蓄電システムは、配線が接続される基板をさらに含んでいてもよく、基板は、第1筐体に収容され、第2開口よりも大きく、第2開口に対向して、第2開口から所定距離離隔して配置されていてもよい。これにより、基板部分(例えば、基板に配置されたコネクタ)において配線を接続でき、第1筐体を第2筐体に対して着脱する作業が容易になる。また、仕切り板の下方の空間に発生した熱を第1筐体内部に伝達し、冷却する機能を維持できる。
【0024】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つにおいて、仕切り板は、水をせき止める止水部と、水を第2筐体の外部に排出する水抜き部とを持っていてもよく、止水部は、仕切り板の周縁部に配置されていてもよく、水抜き部は、仕切り板の周縁部のうち、止水部が配置されている部分以外の部分に配置されていてもよい。これにより、仕切り板から水を排出でき、仕切り板に水が滞留することを抑制できる。したがって、第2筐体内部において、仕切り板の上側の空間に水が浸入、又は、結露により水滴が発生しても、速やかに排水することにより、水及び湿気の影響を抑制できる。
【0025】
(13)上記(1)から(12)のいずれか1つにおいて、第2筐体は、前面パネルを含んでいてもよく、蓄電システムは、前面パネルの上端部に形成され、仕切り板からの水を前面パネルの上端部に沿って流す第1流路と、前面パネルの左右の両端部の各々に形成され、第1流路を流れた後の水を前面パネルの左右の両端部の各々に沿って流して第2筐体の外部に排出する第2流路とをさらに含んでいてもよい。これにより、蓄電システムの前面から、仕切り板からの水を効率よく排出できる。例えば、蓄電システムが、前方に傾いて設置されても、仕切り板に水が滞留することを抑制できる。
【0026】
(14)上記(1)から(12)のいずれか1つにおいて、第2筐体は、前面パネルと、遮蔽プレートとを含んでいてもよく、遮蔽プレートは、前面パネル及び蓄電池の間に配置されていてもよい。これにより、蓄電システムの前面パネルが日射を受けた場合、遮蔽プレートと前面パネルとの間の空気層が遮熱効果を有する。また、日射により熱せられた空気は、自然対流により第1開口を通って第1筐体内に入り、第1筐体の壁面を介して放熱される。したがって、蓄電システムの前面パネルが日射を受けても、蓄電池が高温になることを抑制できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0028】
(全体構成)
図1を参照して本開示の実施形態に係る蓄電システム100は、第1筐体102と、仕切り板106と、蓄電池モジュール200と、それらを収容する第2筐体104とを含む。
図1において、第2筐体104の内部における各部の相対的位置関係を示すために、各部の大まかな形状を破線で示し、詳細は示していない。各部の詳細に関しては、適宜後述され、他の図面により示される。
図2以降に関しても同様である。
【0029】
第2筐体104は、前面下部パネル110、前面上部パネル112、背面パネル114、左側面パネル116、右側面パネル118及び底面パネル120を含み、略直方体に形成されている。さらに、第2筐体104は、その背面上部にフード122を含む。
図1の左下には直交軸を示している(
図2以降に関しても同様)。X軸、Y軸及びZ軸は、それぞれ前面下部パネル110、左側面パネル116及び底面パネル120に垂直な軸を表している。X軸の正方向は、蓄電システム100の背面から前面に向かう方向であり、Y軸の正方向は、蓄電システム100の左側面から右側面に向かう方向であり、Z軸の正方向は、蓄電システム100の底面から鉛直上方に向かう方向である。
【0030】
仕切り板106は、第2筐体104内部を2つの領域に区分する。仕切り板106の上方の領域に第1筐体102が配置され、仕切り板106の下方の領域に、1又は複数の蓄電池モジュール200が配置されている。蓄電池モジュール200は、充電及び放電(以下、充放電という)可能な二次電池を含む。第1筐体102は、蓄電池モジュール200の充放電を制御する電力変換器(例えば、パワーコンディショナ)を収容している。
【0031】
後述するように、仕切り板106には、第1筐体102に収容されている電力変換器と、蓄電池モジュール200とを電気配線により接続できるように開口(
図1において図示せず)が形成されている。第1筐体102の底面においても、仕切り板106の開口に対応する位置に開口(
図1において図示せず)が形成されている。
【0032】
蓄電システム100は屋外に設置され得るので、雨水、塵埃等の侵入を防止するために、第1筐体102は、内部の空気と外部の空気とを交換するための吸気口及び排気口のいずれをも有しない密閉型に形成されている。これにより、外部からの水、塵埃等の侵入を抑制でき、第1筐体102内部の基板及び電気部品の劣化及び損傷を防止できる。密閉型にするには、隙間を埋めるためのシール部材(例えば、パッキン等)を使用できる。
【0033】
なお、「密閉型」とは、完全な密閉構造を含むが、それに限定されず、隙間又は貫通孔等により、筐体の内部及び外部の間において、ある程度の空気の移動があり得る構造をも含む。上記したように、第1筐体102の底面には開口が形成されているが、後述するように、その開口を覆うように基板が配置されている。その基板には、第1筐体102に含まれる電力変換器と蓄電池モジュール200とを接続するための配線が接続されるコネクタが搭載されている。
【0034】
蓄電システム100は、底面パネル120の下側に配置された2つの脚部124を含む。蓄電システム100は通常、脚部124が水平面(略水平面を含む。例えばXY平面に平行な面)に固定される。これにより、前面下部パネル110、背面パネル114、左側面パネル116及び右側面パネル118は鉛直(略鉛直を含む。例えばZ軸方向)に配置され、仕切り板106は水平(略水平を含む。例えばXY平面)に配置される。前面下部パネル110、前面上部パネル112、背面パネル114、仕切り板106、左側面パネル116、右側面パネル118及び底面パネル120は、例えば金属(鉄(鋼)、ステンレス鋼等)等の所定の強度を有する導電性部材により形成され、表面が絶縁部材によりコーティングされている。
【0035】
図2を参照して、蓄電システム100は、背面パネル114に配置された送風器130と、背面パネル114に形成された開口132とを含む。送風器130は、例えばファンであり、回転翼と、回転翼を回転させる駆動装置(例えばモータ)とを含み、回転翼を回転軸の回りに回転させることにより、回転軸方向に送風する。背面パネル114には、送風器130に対応する位置にも開口(図示せず)が形成されており、その開口を、送風器130により生成される空気の流れが通過する。送風器130は、第2筐体104内部の空気を第2筐体104外部に排気する。開口132は、吸気口として機能する。即ち、送風器130により第2筐体104内部の空気が排気されることにより、第2筐体104外部の空気が開口132から第2筐体104内部に流入する。
図2においては、3つの送風器130を示しているが、これに限定されない。少なくとも1つの送風器130が背面パネル114に配置されていればよい。
【0036】
フード122は、開口部を有する非密閉型であり、送風器130及び開口132を覆うように背面パネル114に配置されている。例えば、フード122は、その下方に開口を有する。フード122により、送風器130及び開口132に人等が直接触れることを防止でき、送風器130及び開口132から第2筐体104内部への雨水、塵埃等の侵入を軽減できる。なお、後述するように、開口132の下端部と送風器130に対応する位置に形成された開口の下端部とには、水抜き部が配置されているが、
図2には図示していない(
図10参照)。開口132には、第2筐体104内部に塵埃等の侵入を防止するためのエアフィルタが配置されてもよい。
【0037】
(冷却機能)
右側面パネル118が取外された蓄電システム100の側面を示す
図3と、背面パネル114が取外された蓄電システム100の背面を示す
図4とを参照して、第1筐体102の背面には、第1発熱部品210及び第2発熱部品212と、放熱部品214とが配置されている。第1発熱部品210及び第2発熱部品212は、例えばリアクトルであり、第1筐体102に収容されている基板に接続され、蓄電池モジュール200の充放電動作を実現するための電力変換に使用される。
【0038】
放熱部品214は、例えばヒートシンクである。放熱部品214は、例えば、アルミ、鉄、銅等の熱伝導性の高い部材により形成される。放熱部品214には、第1筐体102に収容されている電力変換用のスイッチング素子(具体的には半導体スイッチング素子のケース)が固定されている。電力変換時には、スイッチング素子に大電流(例えば数十A)が流れ、スイッチング素子は発熱する。スイッチング素子の熱は放熱部品214に伝達され、放熱部品214によりその周囲に放熱(即ち、周囲の空気への熱伝導及び赤外線輻射等)され、放熱部品214近傍の空気の温度は上昇する。即ち、放熱部品214により、第1筐体102に収容されたスイッチング素子は冷却される。
【0039】
第1筐体102上における放熱部品214の大きさ及び位置は、
図3及び
図4に示したものに限定されず、任意である。電力変換機能を実現するために、第1筐体102内部に配置されたスイッチング素子及びリアクトル(即ち発熱部品)の配置に対応して、放熱部品214の大きさ及び第1筐体102上における位置が決定されていればよい。
【0040】
第1筐体102は、スペーサ134及び136(
図4参照)を介して仕切り板106の上に固定されている。即ち、第1筐体102の底面は仕切り板106から離隔しており、第1筐体102の底面と仕切り板106との間に空間が形成されている。また、第1筐体102の底面を除く5つの面はそれぞれ、第2筐体104の対応する内壁から離隔しており、第1筐体102と第2筐体104の内壁との間にも空間が形成されている。
【0041】
蓄電システム100に背面パネル114が装着された状態においては、背面パネル114に配置された送風器130により、
図5を参照して、実線の矢印により示すように、第1筐体102の背面と背面パネル114との間の空間に空気の流れが形成される。これにより、第1発熱部品210、第2発熱部品212及び放熱部品214の周囲に存在する温度上昇した空気は、第2筐体104の外部に排出され、開口132から比較的低温の空気が流入する。このような空気の流れにより、第1発熱部品210、第2発熱部品212及び放熱部品214は冷却され、放熱部品214の放熱効率が向上する。
【0042】
また、送風器130による送風により、第1筐体102の底面と仕切り板106との間の空間、並びに、第1筐体102の前面、天面、左側面及び右側面と第2筐体104の内壁との間の空間を介しても空気の流れが形成される。例えば、
図5を参照して、破線の矢印により示すように、開口132から吸入された空気は、第1筐体102の右側面、前面及び左側面に沿って流れて、送風器130から排気される。また、
図6を参照して、破線の矢印により示すように、開口132(
図5参照)から吸入された空気は、第1筐体102の底面、前面及び天面に沿っても流れ、送風器130から排気される。このように、仕切り板106が存在することにより、第1筐体102の全周(即ち、全ての外面)に沿って冷却流路が形成され、第1発熱部品210及び第2発熱部品212の冷却、並びに、第1筐体102の外面及び放熱部品214からの放熱を促進できる。また、仕切り板106が存在することにより、仕切り板106の下側の蓄電池モジュール200等が配置された空間への熱の伝達を抑制できる。
【0043】
なお、第1筐体102の内部にもファンを配置すれば、第1筐体102内部の空気を撹拌でき、第1筐体102内部の発熱部品からの熱を第1筐体102の壁面に速やかに伝達できる。したがって、上記したように第1筐体102の外面からの放熱が促進されることにより、第1筐体102内部をより一層効率的に冷却でき、第1筐体102内部の発熱部品が高温になることを抑制できる。
【0044】
再び、
図3及び
図4を参照して、蓄電システム100の下部(仕切り板106の下方領域)の空間は、隔壁128により左右2つの空間に区切られている。隔壁128の左側の空間には、蓄電池モジュール200が配置されている。蓄電池モジュール200と前面下部パネル110との間には、遮蔽プレート126が配置されている。遮蔽プレート126を備えることにより、蓄電システム100が日射を受けて前面下部パネル110の温度が上昇しても、その熱は遮蔽プレート126により遮断され、直接蓄電池モジュール200に伝達されない。したがって、遮蔽プレート126を備えていない場合よりも、蓄電池モジュール200の温度上昇を抑制できる。
【0045】
隔壁128の右側の空間108には、切替器202、バッテリマネジメントシステム204及び電気配線等が配置されている。切替器202には、蓄電池モジュール200からの配線と、例えば背面パネル114に設けられた電気配線を通すための開口を介して、外部電源(例えば太陽光発電システム)及び外部負荷(例えば電気機器)との接続のための電気配線とが接続される。切替器202は、蓄電池モジュール200の充放電動作に応じて、蓄電池モジュール200と外部電源及び外部負荷との接続を切替える。バッテリマネジメントシステム204は、蓄電池モジュール200の過充電及び過放電を防止する機能、蓄電池モジュール200の電池残量を算出する機能、及び、蓄電池モジュール200を構成するセル電圧をバランスさせる機能等を有する。
【0046】
これにより、蓄電システム100は、外部電源から電気配線を介して供給される電力(即ち直流電力)を蓄電池モジュール200に蓄電する。蓄電システム100は、蓄電池モジュール200の放電時には、第1筐体102に収容された電力変換器により変換された電力(即ち交流電力)を、電気配線を介して外部負荷に供給する。なお、蓄電システム100に外部電源から交流電力が供給される場合、電力変換器により、入力される交流電力を直流電力に変換して蓄電池モジュール200に蓄電する。切替器202及びバッテリマネジメントシステム204は、上記した電力変換器のスイッチング素子及びリアクトルと共に、蓄電システム100の稼働時における主たる発熱源となる。切替器202及びバッテリマネジメントシステム204の冷却に関しては、後述する。
【0047】
(ユニット構成)
蓄電システム100は、現場(例えば家庭等)に設定された後、修理又はメンテナンスが必要になる。修理又はメンテナンス作業を容易にするために、蓄電システム100は、各構成ユニットを着脱容易に構成されている。
図7を参照して、蓄電システム100の設置後に各ユニットを取出す機構に関して説明する。
【0048】
蓄電システム100から電力変換器を取出すには、前面上部パネル112を取外した後、電力変換器を収容している第1筐体102を取出す。前面上部パネル112は、例えばネジにより左側面パネル116及び右側面パネル118に固定されており、そのネジを外せば前面上部パネル112を取外せる。第1筐体102は第1固定部440を有し、左側面パネル116及び右側面パネル118の各々は第2固定部442を有している。第1筐体102は、第1固定部440及び第2固定部442により、左側面パネル116及び右側面パネル118にネジにより固定されており、そのネジを外し、接続されている配線を外せば、第1筐体102を取出せる。
【0049】
蓄電システム100から蓄電池モジュール200、切替器202及びバッテリマネジメントシステム204のいずれかを取出すには、前面下部パネル110を取外す。前面下部パネル110は、例えばネジにより左側面パネル116及び右側面パネル118に固定されており、そのネジを外せば取外せる。なお、右側面パネル118の前面部(即ち前面下部パネル110の側)には、右側面パネル118に直交させてシール部材固定部150が形成されている。左側面パネル116にも同様に、シール部材固定部150が形成されている。シール部材固定部150は、後述するように、前面下部パネル110との間にシール部材を配置するために利用される。シール部材固定部150は、例えば折り曲げにより、左側面パネル116及び右側面パネル118の各々と一体に形成され得る。
【0050】
切替器202及びバッテリマネジメントシステム204は、空間108にネジにより固定されており、そのネジを外し、接続されている配線を外せば、取出せる。また、遮蔽プレート126を取外した後、蓄電池モジュール200を取出せる。遮蔽プレート126は、例えばネジにより仕切り板106及び隔壁128に固定されており、そのネジを外せば、取外せる。蓄電池モジュール200は、ネジにより底面パネル120等に固定されており、そのネジを外し、接続されている配線を外せば、取出せる。
【0051】
このように構成することにより、第1筐体102、蓄電池モジュール200、切替器202及びバッテリマネジメントシステム204の各々を個別に、修理等の必要性に応じて、蓄電システム100から容易に取出せる。したがって、蓄電システム100の設置現場において、不具合のあるユニットを新たなユニットに容易に交換可能である。また、取出したユニットを修理工場で修理する場合には、そのユニットだけを搬送すればよいので、蓄電システム100全体を搬送する場合よりも効率的且つ安価である。
【0052】
(防水及び防湿機能)
上記したように、蓄電システム100は、各ユニットが着脱容易に構成されているために、第2筐体104の接合部分等から雨水が侵入し易い。また、蓄電システム100の内部において結露水が発生することもある。そのために、蓄電システム100は、第2筐体104全体に高い防水性を持たせるのではなく、第2筐体104内部に水が浸入し得ることを前提として、第2筐体104内部の水を速やかに排出することにより、水及び湿気の影響を抑制する(即ち防水及び防湿機能)。即ち、蓄電システム100は、防水及び防湿機能を上記した冷却機能と両立可能に形成されている。
【0053】
図8及び
図9を参照して、上記したように冷却機能を実現するための仕切り板106は、防水及び防湿機能を実現するために、平坦なベース部300と、その周縁部に形成された止水部312及び水抜き部314とを含む。仕切り板106は、例えば金属(鉄(鋼)、ステンレス鋼等)等の所定の強度を有する部材により形成される。止水部312は、仕切り板106に滞留する水をせき止めるためのものであり、ベース部300の表面に直交するように形成されている。水抜き部314は、仕切り板106に滞留する水を排出するためのものであり、ベース部300の表面と同一平面を成すように形成されている。後述するように、仕切り板106が蓄電システム100に配置されると、水抜き部314は蓄電システム100の背面に位置し、具体的には背面パネル114に形成された2つの開口の下端部に配置される(
図12参照)。
【0054】
ベース部300には、第1開口302が形成されている。第1開口302を画定する周縁部である開口端部304は、ベース部300と平行に形成されている。開口端部304は、テーパ部306によりベース部300にシームレスに(即ち連続的に)接続されている。ベース部300における開口端部304の高さHは、約5mm以上に形成されることが好ましく、約10mm以上に形成されることがより好ましい。H=10(mm)であれば、蓄電システム100が鉛直から(即ち、仕切り板106のベース部300が水平から)約2°傾斜して配置されたとしても、後述するように、第2筐体104内に入った雨水等が第1開口302から仕切り板106の下方の空間に浸入することを回避できる。
【0055】
図9を参照して、仕切り板106の開口端部304の上には、開口端部304の全周に沿って、弾性を有する所定厚さtの第1シール部材320が配置(例えば、接着部材により固定)されている。第1シール部材320は、後述するように、第1筐体102の底面に形成された開口と第1開口302(具体的には開口端部304)とを密接させるためのものである。防水性及び防湿性を確保するためには、第1シール部材320は、貫通した穴を持たない独立気泡構造を有する弾性部材であることが好ましい。
【0056】
開口端部304及びテーパ部306は、1枚の金属の平板からプレス加工(例えば絞り加工)により一体形成され得る。ベース部300の周縁の止水部312は、折曲げ加工により形成され得る。折曲げ加工により形成される場合、防水効果を高めるには、仕切り板106の各角部に形成される隙間はシール部材により塞がれる。
【0057】
仕切り板106は、その長手方向の両端部の各々に、支持部308及び傾斜部310を含む。支持部308及び傾斜部310は、後述するように、第1筐体102を第2筐体104内に配置するとき及び第2筐体104内から取出すときに、第1筐体102を支持し、作業を容易にするためのものである。仕切り板106の前面の止水部312には、2つの切り欠き316が形成されている。切り欠き316も、第1筐体102を第2筐体104内に配置するとき及び第2筐体104内から取出すときの作業を容易にするためのものである。
【0058】
図10を参照して、第1筐体102は、前面410、天面412、背面414、左側面416、右側面418及び底面420を含み、略直方体に形成されている。底面420には、スペーサ134及び136が配置され、第2開口422が形成されている。第2開口422の周縁部は、底面420から第1筐体102の内部に少し入る筒状に形成されている。左側面416及び右側面418の各々には、車輪400が形成されている。車輪400は、後述するように、第1筐体102を第2筐体104に配置するとき及び第2筐体104内から取出すときの作業を容易にするためのものである。また、左側面416及び右側面418の上方には、各々2つの第1固定部440が形成されている。各第1固定部440には、貫通孔が形成されている。第1固定部440は、後述するように、第1筐体102を第2筐体104内部に固定するためのものである。
【0059】
図11を参照して、第1筐体102及び仕切り板106が第2筐体104に収容された状態において、第2開口422の周縁部は仕切り板106の第1開口302の周縁部と、第1シール部材320を介し密接される。第1筐体102内において、第2開口422の近傍には、第2開口422を覆うように、第2開口422よりも大きい基板220が配置されている。基板220は、スペーサ224により第1筐体102の底面420に固定されている。即ち、基板220と底面420との間には隙間が形成されている。これにより、空間108における発熱(具体的には、切替器202及びバッテリマネジメントシステム204による発熱)により温度上昇した空気は自然対流により、破線の矢印により示すように、空間108から第1筐体102内部に移動する。第1筐体102内部に移動した空気は、第1筐体102内部のファン等により、攪拌され第1筐体102の壁面に熱が伝達され、第1筐体102の外面により放熱される。したがって、空間108を冷却でき、空間108に配置された切替器202及びバッテリマネジメントシステム204を効率的に冷却できる。
【0060】
基板220には、第1筐体102に収容されている電力変換器からの配線(図示せず)が接続されたコネクタ222が配置されている。基板220には、第1開口302側に端子を有するコネクタ222が配置されている。空間108に配置された切替器202及びバッテリマネジメントシステム204、並びに蓄電池モジュール200からの配線は、コネクタ222の端子に接続される。第1開口302の大きさ(即ち第2開口422の大きさ)は、コネクタ222に配線が接続された状態においても余裕がある大きさであることが好ましい。それにより、上記した空間108から第1筐体102内部への空気の流れを形成でき、空間108の冷却機能を維持できる。なお、前面下部パネル110と仕切り板106との間に配置されている第2シール部材322は、後述するように、第2筐体104の前面からの排水を可能にするためのものである。
【0061】
上記したように、第1シール部材320に独立気泡構造を有する弾性部材が採用され、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部が、第1シール部材320を介して密接されることにより、第2筐体104の内部に浸入して仕切り板106に溜まった水が空間108に浸入することを、確実に防止できる。第2筐体104内部において発生した結露水に関しても同様である。したがって、空間108の防水性を向上できる。また、第1シール部材320に独立気泡構造を有する弾性部材を採用することにより、第1筐体102内部への湿気、即ち空気中の水分の流入をも防止できる。
【0062】
第1開口302の周縁部に配置された第1シール部材320は、後述するように、第1筐体102の底面420を介して第1筐体102の重量により加圧され、圧縮変形する。防水性及び防湿性を高めるためには、第1開口302の周縁部に第1筐体102の重量が全てかかる場合でも、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の変形量が、第1シール部材320の圧縮代(即ち最大の弾性変形量)を超えないように、それらの剛性を高めることが好ましい。第1開口302の周縁部の剛性を高めるには、第1開口302の周縁部に剛性部材、又は、剛性を有する構造物を配置して変形を防止すればよい。
【0063】
第1シール部材320の加圧方法は、上記した第1筐体102の重量による加圧に限定されない。第1シール部材320の近傍において、例えばネジによる締結等の方法により加圧してもよい。また、第1筐体102の剛性を利用して第1筐体102を固定する締結構造によって加圧する等の方法を採用してもよい。上記したように、加圧により第1開口302及び第2開口422が歪んで隙間が生じることないように、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の剛性を高めることが好ましい。具体的には、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部が鋳物により構成されている場合、鋳物の肉厚を増すことにより、高い剛性を実現できる。また、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部が金属の板金部品により構成されている場合、それら周縁部に絞り又は曲げ構造を追加することにより、高い剛性を実現できる。
【0064】
仕切り板106に溜まった水は、蓄電システム100の背面から排出される。
図12を参照して、仕切り板106が第2筐体104に配置されると、仕切り板106の2つの水抜き部314のうち、一方は開口132の下端部に配置される。他方の水抜き部314は、送風器130に対応する位置に形成されている開口(図示せず)の下端部に配置される。上記したように、背面パネル114には、送風器130の送風を通過させるための開口が形成されている。
図12において、便宜上フード122を破線で示す。
【0065】
2つの水抜き部314のいずれも背面パネル114から少し突出している。したがって、第2筐体104内に浸入した水及び第2筐体104内部で結露した水は、例えば
図12において破線の矢印により示すように、第2筐体104の壁面に沿って流れ仕切り板106のベース部300に到達した後、止水部312に沿って流れ、水抜き部314から排出される。例えば、蓄電システム100が後方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、水抜き部314から速やかに排出される。例えば、蓄電システム100が右後方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、右側面パネル118の側、即ち開口132の下端部に位置する水抜き部314から速やかに排出される。例えば、蓄電システム100が左後方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、左側面パネル116の側、即ち、送風器130の下端部に位置する水抜き部314から速やかに排出される。
【0066】
蓄電システム100は、仕切り板106に溜まった水を前面からも排出可能に構成されている。
図13を参照して、仕切り板106の前面において、止水部312の切り欠き316の下方の部分には第2シール部材322が配置(例えば接着部材により固定)されている。左側面パネル116及び右側面パネル118に形成されたシール部材固定部150には、第3シール部材324が配置(例えば接着部材により固定)されている。
図13においては、前面下部パネル110及び前面上部パネル112を図示せず、排水と関係しないユニットも図示していない。
【0067】
第2シール部材322の長手方向の各々端部は、各第3シール部材324の長手方向の一方の端部と、L字型を形成するように配置されている。したがって、第2筐体104に前面下部パネル110が装着されると、第2シール部材322、仕切り板106及び前面下部パネル110によりU字型の溝(即ち水の流路)が形成される。同様に、第3シール部材324、シール部材固定部150及び前面下部パネル110によりU字型の溝が形成される。したがって、例えば、蓄電システム100が前方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、
図13において破線の矢印により示すように、第2シール部材322の上を流れた後、左右の第3シール部材324に沿って流れ、蓄電システム100の外部に速やかに排出される。例えば、蓄電システム100が右前方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、第2シール部材322の上を右側(即ち右側面パネル118の方向)に向かって流れた後、右側の第3シール部材324に沿って流れ、蓄電システム100の外部に速やかに排出される。例えば、蓄電システム100が左前方に傾いて設置された場合、仕切り板106に滞留した水は、第2シール部材322の上を左側(即ち左側面パネル116の方向)に向かって流れた後、左側の第3シール部材324に沿って流れ、蓄電システム100の外部に速やかに排出される。
【0068】
上記したように、蓄電システム100がどの方向に傾いて設置されても、第2筐体104内部の水を速やかに排出でき、仕切り板106に水が滞留することを防止でき、第2筐体104内部の防水性及び防湿性を向上できる。
【0069】
なお、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部が第1シール部材320を介して密接できればよく、第1開口302及び第2開口422の各々の形状は任意である。位置合わせの容易性を考慮すると、第2開口422の形状は、第1開口302(即ち開口端部304の内側の形状)と同じであることが好ましい。第1開口302及び第2開口422の大きさは、第1筐体102に収容された電力変換器と、蓄電池モジュール200等と接続する配線を通した後にも、余裕があることが好ましい。これにより、仕切り板106により仕切られた2つの空間の間に空気の流路が形成され、上記したように、空間108において発生した熱を、第1筐体102内部に導入し、第1筐体102の外面から効率よく放熱できる。したがって、空間108に配置される切替器202及びバッテリマネジメントシステム204を冷却できる。
【0070】
(作業性)
仕切り板106は、上記した防水性及び防湿性(即ち排水性)を向上するための構成に加えて、第1筐体102を第2筐体104内部に設置する場合の作業性を向上するための機構をも有している。
図14~
図17を参照して、第1筐体102を第2筐体104内部に設置する場合の作業に関して説明する。
【0071】
図14及び
図15を参照して、第1筐体102が第2筐体104に配置される場合、第1筐体102の両側の下方に配置された車輪400が、仕切り板106の支持部308に載せられる。作業者は、第1筐体102のスペーサ134及び136が仕切り板106の切り欠き316に位置するように、第1筐体102の前面410付近の底面420を支持し、第1筐体102を第2筐体104内部に向かって移動させる。このとき、仕切り板106の切り欠き316及び支持部308により、第1筐体102の左右方向の振れが制限されるので、作業者は第1筐体102の位置合わせを考慮せずに、容易に作業を実行できる。
【0072】
図15において破線の矢印により示すように、第1筐体102の車輪400により、第1筐体102は速やかに第2筐体104内部に挿入される。
図15において、第1筐体102、スペーサ134及び車輪400を破線で示す。このとき、第1筐体102(具体的には底面420)は、第1シール部材320に接触しない状態で移動する。したがって、第1筐体102の配置作業において、第1シール部材320が、第1筐体102の底面420により損傷されることを防止できる。
【0073】
図16を参照して、車輪400が支持部308上を移動し、傾斜部310に到達すると、破線の矢印により示すように、車輪400は下方(即ち鉛直方向)に移動する。これにより、第1筐体102も下方に移動する。第1筐体102の移動は、スペーサ134が仕切り板106のベース部300に到達したときに停止する。このとき、第1シール部材320は、第1筐体102の底面420により加圧され(
図16に示した実線の矢印参照)、その厚さは初期の厚さt(
図15参照)よりも小さくなる(即ち圧縮状態)。弾性変形した第1シール部材320により、底面420及び開口端部304とは密着する。即ち、第1筐体102の底面420の第2開口422と仕切り板106の第1開口302とが、第1シール部材320を介して密着する。
【0074】
図17を参照して、第1筐体102の第1固定部440を、第2筐体104の第2固定部442にネジを用いて固定することにより、第2筐体104への設置が完了する。その後、基板220に配置されたコネクタ222を介して配線を接続した後、前面下部パネル110及び前面上部パネル112を取付ける。第1固定部440が第2固定部442の上に配置されてネジ固定されることにより、第1筐体102の底面420は、仕切り板106の第1シール部材320をより一層加圧する。したがって、底面420の第2開口422と仕切り板106の第1開口302とをより強固に密着できる。これにより、水が空間108に浸入することを、より一層防止できる。
【0075】
第2筐体104に配置されている第1筐体102を取出すには、作業者は、第1固定部440を第2固定部442に固定しているネジを取外した後、第1筐体102に対して前方(即ちX軸の正方向)に力を加えればよい。第1筐体102の両側面の各々に車輪400が設けられていることにより、第1筐体102を持ち上げる方向に力を加えることなく、第1筐体102を取出せ、第2筐体104から第1筐体102を取出す作業が容易になる。
【0076】
(効果)
以上、蓄電システム100において、電力変換器(例えばパワーコンディショナ)を第1筐体102に収容し、第2筐体104を仕切り板106により上下に仕切る。第2筐体104において、仕切り板106の上方の空間に第1筐体102を収容し、仕切り板106の下方の空間に蓄電池モジュール200、切替器202及びバッテリマネジメントシステム204を収容する。仕切り板106の上方の空間と、下方の空間とは、仕切り板106に形成された第1開口302により接続される。したがって、電力変換器の発熱部品による発熱が蓄電池モジュール200に伝達されることを回避できる。また、第2筐体104の外部から第2筐体104内部に入った雨水及び結露水が、仕切り板106の下方の空間(例えば、切替器202及びバッテリマネジメントシステム204が配置される空間108)に流入することを抑制できる。即ち、発熱部品の冷却と、防水及び防湿とを両立できる。
【0077】
上記したように、仕切り板106は、第1筐体102を支持するベース部300を含み、第1開口302(即ち開口端部304)は、ベース部300よりも第1筐体102の側に位置している。これにより、第2筐体104の外部から第2筐体104内部に入った雨水及び結露水が、第1開口302から仕切り板106の下方の空間108に流入することを抑制でき、高い防水性を実現できる。なお、第1筐体102は、第1固定部440及び第2固定部442により、左側面パネル116及び右側面パネル118にネジにより固定される(
図7及び
図17参照)。これらの固定部の剛性が高い場合には、固定部により第1筐体102が懸架される状態になり得る。その場合には、第1筐体102は仕切り板106のベース部300によって支持されなくてもよい。
【0078】
上記したように、第1開口302を画定する縁部である開口端部304は、テーパ部306を介してベース部300に連続に接続されている。これにより、第2筐体104の外部から第2筐体104内部に入った雨水及び結露水が、第1開口302から仕切り板106の下方の空間108に流入することをより一層抑制できる。
【0079】
第1開口302(即ち開口端部304)は、ベース部300から5mm以上離隔していることが好ましい。第1開口302は、ベース部300から10mm以上離隔していることがより好ましい。これにより、蓄電システム100が鉛直から傾いて設置された場合にも、所定角度(例えば2°)以下の傾きであれば、第2筐体104の外部から第2筐体104内部に入った雨水及び結露水が、第1開口302から仕切り板106の下方の空間108に流入することをより確実に抑制できる。
【0080】
上記したように、蓄電システム100は、第1シール部材320をさらに含み、第1筐体102は、底面420に第2開口422が形成されており、第1開口302を画定する開口端部304は、第1筐体102が第2筐体104に収容された状態において、第1シール部材320を介して第2開口422の周縁部に接続される。これにより、第1開口302と第2開口422との接続部の密閉性を向上し、仕切り板106の下方の空間108の防水性及び防湿性を向上できる。
【0081】
上記したように、第1シール部材320は、第1筐体102が第2筐体104に収容された状態において、第1筐体102により加圧される。これにより、第1開口302と第2開口422との接続部の密閉性をより向上でき、仕切り板106の下方の空間108の防水性及び防湿性をより向上できる。
【0082】
上記したように、第1シール部材320を、第1筐体102の底面420を介して第1筐体102の重量により加圧する場合、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の変形量が、第1シール部材320の圧縮代を超えないようにすることが好ましい。例えば、第1筐体102の重量が40kgf(≒392N)であり、第1シール部材320の圧縮代が8mm(=8×10-3m)であれば、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の各々の面に垂直な方向の剛性を5kgf/mm(≒4.90×104N/m)以上とすればよい。これにより、第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の変化量を第1シール部材320の圧縮代以下にできる。また、剛性を、10kgf/mm(≒9.80×104N/m)以上とすることが好ましく、20kgf/mm(≒1.96×105N/m)以上とすることがより好ましい。第1開口302の周縁部及び第2開口422の周縁部の剛性を高めることによって、第1シール部材320を効率よく圧縮でき、防水及び防湿効果を高めることができる。また、第1筐体102と仕切り板106の長期間にわたる変形量を減少させて、防水及び防湿性能を安定させることができる。
【0083】
上記したように、仕切り板106は、左右の両端部の各々に支持部308を有し、第1シール部材320は仕切り板106の開口端部304に固定されている。支持部308は、第2筐体104内部において第1筐体102(具体的には車輪400)を、第1筐体102の底面420が第1シール部材320から離隔されたまま、第1筐体102がスライド移動可能に支持する。これにより、第1筐体102を第2筐体104内部に配置するときに、位置合わせが容易であり、第1シール部材320の損傷を回避できる。
【0084】
上記では、第1シール部材320が仕切り板106の開口端部304に固定されている場合を説明したが、これに限定されない。第1シール部材320は、第1筐体102の底面420に形成された第2開口422の周縁部に配置(例えば接着固定)されていてもよい。これにより、第1筐体102を第2筐体104内部に配置するときに、第1シール部材320の損傷を回避できる。
【0085】
上記したように、仕切り板106の両側に形成された支持部308には、第1筐体102が、移動後に第2筐体104内における所定位置(即ち、第1筐体102の第2開口422が仕切り板106の第1開口302に接続可能な範囲)に近づいたときに、第1筐体102を仕切り板106に接近させる傾斜部310を有している。即ち、第1筐体102の車輪400が、傾斜部310に沿って移動(即ち降下)することにより第1筐体102が降下し、第1筐体102の第2開口422と仕切り板106の第1開口302とが接続する。これにより、第1筐体102を第2筐体104内部に配置するときに、第1筐体102を移動させる際には第1筐体102をシール部材320と非接触にでき、さらに位置合わせが不要になり、第1筐体102の配置作業が容易になる。
【0086】
なお、上記では、支持部308に傾斜部310が形成されている場合を説明したが、これに限定されない。支持部308の表面(即ち水平面)から階段状に、所定距離下がった水平面が形成されていてもよい。これよっても、車輪400を、支持部308の表面から降下させることができ、第1筐体102の第2開口422と仕切り板106の第1開口302とを接続できる。
【0087】
蓄電システム100は、第1開口302を通り、第1筐体102に収容される電力変換器と蓄電池モジュール200とを接続する配線をさらに含む。第1開口302は、配線が配置された状態において、仕切り板106の上下に形成される2つの空間の間に空気の流路を形成する。これにより、仕切り板106の下方の空間108に発生した熱を第1筐体102内に伝達でき、第1筐体102の外面から放熱できる。例えば、仕切り板106の下方の空間に切替器202及びバッテリマネジメントシステム204等が配置される場合、それらの発熱を、第1筐体102の外面から放熱できる。
【0088】
上記したように、蓄電システム100は、配線が接続される基板220をさらに含んでおり、基板220は、第1筐体102内に収容され、第2開口422よりも大きく、第2開口422に対向して、第2開口422から所定距離離隔して配置されている。第2開口422は、第1筐体102が第2筐体104に収容された状態において、第1開口302に接続される。これにより、基板220(例えば、コネクタ222)において配線を接続でき、第1筐体102を第2筐体104に対して着脱する作業が容易になる。また、仕切り板106の下方の空間108に発生した熱を第1筐体102内部に伝達し、冷却する機能を維持できる。
【0089】
上記したように、仕切り板106は、水をせき止める止水部312と、水を第2筐体104の外部に排出する水抜き部314とを含む。止水部312は、仕切り板106の周縁部に形成され、水抜き部314は、仕切り板106の周縁部のうち、止水部312が形成されている部分以外の部分に配置されている。これにより、仕切り板から水を排出でき、仕切り板に水が滞留することを抑制できる。したがって、第2筐体内部において、仕切り板の上側の空間に水が浸入、又は、結露により水滴が発生しても、速やかに排水することにより、水及び湿気の影響を抑制できる。
【0090】
上記したように、第2筐体104は、前面下部パネル110を含み、前面下部パネル110の上端部に形成され、仕切り板106からの水を前面下部パネル110の上端部に沿って流す第1流路(具体的には、第2シール部材322により形成されるU字型の溝)を含む。また、第2筐体104は、前面下部パネル110の左右の両端部の各々に形成され、第1流路を流れた後の水を前面下部パネル110の左右の両端部の各々に沿って流して第2筐体104の外部に排出する第2流路(具体的には、第3シール部材324により形成されるU字型の溝)を含む。これにより、蓄電システム100の前面から、仕切り板106からの水を効率よく排出できる。例えば、蓄電システム100が、前方に傾いて設置されても、仕切り板に水が滞留することを抑制できる。
【0091】
上記したように、第2筐体104は、前面下部パネル110と遮蔽プレート126とを含み、遮蔽プレート126は、前面下部パネル110及び蓄電池モジュール200の間に配置されている。これにより、蓄電システム100の前面下部パネル110が日射を受けた場合、遮蔽プレート126と前面下部パネル110との間の空気層が遮熱効果を有する。また、日射により熱せられた空気は、自然対流により第1開口302を通って第1筐体内102に入り、第1筐体102の壁面を介して放熱される。したがって、蓄電システム100の前面下部パネル110が日射を受けても、蓄電池モジュール200が高温になることを抑制できる。
【0092】
第1筐体102を第2筐体104内において移動させるための機構は車輪400に限定されない。支持部308により支持され、第1筐体102が支持部308に沿って移動容易な機構であればよい。例えば、第1筐体102の側面(例えば車輪400に対応する位置)に突起部を有し、突起部が支持部308により支持される機構であってもよい。移動容易にするには、突起部が支持部308と接触する部分又は支持部308の表面に、摩擦係数の小さい樹脂(例えば、ポリアセタール、ポリアミド又はポリテトラフルオロエチレン等)を配置すればよい。
【0093】
仕切り板106の形状は
図8に示したものに限定されない。仕切り板106が第2筐体104に配置されたときに、第1開口302がベース部300よりも高い位置に位置し、ベース部300の周囲に止水部312と、少なくとも1つの水抜き部314とが形成されていればよい。水抜き部314は、前後左右の何れかにおいて、少なくとも1箇所形成されていればよい。水抜き部314は、例えば仕切り板106の左右両側又は前側に配置されていてもよい。
【0094】
上記したように、開口132から流入する空気は、第1筐体102の全周に形成される冷却流路を流れる。第1筐体102の背面には、第1発熱部品210、第2発熱部品212及び放熱部品214が配置されている。そのため、開口132から流入する空気は、第1筐体102の背面に形成される冷却流路(以下、第1冷却流路という)に、それ以外の冷却流路よりも多く流れることが好ましい。即ち、第1冷却流路の圧力損失が、それ以外の冷却流路の圧力損失よりも小さいことが好ましい。そのためには、例えば、第1冷却流路の断面積を大きくすればよい。例えば、第1筐体102の背面と背面パネル114との間隔が、第1筐体102と第2筐体104とのその他の間隔のいずれよりも大きくなるように、第2筐体104内における第1筐体102の位置を決定すればよい。これにより、発熱部品による第1筐体102内部の温度上昇をより一層抑制できる。
【0095】
上記では、第1発熱部品210及び第2発熱部品212が、第1筐体102の外部に配置される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、第1筐体102の背面には、発熱部品及び放熱部品の少なくとも一方が配置されていてもよい。また、第1筐体102は、第1発熱部品210及び第2発熱部品212を内部に収容してもよい。それらの場合にも、送風器130により、第1筐体102の各面からの放熱効率を向上でき、第1筐体102の内部の冷却を促進できる。したがって、第1筐体102内部の発熱部品の温度上昇が抑制され、発熱部品の劣化及び損傷を回避できる。
【0096】
上記では、発熱部品がリアクトル及びスイッチング素子である場合を説明したが、これに限定されない。第1筐体102の内部及び外面に配置され、蓄電システム100の動作時に発熱する素子であり、冷却されなければ損傷する素子であればよい。そのような素子は、発熱部品として冷却の対象となる。
【0097】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0098】
100 蓄電システム
102 第1筐体
104 第2筐体
106 仕切り板
108 空間
110 前面下部パネル
112 前面上部パネル
114 背面パネル
116 左側面パネル
118 右側面パネル
120 底面パネル
122 フード
124 脚部
126 遮蔽プレート
128 隔壁
130 送風器
132 開口
134、136、224 スペーサ
150 シール部材固定部
200 蓄電池モジュール
202 切替器
204 バッテリマネジメントシステム
210 第1発熱部品
212 第2発熱部品
214 放熱部品
220 基板
222 コネクタ
300 ベース部
302 第1開口
304 開口端部
306 テーパ部
308 支持部
310 傾斜部
312 止水部
314 水抜き部
316 切り欠き
320 第1シール部材
322 第2シール部材
324 第3シール部材
400 車輪
410 前面
412 天面
414 背面
416 左側面
418 右側面
420 底面
422 第2開口
440 第1固定部
442 第2固定部
H 高さ
t 厚さ