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特開2024-166000ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法及びダイナミックケーブル試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024166000
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法及びダイナミックケーブル試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/02 20060101AFI20241121BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N19/02 A
H02G1/06
G01N19/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105241
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】202310548000.4
(32)【優先日】2023-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520197044
【氏名又は名称】江蘇亨通高壓海纜有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】潘 文
(72)【発明者】
【氏名】梅 文杰
(72)【発明者】
【氏名】童 暁
(72)【発明者】
【氏名】王 歓
(72)【発明者】
【氏名】袁 渊
(72)【発明者】
【氏名】邱 華
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CA08
5G352CD11
(57)【要約】
【課題】ダイナミックケーブル用の実施可能な内外部摩擦試験方法及び装置を提供する。
【解決手段】実施例によれば、ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法は、ダイナミックケーブルを取り付けるステップS1と、正圧を印加するステップS2と、外部摩擦試験引張力を印加するステップS3と、内部摩擦試験の準備を行うステップS4と、内部摩擦試験引張力を印加するステップS5と、摩擦係数を算出するステップS6と、を含み、装置は、ダイナミックケーブルに接続するための牽引ロープと、牽引ロープに接続された伸縮ロッドと、伸縮ロッドに接続され試験引張力を供給するための油圧シリンダと、ダイナミックケーブルを支持するための支持枠と、ダイナミックケーブルを押えるための複数の押えブロックと、押えブロックに接続され正圧を供給するための圧力デバイスと、を備える。上記方法はケーブルの無損傷敷設に有利で、上記装置は汎用性が高く配置されやすい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法であって、
ダイナミックケーブルを取り付けるステップS1であって、
取り付けるダイナミックケーブルの一端を固定し、ダイナミックケーブルの他端を自由端とするステップS1と、
正圧を印加するステップS2であって、
正圧Pをダイナミックケーブルの本体部位の外被に印加して保持するステップS2と、
外部摩擦試験引張力を印加するステップS3であって
ダイナミックケーブルと正圧印加部位が滑って試験引張力がアンロードするまで、外部摩擦試験引張力をダイナミックケーブルの固定端に印加し、試験を複数回繰り返し、ダイナミックケーブルが滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1を記録するステップS3と、
内部摩擦試験の準備を行うステップS4であって、
ダイナミックケーブルの固定端の外被を剥がして、端部の装甲鋼線を露出させ、正圧を印加するステップS2の操作を繰り返すステップS4と、
内部摩擦試験引張力を印加するステップS5であって
ダイナミックケーブルの装甲鋼線と外被が滑って試験引張力がアンロードするまで、内部摩擦試験引張力をダイナミックケーブルのうち装甲鋼線が露出した端部に印加し、滑る前の最大内部摩擦試験引張力Tm2を記録するステップS5と、
摩擦係数を算出するステップS6であって、
最大外部摩擦試験引張力Tm1と正圧Pからダイナミックケーブルの外摩擦係数を算出し、最大内部摩擦試験引張力Tm2と正圧Pからダイナミックケーブルの内摩擦係数を算出するステップS6と、
を含む、ことを特徴とするダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法。
【請求項2】
ステップS2では、前記正圧印加速度が5mm/min未満である、ことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法。
【請求項3】
ステップS2では、前記正圧印加形態は、ダイナミックケーブルを上下に押すことで印加するか、ダイナミックケーブルを上下左右に押すことで印加する、ことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法を実行するダイナミックケーブル試験装置であって、
ダイナミックケーブルに接続するための牽引ロープと、
一端が前記牽引ロープに接続された伸縮ロッドと、
前記伸縮ロッドの他端に接続され、試験引張力を供給するための油圧シリンダと、
ダイナミックケーブルを支持するための支持枠と、
ダイナミックケーブルの外被に当接して接続するための複数の押えブロックと、
複数の押えブロックに接続され、複数の押えブロックを移動駆動してダイナミックケーブルを押し、正圧を供給するための圧力デバイスと、
を備える、ことを特徴とするダイナミックケーブル試験装置。
【請求項5】
前記押えブロックは、本体と、第1押し側と、第2押し側と、を含み、前記本体は圧力デバイスに接続され、前記第1押し側及び第2押し側は前記本体の同側に接続され、前記第1押し側及び第2押し側は相対的に傾斜する、ことを特徴とする請求項4に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【請求項6】
前記第1押し側と第2押し側との傾斜夾角が150°である、ことを特徴とする請求項5に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【請求項7】
引張曲げ試験セットをさらに含み、前記引張曲げ試験セットは、
地面に回動可能に接続される第1回転ディスクと、
前記伸縮ロッドに接続され、前記牽引ロープが巻設されている第2回転ディスクと、
前記第2回転ディスクに接続され、前記第2回転ディスクを回動駆動するための回転駆動部材と、を含み、
前記引張曲げ試験セットが前記ダイナミックケーブルに対して引張曲げ試験を行うときに、前記ダイナミックケーブルが前記第1回転ディスクに巻設されている、ことを特徴とする請求項4に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【請求項8】
第1ガイドレールをさらに含み、前記圧力デバイスは前記第1ガイドレールにスライド可能に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【請求項9】
第2ガイドレールをさらに含み、前記第2回転ディスクは前記第2ガイドレールにスライド可能に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【請求項10】
ダイナミックケーブルに接続され試験引張力を供給するためのホイストをさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載のダイナミックケーブル試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックケーブル試験の技術分野に関し、特にダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法及びダイナミックケーブル試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックケーブルは海洋風力発電所、海洋石油・ガス開発の重要な設備であり、水中生産システム間や水中生産システムと水上浮体との間を接続するのに用いられ、電気エネルギー、制御信号の伝送路となる。ダイナミックケーブルには、海洋に敷設されて常に波、海流、風、浮体運動などの動的荷重の影響を受ける光ケーブル、電気ケーブル、アンビリカルケーブルなどが含まれる。
【0003】
ダイナミックケーブルを敷設するときに、通常は牽引機やテンショナなどの設備を利用してケーブルの敷設を行う必要があり、また、ダイナミックケーブルは一般的に複数の非接着内側コア、鎧甲鋼線、外被及び充填層を含み、自身の構造が特殊であるため、敷設過程において、できるだけ無損傷の敷設を保障するために、牽引機やテンショナがどの程度の押し圧力を採用するかは極めて重要であり、これはすべてダイナミックケーブル自身の内外摩擦係数という性能パラメーターに依存する。
【0004】
従来技術では、材料の内外摩擦係数に対して試験計算を行う内外部摩擦試験方法及び試験装置がすでに多く存在しているが、従来技術における試験方法及び試験装置はほとんど通常材料に対して設置されたものであり、自身の構造が特殊で、耐荷重が複雑なダイナミックケーブルに適用することはできない。ダイナミックケーブルの内外部摩擦試験には、統一された試験方法およびそれに適合する試験装置がまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、本発明が解決しようとする技術的課題は、内外部摩擦試験方法及び試験装置が通常の材料だけに適用でき、ダイナミックケーブル試験に適さないという従来技術の問題を解決し、ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法及びダイナミックケーブル試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、上記の技術的課題を解決するために、本発明は、
ダイナミックケーブルを取り付けるステップS1であって、
取り付けるダイナミックケーブルの一端を固定し、ダイナミックケーブルの他端を自由端とするステップS1と、
正圧を印加するステップS2であって、
正圧Pをダイナミックケーブルの本体部位の外被に印加して保持するステップS2と、
外部摩擦試験引張力を印加するステップS3であって
ダイナミックケーブルと正圧印加部位が滑って試験引張力がアンロードするまで、外部摩擦試験引張力をダイナミックケーブルの固定端に印加し、試験を複数回繰り返し、ダイナミックケーブルが滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1を記録するステップS3と、
内部摩擦試験の準備を行うステップS4であって、
ダイナミックケーブルの固定端の外被を剥がして、端部の装甲鋼線を露出させ、正圧を印加するステップS2の操作を繰り返すステップS4と、
内部摩擦試験引張力を印加するステップS5であって
ダイナミックケーブルの装甲鋼線と外被が滑って試験引張力がアンロードするまで、内部摩擦試験引張力をダイナミックケーブルのうち装甲鋼線が露出した端部に印加し、滑る前の最大内部摩擦試験引張力Tm2を記録するステップS5と、
摩擦係数を算出するステップS6であって、
最大外部摩擦試験引張力Tm1と正圧Pからダイナミックケーブルの外摩擦係数を算出し、最大内部摩擦試験引張力Tm2と正圧Pからダイナミックケーブルの内摩擦係数を算出するステップS6と、を含む、ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法を提供する。
【0007】
本発明の一実施例において、ステップS2では、前記正圧印加速度が5mm/min未満である。
【0008】
本発明の一実施例において、ステップS2では、前記正圧印加形態は、ダイナミックケーブルを上下に押すことで印加するか、ダイナミックケーブルを上下左右に押すことで印加する。
【0009】
第2態様では、上記の技術的課題を解決するために、本発明は、さらに、
上記のダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法を実行するダイナミックケーブル試験装置であって、
ダイナミックケーブルに接続するための牽引ロープと、
一端が前記牽引ロープに接続された伸縮ロッドと、
前記伸縮ロッドの他端に接続され、試験引張力を供給するための油圧シリンダと、
ダイナミックケーブルを支持するための支持枠と、
ダイナミックケーブルの外被に当接して接続するための複数の押えブロックと、
複数の押えブロックに接続され、複数の押えブロックを移動駆動してダイナミックケーブルを押し、正圧を供給するための圧力デバイスと、を備える、ダイナミックケーブル試験装置を提供する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記押えブロックは、本体と、第1押し側と、第2押し側と、を含み、前記本体は圧力デバイスに接続され、前記第1押し側及び第2押し側は前記本体の同側に接続され、前記第1押し側及び第2押し側は相対的に傾斜する。
【0011】
本発明の一実施例において、前記第1押し側と第2押し側との傾斜夾角が150°である。
【0012】
本発明の一実施例において、ダイナミックケーブル試験装置は、引張曲げ試験セットをさらに含み、前記引張曲げ試験セットは、
地面に回動可能に接続される第1回転ディスクと、
前記伸縮ロッドに接続され、前記牽引ロープが巻設されている第2回転ディスクと、
前記第2回転ディスクに接続され、前記第2回転ディスクを回動駆動するための回転駆動件と、を含み、
前記引張曲げ試験セットが前記ダイナミックケーブルに対して引張曲げ試験を行うときに、前記ダイナミックケーブルが前記第1回転ディスクに巻設されている。
【0013】
本発明の一実施例において、第1ガイドレールをさらに含み、前記圧力デバイスは前記第1ガイドレールにスライド可能に接続される。
【0014】
本発明の一実施例において、第2ガイドレールをさらに含み、前記第2回転ディスクは前記第2ガイドレールにスライド可能に接続される。
【0015】
本発明の一実施例において、ダイナミックケーブルに接続され試験引張力を供給するためのホイストをさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記の技術案は、従来技術と比べて、以下の利点がある。
本発明の前記ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法は、一般的な海底ケーブルの性能試験に適用できるだけではなく、ダイナミックケーブル用の実施可能な内外部摩擦試験方法でもあり、試験結果を分析することにより、ダイナミックケーブルの内外摩擦係数を正確に示し、敷設過程における牽引機やテンショナに使用される押し力の最適値を決定し、ダイナミックケーブルを無損傷で敷設することを確保する。
【0017】
本発明の前記ダイナミックケーブル試験装置は、ダイナミックケーブルに接続するための牽引ロープと、牽引ロープに接続された伸縮ロッドと、伸縮ロッドに接続され、試験引張力を供給するための油圧シリンダと、ダイナミックケーブルを支持するための支持枠と、ダイナミックケーブルを押すための複数の押えブロックと、押えブロックに接続され、正圧を供給するための圧力デバイスと、を備える。試験を行う際には、ダイナミックケーブルの一端が油圧シリンダにより引かれ、複数の押えブロックがダイナミックケーブルに当接し、圧力デバイスが正圧Pを供給し、ダイナミックケーブルと押えブロックが相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1及びダイナミックケーブル外被と内部の装甲鋼線が相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm2を取得するまで、試験引張力及び正圧が印加され、これにより、ダイナミックケーブル内外部摩擦試験を行い、しかも、試験装置は、構造が簡単で、配置されやすく、操作や実施が容易である。
【0018】
本発明の前記ダイナミックケーブル試験装置では、引張曲げ試験セットも配置されることにより、試験装置はダイナミックケーブルの引張曲げ性能を試験する能力も持ち、2種の異なる試験を行うには場所などを交換する必要がなく、ダイナミックケーブルの性能試験が容易になり、試験効率が大幅に高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の内容をより明確に理解しやすくするために、以下では、本発明の特定実施例と図面を併せて、本発明についてさらに詳細に説明する。
図1】本発明の好ましい実施例においてダイナミックケーブル外部摩擦試験引張力を印加するときの受力概略図の一例である。
図2】本発明の好ましい実施例においてダイナミックケーブル内部摩擦試験引張力を印加するときの受力概略図の一例である。
図3】本発明の好ましい実施例において正圧印加方式がダイナミックケーブルを上下に押すときの概略図の一例である。
図4】本発明の好ましい実施例において正圧印加方式がダイナミックケーブルを上下左右に押すときの概略図の一例である。
図5】本発明の好ましい実施例においてダイナミックケーブル試験装置がダイナミックケーブル内外部摩擦試験を行うときの構造概略図の一例である。
図6図5に示すダイナミックケーブル試験装置の押えブロックの概略図の一例である。
図7】本発明の好ましい実施例においてダイナミックケーブル試験装置がダイナミックケーブル引張曲げ試験を行うときの構造概略図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、当業者が本発明をより理解して実施できるように、図面及び具体的な実施例を参照して本発明についてさらに説明するが、挙げられる実施例は本発明を限定するものではない。
【0021】
実施例1
図1図4に示すように、本発明は、
ダイナミックケーブル11を取り付けるステップであって、
取り付けるダイナミックケーブル11の一端を固定し、ダイナミックケーブル11の他端を自由端とするステップS1と、
正圧を印加するステップであって、
正圧Pをダイナミックケーブル11の本体部位の外被111に印加して、常に保持するステップS2と、
外部摩擦試験引張力を印加するステップであって、
ダイナミックケーブル11と正圧印加部位が滑って試験引張力がアンロードするまで、外部摩擦試験引張力をダイナミックケーブル11の固定端に印加し、試験を複数回繰り返し、ダイナミックケーブル11が滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1を記録するステップS3と、
内部摩擦試験の準備を行うステップであって、
ダイナミックケーブル固定端11の外被111を剥がし、端部の装甲鋼線112を露出させ、正圧を印加するステップS2の操作を繰り返すステップS4と、
内部摩擦試験引張力を印加するステップであって、
ダイナミックケーブルの装甲鋼線112と外被111が滑って試験引張力がアンロートするまで、内部摩擦試験引張力をダイナミックケーブル11のうち装甲鋼線112が露出した端部に印加し、滑る前の最大内部摩擦試験引張力Tm2を記録するステップS5と、
摩擦係数を算出するステップであって、
最大外部摩擦試験引張力Tm1と正圧Pからダイナミックケーブル外摩擦係数を算出し、最大内部摩擦試験引張力Tm2と正圧Pからダイナミックケーブル内摩擦係数を算出するステップS6と、を含む、ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法を開示する。
【0022】
前記ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法は、一般的な海底ケーブルの性能試験に適用できるだけではなく、ダイナミックケーブル用の実施可能な内外部摩擦試験方法でもあり、試験結果を分析することにより、ダイナミックケーブルの内外摩擦係数を正確に示し、敷設過程における牽引機やテンショナに使用される押し力の最適値を決定し、ダイナミックケーブルを無損傷で敷設することを確保する。
【0023】
好適には、ステップS2では、正圧印加速度が5mm/min未満である。
【0024】
正圧印加速度を5mm/min未満にすることにより、ダイナミックケーブル内部の各部分が正圧の作用を十分に受け、最大正圧を直接印加することによりダイナミックケーブルがダメージを受けることが回避され、試験の安定性及び信頼性が向上する。
【0025】
好適には、図3及び図4に示すように、ステップS2では、正圧印加形態は、検出対象のダイナミックケーブルの使用条件に応じて印加する。検出対象のダイナミックケーブル11の水中の敷設深さが1000m未満である場合、試験では、正圧がダイナミックケーブル11を上下に押すことで印加されてもよく、検出対象のダイナミックケーブル11の水中の敷設深さが1000mを超える場合、試験では、正圧がダイナミックケーブル11を上下左右に押すことで印加されてもよい。
【0026】
正圧印加形態がダイナミックケーブル11を上下に押すことで印加する場合、ダイナミックケーブル外摩擦係数μの計算式は以下のとおりである。
ダイナミックケーブル内摩擦係数μの計算式は以下のとおりである。
正圧印加形態がダイナミックケーブル11を上下左右に印加する場合、ダイナミックケーブル外摩擦係数μの計算式は以下のとおりである。
ダイナミックケーブル内摩擦係数μの計算式は以下のとおりである。
【0027】
実施例2
図5図7に示すように、本発明は、さらに、前記ダイナミックケーブル内外部摩擦試験方法に基づくダイナミックケーブル試験装置であって、
ダイナミックケーブル11に接続するための牽引ロープ1と、
一端が牽引ロープ1に接続される伸縮ロッド2と、
伸縮ロッド2の他端に接続され、試験引張力を供給するための油圧シリンダ3と、
ダイナミックケーブル11を支持するための支持枠4と、
ダイナミックケーブル11の外被に当接して接続するための複数の押えブロック5と、
複数の押えブロック5に接続され、複数の押えブロック5を移動駆動してダイナミックケーブル11を押し、正圧を供給するための圧力デバイス6と、を備える、ダイナミックケーブル試験装置を開示する。
【0028】
前記ダイナミックケーブル試験装置が内外部摩擦試験を行うときに、油圧シリンダ3は地面に固定して配置され、ダイナミックケーブル11の一端が油圧シリンダ3により引かれ、複数の押えブロック5がダイナミックケーブル11に当接し、圧力デバイス6が正圧Pを供給し、ダイナミックケーブル11と押えブロック5が相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1及びダイナミックケーブル11外被と内部の装甲鋼線が相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm2を取得するまで、試験引張力及び正圧が印加され、これにより、ダイナミックケーブル11内外部摩擦試験を行い、しかも、試験装置は、構造が簡単で、配置されやすく、操作や実施が容易である。
【0029】
本実施例では、図6に示すように、押えブロック5は、本体51と、第1押し側52と、第2押し側53と、を含み、本体51は圧力デバイス6に接続され、第1押し側52及び第2押し側53は本体51の同側に接続され、第1押し側52及び第2押し側53は相対的に傾斜する。具体的には、第1押し側52と第2押し側53との傾斜夾角が150°である。
【0030】
第1押し側52及び第2押し側53が相対的に傾斜して設けられることによって、ダイナミックケーブル11は試験時に第1押し側52と第2押し側53との接合部に嵌め込まれ、これにより、正圧を印加したときにダイナミックケーブル11が押えブロック5に対して滑ることが回避され、また、ダイナミックケーブル11の形状保持に有利であり、ダイナミックケーブル11が正圧で直接押されて大きな範囲の変形が生じることが回避される。第1押し側52と第2押し側53との接合部を150°の傾斜夾角にするような構成は、ダイナミックケーブル11を実際に敷設するときの押圧角度を模擬し、実際の作業状況に適合させ、ダイナミックケーブル11内外部摩擦試験の信頼性及び正確しえを向上させる。
【0031】
本実施例では、図7に示すように、ダイナミックケーブル試験装置は、引張曲げ試験セット7をさらに含み、引張曲げ試験セット7は、
地面に回動可能に接続される第1回転ディスク71と、
伸縮ロッド2に接続され、牽引ロープ1が巻設されている第2回転ディスク72と、
第2回転ディスク72に接続され、第2回転ディスク72を回動駆動するための回転駆動部材73と、を含み、
引張曲げ試験セット7がダイナミックケーブル11に対して引張曲げ試験を行うときに、ダイナミックケーブル11が第1回転ディスク71に巻設されている。
【0032】
引張曲げ試験セット7が設けられることにより、ダイナミックケーブル試験装置はダイナミックケーブル11の引張曲げ性能を試験する能力も持つ。引張曲げ試験を行う際に、ダイナミックケーブル11を第1回転ディスク71に対称に巻き付け、牽引ロープ1を第2回転ディスク72に巻き付け、牽引ロープ1の両端をそれぞれダイナミックケーブル11の両端に接続し、油圧シリンダ3により第2回転ディスク72を駆動して直線運動させ、ダイナミックケーブル11へ引張力を供給して、それを引っ張り、回転駆動部材73によって第2回転ディスク72を回転駆動し、ダイナミックケーブル11が第1回転ディスク71上を往復屈曲回動するようにし、これにより、ダイナミックケーブル11の引張曲げ性能を試験する。2種の異なる試験を行うには場所などを交換する必要がなく、ダイナミックケーブルの性能試験が容易になり、試験効率が大幅に高まる。
【0033】
本実施例では、ダイナミックケーブル試験装置は、第1ガイドレール8をさらに含み、圧力デバイス6は第1ガイドレール8にスライド可能に接続される。
【0034】
第1ガイドレール8は地面に固定して接続され、圧力デバイス6は第1ガイドレール8にスライド可能に接続され、ダイナミックケーブルの2つの異なる性能の試験を切り替えるときに、圧力デバイス6が移動されやすく、試験準備工程の効率が高まる。
【0035】
本実施例では、ダイナミックケーブル試験装置は第2ガイドレール9を含み、第2回転ディスク72は第2ガイドレール9にスライド可能に接続される。
【0036】
第2ガイドレール9は地面に固定して接続され、第2回転ディスク72が第2ガイドレール9にスライド可能に接続されることにより、油圧シリンダ3が第2回転ディスク72を移動駆動するときの安定性が高くなり、ダイナミックケーブル試験装置の試験信頼性が向上する。
【0037】
本実施例では、ダイナミックケーブル試験装置はホイスト10をさらに含み、ホイスト10は地面に設けられる。ホイスト10はバックアップ動力源として機能し、油圧シリンダ3に故障が生じた場合、ホイスト10は引張力を提供することができ、ダイナミックケーブル11に接続すると、試験を持続することができる。ホイスト10が設けられることにより、ダイナミックケーブル試験装置の対処能力が向上し、ダイナミックケーブル試験の実施確実性が確保される。
【0038】
本実施例の実施原理は以下のとおりである。ダイナミックケーブル試験装置が内外部摩擦試験を行う際には、ダイナミックケーブル11の一端が油圧シリンダ3により引かれ、複数の押えブロック5がダイナミックケーブル11に当接し、圧力デバイス6が正圧Pを供給し、ダイナミックケーブル11と押えブロック5が相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm1及びダイナミックケーブル11外被と内部の装甲鋼線が相対的に滑る前の最大外部摩擦試験引張力Tm2を取得するまで、試験引張力及び正圧が印加され、これにより、ダイナミックケーブル11内外部摩擦試験を行う。
【0039】
ダイナミックケーブル試験装置では、引張曲げ試験セット7が設けられることにより、ダイナミックケーブル試験装置は、ダイナミックケーブルの引張曲げ性能を試験する能力も持つ。本発明によるダイナミックケーブル試験装置は、ダイナミックケーブルの内外摩擦性能試験及び引張曲げ性能試験の両方ができ、これにより、ダイナミックケーブル試験装置の適用範囲が大幅に広がり、ダイナミックケーブルの性能試験が容易になる。
【0040】
もちろん然、上記の実施例は明確に説明するための例に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記の説明に基づいて形態上の他の様々な変化や変更が可能である。ここでは、すべての実施形態を網羅する必要はなく、また、網羅することもできない。そして、これらから導出される自明な変化又は変動は、なお本発明の保護範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0041】
1 牽引ロープ
2 伸縮ロッド
3 油圧シリンダ
4 支持枠
5 押えブロック
51 本体
52 第1押し側
53 第2押し側
6 圧力デバイス
7 引張曲げ試験セット
71 第1回転ディスク
72 第2回転ディスク
73 回転駆動部材
8 第1ガイドレール
9 第2ガイドレール
10 ホイスト
11 ダイナミックケーブル
111 外被
112 装甲鋼線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7